JP3238442U - 吸収性物品用伸縮シート - Google Patents
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Abstract
Description
本考案は、吸収性物品用伸縮シート及びそれを含む吸収性物品に関する。
伸縮性不織布としては、種々のものが知られており、例えば、エンボス部が散在された不織布と、複数の弾性フィラメントとを含む伸縮性シートなどがある(特許文献1参照)。
伸縮性シートは、柔軟性に優れるとともに、外観が良好であることが求められるものの、従来の伸縮性シートは、柔軟性と外観との両立に改善の余地があった。不織布の柔軟性は、一般的にエンボス率を低減することによって高めることができる。
伸縮性シートは、柔軟性に優れるとともに、外観が良好であることが求められるものの、従来の伸縮性シートは、柔軟性と外観との両立に改善の余地があった。不織布の柔軟性は、一般的にエンボス率を低減することによって高めることができる。
しかしながら、伸縮性シートの柔軟性を高めるために単純にエンボス率の低い不織布を用いると、延伸加工の際に穴あきが発生してしまい、外観の良好な伸縮性シートを得ることができない場合がある。
本考案は、高い柔軟性と優れた外観とを兼ね備えた吸収性物品用伸縮シートに関する。
本考案は、複数のエンボス部を有する不織布と、融着により前記不織布に部分的に接合され、前記エンボス部と厚み方向において重なりを有する複数の弾性フィラメントとを備え、第1方向に伸縮可能な吸収性物品用伸縮シートであって、前記不織布と前記弾性フィラメントとの接合部において、前記弾性フィラメントは繊維形状を保持し、前記第1方向に直交する第2方向に互いに隣接するエンボス部間の第2方向の距離が1.1mm以上である、吸収性物品用伸縮シートに関する。
本考案に係る吸収性物品用伸縮シートは、高い柔軟性と優れた外観とを兼ね備えることができる。
以下、添付の図面を参照して、本考案の実施形態について詳細に説明する。本実施形態の吸収性物品用伸縮シート10は、図1に示すように、2枚の不織布11,12と、両不織布間に挟持された複数の弾性フィラメント13とから構成されている。各弾性フィラメント13は、2枚の不織布11,12と融着により部分的に接合している。吸収性物品用伸縮シート10は、伸縮可能であり、この伸縮方向を第1方向とする。
不織布11,12と弾性フィラメント13との接合部においては、図2に示すように、弾性フィラメント13は繊維形状を保持している。すなわち、弾性フィラメント13と不織布11,12とは、一体化されてフィルム状とはならずに繊維形状を保持している。一体化されずに繊維形状を保持していることで、弾性フィラメント13の伸縮性能が阻害されない。このため、本実施形態の吸収性物品用伸縮シート10における弾性フィラメント13は、伸び易くまた高い戻り応力を発現することができる。
不織布11,12は、長繊維不織布であることが好ましい。不織布11,12は、例えば、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、およびスパンボンド不織布の層とメルトブローン不織布の層との積層不織布から選択することができる。安価かつ破断強度が高く、しかも薄いことから、スパンボンド不織布が好ましい。
積層不織布の場合には、スパンボンド層のみ積層したもの、及びメルトブローン層の少なくとも一方の面にスパンボンド層を配した不織布であることが好ましい。柔らかさの観点からは、エチレンプロピレンコポリマーを配合させた不織布が好ましい。さらに柔らかさの観点から、樹脂以外に滑剤や柔軟剤を配合した不織布が好ましい。
不織布11,12は、強度の観点から、その坪量が、8g/m2以上であり、好ましくは12g/m2以上であり、さらに好ましくは15g/m2以上である。そして柔らかさの観点から、50g/m2以下であり、好ましくは30g/m2以下であり、さらに好ましくは20g/m2以下である。
不織布11,12の少なくとも一方は、図3に示すように、強度を付与するエンボス部15が複数設けられている。このエンボス部15は、熱圧着部である熱融着部からなる。エンボス部15は、例えば、エンボス凸ロールとフラットロールなどによる熱圧着により間欠的に形成されたもの、超音波融着により形成されたもの、間欠的に熱風を加えて部分融着させて形成されたものなどが挙げられる。高い生産性と低い装置コストという観点から、エンボス部15は熱圧着により形成されたものが好ましい。
エンボス部15は、第1方向(伸縮方向)、及びこれに直交する第2方向において、所定の距離をもって隣接している。エンボス部15の形状は特に限定されず、円形、楕円形、菱形、三角形、四角形、六角形、八角形等の任意の形状とすることができる。ただし、本実施形態においては、第2方向に互いに隣接するエンボス部15の間の第2方向の距離d(B)は、1.1mm以上に規定される。このように距離d(B)を規定することによって、延伸加工時に各エンボス部かかる応力を分散させ、外観を良好に保つことができる。距離d(B)は、1.3mm以上であることが好ましく、2mm以上であることがより好ましい。
この場合、第2方向におけるエンボス部15の長さbは、1mm未満であることが好ましい。長さbが1mm未満であれば、延伸加工時に応力集中し易いエンボス部が破壊して穴が生じた場合でも、穴の拡大を最小限に留めて外観を良好に保つことができる。第2方向における長さbは、0.8mm未満であることがより好ましく、0.7mm未満であることがさらに好ましい。また、第2方向におけるエンボス部15の長さbは、0.1mm以上であることが好ましく、0.2mm以上であることがより好ましく、0.3mm以上であることがさらに好ましい。
