JP3239441B2 - 画像形成装置 - Google Patents

画像形成装置

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JP3239441B2
JP3239441B2 JP13774492A JP13774492A JP3239441B2 JP 3239441 B2 JP3239441 B2 JP 3239441B2 JP 13774492 A JP13774492 A JP 13774492A JP 13774492 A JP13774492 A JP 13774492A JP 3239441 B2 JP3239441 B2 JP 3239441B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真装置(静電複
写機)・同プリンター等のように、像担持体としての被
帯電体にこれを帯電処理(除電処理も含む)する工程を
含む作像プロセスを適用して画像形成物(コピー,プリ
ント)を出力する画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電子写真・静電記録等の作像プロ
セスにおいて、像担持体としての被帯電体である電子写
真感光体・静電記録誘電体等の帯電処理手段(帯電装
置)としては、コロナ帯電器が使用されてきた。
【0003】近年は、これに変わって、接触帯電装置が
実用化されてきている。これは、オゾンレス,低電力等
を目的としており、この中でも特に帯電部材として導電
ローラを用いたローラ帯電方式が帯電の安定性という点
から好ましく用いられている。ローラ帯電では、導電性
の弾性ローラ(帯電ローラ)を被帯電体に加圧当接さ
せ、これに高電圧を印加することによって被帯電体の帯
電を行う。
【0004】具体的には、帯電は接触帯電部材から被帯
電体への放電によって行われるため、ある閾値電圧以上
の電圧を印加することによって帯電が開始される。この
電圧を帯電開始電圧Vthと称する。
【0005】例を示すと、被帯電体としての、厚さ25
μmのOPC感光体(層)に対して帯電ローラを加圧当
接させた場合には、約640V以上の電圧を印加すれば
感光体の表面電位が上昇し始め、それ以降は印加電圧に
対して傾き1で線形に感光体表面電位が増加する。
【0006】以上のことから、電子写真に必要とされる
所望の感光体表面電位VDを得るためには帯電ローラに
はVD+VthのDC電圧(直流電圧)を印加すれば良い
ことになる。このようにしてDC電圧のみを接触帯電部
材に印加して帯電を行う方法を以下「接触DC帯電」と
称する。
【0007】しかし、接触DC帯電においては環境変動
によって接触帯電部材の抵抗値が変動するため、また感
光体(感光層)が削れることによって膜厚が変化する
と、帯電開始電圧Vthの値が変動するため、感光体の表
面電位を所望の値VDにすることが難しかった。
【0008】このため、更なる帯電の均一化を図るため
に特開昭63−149669号公報に開示されるよう
に、所望の感光体表面電位VDに相当するDC電圧に2
×Vth以上のピーク間電圧を持つAC成分を重畳した振
動電圧(時間と共に電圧値が周期的変化する電圧)を接
触帯電部材に印加する帯電方式(以下「接触AC帯電」
と称す)が用いられる。これは、AC成分による電位の
ならし効果を目的としたものであり、被帯電体の電位は
AC電位のピークの中央であるVDに収束し、環境等の
外乱に影響される事はない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】(A)電子写真に用い
られる感光体には、ZnO,CdS,Se,a−Si等
の無機材料を用いたもの、また近年は有機材料(OP
C)を用いたものが多く実用化されているが、どれも使
用環境、光露光の蓄積、感光体削れ等の要因によって感
度が変化してしまうという問題があった。また、同じ材
料を用いても感光体の製造時のばらつき等が存在するた
め、露光部電位VLを一定に保つ事が困難であった。
【0010】レーザビームを用いた電子写真装置、特に
プリンターにおいてこのような感光体感度の変化がある
と、画像濃度が一定しない、ライン幅が変化してフォン
ト(字体)が汚くなる等の問題点が発生してしまう。
【0011】これを防止するために従来は感光体表面電
位を測定する手段を設ける等の方法が用いられてきた
が、これはコストの上昇を招く、スペースを余分にとる
ため低価格機,小型機への適応が難しかった。
【0012】また、従来は感光体の製造時のばらつきを
補正するために、あらかじめ感光ドラムの感度を測定
し、それぞれに合った露光量になるように装置を調整す
る方法や、またカートリッジ方式の場合にはドラム感度
を示すいわゆる「感度コマ」をそれぞれのカートリッジ
に装着し、プリンター等の本体はその感度コマを読み取
って最適な露光量を調節する等の方法をとっていたが、
これも構造の複雑化,コストの上昇を招く結果となって
いた。
【0013】(B)接触AC帯電・接触DC帯電の何れ
においても、耐久通紙によって感光体が削れ、厚みが減
少すると次に述べるような問題が発生してくる。
【0014】感光体表面を一定電位VDに帯電するため
に必要な電荷量Qは、感光体の静電容量Cによって決定
され、この電荷量は感光体の厚みdに対して反比例す
る。
【0015】従って、削れた感光ドラムを同じ電位VD
にまで帯電するためには初期より多い電荷(帯電電流)
が必要な事になる。
【0016】しかし、帯電電流が大きくなると接触帯電
部材のインピーダンスによる電圧降下が顕著になってく
る。
【0017】一般的に帯電ローラは、感光体にピンホー
ルが生じた場合にここに帯電電流が集中する事を防ぐた
めに抵抗層を有しており、ローラ抵抗として105〜1
06Ωのインピーダンス値を持っている。また、低温低
湿環境等で耐久通紙を行うと更にローラ抵抗が上昇する
事と、感光体の削れによる帯電電流の増加が合わさる
と、電位VDの降下量が100〜200Vにもなり、画
像カブリを生じる事がある。
【0018】以上の事から、良好な画像を得るためには
感光体の厚みは15μm程度以上必要であり、これ以上
の削れを生じた場合には安定した画像を保証する事がで
きず、感光体の寿命を越したと考えられることができ
る。
【0019】しかし従来、感光体の厚みを直接知る手段
として有効なものは少なく、感光体ドラムの通算回転数
をカウントし、間接的に削れ量を算出する他には良い方
法がなく、この方法も使用環境、クリーニング装置の状
態等で削れ量は変化するため信頼性にかけるものであっ
た。
【0020】(C)また、コロナ帯電器で感光体を帯電
する際に流れるDC電流から感光体の状況(感光体膜
厚、露光の履歴等)を検知する方法も特開平4−570
68号公報等で開示されているが、これらは帯電装置と
してコロナ帯電器を用いているため感光体からアースへ
流れ込む電流を測定するものであり、この場合、感光体
からアースに流れる電流は帯電に寄与したものばかりで
なく、シールド電流や、現像手段,転写手段等から感光
体へ流れ込む電流も同時に測定してしまうという欠点を
持っていた。
【0021】また、感光体上のトナーがクリーニングさ
れる際には、感光体の導電層が保持していたトナーの電
荷に対応する電流もアースに逃げるため、この電流によ
る誤差も避けられないものであった。
【0022】コロナ帯電器でこれらの問題を解決するた
めには、実際に帯電に付与するDC電流のみを精度良く
検知するために帯電電流以外の電流分は除く必要があ
り、スコロトロン帯電器のワイヤ電流からシールド電流
・グリッド電流等を減じた電流を測定しなければなら
ず、誤差を生じやすい、構成が複雑になる等の問題があ
った。
【0023】本発明は上述(A)乃至(C)のような問
題点を解消することを目的としている。
【0024】
【課題を解決するための手段】本発明は下記の構成を特
徴とする画像形成装置である。
【0025】(1)感光体と、感光体と接触し直流成分
と交流成分が重畳した電圧が印加される帯電部材と、帯
電部材により帯電された感光体を、デジタル画素信号に
対応して変調した光により選択的に除電することで静電
潜像を形成する露光手段と、静電潜像を現像する現像手
段と、感光体上の現像像を転写材に転写する転写手段
と、を有し、帯電部材は転写後電位を除去されていない
感光体を帯電する画像形成装置において、前記帯電手段
により表面を電位VDに帯電した感光体に前記露光手段
による露光で除電された露光部電位VL部を帯電部材に
より所定電位V1に帯電させるときに帯電部材に流れる
直流電流IDCを測定し、この測定値を元に電位VLを検
知することを特徴とする画像形成装置。
【0026】(2)電流IDCの測定は、接触帯電部材に
電力を供給する電源に対して直接流入あるいは流出する
電流で行なわれることを特徴とする(1)に記載の画像
形成装置。
【0027】(3)検知した露光部電位VLを基にして
露光手段の条件を制御することを特徴とする(1)に記
載の画像形成装置。
【0028】(4)露光手段の制御対象が光量(光強
度)であることを特徴とする(2)に記載の画像形成装
置。
【0029】(5)あらかじめ接触帯電部材によって
光体の表面電位を電位V2から電位V3に変化させると
きに流れる直流電流IDC′を測定することによって感光
の膜厚dを検知し、これに基づいて露光部電位VL
検知することを特徴とする(1)に記載の画像形成装
置。
【0030】(6)接触帯電部材に印加する電圧が、所
望する感光体の電位に相当する直流成分と、感光体の帯
電開始電圧Vthの2倍以上のピーク間電圧を持つ交流成
分を重畳したものであることを特徴とする(1)に記載
の画像形成装置。
【0031】(7)接触帯電部材に印加する電圧の直流
成分を電圧V2と電圧V3に切り換える手段を有するこ
とを特徴とする(5)に記載の画像形成装置。
【0032】(8)電圧V1=0であることを特徴とす
(1)に記載の画像形成装置。
【0033】(9)接触帯電部材がローラ形状を成して
いることを特徴とする(1)に記載の画像形成装置。
【0034】(10)感光体と、感光体と接触し直流成
分と交流成分が重畳した電圧が印加される帯電部材と、
帯電部材により帯電された感光体を、デジタル画素信号
に対応して変調した光により選択的に除電することで静
電潜像を形成する露光手段と、静電潜像を現像する現像
手段と、感光体上の現像像を転写材に転写する転写手段
と、を有し、帯電部材は転写後電位を除去されていない
感光体を帯電する画像形成装置において、前記帯電手段
により表面を電位VDに帯電した感光体に前記露光手段
による露光で除電された露光部電位VL部を帯電部材に
より所定電位V1に帯電させるときに帯電部材に流れる
直流電流IDCを測定し、この測定値に応じて作像プロセ
ス条件を制御することを特徴とする画像形成装置。
【0035】(11)電流IDCの測定は、接触帯電部材
に電力を供給する電源に対して直接流入あるいは流出す
る電流で行なわれることを特徴とする(10)に記載の
画像形成装置。
【0036】(12)作像プロセス条件の変化対象が現
像バイアス条件であることを特徴とする(10)に記載
の画像形成装置。
【0037】(13)作像プロセス条件の変化対象が帯
電バイアスであることを特徴とする(10)に記載の画
像形成装置。
【0038】(14)電位V1=0であることを特徴と
する(10)に記載の画像形成装置。
【0039】(15)像担持体としての被帯電体に帯電
処理工程を含む作像プロセスを適用して画像形成物を出
力させる画像形成装置において、表面が電位VDに帯電
された被帯電体に、デジタル画素信号に対応して変調し
た光により選択的に除電することで静電潜像を形成する
