JP3238953B2 - 物体検知装置 - Google Patents

物体検知装置

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JP3238953B2
JP3238953B2 JP23330692A JP23330692A JP3238953B2 JP 3238953 B2 JP3238953 B2 JP 3238953B2 JP 23330692 A JP23330692 A JP 23330692A JP 23330692 A JP23330692 A JP 23330692A JP 3238953 B2 JP3238953 B2 JP 3238953B2
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雅之 増田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、所定の検知エリア内に
物体が存在するか否かを検知する物体検知装置に係り、
特に位置検出素子として半導体位置検出素子(Position
Sensitive Detectors)(以下、PSDと称す)に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、位置検出素子としてPSDを用い
た物体検知装置が知られている。その概略の構成を図5
を参照して説明する。物体検知装置は、投光部1、受光
部2、信号処理部3を備える。投光部1は発光ダイオー
ド(LED)等からなる発光素子4と、該発光素子4を
パルス点灯させるためのパルス点灯回路5と、発光素子
4が発するパルス光を所定の検知エリアへ投光するため
の光学手段であるレンズ6を備えている。
【0003】受光部2は位置検出素子としてのPSD7
と、検知エリア方向からの反射光をPSD7の受光面上
に集束結像させるための光学手段であるレンズ8を備え
ている。ここで、受光部2は投光部1および検知エリア
に対して三角測量的に配置されているものである。
【0004】検知エリア内に被検知物体18が存在しな
い場合には、投光部1から投光されたパルス光は図中実
線で示すように壁面や床面等の背景19で反射され、そ
の反射光はレンズ8によりPSD7の受光面上のP1
位置に結像される。PSD7からは受光面上の反射光の
結像位置に応じた二つの電流I1 ,I2 が出力される
が、これらは信号処理部3において次のように処理され
る。
【0005】まず、これら二つの出力電流I1 ,I2
電流/電圧変換回路(以下、I/V変換回路と称す)
9,12によってそれぞれ電圧V1 ,V2 に変換され、
増幅率αの増幅器10,13に入力される。この際、図
のPSD7の受光面上の結像位置から分かるようにI1
>I2 であり、従ってV1 >V2 となるので、増幅器1
0,13の出力αV1 ,αV2 にはαV1 >αV2 の関
係が成り立つ。
【0006】ここでAGC回路11は、αV1 が飽和す
ることがないように監視し、二つの増幅器10,13の
増幅率αを実用範囲内で制御する。増幅器10,13の
出力αV1 ,αV2 は演算回路14に入力されて所定の
演算処理、例えば (αV1 −αV2 )/(αV1 +αV2 ) =(V1 −V2 )/(V1 +V2 ) …(1) あるいは V1 /(V1 +V2 ) …(2) 等の演算が施され、被検知物体までの距離を示す信号
(以下、距離信号と称す)が生成される。この距離信号
は比較手段15に入力され、比較基準設定手段16によ
って予め設定されている基準値と比較される。
【0007】出力回路17は比較手段15の出力に応じ
て所定の処理を行うものであり、例えば比較手段15の
出力が被検知物体の存在を示すものである場合には被検
知物体有りを示す信号を出力する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、投光部1及
び受光部2から背景19までの距離は当該物体検知装置
の取り付け位置に応じて変化するものであり、従って比
較手段15における基準値も背景19までの距離に応じ
て変更する必要がある。なぜなら比較手段15の基準値
は、当該検知エリア内に被検知物体が存在しない場合に
得られる距離信号、即ち背景19までの距離に対応する
距離信号である必要があるからである。
【0009】そのために、従来の物体検知装置において