また、第1方向に互いに隣接するエンボス部15間の第1方向の距離d(A)は、0.5mm以上であることが好ましく、1mm以上であることがより好ましく、1.3mm以上であることがさらに好ましい。
エンボス部15の面積は、1mm2以下であることが好ましく、0.8mm2以下であることがより好ましく、0.5mm2以下であることがさらに好ましい。また、エンボス部15の面積は、0.1mm2以上であることが好ましく、0.2mm2以上であることがより好ましく、0.3mm2以上であることがさらに好ましい。
エンボス部15の面積は、1mm2以下であることが好ましく、0.8mm2以下であることがより好ましく、0.5mm2以下であることがさらに好ましい。また、エンボス部15の面積は、0.1mm2以上であることが好ましく、0.2mm2以上であることがより好ましく、0.3mm2以上であることがさらに好ましい。
ここで、図4を参照して、エンボス部間の距離の求め方を説明する。まず、エンボス部15の中心CPを求める。中心CPは、第1方向及び第2方向のそれぞれで、エンボス部15を二分する中心線が交差する点とする。次に、第2方向に隣接するエンボス部15の中心CP同士の距離(中心間距離)c(B)を測定する。
下記数式(1)に示すとおり、中心間距離c(B)から、各エンボス部15の第2方向における長さの半分を引いた長さをエンボス部間距離d(B)とする。
任意の10箇所について測定を行い、その平均値を求める。
第1方向についても、同様に第1方向における中心間距離c(A)を測定して、エンボス部間の距離d(A)を求めることができる。
任意の10箇所について測定を行い、その平均値を求める。
第1方向についても、同様に第1方向における中心間距離c(A)を測定して、エンボス部間の距離d(A)を求めることができる。
なお、延伸時の応力集中を軽減する観点から、エンボス部15は、角を有しない円形、楕円形などであることが好ましい。エンボス部15の形状は、円形および楕円形のいずれであってもよいが、曲率の大きい円であることがより好ましい。
不織布11,12の一面の表面積に占めるエンボス部15の合計面積の割合は、強度の観点から、5%以上であることが好ましく、8%以上であることがより好ましく、10%以上であることがさらに好ましい。そして、良好な風合いの維持および延伸に対する伸び易さの観点から、30%以下であることが好ましく、25%以下であることがより好ましく、20%以下であることがさらに好ましい。
弾性フィラメント13の少なくとも一部は、図5に示すように、厚み方向においてエンボス部15と重なりを有するように設けられる。こうした弾性フィラメント13は、互いに交差せずに一方向に延びて配列されていることが望まれる。本実施形態においては、弾性フィラメント13は、吸収性物品用伸縮シート10の伸縮方向(第1方向)に延びて配列されている。
ここで、不織布11,12と弾性フィラメント13との関係を、図6を参照して説明する。例えば、不織布11,12の厚みが225μmの場合、エンボス部15が19μmの厚みで設けられると、エンボス部15における高低差hは206μmとなる。このような凹凸構造の上に弾性フィラメント13が配置された場合、両者の接触する面積は、エンボス部15が存在しない場合よりも少なくなる。エンボス部においては、不織布11,12および弾性フィラメント13が互いに拘束されることはないので、柔軟性の高い吸収性物品用伸縮シート10を得ることができる。
エンボス部15における高低差hは、不織布11,12の厚みに応じて適宜選択することができ、高低差hは不織布11,12の厚みに対して70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。
次に、本実施形態に用いられる弾性フィラメント13について詳細に説明する。弾性フィラメント13としては、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品に用いられる各種公知の弾性材料を特に制限なく用いることができる。素材としては、例えば、SBS(スチレン-ブタジエン-スチレン)、SIS(スチレン-イソプレン-スチレン)、SEBS(スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン)、SEPS(スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン)等のスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー(エチレン系のα-オレフィンエラストマー、エチレン・ブテン・オクテン等を共重合したプロピレン系エラストマー)、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマーが挙げられる。
弾性フィラメント13は単成分系のものでもよく、あるいは芯鞘型やサイド・バイ・サイド型の多成分系のものでもよい。弾性フィラメント13の形態としては、断面が矩形、正方形、円形、多角形等の糸状ないし紐状(平ゴム等)のもの、もしくはマルチフィラメントタイプの糸状のもの等を用いることができる。
