JP3236676B2 - 生分解可能な電解質ポリマー、その製造方法およびその用途 - Google Patents

生分解可能な電解質ポリマー、その製造方法およびその用途

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JP3236676B2 JP27468392A JP27468392A JP3236676B2 JP 3236676 B2 JP3236676 B2 JP 3236676B2 JP 27468392 A JP27468392 A JP 27468392A JP 27468392 A JP27468392 A JP 27468392A JP 3236676 B2 JP3236676 B2 JP 3236676B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、キレート作用、およ
び、油性物質や水に難溶性の無機物質を分散させる作用
(以下、単に「分散作用」と言う)を有し、しかも、水
への分散性が良く、生分解性を有する電解質ポリマーお
よびその製造方法に関する。この発明は、さらには、そ
の電解質ポリマーの用途、特に、洗剤組成物、繊維処理
剤、無機顔料分散剤、水処理剤といった、最終的に環境
中へ排出されることのある用途における生分解可能な薬
剤に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリアクリル酸やポリマレイン酸などの
電解質ポリマーは、洗剤添加剤、分散剤、凝集剤、スケ
ール防止剤、キレート剤、繊維処理剤、洗浄剤等に広く
使われている。上記電解質ポリマーは、通常、水溶性ま
たは水分散性を有しており、いったん環境に出ると回収
が困難なものであり、また生分解性に乏しいものであ
る。そのため、上記電解質ポリマーに生分解性を付与す
る試みがなされているが、生分解性が十分でない、コス
トが高い、各用途における性能が十分でない等の問題点
があり、実用化に至っていない。
【0003】特開昭54−52196号公報では、生分
解性の改善された高分子系のビルダーとして、ポリアセ
タールカルボキシレートが提案されている。ポリアセタ
ールカルボキシレートは、原料が高価で経済的でないば
かりか、製造工程が煩雑であり実用的でない。特開昭6
3−305199号公報、特開昭63−305200号
公報、特開平1−306411号公報、特開平2−36
210号公報では、少なくとも2個のエチレン性不飽和
二重結合を有する単量体を重合してなる水溶性重合体が
提案されている。
【0004】他方、特開昭61−31497号公報では
多糖類とアクリル酸等のグラフト重合物が、特開昭61
−31498号公報では単糖類および/または少糖類と
アクリル酸等のグラフト重合物が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記公報で提案されて
いる水溶性重合体は、発明者らの研究によれば、分子構
造をコントロールすることが困難であるため、生分解に
適した構造を持たない分子をかなりの割合で含むため、
全く生分解しない成分があったり、生分解に長時間を要
したりするという問題がある。
【0006】上記公報で提案されているグラフト重合物
では、多糖類、単糖類、少糖類の部分のみが生分解さ
れ、アクリル酸等のグラフト部分は分子量が大きく、生
分解されないという問題がある。このようにいずれの重
合体も生分解性の面で欠点を有しており、未だ十分満足
すべき重合体は見いだされていない。
【0007】また、電解質ポリマーに生分解性を付与す
るために、低重合度の電解質オリゴマーを合成する試み
があるが、用途によっては低重合度化すると性能が低下
する場合があり、生分解性を保ちながら分子量を増大す
る技術が求められている。この発明は、キレート作用お
よび分散作用を有し、水への分散性が良く、生分解性に
優れ、安価である電解質ポリマーを提供することを課題
とする。
【0008】この発明は、そのような電解質ポリマーを
効率的に作ることができ、工業的に実施可能な製造方法
を提供することを課題とする。この発明は、また、その
ような電解質ポリマーを含んでなることにより、生分解
性が低いという問題点を改良し、しかも、各用途におけ
る性能の低下がない、洗剤組成物、繊維処理剤、無機顔
料分散剤および水処理剤を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記課題を
解決するために、OH基を5以上有する多価アルコール
および糖類から選ばれる少なくとも1つの化合物Aの間
に、化学式−CO−O−で表される基(I)および化学
式−CO−NH−で表される基(II)の少なくとも一つ
を構成単位として有する結合鎖が形成されていて、該結
合鎖の端部が前記化合物Aの有するOH基と分子内酸無
水物が開環してなるカルボキシル基との反応により形成
されたエステル結合になっている構造を有し、20重量
%水溶液が20℃で1000cP以下の粘度を有する生
分解可能な電解質ポリマーを提供する。
【0010】この明細書において、「エステル結合含有
ポリカルボン酸(塩)」とは、エステル結合を有するポ
リカルボン酸およびその塩から選ばれる少なくとも1つ
を言う。この発明は、上記課題を解決するために、OH