は、可変抵抗器等から構成される比較基準設定手段16
によって当該基準値を変更できるようになされるのが通
常であるが、この基準値の設定は物体検知装置の取り付
けの度毎に、しかも手作業で行わざるを得ないものであ
り、非常に面倒、且つ煩わしいものであるばかりでな
く、その設定を誤ると誤動作の原因となるものであっ
た。
【0010】また、信号処理部3のAGC回路11は信
号の安定化を図るために設けられているものであるが、
制御可能な信号レベルの範囲には限界があり、PSD7
からの出力が非常に小さい場合にはノイズ成分をも増幅
してしまうので、S/N比の向上を期待することはでき
ないものであった。
【0011】これに対して、AGC回路を設ける代わり
に、発光素子4の発光光量を増幅器10または増幅器1
3の出力信号レベルに応じて変化させることによって信
号の安定化を図るようにすることも提案されているが、
回路構成が複雑になるものであり、またLEDに供給で
きる電流には限界があるので、S/N比を飛躍的に向上
させることは非常に困難なものである。
【0012】更に、演算回路14において上記(1)式
で示す演算を施した場合には、そのPSDの受光面上の
結像位置(x)における演算特性は、図6のグラフに示
すように、PSDの受光面の中心x0 を中心として対称
となるので、PSDの受光面の中心から一方の半分しか
使うことができず、また組み立て誤差等によって他方の
側に反射光が結像された場合には誤動作の原因となるも
のであった。
【0013】従ってこのような誤動作を防止するために
は受光レンズ8の中心とPSD7の受光面の中心を高い
精度で一致させる必要があり、組み立てが非常に面倒な
ものであった。
【0014】また、上記(2)式の演算を施した場合に
は、その演算特性は図7に示すようになり、PSDの全
受光面を使用することが可能なため、上述したようなレ
ンズとPSDの光軸調整は必要としないものの、(1)
式の結果得られる特性よりも特性曲線の傾きが穏やかで
あるので、物体検知の分解能が低下するという問題があ
る。
【0015】また更に、(2)式の演算を行うためには
加算回路と除算回路が必要であり、(1)式の演算を行
うためには更にそれに加えて減算回路も必要となるので
回路構成が複雑であり、且つコストがかかるという問題
があった。
【0016】本発明は、上記の課題を解決するものであ
って、比較手段に供給する基準値、即ち物体検知の基準
となる距離に対応するレベルの設定を容易に、高精度に
行うことができるばかりでなく、信号が飽和することが
なく、しかも従来に比較してS/N比を大幅に向上させ
ることができる物体検知装置を提供することを目的とす
るものである。
【0017】また本発明は、簡単な回路構成で、距離に
対する分解能が高い物体検知装置を提供することを目的
とするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の物体検知装置は、所定の検知エリアに向
けて投光ビームを投光する投光部と、位置検出素子とし
ての半導体位置検出素子と、その前面に配置される集光
光学系を備えてなり、前記投光部及び前記検知エリアに
対して三角測量的に配置されて前記投光部から投光され
た投光ビームの検知エリアからの反射光を受光する受光
部と、前記半導体位置検出素子の出力信号を処理する信
号処理手段とを備える物体検知装置において、前記集光
光学系の光軸は前記半導体位置検出素子の受光面の中心
位置から受光面の長手方向のいずれかの方向にずらされ
てなり、前記信号処理手段は、前記半導体位置検出素子
の二つの電流出力のうちの前記集光光学系の光軸がずら
されている側の電流出力を電圧に変換する第1の電流/
電圧変換手段と、前記半導体位置検出素子の他方の側の
電流出力を電圧に変換する第2の電流/電圧変換手段
と、前記第1及び第2の電流/電圧変換回路の出力電圧
をそれぞれ前記投光部の投光タイミングに同期して積分
する第1及び第2の積分手段と、前記第2の積分手段の
出力電圧が所定の閾値になったときに前記第1の積分手
段の出力電圧をA/D変換するA/D変換手段と、前記
A/D変換手段の出力値を物体検知のための基準値とし
て記憶するメモリ手段と、前記A/D変換手段の出力値
を前記メモリ手段に書き込むためのタイミングを与える
タイミング手段と、前記A/D変換手段の出力値と前記
