JP3237172B2 - ディスク基板に対する磁性板の保持方法 - Google Patents

ディスク基板に対する磁性板の保持方法

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JP3237172B2
JP3237172B2 JP05961692A JP5961692A JP3237172B2 JP 3237172 B2 JP3237172 B2 JP 3237172B2 JP 05961692 A JP05961692 A JP 05961692A JP 5961692 A JP5961692 A JP 5961692A JP 3237172 B2 JP3237172 B2 JP 3237172B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光ディスクや光磁気デ
ィスク等の如く所望の情報信号が記録される情報信号記
録ディスクを構成するディスク基板に配設される磁性板
を上記ディスク基板に保持させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、光ディスクや光磁気ディスクの如
く所望の情報信号が記録される情報信号記録用のディス
クが提案されている。この種のディスクは、情報信号の
高密度記録が可能であるので、極めて小径のものが提案
されている。例えば、直径を略64mmなし、楽音信号
で略74分の記録を可能となす光ディスクあるいは光磁
気ディスクが提案されている。
【0003】このように小径であって、情報信号の高密
度記録が可能となされた光磁気ディスクは、ディスク回
転駆動装置に装着されて高速で回転操作される。そし
て、高速で回転駆動された状態で、光磁気ディスクの一
主面に形成された信号記録層に設けられた微細な記録ト
ラックに、光ピックアップから出射される光ビームを照
射するとともに、磁界ヘッド等の外部磁界発生装置から
記録すべき情報信号に応じて磁界変調された外部磁界を
印加することによって所望の情報信号の記録が行われ
る。
【0004】このように高速で回転駆動されながら微細
な記録トラックに光ビームを正確に照射するためには、
光磁気ディスクは、ディスク回転駆動装置のディスクテ
ーブルに確実に一体化されるとともに上記ディスクテー
ブルの軸心に回転中心を高精度に位置決めして装着され
る必要がある。
【0005】ところで、光磁気ディスクをディスクテー
ブルに確実に一体化し高精度に位置決めして装着するた
め、上記光磁気ディスク側に配設された磁性材料からな
る金属板等の磁気吸引用の磁性板を、ディスクテーブル
側に配設したマグネットで吸引し、上記光磁気ディスク
をディスクテーブル上にチャッキングするようにしたデ
ィスク装着方式が提案されている。
【0006】このマグネットの吸引力を利用したマグネ
ットチャッキング方式に用いられる光磁気ディスク1
は、図10に示すように、透明なポリカーボネート樹脂
等の合成樹脂を円盤状に成形して形成されたディスク基
板2を備えている。このディスク基板2の一方の主面2
a側には、所望の情報信号が記録される情報信号記録層
が被着形成されている。そして、上記ディスク基板2
は、情報信号記録層が被着形成される一方の主面2aと
対向する他方の主面2bを情報信号の書込み読出し面と
なし、この書込み読出し面側から信号記録層に光ビーム
を照射することによって所望の情報信号の記録あるいは
再生が行われる。
【0007】また、上記ディスク基板2の中央部には、
図10に示すように、ディスク回転駆動装置側に配設さ
れるセンタリング部材が係合するセンター穴3が穿設さ
れている。さらに、上記ディスク基板2の一方の主面2
a側の中央部には、上記センター穴3を閉塞するように
磁性板である金属板4が配設されている。この金属板4
は、ディスク基板2の一方の主面2a側にセンター穴3
を囲んで形成された金属板収納凹部5に嵌合するように
配設され、両面接着テープ等の接着剤6を用いて上記デ
ィスク基板2に接合されている。
【0008】このように、接着剤6を用いて金属板4を
ディスク基板2に取付けた光磁気ディスク1にあって
は、ディスク回転駆動装置のディスクテーブルに対する
装脱を繰り返すことにより、上記金属板4がディスク基
板2から容易に剥離してしまう虞れがある。すなわち、
ディスクテーブルに対する装脱時の負荷が金属板4のデ
ィスク基板2への接合部分に加わり、接着剤6の劣下を
生じさせるためである。
【0009】このような接着剤を用いて金属板を取付け
ることから生ずる問題点を解消するため、本願出願人
