JP3238626B2 - 骨計測方法 - Google Patents

骨計測方法

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JP3238626B2
JP3238626B2 JP08394096A JP8394096A JP3238626B2 JP 3238626 B2 JP3238626 B2 JP 3238626B2 JP 08394096 A JP08394096 A JP 08394096A JP 8394096 A JP8394096 A JP 8394096A JP 3238626 B2 JP3238626 B2 JP 3238626B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は骨計測方法および骨
計測装置に関する。さらに詳細には、本発明は被検骨の
断面の構造を画像化する手段を用いて得られた画像を入
力画像として、骨の断面構造を評価する各種構造指標を
計測し、そのうえで同一被検骨の異なる断面間もしくは
異なる被検骨間について比較を行うのに有用な、骨計測
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】老年人口の増加に伴い、骨粗鬆症や骨軟
化症といった骨疾患患者数が増加しており、骨疾患およ
び骨疾患を原因とする骨折の診断および予防の必要性が
強く要求されている。
【0003】ここで、「骨粗鬆症」とは一般的に「骨組
織における単位体積あたりの骨量が、骨塩と骨基質の比
率を保ったまま、生理的老化による骨量減少と比較して
著明に減少した病態」をいい、また、「骨軟化症」とは
一般的に、「骨石灰化障害により、骨塩のみが減少した
病態」をいう。いずれの病態も、骨強度を減少させ、骨
折につながる危険性がある。
【0004】該骨疾患を原因とする骨強度の減少を診断
する方法の一例として、例えばDEXA法やMD法のよ
うな、骨塩量を測定する方法がある。これらの方法は骨
塩量と骨強度の間には比較的良い相関が見られるという
点に基づいている。しかし、正確に骨塩量が骨強度を反
映しているとはいえないので、同一骨塩量であっても骨
強度が異なるといった事実がしばしば見られた。
【0005】ここで、DEXA(Dual Energ
y X−Ray Absorptiometry)法と
は、体脂肪等の軟部組織によるX線の吸収による影響を
減少させより正確に骨塩量を計測するために、物質の線
源弱係数が照射X線のエネルギによって変化することを
利用して、2種類のエネルギをもつX線を被検体に照射
する、骨塩量計測方法である。
【0006】また、MD(MicroDensitom
etry)法とは、厚さが徐々に変化しているアルミニ
ウム階段と被検者の右手を1枚のX線写真フィルム上に
同時に撮影し、該X線写真フィルムにおける、該アルミ
ニウム階段部の黒化度と被検者の右手第2中手骨1/2
部位の黒化度とを、マイクロデンシトメータを用いて計
測し、骨塩量および皮質骨指数を求める方法である。
【0007】そこで、近年では骨強度は骨の材質、およ
び骨の構造によるところが大きいという仮定に基づいて
骨強度の評価を行おうという試みがなされるようになっ
た。
【0008】骨の構造評価法としては、被検骨の薄切切
片を顕微鏡下で撮像する等の手段を用いて被検骨の断面
を得、これより断面積測定、骨周囲長測定、Node−
strut法(「JOURNAL OF MICROS
COPY」Vol.142,Pt3,P341−349
等参照)、骨梁の構造的異方性の評価(「日本骨形態計
測学会雑誌」Vol.4,P83−89等参照)等の、
骨の断面より各種構造指標を計測する、骨断面構造解析
がある。
【0009】ここで、脊椎を構成する骨である椎体の、
外観および断面形状を図1〜2に示す。椎体は主とし
て、図1矢印4の方向に圧縮静荷重を受けている。その
ために、椎体断面においては、主として図2中の破線で
囲まれた領域5に対して、紙面に垂直な方向に該圧縮静
荷重を受けていることが予想される。
【0010】そのために該骨断面構造解析においては、
椎体における図2の5のような、該骨断面内の主として
負荷を受ける領域を関心領域と定義し、該関心領域内に
おいて該骨断面構造解析を行うことにより、より骨強度
を反映する構造指標が得られることが期待される。
【0011】従来、関心領域を決定する方法としては、
