JP3239536B2 - 高圧放電灯用口金及びその製造方法 - Google Patents

高圧放電灯用口金及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は複数の発光管を内蔵した
高圧放電灯に用いる口金の改良に関し、特に、複数の発
光管を交互に切り替え点灯可能にした放電灯用口金及び
その製造方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】複数の発光管を外球内に機械的かつ電気
的に支持してなる高圧放電灯は1本のランプで種々のラ
ンプ特性が得られるので、異種の発光管を内蔵した混光
照明用光源あるいは同種の発光管を内蔵した長寿命用光
源として提案されている。また、複数の発光管のうち第
1の発光管として、高圧ナトリウムランプとしての透光
性セラミック管を、第2として高圧水銀灯用石英発光管
を用いて高圧放電灯を構成し、季節の変化等に応じて発
光管を切り替え点灯可能とすることにより、ランプの色
特性を変更して景観照明における演出照明を効果的に行
なうことが試みられている。
【0003】一般に高圧放電灯の口金は照明器具のソケ
ットの受金に螺合するように、円筒状で螺子部を形成し
た金属シェル部と該底部に絶縁体を介して形成したアイ
レット部とよりなるいわゆるスクリューベース型の口金
が用いられている。しかし、複数の発光管を交互に切り
替え点灯可能にするようにした放電灯の口金として、ス
クリューベース型の口金を用いる場合、必要に応じて発
光管の切り替えを行ない得るように接点を3接点以上形
成することは製造上困難であるばかりでなく構造が複雑
となる。又、複数の発光管を交互に切り替え点灯可能と
するために、放電灯製造の際に異種の発光管の共通の外
部導入線及び各々の外部導入線を口金の所定の接点に正
確に接続する必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、先に本件出願
人は、交互に切り替え点灯可能な複数の発光管を有する
高圧放電灯用口金として、円筒状金属シェル部の側面に
突出する3本のピンとその底部に複数のアイレット部を
形成してなり該3本のピンの突出位置を断面円形方向に
おいて不等角に設定することを特徴とする口金を提案し
ている。この口金を外球端部封止部である口金螺合部に
取付ける場合、螺子部に形成した縦溝に口金の金属シェ
ル部の側面の内側に突出した突起部を挿通し回転させ、
嵌合し接着剤を介して固定している。そして、製造及び
使用の際にも誤って取付けることがなく取扱いが容易で
ある等の利点を有する。
【0005】又、口金の製造方法として、外球の端部封
止部に口金螺合部と縦溝とを形成し該口金螺合部の凹部
に接着剤を付着する工程と、金属シェル部側面の内側に
突出した突起部の周面に付着した接着剤とその側面に突
出する3本のピン及び底部に複数のアイレット部を有す
る口金を外球の端部封止部の縦溝に前記突起部を挿入す
る工程と、口金を突起部が口金螺合部に沿って螺合する
位置まで回転して嵌合する工程と、外球の端部を加熱し
て口金を固定している。そして、口金の取付けが容易か
つ強固である等の利点がある。
【0006】そして、前記構造及びその製造方法による
と、口金螺合部に口金突起部を嵌合させる場合、口金の
回転を螺子部に沿って止まるまで嵌合させ接着剤を用い
て固定することにより接着力が大きい口金が得られる。
しかし、外球端部の口金螺合部の成型のバラツキにより
口金の回転距離が変化しあらかじめ設定していた口金の
受金への嵌合用ピンと複数の発光管との位置関係がずれ
ることがあり、各ランプの配光特性、温度特性等のバラ
ツキが生じることとなる。
【0007】又、口金と口金螺合部の接着強度は、使用
する接着剤の接着力によるところが大きく、これは接着
剤充填時の条件により左右される。この条件は接着剤の
充填量、焼き付け時の接着剤温度、粘度、あるいは鮮度
等である。そして、接着剤はランプ点灯中の熱により劣
化が生じランプ寿命末期には初期より接着力が落ちるた
め、ランプ交換の際のソケット受金からの取外し時に口
金だけが受金に残ってしまうことがある。
【0008】更に、前記放電灯は発光管よりの外部導入
線(リード線)が3本以上外部に導出されることとな
り、外球端部封止部に口金を螺合するために回転させる
必要があるが、リード線が捩じれないようにして嵌合す
る必要があり注意を要する。又、封止部のガラスと金属
シェル部は接着剤を用いているとはいえ、取付け時のバ
ラツキによりガタが生じることがあり、歩留りが低下す