露光手段による露光で除電された露光部電位VLを接触
帯電を行なうことによって電位V1にまで帯電させる時
に接触帯電部材に流れる直流電流IDCを測定し、これを
基にして電位VLを検知する手段と、被帯電体に形成さ
れた画像を転写材に転写する転写手段とを有し、前記直
流電流IDC測定時は、前記被帯電体露光部電位VLの転
写部通過前後の電位変動が略0Vであるように前記転写
手段を制御することを特徴とする画像形成装置。
【0040】(16)電流IDCの測定は、接触帯電部材
に電力を供給する電源に対して直流流入あるいは流出す
る電流で行なわれることを特徴とする(15)に記載の
画像形成装置。
【0041】(17)転写手段の転写部材が被帯電体に
接触していることを特徴とする(15)に記載の画像形
成装置。
【0042】(18)露光部電位VL検知時は、転写手
段に印加する電圧を帯電された被帯電体表面電位VD
0Vの間に制御することを特徴とする(15)に記載の
画像形成装置。
【0043】(19)露光部電位VL検知時に電気回路
上で転写部材を電気的にフロートにすることを特徴とす
る(17)に記載の画像形成装置。
【0044】(20)露光部電位VL検知時には転写部
材を被帯電体表面から物理的に離し接触させないことを
特徴とする(17)に記載の画像形成装置。
【0045】(21)転写手段がコロナ放電を利用した
手段であることを特徴とする(15)に記載の画像形成
装置。
【0046】(22)露光部電位VL検知時には転写バ
イアスを0Vにすることを特徴とする(17)に記載の
画像形成装置。
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
【作用】.接触帯電方式では接触帯電部材に流れる電
流はコロナ帯電器と違って全て被帯電体としての感光体
に供給されるから、この電流を検出することにより感光
体の状況検知、例えば感光体の厚み検知、感光体の露光
部電位VLの検知が可能である。
【0066】これは、接触帯電部材によって感光体の表
面電位をVcontrastだけ変化させた時に流れる帯電DC
電流IDCを測定することによって、これと反比例する感
光体の膜厚等を検知する手法であり、先に述べたように
接触AC帯電を用いた場合、感光体表面電位を常に所望
の電位VDに収束させることができるため、Vcontrast
を環境等によらず一定に保つことができ、特に有利であ
る。
【0067】これについて今少し説明すると、感光体の
状況の検知のための測定原理は、感光体の電位をある量
(Vcontrast)だけ変化させた時に、接触帯電部材に流
れる直流電流量を測定することにより求められる。
【0068】感光体表面電位をVcontrast変化させる時
に必要なDC電流を論理的に計算すると以下のようにな
る。
【0069】感光体の厚みを d、 比誘電率を ε、 真空中の誘電率を ε0、 接触帯電部材の有効帯電幅を L、 プロセススピードを Vp とし、感光体表面電位をVcontrast変化させる時に、以
下の関係式が導かれる。ここで、Cは帯電処理を受ける
感光体の静電容量を表している。
【0070】 帯電電荷量:Q=∫I・dt=C・Vcontrast →帯電電流:I=d/dt(Vcontrast) ここで、dC/dt=ε・ε0・L・Vp/dであるので、 帯電電流:I=ε・ε0・L・Vp・Vcontrast/d ‥‥‥(1)式 となる。これより、帯電電流Iはdに反比例し、Vcont
rastに比例することがわかる。
【0071】例えば、除電後の電位0Vから帯電電位V
Dにまで帯電させたときに流れるDC電流Iより、帯電
電位VDが既知のとき膜厚dが検知できる。
【0072】更に膜厚dが既知のとき、露光部電位VL
から帯電電位VDにまで帯電させたときに流れるDC電
流Iより露光部電位VLが検知できる。
【0073】.本発明では均一帯電された感光体に光
露光を行い、露光部電位VLを与えた後に、接触帯電を
行って電位を既知の電位V1にまで変化させ、感光体の
電位を一定量Vcontrast(|VL−V1|)だけ変化さ
せたときに接触帯電部材に流れるDC電流(帯電DC電
流)IDCを測定し、この関係から露光部電位VLを検知
することを特徴とする。これによって感光体の環境、使
用状況、製造時の感度ばらつきを検知することも可能で
ある。
【0074】そして露光部電位VLが所望の値と異なっ
ていたときに、露光手段を制御する。露光手段の制御は
電位VLが所望の値になるようにフィードバックをかけ
ることも可能であるし、意図的に異なった値に収束させ
ることもできる。
【0075】また、帯電DC電流IDCはVcontrastだけ
の関数ではなく、感光体の厚みdによっても変化するた
め、あらかじめ感光体の厚みdを検知しておき、より測
定の精度を上げることができる。
【0076】本発明では、帯電部材に接触帯電部材を用
いているため、電源から接触帯電部材に流れ込む電流は
実際に帯電に寄与するDC電流であり、従来方式では難
しかった感光体を含む負荷の上流側で帯電DC電流IDC
の測定が可能である。
【0077】このような構成を取ることによって、従来
のコロナ帯電器を用いた手法で問題になっていた、現像
手段,転写手段,トナーのクリーニングによって発生す
る誤差電流を簡単に除去できるようになり、露光部電位
Lや感光体膜厚d等の感光体状況を精度良く検知する
ことが可能になった。
【0078】.本発明は、前記検知された帯電DC電
流IDCをもとに作像プロセス条件を調整(変化)させる
ことを特徴としており、これにより画像不良等の問題点
を軽減もしくは除去できる。
【0079】.本発明は、感光体に形成された画像を
転写材に転写する転写手段を有する画像形成装置におい
て、前記検知された帯電DC電流IDCから露光部電位V
Lを検知する手段を具備させて、前記DC電流測定時
は、感光体の露光部電位VLに対して転写部通過前後の
電位変動が略0Vであるように転写手段を制御すること
を特徴としており、これによって感光体の環境,使用状
況,製造時の感度ばらつきを検知することも可能であ
る。
【0080】そして露光部電位VLが所望の値と異なっ
ていたときに、露光手段を制御する。露光手段の制御
は、電位VLが所望の値になるようにフィードバックを
かけることも可能であるし、意図的に異なった値に収束
させることもできる。
【0081】また、電流IDCはVcontrastだけの関数で
はなく感光体の厚みによっても変化するため、予め感光
体の厚みdを検知しておき、より測定の精度を上げるこ
とができる。
【0082】
【0083】
【0084】なお、電子写真装置においては、ユーザが
画像濃度,画像ライン幅調整をできるように濃度ボリュ
ーム(以下濃度のレベルを‘F値’と略す)が備えられ
ている。この手段としては、反転現像の場合、露光部電
位VLと現像バイアス電圧VDCの差によって与えられる
現像コントラストを変化させる方法がある。この現像コ
ントラストを大きく取れば画像濃度が高く画像ライン幅
は太くなり、反対に小さく取れば画像濃度は薄く画像ラ
インは細くなる。
【0085】また、現像バイアス電圧VDCと帯電電位V
Dとの差で与えられる反転コントラストの変化による反
転カブリや帯電ムラを防ぐために、F値によって現像バ
イアス電圧VDCを変えたときは帯電電位VDも変えるよ
うな制御を行っている。
【0086】一般的には、図22に示すように、現像バ
イアス電圧VDCと帯電電位VDとの設定値を変更する。
例えば代表的な値としては、 F1(濃度最大):VDC1=−600V、VD1=−750V F1(濃度中央):VDC5=−500V、VD5=−700V F1(濃度最小):VDC9=−400V、VD9=−650V となっており、F値に対応して VD=−650〜−750V、 VDC=−400〜−600V の範囲で任意の値をとる。
【0087】接触帯電部材で感光体の状況を検知する際
には、F値に対応して帯電電位VDが変化するため前記
の(1)式中のVcontrastが変化し、帯電電流Iを測
定しただけでは感光体の膜厚dや露光部電位VLが正し
く算出されないといった問題点が生じた。
【0088】本発明は接触帯電部材に印加する直流電圧
を帯電電流測定時に検知することで、接触帯電を用いて
の感光体の状況検知を正しく行うことができ、上述の問
題を解消できた。
【0089】
【0090】
【0091】
【実施例】[I]以下の第1乃至第3の実施例は前記特
許請求の範囲の請求項1乃至同8に記載の発明について
の実施例である。
【0092】〈第1の実施例〉(図1〜図3) (1)画像形成装置例(図1) 図1は本実施例の画像形成装置の概略構成図である。本
実施例の画像形成装置は電子写真プロセス利用のレーザ
ービームプリンターである。
【0093】2は像担持体としての回転ドラム型の電子
写真感光体(被帯電体、ドラムとも記す)であり、矢示
の時計方向に所定のプロセススピード(周速度)をもっ
て回転駆動される。
【0094】1は接触帯電部材としての帯電ローラであ
り、感光体2に並行に配列して不図示の加圧手段により
所定の押圧力をもって圧接させてあり、本例の場合は感
光体の回転に伴い従動回転する。この帯電ローラ1に対
して高圧電源1Aより所定の帯電バイアスが印加される
ことで、回転感光体2の周面が所定の極性・電位に接触
帯電にて帯電処理される。高圧電源1Aは帯電ローラ1
に対する印加電圧を変化させることが可能となってい
る。
【0095】3はレーザスキャナであり、目的の画像情
報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調したレ
ーザー光Lを出力して上記帯電処理された回転感光体2
面を走査し感光体2面をイメージ露光する。これにより
感光体面のイメージ露光部分が除電されて目的の画像情
報に対応した静電潜像が感光体2面に形成される。
【0096】次いでその静電潜像がトナー現像器4によ
って反転現像されて感光体2面のイメージ露光部にトナ
ーが付着することでトナー像として可視化される。41
は現像ローラまたは現像スリーブである。4Aは現像ロ
ーラ41に対する現像バイアス印加高圧電源である。
【0097】そのトナー像が感光体2と転写装置として
の転写ローラ5との圧接部である転写部において、不図
示の給紙機構部から所定のタイミングで転写部へ給送さ
れた転写材11に対して順次に転写されていく。5Aは
転写ローラ5に対して所定の転写バイアスを印加する高
圧電源である。
【0098】転写部を通ってトナー像転写を受けた転写
材11は回転感光体2面から分離されて熱定着ローラ対
7に導入されて転写トナー像の定着処理を受けて画像形
成物(プリント)として機外へ排出される。
【0099】転写材11へのトナー像転写後の回転感光
体2面はクリーニング器6のウレタン製カウンターブレ
ード61によって転写残りトナー等の残留付着物がかき
落とされて清浄面化され、次の画像形成に繰り返し供さ
れる。
【0100】本例のプリンターは感光体2・帯電ローラ
1・現像器4・クリーニング器6の4つのプロセス機器
を共通のカートリッジハウジング内に所定に配設して一
括してプリンター本体に対して着脱交換自在のプロセス
カートリッジ8としてある。該カートリッジ8をプリン
ター本体に対して所定に装着することでプリンター本体
側とカートリッジ8側とが所定に機械的・電気的にカッ
プリングして画像形成実行可能状態になる。
【0101】感光体2の感光層2aは本例では負帯電の
OPC(有機光導電体)であり、電荷発生層の上に厚さ
d=25μmの電荷輸送層(Carrier Transfer Layer:
以下CT層と略す)を配置し、直径30mmのアルミド
ラム2b上に塗工したものである。本例では、CT層は
