JP3238005U - 発光装置および水生生物飼育用照明装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】水深50~100m程度の比較的深い水中において、自然光と同様の照明環境を再現可能な発光装置を提供する。【解決手段】発光装置1は、360~430nmに第1ピーク波長を有する第1放射光を放射する発光部3aを有する発光素子3と、該発光素子の発光部上に位置しており、第1放射光に励起されて480~520nmに第2ピーク波長を有する第2放射光を放射する蛍光体7を含む被覆材6とを備えており、第2ピーク波長から750nmの波長にかけて光強度は連続的に減少するとともに、第1ピーク波長から360nm以下の波長領域にかけて光強度は連続的に減少し、第1ピーク波長および第2ピーク波長を有するピーク領域を有する外部放射光を放射し、該外部放射光において、第1ピーク波長における第1放射光の光強度が、第2ピーク波長における第2放射光の光強度の50%である。【選択図】図2
Description
本考案は、発光素子および蛍光体を含む発光装置および水生生物飼育用照明装置に関する。
近年、LED(Laser Emitting Diode)等の半導体発光素子(以下、単に発光素子という)を光源とする発光装置および発光装置を基板等に実装した照明装置が用いられている。このような発光装置等は、例えば、太陽光等の自然光の代替として、各種の製造工程で使用される場合がある。上記発光装置等の利用により、例えば屋内または夜間等の太陽光の利用が難しい環境でも、各種の作業ができるようになる。
上記の発光装置等を、植物または動物等の観賞に適した色調等の光源として用いることが試みられるようになってきている。例えば近年、海中等の水中に生息する生物(水生生物)の屋内での鑑賞に、上記の発光装置が用いられる場合がある。水中における照明用の発光装置(ライト)としては、例えば、特許文献1に記載されているようなライトトラップが知られている。
しかしながら、上記従来技術の発光装置を水生生物の観賞または飼育等に用いるようになってくると、種々の水深に生息する水生生物の色を再現することが難しいことがわかってきた。すなわち、上記生物が実際に存在している水中、例えば水深50~100m程度の比較的深い水中における自然光と同様の照明環境を提供することが難しい。
本考案の1つの態様の発光装置は、360~430nmに第1ピーク波長を有する第1放射光を放射する発光部を有する発光素子と、前記発光素子の前記発光部上に位置しており、前記第1放射光に励起されて480~520nmに第2ピーク波長を有する第2放射光を放射する蛍光体を含む被覆材とを備えている。この発光装置は、前記第2ピーク波長の上限から750nmの波長にかけて光強度が連続的に減少するとともに、前記第1ピーク波長から360nm以下の波長領域にかけて光強度が連続的に減少し、前記第1ピーク波長および前記第2ピーク波長を有するピーク領域を有する外部放射光を放射する。前記外部放射光において、前記第1ピーク波長における前記第1放射光の光強度が、前記第2ピーク波長における前記第2放射光の光強度の50%である。
本考案の1つの態様の水生生物飼育用照明装置は、上記1つの態様の発光装置を備える。
本考案の1つの態様の発光装置によれば、例えば、水深50~100m程度の、比較的深く、かつ多種類の水生生物が生息する深度に対応した照明装置の製作が容易な、発光装置を提供することができる。
本考案の1つの態様の水生生物飼育用照明装置によれば、例えば、水深50~100m程度の、比較的深く、かつ多種類の水生生物が生息する深度に対応した照明装置を提供することができる。
本考案の実施形態の発光装置および照明装置を、添付の図面を参照して説明する。以下の説明における上下の区別は便宜的ものであり、発光装置および照明装置が実際に用いられるときの上下を規定するものではない。なお、以下の説明における「飼育に適する」こと等は、飼育の対象である水生生物に対して、それらの生物が本来生息している海中等の水中における照明環境と同様の照明環境を再現可能であることを意味する。すなわち、このような照明環境の再現性の高さにより、それらの生物の成長、繁殖および鑑賞等を良好に行なうことができることを意味する。なお、この場合の色の再現は、例えば可視光領域であり、目視で実感できるものであればよい。「水中」と「海中」とについては、特に区別せずに用いる。