好ましい弾性材料の一つとして、スチレン系エラストマーが挙げられる。単成分系および多成分系のいずれの場合も、弾性フィラメント13の直径は、50μm以上であることが好ましく、80μm以上であることがより好ましく、100μm以上であることがさらに好ましい。また、弾性フィラメント13の直径は、250μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましく、150μm以下であることがさらに好ましい。
例えば直径100μmの単糸の場合、使用時に十分な戻り応力を得るために、100%伸長時の応力は、好ましくは1MPa以上であり、より好ましくは2MPa以上であり、さらに好ましくは2.5MPa以上である。そして使用時の伸ばしやすさの観点から、好ましくは10MPa以下であり、より好ましくは5MPa以下であり、さらに好ましくは4MPa以下である。このように、低モジュラスの弾性材料が望まれる。
弾性フィラメント13の応力は、例えば、長さ200mmのサンプルを用意し、株式会社島津製作所 オートグラフAG-Xを用いて、サンプルを100%まで伸長させるサイクル試験を行って測定することができる。測定条件は、チャック間距離150mm、引張速度300mm/minとし、温度(室温)は、22℃±2℃とする。4つのサンプルについて、伸長時からの戻り過程における50%伸長時の荷重を測定して平均を求め、戻り50%強度とする。
吸収性物品用伸縮シート10から採取した弾性フィラメントを、サンプルとして用いることもできる。この場合、弾性フィラメント13は、吸収性物品用伸縮シート10を液体窒素中に漬け込むことによって、吸収性物品用伸縮シート10から採取することができる。採取された弾性フィラメントは、12時間以上放置して、応力測定用のサンプルとすることができる。
次に、本実施形態の吸収性物品用伸縮シート10の好ましい製造方法を、図7、8を参照しながら説明する
図7に示すように、不織布11,12を用意する。少なくとも一方の不織布11又は12は、上述したエンボス部15が設けられている。原反ロール21、22のそれぞれから不織布11,12を第1ニップロール31、第2ニップロール32間に供給する。その際、弾性フィラメント供給部35から溶融状態の複数の弾性フィラメント13を所定速度で不織布11,12間に供給する。このとき、弾性フィラメント13は、互いに交差せず一方向に配列するように供給される。そして不織布11,12に挟まれた状態で弾性フィラメント13を、第1ニップロール31と第2ニップロール32との間に通す。
第1ニップロール31により、弾性フィラメント13が融着せしめる適度な温度に冷却される。また第2ニップロール32は、弾性フィラメント13を潰さずにかつ不織布11,12と融着させる役割をもつ。これにより、不織布11,12間にて、弾性フィラメント13の固化前に、弾性フィラメント13が互いに交差せずに一方向に配列した状態で不織布11,12に融着され、複合シート17となる。そして、その複合シート17を巻き取って複合シート原反18を得る。
弾性フィラメント供給部35は、ヘッド部36と、その下端に配された複数のノズル部37とを有する。ヘッド部36は、押出機(図示せず)に接続されている。押出機は、ヘッド部36に弾性フィラメントを形成するための樹脂を供給する。また、図示していないポンプを介して、ヘッド部36に弾性フィラメントを形成するための樹脂を供給することもできる。
ヘッド部36には、複数のノズル部37が直線状に一列に配置されている。ノズル部37は、不織布11,12の幅方向に沿って配置されている。隣り合うノズル部37の間隔は、弾性フィラメント13の間隔に相当する。ノズル部37の突出口の形状は通常円形であり、その直径は弾性フィラメント13の直径および伸縮性に影響を及ぼす。この観点から、ノズル部37の直径は0.1mm以上であり、好ましくは0.2mm以上である。そして弾性フィラメントが切れずに成形できるという観点から、2mm以下であり、好ましくは0.6mm以下である。ノズル部37の突出口の直径が上述の範囲内であれば過剰の応力は避けられるので、伸縮性を有する所望の直径の弾性フィラメント13が切れずに成形される。
また、複合の形態(サイド・バイ・サイド型、芯鞘型、海島構造等)の弾性フィラメント13を用いることもできる。具体的には、ポリプロピレン系のエラストマー樹脂とスチレン系のエラストマー樹脂とを組み合わせることが好ましい。
ノズル部37より紡出された溶融状態の弾性フィラメント13は、それぞれ原反から互いに同速度で繰り出された不織布11,12と合流し、両不織布11,12間に挟持されて所定速度で引き取られる。弾性フィラメント13の引き取り速度は、両不織布11,12の繰り出し速度と一致している。弾性フィラメント13の引き取り速度は、この弾性フィラメント13の直径および溶融延伸倍率に影響を及ぼす。
延伸によって弾性フィラメント13に生じる張力は、弾性フィラメント13を不織布11,12と貼り合わせるときの弾性フィラメント13の乱れを防止する。それによって弾性フィラメント13同士を交差させずに一方向へ配列させることができる。これらの観点から、弾性フィラメント13の引き取り速度は、ノズル孔内の樹脂吐出速度に対し、その延伸倍率が1倍以上、好ましくは4倍以上、さらに好ましくは10倍以上である。そして100倍以下、好ましくは80倍以下、さらに好ましくは50倍以下である。
上述のように延伸倍率を設定することにより、弾性フィラメント13同士が乱れることなく配列され、弾性フィラメント13に張力を生じさせることができる。下限値以上の延伸倍率とすることで、弾性フィラメント13の配列の乱れを回避することができる。一方、上限値以下の延伸倍率とすることで、弾性フィラメント13が切れることなく連続的に得ることができる。
