JP3235974B2 - フッ素樹脂ライニングfrp缶体とその製造方法 - Google Patents

フッ素樹脂ライニングfrp缶体とその製造方法

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圭佐 福本
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、化学・石油プラン
ト、薬品製造プラント、金属処理プラント、半導体製造
プラント等において腐食性物質を取り扱う種々の塔槽類
に好適に使用されるフッ素樹脂ライニングFRP(繊維
強化プラスチック)缶体と、その製造方法に関する。
【0002】
【従来技術とその課題】例えば王水、硝酸、塩酸の如き
強腐食性液体や腐食性ガスを取り扱う貯留槽、混合槽、
反応槽、反応塔、濾過槽、洗浄槽等の耐薬品性を要する
各種塔槽類には、従来より内面にフッ素樹脂ライニング
を施したFRP缶体が汎用されていたが、近年では内缶
に通気孔を設けた金属製二重缶の内側にフッ素樹脂ライ
ニングを施した所謂二重缶ライニング(例えば、特開平
7−291392号公報等)に置き替わりつつある。こ
れは、従来のフッ素樹脂ライニングFRP缶体では、軽
量であると共に腐食部分がなく耐久性に優れるという利
点を有する反面、製造に多大な手間と時間を要してコス
トが高く付く上、強度的に大型の塔槽類には不向きであ
るという難点を有することによる。
【0003】すなわち、従来のフッ素樹脂ライニングF
RP缶体の製造においては、缶内周ライニングとするフ
ッ素樹脂シートを缶体寸法に合わせて正確に裁断し、こ
のフッ素樹脂シートを筒状に湾曲させて端縁部同士を突
き合わせ、その突き合わせ部分をフッ素樹脂溶接にて一
体化するが、該フッ素樹脂シート自体は柔らかで保形性
に乏しい上に熱によって変形し易いことから、上記溶接
時に缶体形状を保持させるために、前記の筒状とした外
側に未硬化FRPシートを1〜2層程度に積層して硬化
させることにより、仮止め状態の筒状体としたのち、更
に予め合板等を用いて作製しておいた缶体形状の木型に
固定して前記溶接を行うという方法を採用している。従
って、作業工数が多く非常に手間及び時間を費やすこと
に加え、前記の仮止めの段階で凹凸や歪みを生じたり、
仮止めの寸法と木型の寸法とが合わずに溶接時に歪みを
生じたりして、缶体の品質低下や不良に繋がることも多
々あった。しかして、このFRP缶体は、前記溶接後の
筒状体を木型から取り外し、その外周面全体に未硬化F
RPシートを6〜8層程度に積層して硬化させることに
より、所要厚みのFRP層を形成して缶体を構成する
が、缶体としての強度が該FRP層によって担われるた
め、大型の塔槽類には強度的に適用困難であった。
【0004】更に、この種のFRP缶体では、一端もし
くは両端に蓋板の取付けや缶体相互の連結を行うための
フランジ部を設ける場合が多いが、このフランジ部をF
RP又はこれとフッ素樹脂にて形成するのに非常に煩雑
で且つ困難さを伴う作業操作を必要とする上、このフラ
ンジ部にも充分な強度を付与できないことから、大型の
塔槽類に対する適用性がより低下し、また当該缶体を架
台や支持脚に取り付けるためのラグ部等を付設すること
が困難であり、そのためにプラントにおける設置上の制
約も大きいという問題もあった。
【0005】本発明は、上述の状況に鑑み、フッ素樹脂
ライニングFRP缶体として、容易に且つ低コストで製
造でき、しかも強度的に優れて大型の塔槽類にも充分に
適用可能であると共に、ラグ部等を容易に付設できるも
のを提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の請求項1に係るフッ素樹脂ライニングFR
P缶体は、図面の参照符号を付して示せば、缶体1の両
端部に配置する一対の環状フレーム部2a,2bが桟部
2c…にて結ばれた籠形の金属製フレーム枠2と、この