図1は、本考案の実施形態の発光装置1を示す斜視図である。図2は、図1に示す発光装置1を仮想線で示す平面で切断したときの断面図である。図3は、図2に示す発光装置1の一部(二点鎖線で囲んだ部分X)を拡大して示す断面図である。図4は、本考案の実施形態の発光装置における外部放射光のスペクトルを示す図(グラフ)である。図5は、図4に水深50mにおける太陽光のスペクトルを加えて示す図(グラフ)である。図6は、本考案の他の実施形態の発光装置における外部放射光のスペクトルを示す図(グラフ)である。図7は、本考案の実施形態の照明装置10を示す斜視図である。これらの図において、発光装置1は、基板2と、発光素子3と、枠体4と、封止部材5と、被覆材6と、蛍光体7とを備えている。また、照明装置10は、上記発光装置1を少なくとも1個と、その発光装置1が実装された実装板11とを備えている。照明装置10の外部放射光は、基本的に発光装置1の外部放射光と同様のスペクトルを有する。
本実施形態において、発光装置1は、基板2と、基板2に搭載された発光素子3と、基板2の上面に位置し、平面視で発光素子3を囲んでいる枠体4と、枠体4に内側に位置して発光素子3を封止している封止部材5と、封止部材5を介して発光素子3上に位置している被覆材6とを有している。また、被覆材6は、発光素子3の発光部3a上に位置し、蛍光体7を含んでいる。発光素子3は、例えば、LEDであって、半導体を用いたpn接合中の電子と正孔が再結合することによって、外部に向かって(例えば図2における上方向に)光を放出する。
基板2は、絶縁性の基板であって、例えば平面視で矩形状であり、発光素子3が搭載されている第1面(例えば上面)と、反対側の第2面(例えば下面)とを有している。基板2は、例えば、酸化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体または窒化ケイ素質焼結体等のセラミック材料、またはガラスセラミック焼結体等の材料からなる。
また、基板2は、上記の材料のうち複数の材料を混合した複合系材料からなるものでもよい。また、基板2は、基板2の熱膨張率を調整することができる金属酸化物等の微粒子(フィラー粒子)を分散させた有機樹脂からなるものでもよい。この場合の有機樹脂を含む材料は、例えば、エポキシ樹脂およびポリイミド樹脂等が挙げられる。例えばエポキシ樹脂であって、ガラスクロス等で補強されたものでもよい。
基板2は、例えば、酸化アルミニウム質焼結体からなる場合であれば、次の工程で製作することができる。まず、酸化アルミニウムおよび酸化ケイ素等の原料粉末に有機溶剤およびバインダを添加して混練したスラリーをドクターブレード法等の方法でシート状に成形してセラミックグリーンシートを作製する。次に、セラミックグリーンシートを所定の形状および寸法に切断して複数のシートを作製する。その後、これらのシートを必要に応じて複数層積層し、約1300~1600℃の温度で一体的に焼成する。以上の工程によって、基板2を製作することができる。
また、基板2は、エポキシ樹脂等の有機樹脂材料からなる場合であれば、未硬化のエポキシ樹脂材料を射出成型またはトランスファー成型等の加工法で所定の形状および寸法に成型し、加熱硬化させる方法で製作することができる。
基板2には、少なくとも基板2の上面または内部には、基板2の枠体4で囲まれた部分の内外を電気的に導通する配線導体が位置している。配線導体は、例えば、タングステン、モリブデン、マンガン、銅、銀、パラジウム、金、チタンおよびコバルト等の材料から適宜選択された導電材料からなる。配線導体は、金属材料以外に、カーボン等の導電性成分が添加されていてもよい。また、配線導体は、例えばセラミック粒子またはガラス粒子等の添加材が添加されていてもよい。これらの添加材は、例えば、配線導体と基板2との熱膨張率の差の低減等の機能を有する。