ヒゾラゾン系のCT剤をバインダーとしてポリカーボネ
ート樹脂に分散したものを用いており、耐久通紙によっ
て少しずつ削れを生じる。
【0102】感光体2の回転周速即ちプロセススピード
は95mm/secとしてある。
【0103】帯電ローラ1は芯金1cに同心一体にロー
ラ状に導電性ゴム層1bを形成し、その外周に高抵抗表
面層1aを形成したものを用いた。高抵抗表面層1aは
感光体2にピンホール等の低耐圧欠陥部が生じた場合、
この部分に帯電電流が集中し、帯電ローラ表面の電位が
降下して横筋の帯電不良になることを防ぐためのもので
ある。
【0104】レーザスキャナ3のレーザ光源としては7
80nmの半導体レーザを用いている。
【0105】現像器4は一成分磁性トナーを用いたジャ
ンピング現像方式のものを用いている。
【0106】転写ローラ5に対しては3KVの転写バイ
アスを印加している。
【0107】なお、以上のプリンター構成は、以下に順
次に示す第2乃至第12の実施例、及び第1乃至第6の
参考例のプリンターにおいても全て或は一部を除き共通
の構成である。
【0108】(2)感光体1の露光部電位VLの検知方
法(図2・図3) 感光体表面電位をVcontrast変化させるときに必要な帯
電DC電流(帯電電流)の理論的計算は前記作用の項の
で述べた(1)式の通りである。
【0109】前記(1)式において、ε,ε0,L,V
p,dは定数とみなすことができるため、帯電電流Iは
dに反比例し、Vcontrastに比例することがわかる。
【0110】本実施例では、ε=3、ε0=8.85×
10-12[F/m]、L=230mm、Vp=95mm
/secの値を用いる。また簡単のため、以後 K=ε・ε0・L・Vp I=K・Vcontrast/d とする。
【0111】そこで、本実施例では接触AC帯電によっ
て感光体表面電位をVDにしておき、これに画像露光を
行うことによって得られた露光部電位VLを再びVDに帯
電するとき(ここではV1=VDとする)、すなわち電
位を Vcontrast=|VL−VD| 変化させることにより流れる帯電DC電流IDCを測定す
ることにより、露光部電位VLを検知する。
【0112】特に、接触AC帯電を行うことによって電
位VLは安定して瞬時に電位VDに収束するため、本手法
は少ない誤差で測定を行うことができる。
【0113】本実施例では、この値を用いて、電位VL
を一定に保つため露光量にフィードバックをかける。
【0114】以下に実際に画像出力を行った例を示す。
【0115】先に示した電子写真方式のプリンターは、
初期電位設定値が VD=−700V、 VL=−150V であるが、15°C×10%RHの低温低湿環境(以
下、L/L環境と略す)になると、CT層の移動度が低
下するため感度が悪くなり、VL=−190Vにまで上
昇する。
【0116】この結果、通常環境下では190ミクロン
に設定しておいたライン幅(300dpiでの2ドット
ライン)が170ミクロンと細くなってしまった。この
ため、文字が細ってしまい、印字された字体が本来のフ
ォントと異なったように見え画像品質を低下させてしま
った。
【0117】そこで、本実施例では非画像形成時として
のプリントの前回転時に電位VL検知行い、これを補正
することとした。
【0118】具体的なシーケンスを図2に示す。まず、
通常通り感光体表面を電位VDに帯電し、これに画像露
光を行う。これによって露光を受けた部分は電位VL
除去されるが、この部分は再び帯電部を通過することに
よって電位VDにまで帯電される。この時、接触帯電部
材である帯電ローラ1に流れる帯電DC電流IDCは感光
体表面を電位VL→電位VDに帯電するための電流(図2
中、A部の電流)であり、前記(1)式に示されるよう
に感光体膜厚dが既知であればこれを求めることができ
る。
【0119】そして、この値が本来必要とされる電位V
Lの値と異なっている場合、露光量を変化させ、これが
環境、製造時の感度ばらつき等に関わらず一定に保たれ
るように図3のフローチャートに示されるような制御を
行う。
【0120】具体的に、帯電DC電流IDCの測定には、
高圧回路1Aの保護抵抗(10kΩ)の両端のDC電圧
を測定し、DCコントローラに信号を送る。本実施例で
は誤差を少なくするために、測定はプリンター本体のシ
ーケンスに同期させて、レーザ露光を行い感光体の露光
部電位VLを電位VDに上げた後のドラム一回転分の信号
の平均化をした値を用いている。
【0121】また、電流IDCの測定は先に述べた理由か
ら負荷の上流で行う必要があるため、本実施例では高圧
回路1A内の抵抗両端電圧から電流の計算を行った。
【0122】まず、通常環境(25°C×65%RH:
以下、N/N環境と略す)で上記制御を行った時、電位
Lを電位VDにするための帯電DC電流IDCは12.8
μA流れた。前記(1)式よりIDC=K・Vcontrast/
dであり、ここではd=25μm、Vcontrast=|VL
−VD|=|VL−(−700)|とすると、VL=−1
50Vと求めることができるため露光量に対して特別な
制御は行わない。
【0123】しかし、L/L環境では同様の測定を行っ
た時、IDC=11.8μAとなり、これより計算される
L=−190Vとなった。図3のフローチャートに基
づき露光量のフィードバック制御を行い、初期値の2.
3μJ/cm2から0.2μJ/cm2づつ変化させた結
果、露光量2.6μJ/cm2でN/N環境と同じ−1
50VのVL値を得ることができるようになった。従っ
て、その後の画像形成は露光量2.6μJ/cm2に変
更して行ったところライン幅を目標の値をとすることが
でき、本制御を行わなかった場合のような画像品質の劣
化を防止することができた。
【0124】感光体2の製造時の感度ばらつきが生じた
場合にも、同様の制御を行うことによって電位VLを一
定に保つことができるため、本発明を電子写真装置に適
用すれば、露光量のメンテナンスフリーの実現が、また
カートリッジ方式の場合には感度コマを廃止することが
出来、印字品質の安定化、製造コストの低減等に多大な
効果を得ることができるようになった。
【0125】またこのように露光部電位VLを連続的に
変化させてフィードバックを行う方法の他にも、あらか
じめ数段階の可変レベルを設けておき、測定された電位
Lが目標値より低かった場合(例として、10V以上
低かった時)には光量を10%上げ、逆に高すぎた場合
(例として、10V以上)には光量を10%減じるとい
った、離散的な制御を行うことも可能である。
【0126】〈第2の実施例〉(図4〜図6) 本実施例では、前記第1の実施例1と同様の制御を行う
が、前実施例のようにV1=VDではなく、V1=0V
として測定を行うことを特徴とし、測定の精度向上を目
的とする。
【0127】前記第1の実施例1の構成においても、通
常使用条件下では問題の無い測定を行う事ができるが、
感光体2は製造時や使用時にピンホールが生じてしまう
事がある。先に述べたように、接触帯電部材1に抵抗値
を持たせる事によって、画像に対してピンホールが与え
る影響を最小限にとどめているが、図4の(a)に示す
ようにピンホール21に対してはリーク電流がある程度
流れ込む事は避けられない。
【0128】このリーク電流を露光部電位VLを検知す
るために測定する帯電DC電流と分離する事は難しいた
め、測定誤差を引き起こす可能性がある。
【0129】そこで、本実施例では前記第1の実施例の
ように感光体2の表面電位をVLからVDに帯電する時に
流れる電流ではなく、接触帯電部材としての帯電ローラ
1によって電位VLから0Vに除電する時の電位を測定
する(図4の(b))。この場合には、DC電圧的には
接触帯電部材1もピンホール部21の電位も0Vである
ため本質的にリーク電流は流れない。
【0130】本実施例で測定を行うシーケンスについて
以下に述べる。
【0131】実験を行った装置構成,条件等は第1の実
施例と同じであるが、測定のシーケンス,フローチャー
トをそれぞれ図5・図6のように変更する。
【0132】感光体2ははじめ接触帯電部材1によって
電位VDにまで均一帯電され(接触AC帯電)、その
後、画像露光を行われる事によって電位VLにまで除電
を受ける。しかし、この電位VLは感光体の感度,環境
等で変化するため、これを補正するために露光量の制御
を行う。
【0133】本制御は、感光体電位をVLとした後に接
触帯電部材1に印加するDC電圧を0Vとして0Vへの
除電を行う。この時、接触帯電部材1には感光体2を電
位VL→0Vに除電するための帯電DC電流がドラム1
周分の時間だけ流れる(図5中のB部分)。この電流値
は前記(1)式でVcontrast=|VL−0V|とした時
の値であるので、これからVL=IDC/Kと求めること
ができる。
【0134】実際にピンホール21が開いた感光体2
(VL=−150Vとなる感度を持った感光体)でN/
N環境下にて測定を行ったところ、第1の実施例では、
帯電DC電流にはピンホールに流れ込むリーク電流が含
まれてしまいVL=−75Vと誤測定をしてしまったが
(第1の実施例の測定でIDC=14.5μA)、本実施
例による制御を行うと、IDC=3.5μA(VL=−1
50V)となり、リーク電流による誤測定を防止する事
に成功し、ピンホール21が存在しても正しい値を測定
できることが判った。
【0135】実際に測定される帯電DC電流は上記のよ
うに数μAと小さいため、リーク電流が測定に及ぼす影
響は大きく、本実施例の方法を用いる事によってより精
度の良い測定ができるようになった。
【0136】〈第3の実施例〉(図7) 本実施例では、耐久通紙によって感光体2が削れた場合
に測定に及ぼす誤差の要因を防止するために、あらかじ
め感光体2の膜厚を検知し、その値によって電位VL
補正を行う事を特徴とする。
【0137】前記第1及び第2の実施例のように、本発
明は環境,製造時における感光体の感度ふれ,ピンホー
ル等の要因によらず露光部電位VLを検知する事が可能
であり、これに基づいて露光量を制御し電位VLを所望
の値に補正する事が可能になる事が示されたが、先に述
べた(1)式から判るように、本発明において測定に用
いる帯電DC電流はIDC=K・Vcontrast/dだけであ
るため、電流IDCからVcontrastと膜厚dを分離する事
はできない。つまり、前実施例では耐久通紙等で感光体
膜厚dが変化した場合に測定誤差となる。
【0138】そこで、あらかじめ感光体2の膜厚dを検
知する。これは図7のフローチャートに示すように、ま
ず、接触帯電部材1にAC電圧を印加しながらDC電圧
をV2とし、感光体表面電位をV2に収束させる。次に
DC電圧をV3にまで変化させ、この時に流れる帯電D
C電流IDC′を測定する。一般的には測定を単純化でき
るためV2=0、V3=VDとする事が好ましいが、異
なった値を使用する事も可能である。
【0139】従って、前記(1)式によりこの帯電DC
電流は IDC′=K・Vcontrast/d(Vcontrast=V2−V
3) となるため、ここから感光体膜厚dを検知する事が可能
である。
【0140】なお、ここで前記第2の実施例で示したピ
ンホール21(図4)による誤測定の可能性を除去する
ために、0V→VDの帯電時ではなく、VD→0Vへの除
電時電流を用いることもでき、この方が測定精度上好ま
しいのは前述した通りである。
【0141】以上のように感光体膜厚dを測定した後
は、前記第1もしくは第2の実施例と同様に露光部電位
Lの検知を行う。ただ、この時の帯電DC電流IDC
ら電位VLを算出する際は、膜厚検知工程で求めた感光
体膜厚dの値を用いて補正を行う。これは前記(1)式
のIDC=K・Vcontrast/dにdを代入して計算を行え