例えば5mm×5mmの矩形領域のような、一定の形状
の領域を手動操作によって決定する方法がある。具体的
には、図2のごとき椎体断面において、目測により断面
の対称軸を設定し、該対称軸に対して左右対称になるよ
うに5mm×5mmの矩形領域を決定するといった方法
がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の関心領
域決定方法では、手動操作によって関心領域を決定する
ために、断面ごとに関心領域の位置や方向の基準が異な
り、得られた構造指標が充分強度を反映していない、ま
た該関心領域から得られた構造指標の再現性が悪い、さ
らに該構造指標に対して同一被検骨の異なる断面間もし
くは異なる被検骨の断面間について有意差検定を行った
としても有意な群間差が現れにくい、といった問題があ
った。
【0013】例えば、従来の手法を用いて断面積測定を
行う場合、ある被検骨の骨断面の関心領域における骨部
の断面積と、別の被検骨の骨断面の関心領域における骨
部の断面積が全く同じであっても、被検骨自体の大きさ
が異なれば当然、骨強度は異なる。しかしながら上記の
手法では、該骨強度の差異を判断することはできない。
【0014】また、骨梁の構造的異方性の評価において
は、関心領域の方向によって得られた構造指標が大きく
異なり、その結果有意差検定を行っても満足な結果が得
られない。
【0015】そこで本発明では、該関心領域を、被検骨
の大きさに関わらず強度を良く反映できるように、かつ
一定の方向軸を決定することによりどの断面の関心領域
も一定の方向を示すように、関心領域を決定することに
よって、より骨強度を反映し、また同一被検骨の異る断
面間または異なる被検骨の断面間で有意な群間差が現れ
やすい、構造指標を計測できるようにすることを目的と
している。
【0016】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに、本発明者らは椎体断面の2値化画像の重心まわり
の慣性主軸が該椎体断面の対称軸に近似できることに着
目し、該慣性主軸を関心領域を決定する際に基準となる
方向軸とした。
【0017】また、本発明者らは、被検骨断面の大きさ
を代表する数値を用いる、または一定の角度等の被検骨
の大きさとは無関係の数値を用いる、等の手段によっ
て、特定の仮想領域を作成し、該仮想領域内の骨部およ
びまたは骨髄部を関心領域とすることによって、該関心
領域から得られた構造指標に対する被検骨の大きさの影
響を極力小さくした。
【0018】すなわち、本発明は、被検骨の断面の構造
を画像化する手段を用いて得られた該断面の画像を入力
画像とし、該入力画像の骨部に着目した画像の重心まわ
りの慣性主軸を算出し、該慣性主軸を中心に対称な領域
を作成し、該領域を仮想領域と定義し、該仮想領域内の
骨部およびまたは骨髄部を関心領域とし、該関心領域で
の各種構造指標を算出することを特徴とする骨計測方法
である。
【0019】
【作用】したがって、以上のような手段を用いることに
より、被検骨断面の構造解析について、再現性にすぐ
れ、また同一被検骨の断面間や異なる被検骨の断面間で
有意な群間差が現れやすい、かつ骨強度を良く反映する
構造指標を算出できるようになった。
【0020】
【実施例】以下、本発明の一実施例について図面を用い
て説明する。本発明における実施例は、OVXおよびs
ham各一体のラット腰椎L2を被検骨とし、各30枚
の断面より各断面における骨部0次モーメントおよび骨
周囲長を計測し、OVXとshamの比較を行うもので
ある。
【0021】なお、OVXラットとは開腹手術により両
側の卵巣を摘出した被検体であり、骨粗鬆症同様に骨量
が減少するようにモデル化したラットのことである。ま
たshamラットとは開腹手術のみを実施し、何も摘出
しないラットであり、健常モデル化したラットとしてO
VXラットに対する比較対象として用いられる。
【0022】まず、椎体の水平断面像を、画像処理装置
に入力可能な形で得る。なお、該水平断面像には、骨の
内部構造を詳細に計測することが可能な程度の解像度が
必要とされる。具体的には、1画素あたり20μm以
内、好ましくは1画素当たり10μm以内であることが
望ましい。
【0023】上記のような解像度の断面像として、椎体
薄切切片の顕微鏡写真をイメージスキャナ等を用いて画
像処理装置に読み込んだ画像や、微小フォーカスX線断
層写真撮影装置(以下、μX線CT)によって得られた