る。
【0009】本発明は前記に鑑みてなされたもので、複
数の発光管を有する高圧放電灯の口金として最適であ
り、外球成型時のバラツキ等により口金の接着強度が低
下することがなく、ランプ特性に影響を与えることがな
いばかりか、長期間にわたって強固である放電灯用口金
を提供することを目的とする。又、その取扱いが容易で
量産向きであり、歩留まりが良好である高圧放電灯用口
金の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
め、本発明は、外球の内部に複数の発光管を支持し、こ
れらの発光管の一端は共通のリード線により、又各発光
管の他端は夫々のリード線により外球端部に固定した口
金に電気的に接続してなる高圧放電灯において、外球端
部に固定した口金は、外球の端部封止部の外周に少なく
とも凹部を形成し、端部封止部に凹部に嵌合する凸部を
形成した複数の舌片を有する環状の内ベースを嵌装しか
つこれに発光管の共通のリード線を接続してなり、内ベ
ースの外側に円筒状の金属シェル部の側面に複数のピン
を設けその底部に複数のアイレット部を形成した外ベー
スを嵌合しかつアイレット部に各発光管の夫々のリード
線を接続すると共に、外ベースの側面の複数個所をカシ
メ付けすることを特徴とする。又、本発明は、外球の端
部封止部の外周に複数の縦溝及び凹部を形成し、該端部
封止部に内ベース及び外ベースを順次嵌合しかつ発光管
のリード線を接続すると共に、外ベースの側面の複数個
所をカシメ付けした後、縦溝に接着剤を充填して構成す
る。更に、本発明は、外球内に複数の発光管を収納しそ
の端部を封止する際、端部封止部の外周に少なくとも凹
部を形成すると共に該発光管の共通のリード線と各発光
管の夫々のリード線を外部に導出する工程と、該外球内
を排気する工程と、端部封止部の凹部に複数の舌片の凸
部が嵌合するように環状の内ベースを嵌装する工程と、
内ベースの一部に発光管の共通のリード線を接続する工
程と、内ベースに円筒状の金属シェル部の側面に複数の
ピンを設けその底部に複数のアイレット部を形成した外
ベースを嵌合する工程と、外ベースのアイレット部に発
光管の夫々のリード線を接続する工程と、外ベースの側
面の複数個所をカシメ付けする工程よりなる。更に又、
本発明は、外球内に複数の発光管を収納しその端部を封
止する際、端部封止部の外周に複数の縦溝及び凹部を形
成すると共に該発光管の共通のリード線と各発光管の夫
々のリード線を外部に導出する工程と、外球内を排気す
る工程と、端部封止部の凹部に複数の舌片の凸部が嵌合
するように環状の内ベースを嵌装する工程と、内ベース
の一部に発光管の共通のリード線を接続する工程と、内
ベースに円筒状の金属シェル部の側面に複数のピンを設
けその底部に複数のアイレット部を形成した外ベースを
嵌合する工程と、外ベースのアイレット部に発光管の夫
々のリード線を接続する工程と、外ベースの側面の複数
個所をカシメ付けする工程と、端部封止部の縦溝に接着
剤を充填し加熱して口金を固定する工程よりなる。
【0011】
【作用】前記構成により、内ベースと外ベースよりなる
2重構造のメカニカルベースの口金を外球端部封止部に
嵌合し、カシメ付けることにより長期間にわたり必要な
接着強度を保持できる。又、接着剤充填により接着力の
強化を計り、口金のガタが生じることなく強固に固定で
き、かつ長期間にわたって口金にガタが生じたり脱落す
ることはない。更に、メカニカルベースを用いることに
より内ベースへの共通リード線及び外ベースへの各々の
リード線の接続が容易となり、かつ捩じり作業がないの
で、口金ピンと複数の発光管の位置決めを容易に行なう
ことができる。そして、各々の発光管リード線の口金へ
の接続が容易となり、工程の自動化が容易となり量産向
きである。
【0012】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づき説明す
る。図1は高圧放電灯の外球の一例を示し、硬質ガラス
よりなる外球1の内部には、高圧ナトリウムランプ用の
第1の発光管2と高圧水銀ランプ用の第2の発光管3が
発光管マウント構体を介して機械的、電気的に支持され
ている。又、発光管2の一端からリード線4が他端から
共通リード線5が外球端部まで導出され、かつ発光管3
の一端からリード線6が他端から共通リード線5が外球
端部まで導出されている。そして、外球端部封止部7の
外周には管軸方向に沿う複数の縦溝8と、複数の凹部9
が一体的に形成してある。
【0013】図2(a),(b),(c)は、外球端部