基を5以上有する多価アルコールおよび糖類から選ばれ
る少なくとも1つの化合物Aへの分子内酸無水物の開環
付加物であるエステル結合含有ポリカルボン酸(塩)B
を、化学式−CO−O−で表される基(I)および化学
式−CO−NH−で表される基(II)の少なくとも一つ
を構成単位として有するか、および/または、形成しう
る化合物Cで結合することにより、20重量%水溶液が
20℃で1000cP以下の粘度を有する生分解可能な
電解質ポリマーを生成させる製造方法を提供する。
【0011】この発明は、上記この発明の電解質ポリマ
ーと界面活性剤を含む洗剤組成物を提供する。この発明
は、上記この発明の電解質ポリマーと、染色剤、過酸化
物および界面活性剤のうちの少なくとも1つとを含んで
なる繊維処理剤を提供する。この発明は、上記この発明
の電解質ポリマーを含んでなる無機顔料分散剤を提供す
る。
【0012】この発明は、また、上記この発明の電解質
ポリマーを含んでなる水処理剤を提供する。この発明の
電解質ポリマーは、OH基を5以上有する多価アルコー
ルおよび糖類から選ばれる少なくとも1つの化合物Aに
由来する構造単位、前記化合物Aが有していたOH基と
分子内酸無水物の開環により生じたカルボキシル基との
反応により生成したエステル結合、分子内酸無水物の開
環物に由来する構造単位、基(I)および基(II)の少
なくとも1つを構成単位として有する結合鎖を有する構
造を持っている。この発明の電解質ポリマーは、前記結
合鎖が切断されることにより、前記結合鎖の残基を有す
るエステル結合含有ポリカルボン酸(塩)Bを生成す
る。
【0013】上記エステル結合含有ポリカルボン酸
(塩)Bは、OH基を5以上有する多価アルコールおよ
び糖類から選ばれる少なくとも1つの化合物Aに分子内
酸無水物(環状の酸無水物)が開環付加してなるもので
ある。すなわち、エステル結合含有ポリカルボン酸
(塩)Bでは、前記化合物Aが有するOH基と、分子内
酸無水物が開環してなるカルボキシル基の1つとが反応
してエステル結合を形成しているとともに、前記分子内
酸無水物が開環してなるカルボキシル基のもう1つおよ
び/またはその塩(−COOM:ここで、Mは、水素、
一価金属、二価金属、三価金属、アンモニウム基および
有機アミン基のうちのいずれかを示す。)が前記化合物
Aの有する官能基となっているのである。上記ポリカル
ボン酸(塩)Bは、複数個の前記化合物Aが前記分子内
酸無水物を介してつながっている化合物であってもよ
い。ここで、多価アルコールや糖類がOH基を5以上有
する必要があるのは、この発明の電解質ポリマーが各種
用途に有用な性能を示すために不可欠であるからであ
る。化合物Aに分子内酸無水物を開環付加する際の使用
比率は、化合物Aと分子内酸無水物とのモル比で1:2
以上、好ましくは1:3〜1:8の範囲とするのが良
い。
【0014】この発明におけるエステル結合含有ポリカ
ルボン酸(塩)Bは、重量平均分子量5000以下が好
ましく、より好ましくは2000以下、さらに好ましく
は1000以下である。前記ポリカルボン酸(塩)Bの
重量平均分子量が5000を超えると生分解性が低いお
それがある。この発明において「生分解可能な」とは、
実施例の項で記載した生分解性試験において、30%以
上の生分解率を示すことを意味し、この数値が大きいほ
ど生分解性に優れており、70%以上の生分解率を示す
ことがより好ましい。
【0015】上記基(I)および基(II)の少なくとも
一つを構成単位として有する結合鎖とは、基(I)およ
び基(II)が上記エステル結合含有ポリカルボン酸
(塩)Bが有する炭素に直接結合している結合鎖、基
(I)または(II)と少なくとも1つの上記エステル結
合含有ポリカルボン酸(塩)Bの有する炭素との間に別
の基(または原子)が介在している結合などである。こ
こで言う別の基とは、何であってもよく、特に限定され
ない。
【0016】この発明の電解質ポリマーは、20重量%
水溶液が20℃で1000cP以下の粘度を有する必要
があり、500cP以下の粘度を有するのが好ましい。
1000cPより大きい粘度を有すると、分散性の低下
によりキレート作用および分散作用が満足できないもの
になり、また、取り扱いにくくなるからである。前記ポ
リカルボン酸(塩)Bを得るための開環付加反応は、た
とえば、化合物Aと分子内酸無水物とを水に溶解した状
態で攪拌混合しながら加熱することにより行われる。そ
の際、酸触媒等の触媒を使用してもよい。開環付加の反
応を行う温度および時間は、それぞれ、たとえば、40
〜200℃および1〜180分である。その際使用され
る酸触媒は、たとえば、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸
類;パラトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の
有機スルホン酸類;ヘテロポリ酸等の固体酸類などが挙
げられる。
【0017】前記化合物Aは、OH基を5以上有する多
価アルコールおよび糖類から選ばれる少なくとも1つで
あって、比較的低分子量(たとえば、分子量150〜1
000程度)の化合物であり、生分解性を有している
が、低分子量化合物であるため、キレート作用および分
散作用を持たない。この発明では、そのような化合物A
に分子内酸無水物を開環付加させてポリカルボン酸