断面像等がある。しかし、薄切切片の顕微鏡写真より該
断面像を得る方法は、生体には適用できない、薄切時に
断面を破損するおそれがある、等の問題があるので、μ
X線CTを用いることが望ましい。
【0024】なお、μX線CTを利用して被検骨の断面
像を得れば、薄切の時に発生するアーティファクトがな
いという点においても好適である。
【0025】ここで、μX線CTとは、焦点寸法数10
μm以内のX線管を使用することにより、1画素当たり
数10μm以内の高解像度を実現したX線断層写真撮影
装置のことである。
【0026】なお、本例においては、μX線CTにより
断面像を得ている。
【0027】以下、本例における、μX線CTによる断
面像取得方法を、図3〜4を用いて説明する。
【0028】本発明で用いたμX線CTは、焦点寸法が
約8μmのX線管6を使用した。回転陽極にて加速され
た電子は該X線管の焦点寸法の領域7に照射されX線を
発生する。該X線は被検骨8を透過した後に、スリット
9によってスライス厚さ分の情報のみに絞られ、センサ
10によって画像再構成用演算手段11に記憶される。
ここで、たとえば被検骨を徐々に回転させることによ
り、被検骨に対する照射X線方向を変化させ、その都度
X線照射、センサ検出を繰り返し、画像再構成用演算手
段11によってμX線CT像を再構成する。
【0029】なお、断面は図4のように、椎体の突起部
2を除いた部分の高さをLとし、高さL/2の断面を断
面15番とし、隣接する断面間の距離が20μmとなる
ように、移動台上で被検骨を20μmステップで上下さ
せることにより、断面1番から30番までを定義してい
る。
【0030】前記断面像取得方法により得られた断面像
は縦512画素×横512画素であり、1画素当たりの
寸法は縦約15μm×横約15μmであり、各画素のC
T値は216階調で表現した。また、該断面像を後述の骨
計測装置に入力する際には、各画素のCT値を数1で2
8階調に変換した。
【0031】
【数1】TL=[{(各画素CT値)−(CTmi
n)}/{(CTmax)−(CTmin)}]×25
5 〔ただし、 TL:変換後CT値、CTmax:最大C
T値、CTmin:最小CT値〕
【0032】上記のようにして得られた画像を入力画像
として画像処理を実施する。なお、骨画像の重心まわり
の慣性主軸を算出する方法としては、該骨画像を2値化
して行う方法が一般的であり、以下の方法を用いた画像
処理方法のフローチャートを図5に示す。
【0033】該入力画像を、向かって左側が背中側にな
るように回転した上で、水平512×垂直480画素に
変換し、これを原画像とし、ついで原画像を2値化して
2値化画像を作成する。
【0034】なお、原画像の2値化方法としては、たと
えば判別分析法を用いることができる。判別分析法と
は、画像中の画素をあるしきい値でクラス分けしたとき
に、各クラスの画素の輝度のばらつきが小さく、かつク
ラス間のばらつきが大きくなるようなしきい値によって
2値化する方法のことである。
【0035】さらに詳細には、各クラスの画素の輝度の
ばらつきを表す指標としては、クラス内分散δW2 を用
いる。 δW2=ω1σ1 2+ω2σ2 2 〔ただし、 ω1:クラス1の画素数、σ1:クラス1の
画素の輝度の分散、ω2:クラス2の画素数、σ2:クラ
ス2の画素の輝度の分散〕
【0036】また、クラス間のばらつきを表す指標とし
てはクラス間分散 δB2 を用いる。 δB2=ω1ω2(M1−M22 〔ただし、 M1:クラス1の画素の輝度の平均、
2:クラス2の画素の輝度の平均〕
【0037】また、δB2とδW2の比である分散比 F0
が最大になるようなしきい値を求める。 F0=δB2/δW2 該しきい値によって2値化する方法を判別分析法とい
う。
【0038】前記2値化画像において、骨部の重心座標
及び重心まわりの慣性主軸を算出する方法を図6を用い
て説明する。
【0039】数2によって、該2値化画像の骨部0次モ
ーメントを、また数3および数4によってX軸まわりお
よびY軸まわりの骨部1次モーメントを算出する。
【0040】
【数2】mOO=ΣiΣjφ[f(i,j)] ただし、座標(i,j)(i:x軸座標,j:y軸座
標)が骨部の場合φ[f(i,j)]=1とし、それ以
外の場合φ[f(i,j)]=0とする。
【0041】ここでi、jとは512×480画素から
なる2次元画像空間のX軸(画像の水平方向)、Y軸
