JP3239819U - 吸収性物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】水分量が増加しても肌にやさしいシートを備えた吸収性物品を提供すること。【解決手段】吸収性物品は、以下の条件での擦過によって摩擦係数が5%以上又は摩擦係数の平均偏差が15%以上擦過前よりも低下する領域を有するシートを肌当接面に備え、着用者の前後方向に対応する長手方向及び該長手方向と直交する幅方向を有する。〔条件〕10cm四方に切り出したコラーゲンフィルム(PRIRO社製EDCOL-R)を、イオン交換水に1分間浸漬させた後取り出し、水分を除去して乾燥重量に対して含水率が100~150質量%の湿潤コラーゲンフィルムを作製する。該コラーゲンフィルムに3.0kPaの圧力を加えて前記シートにおける長手方向に沿って10往復させる。【選択図】図2

Description

本考案は、吸収性物品に関する。
使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品においては、着用時に肌に接している表面シートを改良することによって、使用感を向上させる試みがなされている。例えば、特許文献1には、表面シートとして、スパンボンド不織布層とメルトブローン不織布層との不織布積層体を用いることが提案されている。同文献に記載の技術においては、不織布積層体のスパンボンド不織布層を肌と直接接する側に使用するとともに、スパンボンド不織布層の表面の平均摩擦係数及び摩擦係数の平均偏差を所定の範囲に設定することで、表面シートの触感を向上させている。
前記の技術とは別に、本出願人は先に、見た目の美しさを訴えつつ、着用時の肌への摩擦を抑えて使用感を向上させることを目的として、表面シートとして、二層からなる凹凸構造の積層シートを提案した(特許文献2参照)。同文献に記載の技術によれば、表面シートが柔軟であり、且つ吸収性物品の着用状態において二層間が浮き上がりにくくなるという利点がある。
特開2003-220660号公報 特開2017-104501号公報
吸収性物品の着用状態において尿などの排泄物や汗等の体液が生じると、着用者の肌の水分量が増加することがある。肌の水分量の増加は、表面シートとの間での摩擦力の増加の一因となる。そのことに起因して肌に擦れが生じることがあり、引いては肌トラブルが生じるおそれがある。しかし、特許文献1及び特許文献2では、表面シートと湿潤状態となっている肌との間での摩擦力を低減させることは検討されていない。
したがって本考案の課題は、吸収性物品の着用状態において、肌の水分量が増加しても摩擦力を低減し、肌にやさしい吸収性物品を提供することにある。
本考案は、以下の条件での擦過によって摩擦係数が5%以上又は摩擦係数の平均偏差が15%以上擦過前よりも低下する領域を有するシートを肌当接面に備え、着用者の前後方向に対応する長手方向及び該長手方向と直交する幅方向を有する吸収性物品を提供するものである。
〔条件〕
コラーゲンフィルム(PRIRO社製EDCOL-R)を、イオン交換水に浸漬させた後取り出し、水分を除去して乾燥重量に対して含水率が100~150質量%の湿潤コラーゲンフィルムを作製する。該コラーゲンフィルムに3.0kPaの圧力を加えて前記シートにおける長手方向に沿って10往復させる。
本考案によれば、吸収性物品の着用状態において、肌の水分量が増加しても摩擦力を低減できるので、肌にやさしいシートを備えた吸収性物品が提供される。
図1は、本考案の吸収性物品に用いられる表面シートの一実施形態を示す一部破断斜視図である。 図2(a)は、本考案の吸収性物品に用いられる表面シートの別の実施形態を示す擦過前の断面模式図であり、図2(b)は擦過後の断面模式図である。 図3は、図2(a)に示す表面シートの製造方法を説明する図である。 図4は、接合部の形状を判断する手法を示す図である。 図5(a)は、本考案の吸収性物品に用いられる表面シートの更に別の実施形態を示す擦過前の断面模式図であり、図5(b)は擦過後の断面模式図である。 図6は、図5(a)に示す表面シートの製造方法を説明する図である。 図7(a)は、本考案の吸収性物品に用いられる表面シートの更に別の実施形態を示す擦過前の断面模式図であり、図7(b)はまた別の実施形態を示す擦過前の断面模式図である。 図8(a)は図7(a)に示す表面シートの製造に用いられるロールの要部を示す模式図であり、図8(b)は図7(b)に示す表面シートの製造に用いられるロールの要部を示す模式図である。 図9(a)及び(b)は、図7(b)に示す表面シートにおける接合部の配置パターンをそれぞれ示す平面図である。
以下本考案を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。本考案の吸収性物品は一般に、着用者の前後方向に対応する方向、すなわち着用者の腹側から股間部を介して背側に延びる方向に相当する長手方向とこれに直交する幅方向とを有する縦長の形状をしている。そして吸収性物品は、着用者の股間部に配される股下部並びにその前後に延在する腹側部及び背側部を有する。股下部は、吸収性物品の着用時に着用者の排泄部に対向配置される排泄部対向部を有しており、該排泄部対向部は通常、吸収性物品の長手方向の中央部又はその近傍に位置している。