基板2がセラミック材料からなる場合は、配線導体は、例えば次のようにして形成することができる。まず、タングステン等の粉末に有機溶剤を添加して得た金属ペーストを、基板2となる複数のシートにそれぞれ所定パターンで印刷する。その後、複数のシートを積層したものと金属ペーストとを同時焼成することにより、基板2に配線導体を形成することができる。なお、配線導体の表面には、酸化防止または後述するろう材の濡れ性等の特性向上等のために、例えば、ニッケルまたは金等のめっき層が形成されている。
また、基板2が有機樹脂を含む材料からなる場合は、有機樹脂材料の表面またはビアホール等に、蒸着法およびめっき法等の薄膜形成技術を用いて上記の金属材料の膜を形成する方法で、配線導体を形成することができる。この場合、エッチングまたはレーザ加工等のパターン形成法およびビアホール形成法を併用することもできる。
また、基板2の上面等の発光素子3が搭載される面には、基板2上方(外部)に効率よく光を反射させるために、配線導体およびめっき層と間隔を空けて金属反射層が配置されていてもよい。金属反射層は、例えば、アルミニウム、銀、金、銅またはプラチナ(白金)等の金属材料からなる。これらの金属材料は、例えば配線導体と同様のメタライズ層の形態でもよく、めっき層を含む薄膜層の形態でもよい。また、金属反射層は、複数の形態の金属層からなるものでもよい。
また、上記の金属反射層を設ける代わりに、基板1を白色系のセラミック材料で形成するとともに、少なくとも、発光素子3が搭載される基板1の上面を鏡面状にして、光の反射率を高めるようにしてもよい。白色系のセラミック材料としては、例えば酸化アルミニウム質焼結体(顔料を添加していないもの)、ガラスセラミック焼結体およびムライト質焼結体等が挙げられる。また、セラミック材料を、例えば中心粒径が約0.5μm以下の微粉原料の焼結体とすることで、鏡面状の表面を有する基板2を製作することができる。
発光素子3は、基板2の上面に搭載されている。発光素子3は、基板2の上面に位置する配線導体(または、その表面のめっき層)上に、例えば、ろう材または半田を介して電気的および機械的に接続されている。発光素子3は、透光性基体(符号なし)と、透光性基体上に位置する光半導体層である発光部3aとを有している。透光性基体は、有機金属気相成長法または分子線エピタキシャル成長法等の化学気相成長法を用いて、光半導体層を成長させることが可能なものであればよい。
透光性基体に用いられる材料としては、例えば、サファイア、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、セレン化亜鉛、シリコンカーバイド、シリコーンまたは二ホウ化ジルコニウム等を用いることができる。なお、透光性基体の厚みは、例えば50μm以上1000μm以下である。
光半導体層は、透光性基体上に位置する第1半導体層と、第1半導体層上に位置する発光層と、発光層上に位置する第2半導体層とから構成されている。第1半導体層、発光層および第2半導体層は、例えば、III族窒化物半導体、ガリウムリンまたはガリウムヒ素等のIII-V族半導体、あるいは、窒化ガリウム、窒化アルミニウムまたは窒化インジウム等のIII族窒化物半導体等を用いることができる。なお、第1半導体層の厚みは、例えば1μm以上5μm以下であって、発光層の厚みは、例えば25nm以上150nm以下であって、第2半導体層の厚みは、例えば50nm以上600nm以下である。また、このように構成された発光素子3は、例えば360~430nm(すなわち、360nm以上かつ430nm以下)の波長範囲の励起光を発することができる。すなわち、実施形態の発光装置1は、紫色の波長領域の光(可視光)を放射する。
枠体4は、例えば、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウムまたは酸化イットリウム等のセラミック材料からなる。また、枠体4は、多孔質材料でもよい。また枠体4は、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウムまたは酸化イットリウム等の金属酸化物からなる粉末を混合させた樹脂材料からなるものでもよい。
