JP3241587B2 - コークス炉上昇管基部のカーボン付着防止方法 - Google Patents
コークス炉上昇管基部のカーボン付着防止方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する分野】本発明は、冶金用コークスの製造
を目的としてコークス炉で石炭を乾留する際に乾留生成
ガスの熱分解で上昇管基部の煉瓦表面にカーボンが付着
することを防止する方法に関する。
を目的としてコークス炉で石炭を乾留する際に乾留生成
ガスの熱分解で上昇管基部の煉瓦表面にカーボンが付着
することを防止する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図1に示す上昇管基部の概略図を基に説
明する。コークス炉で石炭を加熱してコークスを製造す
る過程で、石炭から炭素化合物を主体とする乾留ガスが
生成する。この乾留生成ガスは炉頂空間10を通過し
て、上昇管基部2を経由してガス精製工程(図示せず)
へと導かれる。炉頂空間10や上昇管基部2の温度はコ
ークス炉の稼働率や炉温、炉の型式、乾留の経過時間な
どにより異なるが、例えば900℃以上の温度であり、
乾留生成ガスの熱分解反応により煉瓦表面にカーボンが
析出する。その結果、炭化室炉壁煉瓦や天井煉瓦の平滑
度が失われ、乾留が終了してコークスを押し出す際の抵
抗を増加させたり、炉の内容積を減少させて生産量を低
下させたりする。
明する。コークス炉で石炭を加熱してコークスを製造す
る過程で、石炭から炭素化合物を主体とする乾留ガスが
生成する。この乾留生成ガスは炉頂空間10を通過し
て、上昇管基部2を経由してガス精製工程(図示せず)
へと導かれる。炉頂空間10や上昇管基部2の温度はコ
ークス炉の稼働率や炉温、炉の型式、乾留の経過時間な
どにより異なるが、例えば900℃以上の温度であり、
乾留生成ガスの熱分解反応により煉瓦表面にカーボンが
析出する。その結果、炭化室炉壁煉瓦や天井煉瓦の平滑
度が失われ、乾留が終了してコークスを押し出す際の抵
抗を増加させたり、炉の内容積を減少させて生産量を低
下させたりする。
【0003】特に、上昇管基部2に多量のカーボン1が
付着すると、乾留生成ガスが通過する際に通気抵抗を高
め炉外へ排出するのを阻害し、更に付着量が増えて閉塞
状態となれば操業上大きなトラブルとなる。
付着すると、乾留生成ガスが通過する際に通気抵抗を高
め炉外へ排出するのを阻害し、更に付着量が増えて閉塞
状態となれば操業上大きなトラブルとなる。
【0004】このような問題点を解決するために、カー
ボンの付着を防止する方法や、付着したカーボンを効率
よく除去する方法が提案されている。
ボンの付着を防止する方法や、付着したカーボンを効率
よく除去する方法が提案されている。
【0005】特に上昇管基部のカーボンの付着を防止す
る方法としては、例えば、特開平2−160896号公
報や特公昭62−19477号公報、及び特公昭63−
13470号公報にあるように、煉瓦表面に被膜を形成
してカーボン付着量を減らす方法が提案されている。ま
た、特公昭59−10712号公報にあるように、耐火
物煉瓦のガス透過性を利用して背面から不活性ガス、ま
たは酸素を含むガスを吹き込みカーボン付着を防止する
方法も提案されている。
る方法としては、例えば、特開平2−160896号公
報や特公昭62−19477号公報、及び特公昭63−
13470号公報にあるように、煉瓦表面に被膜を形成
してカーボン付着量を減らす方法が提案されている。ま
た、特公昭59−10712号公報にあるように、耐火
物煉瓦のガス透過性を利用して背面から不活性ガス、ま
たは酸素を含むガスを吹き込みカーボン付着を防止する
方法も提案されている。
【0006】一方、付着したカーボンを除去する方法と
して、例えば特開昭53−25603や特開昭58−1
20686、特開平5−271662、特開平6−14
5665号公報にあるように上昇管基部に酸素を含むガ
スを導入して付着したカーボンを燃焼除去する方法が提
案されている。
して、例えば特開昭53−25603や特開昭58−1
20686、特開平5−271662、特開平6−14