メモリ手段に書き込まれている基準値とを比較して物体
が存在すると判断される場合には物体が存在する旨を示
す信号を出力する比較手段と、前記A/D変換手段のA
/D変換動作が終了した後に前記第1及び第2の積分手
段をリセットするリセット手段とを備えることを特徴と
する。
【0019】
【作用および発明の効果】本発明においては、メモリ手
段と、タイミング手段とを備える。メモリ手段は比較手
段において物体検知のための基準値として用いられる値
を格納するものであり、タイミング手段はこのメモリ手
段に基準値を書き込むタイミングを与えるものである。
従ってメモリ手段はタイミング手段から書き込みタイミ
ングを与えられると、そのときA/D変換手段から出力
されるデジタル値を書き込む。これが基準値である。こ
れによって物体検知の判定基準となる背景までの距離に
対応した距離信号を直接基準値として比較手段に設定す
ることができるので、物体検知を高精度に行うことがで
きるばかりでなく、その設定、変更を容易に行うことが
できる。
【0020】また、本発明においてはPSDの前面に配
置される集光光学系の光軸はPSDの受光面の中心位置
からその長手方向のいずれかの方向にずらされている。
このずれ量は集光光学系との位置調整を必要とする程正
確さを要求されるものではないので、組み立ての際の位
置調整の手間が省けるものである。
【0021】更に、本発明においては距離信号は、第2
の積分手段の出力電圧が所定の閾値になったときに前記
第1の積分手段の出力電圧をA/D変換することにより
得られるので、距離の分解能を従来より大幅に向上させ
ることができる。また、従来のような演算を行う回路は
不要であるので、安価に構成することができる。
【0022】また更に本発明ではAGC回路は設けず、
PSDの二つの出力電流をそれぞれ電圧に変換した後に
投光部の投光タイミングに同期して積分する積分手段を
備えているので、背景からの反射光が非常に微弱なもの
であってもn回積分することによってS/N比をn1/2
倍に改善させることができ、信号が飽和することも防止
することができるものである。
【0023】
【実施例】以下、図面を参照しつつ実施例を説明する。
図1は本発明に係る物体検知装置の一実施例の構成を示
す図であり、図中、20は制御手段、21は投光部、2
2は駆動回路、23は赤外線を発光する発光ダイオード
(以下、LEDと称す)、24はレンズ、31は受光
部、32はレンズ、33はPSD、34,35はI/V
変換回路、36,37はスイッチ、38,39は積分回
路、40,41はリセットスイッチ、44は比較回路、
45はA/D変換回路、46は操作部、47はメモリ、
48は比較器、49は出力回路、51、52はハイパス
フィルタ(以下、HPFと称す)、53は基準電圧発生
回路を示す。
【0024】図1において、制御手段20は当該物体検
知装置の各部の動作を統括して管理するものであり、マ
イクロプロセッサ及びその周辺回路で構成される。な
お、その動作の詳細については後述する。投光部21
は、LED23、LED23を駆動するための駆動回路
22及びLED23から発光されるパルス光を所定の検
知エリアの方向へ投光するためのレンズ24を備えてい
る。駆動回路22は、例えば図示のような定電流回路で
構成され、制御手段20から出力されるドライブ信号D
Rが所定のレベル、例えば図2Aに示すようにハイレベ
ルのときだけに動作するようになされている。
【0025】受光部31はPSD33及び検知エリア方
向からの反射光をPSD33の受光面上に結像させるた
めの集光光学系としてのレンズ32を備えているが、レ
ンズ32の光軸はPSD33の受光面の中心位置より受
光面の長手方向にオフセット量DOFだけずらされて配置
されている。
【0026】PSD33の出力電流I1 ,I2 は、それ
ぞれ、I/V変換回路34,35によって電圧に変換さ
れ、HPF51、52に入力される。HPF51、52
は外乱光によるノイズ成分を除去するために設けられて
いるものである。
【0027】スイッチ36、37はLED23の発光と
同期して閉路される。即ち、スイッチ36、37はドラ
イブ信号DRがハイレベルの時だけ閉路される。
【0028】積分回路38のリセットスイッチ40及び
積分回路39のリセットスイッチ41は通常は開路され
ているので、スイッチ36、37を介して入力される信
号は順次積分される。積分回路38の出力電圧V1 は比