ば良い。
【0142】具体的に本実施例の方法を用いて本制御を
行った例を示す。耐久通紙を8000枚行った後に画像
出力を行った。まず、感光体膜厚検知のシーケンスを行
ったところ、0VからVDにまで帯電するためにIDC
=27.0μAの電流が流れた。これを前記(1)式に
代入すると、Vcontrast=−700Vのため、d=15
μmと計算され、正しい膜厚を測定できた。
【0143】次に、前記第1の実施例の電位VL検知の
シーケンスを行ったところ、IDC=19μAの電流が流
れた。この値を膜厚が25μmと仮定して電位VLを計
算すると、VL=+120Vなり、負帯電のOPCとし
て考えにくい値となった。
【0144】しかし、本実施例で、あらかじめ測定して
おいて膜厚d=15μmの値を使用して電位VLを計算
すると、VL=−200Vとなった。
【0145】この状態で実際に測定器で電位測定を行う
とVL=−200Vとなり、本方法で正しい測定が行え
ることが明らかになった。
【0146】以上述べたように、本実施例の手法を用い
る事により、耐久通紙等によって感光体膜厚dが変化し
た場合でも精度良く露光部電位VLを検知する事が可能
になった。
【0147】以上第1乃至第3の実施例に示したよう
に、本発明においては感光体露光部電位VLに対して接
触AC帯電を行い、これを帯電、または除電するときに
流れる帯電DC電流を測定する事によって電位VLを検
知する事が可能になった。そして、種々の要因での電位
L変動によって発生する画像品質の劣化を防止するた
めに露光手段を制御し、どんな条件下でも電位VLを一
定に保つ事が可能になった。
【0148】これは、従来のように電位測定装置など電
位VLを測定するための特別な手段を設けることなし
に、帯電DC電流の測定でけで本発明を実現することが
可能なため、低コストで信頼性の高い効果を得ることが
可能である。具体的には電子写真装置本体設置時等に行
っていた露光量調整のメンテナンスが不要になり、カー
トリッジ方式のプロセスユニットでは、それぞれの感光
体感度を装置本体に伝えるために従来設けられていた、
いわゆる「感度コマ」を廃止する事が可能になった。
【0149】[II]以下の第4乃至第6の実施例は前
記特許請求の範囲の請求項9乃至同12に記載の発明に
ついての実施例である。
【0150】〈第4の実施例〉(図8) 本実施例において、帯電DC電流IDC,露光部電位VL
の測定・検知要領は前述第1乃至第3の実施例と同様で
ある。
【0151】前述のように帯電DC電流IDCより露光部
電位VLを知ることが可能であり、特に接触AC帯電を
行なうことにより電位VLから安定して瞬時に電位VD
収束するため本手法は少ない誤差で測定を行うことがで
きる。
【0152】また接触帯電方式であるがゆえに、接触帯
電部材から出力される電流がすべて感光体を帯電(除
電)する電荷量となるから、この電流を測定するだけで
帯電電流(除電電流)を直接検出することができ、コロ
ナ帯電器のようにシールド電流を分離したり、あるいは
現像の転写等を分離した感光体への流入電流を測定した
りする必要がなく、たいへん簡易に帯電電流が測定でき
る。
【0153】この検知された帯電DC電流IDCの値に応
じて、本実施例では、現像ローラ41に印加する現像バ
イアスのDC成分Vdev.を変化させることを特徴と
している。すなわち現像コントラストが一定になるよう
に上記のDC成分Vdev.をコントロールすることに
なる。
【0154】先に示した電子写真方式のプリンターは前
述したようにジャンピング現像方式を用いており、現像
バイアスは AC成分 ピーク間電圧1600VPP、周波数1800HZ DC成分 Vdev.=−500V であり、初期電位設定値がVD=−700V、VL=−1
50Vであるが、L/L環境になると、CT層の移動度
が低下するため感度が悪くなり、VL=−190Vにま
で上昇する。この結果、通常環境下では190ミクロン
に設定しておいたライン幅(300dpiでの2ドット
ライン)が170ミクロンと細くなってしまった。この
ため、文字が細ってしまい、印字された字体が本来のフ
ォントと異なったように見え画像品質を低下させてしま
った。
【0155】そこで本実施例ではプリントの前回転時に
帯電DC電流IDC測定を行ない、この検知された電流I
DCに応じて現像バイアスのDC成分Vdev.を調整す
ることにした。
【0156】帯電DC電流VDの測定・検知シーケンス
は前述第1の実施例の図2と同じである。
【0157】そして検知された帯電DC電流IDCにより
露光部電位VLを知ることができるから、この検知され
た電流IDCの値に応じて現像バイアスのDC成分Vde
v.を変化させて画像形成のためのコントラストが一定
となるように図8のフローチャートで示されるような制
御を行なう。
【0158】具体的に帯電DC電流IDCの測定には、前
述したように高圧回路1Aの保護抵抗(10KΩ)の両
端のDC電圧を測定し、コントローラに信号を送る。本
実施例では誤差を少なくするため、測定は本体のシーケ
ンスに同期させて、レーザ露光を行ないVLをVDに上げ
た後のドラム一回転分の信号の平均化をした値を用いて
いる。
【0159】まず、N/N環境で上記制御を行なったと
き、電位VLを電位VDにするための帯電DC電流IDC
12.8μA流れた。前記(1)式より IDC=K・Vcontrast/d であり、ここでは d=25μm、 Vcontrast=VL−VD=VL−(−700V) とすると VD=−150V と求めることができたため、現像バイアスDC成分Vd
ev.は既定値のままである。
【0160】しかし、L/L環境では同様の測定を行な
ったとき、IDC=11.8μAとなり、これより露光部
電位VL=−190Vとなった。このため図8のフロー
チャートに基づきVdev.を計算によって−540V
に設定し、N/N環境と同じく画像形成のためのコント
ラストが350Vとなるようにした。従って、その後の
画像形成の結果、ライン幅を目標の値とすることがで
き、本制御を行なわなかった場合のような画像品質の劣
化を防止することができた。
【0161】感光体の製造時の感度ばらつきが生じた場
合にも同様の制御を行なうことにより、画像形成のため
のコントラストを一定に保つことができる。
【0162】〈第5の実施例〉(図9) 本実施例は前記第4の実施例と同様に帯電DC電流IDC
測定を行ない、検知された電流IDCの値に応じて、ジャ
ンピング現像の現像バイアスのAC成分の周波数Vde
v.fを変化させる。帯電DC電流IDCの変化、すなわ
ち露光部部位VLの変化によるライン幅変化を上記周波
数Vdev.fを調整させることで補正するものであ
る。
【0163】画像形成装置としてのプリンターは前記第
1の実施例のプリンター(図1)と同様であり、N/N
環境下での初期電位設定値がVD=−700V、VL=−
150Vであるが、L/L環境下ではVL=−190V
まで上昇する。
【0164】そこで本実施例ではプリントの前回転時に
帯電DC電流IDCの検知を行ない、この検知されたIDC
値に応じて前記周波数Vdev.fを調整することにし
た。帯電DC電流IDCの測定方法は前記第4の実施例と
同様である。
【0165】具体的には図9のフローチャートに示され
るような制御を行なう。実際にN/N環境下で電流IDC
検知を行なったところ、 IDC=12.8μA(VL=−150V) となったので、現像バイアスのAC成分Vdev.f
(=1800HZ)に対して調整は行わない。
【0166】しかし、L/L環境ではIDC=11.8μ
A(VL=−190V)となったため、図9のフローチ
ャートに基づきVdev.fを調整し、1800HZ
ら1700HZに変更した。これはらあらかじめ実験に
よりもとめたIDC値とVdev.fとの関係を示すテー
ブルから引き出したものである。
【0167】従って、その後の画像形成はVdev.f
を1700HZに変更して行なったところ、ライン幅を
目標の値とすることができ、画像品質の劣化を防止する
ことができた。
【0168】〈第6の実施例〉(図10) 本実施例では検知された帯電DC電流IDCの値に応じて
接触帯電部材1に印加する帯電バイアスのDC電圧(以
下VCDC)を制御することを特徴としている。すなわち
検知された電流IDCに応じてVCDCを制御し、結果VD
を変化させ所望の電流IDCにフィードバックすることに
なる。
【0169】本実施例で用いるプリンターは前記第1の
実施例で用いたプリンター(図1)と同様で、N/N環
境下での初期電位設定値がVD=−700V、VL=−1
50Vであるが、L/L環境下ではVL=−190Vま
で上昇する。
【0170】そこで本実施例ではプリントの前回転時に
電流IDC検知を行い、この検知された電流IDCに応じ
て、VCDCを調整することにした。
【0171】電流IDCの測定方法は前記第4の実施例と
は異なり、電位VLから0Vへ除電されるときに流れる
帯電DC電流IDCを測定することにした。
【0172】具体的には前記第2の実施例で説明した図
5のシーケンスと同様に該シーケンスのBの部分を測定
する。
【0173】この電流値は前記(1)式でVcontrast=
|VL−0|とした時の値であるので、VL=d・IDC
Kと求めることができる。
【0174】このようにして検知された電流IDCの値が
所望のIDCの値と異なっている場合、検知されたIDC
値に応じて、VCDCを変化させ、よってVDを変化さ
せ、所望IDCが得られるよう図10のフローチャートに
示されるような制御を行う。
【0175】実際にN/N環境下で電流IDC検知を行っ
たところIDC=3.5μA(VL=−150V)となっ
たので、VCDC(=−700V)に対して特別な調整は
行わない。
【0176】しかし、L/L環境ではIDC=4.5μA
(VL=−190V)となったため図10のフローチャ
ートに基づきVCDCのフィードバック制御を行った。初
期値の−700V(=VD)から10Vずつ変化させた
結果、−600Vで通常環境と同じIDC=3.5μA
(VL=−150V)を得ることができるようになっ
た。
【0177】従って、その後の画像形成はVCDCを−6
00Vに変更して行ったところライン幅を目標の値とす
ることができ画像品質の劣化を防止することができた。
【0178】以上の第4乃至第6の実施例においては検
知された電流IDCの値に応じて変化させる、電子写真プ
ロセス条件として、現像バイアスのDC電圧、現像バイ
アスのAC成分周波数、帯電バイアスを用いたが、現像
バイアスのAC成分のピーク間電圧VPPでもよい。また
上記の組み合わせも可能である。更に他の条件をして現
像ローラの対感光ドラムスピード、感光ドラム−現像ロ
ーラ間ギャップ、現像ブレード設定などの現像条件を選
ぶことができる。
【0179】以上の第4乃至第6の実施例のように、本
発明においては感光体露光部電位VLに対して、接触帯
電を行ない、これを帯電または除電するときに流れる帯
電(除電)DC電流IDCを測定することによりこの検知
された帯電DC電流(除電)の値に応じて種々の作像プ
ロセス条件(電子写真プロセス条件)を変化させること
で種々の要因での露光部電位VL変動によって発生する
画像品質の劣化防止を低コストで簡単に実現可能となっ
た。
【0180】[III] 以下の第7乃至第10の実施例
は前記特許請求の範囲の請求項13乃至同19に記載の
発明についての実施例である。
【0181】〈第7の実施例〉(図11) 本実施例における画像形成装置としてのプリンターの構
成は前述第1の実施例の図1のものと同様である。ただ
し、本実施例において感光体2の感光層2aの電荷輸送