5665号公報にあるように上昇管基部に酸素を含むガ
スを導入して付着したカーボンを燃焼除去する方法が提
案されている。
【0007】
【発明が解決すべき課題】上昇管基部に酸素を含むガス
(含酸素ガス)を導入して付着したカーボンを燃焼除去
する方法においては、この反応が大きな発熱反応である
ために、カーボン表面の温度は時間と共に上昇し、例え
ば空気導入前に850℃であったものが80〜120秒
の後に1300℃の温度になる。温度が高くなるとカー
ボンの燃焼速度が速くなることが期待できるので好まし
いが、上昇管を構成する煉瓦への熱負荷が高くなり、煉
瓦の寿命を短くしてしまうことが懸念される。
(含酸素ガス)を導入して付着したカーボンを燃焼除去
する方法においては、この反応が大きな発熱反応である
ために、カーボン表面の温度は時間と共に上昇し、例え
ば空気導入前に850℃であったものが80〜120秒
の後に1300℃の温度になる。温度が高くなるとカー
ボンの燃焼速度が速くなることが期待できるので好まし
いが、上昇管を構成する煉瓦への熱負荷が高くなり、煉
瓦の寿命を短くしてしまうことが懸念される。
【0008】このように付着カーボンを燃焼除去する方
法は比較的簡便で有効な方法であるが、実炉操業におい
ては、炭化室からコークスを排出して次に石炭を装入す
るまでの間にのみ行える方法である。したがって、高稼
働率で炉の温度レベルが高い場合には、カーボン付着量
が多くなるのに相反して上述のカーボン焼却に十分な時
間を確保できない場合がある。また、カーボン焼却によ
って多量の温排ガスを大気に放散することは、昨今注目
されている地球環境の保護の点からも好ましいこととは
言えない。
法は比較的簡便で有効な方法であるが、実炉操業におい
ては、炭化室からコークスを排出して次に石炭を装入す
るまでの間にのみ行える方法である。したがって、高稼
働率で炉の温度レベルが高い場合には、カーボン付着量
が多くなるのに相反して上述のカーボン焼却に十分な時
間を確保できない場合がある。また、カーボン焼却によ
って多量の温排ガスを大気に放散することは、昨今注目
されている地球環境の保護の点からも好ましいこととは
言えない。
【0009】さらに問題なのは、後述するようにコーク
ス炉における通常の操業では、このカーボン除去処理を
行った数分後に炭化室に石炭を装入するのが一般的であ
るが、その時点では上昇管基部の煉瓦の表面温度はまだ
高温状態にあり、該場所に乾留生成ガスが接触すると、
該ガスの熱分解反応が促進され、多くのカーボンが付着
することになる。
ス炉における通常の操業では、このカーボン除去処理を
行った数分後に炭化室に石炭を装入するのが一般的であ
るが、その時点では上昇管基部の煉瓦の表面温度はまだ
高温状態にあり、該場所に乾留生成ガスが接触すると、
該ガスの熱分解反応が促進され、多くのカーボンが付着
することになる。
【0010】このことは後述するように、上昇管基部に
おけるカーボン付着速度が炭化室に石炭を装入した直後
に最も速いことからも明らかであり、石炭乾留初期の上
昇管基部におけるカーボン付着量を低減させることが課
題である。
おけるカーボン付着速度が炭化室に石炭を装入した直後
に最も速いことからも明らかであり、石炭乾留初期の上
昇管基部におけるカーボン付着量を低減させることが課
題である。
【0011】本発明の目的は、コークス炉の上昇管基部
にカーボンが付着するのを防止する方法を提供すること
にある。
にカーボンが付着するのを防止する方法を提供すること
にある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問
題点を解決するために種々検討した結果、カーボン燃焼
反応で発生した熱で高温になった上昇管基部に微粒化し
た水、水蒸気または不活性ガスを導入することにより、
煉瓦表面近傍の温度を低下させ、かかる後に石炭装入を
行うことによって上昇管基部に付着するカーボンの量を
大幅に低減させ得ることを見い出し、この知見に基づき
本発明を完成するに至ったものである。
題点を解決するために種々検討した結果、カーボン燃焼
反応で発生した熱で高温になった上昇管基部に微粒化し