(塩)Bを形成することにより、金属イオン捕捉能、金
属イオン分散力、再付着防止、無機物結晶を析出させる
ための種結晶(またはスレッシュホールド)制御等の効
果を得ている。
【0018】OH基を5以上有する多価アルコールの具
体例としては、たとえば、ジペンタエリスリトール、ア
ラビニトール、キシリトール、ソルビトール、ガラクチ
トール、マンニトール、ボレミトール、オクチトール等
の糖アルコール;グルクロン酸、ガラクツロン酸等のウ
ロン酸;ソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレ
ンソルビタン脂肪酸エステル;オキシエチレンオキシプ
ロピレンブロック共重合体;ポリビニルアルコールなど
が挙げられ、これらの1以上が使用される。
【0019】OH基を5以上有する糖類の具体例として
は、たとえば、アラビノース、キシロース、ガラクトー
ス、グルコース、マンノース等の単糖類;スクロース、
マルトース、マルトトリオース、マルトテトラオース等
の少糖類(オリゴ糖);セルロース、アミロース、キチ
ン、グリコーゲン、アミロペクチン、アルギン酸、デキ
ストラン等の多糖類などが挙げられ、これらの1以上が
使用される。
【0020】前記分子内酸無水物の具体例としては、環
状の酸無水物であれば特に制限はなく、たとえば、無水
マレイン酸、無水コハク酸、無水トリメリット酸、無水
ピロメリット酸、無水リンゴ酸、無水酒石酸、無水フタ
ル酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水アコニ
ット酸等が挙げられ、これらの1以上が使用される。上
記開環付加反応により生成したエステル結合含有ポリカ
ルボン酸(塩)Bを化合物Cで結合させてこの発明の電
解質ポリマーを得る。
【0021】この発明における基(I)および基(II)
の少なくとも1つを形成する際に用いる化合物Cとして
は、前記ポリカルボン酸(塩)Bの有する官能基と反応
しうる2個以上の官能基を有する化合物であって生分解
可能なものであれば特に制限はない。そのような化合物
Cは、たとえば、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カル
ボキシル基などを1分子中に2個以上有する化合物であ
る。
【0022】前記ポリカルボン酸(塩)Bの有する官能
基としては、たとえば、上記−COOM、および、必要
に応じてアミノ基、水酸基およびスルホン酸基等のうち
の少なくとも一種が挙げられるが、これらに限定されな
い。上記化合物Cの具体例としては、多価アルコール、
糖類、多価アミン、イミノ酸類、アミノ酸類、多価グリ
シジルエーテル、多価アルデヒド、アミノアルコール、
グリシジルアルコール、ハロエポキシ化合物、カルボキ
シル基と水酸基の両方を持つ化合物等を挙げることがで
き、これらの1以上が使用される。これらの具体例とし
ては、たとえば、下記のものが挙げられる。
【0023】(多価アルコール) エステル結合含有ポ
リカルボン酸(塩)Bの説明において例示された多価ア
ルコールの他に、エチレングリコール、プロピレングリ
コール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタ
エリスリトール等のOH基を5未満有する多価アルコー
ル。 (糖類) エステル結合含有ポリカルボン酸(塩)Bの
説明において例示された糖類。
【0024】(多価アミン) エチレンジアミン、ジエ
チレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエ
チレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエ
チレンイミンなど。 (イミノ酸類) 2,2′−イミノジコハク酸、3−ヒ
ドロキシ−2,2′−イミノジコハク酸など。
【0025】(アミノ酸類) アスパラギン酸、β−ア
ラニンなど。 (多価グリシジルエーテル) エチレングリコールジグ
リシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジ
ルエーテルなど。 (多価アルデヒド) グルタルアルデヒド、グリオキザ
ールなど。 (アミノアルコール) モノエタノールアミン、ジエタ
ノールアミン、トリエタノールアミンなど。
【0026】(グリシジルアルコール) グリセリンジ
グリシジルエーテルなど。 (ハロエポキシ化合物) エピクロルヒドリン、エポブ
ロムヒドリンなど。 (カルボキシル基と水酸基の両方を持つ化合物) 酒石
酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸など。 この発明で用いる化合物Cとしては、上述の化合物のう
ち、カルボキシル基と水酸基の両方を持つ化合物が、鎖
延長前後のカルボキシル基の減少を避けられるので、機
能向上の目的で最も好ましい。
【0027】この発明では、エステル結合含有ポリカル
ボン酸(塩)Bと化合物Cは、たとえば、固形分換算で
1:0.1〜10の重量比で用いて反応させるのが好ま
しい。化合物Cの比率が前記範囲をはずれた場合、生分
解性と洗剤ビルダーとして用いた際の汚れ分散作用とを
兼ね備えた電解質ポリマーが得られなくなるおそれがあ
る。