層(CT層)の厚さdは23μmであり、プロセススピ
ードは47.7mm/secである。また転写ローラ5
に対する転写バイアスは2kVにしてある。
【0182】感光体の露光部電位VLの検知方法は前記
第1の実施例に述べたのと同様である。ただし本実施例
においては、接触帯電部材(帯電ローラ)1の有効帯電
幅Lは270mm、プロセススピードVPは上記のよう
に47.7mm/secである。
【0183】本実施例では接触AC帯電において、感光
体表面に直流電圧−600Vを印加して感光体表面電位
V1を−600Vにした。次に画像露光をして感光体表
面電位(露光部電位)VLを−120Vにした。更に、
感光体表面に直流電圧−600V印加して感光体表面電
位をVLからV1に変化させた時に流れる帯電DC電流
DCを測定することでVLを検知する。
【0184】この際、転写部材である帯電ローラ5が感
光体表面電位VLに与える影響を防ぐ必要がある。
【0185】転写ローラ5が電位VLに与える影響につ
いて図11により説明する。
【0186】転写ローラ5には、画像形成時にはスイッ
チ101が第1接点102に接続され、第1転写バイア
ス電源5Aより2kVの転写バイアスがかけられてい
る。電位VL検知時にも画像形成時と同じこの2kVの
転写バイアスを印加してしまうと感光体表面電位を帯電
(除電)してしまい、露光部電位VLへの影響は無視で
きないものとなる。
【0187】実際に、転写ローラ5を介して装着するこ
とによる露光部電位VLの変動を調べたところ、転写ロ
ーラ到達前の露光部電位VLは略設定値通りの−12
0.2Vであったのに対し、転写ローラ通過後の露光部
電位VLは−102.6であり、17.6Vの測定誤差
となって表れていた。
【0188】そこで、本実施例では転写ローラ5による
露光部電位VLへの影響を回避するために、帯電DC電
流IDCを測定する時には図11のスイッチ101を第2
接点103に切り換え、第2電源5Bにより露光部電位
Lと同等(本実施例では−120V)の転写バイアス
を印加することにした。
【0189】なお、上記の電位VL測定時に転写ローラ
5に印加する第2電源5Bによる転写バイアスを、画像
形成時に転写ローラ5に印加する第1電源5Aによる転
写バイアスと区別するために、「VL検知時転写バイア
ス」と称することにする。
【0190】その結果、VL検知時転写バイアスを露光
部電位VL(設定値の−120V)にした時に転写電流
Itrが略0(μA)になることが確認された。
【0191】望ましくは、本実施例のように、IDC測定
転写バイアスを露光部電位VLの設定値と同じ電位にす
ることであるが、VL検知時転写バイアスを0Vにして
も、測定された転写電流Itrは略0μAなので、感光
体膜厚dの検知、あるいは露光部電位VLの検知に対す
る測定誤差にはほとんど影響を及ぼさないレベルであっ
た。
【0192】実際に、IDC測定転写バイアスを露光部電
位VLにする測定法で帯電DC電流IDCを測定してVL
求めた。6000枚の耐久試験後にVcontrast(=|V
L−V1|)に流れた帯電DC電流IDCを測定し、前述
(1)式より算出したVcontrastをもとにV1を求めた
ところ、−140.9Vであり、表面電位計で測定した
L時の感光体表面電位は−139.9Vであった。
【0193】そこで、露光量を2.0μJ/cm2から
徐々に変えて2.2μJ/cm2の時に同様の測定を行
ったところ、前記(1)式のVcontrastから求めたVL
は−120.3Vに対し、表面電位計で測定したVL
120.6Vとなり、略一致した。
【0194】更に、露光量の制御を感度コマと同様にし
て、設定した露光部電位VLに対して誤差が±15Vの
範囲内であれば露光量は初期設定値の2.0μJ/cm
2のままにし、誤差が−15〜−30Vの場合には露光
量を2.2μJ/cm2、誤差が+15〜+30Vの場
合には露光量を1.8μJ/cm2にすることでも、従
来通りの画像品質を維持することが可能となり、制御法
としても簡単なものとなった。
【0195】従って、IDC測定転写バイアスを露光部電
位VLと等しくして帯電DC電流IDCを測定することに
より、露光部電位VLを精度良く求めることができ、表
面電位を安定させて得るために露光量を制御するための
大きな装置を必要とせずに常に安定した電位VLを維持
することが可能になった。
【0196】その結果、ライン幅を常に目標の値にする
ことができ、本制御を行わなかった場合のような画像品
質の劣化を防止することができた。
【0197】感光体の製造時の感度ばらつきが生じた場
合には、同様の制御を行うことによって露光部電位VL
を一定に保つことができるため、本発明を電子写真装置
に適用すれば、露光量のメンテナンスフリーの実現が、
カートリッジ方式の場合には感度コマを廃止することが
でき、印字品質の安定化、製造コストの低減等に多大な
効果を得ることができるようになった。
【0198】〈第8の実施例〉(図12) 本実施例は前記第7の実施例と同様の制御を行うが、本
実施例においては転写電流Itrが流れないように電気
回路上で対策をとったものである。
【0199】つまり帯電DC電流IDCを測定する時にの
み図12において、スイッチ101がフロート側の接点
104に接続されるような回路にすることで、電荷の流
れを止め、転写ローラ5と感光体2表面を同電位にする
ことで転写電流Itrが流れるのを防止したものであ
る。
【0200】本方式は回路上で切り替えるだけなので対
応が簡単であり、また、前記の第7の実施例のようにI
DC測定転写バイアスを必要としないので、構成も簡単な
ものとなるという特徴を有している。
【0201】本方式で実際に6000枚の耐久試験後の
帯電DC電流IDCを測定し、前記(1)式のVcontrast
より露光部電位VLを算出したところ、露光量2.0μ
J/cm2のもとでは−141.2Vであり、表面電位
計で測定したVL時の感光体表面電位−139.9Vに
対して1%以下の誤差範囲で測定ができた。
【0202】その後、前記の第7の実施例と同様のシー
ケンスで露光量を制御したところ、同様の結果が得られ
たので、本実施例の方式を用いることでも露光部電位V
Lを精度良く検知でき、安定した露光部電位VLを維持す
ることが可能となった。
【0203】〈第9の実施例〉(図13) 本実施例は、帯電DC電流IDCを転写ローラ5が感光体
2表面から離れている時に測定することを特徴とするも
のである。
【0204】構成としては図13の(a)・(b)に示
す通りである。転写時は(a)のように転写ローラ5は
転写ローラ軸受部材14がソレノイド12による電界効
果のため矢印aの方向に押され、感光体2表面に当接し
て転写しているが、少なくとも露光部電位VL測定時に
は(b)のようにソレノイド12による電界を止め、転
写ローラ5はバネ13によって矢印bの方向に引かれ光
感光体2表面から離れるというものである。
【0205】帯電DC電流IDCの測定を、転写ローラ5
が感光体2表面から離れている時に行うことにより、転
写ローラ5による感光体2表面から離れている時に行う
ことにより、転写ローラ5が感光体2の表面電位変化を
完全に防止でき、更に、現行のシーケンスに組み込みよ
いという利点が上げられる。
【0206】前記(1)式のVcontrast(=|VL−V
1|)に応じて流れるDC電流IDCをもとに電位VL
検知し、電位VLを設定値に補正するために最適な露光
量に制御するという一連の流れを満足するために、紙間
では制御するための十分な時間が得られない、後回転時
では露光量の制御ができないという理由のため、帯電D
C電流IDCの測定は前回転時に行った。
【0207】実際に前回転時に露光部電位VLの検知を
行い、転写ローラ5を感光ドラム2表面から離して帯電
DC電流IDCを測定し、(1)式をもとに電位VLを算
出した。前記第8の実施例と同様6000枚通紙耐久を
したカートリッジにて測定したところ、露光量2.0μ
J/cm2において算出されたVLは−140.3Vであ
り、表面電位計で測定したVL時の感光体表面電位−1
39.9Vとわずかな差が認められただけである。更
に、前記第7の実施例1と同様に露光量を制御したとこ
ろ設定値通りの露光部電位VLを得ることができた。
【0208】従って、帯電DC電流IDCの測定時は転写
ローラ5を感光体表面5から離して測定することで、転
写ローラ5による影響を受けずに精度良い測定が可能と
なり、露光部電位VLの検知、更にはこの電位VLを安定
して維持することが可能になった。
【0209】〈第10の実施例〉 本実施例は図1における転写部材5としてコロナ転写を
使用している場合においても、帯電DC電流IDCを精度
良く測定するために、帯電DC電流IDC測定の際には、
転写バイアスを常にオフする対策をとった方式である。
【0210】現在、コロナ転写はコロナ帯電同様、オゾ
ンの発生という問題のためローラ転写に移行しつつある
ものの、高速機、大型機等で安定した転写を保ちたい、
あるいはコロナ転写は5〜7kVの電圧を印加するもの
のプラス放電の場合、同レベルの電圧を印加するマイナ
ス放電のコロナ転写ほどオゾンが発生しない等の理由の
ため、コロナ転写が行われている場合が多かった。
【0211】コロナ転写の場合には、転写時における放
電のために感光体2の表面電位が変化してしまい、Vco
ntrast(=VL)測定における誤測定の要因になってし
まう。この誤測定を回避するために露光部電位VLを検
知する際には転写バイアスを常にオフにすることによ
り、コロナ転写のプラス電荷による感光体ドラム表面の
マイナス電荷への影響を防止する。
【0212】実際に電位VLを検知する際に転写バイア
スをオンの状態とオフの状態でのVcontrast(=|VL
−V1|)を前記(1)式よりもとめ、それより電位V
Lを算出したところ、未使用時でのカートリッジによる
測定では露光量2.0μJ/cm2のもとでは転写バイ
アスをオンにした状態でのVLは−101.7Vであっ
たのに対し、転写バイアスをオフにした状態でのVL
−120.2Vと設定値通りの値を示した。
【0213】転写バイアスをオンにした状態でVLを検
知してしまうと露光量が大きすぎると読み取ってしま
い、設定値の−120Vにするには露光量を1.84μ
J/cm2に変更せねばならなくなるが、その露光量の
もとでは真のVLは−143.2Vとなり、結果として
得られた画像の品質はラインの細り等が認められた。
【0214】しかし、転写バイアスをオフにした状態で
あれば真の露光部電位VLを常に安定して検知できるた
め、ラインの細り等といった画像品質の劣化は認められ
なくなり、VL検知においては極めて有効な手段である
ことが確認された。
【0215】以上第7乃至第10の実施例で説明したよ
うに、本発明においては感光体露光部電位VLに対して
接触AC帯電を行い、これを帯電する時に流れるDC電
流を測定する際に転写部材による誤測定の影響を防止す
ることが可能になった。その結果、種々の要因でのVL
変動によって発生する画像品質の劣化を防止するために
露光手段を制御し、どんな条件下でもVLをより一層精
度良く一定に保つことが可能になった。
【0216】これは、従来のように電位測定装置等VL
を測定するための特別な手段を設けることなしに、帯電
DC電流の測定だけで信頼性の高い効果を得ることが可
能である。具体的には、電子写真装置本体設置時等に行
っていた露光量調整のメンテナンスが不要になり、カー
トリッジ方式のプロセスユニットでは、それぞれ感光体
感度を装置本体に伝えるために従来設けられていた所謂
「感度コマ」を廃止することが可能になった。
【0217】[IV]以下の第11及び第12の実施例
は前記特許請求の範囲の請求項20乃至同22に記載の