た水、水蒸気または不活性ガスを導入することにより、
煉瓦表面近傍の温度を低下させ、かかる後に石炭装入を
行うことによって上昇管基部に付着するカーボンの量を
大幅に低減させ得ることを見い出し、この知見に基づき
本発明を完成するに至ったものである。
【0013】本発明は、石炭乾留時にコークス炉上昇管
基部の煉瓦表面にカーボンが付着するのを防止する方法
において、乾留後に上昇管基部に微粒化した水、水蒸気
または不活性ガスを導入して上昇管基部の温度を低下さ
せ、石炭装入後の乾留初期に上昇管基部におけるカーボ
ンの付着を抑制することを特徴とするコークス炉上昇管
基部のカーボン付着防止方法であり、炭化室内に付着し
たカーボンを酸素含有ガスで燃焼除去する処理が終了し
てから炭化室に石炭を装入するまでの間に、コークス炉
上昇管基部への微粒化した水、水蒸気または不活性ガス
を導入することを特徴とするコークス炉上昇管基部のカ
ーボン付着防止方法である。
基部の煉瓦表面にカーボンが付着するのを防止する方法
において、乾留後に上昇管基部に微粒化した水、水蒸気
または不活性ガスを導入して上昇管基部の温度を低下さ
せ、石炭装入後の乾留初期に上昇管基部におけるカーボ
ンの付着を抑制することを特徴とするコークス炉上昇管
基部のカーボン付着防止方法であり、炭化室内に付着し
たカーボンを酸素含有ガスで燃焼除去する処理が終了し
てから炭化室に石炭を装入するまでの間に、コークス炉
上昇管基部への微粒化した水、水蒸気または不活性ガス
を導入することを特徴とするコークス炉上昇管基部のカ
ーボン付着防止方法である。
【0014】ここで、上昇管基部に導入する不活性ガス
としては、上昇管基部のカーボンと1000℃以上で反
応せずに冷却できるガスであれば良く、窒素、アルゴン
などが好ましい。
としては、上昇管基部のカーボンと1000℃以上で反
応せずに冷却できるガスであれば良く、窒素、アルゴン
などが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳しく説明する。
て詳しく説明する。
【0016】本発明の実施例は商業生産を行っている実
コークス炉において、コークス炉の稼働率:134%、
一窯当たりの石炭装入量:23トン(乾量)、石炭の性
状は、揮発分27.4%、水分5.4%、粒度は3mm
以下が78%なる条件で行った。
コークス炉において、コークス炉の稼働率:134%、
一窯当たりの石炭装入量:23トン(乾量)、石炭の性
状は、揮発分27.4%、水分5.4%、粒度は3mm
以下が78%なる条件で行った。
【0017】コークス炉の上昇管基部の温度はコークス
炉の稼働率、炉の型式等によって異なり、また、これら
の条件が同じ場合でも、乾留の経過時間とともに変化す
る。そこで、本実施例を適用するコークス炉において、
上昇管基部の温度とカーボン付着速度について調査し
た。
炉の稼働率、炉の型式等によって異なり、また、これら
の条件が同じ場合でも、乾留の経過時間とともに変化す
る。そこで、本実施例を適用するコークス炉において、
上昇管基部の温度とカーボン付着速度について調査し
た。
【0018】温度の測定方法は図2に示すように、上昇
管4に設置された火落ち判定口5から上昇管基部2に熱
電対6を挿入して測定した。炭化室への石炭装入の前後
における上昇管基部での温度変化の測定例を図3に示
す。図3において、横軸はコークスを押し出すために炉
蓋を開放した時間を基準とした経過時間を示しており、
縦軸は熱電対6の測定値を示している。また、図中の丸
付き数字はそれぞれ、 コークスの押し出しのために炉蓋を開放 コークス押し出しが開始 コークス押し出しを終了して炉蓋を装着完了 カーボン焼却装置によるカーボン除去作業開始 カーボン焼却装置によるカーボン除去作業終了 上昇管基部に水(水蒸気または不活性ガス)の供給を
開始 炭化室への石炭の装入を開始 に対応するものである。
管4に設置された火落ち判定口5から上昇管基部2に熱
電対6を挿入して測定した。炭化室への石炭装入の前後
における上昇管基部での温度変化の測定例を図3に示
す。図3において、横軸はコークスを押し出すために炉