枠体4は、基板2の上面に、例えば樹脂、ろう材または半田等を介して接続されている。枠体4は、基板2と同じセラミック材料からなり、基板2との同時焼成で形成されたものでもよい。枠体4は、発光素子3と間隔を空けて、発光素子3を取り囲むように基板2の上面に設けられている。また、枠体4は、傾斜する内壁面が、基板2の主面から遠ざかるに従い、外方に向かって広がるように形成されている。枠体4の外側に広がるように傾斜した内壁面が、発光素子3から発せられる励起光を外部に放射する反射面として機能する。なお、平面視して、枠体4の内壁面の形状を円形とすると、発光素子3が放射する光を一様に反射面にて外方に向かって反射させることができる。
また、枠体4の傾斜している内壁面は、例えば、焼結材料からなる枠体4の内周面にタングステン、モリブデン、マンガン等から成る金属層と、金属層を被覆するニッケルまたは金等から成るめっき層を形成してもよい。このめっき層は、発光素子3の発する光を反射させる機能を有する。なお、枠体4の内壁面の傾斜角度(縦断面視において枠体の内壁面と基板2上面とのなす角の大きさ)は、基板2の主面に対して例えば55度以上70度以下の角度に設定されている。
なお、枠体4についても、基板1と同様に、光の反射率が高いセラミック材料からなるものでもよく、少なくとも内側面が鏡面状になるように成形されたものでもよい。光の反射率が高いセラミック材料および鏡面の形成についても、基板2の場合と同様の方法を用いることができる。
基板2および枠体4で囲まれる内側の空間には、光透過性の封止部材5が充填されている。封止部材5は、発光素子3を封止するとともに、発光素子3の内部から発せられる光を外部に光を外部に透過させる機能を備えている。
封止部材5は、基板2および枠体4で囲まれる内側の空間内に、枠体4で囲まれる空間の一部を残して充填されている。封止部材5は、例えば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂またはエポキシ樹脂等の透光性の絶縁樹脂や透光性のガラス材料が用いられる。封止部材5の屈折率は、例えば1.4以上1.6以下に設定されている。
被覆材6は、発光素子3の発光部3a上に位置している。つまり、被覆材6は、発光素子3の発光部3aを含む上面と封止部材5を介して対向している。言い換えれば、発光素子3の光が放射される発光部3a(上面)に対向して被覆材6が位置し、後述する蛍光体7への光の入射が容易なものとされている。
例えば図2に示すように、被覆材6は、基板2および枠体4で囲まれた内側の空間の上部に、封止部材5の上面に沿って設けられている。被覆材6は、枠体4内に収まるように位置している。被覆材6は、発光素子3の発する光の波長を変換する機能を有している。被覆材6における波長変換の機能は、被覆材6内に位置している蛍光体7による。
すなわち、発光素子3から放射された光が封止部材5を介して被覆材6の内部に入射する。被覆材6の内部に含有されている蛍光体7が、発光素子3から放射された光によって励起されて蛍光を発する。すなわち、被覆材6は波長変換の機能を有している。また、被覆材6は、発光素子3から放射された光の一部を透過させて放射するものである。つまり、被覆材6から外部に放射される外部放射光は、発光素子3から放射された放射光(第1放射光)と、蛍光体7から放射された蛍光(第2放射光)とを含んでいる。外部放射光のスペクトルは、これらの第1および第2放射光のスペクトルが合成されたものになる。
被覆材6は、例えば、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂またはエポキシ樹脂等の透光性の絶縁樹脂、または透光性のガラス材料を有し、その絶縁樹脂、ガラス材料中に、蛍光体7が含有されている。蛍光体7は、例えば、被覆材6中に均一に分散している。
発光素子3および被覆材6中に含有される蛍光体7としては、最終的に発光装置1から外部に放射される光である外部放射光(Radiated-light)の発光スペクトルが、図4および図5に示すような発光スペクトルとなるように選ばれる。この場合、第1放射光を放射する発光素子3についても、外部放射光が上記スペクトルになるように設定することができる。なお、上記の発光スペクトルは、例えば、分光器および制御回路を備える市販の各種測定器で測定することができる。