吸収性物品は一般に、着用者の肌対向面側に位置する表面シートと、非肌対向面側に位置する裏面シートと、両シート間に介在配置された吸収体とを備える。表面シートとしては、液透過性を有するシート、例えば不織布や穿孔フィルムなどを用いることができる。表面シートは、その肌対向面側が凹凸形状になっていてもよい。例えば表面シートの肌対向面側に、散点状に複数の凸部を形成することができる。あるいは、表面シートの肌対向面側に、一方向に延びる畝部と溝部とを交互に形成することができる。そのような目的のために、2枚以上の不織布を用いて表面シートを形成することもできる。
一方、裏面シートとしては、例えば液難透過性のフィルムやスパンボンド・メルトブローン・スパンボンド積層不織布などを用いることができる。液難透過性のフィルムに、複数の微細孔を設け、該フィルムに水蒸気透過性を付与してもよい。吸収性物品の肌触り等を一層良好にする目的で、裏面シートの外面に不織布等の風合いの良好なシートを積層してもよい。
吸収体は、吸収性コアを備えている。吸収性コアは例えばパルプを初めとするセルロース等の親水性繊維の積繊体、該親水性繊維と吸収性ポリマーとの混合積繊体、吸収性ポリマーの堆積体、2枚の吸収性シート間に吸収性ポリマーが担持された積層構造体などから構成される。吸収性コアは、少なくともその肌対向面が液透過性のコアラップシートで覆われていてもよく、肌対向面及び非肌対向面を含む表面の全域がコアラップシートで覆われていてもよい。コアラップシートとしては、例えば親水性繊維からなる薄葉紙や、液透過性を有する不織布などを用いることができる。
上述の表面シート、裏面シート及び吸収体に加え、吸収性物品の具体的な用途に応じ、肌対向面側の長手方向に沿う両側部に、長手方向に沿って延びる防漏カフが配される場合がある。防漏カフは一般に、基端部と自由端とを備えている。防漏カフは、吸収性物品の肌対向面側に基端部を有し、肌対向面側から起立している。防漏カフは、液抵抗性ないし撥水性で且つ通気性の素材から構成されている。防漏カフの自由端又はその近傍には、糸ゴム等からなる弾性部材を伸長状態で配してもよい。吸収性物品の着用状態においてこの弾性部材が収縮することによって、防漏カフが着用者の身体に向けて起立するようになり、表面シート上に排泄された液が、表面シート上を伝い吸収性物品の幅方向外方へ漏れ出すことが効果的に阻止される。
吸収性物品は更に、非肌対向面の表面に粘着剤層を有していてもよい。粘着剤層は、吸収性物品の着用状態において、該吸収性物品を、下着や別の吸収性物品に固定するために用いられる。
以上の構成を有する吸収性物品としては、例えば展開型の使い捨ておむつ、パンツ型の使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド等が挙げられるが、これらに限られない。
図1には、本考案の吸収性物品で用いられる表面シートの一例が示されている。同図に示されている表面シート2は、吸収性物品の着用前の状態のものである。「着用前」とは、後述する条件で表面シート2を擦過する前のことでもある。表面シート2は、肌当接面側シート21及び非肌当接面側シート22が複数の接合部23において互いに接合されている積層シートからなる。肌当接面側シート21は、接合部23以外の部位において非肌当接面側シート22から離れる方向に突出する凸部24を多数形成している。その結果、表面シート2の肌当接面を形成する肌当接面側シート21には、起伏のある凹凸構造が形成されている。一方、表面シート2における非肌当接面は略平坦である。
図1に示すとおり、凸部24は、肌当接面側シート21における複数の接合部23の間に位置する部分が、凸状に隆起して形成されている。凸部24は、その内部に表面シート2の形成材料が充填されておらず空間が形成されている。つまり凸部24は中空のものである。凸部24は、表面シート2の肌当接面の全域にわたって散点状に且つ規則的に配されている。隣り合う凸部24間に位置する接合部23は、凹凸構造を有する表面シート2の凹部25の底部を形成している。接合部23は一般に、重ねあわされた状態の肌当接面側シート21及び非肌当接面側シート22を、熱を伴うか又は伴わないエンボス加工することによって形成されるか、又は超音波エンボス加工することによって形成される。
このような凹凸構造の表面シート2を製造するには、例えば特開2005-111908号公報の図2に記載の装置を用いることができる。この装置においては、周面が互いに噛み合い形状となっている第1ロールと第2ロールとが、噛み合い状態で配置されている。更にこの装置は、第1ロールの周面に当接するように配置されたアンビルロールを有している。この装置を用い、肌当接面側シート21を、第1ロールと第2ロールとの間に供給して、肌当接面側シート21を凹凸形状に賦形させる。次いで、肌当接面側シート21を第1ロールの周面に保持して凹凸賦形状態を維持しつつ、非肌当接面側シート22を肌当接面側シート21に重ね合わせるように供給して両シート21,22を、第1ロールとアンビルロールとの間に通し、これらのロールで挟圧を行う。挟圧は加熱下に又は非加熱下に行うことができる。一対のロールによる挟圧によって、肌当接面側シート21と非肌当接面側シート22とが部分的に接合されて、複数の接合部23が形成される。