は、接着剤を用いることなく上記金属板をディスク基板
に取付けるようにした光磁気ディスクを提案している。
この光磁気ディスク11は、図11に示すように、透明
なポリカーボネート樹脂等の合成樹脂からなるディスク
基板12の情報信号記録層が被着形成される一方の主面
12aにセンター穴13を囲んで金属板14が収納され
る如く配設される金属板収納凹部15を形成するととも
に、この金属板収納凹部15の外周縁側に金属板14の
カシメ用の凸部16を突設する。この凸部16は、金属
板収納凹部15の外周縁側に等間隔で複数設けられる。
【0010】そして、上記金属板収納凹部15に金属板
14を収納配設した後、上記凸部16に熱を加え、図1
2に示すように、これら凸部16の先端側を金属板収納
凹部15側に熱変形させることにより、この凸部16の
先端から突出させられた支持片16aによって金属板1
4を上記金属板収納凹部15内に支持してディスク基板
12に取付けるようにしたものである。
【0011】このようにディスク基板12と一体に形成
された凸部16の先端から突出された支持片16aによ
って金属板14を支持して取付けるようにした光磁気デ
ィスク11にあっては、金属板14が強固にディスク基
板12に支持されてなるので、ディスク回転駆動装置の
ディスクテーブルに対する装脱を繰り返しても、剥離等
を生ずることがなく確実にディスク基板12に取付けら
れた状態を維持することが可能となる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述したよう
にディスク基板12に金属板14の支持用の凸部16を
形成するためには、上記ディスク基板12を成形する金
型の構造が複雑となり、金型の加工が困難となる。
【0013】また、凸部16を金属板収納凹部15の外
周縁側に断続的に形成した場合には、ディスク基板12
を成形する際、上記凸部16の成形される部分で溶融さ
れた合成樹脂材料の流れが均等でなくなり、さらには合
成樹脂材料の硬化時間にズレが生ずるなどし、いわゆる
ウエルドラインを発生させ、均一に硬化されたディスク
基板12を成形することができなくなる虞れがある。さ
らに、ディスク基板12が均一に硬化されないと、ディ
スク基板12内に内部応力が残存し、上記ディスク基板
12に複屈折等を生じさせ光学特性を劣下させてしま
う。特に、ディスク基板12に複屈折が発生すると、光
磁気ディスク11として構成したとき、情報信号の書込
みあるいは読出し不良を引き起こしてしまう。
【0014】そこで、上述したように金属板支持用の凸
部を断続的に形成することから発生する問題点を解消す
るため、金属板収納凹部の外周縁側に一連のリング状を
なす凸部を形成するようにしたディスク基板が考えられ
る。しかし、一連のリング状をなす凸部を均一に熱変形
させる等して金属板収納凹部内に配設した金属板を支持
するようなカシメを行うことは極めて困難であり、実現
性に乏しいものである。
【0015】また、一連のリング状をなす凸部の一部を
部分的に熱変形させて金属板を支持するようなカシメを
行うことも考えられるが、金属板をディスク基板に対し
支持させた後も熱変形されなかった部分が突状に残って
しまう。そのため、上記突状の部分だけディスク基板自
体の厚さが厚くなり、このディスク基板を用いて構成し
た光磁気ディスクも厚くなる。そして、この光磁気ディ
スクを収納するディスクカートリッジの設計が困難とな
る。すなわち、ディスクカートリッジは、汎用性をもっ
て利用されることを可能となすため、その厚さが一定の
ものに規定されるためである。
【0016】そこで、本発明は、ディスク基板を成形す
る金型の加工を容易となし、ディスク基板の成形が容易
であって、成形後のディスク基板の光学特性の劣下を防
止でき、複屈折等を生じさせることのない情報信号記録
用ディスクのディスク基板の成形を可能となし、ディス
ク基板の主面側の平滑性を維持するとともに、磁性板の
ディスク基板への保持を確実となすとともに、磁性板を
取付けることによるディスク基板に与える悪影響の発生
を押えことを可能となすディスク基板に対する磁性板の
保持方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述したよう
な課題を解決し、上記目的を達成するため、センター穴
が穿設されるとともに一方の主面側に情報信号記録層が
形成された合成樹脂からなるディスク基板の一方の主面
側に上記センター穴を囲んで形成された磁性板収納凹部
に磁性板を保持させるに当たって、上記磁性板収納凹部
の周縁にディスク基板の主面と平行な方向の超音波振動