上記第2放射光を放射する蛍光体7について、具体的な例を挙げて説明する。なお、図3では、蛍光体7として、第2ピーク波長λ2に対応した蛍光を放射する蛍光体(第1蛍光体7a)に加えて、第2蛍光体7bが用いられた例を示している。
各蛍光体は、例えば、青色を示す第1蛍光体7aは、(Sr,Ca,Ba)10(PO4)6Cl2:Euであり、青緑色を示す第2蛍光体7bは、Sr4Al14O25:Euである。かっこ内の元素の割合は、分子式の範囲内であれば任意に設定して構わない。第2蛍光体7bにより、外部放射光の青~青緑領域におけるスペクトラムを太陽光のスペクトラムにさらに近付けることができる。
本実施形態の発光装置1では、前述したように、発光素子3から放射される第1放射光が、360~430nmに第1ピーク波長λ1を有している。また、蛍光体7から放射される第2放射光が、480~520nmに第2ピーク波長λ2を有している。これらの第1放射光および第2放射光を含む、発光装置1から外部への放射光(外部放射光)は、第1ピーク波長λ1および第2ピーク波長λ2を含むピーク領域Pと、第2ピーク波長λ2から750nmの波長にかけて、光強度が連続的に減少する長波長領域Lと、第1ピーク波長λ1から紫外線領域にかけて光強度が連続的に減少する短波長領域Sとを有している。なお、光強度(W/m2/nm)は、単位面積および単位波長あたりの光の放射照度である。
この場合、短波長領域Sの上限(波長が比較的短い領域)は、ピーク領域Pに含まれる第1ピーク波長λ1よりも短波長側であり、例えば、約360nmよりも短波長側の近紫外線領域である。また、長波長領域Lの下限(波長が比較的長い領域)は、ピーク領域Pに含まれる第2ピーク波長λ2よりも長波長側であり、例えば、約520nmよりも長波長側の黄色領域である。
すなわち、本実施形態の発光装置1は、紫色(波長360~430nm)領域および青~緑色(波長480~520nm)領域においてピークを有し、緑色から赤色(波長480~750nm)にかけて光強度が次第に小さくなる光を外部に放射する。また、近紫外線領域において放射光が減衰する。言い換えれば、本実施形態の発光装置1で照明された被照明物は、紫~青および緑の色調が比較的強い色として視認される。このような色(色調)は、水深50m程度またはそれよりも深い(例えば約50~100m)の海中において、その水深に届く太陽光のスペクトルに近似している。
したがって、本実施形態の発光装置1は、例えば、水深50~100m程度の、比較的深く、かつ多種類の水生生物が生息する深度に対応した照明装置(例えば、上記発光装置1を1個または複数個備える本考案の実施形態の照明装置10)の製作が容易な、発光装置を提供することができる。このような水生生物としては、例えばタイ、スズキ、エビなどの魚介類、イソギンチャク等の刺胞動物、海藻類、ウナギ等が挙げられる。また、本実施形態の照明装置10によれば、上記深度(50~100m)に対応した照明装置を提供することができる。このため、上述したような水生生物の飼育(育成)および養殖に対応した照明装置を提供することができる。なお、このような実施形態の発光装置1を含む照明装置10の詳細については後述する。
上記の生物は、例えば室内(地上)において観賞(個人等)、展示(水族館等)、養殖または研究等の目的で水槽等において飼育される場合がある。このような場合に、実施形態の発光装置1を含む照明装置を用いれば、上記の各用途に適した飼育環境を容易に構成することができる。
例えば、浅海域の中深度に生息する上記魚類または海藻等の飼育、繁殖の調査、研究さらに養殖(産業としての実施)を陸上、室内で行なうときの照明に、上記の発光装置1および照明装置10を有効に利用することができる。言い換えれば、実施形態の発光装置1および照明装置10は、上記水生生物に関して、精度の高い調査、研究および生産性の高い養殖等に有効な照明環境を提供することができる。
観賞用に上記の水生生物を飼育する場合であれば、その水生生物が実際に生息している水中における色調を高い精度で再現することができる。そのため、飼育者は、実際に水中で水生生物を見るときと同じ色調で、室内等においてその生物を観賞することができる。この場合の発光装置1およびそれを含む照明装置10は、例えば、心地良い観賞環境を容易に構成することができる。また、このような発光装置1および照明装置10を製作および販売するときには、その付加価値を効果的に向上させること(より高い価格で販売すること等)もできる。