【0028】化合物Cが基(I)および基(II)のいず
れも構成単位として有さない場合は、ポリカルボン酸
(塩)Bの有する官能基と化合物Cの有する官能基は反
応して基(I)および基(II)の少なくとも1つを構成
単位として形成しなければならない。そうでない場合、
つまり、化合物Cが基(I)および基(II)の少なくと
も1つを構成単位として有する場合は、ポリカルボン酸
(塩)Bの有する官能基と化合物Cの有する官能基は反
応して基(I)および基(II)以外の構成単位を形成し
てもよい。
【0029】この発明におけるエステル結合含有ポリカ
ルボン酸(塩)Bと化合物Cの反応は、水系においても
有機溶剤系においても行うことができる。有機溶剤系に
おいては、通常のエステル化反応で行われる方法が用い
られる。反応温度は、ポリカルボン酸(塩)Bと化合物
Cが反応する温度であれば特に制限はない。この反応
は、水系において行うことが省資源、環境問題、安全性
の観点からは好ましい。より好ましくは、前記ポリカル
ボン酸(塩)Bおよび化合物Cを50〜200℃の温度
で、水分を除去しながら反応させるのが良い。その際に
使用する装置としては、たとえば、ドラムドライヤー、
ベルトコンベアー式熱風乾燥機、ベルトコンベアー式伝
熱型乾燥機等の通常の粉体製造用乾燥機を用いることが
できる。このように水分を除去しながら反応を行うと、
機能の向上した電解質ポリマーを粉体の形で得ることが
できるため洗剤等の原料を作る上で非常に効率的であ
る。
【0030】この発明では、エステル結合含有ポリカル
ボン酸(塩)Bと化合物Cの反応は、ポリカルボン酸
(塩)Bと化合物Cを水中に懸濁または乳濁させてなる
スラリーの状態で行うことが好ましい。スラリー状態で
前記反応を行う時に乾燥と水分添加を繰り返して行うこ
とにより、より高分子量の電解質ポリマーを得ることが
できる。
【0031】この発明で得られる電解質ポリマーは、洗
剤ビルダー、キレート剤、分散剤、スケール防止剤とし
ての機能発現のため、重量平均分子量300以上、5,
000,000以下であることが好ましく、500以
上、10,000以下であることがより好ましい。この
発明で得られる電解質ポリマーは、また、酸基を有する
構造であることが好ましく、その酸価は20〜900mg
KOH/ポリマー1gの範囲が好ましく、より好ましく
は50〜900mgKOH/ポリマー1gの範囲が良い。
また、この酸価は、カルボキシル基由来の酸価であるこ
とが最も好ましい。
【0032】この発明の電解質ポリマーは、そのまま
で、ビルダー、無機顔料分散剤、水処理剤として使用す
ることができ、界面活性剤および必要に応じて酵素を配
合して洗剤組成物として使用することもでき、また、染
色剤、過酸化物および界面活性剤のうちの少なくとも1
つを配合して繊維処理剤として使用することもできる。
この発明の洗剤組成物中の上記電解質ポリマーの使用量
は、1〜50重量%が好ましく、より好ましくは2〜3
0重量%である。また、界面活性剤は5〜70重量%配
合するのが好適であり、10〜30重量%の配合がより
好ましい。
【0033】界面活性剤としては、アニオン界面活性
剤、ノニオン界面活性剤、両性およびカチオン界面活性
剤を好ましく使用することができる。アニオン界面活性
剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル
またはアルケニルエーテル硫酸塩、アルキルまたはアル
ケニル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スル
ホ脂肪酸塩またはエステル塩、アルカンスルホン酸塩、
飽和または不飽和脂肪酸塩、アルキルまたはアルケニル
エーテルカルボン酸塩、アミノ酸型界面活性剤、N−ア
シルアミノ酸型界面活性剤、アルキルまたはアルケニル
リン酸エステルまたはその塩等が例示される。
【0034】ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシ
アルキレンアルキルまたはアルケニルエーテル、ポリオ
キシエチレンアルキルフェニルエーテル、高級脂肪酸ア
ルカノールアミドまたはそのアルキレンオキサイド付加
物、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグリコキシド、脂
肪酸グリセリンモノエステル、アルキルアミンオキサイ
ド等が例示される。
【0035】両性界面活性剤としては、カルボキシ型ま
たはスルホベタイン型両性界面活性剤が例示され、カチ
オン界面活性剤としては第4アンモニウム塩等が例示さ
れる。酵素としては、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラ
ーゼ等を使用することができ、特にアルカリ洗浄液中で
活性が高いプロテアーゼ、アルカリリパーゼ、アルカリ
セルラーゼ等が好ましい。
【0036】この発明の洗剤組成物には、この発明の電
解質ポリマーと界面活性剤に加えて、必要に応じて、公
知のアルカリビルダー、キレートビルダー、再付着防止
剤、蛍光剤、漂白剤、香料等の常用成分を添加しても良
い。また、ゼオライトを配合してもよい。アルカリビル
ダーとしては、珪酸塩、炭酸塩、硫酸塩等を用いること
ができる。キレートビルダーとしては、ジグリコール
酸、オキシカルボン酸塩、EDTA(エチレンジアミン