蓋を開放した時間を基準とした経過時間を示しており、
縦軸は熱電対6の測定値を示している。また、図中の丸
付き数字はそれぞれ、 コークスの押し出しのために炉蓋を開放 コークス押し出しが開始 コークス押し出しを終了して炉蓋を装着完了 カーボン焼却装置によるカーボン除去作業開始 カーボン焼却装置によるカーボン除去作業終了 上昇管基部に水(水蒸気または不活性ガス)の供給を
開始 炭化室への石炭の装入を開始 に対応するものである。
【0019】数字1を付記したプロット線は、コークス
炉操業を通常の条件で行った場合の上昇管基部の温度変
化の例を示すものであり、数字2を付記したプロット線
は、カーボン焼却作業が終了して、通常は丸数字の時
点で行う石炭装入を行わない場合の温度変化の例を他の
測定例と比較するために示したものである。
炉操業を通常の条件で行った場合の上昇管基部の温度変
化の例を示すものであり、数字2を付記したプロット線
は、カーボン焼却作業が終了して、通常は丸数字の時
点で行う石炭装入を行わない場合の温度変化の例を他の
測定例と比較するために示したものである。
【0020】なお、数字3を付記したプロット線は、後
述する本発明の実施例に基づいて、カーボン焼却作業が
終了した直後に丸数字の時点で上昇管基部2に微粒化
した水を導入した場合の温度変化の例を示すものであ
る。
述する本発明の実施例に基づいて、カーボン焼却作業が
終了した直後に丸数字の時点で上昇管基部2に微粒化
した水を導入した場合の温度変化の例を示すものであ
る。
【0021】図3において、の時点でカーボン焼却処
理が始まると、カーボンのガス化反応によって生じる熱
で上昇管基部の温度は急激に上昇し、図の例では800
℃〜900℃であったものが1200〜1300℃の高
温まで上昇している。この後、において炉蓋を装着
し、通常操業ではにおいて石炭の装入を開始する。
理が始まると、カーボンのガス化反応によって生じる熱
で上昇管基部の温度は急激に上昇し、図の例では800
℃〜900℃であったものが1200〜1300℃の高
温まで上昇している。この後、において炉蓋を装着
し、通常操業ではにおいて石炭の装入を開始する。
【0022】この時の温度変化は数字1を付記したプロ
ット線に示すが、石炭の装入とともに上昇管基部の温度
は徐々に低下する。これは、装入石炭の温度が100℃
以下であること、および乾留生成ガスによる冷却効果に
よるものであるが、それでも上昇管基部の温度は120
0℃以上の比較的高温になる。
ット線に示すが、石炭の装入とともに上昇管基部の温度
は徐々に低下する。これは、装入石炭の温度が100℃
以下であること、および乾留生成ガスによる冷却効果に
よるものであるが、それでも上昇管基部の温度は120
0℃以上の比較的高温になる。
【0023】プロット線1と2を比較してわかるよう
に、炭化室に石炭を装入することによって上昇管基部の
温度が低下することがわかる。このこと自体は好ましい
ことであるが、それでも上述のように1200℃の高温
雰囲気であり、したがって、この状態のまま乾留を目的
として炭化室内に石炭を装入すると、多量の乾留ガスが
高温空間を通過し、カーボン付着量が多くなる。
に、炭化室に石炭を装入することによって上昇管基部の
温度が低下することがわかる。このこと自体は好ましい
ことであるが、それでも上述のように1200℃の高温
雰囲気であり、したがって、この状態のまま乾留を目的
として炭化室内に石炭を装入すると、多量の乾留ガスが
高温空間を通過し、カーボン付着量が多くなる。
【0024】次に、実際のコークス炉の通常操業におい
て上昇管基部におけるカーボンの付着速度を測定した例
を図2、及び図4に基づいて説明する。
て上昇管基部におけるカーボンの付着速度を測定した例
を図2、及び図4に基づいて説明する。
【0025】上昇管基部に付着するカーボンの量を定量
的に求める方法としては、実際に付着したカーボンを空
気で燃焼させて、燃焼ガスの組成と流量から求める方法
や、該部分に試験片等を設置して、該試験片等への付着
量から求める方法などが考えられる。本実施例では、図
2に示すように上昇管4に設置された火落ち判定口5か