弾性フィラメント13は、その固化前に、すなわち融着可能な状態で不織布11,12と合流する。その結果、弾性フィラメント13は、不織布11,12に挟持された状態で、主に不織布11,12に融着する。このように、搬送される不織布11,12に固化前の弾性フィラメント13を融着させながら、弾性フィラメント13は引き取られて延伸される。
弾性フィラメント13の融着に際して、不織布11,12に外部から熱は付与されていない。つまり、融着可能になっている弾性フィラメント13の溶融熱によってのみ、弾性フィラメント13と両不織布11,12とが融着する。この結果、両不織布11,12の構成繊維のうち、弾性フィラメント13の周囲に存在する繊維のみが弾性フィラメント13と融着し、それよりも離れた位置に存在する繊維は融着しない。そして両不織布11,12に加わる熱は最小限にとどまるので、不織布11,12自体が本来有する良好な風合いが維持される。それによって、得られる吸収性物品用伸縮シート10の風合いが良好になる。なお、弾性フィラメント13は、不織布におけるエンボス部15と重なりを有し、エンボス部15以外の領域に融着される。したがって、エンボス部15には、弾性フィラメント13は融着されにくい。
ノズル部37から紡出された溶融状態の弾性フィラメント13が、不織布11,12と合流するまでの間、弾性フィラメント13は延伸されて延伸方向に分子が配向する。分子配向によって、伸縮性が良好な弾性フィラメント13が得られる。
弾性フィラメント13の延伸は、原料樹脂の溶融状態での延伸(溶融延伸)だけでなく、その冷却過程における軟化状態の延伸(軟化延伸)であってもよい。溶融状態とは、外力を加えたとき原料樹脂が流動する状態である。原料樹脂の溶融温度は、粘弾性測定によるtanδのピーク温度として測定される。例えば、円形平行平板間に挟んだ原料樹脂に回転方向の振動歪を加えて測定される。弾性フィラメントの時に糸切れが起こらないようにするために、延伸区間を長く確保することがよい。
また、同様に糸切れが起こらないようにするために、原料樹脂の溶融温度は130℃以上、好ましくは180℃以上、さらに好ましくは200℃以上である。そして、原料樹脂の耐熱性すなわち熱変質防止の観点から、原料樹脂の溶融温度は350℃以下、好ましくは320℃以下、さらに好ましくは300℃以下である。
弾性フィラメント13の成形温度(ダイスの温度)は、樹脂の流動性を上げて成形性をよくするために、原料樹脂の溶融温度の+20℃以上、好ましくは+30℃以上、さらに好ましくは+40℃以上である。そして耐熱性のため、+120℃以下、好ましくは+110℃以下、さらに好ましくは+100℃以下である。
弾性フィラメント13と不織布11,12とを接合させるときの弾性フィラメント13の温度は、繊維融着を確実にするために100℃以上である。好ましくは120℃以上であり、さらに好ましくは140℃以上である。また、弾性フィラメント13の形状を保持して伸縮特性の良好な吸収性物品用伸縮シート10を得る観点と不織布11,12の溶融防止の観点から、弾性フィラメント13の温度は250℃以下である。好ましくは200℃以下、さらに好ましくは160℃以下である。
弾性フィラメント13の融着時の温度範囲を上記範囲とすることにより、不織布11,12との接合強度を得た融着が確実に行われる。下限値以上の融着温度であれば、弾性フィラメント13と不織布11,12の繊維とが完全に融着するので、延伸加工時に弾性フィラメント13が不織布11,12から剥がれるおそれを極力低減することができる。また、上限値以下の融着温度であれば、不織布11,12の繊維まで溶融することは避けられる。その結果、所望の肌触り感や風合いを確保することができる。
弾性フィラメント13と不織布11,12との接合時には、弾性フィラメント13は実質的に非伸長状態である。非伸長状態とは、外力を取り除いたときに縮まない状態である。両者の接合状態においては、不織布11,12を構成する繊維の少なくとも一部が、弾性フィラメント13へ融着するか、さらには弾性フィラメント13と不織布11,12を構成する繊維の少なくとも一部との両方が融着することがより好ましい。これによって、十分な接合強度を得ることができる。
得られる吸収性物品用伸縮シート10の伸縮特性は、弾性フィラメント13と不織布11,12との接合点の密度に影響を受ける。また、伸縮特性は、接合温度、接合圧力、後述する不織布の弾性発現処理による接合点のはずれによって調整することができる。不織布11,12の構成繊維を弾性フィラメント13に融着させることで、接合点一つ一つの接合強度が高くなる。接合点の密度を低くすると、弾性フィラメント13の伸縮性が阻害されず、十分な接合強度を有する吸収性物品用伸縮シート10が得られるので好ましい。
弾性フィラメント13を不織布11,12と合流させるときには、各弾性フィラメント13が互いに交差せず一方向に配列するようにする。そして、弾性フィラメント13を不織布11,12と合流させて両不織布11,12間に挟圧する。挟圧の条件は、得られる吸収性物品用伸縮シート10の風合いに影響を及ぼす。挟圧力が大きすぎると弾性フィラメント13が両不織布11,12内に食い込みやすくなり、それに起因して得られる吸収性物品用伸縮シート10の風合いが低下しやすい。この観点から、第1ニップロール31による挟圧力は、弾性フィラメント13が両不織布11,12に接触する程度で足り、過度に高い挟圧力は必要とされない。