発明についての実施例である。
【0218】〈第11の実施例〉(図14〜図18) 画像形成装置としてのプリンターの構成は前述第1の実
施例の図1のものと同様である。
【0219】次に本実施例での感光体膜厚の検知方法に
ついて述べる。
【0220】感光体2の接触AC帯電を行うため、帯電
ローラ1にはDCオフセット電圧にAC電圧を重畳す
る。DC電圧としては、所望する感光体の暗部電位に相
当するV3=−700Vを用いる。
【0221】AC電圧としては、電位の収束化のために
は放電開始電圧Vthの2倍以上のピーク間電圧が必要
であるため、本実施例ではピーク間電圧が1800Vの
定電圧を用いた。この電圧については、帯電部材1のイ
ンピーダンス変化による影響を除去するためにAC定電
流制御を行うことも可能である。
【0222】電子写真プロセスでは、画像形成を行う前
処理として、感光体2の電位的な履歴を除去するために
前回転時に除電を行うことが一般的である。この除電手
段としては、前露光を行うことも可能であるが、接触A
C帯電を行う場合、電位の収束性を利用し、DC電圧を
V2=0としてAC電圧を重畳することによって感光体
の電位を0Vにすることが可能である。
【0223】次に画像形成のため、図14のシーケンス
に示すようにDCオフセット電圧を本実施例ではV3=
−700として帯電を行うわけであるが、この時、感光
体表面電位をVcontrast上昇させるために必要なDC帯
電電流が図15に示すように感光体1周分の間流れる。
−700Vにまで一旦帯電された後は、感光体表面電位
の変化が無い限り(画像露光を行わず、暗減衰等を無視
すると)、帯電DC電流は流れない。
【0224】しかしながら転写ローラ5が感光体2に接
しているため、この転写ローラ5に印加された電圧によ
り感光体ドラム2を帯電または除電することになり、感
光体表面電位を変化させてしまう。
【0225】そこで、転写ローラ5に印加する電圧を帯
電DC電流検出時に上記感光体1周分のみ制御する必要
がある。ここで転写ローラ5が感光体2を帯電または除
電しないようにするには転写ローラ5に印加する電圧V
trと、感光体2の表面電位V2との差を転写ローラ5
が感光体2に対して帯電を開始する電圧Va以下にすれ
ば良い。
【0226】転写ローラ5が108〜1010Ωcmの比
抵抗率をもつ中抵抗材料で形成されている場合、Vaは
約800Vであるので|Vtr−V1|≦800とな
り、V2=0Vなので、−800≦Vtr≦+800と
なる。
【0227】以上の説明は、V2=0VをV3=−80
0Vに帯電する時に流れるDC電流を検出する場合につ
いて行ってきたが、V2=−700VをV3=0Vに除
電する場合についても同様な検知が行える。その場合V
2=−700Vなので、−1500≦Vtr≦+100
となる。
【0228】ここでVtrは上記どの値も実際の転写電
圧(約+4kV)とかなり異なる値であるため、本発明
の検知のために別の電圧値を設定する必要がある。特
に、Vtr=0Vとすれば別に印加電圧値を設定する必
要がなく、単に出力をオフするか、またはフロートにす
ることでも良い。
【0229】以上、述べたことについて図14のシーケ
ンス図を用いて説明すると、V2=0,V3=−700
の帯電時の場合、転写ローラ5にはDC電流検知開始時
より時間T1だけ早くVtrを感光体1周分のみ印加す
る。ここでT1はドラム上のある位置が転写位置から帯
電位置へ移動するのにかかる時間である。V2=−70
0,V3=0の除電時についても同様に考えることがで
きる。
【0230】これまで感光体電位を変化させるものとし
て転写ローラ5のみについて述べてきたが、感光体2〜
紙を分離させるための分離帯電器を有している時はこれ
についても同様の制御を行う必要がある。
【0231】前記(1)式について、本実施例ではε=
3、ε0=8.85×10-12[F/m]、L=230
mm、VP=95mm/sec、VD=700[V]であ
るため、d=25μmの時、I=16μAとなる。
【0232】実際に、膜厚が異なる感光体2を用いて、
H/H環境),N/N環境,L/L環境の各環境でd−
Iの関係を測定した結果を図17に示す。これを見て
も、理論通りd−Iの関係は環境に依存しないことが判
る。
【0233】この結果に基づき、感光体2の寿命と考え
られる15μmのCT膜厚に対応する電流量を越えた場
合にドラム寿命を警告する手段を設ける。
【0234】図17において、各環境共に15μmの膜
厚時に帯電に必要な電流量Iは27μAであるため、図
18に示すようにIによって10kΩの抵抗R1の両端
に発生する電圧Vが27μAに相当する0.27Vを越
えたときに、これに連動したプリンター本体前面の警告
灯を点灯することとする。
【0235】具体的には、高圧回路の保護抵抗(10k
Ω)R1のの両端の電圧Vを基準電圧Vref=0.2
7Vと比較し、コンパレータ15の出力があった時にD
Cコントローラ16にドラム寿命の信号を送る。
【0236】なお、本実施例では電圧Vは本体のシーケ
ンスに同期させて、DCオフセット電圧を0VからVD
に上げた後の感光体一回転分の信号の平均化をした値を
用いている(図15参照)。
【0237】実際に耐久試験を行なったところ、Vは耐
久通紙によって上昇し、各環境共に10,000枚通紙
して、CT層が10μm削れ、残り15μmとなったと
きに警告を発し、過剰な削れによる画像不良の発生を未
然に防止することが可能になった。
【0238】また、本実施例は接触帯電方式であるの
で、帯電部材1に流れる電流がすべて感光体2を帯電
(除電)する電荷量となるため、この電流を測定するだ
けで帯電電流(除電電流)を直接検出することができ、
コロナ帯電器のようにシールド電流を分離したり、ある
いは現像・転写等を分離した感光体への流入電流を測定
したりする必要がなく、たいへん簡易である。
【0239】本実施例において転写装置として転写ロー
ラ5について述べたが、転写装置として、ブロック状の
もの、ベルト状のものを使用した場合についても同様で
ある。
【0240】〈第12の実施例〉(図19) 前記第11の実施例では接触転写方式について記述した
が、本実施例では図19に示すように転写装置としてコ
ロナ転写帯電器51を用いた場合について記述する。
【0241】本実施例においても感光体の膜厚を検知す
る方法は、前記第11の実施例とほぼ同様にして行う。
前記実施例と異なる点は、帯電DC電流検出時のみコロ
ナ転写帯電器51に印加する電圧Vtrをコロナ放電開
始電圧Vb以下とすることである。シーケンスは図14
に示したものと同様である。また前記第11の実施例と
同様に電流の検出時は帯電時でも除電時でも良い。
【0242】更に上記の電圧Vtrは0Vでも良く、こ
の場合は本発明の検知のために別の電圧を設定する必要
がなく、単に印加電圧をオフするだけで良い。
【0243】本実施例において、感光体電位を変化させ
るものとして、コロナ転写帯電器51のみについて述べ
てきたが、感光体2から紙を分離するための分離帯電器
を有しているときは、これについても同様の制御を行う
必要があり、その場合は分離帯電器に印加する電圧VS
Pをコロナ放電開始電圧Vb以下とするか、またはグリ
ッドを有するときはグリッド電圧Vaを感光体2の表面
電位V2に等しくすることが望ましい。
【0244】以上第11及び第12の実施例に示したよ
うに、本発明においては接触AC帯電を行い、電圧が印
加される転写装置を有する画像形成装置において、被帯
電体の帯電電位を一定量Vcontrast帯電、または除電す
るときに接触帯電部材に流れるDC電流を測定し、この
DC電流測定時の転写電圧を制御することにより感光体
の帯電電位を変化させることがないので正確に被帯電体
の膜厚を測定することができた。そしてこの膜厚がある
値以下になったときに警告を与えることによって、電子
写真における画像不良の発生を未然に防ぐことが可能に
なった。
【0245】この方法は従来のように感光体のアース側
に流れるDC電流を測定する方法と異なり、帯電部材に
流れるDC電流を測定するので帯電に寄与する電流のみ
を精度良く測定することができる。そして膜厚を測定す
るために特別な手段を設ける必要もないので、低コスト
で信頼性のある高い効果を得ることが可能である。
【0246】[V]以下に第1乃至第6の参考例を示
す。
【0247】〈第1の参考例〉(図20) 図20は本参考例のプリンターの要部の該略図である。
本参考例では、帯電ローラ1にかかる一次バイアスの高
圧回路1A中に、画像形成時に印加する高圧電源1A1
と、電流検知時に印加する高圧電源A2とを持ってい
る。
【0248】画像形成時には、一次バイアスの高圧回路
1A中のスイッチSがA側に入っており、A側の高圧回
路1A1は現像バイアスと連動して、濃度ボリュームの
変更により帯電電圧VD=−650〜−750Vの範囲
で変化する。
【0249】一方、電流測定時には、1次バイアスの高
圧回路1A中のスイッチSをB側に切り換えて、帯電ロ
ーラ1にかかる電圧を一定の直流電圧VMにして、濃度
ボリュームの変更に関係なく、帯電DC電流IDCを測定
できるようにした。
【0250】具体的に、帯電DC電流IDCの測定には、
1次バイアスの高圧回路1Aの保護抵抗R2の両端のD
C電流を測定する。また本参考例では誤差を少なくする
ために、測定は本体のシーケンスに同期させて、レーザ
露光後の露光部電位VLを直流定電圧VM印加時の電位に
上げる際の、感光体回転分の信号を平均化した値を用い
る。
【0251】実際に帯電DC電流を測定してみたとこ
ろ、画像形成時の印加電圧で測定したときは濃度ボリュ
ームを変更することによってIDC=11.6〜13.9
μAと変動していた帯電DC電流が、直流定電圧に切り
換えることによりIDC=12.8μAと、F値によらず
測定できた。
【0252】これより、本制御を行なうことによって、
F値の変更に影響されない簡易な測定装置の実現が可能
となり、濃度ボリュームの変更に対応するための測定装
置の複雑化やコストアップを除くことができた。
【0253】〈第2の参考例〉(図21〜図23) 図21は本参考例のプリンターの要部である濃度ボリュ
ームの概念図、図22は濃度ボリュームを変えたとき
の、現像バイアス電圧VDCと帯電電位VDの制御の概念
図である。
【0254】まず、ユーザが濃度ボリューム60を変え
ると、その変化量がA/Dコンバータ61により変換さ
れる。次に、その変化量に応じた現像バイアス電圧と帯
電電圧がCPU62で計算され、制御信号がD/Aコン
バータ63を通じて各々の高圧電源1A・4Aに送られ
る。そして現像コントラストと反転コントラストが調整
された電圧が印加され、ユーザが望む画像濃度と画像ラ
イン幅になる。
【0255】一方、帯電電流を測定するため、画像形成
時に印加する電圧と測定時に印加する電圧を、CPU6
2から出る制御信号を使って切り換える。
【0256】具体的には、画像形成時にはユーザの設定
した濃度ボリュームに従い、帯電DC電流測定時には1
次バイアス電源1Aの帯電電圧を一定の直流電圧VM
するようにCPUの制御を行なう。
【0257】図23に電流測定のシーケンスを示す。図
のように、画像信号の出ているときには一次DCバイア
スを濃度ボリュームに合わせVDとし、非画像形成時で
は一定の帯電電圧VMとする。また、帯電DC電流の検
知期間は、除電後の電位0Vの感光体1に帯電電圧VM
を印加し始めてからの感光体1周分とし、その間の測定
値の平均をとることにより精度を上げている。
【0258】実際に帯電電流を測定してみたところ、画
像形成時の印加電圧で測定したときは濃度ボリュームを
変更することによってIDC=15.1〜17.4μAと