ら上昇管基部2に試験片煉瓦(材質;珪石煉瓦)12を
挿入し、所定の時間ごとに該煉瓦を引き出して重量を測
定し、その重量変化からカーボンの付着速度を求めた。
的に求める方法としては、実際に付着したカーボンを空
気で燃焼させて、燃焼ガスの組成と流量から求める方法
や、該部分に試験片等を設置して、該試験片等への付着
量から求める方法などが考えられる。本実施例では、図
2に示すように上昇管4に設置された火落ち判定口5か
ら上昇管基部2に試験片煉瓦(材質;珪石煉瓦)12を
挿入し、所定の時間ごとに該煉瓦を引き出して重量を測
定し、その重量変化からカーボンの付着速度を求めた。
【0026】図4に、石炭装入時点からのカーボン付着
速度の実測例を示す。この図において、横軸は石炭装入
からの経過時間であり、縦軸は試験片煉瓦へのカーボン
付着速度を示している。図4から明らかなように、カー
ボンの付着速度は石炭装入直後が最も速くなっている。
これは上述したように、石炭装入直後は石炭乾留生成ガ
スの発生量が多いこと、及び上昇管基部の温度が高いこ
とが原因である。
速度の実測例を示す。この図において、横軸は石炭装入
からの経過時間であり、縦軸は試験片煉瓦へのカーボン
付着速度を示している。図4から明らかなように、カー
ボンの付着速度は石炭装入直後が最も速くなっている。
これは上述したように、石炭装入直後は石炭乾留生成ガ
スの発生量が多いこと、及び上昇管基部の温度が高いこ
とが原因である。
【0027】そこで、上昇管基部の付着カーボンの焼却
処理を行ってから石炭が装入されるまでの間に、該部分
の温度を低下させることによってカーボン付着量が低減
できるのではないかと考え、上昇管基部を冷却する方法
として、該部分への水、水蒸気または不活性ガスの導入
による方法を試みた。
処理を行ってから石炭が装入されるまでの間に、該部分
の温度を低下させることによってカーボン付着量が低減
できるのではないかと考え、上昇管基部を冷却する方法
として、該部分への水、水蒸気または不活性ガスの導入
による方法を試みた。
【0028】すなわち、炭化室からコークスを押し出し
て炉蓋を装着した段階で、押し出し機側の炉蓋7の上部
に設置された均し用小蓋14から、先端部にノズル13
を取り付けた配管15を挿入し、該部分に水、水蒸気ま
たは不活性ガス16を吹き込んだ。
て炉蓋を装着した段階で、押し出し機側の炉蓋7の上部
に設置された均し用小蓋14から、先端部にノズル13
を取り付けた配管15を挿入し、該部分に水、水蒸気ま
たは不活性ガス16を吹き込んだ。
【0029】ここで、冷却手段として水を用いる場合
は、上昇管基部に導入した水が直接上昇管基部の煉瓦に
接触すると急激な温度変化によって煉瓦を損傷する恐れ
があることから、水の微粒化が可能な市販のスプレーノ
ズルを用いた。
は、上昇管基部に導入した水が直接上昇管基部の煉瓦に
接触すると急激な温度変化によって煉瓦を損傷する恐れ
があることから、水の微粒化が可能な市販のスプレーノ
ズルを用いた。
【0030】図3のプロット線3に、上述の方法で水を
導入した場合の上昇管基部の温度変化の例を示す。図3
において、の時点は約1200℃であるが、水を導入
すると直ちに温度の低下が起こり、炭化室に石炭を装入
する時点では1000℃近傍まで温度が低下してい
る。したがって、石炭を装入する前に上昇管基部の温度
を低下させておくことにより乾留生成ガスの熱分解速度
を低下させ、カーボン付着量を防止することが可能であ
る。
導入した場合の上昇管基部の温度変化の例を示す。図3
において、の時点は約1200℃であるが、水を導入
すると直ちに温度の低下が起こり、炭化室に石炭を装入
する時点では1000℃近傍まで温度が低下してい
る。したがって、石炭を装入する前に上昇管基部の温度
を低下させておくことにより乾留生成ガスの熱分解速度
を低下させ、カーボン付着量を防止することが可能であ
る。
【0031】上述の方法に基づいて実機コークス炉にお
いて、微粒化した水、水蒸気または窒素ガスを、その吹
き込み条件を種々変化させて上昇管基部の温度を制御
し、カーボン付着量に対する影響を調査した。
いて、微粒化した水、水蒸気または窒素ガスを、その吹