このようにして、2枚の不織布11,12間に弾性フィラメント13が挟持された複合シート17が得られる。言い換えれば、弾性フィラメント13によって不織布11,12が接合される。したがって、不織布11,12どうしをエンボス加工等で直接接合する必要はない。
不織布11,12としては、後述する延伸加工を考慮すると、伸長性を有するものが好ましい。この場合には、不織布11,12を含む複合シート17を、弾性フィラメント13の延びる方向に沿って弾性発現処理して、複合シート17に伸縮性を付与する。この操作を、それぞれ歯と歯底が周方向に交互に形成された一対の歯溝ロール43、44を備えた歯溝加工装置40を用い、複合シート17をその搬送方向、即ち弾性フィラメント13の延びる方向に沿って弾性発現処理させることで行う。
なお、延伸条件を適切に設定した場合には、伸長性を有しない不織布を用いることも可能となる。
なお、延伸条件を適切に設定した場合には、伸長性を有しない不織布を用いることも可能となる。
図8に示すように、弾性フィラメント13(図7参照)が融着した複合シート17を、複合シート原反18から矢印A方向に送り、張力付与手段としての変速用のニップロール41、42間に通す。そして、ニップロール41、42によって複合シート17の供給速度および張力を調整する。この速度調整された複合シート17を、それぞれが矢印B、C方向に回転する歯溝加工部の歯溝ロール43、44間に通して、弾性フィラメント13の延びる方向に沿って歯溝加工を施す。
こうした歯溝加工による弾性発現処理によって、複合シート17が延伸加工されて伸縮性が付与された吸収性物品用伸縮シート10が得られる。そして、吸収性物品用伸縮シート10を張力付与手段としての定速度ニップロール45、46間に通して、吸収性物品用伸縮シート10の供給速度を一定にしてから、例えば、矢印D方向の次工程に送り出す。
歯溝加工装置40は、一方または双方の歯溝ロール43、44の枢支部を上下に変位させる公知の図示していない昇降機構を有し、歯溝ロール43、44間の間隔が調節可能になっている。本製造方法においては、各歯溝ロール43、44を、一方の歯溝ロール43の歯が他方の歯溝ロール44の歯間に遊挿され、他方の歯溝ロール44の歯が一方の歯溝ロール43の歯間に遊挿されるように組み合わせ、その状態の両歯溝ロール43、44間に、複合シート17を挿入してこれを歯溝加工する。
歯溝加工装置40は、一対の歯溝ロール43、44の両方が図示していない駆動源によって駆動される。または、一方の歯溝ロール43または44のみが、図示していない駆動源によって駆動するようになっていてもよい。本実施形態の製造方法においては、下側の歯溝ロール44のみが駆動源によって駆動され、上側の歯溝ロール43は駆動源に接続されておらず、歯溝ロール44の回転に伴って従動する。
このような連れ回りロールを用いることによって、歯溝加工後において吸収性物品用伸縮シート10に高伸長領域および低伸長領域が明確な縞模様として現れやすくなる。吸収性物品用伸縮シート10の意匠性が高まり、高伸長領域においては、坪量が減少して通気性が向上する点で好ましい。歯溝ロール43、44の歯形としては、一般的なインボリュート歯形、サイクロイド歯形が用いられ、特にこれらの歯幅を細くしたものが好ましい。
各歯溝ロール43,44における隣接する歯どうしのピッチは、歯溝ロールピッチの精度から見たコストの観点と加工後の不織布シートの外観という観点から、0.4mm以上であり、好ましくは0.6mm以上であり、さらに好ましくは1mm以上である。そして布様な外観を有するという観点から、隣接する歯同士のピッチは7mm以下であり、好ましくは3mm以下であり、さらに好ましくは2.0mm以上である。また、歯溝ロール43、44の歯の幅は、歯の強度を考慮すると、歯どうしのピッチの0.15以上であり、好ましくは0.2以上である。そして高い延伸倍率を得る観点から、歯どうしのピッチの0.5以下であり、好ましく0.3以下である。
さらに、歯溝ロール43,44の各歯の高さは、複合シート17に伸縮性を与えるために延伸倍率を高くすることを考慮すると、歯のピッチが例えば2mmの場合は2(ピッチの1倍)mm以上、好ましくは2.5(ピッチの1.25倍)mm以上である。そして歯の強度を考慮すると、6(ピッチの3倍)mm以下、好ましくは5.5(ピッチの2.75倍)mmである。
各歯溝ロール43、44における歯の先端の角部は、歯の角部によって複合シート17にダメージを与えないようにするために、面取りしておくことが好ましい。面取りの曲率半径は0.1mm以上0.3mm以下が好ましい。
歯溝ロール43、44の歯の噛み合い深さは、複合シート17に伸縮性を与えるために延伸倍率を高くすることを考慮すると、1mm以上であり、好ましくは2mm以上、さらに好ましくは3mm以上である。歯の噛み合い深さとは、歯溝ロール43、44どうしを噛み合わせて回転させるとき、隣接する歯が最も深く噛み合う時の重なり合う長さをいう。
歯溝ロール43、44は、少なくとも何れか一方の回転軸に駆動手段(図示せず)からの駆動力が伝達されることによって噛み合って回転する。歯溝ロール43、44の各軸に歯とは別に、一般的な、JIS B1701に規定されている歯車を駆動用の歯車として取り付けてもよい。それによって、歯溝ロール43、44の歯が噛み合うのではなく、これらの歯車が噛み合うことによって、歯溝ロール43、44に駆動が伝達され、歯溝ロール43、44を回転させることができる。この場合、歯溝ロール43、44の歯は接触することはない。
