JP3238851B2 - 電気めっき槽及び通板方法 - Google Patents

電気めっき槽及び通板方法

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JP3238851B2 JP19198895A JP19198895A JP3238851B2 JP 3238851 B2 JP3238851 B2 JP 3238851B2 JP 19198895 A JP19198895 A JP 19198895A JP 19198895 A JP19198895 A JP 19198895A JP 3238851 B2 JP3238851 B2 JP 3238851B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電気めっき槽及び通
板方法に関する。
【0002】
【従来の技術】水平型電気めっき槽内をストリップを通
過させてめっきをする装置ではストリップを上下電極間
の中央に安定的に保持することが必要である。これを達
成するための従来次のような技術が知られている。 (a)電極内に均圧室を設けると共に内側に穴を設けた
電極ボックスにて、液圧変動を吸収し振動を防止する技
術(特開平5−78893号公報)。この技術は電極に
均圧室や複数の穴を設ける場合、設備構造が複雑にな
り、保全性に問題がある。 (b)電極内側にテーパを有する突起を設置し、揚力に
よってストリップを支持する(特開平3−20494号
公報)か又は電極内に絶縁性回転体を設けストリップを
機械的に支持する技術(実開昭60−161167号公
報)。このように電極内に突起物や回転体を設けると、
ストリップを安定的に通板することができるが、めっき
面が突起物や回転体との接触により傷ついたり、めっき
が不均一になるという問題がある。 (c)ストリップ信号方向中央部に設けたノズルよりめ
っき液を供給し、その静圧によってストリップを支持す
る(特公昭61−21319号公報、特公昭61−22
040号公報)。
【0003】この技術はパスラインの安定には効果があ
るが、めっき液の流動状態がノズルの上流側はストリッ
プに対し向流方向であり、下流側は並流方向であるため
めっき組成が不均一になるという問題がある。また、ノ
ズルから供給されるめっき液の上流側と下流側の分配比
がライン速度に左右されるためライン速度を任意に変更
できないという問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、水平型電気
めっき槽において、上記従来技術のような複雑な装置を
用いたり、突起などを設けることなく、また、めっき組
成の不均一を生ずることなく、ストリップ通板位置を上
下電極間の中央に保持すると共にストリップの槽内のC
反り量を低減させ、ストリップと電極又は槽内機器との
接触を防止する。これにより、ストリップ上下のめっき
付着量の均一化を図り、電極間距離の効果的な短縮化を
達成することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】水平型電気めっき槽の場
合、構造的に、ストリップ上下の液の流れが異なる。す
なわち、ストリップの上方の流路は、流路の端末がコン
ダクタロールに制約され幅方向両側に分流してオーバー
フローダクトに流入するのに対して、ストリップの下方
の流路はめっき槽の下部めっき液保有部に開放してお
り、流れやすい。そこで本発明では水平型電気めっき槽
のストリップより下方の流路出側に調整可能な開口部を
設けた邪魔板を設置し、下方の流れを抑制し、上下の流
れが同等になるようにする。またストリップの下方の流
路出側に邪魔板を設置すると、槽内のストリップの上下
位置が変化することが判明したので、上記邪魔板の開口
部を調整することにより、ストリップを上下電極間の中
央に位置させるようにした。
【0006】すなわち、本発明は上記目的を達成するた
めに、次の技術手段を講じたことを特徴とするもので、
ストリップがコンダクタロールとバックアップロールに
導かれて電極間を通板され、めっき液噴射ノズルがスト
リップの上下面にめっき液を供給し、ストリップの上下
めっき液の流れが、コンダクタロールに当たり、それぞ
れオーバーフローダクト及び下方向のめっき液保有部に
流れ込む形式の水平型電気めっき槽において、ストリッ
プの下方のめっき液流路出側にめっき液の流れを抑制す
る邪魔板を設け、該邪魔板のめっき槽幅方向両端部に開
口面積調整可能な開口部を設けたことを特徴とする電気
めっき槽である。
【0007】また、本発明の第2の発明は、上記めっき
槽を用い、上下電極間を水平にストリップを通板して電
気めっきを施すに当り、ストリップ下方のめっき液の流
路にめっき槽幅方向両端部の開口面積を調整可能とした
可変流路抵抗を設け、ストリップの通板位置を上下電極
間の中央に保持すると共にC反りを抑制するように前記
下辺流路抵抗を調整することを特徴とする電気めっき槽
の通板方法を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】図5に従来の代表的な水平型電気
めっき槽1の構造とめっき液の流れの流線を示す。図5
(a)は上面図、図5(b)は縦断面図である。図5に
おいて、ストリップ10はコンダクタロール3とバック
アップロール6に導かれて電極7,7間を通板されて電
気めっきされる。めっき液噴射ノズル8,8はストリッ
プ10の上下面にめっき液を供給する。ストリップ10
の上側のめっき液の流れ2は、コンダクタロール3に当
たり、幅方向両側に分かれ、図5(a)に示すように、
それぞれオーバーフローダクト4に流れ込む。また、ス
トリップ10の下方の流れ5は、バックアップロール6
に当たり、下方向のめっき液保有部に流れ込む。このと
きの図5(b)のB−B矢視を図6に示す。ストリップ
10の上方の流れ2に対してストリップ10の下方の流
れ5はなんらの抵抗なく拡散して流れている。