表面シート2は、以下の条件での擦過によって摩擦係数が5%以上又は摩擦係数の平均偏差が15%以上擦過前よりも低下する領域を有している。以下、この領域のことを「摩擦低下領域」ともいう。また、摩擦係数を「MIU」ともいい、摩擦係数の平均偏差を「MMD」ともいう。
〔条件〕
10cm四方に切り出したコラーゲンフィルム(PRIRO社製EDCOL-R)を、イオン交換水に例えば1分間浸漬させた後取り出し、水分を除去して湿潤コラーゲンフィルムを作製する。湿潤コラーゲンフィルムの含水率は、乾燥重量に対して100~150質量%とする。水分の除去は、例えば日本製紙クレシア株式会社製のキムタオルでコラーゲンフィルムの上下をはさみ、3.5kPaの荷重で1分間保持することで行う。
次いで、下面が7cm四方であり6.1kgの錘の下面に湿潤コラーゲンフィルムを貼り付ける。23℃50%R.H.の条件下で該フィルムを貼り付けた錘を、前記シートを備えた吸収性物品上に載せ、該フィルムを貼り付けた錘を該吸収性物品における長手方向に沿って3.0kPaの圧力を加えて10往復させる。該長手方向は機械方向(MD)に一致していることが好ましい。移動距離は、シートのサイズに応じて決めればよいが、5~15cmとすることが再現性の高い測定を行う観点から好ましい。吸収性物品は平坦な硬質表面上に載置しておく。錘の移動は人手で、または機械的に行うこともできるが、移動速度は2~3cm/sとすることが再現性の高い測定を行う観点から好ましい。
前記の条件での擦過は、吸収性物品の着用状態において、尿などの排泄物や汗等の体液の発生によって水分量が増加した湿潤状態の肌と、表面シート2とが擦れた場合を想定したものである。吸収性物品が、摩擦低下領域を有する表面シートを備えていることによって、該吸収性物品の着用状態において肌の水分量が増加したとしても、肌と表面シート2との摩擦力を低減でき、それに起因する肌トラブルを抑制できる。本考案では、摩擦低下領域におけるMIU及びMMDの少なくとも一方が擦過前よりも低下することが好ましく、MIU及びMMDの双方が擦過前よりも低下することが更に好ましい。
表面シート2との摩擦力の低減、肌トラブルの抑制、及び表面シート2の見た目の美しさの維持の観点から、表面シート2は摩擦低下領域を、該表面シート2における特定の位置に偏在して有しているのではなく、任意の位置に有していることが好ましい。特に表面シート2はその全域に摩擦低下領域を有していることが好ましい。この場合、摩擦低下領域は、表面シート2の全域にわたって散点状に配置されていることが好ましい。
前記の条件での擦過によりMIU5%以上又はMMDが15%以上低下するが、MIUが10%以上低下することが好ましく、MMDが30%以上低下することが湿潤下での摩擦を低減させる観点から好ましい。おむつのずれ防止の観点から、MIUは60%以下低下することが好ましく、50%以下低下することがより好ましく、MMDは70%以下低下することが好ましく、60%以下低下することが好ましい。
MIUは、その値が0に近ければ近いほど摩擦力が低いことを意味する。この観点から、摩擦低下領域のMIUは、前記条件での擦過前の値が、0.30以下であることが好ましく、0.28以下であることが更に好ましい。MIUの下限値は0.15程度である。一方、摩擦低下領域を前記条件で擦過した後のMIUは、0.27以下であることが好ましく、0.25以下であることが更に好ましい。擦過後のMIUの下限値は0.10程度である。また、摩擦低下領域の擦過の前後でのMIUの変化は、擦過前のMIUに対する擦過後のMIUの比率である〔擦過後のMIU/擦過前のMIU〕の値が0.95以下であることが好ましく、0.90以下であることが更に好ましい。
MMDに関しても、その値が0に近ければ近いほど摩擦力が低いことを意味する。この観点から、摩擦低下領域におけるMMDは、前記条件での擦過前の値が、0.015以下であることが好ましく、0.012以下であることが更に好ましい。MMDの下限値は0.005程度である。一方、前記条件での擦過後の摩擦低下領域におけるMMDは、0.010以下であることが好ましく、0.007以下であることが更に好ましい。擦過後のMMDの下限値は0.003程度である。また、摩擦低下領域の擦過の前後でのMMDの変化は、擦過前のMMDに対する擦過後のMMDの比率である〔擦過後のMMD/擦過前のMMD〕の値が0.85以下であることが好ましく、0.70以下であることが更に好ましい。
擦過前及び擦過後の表面シート2のMIU及びMMDの測定にはカトーテック株式会社製のKES-FB4表面試験機を用いる。測定は、表面シート2が吸収性物品に組み込まれた状態で行う。表面シート2の肌当接面上に試験機の接触子を当接させる。接触子によって5kPa(50gf/cm)の荷重を表面シート2に加えた状態下に、接触子を0.1cm/secの一定速度で水平面内を3cm移動させる。接触子の移動方向は吸収性物品の長手方向とする。移動領域のMIU及びMMDを3点計測し、その平均値を表面シート2のMIU及びMMDとする。
擦過後の表面シート2の湿潤コラーゲンフィルムとの摩擦が、擦過前の表面シート2と湿潤コラーゲンフィルムとの摩擦に対して、40%以上低下することが好ましく、50%以上低下することがより好ましい。湿潤コラーゲンフィルムとの摩擦は以下の条件で測定される。
〔条件〕