図9には、歯溝ロール44のみが駆動する連れ回りロールを用いた場合の複合シート17が弾性発現処理される状態を模式的に示す。複合シート17が歯溝ロール43,44間を通過する際には、複合シート17は、歯溝ロール43,44の歯43T,44Tに当接する領域(P3-P2間、P1-P4間)においては、ほとんど延伸されない。これに対し、駆動ロールである歯溝ロール44の歯44Tの歯面によって、従動ロールである歯溝ロール43の歯43Tの歯面に向けて押圧される領域(P2-P1間)においては、両歯43,44によって大きく延伸される。また、歯溝ロール44の歯44Tの先端部によって、歯溝ロール43の歯43Tから引き離される領域(P4-P3間)においては、前記領域(P2-P1間)程ではないが、大きく延伸される。
また複合シート17は、歯溝ロール43,44の歯43T,44Tの先端部に当接する領域(P3-P2間、P1-P4間)においては、前述のとおりほとんど延伸されないが、歯43T,44Tの先端部によって、その径方向に、つまり複合シート17の厚み方向に片押しされるので、厚み方向に薄くなる。但し領域(P3-P2間)と領域(P1-P4間)とは片押しされる方向が反対向きであるため、薄くなる方向が反対向きとなる。
こうした延伸加工によって、弾性フィラメント13と両不織布11,12との剥離を防止しつつ、複合シート17における両不織布11,12を効率的に延伸させ、複合シート17に伸縮性を付与することができる。そして、大きく延伸される高伸長領域(P2-P1間及びP4-P3間)と、ほとんど延伸されない低伸長領域(P3-P2間、P1-P4間)とが生じる。得られる吸収性物品用伸縮シート10は、図10に示すように、高伸長領域10Hと低伸長領域10Lとが伸縮方向に直交する方向に交互に配置される。
次に、本考案に係る吸収性物品の好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。まず、図11および12を参照して本実施形態の使い捨ておむつ100の概要を説明する。
本明細書においては、特に断らない限り、人体に接触する側を肌当接面側といい、これと反対側を非肌当接面側という。装着時に装着者の腹側部から排泄部対応領域を介して背側部に亘る方向を、吸収性物品の長手方向(Y方向)という。この長手方向と直交する方向を幅方向(X方向)という。また、吸収性物品の長手方向及び幅方向に垂直な方向を厚み方向(Z方向)といい、Z方向における長さを厚みという。
図12は、本実施形態の使い捨ておむつ100の、展開状態を表している。ここで、展開状態とは、各部を伸長させて吸収性物品を平面状に拡げた状態をいう。
図11および12に示すように、本実施形態のおむつ100は、外装体101とその肌面に配される吸収性本体4とを備えている。外装体101は、おむつ100の外形を成している。すなわち、吸収性本体4の長手方向(Y方向)両端側から吸収性本体4の幅方向(X方向)の外方両側に延出し、腹側外装体101Fと背側外装体101Rを成している。
上記おむつ100は、装着時において、着用者の腹側に配される腹側部F、着用者の背側に配される背側部R、および腹側部Fと背側部Rとの間に位置する股下部Cを有する。腹側部Fと背側部Rとが股下部Cを折り返し軸として向かい合わせにされている。また両側のサイドシール部103(103a)、103(103b)で接合されて環状の胴回り部Dを成す。この構成により、おむつ100は、胴回り部Dの上端が開放されたウエスト開口部104と、胴回り部Dの下方の股下部Cの両側が開放された一対のレッグ開口部105(105a)、105(105b)とを有する。サイドシール部103は、ヒートシール、超音波シール等の方法により形成される。
吸収性本体4は、構成部材として、液透過性の表面シート1、液難透過性の裏面シート2および両シート間に介在配置される吸収体3を含む。さらに表面シート1の肌当接面側の両側部には、サイドシート5が吸収性本体4のY方向に沿うように配されている。サイドシート5は表面シート1のX方向外方に延出してその非肌当接面側に捲き下げられ、吸収体3と裏面シート2との間、または裏面シート2の非肌当接面側に接合固定されている。また、吸収性本体4は図示していない台紙に被覆されていてもよい。
サイドシート5としては、例えば、スパンボンド-メルトブローン-スパンボンド積層不織布(通称SMS不織布)やスパンボンド-メルトブローン-メルトブローン-スパンボンド不織布(通称SMMS不織布)等の耐水性の高い撥水性の不織布や、スパンボンド不織布や、スパンボンド不織布等の不織布と透湿性又は非透湿性の樹脂フィルムとの積層体等を用いることができる。
各サイドシート5の幅方向中央寄りの内方端部に立体ギャザー弾性体51が配されて、表面シート1の肌当接面側にサイドシート5および立体ギャザー弾性体51によって、液漏れを防止する立体ギャザーが構成されている。
立体ギャザー弾性体51の形成素材としては、例えば、スチレン-ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、ネオプレン等の合成ゴム、天然ゴム、エチレン酢酸ビニル(EVA)、伸縮性ポリオレフィン、ポリウレタン等を挙げることができる。弾性体の形態としては、断面が矩形、正方形、円形、楕円形又は多角形状等の糸状(糸ゴム等)、若しくは紐状(平ゴム等)のもの、またはマルチフィラメントタイプの糸状のもの等を好ましく用いることができる。