【0009】このように、ストリップの上下のめっき液
の流動形態が異なるため、必然的に上下の液の流動抵抗
が異なり、ストリップ上下の液圧に差が生ずる。発明者
らはこのストリップ上下の液流れの違いに着目し、上下
の流動形態を同等にすることによって、垂れ下っている
ストリップを持ち上げることができることを実験により
明確にした。
【0010】図1に発明者らが実験に用いた邪魔板11
の取付状況を示す。図1は図5(b)の前方のバックア
ップロール6の近傍の部分拡大図で、邪魔板11はめっ
き槽のストリップ10の下方のめっき液が流出する流
路、すなわち、めっき槽1の壁16とバックアップロー
ル6との間の流路を閉鎖するように設けられている。図
2は邪魔板11の平面図である。邪魔板11はめっき槽
幅方向両端部に開口12を有している。この開口12は
ストリップ10の上方の流路のオーバーフローダクトの
近傍とするのがよい。開口12には、開口面積を調整す
る蓋13等を設ける。この開口12の面積を調整可能と
するのはストリップの上方の流路と下方の流路との流動
抵抗をバランスさせることができるようにするためであ
る。めっき槽は装置によって形状、寸法も異なり、例え
ばストリップ10の上方のオーバーフローダクト4は装
置によってその位置形状に差異があるため、ストリップ
10の下方の流路の邪魔板11の開口12の開口面積部
を調整可能にすることが必要である。図3は図2のA矢
視図でストリップ10の上方のめっき液の流れ2とスト
リップ10の下方のめっき液の流れ15の状況を示した
ものである。
【0011】図4に邪魔板設置前後のめっき槽内のC反
り量の変化のグラフを示した。邪魔板11を設置するこ
とにより、ストリップのC反り量が5mm程度であった
ものを2mm以下に低減できることが分かった。本発明
は、水平型電気めっき槽の下側流路の出側に流れを抑制
する邪魔板を設置し、上下の流動形態を等しくすること
によって、上下の液圧を均等にしストリップを中央に保
持し、またストリップのC反り量を抑制するものであ
る。
【0012】
【実施例】表面処理鋼板を水平電気めっき槽内を高速に
かつ、狭い電極間距離で正確に行う電気めっきにおいて
試験を行った。その結果を表1に示した。
【0013】
【表1】 ──────────────────────────────────── 評価指数 従来法の成績 本発明の成績 ──────────────────────────────────── ストリップの位置 6mm 2mm 上下付着量差 2g/m2 1g/m2 電極間距離 15〜30mm 10mm以下 ──────────────────────────────────── 実施例では、ストリップの位置を精密に制御することが
可能となり、電極の間の距離も小さくすることができ、
ストリップ上下のめっき付着量の差も少なくすることが
できた。
【0014】
【発明の効果】本発明によれば、水平型電気めっき槽の
簡単な改良により、ストリップ通板位置を上下電極間の
中央に保持することが可能となり、ストリップの槽内の
C反り量を低減させることができ、ストリップ上下面の
めっき付着量の均一化、電極間距離の短縮化を達成する
ことができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の電気めっき層の部分断面図である。
【図2】実施例の邪魔板の平面図である。
【図3】実施例の邪魔板の正面図(図2のA矢視図)で
ある。
【図4】C反り量の変化を示すグラフである。
【図5】水平型電気めっき槽の一例と液流れ模式図であ
る。
【図6】従来のめっき液流れの説明図(図5(b)のB
−B矢視図)である。
【符号の説明】
1 めっき槽 2 液の流れ 3 コンダクタロール 4 オーバーフロー
ダクト 5 流れ 6 バックアップロ
ール 7 電極 8 ノズル 10 ストリップ 11 邪魔板 12 開口 13 蓋 15 流れ 16 壁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−346285(JP,A) 特開 平5−331684(JP,A) 特開 平8−277493(JP,A) 特開 昭60−149795(JP,A) 特開 平4−210493(JP,A) 特開 平5−339783(JP,A) 特開 平6−256991(JP,A) 特開 平3−191090(JP,A) 実開 平3−41853(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25D 5/00 - 7/12

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ストリップがコンダクタロールとバック
    アップロールに導かれて電極間を通板され、めっき液噴
    射ノズルがストリップの上下面にめっき液を供給し、ス
    トリップの上下めっき液の流れが、コンダクタロールに
    当たり、それぞれオーバーフローダクト及び下方向のめ
    っき液保有部に流れ込む形式の水平型電気めっき槽にお
    いて、ストリップの下方のめっき液流路出側にめっき液
    の流れを抑制する邪魔板を設け、該邪魔板のめっき槽幅
    方向両端部に開口面積調整可能な開口部を設けたことを
    特徴とする電気めっき槽。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のめっき槽を用い、上下電
    極間を水平にストリップを通板して電気めっきを施すに
    当り、ストリップ下方のめっき液の流路にめっき槽幅方
    向両端部の開口面積を調整可能とした可変流路抵抗を設
    け、ストリップの通板位置を上下電極間の中央に保持す
    と共にC反りを抑制するように前記下辺流路抵抗を調
    整することを特徴とする電気めっき槽の通板方法。
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