上記構成の発光装置1および照明装置10において、第1放射光の光強度が、第2放射光の光強度の70%以下の強さであってもよい。例えば、図4に示す例では、第2ピーク波長λ2における第2放射光の光強度を1としたときに、第1ピーク波長λ1における第1放射光の光強度が0.5(つまり50%)に設定されている。
このような、第1放射光と第2放射光との強度の比である場合には、水深50~100mの海中において目視で認識される可視光線と実施形態の発光装置1から放射される可視光線とのスペクトルを、例えば図5に示すように効果的に近似させることがより容易になる。また、このときに、近紫外線領域の光強度が上記可視光線に比べて比較的小さいので、近紫外線による水生生物に対する悪影響(例えば皮膚の劣化など)を効果的に低減することができる。
上記各構成の発光装置1およびそれを含むそれぞれの照明装置10において、長波長領域における外部放射光の光強度は、570~590nmの波長領域(黄色領域)において第2ピーク波長λ2における光強度の1~15%の強さであり、590~620nmの波長領域(橙色領域)において第2ピーク波長λ2における光強度の0.3~5%の強さであり、620~750nmの波長領域(赤色領域)において第2ピーク波長λ2における光強度の1%以下の強さであってもよい。すなわち、紫色~青色、緑色領域における比較的大きな光強度に対して、黄色~赤色領域(長波長領域L)にかけて比較的大きな減少割合で光強度が小さくなり、橙色から赤色領域の成分をほとんど含まない(第2ピーク波長λ2における光強度に対して0%を含む)外部放射光を放射する発光装置1であってもよい。
この場合には、長波長領域Lにおいて光の波長が長いほど光強度小さくなることから、深くなるにつれて緑色~赤色(特に赤色)領域の割合が小さくなる、水中における太陽光の長波長域成分の減衰をより高い精度で再現できる。そのため、前述したような水深(50~100m等)における水中の照明環境の再現性を高める上で、より有利な発光装置1および照明装置10とすることができる。
また、上記構成の発光装置1およびそれを含む各照明装置10において、外部放射光の光強度は、350nm以下の波長領域(短波長領域S)における、第2ピーク波長λ2における光強度の1%以下であってもよく、0%であってもよい。すなわち、発光装置1および照明装置10は、実質的に紫外領域の光成分(紫外線)を含んでいないものでもよい。外部放射光について、350nm未満の紫外領域における光強度が、第2ピーク波長λ2における光強度の1%以下であるときには、紫外線による水生生物への悪影響の低減等に有効である。つまり、自然環境において紫外線がほとんど届かない中深度の浅海域の照明環境をより効果的に再現することができる発光装置1とすることができる。
水深が深くなると(100m)、外部放射光の光強度は、570~590nmの波長領域において第2ピーク波長λ2の光強度の5%以下であり、590~750nmの波長領域において第2ピーク波長λ2の光強度の1%以下であってもよい。
なお、図4および図5において、上記の波長領域における光エネルギー(J)は、光強度を示す曲線と相対強度=0の直線との間に挟まれる部分の面積(つまり単位波長における光強度の積算値(積分値))として表されている。図4および図5において、発光装置1から外部に放射される放射光(Radiated-light)を実線で示している。また、図5において、太陽光(水中に届くもの、Sunlight)を破線で示している。
本考案の実施形態の照明装置10を図7に示している。実施形態の照明装置10は、前述したように、上記いずれかの構成の発光装置1と、発光装置1が実装された実装板11とを備えている。図7に示す例において実装板11は、長方形平板状の基部12と、基部12上に位置して発光装置を封止する透光性の蓋体13とを備えている。また、この実施形態における照明装置10は、実装板11を収容する溝状の部分を有する筐体21と、筐体21の短辺側の端部を塞ぐ一対の端板22とをさらに備えている。