四酢酸)、DTPA(ジエチレントリアミン六酢酸)、
クエン酸等を必要に応じて使用することができる。
【0037】この発明の繊維処理剤は、この発明の電解
質ポリマーと、染色剤、過酸化物および界面活性剤のう
ちの少なくとも1つとを含んでなるものであり、繊維処
理における精錬、染色、漂白、ソーピング等の工程で使
用することができる。染色剤、過酸化物および界面活性
剤としては繊維処理剤に通常使用されるものが挙げられ
る。電解質ポリマーと、染色剤、過酸化物および界面活
性剤のうちの少なくとも1つとの比率は、たとえば、繊
維の白色度、色むら、染色けんろう度の向上のために、
電解質ポリマー1重量部に対して染色剤、過酸化物およ
び界面活性剤のうちの少なくとも1つを0.1〜100
重量部という割合に設定される。この発明の繊維処理剤
が適用できる繊維は特に限定されないが、たとえば、木
綿、麻等のセルロース系繊維;ナイロン、ポリエステル
等の化学繊維;羊毛、絹糸等の動物性繊維;人絹等の半
合成繊維およびこれらの織物または混紡品が挙げられ
る。精錬工程に適用する場合は、この発明の電解質ポリ
マー、染色剤および過酸化物のうちの少なくとも1つ、
アルカリ剤および界面活性剤を配合することが好まし
く、漂白工程では、この発明の電解質ポリマー、染色剤
および過酸化物のうちの少なくとも1つ、および、アル
カリ剤漂白剤の分解抑制剤としての珪酸ナトリウム等の
珪酸系薬剤等を配合するとよい。
【0038】この発明の無機顔料分散剤は、紙コーティ
ングに用いられる重質ないしは軽質炭酸カルシウム、ク
レイ等の無機顔料の分散剤として良好な性能を発揮す
る。この発明の無機顔料分散剤は、この発明の電解質ポ
リマーのみからなっていてもよいが、他の配合剤とし
て、重合リン酸、その塩、ホスホン酸、その塩、ポリビ
ニルアルコール等をこの発明の効果を損なわない範囲で
用いてもよい。この発明の無機顔料分散剤を、従来の無
機顔料分散剤の代わりに、上記のような無機顔料に少量
(たとえば、無機顔料100重量部に対して0.05〜
2.0重量部の割合)添加して水中に分散することによ
り、低粘度でしかも高流動性を有し、かつ、それらの性
能の経日安定性が良好である高濃度無機顔料スラリー
(たとえば、高濃度炭酸カルシウムスラリー)を製造す
ることができる。この発明の電解質ポリマーは生分解性
が良好であるので、この発明の無機顔料分散剤を用いた
紙をゴミとして土中へ投入した際にも環境への影響を最
小限にとどめることができる。
【0039】この発明の水処理剤は、冷却水系、ボイラ
ー水系、海水淡水化装置、パルプ蒸解釜、黒液濃縮釜等
でのスケール防止に有用であり、この発明の電解質ポリ
マーを単独で水処理剤として使用しても良いが、重合リ
ン酸塩、ホスホン酸塩、その他防蝕剤、スライムコント
ロール剤、キレート剤等を配合した組成物とすることも
できる。この発明の水処理剤は、使用後、電解質ポリマ
ーを含有する排水が外界へ出ても生分解性が良好である
ため、環境への影響が非常に小さくなる。
【0040】
【作用】この発明の電解質ポリマーは、上記基(I)お
よび(II)の部分で生分解を受けやすく、この生分解に
より、上記基(I)および(II)の少なくとも一つを構
成単位として有する結合鎖の残基を有する上記エステル
結合含有ポリカルボン酸(塩)Bを生成する。このよう
なポリカルボン酸(塩)Bは、キレート作用や分散作用
を発揮するには低分子量すぎるが、非常に生分解しやす
い化合物である。
【0041】すなわち、この発明の電解質ポリマーは、
キレート作用および分散作用を発揮するには低分子量す
ぎるが、非常に生分解しやすい構造および分子量を有す
るポリカルボン酸(塩)Bを生分解可能な基を介して結
び付けることにより、キレート作用および分散作用が発
現する分子量にまで高められたものであり、生分解性
と、キレート作用および分散作用との両立を可能にし
た。
【0042】前記ポリカルボン酸(塩)Bは、エステル
結合を主体としたポリカルボン酸(塩)であるため、従
来の炭素−炭素結合鎖を骨格に持つポリアクリル酸、ポ
リメタクリル酸等のビニル重合体系のポリカルボン酸に
比べて生分解性が大幅に向上するという特徴を持ってい
る。この発明の製造方法によれば、一旦、エステル結合
含有ポリカルボン酸(塩)Bを作ってからこのポリカル
ボン酸(塩)B同士を化合物Cを介して結合させるの
で、前記ポリカルボン酸(塩)Bの分子量を適宜の大き
さに設定しやすい。
【0043】この発明のビルダーは、上記この発明の電
解質ポリマーからなるので、水への分散性が良く、生分
解性に優れ、洗剤の洗浄力を高めることができる。この
発明の洗剤組成物、繊維処理剤、無機顔料分散剤、水処
理剤は、以上で説明したこの発明の電解質ポリマーを含
んでなるものであるため、分散能、キレート能、生分解
性に優れ、各用途に非常に有用なものである。
【0044】
【実施例】以下に、この発明の具体的な実施例および比
較例を示すが、この発明は下記実施例に限定されない。
以下では、「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」
をそれぞれ表す。 (合成例1)温度計、攪拌機および還流冷却器を備えた
容量1リットルの四つ口フラスコに無水マレイン酸(7
0℃で溶融状態である)196部、ソルビトール80.