湿潤コラーゲンフィルムは、2.5cm四方に切り出したコラーゲンフィルム(PRIRO社製EDCOL-R)を、イオン交換水に例えば1分間浸漬させた後取り出し、水分を除去して湿潤コラーゲンフィルムを作製する。湿潤コラーゲンフィルムの含水率は、乾燥重量に対して100~150質量%とする。水分の除去は、例えば、日本製紙クレシア株式会社製のキムタオルでコラーゲンフィルムの上下をはさみ、3.5kPaの荷重で1分間保持することで行う。
製品長手方向端部から1cmのところから、10cm四方の表面シートを取り出し、シートをアクリル板に固定する。
フリクシオメーター(Frictiometer FR700、Courage+Khazaka社製)のヘッドの測定面に湿潤状態のコラーゲンフィルムを密着させて固定する。コラーゲンフィルムを固定したヘッドをプローブに取り付け、表面シート上に垂直に当て以下の条件で測定する。測定は23℃、50%R.H.の環境下で行う。
・回転速度;50rpm
・測定面積;Φ16mm(テフロン(登録商標)ヘッド)
・圧力;0.7N(3.5kPa)
・測定間隔;1秒
回転開始後10秒から30秒の間の20秒間(20点)の平均値を測定値とした。同様の測定を部位を変えて3カ所測定し、3点の平均値を乾燥コラーゲンフィルムとの摩擦(フリクシオメーター値)とする。
乾燥コラーゲンフィルムとの摩擦は、湿潤コラーゲンフィルムに替えて、湿潤させていない市販のコラーゲンフィルム(PRIRO社製EDCOL-R)を用いて行う。擦過前の表面シートに対しても同様に測定することができる。
表面シート2における摩擦低下領域を上述の条件に従い擦過することで、擦過前よりも該摩擦低下領域のMIU又はMMDが低下するようにするためには、表面シート2を構成する肌当接面側シート21と非肌当接面側シート22とが、接合部23において、上述の条件の擦過によって剥離可能になっていることが有利である。擦過によって肌当接面側シート21と非肌当接面側シート22とが剥離することで、肌当接面側シート21が非肌当接面側シート22から離間した領域が形成される。その結果、肌当接面側シート21の可動領域が増大し、摩擦に対する抵抗が低下する。また、摩擦力のばらつきが小さくなる。この摩擦力を低減するために、接合部23における肌当接面側シート21と非肌当接面側シート22との接合強度を適切に調整することが好ましい。接合強度の調整は、例えば、先に述べた特開2005-111908号公報の図2に記載の装置において、第1のロール11とアンビルロール14とによる挟圧の程度や、加熱温度をコントロールすることで達成される。具体的には、第1のロール11とアンビルロール14とによる挟圧の程度を弱くしたり、ロールの加熱温度を低めに設定したりすることで、接合部23における両シート21,22の接合を従来よりも弱くして、擦過に起因する剥離を促進させることができる。
擦過によって肌当接面側シート21と非肌当接面側シート22とを剥離させるためには、上述のとおり、接合部23の接合強度を比較的低く設定することが有利である。しかし、接合強度を過度に低く設定すると、両シート21,22が意図せず剥離してしまい、表面シート2の外観を過度に低下させてしまうおそれがある。そこで摩擦低下領域は、擦過によって10N以上のせん断力が加わることで肌当接面側シート21と非肌当接面側シート22とが剥離可能になっていることが好ましい。肌当接面側シート21と非肌当接面側シート22との意図しない剥離を一層防止する観点からは、摩擦低下領域は、18N以上のせん断力で剥離可能となっていることが更に好ましく、20N以上のせん断力で剥離可能となっていることが一層好ましい。また摩擦低下領域は、擦過によるMIU又はMMDの低下を確実に生じさせるために、27N以下のせん断力で剥離可能となっていることが好ましく、25N以下のせん断力で剥離可能となっていることが更に好ましく、23N以下のせん断力で剥離可能となっていることが一層好ましい。
上述した表面シート2のせん断力は以下に述べる方法で測定される。表面シート2から、摩擦低下領域を含む、長手方向の長さ50mm及び幅方向の長さ30mmの平面視矩形形状を切り出して試験片とする。
この操作とは別に、試験片と同形状・同寸法の粘着テープ(日東電工(株)製、商品名「No.500」)をPETフィルム((株)スター商事、商品名「スターOHPフィルム」)に重ね合わせて積層体(A)を作製する。
積層体(A)の粘着テープ上へ、試験片における非肌当接面側シート22を重ね合わせて積層体(B)を得る。1kgのローラーを積層体(B)上にて5往復させ、積層体(B)における粘着テープと試験片とを十分に接着させる。
被着片として、試験片全体を被覆可能な形状・寸法のメカニカルファスナーのオス部材(スリーエム(株)製、商品名「1600PPI」)を用意する。この被着片のフック材と、積層体(B)の肌当接面側シート21とを、1.5kPa荷重にて圧着させて測定サンプルを得る。