較回路44に入力され、予め定められた基準電圧V0
比較される。
【0029】比較回路44はV1 と基準電圧V0 とを比
較し、V1 <V0 である場合にはハイレベル、V1 ≧V
0 である場合にはローレベルを出力するが、この比較回
路44は動作の安定化を図るためにヒステリシスを有す
るコンパレータ回路等で構成される。ヒステリシスを有
しない比較回路ではハイレベルからローレベルに立ち下
がるときの閾値VTH1 と、ローレベルからハイレベルに
立ち上がるときの閾値VTH2 とは同じ値であり、次のよ
うな不具合を生じる。即ち、積分回路38の出力電圧V
1 は信号積分の効果によりS/N比の向上が図られてい
るものの、ノイズ成分が皆無ではなく、従ってノイズあ
るいはその他の要因により出力電圧V1は変動すること
があり、その電圧変動が図3Aに示すように閾値VTH1
(=VTH 2 )の近傍で生じた場合には比較回路44の出
力VCOM は図3Bに示すようにローレベルとハイレベル
を頻繁に繰り返すことになって安定した出力を得ること
ができない。
【0030】これに対してヒステリシスを有する比較回
路においては、VTH1 >VTH2 となるように設定されて
いるので、図3Cに示すように積分回路44の出力電圧
1が多少変動したとしても、V1 がVTH2 を下回らな
い限り、図3Dに示すように一旦ローレベルになるとそ
の状態を維持するので、安定した出力を得ることができ
る。なお、図1に示す比較回路44においてはVTH1
TH2 との差、即ちヒステリシスの幅は、VC ×R1
(R1 +R2 )で与えられるが、実際には 0.1V程度あ
ればよいものである。
【0031】以上のように背景あるいは検知物体からの
反射光に基づく信号は投光のタイミングに同期して順次
積分されるので、従来のAGC回路を用いた場合に比較
して、S/N比を大幅に向上させることができるもので
ある。例えば、遠くに反射率の小さい物体があった場合
には、反射光は非常に弱いものとなるが、反射光に基づ
く信号は投光の度毎に積分されていくので、積分回路3
8、39からはS/N比の良好な出力信号を得ることが
できる。
【0032】比較回路44の出力信号VCOM は制御手段
20に転送される。そして、制御手段20は信号VCOM
を監視して、図2B,Cに示すように信号VCOM がロー
レベルになると所定のタイミングでA/D変換回路45
にA/D変換動作の開始を指示する信号ADを出力し、
その後、A/D変換動作が終了すると図2Dに示すよう
に積分回路38のリセットスイッチ40及び積分回路3
9のリセットスイッチ41に対して閉路とする信号RE
Sを出力する。積分回路38、39は、(n+1)回目
の積分動作が行われるまではn回目の積分値を保持する
ので、サンプル/ホールドの機能をも備えているもので
あり、従ってn回目の積分動作が終了した後で且つ(n
+1)回目の積分動作が開始される前に信号VCOM がロ
ーレベルとなり、制御手段20から信号ADが出力され
た場合にはA/D変換回路45は積分回路39から安定
した出力電圧V2 を取り込んでA/D変換を行うことが
できる。
【0033】また、積分回路38、39のリセットスイ
ッチ40、41は信号RESの立ち上がりで閉路され、
これによって積分回路38、39はリセットされる。従
ってこのときには比較回路44の出力信号VCOM は図2
Bに示すようにハイレベルとなる。
【0034】なお、制御手段20が信号RESを出力す
るタイミングは適宜設定することができる。例えば、A
/D変換回路45がA/D変換の開始が指示されてから
入力端子VINに与えられる電圧を取り込むまでに要する
時間は使用するA/D変換回路によって定まっているか
ら、信号ADを出力してから当該時間が経過した後に信
号RESを出力するようにしてもよいし、また、制御手
段20はA/D変換回路45から出力データが転送され
たことを検知したときに信号RESを出力するようにす
ることもできる。
【0035】A/D変換回路45は、制御手段20から
の信号ADを受けると、 VIN/(VREF(+)−VREF(-)) …(3) の値をデジタル値として出力するが、図1においてはV
REF(-)の端子は接地されているので、 VIN/VREF(+)=V2 /VREF(+) …(4) の値をデジタル化することになる。しかし、図1に示す