き込み条件を種々変化させて上昇管基部の温度を制御
し、カーボン付着量に対する影響を調査した。
【0032】その結果について図5に基づいて説明す
る。図5において横軸は図3におけるの時点での上昇
管基部の温度を示し、縦軸は上昇管基部に設置した試験
片煉瓦12に単位面積当たり、乾留1回につき付着した
カーボン量を示すものであり、縦軸の値が小さいほど付
着カーボン量が少なく、本発明の効果が得られているこ
とを示す。図5から明らかなように、石炭装入前に上昇
管基部の温度を低下させることにより、カーボン付着量
が大幅に低下しており、本発明の効果が得られているこ
とがわかる。また、石炭の装入前の上昇管基部の温度
(図3におけるの時点)は、カーボン付着量を低下さ
せる観点からは1100℃以下、好ましくは900℃以
下にする必要があるが、温度の急激な変化による上昇管
基部の煉瓦の損傷を防止する観点から概ね850℃を下
限とすることが好ましい。
る。図5において横軸は図3におけるの時点での上昇
管基部の温度を示し、縦軸は上昇管基部に設置した試験
片煉瓦12に単位面積当たり、乾留1回につき付着した
カーボン量を示すものであり、縦軸の値が小さいほど付
着カーボン量が少なく、本発明の効果が得られているこ
とを示す。図5から明らかなように、石炭装入前に上昇
管基部の温度を低下させることにより、カーボン付着量
が大幅に低下しており、本発明の効果が得られているこ
とがわかる。また、石炭の装入前の上昇管基部の温度
(図3におけるの時点)は、カーボン付着量を低下さ
せる観点からは1100℃以下、好ましくは900℃以
下にする必要があるが、温度の急激な変化による上昇管
基部の煉瓦の損傷を防止する観点から概ね850℃を下
限とすることが好ましい。
【0033】なお、水を微粒化して炭化室に導入する代
わりに水蒸気や窒素などの不活性ガスを導入することも
可能である。ただし、この場合は水と違って蒸発潜熱を
奪うことがないので、その分、導入量を多くする必要が
ある。また、水蒸気や不活性ガスは原単位が高く評価さ
れているので、可能な限り水を使用するのが好ましい。
わりに水蒸気や窒素などの不活性ガスを導入することも
可能である。ただし、この場合は水と違って蒸発潜熱を
奪うことがないので、その分、導入量を多くする必要が
ある。また、水蒸気や不活性ガスは原単位が高く評価さ
れているので、可能な限り水を使用するのが好ましい。
【0034】また、水の吹き込み量については、少ない
場合には温度の低下量が小さいので、本発明の効果が小
さくなってしまう。逆に、多すぎる場合は、上昇管基部
の温度が下がりすぎることで煉瓦に悪影響を与えるなど
の理由で好ましくない。
場合には温度の低下量が小さいので、本発明の効果が小
さくなってしまう。逆に、多すぎる場合は、上昇管基部
の温度が下がりすぎることで煉瓦に悪影響を与えるなど
の理由で好ましくない。
【0035】
【発明の効果】本発明によりコークス炉において石炭を
乾留する際に上昇管基部の煉瓦表面に付着するカーボン
量を大幅に防止することが可能となり、その経済的、技
術的効果が極めて高い。
乾留する際に上昇管基部の煉瓦表面に付着するカーボン
量を大幅に防止することが可能となり、その経済的、技
術的効果が極めて高い。
【図1】 本発明において、上昇管基部に付着したカー
ボンの様子を示すための概略図である。
ボンの様子を示すための概略図である。
【図2】 本発明の実施例において、上昇管基部に水ま
たは蒸気を導入する方法を説明するための概略図であ
る。
たは蒸気を導入する方法を説明するための概略図であ
る。
【図3】 上昇管基部における温度測定例を示す図であ
る。
る。
【図4】 上昇管基部におけるカーボン付着速度の経時
変化の例を示す図である。
変化の例を示す図である。
【図5】 本発明の実施例において、上昇管基部の温度
と付着したカーボン量との関係を示す図である。
と付着したカーボン量との関係を示す図である。
1…付着カーボン、 2…上昇管基部、
3…石炭、 4…上昇管、5…
火落ち判定口、 6…熱電対、7…炉
蓋、 8…炉頂空間の乾留ガス
流れ、9…上昇管のガス流れ、 10…炉頂空