封止部7と、内ベース20及び外ベース30よりなる3
ピン形の口金10を示し、封止部7の外周には封止部の
成形機によりほぼ同一角度の円周上に3個の縦溝8を、
かつ同じく3個の凹部9を形成している。環状の金属製
内ベース20はリング状本体21の封止部に嵌装する側
の端部に3個の舌片22を突出し、かつ舌片22に嵌合
用の凸部23を内側に向かって一体的に成形している。
又、リング状本体21の舌片とは反対側にリード線接続
用の立上り片24を設けている。円筒状の外ベース30
は、金属シェル部31の底部にガラス等の絶縁体32を
介して2個のアイレット部33a,33bが形成されて
いる。又、金属シェル部の外側面には3本のピン34
a,34b,34cが円周方向において各々が所定の角
度をもって突出している。そして、外球端部封止部に7
に内ベース20及び外ベース30を順次嵌合して口金1
0を外球の端部に固定する。
【0014】又、アイレット部には各発光管のリード線
が絶縁体のリード挿通孔を通してその端面に導出され溶
接し接点部としている。更に、少なくとも2本のピンの
突出位置を不等角にすることにより、ソケットの受金に
ランプを取付ける場合、各接点位置を間違うことなく正
確に取付けることができるばかりでなく、口金を捩じり
込むことなく受金に挿入し所定角度で回転することによ
り強固に取付けることができる。
【0015】図3に基づき、前記口金の製造方法につい
て説明する。まず、外球1内に2本の発光管2,3を収
納しその端部を封止して発光管の共通のリード線5と各
発光管の夫々のリード線4,6を外部に導出するととも
に外球端部封止部7の外周に3個の縦溝8及び凹部9を
形成した外球を用意する。又、凸部23を有する舌片2
2を突出した環状の内ベース20及び円筒状の金属シェ
ル部31の外側面に3本のピンを設けその底部に2個の
アイレット部33を形成した外ベース30を用意する。
(図3(a)) 次に、外球端部封止部7の凹部9に内ベース20の舌片
22の凸部23を嵌合して該封止部に内ベースを嵌装す
る。そして、内ベースの本体21に形成した立上り片2
4に発光管2,3の共通のリード線5の端部を溶接によ
り接続する。(図3(b)) 次いで、内ベース20に円筒状の外ベース30を嵌合す
る。その後、発光管2,3の夫々のリード線4,6は絶
縁体32の挿通孔を通してアイレット部の外部に導出
し、その先端部を端面に溶接して接点部を構成する。そ
して、内ベース20と外ベース30よりなる口金10の
金属シェル部の外側面の複数個所をカシメ付け11して
両者を密着して固定する。更に、外球端部封止部7の縦
溝8に接着剤12を充填し、その接続部を加熱ヒータ等
により加熱して口金を固定する。(図3(c))
【0016】次に、本願発明に係る高圧放電灯用口金の
強度試験結果について、参考例と共に表1に示す。 表1から明らかなように、本発明に係る口金は製造初期
に捩じりモニュメント5Nmで試料20本中ガタが生じ
るものはなく1本もない。又、ランプ寿命末期である1
0,000時間経過後でも、捩じりモニュメントが3N
m,2Nm,1.5Nmでも試料20本中ガタが生じる
ものはなかった。これに対して、参考例では10,00
0時間後、捩じりモニュメントが3Nmでは20本中3
本、捩じりモニュメントが2Nmでは20本中1本につ
いて口金にガタが生じ脱落の恐れがある。
【0017】なお、前記実施例では外球端部封止部に縦
溝及び凹部を形成しているが、接着剤用の縦溝を形成せ
ず、端部封止部への固定は口金のカシメ付けだけでもよ
い。又、外球端部封止部に縦溝を形成する場合縦溝は1
個以上であればよく、嵌合凹部及び対応する内ベースの
舌片の凸部は2個以上であればよく、更に、口金外側面
のカシメ部は2個以上であれば実用上の口金接着強度は
確保できる。更に、接着剤の代りに半田付けしたり、熱
硬化樹脂等を注入してもよい。又、口金に接着剤注入用
の穴を形成しノズル等で充填溝等に注入して固定しても
よい。そして、外球内に収納する発光管は2本の場合に
ついて3本以上でも実施可能である。又、外ベースのピ
ンは3本以上でもよい。
【0018】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
は複数の発光管を有する高圧放電灯用口金として、新規
でかつ製造後及び長時間点灯後も口金の接着強度が低下
することがなく強固であり、ランプ特性に影響を与える
ことがない等の利点がある。又、高圧放電灯用口金の製
造方法として、その取扱いが容易で量産向きであり、歩
留まりが良好で作業性がよい等の利点を有する。更に、