構成では VREF(+)/V0 =VREF(+)/V1 …(5) の関係が成り立ち、この(5)式の値をKとすると、K
>1であり、(4)式は V2/VREF(+)=V2/K×V1=(1/K)×V2/V1 …(6) となる。従ってA/D変換回路45の出力は(6)式の
値をデジタル化したものとなる。このA/D変換回路の
出力が検知エリア内の背景または物体までの距離を示す
ものであることは明かである。(以下、これを距離デー
タと称す)。また物体の反射率の相違により積分される
回数は異なるが、同じ距離にある場合にはA/D変換回
路45の出力は同一であることも明らかである。
【0036】また、A/D変換回路45の出力特性は図
4に示すようになり、従来に比較して遠距離において分
解能が向上することが分かる。即ち、PSD33からの
出力電流I2 をI1 で除算した値は、 I2 /I1 =(L−2x)/(L+2x) …(7) で与えられる。なお、LはPSD33の受光面長さであ
り、また図4における横軸xの原点はPSD33の受光
面の中心位置である。そして、PSD33からの出力電
流I1 ,I2 はI/V変換回路34、35でそれぞれ電
流値に比例した電圧値に変換されるので、I2 /I1
2 /V1 とすることができる。ここで図1の構成にお
いていま、レンズ32の光軸とPSD33の受光面が交
差する位置に結像したとすると、即ち、無限遠点から赤
外線が入射した場合の結像位置を図4のPの位置とする
と、レンズ32の光軸とPSD33の受光面中心はオフ
セット量DOFだけずらされているので、V2 >V1 であ
り、従ってPSD33の受光面上の結像位置xに対する
2 /V1 の演算の特性は図4のようになるのである。
従って、有限の位置から反射してきた反射光の結像点
が、被検知物体が当該物体検知装置に近付くにつれてP
SD33の受光面上の中心を通り図4中の左方向へ移動
するようにレンズ32とPSD33とを配置するように
するとよいことが分かり、これによれば遠距離での分解
能を向上させることができる。なお、光結像位置xの点
Pからの変位量△xは、受光レンズ32の焦点距離を
f、基線長、即ち投光部21のレンズ24と受光部31
のレンズ32の中心間距離をS、物体までの距離をLと
して、△x=f×S/Lで求めることができる。この式
より、物体が近づくにつれて△xが大きくなり、近距離
の方が分解能が向上することが分かる。即ち、A/D変
換回路の出力特性と光学的特性は相補的な関係にあると
いえる。
【0037】さて、制御手段20は、押ボタンスイッチ
等のスイッチで構成される操作部46が操作された場合
には、その直後にA/D変換回路45からの距離データ
をメモリ47に書き込むが、操作部46が操作されてい
ない場合には距離データを比較器48に転送する。即
ち、操作部46はメモリ47の書き込みタイミングを与
えるものである。
【0038】比較器48は、A/D変換回路45から転
送された距離データとメモリ47に書き込まれている基
準値としての距離データとを比較して物体の存在の有無
を示す信号を出力するものであり、扱うデータが2値化
されたデジタル値であることを除けばその動作は図5に
示す従来の物体検知装置の比較手段15と同じである。
また出力回路49も図5に示す出力回路17と同様であ
る。
【0039】従って、この物体検知装置を設置した後に
操作部46を操作することによってメモリ47に物体検
知のための距離の基準となる距離データを書き込むこと
ができる。そして、一旦距離の基準を設定した後に検知
エリアが変更された場合等、距離の基準を変更する必要
が生じた場合には再度操作部46を操作することによっ
て、新たな距離の基準をメモリ47に書き込むことがで
きるものである。
【0040】このような物体検知装置は種々の用途に使
用することができ、例えば駐車場の駐車スペース毎に車
輌の有無を検知するためのセンサーとして使用した場合
について説明すれば以下のようになる。
【0041】天井の高さは駐車場によって異なるもので
あるから、従来のように手作業により物体検知の基準値
である距離の設定を可変抵抗器等で行っていたのでは大
変時間を要するが、上記の構成によればこの物体検知装
置を天井に設置した後に操作部46を操作するだけで簡
単に背景である床面までの距離データを基準値としてメ
モリ47に書き込むことができ、これによって駐車スペ
ースに車輌が存在する場合には、車輌の存在を示す信号