測定サンプルを、引張試験機((株)島津製作所製オートグラフAG-X)のチャック間に装着する。チャック間距離は150mmに設定する。この状態下に測定サンプルの180度剥離を行う。この180度剥離は、測定サンプルの長手方向一端における積層体(B)と他端における被着片とを、それぞれ引張試験機のチャックに挟んで、180度反対方向に引っ張ることで行う。引張速度は300mm/分とする。引張荷重の最大値を記録する。1枚の表面シートについて、吸収性物品における、腹側部、股下部、背側部のそれぞれの幅方向中央部、両側部の合計9カ所から測定サンプルを採取し測定する。9個の測定値の平均値を表面シートの平均せん断力とし、表面シートの平均せん断力に対し、75%未満である測定サンプルの平均値を摩擦低下領域のせん断力とする。75%未満である測定サンプルがない場合は、表面シートのせん断力を摩擦低下領域のせん断力とする。同様の測定を3枚の表面シートについて行い、3点の平均値を摩擦低下領域のせん断値とする。1枚の表面シートについて9カ所の測定サンプルを採取できない場合は、股下部、幅方向中央部のどちらかあるいは両方を除く6カ所または4カ所から採取し、その平均値を表面シートの平均せん断値とする。
図2(a)には本考案で用いられる表面シート2の別の実施形態が示されている。この表面シート2の摩擦低下領域においては、同図に示すとおり、肌当接面側シート21と非肌当接面側シート22との接合部23が、表面シート2の厚み方向断面視において、下方に凸の湾曲形状を有している。接合部23がこのような形状をしていることで、上述の条件で表面シート2を擦過したときに、接合部23の周囲において、表面シート2の構成繊維が切断可能となり、そのことに起因して肌当接面側シート21と非肌当接面側シート22とが剥離されやすくなる。特に、非肌当接面側シート22を構成する繊維が切断されやすくなる。このような態様で肌当接面側シート21と非肌当接面側シート22とが剥離すると、図2(b)に示すとおり、非肌当接面側シート22における接合部23が形成されていた位置に貫通孔22kが形成され易くなる。非肌当接面側シート22に貫通孔22kが形成されることは、表面シート2の液透過性の向上の点から有利である。
また、接合部23の周囲において表面シート2の構成繊維が切断されると、特に非肌当接面側シート22の構成繊維が切断されると、図2(b)に示すとおり、繊維22sは肌当接面側シート21に残留しやすい。その結果、肌当接面側シート21において、接合部23の剥離によって生じた部位23hは、該部位23hの周囲よりも繊維の存在密度が高くなる。そのことに起因して毛管力に勾配が生じる。その上、該部位23hは、接合部23と同様に依然として下方に凸の湾曲形状を有している。これらのことが総合的に作用して、擦過によって肌当接面側シート21と非肌当接面側シート22とが剥離した後の表面シート2は、肌当接面側シート21に存在する微小液滴の吸収性が向上したものとなる。
図2(a)に示す表面シート2を製造するには、例えば図3に示すとおり、接合部23の形状に対応するように、アンビルロール102に向かって凸の形状となった凸部101を備えるロール(図示せず)を用いればよい。この場合、アンビルロール102は、その周面のうちロールの凸部101が当接する部位が窪み部103となっている。このような形状を有する一対のロールを用いることで、下方に凸の湾曲形状を有する接合部23を首尾よく形成できる。
なお図2(a)に示す表面シート2における接合部23の形状は、接合部23の中心を通るように、該接合部23を、表面シート2の機械方向(MD)及び幅方向(CD)にそれぞれ切断し、切断面を顕微鏡観察することで決定する。MD及びCDそれぞれ10箇所の接合部23の断面について、図4に示すとおりa及びbの値を求め、b/aの値の平均値が0.05以上である場合、接合部23は、下方に凸の湾曲形状を有していると判断する。以下の図5(a)に示す接合部23についても同様の手法でその形状を判断する。
図5(a)には、本考案で用いられる表面シート2の更に別の実施形態が示されている。この表面シート2の摩擦低下領域においては、同図に示すとおり、肌当接面側シート21と非肌当接面側シート22との接合部23が、表面シート2の厚み方向断面視において、上方に凸の湾曲形状を有している。接合部23がこのような形状をしていることで、吸収性物品の着用状態において表面シート2と着用者の肌とが擦過したときに、接合部23の周囲において、表面シート2の構成繊維が切断可能となり、そのことに起因して肌当接面側シート21と非肌当接面側シート22とが剥離されやすくなる。特に、肌当接面側シート21を構成する繊維が切断されやすくなる。このような態様で肌当接面側シート21と非肌当接面側シート22とが剥離すると、図5(b)に示すとおり、肌当接面側シート21における接合部23が形成されていた位置に貫通孔21kが形成され易くなる。肌当接面側シート21に貫通孔21kが形成されることは、固形物等を含む軟便等の排泄物を、貫通孔21kを通じて容易に透過させ得る点から有利である。
また、接合部23の周囲において表面シート2の構成繊維が切断されると、特に肌当接面側シート21の構成繊維が切断されると、図5(b)に示すとおり、繊維21sは非肌当接面側シート22に残留しやすい。その結果、非肌当接面側シート22において、接合部23の剥離によって生じた部位23hは、該部位23hの周囲よりも繊維の存在密度が高くなる。そのことに起因して毛管力に勾配が生じる。それによって、肌当接面側シート21の貫通孔21kを通じて透過してきた軟便等の排泄物中に含まれる水分が、非肌当接面側シート22の前記部位23hを通じて透過しやすくなる。