間、11…ワイヤー、 12…試験片
煉瓦、13…ノズル、 14…均し
用小蓋、15…配管、 16…水
または水蒸気。
3…石炭、 4…上昇管、5…
火落ち判定口、 6…熱電対、7…炉
蓋、 8…炉頂空間の乾留ガス
流れ、9…上昇管のガス流れ、 10…炉頂空
間、11…ワイヤー、 12…試験片
煉瓦、13…ノズル、 14…均し
用小蓋、15…配管、 16…水
または水蒸気。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭50−2701(JP,A) 特開 平6−271864(JP,A) 特開 昭52−151301(JP,A) 特開 昭50−76101(JP,A) 特開 平5−271662(JP,A) 実公 昭49−18122(JP,Y1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C10B 43/14 C10B 27/06 C10B 43/10
Claims (2)
- 【請求項1】 石炭乾留時にコークス炉上昇管基部の煉
瓦表面にカーボンが付着するのを防止する方法におい
て、乾留後に上昇管基部に微粒化した水、水蒸気または
不活性ガスを導入して上昇管基部の温度を低下させ、石
炭装入後の乾留初期に上昇管基部におけるカーボンの付
着を抑制することを特徴とするコークス炉上昇管基部の
カーボン付着防止方法。 - 【請求項2】 炭化室内に付着したカーボンを酸素含有
ガスで燃焼除去する処理が終了してから炭化室に石炭を
装入するまでの間に、コークス炉上昇管基部へ微粒化し
た水、水蒸気または不活性ガスを導入することを特徴と
する請求項1に記載のコークス炉上昇管基部のカーボン
付着防止方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP07607996A JP3241587B2 (ja) | 1996-03-29 | 1996-03-29 | コークス炉上昇管基部のカーボン付着防止方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP07607996A JP3241587B2 (ja) | 1996-03-29 | 1996-03-29 | コークス炉上昇管基部のカーボン付着防止方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09263763A JPH09263763A (ja) | 1997-10-07 |
JP3241587B2 true JP3241587B2 (ja) | 2001-12-25 |
Family
ID=13594819
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP07607996A Expired - Fee Related JP3241587B2 (ja) | 1996-03-29 | 1996-03-29 | コークス炉上昇管基部のカーボン付着防止方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP3241587B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
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KR101421802B1 (ko) * | 2012-09-24 | 2014-07-23 | 재단법인 포항산업과학연구원 | 코크스 오븐 가스 증량 방법 |
-
1996
- 1996-03-29 JP JP07607996A patent/JP3241587B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
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JPH09263763A (ja) | 1997-10-07 |
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