を出力することができる。また逆に、車輌が存在すると
きに操作部46を操作して基準値をメモリ47に書き込
んだ場合には、車輌が出車したときはその旨を示す信号
を出力することができる。
【0042】以上、本発明の一実施例について説明した
が、本発明は上記実施例に限定されあるものでなく種々
の変形が可能である。例えば、制御手段、比較手段、メ
モリ、A/D変換回路を1パッケージのマイクロコンピ
ュータIC等で構成することができ、その場合には部品
点数も少なくなり、且つコストダウンを図ることが可能
である。
【0043】また、上記実施例では操作部は作業者が手
で操作するとしたが、電源投入時に自動的に物体検知の
基準となる距離データをメモリに書き込むようにすれば
一度に多数の物体検知装置に対して基準値の設定が可能
である。更に、メモリに値の異なる二つの基準値を記憶
させて所望の範囲内、または所望の範囲外の大きさを有
する物体だけを検知することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例の構成を示す図である。
【図2】 図1の構成で用いられる信号のタイミングを
示す図である。
【図3】 比較回路44のヒステリシスを説明するため
の図である。
【図4】 本発明の効果を説明するための図である。
【図5】 PSDを用いた物体検知装置の従来の構成例
を示す図である。
【図6】 従来の物体検知装置の問題を説明するための
図である。
【図7】 従来の物体検知装置の問題を説明するための
図である。
【符号の説明】
20…制御手段、21…投光部、22…駆動回路、23
…LED、24…レンズ、31…受光部、32…レン
ズ、33…PSD、34,35…I/V変換回路、3
6,37…スイッチ、38,39…積分回路、40,4
1…リセットスイッチ、44…比較回路、45…A/D
変換回路、46…操作部、47…メモリ、48…比較
器、49…出力回路、51、52…ハイパスフィルタ、
53…基準電圧発生回路。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01C 3/00 - 3/32 G01V 1/00 - 13/00 G02B 7/11

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】所定の検知エリアに向けて投光ビームを投
    光する投光部と、 位置検出素子としての半導体位置検出素子と、その前面
    に配置される集光光学系を備えてなり、前記投光部及び
    前記検知エリアに対して三角測量的に配置されて前記投
    光部から投光された投光ビームの検知エリアからの反射
    光を受光する受光部と、 前記半導体位置検出素子の出力信号を処理する信号処理
    手段とを備える物体検知装置において、 前記集光光学系の光軸は前記半導体位置検出素子の受光
    面の中心位置から受光面の長手方向のいずれかの方向に
    ずらされてなり、 前記信号処理手段は、 前記半導体位置検出素子の二つの電流出力のうちの前記
    集光光学系の光軸がずらされている側の電流出力を電圧
    に変換する第1の電流/電圧変換手段と、 前記半導体位置検出素子の他方の側の電流出力を電圧に
    変換する第2の電流/電圧変換手段と、 前記第1及び第2の電流/電圧変換回路の出力電圧をそ
    れぞれ前記投光部の投光タイミングに同期して積分する
    第1及び第2の積分手段と、 前記第2の積分手段の出力電圧が所定の閾値になったと
    きに前記第1の積分手段の出力電圧をA/D変換するA
    /D変換手段と、 前記A/D変換手段の出力値を物体検知のための基準値
    として記憶するメモリ手段と、 前記A/D変換手段の出力値を前記メモリ手段に書き込
    むためのタイミングを与えるタイミング手段と、 前記A/D変換手段の出力値と前記メモリ手段に書き込
    まれている基準値とを比較して物体が存在すると判断さ
    れる場合には物体が存在する旨を示す信号を出力する比
    較手段と、 前記A/D変換手段のA/D変換動作が終了した後に前
    記第1及び第2の積分手段をリセットするリセット手段
    とを備えることを特徴とする物体検知装置。
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