を印加し、上記磁性板収納凹部の周縁の少なくとも一部
を熱変形させて上記磁性板収納凹部の内方へ突出させる
ことによって、上記磁性板収納凹部内に上記上記磁性板
を保持させるようにしたものである。
【0018】
【作用】本発明方法は、磁性板を収納した磁性板収納凹
部の周縁にディスク基板の主面と平行な方向の超音波振
動を印加すると、磁性板収納凹部の周縁の少なくとも一
部が熱変形して磁性板収納凹部内に張り出すように突出
して磁性板の周縁を支持し、この磁性板を磁性板収納凹
部内に保持する。
【0019】
【実施例】以下、本発明方法を、直径を64mmとなす
光磁気ディスクに適用した具体的な実施例を図面を参照
しながら説明する。本発明方法が適用される光磁気ディ
スク21は、図1に示すように、本発明透過性を有する
ポリカーボネイト樹脂等の合成樹脂材料を成形して形成
したディスク基板22を備えている。このディスク基板
22は、直径Rを略64mmとなし、厚さTを略1.2
mmの円盤状に形成されている。
【0020】このディスク基板22を用いて構成された
光磁気ディスク21は、上記ディスク基板22の一方の
主面2a側に所望の情報信号が記録される情報信号記録
層を被着形成して信号記録部を設け、上記ディスク基板
22の情報信号記録層が被着形成される一方の主面22
aと対向する他方の主面22bを情報信号の書込み読出
し面となし、この書込み読出し面側から上記信号記録層
に光ビームを照射することによって情報信号の記録再生
が行われるように構成されてなる。
【0021】この光磁気ディスク21を構成するディス
ク基板22の中央部には、図1及び図2に示すように、
記録再生装置内に配設されるディスク回転駆動装置を構
成するディスクテーブルの中心部に配設されたセンタリ
ング部材が係合するセンター穴23が穿設されている。
このセンター穴23は、ディスク基板22を貫通して穿
設され、信号記録層に同心円状又は螺旋状に形成される
記録トラックの曲率中心に中心を一致させるように形成
されている。
【0022】また、上記ディスク基板22の他方の主面
22b側の中央部には、図2に示すように、上記センタ
ー穴23を囲んで、円環状の突出部24が一体に形成さ
れている。この突出部24は、薄いディスク基板22に
穿設されるセンター穴23の深さを深くなすことによっ
て、この光磁気ディスク21が装着されるディスクテー
ブル側に配設されるセンタリング部材の上記センター穴
23に対する突出量を大きくなし、上記光磁気ディスク
21の回転中心を上記ディスクテーブルの軸心に一致さ
せて装着させるセンタリング操作を確実に行わせるよう
に機能するものである。さらに、この突出部24の先端
面は、ディスクテーブルへの装着基準面24aとして機
能する。
【0023】なお、上記突出部24は、少なくともディ
スク基板22の内周側の信号記録層が形成されない非信
号記録領域内において形成され、ディスク基板22の厚
さTに略等しい突出量をもって突出形成されている。従
って、ディスク基板22の突出部24が形成された部分
は、基板本体部に比し2倍の厚さとなされている。
【0024】そして、上記ディスク基板22の一方の主
面22a側の中央部には、センター穴23を囲んでマグ
ネット吸引用の磁性板である金属板25が配設される円
環状をなす金属板収納凹部26が形成されている。この
金属板収納凹部26は、上記突出部24の外周径rより
小径であって、ディスク基板22の厚さTに略等しい深
さに形成されてなる。また、上記金属板収納凹部26の
開口縁側は内方部に比し拡径され、この金属板収納凹部
26への金属板25の挿入を容易にするようにしてい
る。
【0025】このようにディスク基板22の一方の主面
22a側は、金属板収納凹部26が形成されるだけであ
って、平滑な面となされている。
【0026】また、上記金属板収納凹部26の金属板2
5の載置面27となる底面部の内周側には、段部28が
形成されている。この段部28は、上記金属板収納凹部
26を成形する際、金属板25の載置面27にバリ等の
突起の発生することを防止し、上記載置面27を平滑な
面に維持するようにするものである。
【0027】一方、上記金属板収納凹部6に収納配設さ
れる金属板25は、厚さtを0.4mm程度となす磁性
を有するステンレス板(SUSー430)等の金属材料
を円盤状に打ち抜いて形成されてなる。そして、上記金
属板25は、図1に示すように、金属板収納凹部26に
収納されに足る大きさの円盤状に形成されてなるもので
あり、また、上記金属板収納凹部26に収納配設したと
き、中央の主面部25aがディスク基板22の一方の主
面22aと面一になるようになすとともに、金属板収納