外装体101は、部材の厚み方向に見て、外層シート111と内層シート112とを積層して形成されている。外層シート111は外装体101の非肌当接面側に位置し、内層シート112は外装体101の肌当接面側に位置する。おむつ100の股下部C両側には、外層シート111と内層シート112との間にレッグギャザー形成用弾性部材113が伸長状態で配置固定されている。これによりレッグ開口部105の周囲にレッグギャザーが形成され、おむつ100が着用者の足回りに密着できるようにされている。
上記各弾性体の伸縮によっておむつ100は、装着者の運動等による体形変化にもよく追従してフィットし、液体等の横漏れを効果的に防止し得る。
外層シート111は、ウエスト開口部104周辺において、伸縮性シートで構成される。該伸縮性シートは、着用者の胴回り方向、すなわち外装体101のX方向に伸縮性を有する。これにより、ウエスト開口部104にギャザーが形成され、おむつ100が着用者のウエスト回りに密着できるようにされている。この伸縮性シートに代えて、ウエスト開口部104周辺において、外層シート111または内層シート112との間に弾性部材を配してもよい。
上記外層シート111の伸縮性シートとしては、本実施形態の吸収性物品用伸縮シート10が用いられる。一方、内層シート112としては、不織布、不織布と樹脂フィルムとの積層材、多孔性フィルム等が好ましい。通気性、風合いを良好にする観点から、熱可塑性繊維を含む不織布から形成されているものが好ましく、また、排泄物の漏れ防止の観点から、撥水性の不織布から形成されているものが好ましい。
また、外層シート111、内層シート112からなる外装体101は、防漏性の観点から液難透過性を有することが好ましく、おむつ内の過度の湿度の上昇を防ぐ観点から通気性および水蒸気の透過性を有することが好ましい。
また、外層シート111、内層シート112からなる外装体101は、防漏性の観点から液難透過性を有することが好ましく、おむつ内の過度の湿度の上昇を防ぐ観点から通気性および水蒸気の透過性を有することが好ましい。
吸収性本体4を成す表面シート1は、肌触りが良く液透過性の部材からなり、親水性不織布が好ましく、例えば、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、立体賦形不織布と呼ばれている不織布が挙げられる。その不織布の繊維は、ポリプロピレンの単繊維や、ポリプロピレンとポリエチレンの複合繊維、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンの複合繊維等で親水化処理が施された繊維が好ましい。また、表面シート1の股下部分には、表面シート1の非肌当接面側に親水性穴開きフィルムや親水性不織布が部分的に重ねられていてもよい。
裏面シート2は、防水性があり透湿性を有していれば特に限定されない。裏面シート2は、吸収体3の非肌当接面側で液漏れを防ぐ観点から、液難透過性の部材を含む。例えば疎水性の熱可塑性樹脂と、炭酸カルシウム等からなる微小な無機フィラーまたは相溶性のない有機高分子等とを溶融混練してフィルムを形成し、フィルムを一軸または二軸延伸して得られる液不透過性の多孔性フィルムが挙げられる。前記熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィンが挙げられる。ポリオレフィンとしては、高密度ないし低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等が挙げられ、これらを単独でまたは混合して用いることができる。また、ムレ防止の観点から透湿性を有することが好ましい。
吸収体3は、液保持性を有するものであれば、吸収性物品に通常用いられるものを用いることができる。例えば、繊維集合体、または繊維集合体と吸水性ポリマーとを併用させたもの等が挙げられる。繊維集合体を構成する繊維としては、パルプ繊維等の親水性天然繊維や、合成繊維(好ましくは親水化処理を施したもの)等が挙げられる。パルプ繊維としては、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプ等の木材パルプや木綿パルプ、ワラパルプ等の非木材パルプ等の天然セルロース繊維などが挙げられる。その他、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオフィレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等の合成樹脂からなる単繊維、これらの樹脂を2種以上含む複合繊維が挙げられる。また複合繊維には、アセテートやレーヨンなどの半合成繊維を一部に含んでもよい。吸収体3の坪量は特に限定されず、上述した通りである。
吸水性ポリマーとしては、この種の物品に通常使用されている各種のポリマー材料を用いることができる。吸水性ポリマーは、自重の20倍以上の水または生理食塩水を吸収して保持し得る性能を有するような超吸収性高分子化合物であることが好ましい。
吸水性ポリマーとしては、この種の物品に通常使用されている各種のポリマー材料を用いることができる。吸水性ポリマーは、自重の20倍以上の水または生理食塩水を吸収して保持し得る性能を有するような超吸収性高分子化合物であることが好ましい。