図5(a)に示す表面シート2を製造するには、例えば図6に示すとおり、接合部23の形状に対応するように、先端部分が後端側に向かって窪んだ窪み部分104を有する凸部101を備えるロール(図示せず)と、アンビルロール102との組み合わせを用いればよい。このような形状を有する一対のロールを用いることで、上方に凸の湾曲形状を有する接合部23を首尾よく形成できる。
図7(a)及び(b)には、本考案で用いられる表面シート2の更に別の実施形態が示されている。これらの表面シート2の摩擦低下領域においては、同図に示すとおり、肌当接面側シート21と非肌当接面側シート22との接合部23の1個に着目したとき、表面シート2の厚み方向断面視において、当該1個の接合部23内に互いに厚みの異なる部位がある。詳細には、図7(a)に示す接合部23は、中央域23tの厚みが、周縁域23sの厚みよりも大きくなっている。図7(b)に示す接合部23は、周縁域23sの厚みが、中央域23tの厚みよりも大きくなっている。このように、1個の接合部23内に互いに厚みの異なる部位が存在していると、厚みの異なる2つの部位間において、擦過に起因する肌当接面側シート21と非肌当接面側シート22との剥離の起点となり、当該部位間において剥離が優先的に開始するようになるので有利である。特に図7(a)に示す接合部23が、吸収性物品の長手方向に沿って延びる形状をしている場合には、長手方向に沿う擦過によって、接合部23の前後端部からの剥離が生じやすいという利点がある。
図7(a)に示す形状の接合部23を形成するには、例えば図8(a)に示すとおり、接合部23の形状に対応するように、先端部分が後端側に向かって窪んだ窪み部分105を有する凸部101を備えるロール107とアンビルロール(図示せず)との組み合わせを用いればよい。一方、図7(b)に示す形状の接合部23を形成するには、例えば図8(b)に示す形状を有する凸部101を備えるロール107とアンビルロール(図示せず)との組み合わせを用いればよい。この凸部101は、ロール107の回転方向Rに沿う前後端部106,106の角を滑らかに削り、各端部106,106それぞれを、丸みを持つ形状とすればよい。
また、図7(b)に示す形状の接合部23を形成するために、該接合部23の配置状態を工夫してもよい。例えば図9(a)及び(b)に示すとおり、表面シート2を側方から視て、1つの接合部23の長手方向Xの両端部が、該接合部23の幅方向Yに隣り合う別の接合部23の長手方向Xの端部と重なるように、各接合部23を配置することが好ましい。図9(a)及び(b)に示す接合部23の配置パターンは、該接合部23を形成するために用いられるロール107(図8(a)及び(b)参照)に備えられた凸部101の配置パターンに対応している。したがって、ロール107の横断面においては、凸部101におけるロール回転方向の前後端部が、該凸部101の軸方向に隣り合う別の凸部101のロール回転方向の前後部と重なる。凸部101がこのように配置されているロール107を用いて接合部23を形成すると、凸部101のロール回転方向の前後端部によって加わる線圧が、該凸部101の中央部分によって加わる線圧よりも低くなる。その結果、厚みが相対的に小さい中央域23tと、厚みが相対的に大きい周縁域23sとを有する接合部23を容易に形成できる。
以上の各実施形態においては、吸収体として高坪量領域及び低坪量領域を有するものを用いることが有利である。高坪量領域及び低坪量領域を有する吸収体は、液を吸収するとその坪量に応じて厚みが増加する。したがって、吸液後の吸収体は、坪量に応じて着用者の肌との間での圧力に差が生じる。吸収体のうち、着用者の肌との圧力が高い部分は、表面シート2に加わる摩擦力が高いので、当該部分に対応する表面シート2の部分では、肌当接面側シート21と非肌当接面側シート22との剥離が優先的に生じる。その結果、表面シート2のMIU又はMMDを選択的に低減させることができる。
以上の各実施形態で用いられる表面シート2を構成する肌当接面側シート21及び非肌当接面側シート22としては、例えば不織布、織布及び編み地などの繊維シートや、フィルムなどを用いることができる。特に、肌触り等の観点から繊維シートを用いることが好ましく、とりわけ不織布を用いることが好ましい。肌当接面側シート21及び非肌当接面側シート22を構成するシート材料の種類は同じでもよく、あるいは異なっていてもよい。
前記不織布としては、例えばエアスルー不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、メルトブローン不織布、レジンボンド不織布、ニードルパンチ不織布などが挙げられる。これらの不織布を2種以上組み合わせた積層体や、これらの不織布とフィルム等とを組み合わせた積層体を用いることもできる。これらのなかでも、エアスルー不織布又はスパンボンド不織布を用いることが好ましい。不織布の坪量は、好ましくは10g/m以上、より好ましくは15g/m以上であり、また好ましくは40g/m以下、より好ましくは35g/m以下である。