凹部26の内周面26aが上記金属板25の周縁に臨む
ようになすため、外周縁側に段曲げ加工が施されてい
る。すなわち、金属板25の外周縁側には、周縁に向か
って垂下するように折り曲げられた折り曲げ部29を介
して上記載置面27への載置片30が形成されている。
すなわち、この金属板25は、図1に示すように、全体
をもって凹湾状をなす円盤状に形成されてなる。
【0028】上述のように形成された金属板25は、次
に述べるような工程及び方法によりディスク基板22に
保持される。
【0029】まず、図1及び図2に示すように形成され
たディスク基板22は、吸引支持テーブル101上に載
置される。この吸引支持テーブル101は、載置された
ディスク基板22を位置決めして吸引支持し得るように
構成されてなるものであって、支持テーブル本体102
の上面側に、図3に示すように、ディスク基板22を位
置決め載置させるディスク基板支持テーブル103を備
えている。このディスク基板支持テーブル103は、中
心部にディスク基板22のセンター穴23が嵌合する嵌
合突部104を突設するとともに、この嵌合突部104
の外周囲にディスク基板22の突出部24が嵌合する突
出部嵌合凹部105を設けている。
【0030】また、ディスク基板支持テーブル103の
載置されるディスク基板22の他方の主面22b側を受
けるディスク基板載置面側には、シリコンゴム等の柔軟
性を有する保護シート106が貼着等して配設されてい
る。この保護シート106は、載置されるディスク基板
22の他方の主面22bが傷つき等の損傷を受けること
を防止するために配設されるものである。
【0031】また、上記吸引支持テーブル101には、
ディスク基板支持テーブル103上に載置されたディス
ク基板22を真空エアポンプを用いて真空吸引して支持
する吸引機構が設けられている。この吸引機構は、ディ
スク基板支持テーブル103に複数の吸引口107を開
設するとともに、ディスク基板支持テーブル103と支
持テーブル本体102間にエスカッション110を介在
させて吸引エア室108を構成し、この吸引エア室10
8のエアを支持テーブル本体102に形成したエア通路
109を介して図示しない真空エアポンプにより吸引す
ることにより、ディスク基板22をディスク基板支持テ
ーブル103上に吸引支持させるように構成されてな
る。
【0032】上記複数の吸引口107は、ディスク基板
支持テーブル103上に載置されるディスク基板22の
外周側に対応する位置及び中央部に対応する位置並びに
突出部24が嵌合する突出部嵌合凹部105内に位置し
てそれぞれ開設されている。このような位置に各吸引口
107を設けることにより、ディスク基板22は、全面
を略均等にディスク基板支持テーブル103に圧接され
て支持可能となる。
【0033】なお、保護シート106の吸引口107に
対応する位置には、これら吸引口107に連通する開口
部108が穿設されている。
【0034】上述のように構成された吸引支持テーブル
101に対し、ディスク基板22は、図4に示すよう
に、金属板25が配設される金属板収納凹部26を上面
側に向けて載置される。このとき、ディスク基板22
は、金属板収納凹部26センター穴23を嵌合突部10
4に嵌合させ突出部24を突出部嵌合凹部105嵌合さ
せて装着されることにより、吸引支持テーブル101に
対する装着位置の位置決めが達成されてなる。
【0035】このようにディスク基板22を吸引支持テ
ーブル101上に装着したところで真空エアポンプを作
動させ、エア通路109を介して吸引エア室108のエ
アを吸引すると、吸引口107を介してディスク基板2
2と吸引支持テーブル101間のエアも吸引され、上記
ディスク基板22は吸引支持テーブル101上の保護シ
ート106に密着支持されるようになる。
【0036】このとき、ディスク基板22は、センター
穴23を嵌合突部104に嵌合させ、突出部24を突出
部嵌合凹部105に嵌合させて吸引支持テーブル101
上に装着されてなるので、上記吸引支持テーブル101
に対する装着位置の正確な位置決めが達成されてなる。
【0037】このように吸引支持テーブル101上にデ
ィスク基板22を装着した後、金属板収納凹部26内に
金属板25を収納配置する。このとき、金属板25は、
図5に示すように、金属板収納凹部26の載置面27に
載置片10を載置させて収納配置されてなる。
【0038】金属板25を金属板収納凹部26を収納配
置し所で、図6に示すように超音波印加装置111の共
鳴体である振動印加子112の先端をこの金属板収納凹
部26の周縁に接触させ、ディスク基板22の主面と平