9部を加え、70℃で3時間加熱攪拌した後、純水38
5部を加えて溶解し、固形分42%のエステル結合含有
ポリカルボン酸(塩)(B−1)水溶液を得た。このポ
リカルボン酸(塩)(B−1)の、分子量、酸価および
生分解率を測定し、これらの結果から、1分子当たりの
カルボキシル基の数(平均値)および1分子当たりのO
H基の数(平均値)を計算により求めた。結果を表1に
示した。
【0045】分子量は、下記条件のゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィー(GPC)分析により測定した。
酸価は、中和滴定により求めた。生分解率は、後記する
実施例1記載の方法により求めた。 〔GPC分析条件〕 カラム:アサヒパックGFA−7MF(商品名、旭化成
工業株式会社製のゲルパーミエーションカラム) 溶離液:リン酸1%水溶液 分子量標準試料:ポリアクリル酸ソーダ(創和化学株式
会社製のPSA標準サンプル) (合成例2)温度計、攪拌機および還流冷却器を備えた
容量1リットルの四つ口フラスコに無水マレイン酸19
6部、ショ糖114部を加え、70℃で3時間加熱攪拌
した後、純水385部を加えて溶解し、固形分45%の
エステル結合含有ポリカルボン酸(塩)(B−2)水溶
液を得た。このポリカルボン酸(塩)(B−2)の、分
子量、酸価および生分解率を合成例1と同様にして測定
し、これらの結果から、1分子当たりのカルボキシル基
の数(平均値)および1分子当たりのOH基の数(平均
値)を計算により求めた。結果を表1に示した。
【0046】(合成例3)温度計、攪拌機および還流冷
却器を備えた容量1リットルの四つ口フラスコに無水マ
レイン酸196部、ソルビトール91.1部を加え、7
0℃で3時間加熱攪拌した後、純水385部を加えて溶
解し、固形分43%のエステル結合含有ポリカルボン酸
(塩)(B−3)水溶液を得た。このポリカルボン酸
(塩)(B−3)の、分子量、酸価および生分解率を合
成例1と同様にして測定し、これらの結果から、1分子
当たりのカルボキシル基の数(平均値)および1分子当
たりのOH基の数(平均値)を計算により求めた。結果
を表1に示した。
【0047】
【表1】
【0048】(実施例1)合成例1で得られたポリカル
ボン酸(塩)(B−1)100部、クエン酸50部およ
び48%NaOH10部をガラス製シャーレに入れ、均
一に攪拌した後、150℃で2時間熱風下で水分を除去
しながら熱処理し、この発明の電解質ポリマー(1)を
得た。
【0049】得られた電解質ポリマー(1)の重量平均
分子量を下記条件のGPCにより測定し、滴定により酸
価を求めた。 〔GPC条件〕 カラム:SHODEX OHpak KB−806,8
04,802.5,802,800P(昭和電工株式会
社製) 溶離液:0.2M−KH2 PO4 (NaOHでpH6.
9に調整) 液 量:0.5ml/分 検出器:示差屈折率計(昭和電工株式会社製商品名Sh
odex RI SE−61) また、電解質ポリマー(1)について、粘度、ポリカル
ボン酸(塩)B間に形成された結合鎖が基(I)または
(II)を有しているか否か、生分解率、キレート能を以
下に記載する方法により求めた。
【0050】粘度は、得られた電解質ポリマーに水を加
えて20重量%水溶液にし、B型回転粘度計ビスメトロ
ンVG−A/1型(精機工業研究所製)で20℃の温度
で測定された。ポリカルボン酸(塩)B間に形成された
結合鎖が基(I)または(II)を有しているか否かは、
赤外吸収スペクトルによりエステルまたはアミドの吸収
の有無により調べた。
【0051】生分解率は、OECDテストガイドライン
記載の修正MITI法に準拠した28日間の生分解性試
験を行って求めた。生分解率は、有機炭素分析計(島津
製作所製のTOC500)を用いて測定されたTOC
〔全有機炭素濃度(Total organic carbon)〕を下記の
式にあてはめて算出した。 28日後の生分解率=〔{生分解性試験開始時の試験液
のTOC(ppm)−28日後の試験液のTOC(pp
m)}/開始時の試験液のTOC(ppm)〕×100
〔%〕 キレート能は、50mlビーカーに電解質ポリマーを計り
取り、塩化カルシウムが1.0×10-3M、塩化カリウ
ムが0.08Mとなるよう調製した水溶液50mlに溶解