すなわち、透光性の蓋体13を含む実装板11および筐体21によって構成される実装空間内に、複数の発光装置1が実装されて、水生生物等の飼育に用いられる照明装置10が構成されている。このような照明装置10によれば、上記構成の発光装置1を含んでいることから、水深50~100m程度の水中(海中)に対応した水生生物の飼育に適した照明装置を提供することができる。
実装板11は、複数の発光装置1を配列して保持する機能を有している。また、実装板11は、発光装置1が発する熱を外部に放散させる機能を有している。実装板11は、例えば、アルミニウム、銅またはステンレス鋼等の金属材料、有機樹脂材料またはこれらを含む複合材料等により形成されている。
この実施形態における実装板11は、平面視において細長い長方形状であり、例えば、長手方向の長さが100mm以上2000mm以下である。前述したように、実装板11は、複数の発光装置1が実装される実装領域を上面に有する基部12と、実装領域を封止する透光性の蓋体13とを含んでいる。また、実装板11は、筐体21の溝状の部分に収容される。溝状の部分の両端がそれぞれ端板22で塞がれて、筐体21内に実装板11およびこれに実装された複数の発光装置1が固定されて収容される。
基部12としては、例えば、リジッド基板、フレキシブル基板またはリジッドフレキシブル基板等のプリント基板が用いられる。基部12に配置された配線パターンと発光装置1における基板2の配線導体とが、半田または導電性接着剤を介して互いに電気的に接続される。外部の電源から基部12を介して伝送された電気信号(電流)が基板2を介して発光素子3に伝わり、発光素子3が発光する。
蓋体13は、発光装置1を封止するとともに、これらの発光装置が放射する外部放射光を外部に透過させる機能を有している。そのため、蓋体13は、この外部放射光が透過する透光性の材料からなる。透光性の材料としては、例えば、アクリル樹脂およびガラス等が挙げられる。蓋体13は、矩形状(基部12と同様の細長い長方形状等)の板体であって、長手方向の長さが、例えば、98mm以上1998mm以下に設定されている。
蓋体13は、筐体21の溝状の部分における長手方向一方側または他方側の開口から挿し込まれ、筐体21の長手方向に沿ってスライドされて位置決めされる。前述したように溝状の部分の両端が端板22で塞がれて、筐体21に蓋体13が固定される。すなわち、複数の発光装置1が実装板11に実装され、筐体21および蓋体13等で封止されてなる照明装置10が構成される。
なお、上記の照明装置10は、複数の発光装置1を直線状に配列した線発光の照明装置であるが、これに限らず複数の発光装置1を格子状または千鳥格子状に配列した面発光の照明装置であってもよい。また、実装板11(基部12等)は、平面視で細長い長方形状のものに限らず、平面視で正方形状等の縦横比が小さい四角形状でもよく、円形状または楕円形状等の四角形状以外のものでもよい。例えば、照明装置10が水生生物の飼育されている水槽上に配置されるものであるときに、この水槽の形状と同様の形状(例えば円形状等)の実装板11が用いられてもよい。
また、複数の発光装置1が直線上に配列されて実装された実装板11を含む照明装置(実施形態の照明装置10または上記他の形態の照明装置等)が、さらに複数個、他の基板に搭載されてなる照明用モジュールとして、水生生物の飼育等に利用されてもよい。また、上記の照明装置10およびモジュール等は、水が付着したときの影響を低減するためのシーリング材等が、筐体21と蓋体13との間等の所定部位に配置されたものでもよく、筐体内に吸湿剤等が配置されたものでもよい。また、配線導体に金めっき等のめっき層が被着されたものでもよい。
1 発光装置
2 基板
3 発光素子
3a 発光部
4 枠体
5 封止部材
6 被覆材
7 蛍光体
7a 第1蛍光体
7b 第2蛍光体
10 照明装置
11 実装板
12 基部
13 蓋体
21 筐体
22 端板
λ1 第1ピーク波長
λ2 第2ピーク波長
P ピーク領域
L 長波長領域
S 短波長領域
2 基板
3 発光素子
3a 発光部
4 枠体
5 封止部材
6 被覆材
7 蛍光体
7a 第1蛍光体
7b 第2蛍光体