行な方向に振動する超音波振動を印加する。なお、ディ
スク基板22に超音波振動を印加する場合、振動印加子
112は、ディスク基板22に対し一定の加圧状態に置
かれる。
【0039】このように超音波振動が印加されると、振
動印加子112が接触された金属板収納凹部26の周縁
部分が発熱して軟化される。このとき振動印加子112
は所定の圧力で加圧されているので、金属板収納凹部2
6の周縁部分に上記振動印加子112の大きさに対応す
る凹所32を形成するようにして上記金属板収納凹部2
6の内周側に張り出すように突出する突片31を形成す
る。この突片31は、図7に示すように金属板収納凹部
26内に収納配置された金属板25の載置片30上に突
出し、この載置片30を支持するようになる。
【0040】ところで、ディスク基板22に印加される
超音波振動は、ディスク基板22の主面22aと平行な
方向に振動するものであるので、ディスク基板22の主
面22aと平行な方向に振動が伝播するので、ディスク
基板22の振動印加子112が接触して軟化された部分
は、超音波振動が伝播する主面22aと平行な方向に変
位させられるようになる。そのため、金属板収納凹部2
6の周縁に形成される突片31は、金属板収納凹部26
の内方に確実に張り出すことができ、確実に金属板25
の載置片30上に突出させることができる。
【0041】また、本発明方法においては、ディスク基
板22に印加される超音波振動は、ディスク基板22の
主面22aと平行な方向に振動するものであるので、デ
ィスク基板22の厚さ方向への伝播が少ない。そのた
め、ディスク基板22の内方側における加熱が制御さ
れ、金属板収納凹部26の内方の変形が規制されことに
なる。その結果、金属板収納凹部26の内方に突出する
突片31の厚さを制御し、この突片31が金属板25の
載置片30に圧接しないようにして支持し得ることが可
能となる。すなわち、金属板収納凹部26の深さdを金
属板25の厚さに比し深くなすことにより、図8に示す
ように突片31と載置片30との間に間隙wを保持し、
上記金属板25を金属板収納凹部26内に遊嵌保持させ
ることが可能となる。
【0042】このように金属板25を金属板収納凹部2
6内に遊嵌保持させることにより、上記金属板25がデ
ィスク基板22の主面に傾斜して固定的に取付けられて
しまうことを防止でき、合成樹脂からなるディスク基板
22と金属板25の熱膨張率の差から生ずる上記ディス
ク基板22の変形を防止することが可能となる。
【0043】このようにディスク基板22の主面22a
と平行な方向に振動する超音波振動を印加して形成され
る突片31を金属板収納凹部26の周縁の数個所、例え
ば4ヵ所に対称に設けることにより、図8及び図9に示
すように、金属板収納凹部26内に収納配置された金属
板25は載置片30が複数の突片31に支持されてディ
スク基板2に保持される。
【0044】また、複数の振動印加子112を金属板収
納凹部26の周縁に同時に接触させることより、複数の
突片31を同時に形成することができる。
【0045】なお、金属板収納凹部26の周縁部分に接
触して突片31を形成する振動印加子112は、形成す
べき突片31の大きさによりその大きさが設定されるも
のである。
【0046】ところで、ポリカーボネート樹脂を材料と
して形成された本発明方法が適用されるディスク基板2
2に印加される超音波振動は、15KHzから50KH
zの範囲で設定される。すなわち、15KHz以下の振
動周波数であると十分な発熱を得ることが困難であり、
50KHz以上であると発熱が著しく振動印加子112
を接触させ軟化させる部分の軟化量の制御が困難となる
ためである。そして、印加される超音波振動は、望まし
くは20KHz程度ものがよい。
【0047】また、この実施例においては、突片31
は、図9に示すように、金属板収納凹部26の周縁に対
称となすように等間隔で4ヵ所形成されているが、金属
板25の金属板収納凹部26内からの脱落を防止してデ
ィスク基板22に対する支持が図られればよく、2ヵ所
以上の適宜個所に形成されればよい。
【0048】本実施例においては、ディスク基板22に
保持される金属板25は、周縁に載置片30を設けた凹
湾状に形成されているが、金属板収納凹部26に収納さ
れに足る大きさの平板な円盤状のもであってもよい。
【0049】さらにまた、上述の実施例では、光磁気デ
ィスクに適用した例を挙げて説明したが、合成樹脂から
なるディスク基板を有し、マグネットチャッキング用の
磁性板を有する情報信号記録ディスクに広く適用できる
ものである。
【0050】