させ、攪拌を行い、溶液中のカルシウムイオン濃度を二
価陽イオン電極(オリオン・リサーチ・インコーポレイ
テッド(Orion Research Incorporated)製のMODEL
93−32)を用い、イオンアナライザー(オリオン・
リサーチ・インコーポレイテッド(Orion Research Inc
orporated)製のEA920)を使用して測定し、電解質
ポリマー1gによってキレートされるカルシウムイオン
を炭酸カルシウムに換算したmg数で示した。
【0052】以上の結果を表5に示した。実施例1で得
られた電解質ポリマー(1)について、繊維処理剤、水
処理剤、無機顔料分散剤、洗剤としての性能評価を以下
に記載した方法で行い、結果を表7に示した。 〔繊維処理剤としての評価〕 1.染色性向上能と染料分散性(染色助剤としての評
価) 木綿ツイル織物を次の条件で染色した。染色向上剤とし
て電解質ポリマーを水1リットルに1gの割合(固形分
換算)で用いた。 (染色条件) 使用水の硬度 30°DH(ド
イツ硬度) 染料(Kayaras Supra Blue 4BL) 1% (日本化薬社製の金属含有型直接染料) 硫酸ナトリウム 10% 浴比 1:30 温度 95℃ 時間 30分 染色後の布をスガ試験機社製SMカラーコンピューター
SM−3型により測色し、Hue値(マンセル色相環上
の値)を求めた。Hue値のPBとはPurple(紫)とBl
ue(青)の間の青紫の意味で、値の小さい方が青に近い
青紫であり、染色性が優れていることを示している。ま
た、部分的な色むらを肉眼で目視観察した。さらに、上
記染色に使用した水、染料(0.1%)、電解質ポリマ
ー(0.1%)の混合液を300g作製し、24時間放
置後に東洋ろ紙社製5Cろ紙を用いてろ過し、ろ過残渣
なしを○、ろ過残渣若干ありを△、ろ過残渣の多いもの
を×として染料分散性を評価した。 2.漂白性能と縫製性能(漂白助剤としての評価) 精錬した綿天竺編ニットを次の条件で漂白した。漂白助
剤として電解質ポリマーを水1リットルに1gの割合
(固形分換算)で用いた。 (漂白条件) 使用水の硬度 35°DH 浴比 1:25 温度 85℃ 時間 30分 使用薬剤 過酸化水素 10g/l 水酸化ナトリウム 2g/l 珪酸ナトリウム(3号) 5g/l 漂白後の布の風合いは官能検査法により決定し、ソフト
な風合いのものを○、ややハードな風合いのものを△、
かなりハードなものを×とした。また、白色度はスガ試
験機社製SMカラーコンピューターSM−3型により測
色し、下記のLab系の白色度式によって白色度Wを求
めた。
【0053】 W=100−〔(100−L)2 +a2 +b2 1/2 ただし、L=測定された明度 a=測定されたクロマチックネス指数 b=測定されたクロマチックネス指数 さらに、漂白後の布を4枚重ねとして本縫ミシンで針♯
11Sを用いて30cm縫った場合の地糸切れ箇所の数を
調べた。 〔水処理剤としての評価〕 1.スケール抑制率 容量225mlのガラスビンに水を170g入れ、1.5
6%塩化カルシウム2水塩水溶液10g、および、スケ
ール防止剤として電解質ポリマーの0.02%水溶液3
g(得られる過飽和水溶液に対して3ppm)を混合
し、さらに3%重炭酸ナトリウム水溶液10gおよび水
7gを加え全量を200gとした。得られた炭酸カルシ
ウム530ppmの過飽和水溶液を密栓して70℃で8
時間の加熱処理を行った。冷却した後、沈殿物を孔径
0.1μmのメンブランフィルターでろ過し、ろ液をJ
IS K0101に従って分析した。下式により炭酸カ
ルシウムスケール抑制率(%)を求めた。
【0054】 スケール抑制率(%)=(C−B)/(A−B) ただし、A:試験前の液中に溶解していたカルシウム濃
度 B:スケール防止剤無添加ろ液中でのカルシウム濃度 C:試験後のろ液中のカルシウム濃度 〔無機顔料分散剤としての評価〕容量1リットル(材質
SUS 304、内径90mm、高さ160mm)のビーカ
ーに、カルサイト系立方体状の軽質炭酸カルシウム(一
次粒子径0.15μm)のフィルタープレス脱水ケーキ
(固形分65.3%)400部をとり、そこへ分散剤と
して電解質ポリマーの40%水溶液3.26部(対炭酸
カルシウム0.5%)および固形分濃度調整用の水6.