不織布を構成する繊維としては、各種の熱可塑性樹脂からなる繊維を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ナイロン6やナイロン66などのポリアミド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸アルキルエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどが挙げられる。これらの樹脂は1種を単独で又は2種以上のブレンド物として用いることができる。また、芯鞘型やサイド・バイ・サイド型などの複合繊維の形態で用いることができる。
以上、本考案をその実施形態に基づいて説明したが、本考案は、前記実施形態に制限されることなく適宜変更が可能である。
例えば、前記実施形態は、本考案を表面シートに適用した例であったが、本考案を表面シート以外の肌当接面を形成するシートに適用することもできる。そのようなシートとしては、防漏カフを構成するシートが挙げられる。
また前記実施形態においては、擦過によってMIU又はMMDが低下するシートとして、凹凸構造を有する積層シートを例にとり説明したが、それ以外のシートを用いることもできる。
更に前記実施形態においては、擦過によってMIU又はMMDを低下させることを目的として、積層シートにおける接合部において2枚のシートを剥離させる手段を採用したが、これ以外の手段によってMIU又はMMDを低下させるようにしてもよい。
前述した本考案の実施形態に関し、更に以下の吸収性物品を開示する。
<1>
以下の条件での擦過によって摩擦係数が5%以上又は摩擦係数の平均偏差が15%以上擦過前よりも低下する領域を有するシートを肌当接面に備え、着用者の前後方向に対応する長手方向及び該長手方向と直交する幅方向を有する吸収性物品。
〔条件〕
コラーゲンフィルム(PRIRO社製EDCOL-R)を、イオン交換水に1分間浸漬させた後取り出し、水分を除去して乾燥重量に対して含水率が100~150質量%の湿潤コラーゲンフィルムを作製する。該コラーゲンフィルムに3.0kPaの圧力を加えて前記シートにおける長手方向に沿って10往復させる。
<2>
前記シートが、前記肌当接面を形成する液透過性の表面シートであり、
前記領域が、前記表面シートにおける幅方向中央部に少なくとも位置している、前記<1>に記載の吸収性物品。
<3>
前記シートは、肌当接面側シート及び非肌当接面側シートから構成され、
前記肌当節面側シート及び前記非肌当節面側シートは、複数の接合部において互いに接合されており、且つ該肌当接面側シートが、該接合部以外の部位において該非肌当接面側シートから離れる方向に突出する凸部を多数形成している凹凸構造を有する積層シートであり、
前記領域においては、前記肌当接面側シートと前記非肌当接面側シートとが前記接合部において擦過によって剥離可能になっている、前記<1>または<2>に記載の吸収性物品。
<4>
前記領域において、前記接合部は、厚み方向断面視において下方に凸の湾曲形状を有し、
前記非肌当接面側シートの構成繊維が擦過によって前記接合部の周囲において切断可能になっている、前記<3>に記載の吸収性物品。
<5>
前記領域において、前記接合部は、厚み方向断面視において上方に凸の湾曲形状を有し、
前記肌当接面側シートの構成繊維が擦過によって前記接合部の周囲において切断可能になっている、前記<3>に記載の吸収性物品。
<6>
前記領域においては、擦過によって10N以上、好ましくは18N以上、好ましくは20N以上のせん断力が加わることで前記肌当接面側シートと前記非肌当接面側シートとが剥離可能になっている、前記<3>~<5>の何れか1に記載の吸収性物品。
<7>
前記領域においては、擦過によって10~27N、好ましくは18~25N以上、好ましくは20~23Nのせん断力が加わることで前記肌当接面側シートと前記非肌当接面側シートとが剥離可能になっている、前記<3>~<6>の何れか1に記載の吸収性物品。<8>
摩擦係数又は摩擦係数の平均偏差が擦過前よりも低下する領域の擦過前の摩擦係数MIUが0.30以下、好ましくは0.27以下である、前記<1>~<7>の何れか1に記載の吸収性物品。
<9>
摩擦係数又は摩擦係数の平均偏差が擦過前よりも低下する領域の擦過後の摩擦係数MIUが0.27以下、好ましくは0.25以下である、前記<1>~<8>の何れか1に記載の吸収性物品。
<10>
摩擦係数又は摩擦係数の平均偏差が擦過前よりも低下する領域の擦過前のMIUに対する擦過後のMIUの比率である〔擦過後のMIU/擦過前のMIU〕の値が0.95以下、好ましくは0.90以下である、前記<1>~<9>の何れか1に記載の吸収性物品。<11>
前記領域において、前記接合部は、1個の接合部内に互いに厚みの異なる部位を有し、
厚みの異なる前記部位間において前記肌当接面側シートと前記非肌当接面側シートとの剥離が擦過によって開始するようになっている、前記<3>~<6>の何れか1に記載の吸収性物品。
<12>
前記領域が前記肌当接面に散点状に配置されている、前記<1>~<11>の何れか1に記載の吸収性物品。
以下、実施例により本考案を更に詳細に説明する。しかしながら本考案の範囲は、かかる実施例に制限されない。
〔実施例1〕
特開2005-111908号公報の図2に記載の装置を用い、図1に示す凹凸構造を有する積層シートを製造した。この積層シートを表面シートとして用いた。同公報に記載の装置における第1のロール11は非加熱とし、アンビルロール14は設定温度175℃に加熱した。この積層シートは、摩擦低下領域がその全域に散点状に配置されたものである。表面シートにおける肌当接面側シート21及び非肌当接面側シート22は、ポリエチレンテレフタレートを芯成分、ポリエチレンを鞘成分をする芯鞘型複合繊維からなる坪量18g/mのエアスルー不織布から構成した。