(画像の垂直方向)の座標を意味する。すなわち、i,
jの範囲は 0≦i≦511 0≦j≦479 である。
【0042】
【数3】m10=ΣiΣj j・φ[f(i,j)]
(X軸まわり)
【0043】
【数4】m01=ΣiΣj i・φ[f(i,j)]
(Y軸まわり)
【0044】さらに、数5によって断面像の重心点G
(Xg,Yg)を算出する。
【0045】
【数5】( Xg,Yg)=(m10/m00,m01/m00
【0046】また、数6および数7によって重心まわり
のX軸についておよびY軸についての骨部2次モーメン
トを、数8によって重心まわりの骨部慣性相乗モーメン
トを算出する。
【0047】
【数6】m02=ΣiΣj(j− Yg2・φ[f(i,
j)](X軸について)
【0048】
【数7】m20=ΣiΣj(i− Xg2・φ[f(i,
j)](Y軸に対して)
【0049】
【数8】m11=ΣiΣj(j−Xg)(i− Yg)・φ
[f(i,j)]
【0050】さらに、骨部2次モーメントおよび骨部慣
性相乗モーメントを用いて、数9によって骨部の重心ま
わりの慣性主軸12の傾きを算出する。
【0051】
【数9】 θ=(tan-1(2×m11/(m02−m20))/2
【0052】前記慣性主軸12が垂直になるように、原
画像を(90−θ)°時計まわりに回転させた後に、2
値化を行い、図6のような2値化画像を作成する(以
下、該2値化画像を2値化画像Bと呼ぶ)。なお、該2
値化画像Bにおいてφ[f(i,j)]の値は、皮質骨
部分22中の画素のほとんどにおいては“1”であり、
海綿骨部分23の骨梁部分の画素においては“1”、そ
れ以外の部分においては“0”になる。該2値化画像B
を用いて該2値化画像Bの脊髄腔1を抽出する。なお、
該脊髄腔1の抽出方法としては、以下に挙げる手法を用
いた。
【0053】一般に、ラットの椎体の断面形状は図6の
ようになっている。すなわち、脊髄腔1は断面内におい
て、もっとも面積の大きい空孔である。そこで、該2値
化画像Bに対して、空孔部分を輝度値“1”、それ以外
の部分を輝度値“0”にした2値化画像Cを作成する。
数10を用いて、該2値化画像Cの孔部分の面積AHを
各孔毎に計測し、もっとも面積AHの大きい孔を該脊髄
腔1と定義する。
【0054】
【数10】AH=ΣiΣjφH[f(i,j)] 〔なお、座標(i,j)(i:x軸座標,j:y軸座
標)が、孔部分の場合φH[f(i,j)]=1であ
り、それ以外の場合φH[f(i,j)]=0であ
る。〕 さらに、該脊髄腔1のフィレ座標F1(x1,y1),F2
(x2,y2)(x1<x2,y1<y2)を算出する。な
お、任意の図形を包含し、X軸およびY軸に平行な四辺
を持つ矩形のうち、その面積が最小となる矩形におい
て、対角をなす2つの頂点の座標をフィレ座標という。
【0055】ここで、該慣性主軸と該フィレ座標の距離
1,d2を算出し、数11によって距離d3を算出す
る。
【0056】
【数11】d3=α×min(d1,d2) なお、 d1>d2:min(d1,d2)=d21>d2:min(d1,d2)=d1 である。
【0057】ここでαは後述の仮想領域が例えば椎体突
起部分2のような骨強度に寄与の少ない領域を十分除去
できるのであればいかなる値でもよいが、本例ではラッ
ト腰椎の一般的な形状を考慮し、α=0.9とした。
【0058】ここで例えば矩形形状の仮想領域を用いる
場合は、(Xg−d3,Yg),(Xg+d3,479)を
対角座標とする矩形領域13を仮想領域と定義し、該仮
想領域内の骨部およびまたは骨髄部を該椎体断面の関心
領域と定義する。なお、本実施例で定義された関心領域
を図7に実際の2値画像で示す。
【0059】また、例えば2等辺3角形状の仮想領域を
用いる場合は、2値化画像Bの下辺を底辺とし、該重心
Gから距離d3だけ離れた該慣性主軸上の点G’を1頂
点とし、角度θVを頂角とする2等辺3角形13’を仮
想領域と定義し、該仮想領域内の骨部を該椎体断面の関
心領域と定義する。ここで角度θVは前述の仮想領域が
例えば椎体突起部分2のような骨強度に寄与の少ない領
域を十分除去できるのであればいかなる値でもよい。な
お2等辺3角形状とは、2等辺3角形のほかに、扇状や
等脚台形等を含む。かかる手法を採用すれば、骨の大き
さも加味した骨計測が可能となる。
【0060】以上の手法によって矩形形状の仮想領域か
ら得られた関心領域に対して、前述の数2を適用するこ