【発明の効果】本発明方法は、磁性板を収納した磁性板
収納凹部の周縁にディスク基板の主面に直交する方向の
超音波振動を印加し、磁性板収納凹部の周縁の少なくと
も一部を熱変形させて磁性板収納凹部内に突出させ、こ
の突出した部分で磁性板の周縁を支持して磁性板収納凹
部内に保持するようにしたものであるので、ディスク基
板の磁性板が配設される側の主面に突起等を発生させる
ことなく磁性板支持用の突片の形成が可能となり、ディ
スク基板の主面の平滑性を十分に維持でき、ディスク基
板の成形精度を阻害することがない。
【0051】そして、磁性板収納凹部の周縁の熱変形量
は、ディスク基板に印加される超音波振動を制御するこ
とによって容易に制御できるので、磁性板のディスク基
板に対する保持を正確且つ容易に行うことが可能とな
る。
【0052】また、ディスク基板の主面と平行な方向に
振動する超音波振動を用いることにより、ディスク基板
内部の変形を規制できるので、金属板収納凹部内に配設
される磁性板を遊嵌保持させることが容易に行えるの
で、磁性板がディスク基板の主面に傾斜して固定的に取
付けられてしまうことを防止できる。そして、合成樹脂
からなるディスク基板と金属板を用いる磁性板との熱膨
張率の相違から生ずるディスク基板の変形を防止可能と
なり、このディスク基板を用いて構成される情報記録デ
ィスクは、ディスク回転駆動機構のディスクテーブルに
対し安定して装着可能なものとなる。
【0053】また、本発明方法に用いられるディスク基
板は、主面に磁性板支持用の突起等を形成する必要がな
いので、ディスク基板の構成が簡素化され、ディスク基
板を成形する金型の加工も容易となり、さらにディスク
基板の成形も容易となる。特に、ディスク基板を成形す
る金型が簡素化され、ディスク基板の成形が容易となる
ので、成形後のディスク基板の光学特性を劣下を生じさ
せる複屈折等の発生の原因となる成形歪みを防止するこ
とができ、情報信号の書込みや読出し不良を発生させる
ことのない信号記録再生特性の極めて良好な情報信号記
録ディスクを構成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法が適用される光磁気ディスクの分解
斜視図である。
【図2】上記光磁気ディスクを構成するディスク基板及
び金属板を示す断面図である。
【図3】本発明方法に用いられるディスク支持テーブル
を示す概略断面図である。
【図4】上記ディスク支持テーブルにディスク基板を装
着した状態を示す断面図である。
【図5】本発明方法が適用されるディスク基板の金属板
収納凹部に金属板を収納配設した状態を示す断面図であ
る。
【図6】ディスク基板の磁性板収納凹部の周縁に超音波
印加装置の振動印加子を接触させた状態を示す断面図で
ある。
【図7】ディスク基板の磁性板収納凹部の周縁に超音波
振動を印加して突片を形成した状態を示す断面図であ
る。
【図8】ディスク基板に磁性体である金属板を取付けた
状態を示す断面図である。
【図9】本発明方法により磁性体である金属板が取付け
られた光磁気ディスクの平面図である。
【図10】従来の方法によって金属板をディスク基板に
取付けた光磁気ディスクの断面図である。
【図11】従来の他の方法に適用される光磁気ディスク
の分解斜視図である。
【図12】従来の他の方法によって金属板をディスク基
板に取付けた光磁気ディスクの断面図である。
【符号の説明】
21 光磁気ディスク 22 ディスク基板 23 センター穴 25 金属板 26 金属板収納凹部 31 突片 112 超音波印加装置の振動印加子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 23/00 601 G11B 7/26

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 センター穴が穿設されるとともに一方の
    主面側に情報信号記録層が形成された合成樹脂からなる
    ディスク基板の一方の主面側に上記センター穴を囲んで
    形成された磁性板収納凹部に磁性板を保持させるに当た
    って、 上記磁性板収納凹部の周縁にディスク基板の主面と平行
    な方向の超音波振動を印加し、上記磁性板収納凹部の周
    縁の少なくとも一部を熱変形させて上記磁性板収納凹部
    の内方へ突出させることによって、上記磁性板収納凹部
    内に上記上記磁性板を保持させるようにしたディスク基
    板に対する磁性板の保持方法。
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