花王株式会社製の使い捨ておむつであるメリーズ(登録商標)テープタイプMサイズの表面シートに代えて、上述の表面シートを用いて展開型の使い捨ておむつを得た。このおむつの表面シートについて、上述した条件の擦過を行い、擦過の前後でのMIU及びMMDを上述の方法で測定した。その結果を以下の表1に示す。また、擦過の前後での乾燥コラーゲンフィルムに対する摩擦及び湿潤コラーゲンフィルムに対する摩擦を上述の方法で測定した。
〔比較例1〕
実施例1における積層シートの製造において、アンビルロール14の設定温度を220℃に高くした。これら以外は実施例1と同様にして積層シート及び使い捨ておむつを製造した。このおむつの表面シートについて、擦過の前後でのMIU及びMMDを上述の方法で測定した。その結果を以下の表1に示す。
Figure 0003239819000002

表1に示す結果から明らかなとおり、実施例1で得られたおむつは、比較例1で得られたおむつに比べて擦過後のMIU及びMMDが低下していることが判る。また、実施例1で得られたおむつは、擦過後に疑似肌である湿潤コラーゲンフィルムとの摩擦が低減していることが判る。
2 表面シート
21 肌当接面側シート
22 非肌当接面側シート
23 接合部
24 凸部

Claims (5)

  1. 以下の条件での擦過によって摩擦係数が5%以上又は摩擦係数の平均偏差が15%以上擦過前よりも低下する領域を有するシートを肌当接面に備え、着用者の前後方向に対応する長手方向及び該長手方向と直交する幅方向を有し、
    前記シートは、肌当接面側シートと非肌当接面側シートとを有する液透過性の表面シートであり、
    前記肌当接面側シート及び前記非肌当接面側シートは、複数の接合部において互いに接合されており、且つ該肌当接面側シートが、該接合部以外の部位において該非肌当接面側シートから離れる方向に突出する凸部を多数形成している凹凸構造を有する積層シートであり、
    前記領域においては、前記肌当接面側シートと前記非肌当接面側シートとが前記接合部において擦過によって剥離可能になっており、
    前記領域において、前記接合部は、厚み方向断面視において下方に凸の湾曲形状を有し、
    前記肌当接面側シートの構成繊維が擦過によって前記接合部の周囲において切断可能になっており、
    前記領域は擦過によって10N以上のせん断が加わることで前記肌当接面側シートと前記非肌当接面側シートとが剥離可能になっている吸収性物品。
    〔条件〕
    コラーゲンフィルム(PRIRO社製EDCOL-R)を、イオン交換水に1分間浸漬させた後取り出し、水分を除去して乾燥重量に対して含水率が100~150質量%の湿潤コラーゲンフィルムを作製する。該コラーゲンフィルムに3.0kPaの圧力を加えて前記シートにおける長手方向に沿って10往復させる。
  2. 以下の条件での擦過によって摩擦係数が5%以上又は摩擦係数の平均偏差が15%以上擦過前よりも低下する領域を有するシートを肌当接面に備え、着用者の前後方向に対応する長手方向及び該長手方向と直交する幅方向を有し、
    前記シートは、肌当接面側シートと非肌当接面側シートとを有する液透過性の表面シートであり、
    前記肌当接面側シート及び前記非肌当接面側シートは、複数の接合部において互いに接合されており、且つ該肌当接面側シートが、該接合部以外の部位において該非肌当接面側シートから離れる方向に突出する凸部を多数形成している凹凸構造を有する積層シートであり、
    前記領域においては、前記肌当接面側シートと前記非肌当接面側シートとが前記接合部において擦過によって剥離可能になっており、
    前記領域において、前記接合部は、厚み方向断面視において上方に凸の湾曲形状を有し、
    前記肌当接面側シートの構成繊維が擦過によって前記接合部の周囲において切断可能になっており、
    前記領域は擦過によって10N以上のせん断が加わることで前記肌当接面側シートと前記非肌当接面側シートとが剥離可能になっている吸収性物品。
    〔条件〕
    コラーゲンフィルム(PRIRO社製EDCOL-R)を、イオン交換水に1分間浸漬させた後取り出し、水分を除去して乾燥重量に対して含水率が100~150質量%の湿潤コラーゲンフィルムを作製する。該コラーゲンフィルムに3.0kPaの圧力を加えて前記シートにおける長手方向に沿って10往復させる。
  3. 前記領域が、前記表面シートにおける幅方向中央部に少なくとも位置している、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
  4. 前記領域において、前記接合部は、1個の接合部内に厚みの異なる部位を有している、請求項1~3の何れか1項に記載の吸収性物品。
  5. 前記領域が前記肌当接面に散点状に配置されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
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