とによって、該関心領域の骨部0次モーメントを測定し
た結果を図8に示す。また、図9のように骨部の境界画
素(本例の場合はその4近傍のいずれかが輝度値“0”
である輝度値“1”の画素)を抽出する。ついで、2つ
の隣接する境界画素の中心間を直線で結ぶ。以上の処理
を全境界画素について行い、図9拡大図に破線24のご
とき線をを作成し、該破線24の長さを骨周囲長と定義
する。なお、該骨周囲長の単位は、各画素をX軸および
Y軸に平行な4辺をもつ正方形であるとみなしその1辺
の長さ[side]である。前記関心領域について骨周
囲長を計測した結果を図10に示す。
【0061】本発明の骨計測装置は、かかる骨計測方法
を実施するための構成を有することを特徴としている。
図11は、本発明の骨計測方法に基づいた骨計測装置の
態様例を模式的に示したものである。なお、本計測装置
はCT装置のコンピュータ手段と兼用させることも可能
である。この場合、画像情報はそれ自身が画像状に形成
されていなくても、画像における位置情報と対応がつい
ていれば利用可能である。
【0062】本計測装置は、図11において、各種演算
を行う演算手段20と、μX線CT撮影で得た画像を加
工したり種々の指標を計測するために演算手段20内に
設けられた画像処理手段14と、画像処理開始等の命令
を入力するためのキー入力手段15と、入力した命令を
表示するためのテキスト表示手段16と、画像処理が開
始されμX線CT撮影で得た画像が加工されていく過程
を表示するための画像表示手段17と、得られた計測結
果を出力するための出力手段18とを備えたものであ
る。
【0063】本骨計測装置は、補助記憶装置19を具備
することが好ましい。かかる補助記憶装置19として
は、μX線CT撮影によって得られた画像における各画
素のCT値をディジタル化し該画像内の位置に対応させ
たデータ群、各種構造指標や該構造指標を算出する過程
で得られたデータ群を記憶し得るものであればいかなる
ものであってもよい。具体例としては、ハードディスク
のような高速・大容量の記憶装置および、μX線CT撮
影によって得られた画像データを演算手段20に入力す
るための、光磁気ディスクのような大容量かつ荷搬に適
した記憶装置等があげられる。この場合、光磁気ディス
クによって演算手段20に入力された画像データはハー
ドディスクに転送され、高速処理できるようにする。
【0064】また、本装置には図10に示すごとき補助
記憶手段19によって記憶された被検骨の影像を画像と
して表示するためのCRTディスプレイのごとき画像表
示手段17と、表示された被検骨の画像において骨計測
に必要な基準ポイントを入力するためのポイント入力手
段21が具備されている。
【0065】かかる画像表示手段17としては、補助記
憶装置19に記憶されたディジタル信号と位置の関係か
らなるデータ群を画像として表示し得るものであればい
かなるものであってもよく、具体的には解像度およびコ
ストから好適な例としてはCRTディスプレイ等が挙げ
られる。また、テキスト表示手段16と画像表示手段1
7は兼用させることができる。
【0066】ポイント入力手段21としては、画像表示
手段17において基準ポイントとして位置を特定して入
力することができればいかなるものであってもよく、具
体例としては図7に21として示したごときマウス型入
力手段や、カーソル位置表示指示制御手段、ライトペン
型入力手段、タッチパネルにより外部より入力する方法
並びに記憶された被検骨の画像から自動的に入力する方
法などがあげられる。
【0067】また、本骨計測装置における骨計測結果の
出力手段18としては、演算によって得られた計測結果
を出力できるものであればいかなるものであってもよ
く、具体例としてはドットインパクト式プリンタ、熱転
写式プリンタ、レーザプリンタ、ビデオプリンタ、CR
Tディスプレイ等があげられる。
【0068】
【発明の効果】本発明は、被検骨の断面の構造を画像化
する手段を用いて得られた該断面の断面画像を入力画像
として画像処理装置に入力し、該入力画像を2値化して
骨部のみを抽出した2値化画像を得、該2値化画像を用
いて該2値化画像の重心座標および該重心まわりの慣性
主軸を算出し、該慣性主軸を中心に対称な領域を作成
し、該領域を仮想領域と仮定し、該仮想領域内の骨部を
関心領域とし、該関心領域を用いて各種構造指標を算出
することによって、被検骨断面の構造解析について、再