9部を加え、ディゾルバー攪拌羽根(50mmφ)で低速
で3分間混練した後、3000rpm で10分間分散し、
固形分濃度64%の水分散液(1)を得た。得られた水
分散液(1)の粘度(B型粘度計を使用して25℃で測
定した粘度)および経日安定性の試験を行った。 〔洗剤としての評価〕表2に示した人工汚垢を四塩化炭
素中に分散し、綿の白布を人工汚垢液に通した後、乾燥
し、切断することにより、10cm×10cmの汚染布を作
製した。
【0055】
【表2】
【0056】表3の配合で洗剤組成物を調製し、表4の
条件下で汚染布の洗濯を行った。洗濯後、布を乾燥した
後、反射率の測定を行った。
【0057】
【表3】
【0058】
【表4】
【0059】反射率の測定結果から、下式により洗浄率
を求め、洗浄性評価を行った。 洗浄率〔%〕=〔(洗浄後の反射率−洗浄前の反射率)
/(白布の反射率−洗浄前の反射率)〕×100 (実施例2〜17)エステル結合含有ポリカルボン酸
(塩)Bの種類と量、化合物Cの種類と量、48%Na
OH水溶液の量を表5,6に示したとおりとした以外は
実施例1と同様にして電解質ポリマー(2)〜(17)
を得た。得られた電解質ポリマーについて実施例1と同
様にして特性を調べた。結果を表5,6に示した。
【0060】また、繊維処理剤、水処理剤、無機顔料分
散剤、洗剤としての評価を実施例1と同様にして行い、
結果を表7,8に示した。
【0061】
【表5】
【0062】
【表6】
【0063】
【表7】
【0064】
【表8】
【0065】(比較例1〜9)表9に記載した比較剤を
用いて実施例1に記載した方法で、分子量、酸価、生分
解率、キレート能を調べた結果を表9に、繊維処理剤、
無機顔料分散剤、水処理剤、洗剤としての性能評価を行
った結果を表10に示した。 (比較例10)温度計、攪拌機および還流冷却器を備え
た容量1リットルの四つ口フラスコに無水マレイン酸1
96部、グリセリン64部を加え、70℃で3時間加熱
攪拌した後、純水385部を加えて溶解し、固形分45
%の比較用ポリカルボン酸(塩)(1)水溶液を得た。
この比較用ポリカルボン酸(塩)(1)水溶液100部
にリンゴ酸10部と48%NaOH水溶液20部を加え
て150℃で3時間熱処理した。得られた比較用電解質
ポリマー(10)を用いて、実施例1に記載した方法
で、分子量、酸価、生分解率、キレート能を調べた結果
を表9に、繊維処理剤、無機顔料分散剤、水処理剤、洗
剤としての性能評価を行った結果を表10に示した。
【0066】
【表9】
【0067】
【表10】
【0068】表5〜10にみるように、実施例の電解質
ポリマーは、生分解性が70%以上と非常に良好であ
り、かつ、繊維処理、無機顔料分散、水処理、洗剤とし
ての各用途にも良好な性能を発揮した。これに対して、
比較例のものは、生分解性において著しく劣るか、生分
解性の良好なものは繊維処理、無機顔料分散、水処理、
洗剤の各用途での性能で劣るものであった。
【0069】
【発明の効果】この発明の電解質ポリマーは、キレート
作用、分散作用を有し、水への分散性が良く、かつ、生
分解性に優れている。この発明の製造方法は、そのよう
な電解質ポリマーを効率良く作ることができる。
【0070】この発明の電解質ポリマーを洗剤に用いる
と、洗剤組成物の状態に関わらずこれに配合されてその
洗浄力を向上させることができ、微生物などの生物によ
り分解可能であり、河川湖沼などに排出されたときに富
栄養化を起こさず、安全なビルダーとして有用である。
この発明の電解質ポリマーを、繊維処理剤、無機顔料分
散剤、水処理剤に使用すると、繊維処理剤の場合、精
錬、染色、漂白、ソーピングの各工程での繊維製品の品
質向上に有用であり、無機顔料分散剤の場合、無機顔料
分散スラリーの低粘度化と粘度安定性の向上に有用であ
り、水処理剤の場合、スケール析出抑制に有用であり、
かつ、これらが環境中へ放出された時も生分解を受けて
環境への影響を最小限に止めるという利点を持つ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭54−53191(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 63/00 - 63/91 C08G 69/44

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 OH基を5以上有する多価アルコールお
    よび糖類から選ばれる少なくとも1つの化合物Aの間
    に、化学式−CO−O−で表される基(I)および化学
    式−CO−NH−で表される基(II)の少なくとも一つ
    を構成単位として有する結合鎖が形成されていて、該結
    合鎖の端部が前記化合物Aの有するOH基と分子内酸無
    水物が開環してなるカルボキシル基との反応により形成
    されたエステル結合になっている構造を有し、20重量
    %水溶液が20℃で1000cP以下の粘度を有する生
    分解可能な電解質ポリマー。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の電解質ポリマーと界面活
    性剤を含んでなる洗剤組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の電解質ポリマーと、染色
    剤、過酸化物および界面活性剤のうちの少なくとも1つ
    とを含んでなる繊維処理剤。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の電解質ポリマーを含んで
    なる無機顔料分散剤。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の電解質ポリマーを含んで
    なる水処理剤。
  6. 【請求項6】 OH基を5以上有する多価アルコールお
    よび糖類から選ばれる少なくとも1つの化合物Aへの分
    子内酸無水物の開環付加物であるエステル結合含有ポリ
    カルボン酸(塩)Bを、化学式−CO−O−で表される
    基(I)および化学式−CO−NH−で表される基(I
    I)の少なくとも一つを構成単位として有するか、およ
    び/または、形成しうる化合物Cで結合することによ
    り、20重量%水溶液が20℃で1000cP以下の粘
    度を有する生分解可能な電解質ポリマーを生成させる製
    造方法。
  7. 【請求項7】 エステル結合含有ポリカルボン酸(塩)
    Bと化合物Cを50〜200℃の温度で、水分を除去し
    ながら反応させる請求項6記載の製造方法。
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