変動していた帯電DC電流が直流定電圧に切り換えるこ
とによりIDC=16.2μAと、F値のよらず測定でき
た。
【0259】これより本制御を行なうことによって、F
値の変更に影響されない測定装置の実現が可能となり、
濃度ボリュームの変更に対応するための測定装置の複雑
化やコストアップを除くことができた。
【0260】〈第3の参考例〉(図24)本参考例 では接触転写部材(転写ローラ)5を利用して
感光体の膜厚を検知しており、図24はその要部図であ
る。
【0261】このプリンターはローラ形状の導電性接触
転写部材5にバイアスを印加し、加圧することによって
転写材にトナー像を転写している。この転写ローラ5は
転写財が介在しないときは感光体2に接触しているの
で、これを用いて感光体2の膜厚dを検知することが可
能である。
【0262】本参考例のプリンターでは、各種の転写材
によらずトナー像を良好転写するために、転写材の裏面
に一定以上の電荷を付与している。その方法として、転
写ローラ5にかけるバイアス条件を定電流制御としてい
る。また、転写電圧は反転現像なのでプラスであり、
参考例で用いたOPC感光体2は負性なので正キャリア
を有するため、感光体2はプラス電圧に対して低抵抗に
なる。
【0263】従って、転写ローラ5、転写材の抵抗によ
って印加バイアスが変化するため前記(1)式中のVco
ntrastが定まらず、さらに正バイアスでは(1)式にお
いてI=K・Vcontrast/dの関係が成立しないため、
現状の転写バイアスのままでは膜厚の検知か不可能であ
った。
【0264】そこで本参考例では、感光体膜厚検知のた
めの電流測定時に、転写ローラ5にかける電圧を画像形
成時のプラス電流制御から切り換えマイナス定電圧と
し、測定を可能とした。
【0265】具体的に転写電流を測定するには、非画像
形成時に転写ローラ5のバイアスを電気的に定電圧側
(図24中の高圧回路5AをスイッチB側)に切り替え
て行なう。また、転写ローラ5のバイアスは1次帯電と
同様にAC=1800vpp、550HZ、DC=−7
00VのAC+DC固定バイアスとし、高圧回路5Aの
保護抵抗R1の両端のDC電流を測定した。
【0266】実際に測定を行なったところ、本参考例
制御を行なわなかった時(図24中、スイッチA側)に
は測定不可能であったDC電流が、上記の定電圧を印加
して制御することによって、IDC=16.2μAと測定
でき、前記(1)式より計算して膜厚d=25μmと計
算できた。この感光体1の膜厚を測定すると25μmあ
り、本参考例の制御による測定の正しいことがわかっ
た。
【0267】これより、転写ローラ5での膜厚測定が、
本参考例での制御を行なうことによって可能となった。
【0268】以上第1乃至第3の参考例に示したよう
に、接触帯電部材を用い、被帯電体の帯電電位を一定量
Vcontrast帯電、または除電する時に流れるDC電流を
測定する際に、電子写真プロセスの諸設定に関わらず印
加電圧を一定とすることによって、プロセス設定の違い
に対応するための測定装置の複雑化を抑え、被帯電体の
露光部電位VLや膜厚dを低コストで測定することが可
能となった。
【0269】
【0270】〈第4の参考例〉(図25) 図25は本参考例のプリンターの要部の概略図である。
本参考例では、帯電ローラ1にかかる一次バイアスの高
圧回路1A中に帯電電位である直流電圧VDを測定する
回路と、帯電DC電位IDCを測定する回路を合わせ持つ
ことを特徴としている。
【0271】一次バイアスの直流成分である電圧VD
現像バイアスと連動して濃度ボリュームの変更にともな
い、VD=−650〜−750Vの範囲で変化する。こ
のため前記(1)式中のVcontrastが定まらず、帯電D
C電流IDCを測定するだけでは、感光体の膜厚d・露光
部電位VLを正しく検知することはできなかった。
【0272】そこで画像測定時には一次バイアスの高圧
回路中のスイッチをA側に入れて、直流電圧VDを測定
しておき、電流測定時にはスイッチをB側に切り換え
て、一次バイアスの高圧回路の保護抵抗R3の両端の直
流電圧を測定し帯電DC電流IDCを算出する。こうして
測定したVDと帯電DC電流IDCを用いて前記(1)式
より感光体の膜厚d・露光部電位VLを検知する。
【0273】実際に測定した一例として膜厚dを検知し
た例を示す。
【0274】膜厚のわかっている(d=25μm)感光
体を用いて除電後の電位0VからVD印加時の電位に上
げる際の帯電DC電流IDCを測定すると、濃度ボリュー
ムに応じてIDC=15.1〜17.4μAと測定され
る。VDを検知しないで演算しようとするとVDの値がわ
からないので代表値VD=−700Vで計算したところ
膜厚d=23.3〜26.9μmと下値によって膜厚が
かわってしまった。そこで本制御を行ないVDを測定し
た後スイッチを切り換えて帯電電流IDCを測定し、計算
したところ、膜厚d=25μmと下値によらず検知でき
た。
【0275】これより、本制御を行なうことによって、
濃度ボリュームの変更による電子写真プロセスの諸設定
の違いに合わせて感光体の状況検知を正しく行なうこと
が可能となった。
【0276】〈第5の参考例〉(図26・図27) 図26は本参考例のプリンターの要部の概略図である。
本参考例のプリンターでは接触AC帯電を用いている。
また現像バイアス高圧回路5A中に直流電圧を測定する
回路を持つことを特徴としている。
【0277】画像形成時には現像バイアスの直流電圧V
DCは一次バイアス高圧回路1Aの直流電圧VDと連動し
て、濃度ボリュームの変更により 現像電圧VDC=−400〜−600V、 一次バイアス直流電圧VD=−650〜−750V の範囲で図27のように変化する。
【0278】一方、電流測定時には現像ローラ41にか
かる現像バイアスの直流電圧VDCを電圧計で測定し、
この現像電圧VDCの測定値と図27の関係からVDを検
知する。そして同時に電圧計で測定した一次バイアス
の保護抵抗R3の両端の電圧から帯電DC電流IDCを算
出し、このIDCとVDを用いて前記(1)式より感光体
の膜厚d、露光部電位VLを検知する。
【0279】具体的に、帯電DC電流IDCの測定には図
26に示すように一次バイアスの高圧回路1Aの保護抵
抗R3の両端の直流電圧を測定し算出する。また本参考
では誤差を少なくするために、測定は本体のシーケン
スに同期させてレーザ露光後の露光部電位VLまたは除
電後の電位0Vから、VD印加時の電位に上げる際の感
光体一回転分の信号を平均化した値を用いる。
【0280】実際に測定した一例として露光電位VL
検知した例を示す。濃度ボリュームを変更するとそれに
応じて帯電DC電流IDC=11.6〜13.9μAと測
定される。VDの値を代表値VD=−700Vのままで計
算したところ、VL=−100〜−200VとF値によ
ってVLが変わってしまった。
【0281】そこで本制御を行ない帯電電流測定と同時
に現像電圧VDCを測定し、これより算定したVDを用い
て計算したところVL=−150VとF値によらず検知
できた。
【0282】これより本制御を行なうことによって濃度
ボリュームの変更による電子写真プロセスの諸設定の違
いに合わせた感光体の状況検知を正しく行なうことが可
能となった。
【0283】〈第6の参考例〉(図28) 図28は本参考例のプリンターの要部である濃度ボリュ
ームの概念図を示している。
【0284】まず、ユーザが濃度ボリューム60を変え
るとその変化量がA/Dコンバータ61により変換され
る。次にその変化量に応じた現像バイアス電圧と帯電電
圧がCPU62で計算され、制御信号がD/Aコンバー
タ63を通じて各々の高圧電源1A・4Aに送られる。
そして現像コントラストと反転コントラストの調整され
た電圧が印加され、ユーザが望む画像濃度と画像ライン
幅になる。
【0285】そこで本実施例では濃度ボリュームの変化
量をA/Dコンバータ61からCPU62に送る信号、
またはCPU62からD/Aコンバータ63に送る制御
信号を読み取り、この値から帯電時に印加する直流電圧
Dを検知することを特徴とする。
【0286】ただし図28に示したのはA/Dコンバー
タ61からCPU62に送る信号を読み取った例であ
る。
【0287】そしてこの直流電圧VDの値を用いて同時
に測定した帯電DC電流IDCより感光体の膜厚d、露光
部電位VLを検知する。
【0288】このような制御を行なうことによって前記
第4及び第5の参考例と同様に、濃度ボリュームの変更
による電子写真プロセスの諸設定に変化があっても、感
光体の状況検知を正しく行うことが可能となった。
【0289】以上第4乃至第6の参考例のように、接
帯電部材を用い被帯電体の帯電電位を一定量Vcontrast
帯電または除電するときに流れる直流電流を測定する際
に、あらかじめ帯電電位に相当する接触帯電装置に印加
する直流電圧を検知し、その電圧値を用いて感光体膜
厚、露光部電位VLを演算する手段を設けることによ
り、電子写真プロセスの諸設定に変化があっても被帯電
体の膜厚や露光部電位VLを正しく測定することが可能
となった。
【0290】
【発明の効果】本発明においては、像担持体としての被
帯電体(感光体)の露光部電位VLに対して接触AC帯
電を行い、これを帯電、または除電するときに流れる帯
電DC電流を測定する事によって電位VLを検知する事
が可能になった。そして、種々の要因での電位VL変動
によって発生する画像品質の劣化を防止するために露光
手段を制御し、どんな条件下でも電位VLを一定に保つ
事が可能になった。
【0291】これは、従来のように電位測定装置など電
位VLを測定するための特別な手段を設けることなし
に、帯電DC電流の測定でけで本発明を実現することが
可能なため、低コストで信頼性の高い効果を得ることが
可能である。具体的には電子写真装置本体設置時等に行
っていた露光量調整のメンテナンスが不要になり、カー
トリッジ方式のプロセスユニットでは、それぞれの感光
体感度を装置本体に伝えるために従来設けられていた、
いわゆる「感度コマ」を廃止する事が可能になった。
【0292】前述のように帯電DC電流IDCより露光部
電位VLを知ることが可能であり、特に接触AC帯電を
行なうことにより電位VLから安定して瞬時に電位VD
収束するため本手法は少ない誤差で測定を行うことがで
きる。
【0293】また接触帯電方式であるがゆえに、接触帯
電部材から出力される電流がすべて感光体を帯電(除
電)する電荷量となるから、この電流を測定するだけで
帯電電流(除電電流)を直接検出することができ、コロ
ナ帯電器のようにシールド電流を分離したり、あるいは
現像の転写等を分離した感光体への流入電流を測定した
りする必要がなく、たいへん簡易に帯電電流が測定でき
る。
【0294】本発明においては、感光体露光部電位VL
に対して、接触帯電を行ない、これを帯電または除電す
るときに流れる帯電(除電)DC電流IDCを測定するこ
とによりこの検知された帯電DC電流(除電)の値に応
じて種々の作像プロセス条件(電子写真プロセス条件)
を変化させることで種々の要因での露光部電位VL変動
によって発生する画像品質の劣化防止を低コストで簡単
に実現可能となった。
【0295】本発明においては、感光体露光部電位VL
に対して接触AC帯電を行い、これを帯電する時に流れ
るDC電流を測定する際に転写部材による誤測定の影響
を防止することが可能になった。その結果、種々の要因
でのVL変動によって発生する画像品質の劣化を防止す
るために露光手段を制御し、どんな条件下でもVLをよ
り一層精度良く一定に保つことが可能になった。
【0296】これは、従来のように電位測定装置等VL
を測定するための特別な手段を設けることなしに、帯電