現性にすぐれ、また同一被検骨の断面間や異なる被検骨
の断面間で有意な群間差が現れやすい、かつ骨強度を良
く反映する構造指標を算出できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】椎体の外観形状の概略図
【図2】椎体の断面形状の概略図
【図3】μX線CTおよびμX線CTを使った断面像取
得方法の説明図
【図4】椎体断面の位置の説明図
【図5】椎体関心領域決定の画像処理フローチャート
【図6】椎体関心領域決定方法の説明図
【図7】矩形形状の仮想領域より得られた断面の実施例
【図8】断面積計測結果グラフ
【図9】骨周囲長計測方法説明図
【図10】骨周囲長計測結果グラフ
【図11】本発明の骨計測装置の態様例
【符号の説明】
1 脊髄腔 2 椎体突起部分 3 椎体本体 4 圧縮静荷重の方向 5 主として圧縮静荷重を受ける領域 6 X線管 7 X線管の焦点寸法の領域 8 被検骨 9 スリット 10 センサ 11 画像再構成用演算手段 12 椎体の断面の重心まわりの慣性主軸 13 矩形形状の仮想領域 13’2等辺3角形状の仮想領域 14 画像処理手段 15 入力手段 16 テキスト表示手段 17 画像表示手段 18 出力手段 19 補助記憶装置 20 演算手段 21 ポイント入力手段 22 皮質骨部 23 海綿骨部 24 隣接する境界画素の中心間を結ぶ線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 黒目 寛治 大阪府茨木市耳原3丁目4番1号 帝人 株式会社 大阪研究センター内 (56)参考文献 特開 平2−126837(JP,A) 特開 平2−138854(JP,A) 特開 平7−236630(JP,A) 特開 平7−236629(JP,A) 特開 平7−236628(JP,A) 特開 平7−148143(JP,A) 特開 平6−269434(JP,A) 特開 平8−164129(JP,A) 特開 平5−76553(JP,A) 特開 平7−284020(JP,A) 特開 昭63−216549(JP,A) 特開 平4−338459(JP,A) 特表 平9−507129(JP,A) Journal of Comput er Assisted Tomogr aphy,15[1](1991)(米)p. 133−139 CLINICAL CALCIUM, 2[8](1992)、福永、p.1083− 1088 ホルモンと臨床、43[8](1995)、 藤井、藤田、p.791−796 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61B 6/00 - 6/14 JICSTファイル(JOIS)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 椎体の被検骨断面の構造に関する画像情
    報に基づいて各種構造解析を行う骨計測方法において、
    該画像の骨部に着目した画像の重心まわりの慣性主軸を
    算出し、該慣性主軸を基準として定められた領域を作成
    し、該領域を仮想領域と定義し、該仮想領域内の骨部お
    よびまたは骨髄部を関心領域とし、該関心領域での各種
    構造指標を計測することを特徴とする、骨計測方法。
  2. 【請求項2】 該画像情報が、微小フォーカスX線断層
    写真撮影装置によって得た被検骨の断面の画像情報であ
    る、請求項1の骨計測方法。
  3. 【請求項3】 該仮想領域が慣性主軸を中心とした対称
    な領域として設定される、請求項1または2記載の骨計
    測方法。
  4. 【請求項4】 前記慣性主軸に平行な線分を一辺とする
    矩形領域を前記仮想領域とすることを特徴とする、請求
    項1、2または3の骨計測方法。
  5. 【請求項5】 前記慣性主軸上の任意の点を1頂点とす
    る2等辺3角形状の領域を前記仮想領域とすることを特
    徴とする、請求項1、2または3の骨計測方法。
  6. 【請求項6】 該画像情報が担体上に画像状に形成され
    た画像情報である、請求項1〜5記載のいずれかの骨計
    測方法。
  7. 【請求項7】 該仮想領域が骨部断面積または骨髄部断
    面積に対応して変化する、請求項1〜6記載のいずれか
    の骨計測方法。
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