上記おむつ100は、図示していない各種ギャザーが配されている。外装体101は、着用者がおむつ100を着用した状態で、ウエスト周りに配されるウエストギャザー、腸骨を通る胴周りに配される腸骨ギャザー、腸骨ギャザーよりも股下部C側に配される胴周りギャザーを有することが好ましい。さらに、背側外装体101Rの股下部C側には、ヒップカバーギャザーが配されていることが好ましい。
上記ウエストギャザー、腸骨ギャザー、胴回りギャザーは、それぞれ複数本の弾性部材をY方向に所定の間隔でX方向に配して構成されている。
締め付け力は、ウエストギャザーより腸骨ギャザーの方が、締め付け力が強いことが好ましい。またウエストギャザーより胴回りギャザーの方が、締め付け力が強いことが好ましい。また、各ギャザーの締め付け力は弾性部材の伸縮力によって調整される。各弾性部材は、外層シート111と内層シート112との間に伸長状態で接着されて固定されている。
締め付け力は、ウエストギャザーより腸骨ギャザーの方が、締め付け力が強いことが好ましい。またウエストギャザーより胴回りギャザーの方が、締め付け力が強いことが好ましい。また、各ギャザーの締め付け力は弾性部材の伸縮力によって調整される。各弾性部材は、外層シート111と内層シート112との間に伸長状態で接着されて固定されている。
上記各弾性部材の形成素材としては、例えば、スチレン-ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、ネオプレン等の合成ゴム、天然ゴム、EVA、伸縮性ポリオレフィン、ポリウレタン等を挙げることができる。弾性体の形態としては、断面が矩形、正方形、円形、楕円形または多角形状等の糸状(糸ゴム等)、若しくは紐状(平ゴム等)のもの、またはマルチフィラメントタイプの糸状のもの等を好ましく用いることができる。
本考案の吸収性物品は、上記の実施形態のおむつに制限されるものではなく、例えば生理用ナプキン、パンティライナー、失禁パッド、尿とりパッド等に適用することができる。なお吸収性物品の構成部材として、表面シート1、裏面シート2、吸収体3の他にも用途や機能に合わせ適宜部材を組み込んでもよい。
以下、実施例に基づき本考案をさらに詳細に説明する。
エンボス部を有する不織布を用いて、図7および図8に示す製造装置により実施例および比較例の吸収性物品用伸縮シートを製造した。それぞれに用いた不織布は、いずれも構成繊維がポリプロピレン樹脂(平均繊維径18μm)である。弾性フィラメントは、直径が125μmで、坪量が10g/m2のスチレン系エラストマー樹脂製である。
得られた吸収性物品用伸縮シートについて、柔軟性および外観を以下の手法により調べた。
<柔軟性>
吸収性物品用伸縮シートは、伸縮方向が円周に沿うように円筒状(直径45mm、高さ30mm)に成形して、測定用サンプルを作製した。このサンプルを試験機に載置し、一定速度(10mm/min)で高さ方向に圧縮して最大荷重を測定した。
<柔軟性>
吸収性物品用伸縮シートは、伸縮方向が円周に沿うように円筒状(直径45mm、高さ30mm)に成形して、測定用サンプルを作製した。このサンプルを試験機に載置し、一定速度(10mm/min)で高さ方向に圧縮して最大荷重を測定した。
<外観>
吸収性物品用伸縮シートを2倍に伸長して穴を生じさせ、外観を撮影した。得られた画像を二値化処理し、ソフト(Image-Pro)を用いて穴(画像の黒部)の量を求めた。
得られた結果を、不織布におけるエンボス部の状態とともに下記表にまとめる。
吸収性物品用伸縮シートを2倍に伸長して穴を生じさせ、外観を撮影した。得られた画像を二値化処理し、ソフト(Image-Pro)を用いて穴(画像の黒部)の量を求めた。
得られた結果を、不織布におけるエンボス部の状態とともに下記表にまとめる。
比較例と比べ、実施例は、第2方向の距離が1.1mm以上のエンボス部を有する不織布を用いたので、最大荷重が2cN以下と柔軟性に優れ、穴面積が2%未満と外観の良好な吸収性物品用伸縮シートが得られた。
10…吸収性物品用伸縮シート 11、12…不織布 13…弾性フィラメント
15…エンボス部 10H…高伸長領域 10L…低伸長領域
15…エンボス部 10H…高伸長領域 10L…低伸長領域
Claims (7)
- 複数のエンボス部を有する不織布と、
融着により前記不織布に部分的に接合され、前記エンボス部と厚み方向において重なりを有する複数の弾性フィラメントとを備え、第1方向に伸縮可能な吸収性物品用伸縮シートであって、
前記不織布と前記弾性フィラメントとの接合部において、前記弾性フィラメントは繊維形状を保持し、
前記第1方向に直交する第2方向に互いに隣接するエンボス部間の第2方向の距離が1.1mm以上である、
吸収性物品用伸縮シート。 - 前記エンボス部は、前記第2方向における長さが1mm未満である請求項1記載の吸収性物品用伸縮シート。
- 前記弾性フィラメントは、前記エンボス部に融着していない請求項1又は2記載の吸収性物品用伸縮シート。
- 前記複数の弾性フィラメントは、互いに交差せずに前記第1方向に延びて配列している請求項1乃至3のいずれか記載の吸収性物品用伸縮シート。
- 前記不織布は、長繊維不織布である請求項1乃至4のいずれか記載の吸収性物品用伸縮シート。
- 前記吸収性物品用伸縮シートは、前記第2方向に延びて、前記第1方向に交互に配列された高伸長領域と低伸長領域とを備える請求項1乃至5のいずれか記載の吸収性物品用伸縮シート。
- 請求項1乃至6のいずれか記載の吸収性物品用伸縮シートを用いた吸収性物品。
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