DC電流の測定だけで信頼性の高い効果を得ることが可
能である。具体的には、電子写真装置本体設置時等に行
っていた露光量調整のメンテナンスが不要になり、カー
トリッジ方式のプロセスユニットでは、それぞれ感光体
感度を装置本体に伝えるために従来設けられていた所謂
「感度コマ」を廃止することが可能になった。
【0297】本発明においては、接触AC帯電を行い、
電圧が印加される転写装置を有する画像形成装置におい
て、被帯電体の帯電電位を一定量Vcontrast帯電、また
は除電するときに接触帯電部材に流れるDC電流を測定
し、このDC電流測定時の転写電圧を制御することによ
り感光体の帯電電位を変化させることがないので正確に
被帯電体の膜厚を測定することができた。そしてこの膜
厚がある値以下になったときに警告を与えることによっ
て、電子写真における画像不良の発生を未然に防ぐこと
が可能になった。
【0298】この方法は従来のように感光体のアース側
に流れるDC電流を測定する方法と異なり、帯電部材に
流れるDC電流を測定するので帯電に寄与する電流のみ
を精度良く測定することができる。そして膜厚を測定す
るために特別な手段を設ける必要もないので、低コスト
で信頼性のある高い効果を得ることが可能である。
【0299】本発明においては、接触帯電部材を用い、
被帯電体の帯電電位を一定量Vcontrast帯電、または除
電する時に流れるDC電流を測定する際に、電子写真プ
ロセスの諸設定に関わらず印加電圧を一定とすることに
よって、プロセス設定の違いに対応するための測定装置
の複雑化を抑え、被帯電体の露光部電位VLや膜厚dを
低コストで測定することが可能となった。
【0300】本発明においては、接触帯電部材を用い被
帯電体の帯電電位を一定量Vcontrast帯電または除電す
るときに流れる直流電流を測定する際に、あらかじめ帯
電電位に相当する接触帯電装置に印加する直流電圧を検
知し、その電圧値を用いて感光体膜厚、露光部電位VL
を演算する手段を設けることにより、電子写真プロセス
の諸設定に変化があっても被帯電体の膜厚や露光部電位
Lを正しく測定することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施例の画像形成装置(レーザビーム
プリンター)の概略図
【図2】 露光部電位検知、帯電DC電流測定シーケン
ス図
【図3】 制御フローチャート
【図4】 (a)はピンホールへのリーク電流の説明
図、(b)は第2の実施例装置における帯電DC電流測
定要領説明図
【図5】 測定のシーケンス図
【図6】 測定のフローチャート
【図7】 第3の実施例装置の感光体膜厚検知のフロー
チャート
【図8】 第4の実施例装置の制御フローチャート
【図9】 第5の実施例装置の制御フローチャート
【図10】 第6の実施例装置の制御フローチャート
【図11】 第7の実施例装置の要部の概略図
【図12】 第8の実施例装置の要部の概略図
【図13】 (a)及び(b)は第9の要部の概略図
【図14】 第11の実施例装置の制御シーケンス図
【図15】 膜厚検知に用いる一次DC電流波形
【図16】 電圧印加要領図
【図17】 感光体膜厚dと帯電DC電流Iの関係を表
わすグラフ
【図18】 一次DC電流検知構成回路の概念図
【図19】 第12の実施例装置の概略構成図
【図20】 第1の参考例装置の要部の概略図
【図21】 第2の参考例装置の制御系のブロック図
【図22】 濃度ボリュームを変えたときの、現像バイ
アス電圧と帯電電位の制御の概念図
【図23】 制御のシーケンス図
【図24】 第3の参考例装置の要部の概略図
【図25】 第4の参考例装置の要部の概略図
【図26】 第5の参考例装置の要部の概略図
【図27】 濃度ボリュームを変えたときの、現像バイ
アスと帯電電圧の制御の概念図
【図28】 第6の参考例装置の制御系のブロック図
【符号の説明】
1 接触帯電部材(帯電ローラ) 2 被帯電体(感光体) 3 レーザスキャナ 4 現像器 5 転写ローラ 6 クリーニング器 7 定着ローラ 8 プロセスカートリッジ 1A・4A・5A バイアス印加電源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橋本 典夫 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 渋谷 卓史 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 古屋 正 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−9883(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 15/00 G03G 15/02 G03G 15/04 G03G 15/043 G03G 15/06

Claims (22)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 感光体と、感光体と接触し直流成分と交
    流成分が重畳した電圧が印加される帯電部材と、帯電部
    材により帯電された感光体を、デジタル画素信号に対応
    して変調した光により選択的に除電することで静電潜像
    を形成する露光手段と、静電潜像を現像する現像手段
    と、感光体上の現像像を転写材に転写する転写手段と、
    を有し、帯電部材は転写後電位を除去されていない感光
    体を帯電する画像形成装置において、 前記帯電手段により表面を電位VDに帯電した感光体に
    記露光手段による露光で除電された露光部電位VL
    を帯電部材により所定電位V1に帯電させるときに帯電
    部材に流れる直流電流IDCを測定し、この測定値を元に
    電位VLを検知することを特徴とする画像形成装置。
  2. 【請求項2】 電流IDCの測定は、接触帯電部材に電力
    を供給する電源に対して直接流入あるいは流出する電流
    で行なわれることを特徴とする請求項1に記載の画像形
    成装置。
  3. 【請求項3】 検知した露光部電位VLを基にして露光
    手段の条件を制御することを特徴とする請求項1に記載
    の画像形成装置。
  4. 【請求項4】 露光手段の制御対象が光量(光強度)で
    あることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
  5. 【請求項5】 あらかじめ接触帯電部材によって感光体
    の表面電位を電位V2から電位V3に変化させるときに
    流れる直流電流IDC′を測定することによって感光体
    膜厚dを検知し、これに基づいて露光部電位VLを検知
    することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  6. 【請求項6】 接触帯電部材に印加する電圧が、所望す
    感光体の電位に相当する直流成分と、感光体の帯電開
    始電圧Vthの2倍以上のピーク間電圧を持つ交流成分を
    重畳したものであることを特徴とする請求項1に記載の
    画像形成装置。
  7. 【請求項7】 接触帯電部材に印加する電圧の直流成分
    を電圧V2と電圧V3に切り換える手段を有することを
    特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
  8. 【請求項8】 電圧V1=0であることを特徴とする請
    求項1に記載の画像形成装置。
  9. 【請求項9】 接触帯電部材がローラ形状を成している
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  10. 【請求項10】 感光体と、感光体と接触し直流成分と
    交流成分が重畳した電圧が印加される帯電部材と、帯電
    部材により帯電された感光体を、デジタル画素信号に対
    応して変調した光により選択的に除電することで静電潜
    像を形成する露光手段と、静電潜像を現像する現像手段
    と、感光体上の現像像を転写材に転写する転写手段と、
    を有し、帯電部材は転写後電位を除去されていない感光
    体を帯電する画像形成装置において、 前記帯電手段により表面を電位VDに帯電した感光体に
    記露光手段による露光で除電された露光部電位VL
    を帯電部材により所定電位V1に帯電させるときに帯電
    部材に流れる直流電流IDCを測定し、この測定値に応じ
    て作像プロセス条件を制御することを特徴とする画像形
    成装置。
  11. 【請求項11】 電流IDCの測定は、接触帯電部材に電
    力を供給する電源に対して直接流入あるいは流出する電
    流で行なわれることを特徴とする請求項10に記載の画
    像形成装置。
  12. 【請求項12】 作像プロセス条件の変化対象が現像バ
    イアス条件であることを特徴とする請求項10に記載の
    画像形成装置。
  13. 【請求項13】 作像プロセス条件の変化対象が帯電バ
    イアスであることを特徴とする請求項10に記載の画像
    形成装置。
  14. 【請求項14】 電位V1=0であることを特徴とする
    請求項10に記載の画像形成装置。
  15. 【請求項15】 像担持体としての被帯電体に帯電処理
    工程を含む作像プロセスを適用して画像形成物を出力さ
    せる画像形成装置において、 表面が電位VDに帯電された被帯電体に、デジタル画素
    信号に対応して変調した光により選択的に除電すること
    で静電潜像を形成する露光手段による露光で除電された
    露光部電位VLを接触帯電を行なうことによって電位V
    1にまで帯電させる時に接触帯電部材に流れる直流電流
    DCを測定し、これを基にして電位VLを検知する手段
    と、 被帯電体に形成された画像を転写材に転写する転写手段
    とを有し、前記直流電流IDC測定時は、前記被帯電体露
    光部電位VLの転写部通過前後の電位変動が略0Vであ
    るように前記転写手段を制御することを特徴とする画像
    形成装置。
  16. 【請求項16】 電流IDCの測定は、接触帯電部材に電
    力を供給する電源に対して直流流入あるいは流出する電
    流で行なわれることを特徴とする請求項15に記載の画
    像形成装置。
  17. 【請求項17】 転写手段の転写部材が被帯電体に接触
    していることを特徴とする請求項15に記載の画像形成
    装置。
  18. 【請求項18】 露光部電位VL検知時は、転写手段に
    印加する電圧を帯電された被帯電体表面電位VDと0V
    の間に制御することを特徴とする請求項15に記載の画
    像形成装置。
  19. 【請求項19】 露光部電位VL検知時に電気回路上で
    転写部材を電気的にフロートにすることを特徴とする請
    求項17に記載の画像形成装置。
  20. 【請求項20】 露光部電位VL検知時には転写部材を
    被帯電体表面から物理的に離し接触させないことを特徴
    とする請求項17に記載の画像形成装置。
  21. 【請求項21】 転写手段がコロナ放電を利用した手段
    であることを特徴とする請求項15に記載の画像形成装
    置。
  22. 【請求項22】 露光部電位VL検知時には転写バイア
    スを0Vにすることを特徴とする請求項17に記載の画
    像形成装置。
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