ランプの照明器具への取付けの際誤使用がなく、取扱い
が容易であるばかりでなく安全である等その産業上の利
用価値は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る高圧放電灯の外球を示す側面図で
ある。
【図2】同じく外球端部封止部、内ベース及び外ベース
よりなる口金の平面図及び側面図である。
【図3】本発明に係る高圧放電灯用口金の製造方法を示
す説明図である。
【符号の説明】
1 外球 2,3 発光管 4,5,6 リード線 7 外球端部封止部 8 縦溝 9 凹部 10 口金 20 内ベース 30 外ベース
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 五十嵐 正彦 埼玉県行田市壱里山町1−1 岩崎電気 株式会社 埼玉製作所内 審査官 小島 寛史 (56)参考文献 特開 昭51−70984(JP,A) 特開 昭55−47250(JP,A) 実公 昭48−18507(JP,Y1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 61/92 H01J 9/34 H01J 5/50

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外球の内部に複数の発光管を支持し、こ
    れらの発光管の一端は共通のリード線により、又、各発
    光管の他端は夫々のリード線により外球端部に固定した
    口金に電気的に接続してなる高圧放電灯において、 前記外球端部に固定した口金は、外球の端部封止部の外
    周に少なくとも凹部を形成し、前記端部封止部に、前記
    凹部に嵌合する凸部を形成した複数の舌片を有する環状
    の内ベースを嵌装しかつこれに発光管の共通のリード線
    を接続してなり、前記内ベースの外側に、円筒状の金属
    シェル部の側面に複数のピンを設けその底部に複数のア
    イレット部を形成した外ベースを嵌合しかつアイレット
    部に各発光管の夫々のリード線を接続すると共に、外ベ
    ースの側面の複数個所をカシメ付けしてなる高圧放電灯
    用口金。
  2. 【請求項2】 前記外球の端部封止部の外周に複数の縦
    溝及び凹部を形成し、該端部封止部に内ベース及び外ベ
    ースを順次嵌合しかつ発光管のリード線を接続すると共
    に、外ベースの側面の複数個所をカシメ付けした後、前
    記縦溝に接着剤を充填してなる請求項1記載の高圧放電
    灯用口金。
  3. 【請求項3】 外球内に複数の発光管を収納しその端部
    を封止する際、該端部封止部の外周に少なくとも凹部を
    形成すると共に該発光管の共通のリード線と各発光管の
    夫々のリード線を外部に導出する工程と、該外球内を排
    気する工程と、前記端部封止部の凹部に複数の舌片の凸
    部が嵌合するように環状の内ベースを嵌装する工程と、
    前記内ベースの一部に前記発光管の共通のリード線を接
    続する工程と、前記内ベースに円筒状の金属シェル部の
    側面に複数のピンを設けその底部に複数のアイレット部
    を形成した外ベースを嵌合する工程と、外ベースのアイ
    レット部に前記発光管の夫々のリード線を接続する工程
    と、外ベースの側面の複数個所をカシメ付けする工程よ
    りなる高圧放電灯用口金の製造方法。
  4. 【請求項4】 外球内に複数の発光管を収納しその端部
    を封止する際、該端部封止部の外周に複数の縦溝及び凹
    部を形成すると共に該発光管の共通のリード線と各発光
    管の夫々のリード線を外部に導出する工程と、該外球内
    を排気する工程と、前記端部封止部の凹部に複数の舌片
    の凸部が嵌合するように環状の内ベースを嵌装する工程
    と、前記内ベースの一部に前記発光管の共通のリード線
    を接続する工程と、前記内ベースに円筒状の金属シェル
    部の側面に複数のピンを設けその底部に複数のアイレッ
    ト部を形成した外ベースを嵌合する工程と、外ベースの
    アイレット部に前記発光管の夫々のリード線を接続する
    工程と、外ベースの側面の複数個所をカシメ付けする工
    程と、前記端部封止部の縦溝に接着剤を充填し加熱して
    口金を固定する工程よりなる高圧放電灯用口金の製造方
    法。
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