10 照明装置
11 実装板
12 基部
13 蓋体
21 筐体
22 端板
λ1 第1ピーク波長
λ2 第2ピーク波長
P ピーク領域
L 長波長領域
S 短波長領域
Claims (6)
- 360~430nmに第1ピーク波長を有する第1放射光を放射する発光部を有する発光素子と、
前記発光素子の前記発光部上に位置しており、前記第1放射光に励起されて480~520nmに第2ピーク波長を有する第2放射光を放射する蛍光体を含む被覆材とを備えており、
前記第2ピーク波長から750nmの波長にかけて光強度は連続的に減少するとともに、前記第1ピーク波長から360nm以下の波長領域にかけて光強度は連続的に減少し、前記第1ピーク波長および前記第2ピーク波長を有するピーク領域を有する外部放射光を放射し、
前記外部放射光において、前記第1ピーク波長における前記第1放射光の光強度が、前記第2ピーク波長における前記第2放射光の光強度の50%である発光装置。 - 前記外部放射光において、750~800nmの波長領域における最大光強度は、650~750nmの波長領域の最大光強度よりも大きい請求項1記載の発光装置。
- 前記外部放射光の光強度は、570~590nmの波長領域において前記第2ピーク波長の光強度の1~15%であり、590~620nmの波長領域において前記第2ピーク波長の光強度の0.3~5%であり、620~750nmの波長領域において前記第2ピーク波長の光強度の1%以下である請求項1または請求項2記載の発光装置。
- 前記外部放射光の350nm以下の波長領域における光強度は、前記第2ピーク波長の光強度の1%以下である請求項1~請求項3のいずれか1項記載の発光装置。
- 前記外部放射光の光強度は、570~590nmの波長領域において前記第2ピーク波長の光強度の5%以下であり、590~750nmの波長領域において前記第2ピーク波長の光強度の1%以下である請求項1または請求項2記載の発光装置。
- 請求項1~5のいずれか1項記載の発光装置を備える水生生物飼育用照明装置。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018031169 | 2018-02-23 | ||
JP2018031169 | 2018-02-23 |
Related Parent Applications (1)
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JP2020501081A Continuation JPWO2019163983A1 (ja) | 2018-02-23 | 2019-02-25 | 発光装置および照明装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP3238005U true JP3238005U (ja) | 2022-06-22 |
Family
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Family Applications (1)
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JP2022001162U Active JP3238005U (ja) | 2018-02-23 | 2022-04-11 | 発光装置および水生生物飼育用照明装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP3238005U (ja) |
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2022
- 2022-04-11 JP JP2022001162U patent/JP3238005U/ja active Active
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R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
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