フレーム枠2の内側に密接して筒状に配置したフッ素樹
脂シート30からなる缶内周ライニング3と、前記フレ
ーム枠2の外周囲全体を覆うFRP層4とから缶胴部1
0が形成され、前記の缶内周ライニング3のフッ素樹脂
シート30の突き合わせた端縁30a,30a同士がフ
ッ素樹脂溶接5にて接合され、前記フレーム枠2の一対
の環状フレーム部2a,2bと桟部2c…との間に構成
される窓部20…において、前記の缶内周ライニング3
と外周のFRP層4とが密着してなる、構成としてい
る。
【0007】この請求項1の構成によれば、缶体1の製
造において、缶内周ライニング3とするフッ素樹脂シー
ト30をフレーム枠2の内側に沿わせて筒状に配置さ
せ、このフレーム枠2を支持体として該フッ素樹脂シー
ト30の突き合わせた端縁30a,30a同士をフッ素
樹脂溶接5できるから、従来のようなFRPシートによ
る仮止めや木型の使用を必要とせず、且つ缶内周ライニ
ング3の凹凸や歪みを確実に防止でき、またFRP層4
を形成する際にも、該フレーム枠2を支持体としてその
外周に未硬化FRPシートを積層できる。しかして、こ
の缶体1では、内部にフレーム枠2が芯材として存在す
るため、大きな強度が得られると共に、当該缶体1を架
台や支持脚に取り付けるためのラグ部6等をフレーム枠
2への金属材の溶接によって付設できるが、当該フレー
ム枠2は籠形であって缶体1の一部を占めるだけである
から、このフレーム枠2による重量増は小さく、FRP
缶体としての軽量性の利点は活かされる。
【0008】請求項2の発明では、前記請求項1のフッ
素樹脂ライニングFRP缶体において、前記フレーム枠
2が缶体1の軸方向に沿う桟部2cを有し、この桟部2
cの内面側において缶内周ライニング3を形成するフッ
素樹脂シート30の端縁30a,30a同士がフッ素樹
脂溶接5されてなる構成を採用している。この場合、フ
ッ素樹脂シート30の端縁30a,30a同士の溶接
は、背面側が金属からなる桟部2cによって支承された
安定した状態で行える。また該フッ素樹脂シート30と
して大きめのものを用い、フレーム枠2の内側に沿わせ
て筒状に配置させる際に両端の余剰長さ部分を桟部2c
上で重ね合わせ、その上からカッターにて切り込んで切
断すれば、自ずと端縁30a,30a同士が正確な寸法
で突き合わされた状態となる。
【0009】請求項3の発明では、前記請求項1又は2
のフッ素樹脂ライニングFRP缶体において、前記フレ
ーム枠2の少なくとも一方の環状フレーム部2aに周方
向に等配する複数のボルト孔21a…を有するフランジ
部21が一体形成され、このフランジ部21の缶体開口
側の端面におけるボルト孔21a…形成位置よりも内側
の環状表面20aがフッ素樹脂の端面ライニング31に
て覆われると共に、この端面ライニング31にて覆われ
ない当該フランジ部21の他の表面がFRP層4にて覆
われてなる構成を採用している。この構成においては、
缶体1は蓋板の取付けや缶体相互の連結を行うためのフ
ランジ部11を有するが、このフランジ部11の内部に
はフレーム枠2に一体化したフランジ部21が存在する
ため、前記蓋板の取付け強度や缶体相互の連結強度は非
常に大きくなる。しかして、フレーム枠2は金属材であ
るから、フランジ部21をフレア加工によって容易に形
成できる。
【0010】請求項4の発明では、前記請求項1〜3の
いずれかのフッ素樹脂ライニングFRP缶体において、
前記フレーム枠2に内外を透通する小孔22…が設けら
れると共に、該フレーム枠2の外面には前記小孔22に
連通する短管23…が突設され、該短管23の先端部が
FRP層4の外側へ突出してなる構成を採用している。
この場合、缶体1の使用中に短管23…から真空吸引を
行うことにより、フレーム枠2と缶内周ライニング3と
の接合界面の開離を防止できる。
【0011】請求項5の発明では、前記請求項1〜4の
いずれかのフッ素樹脂ライニングFRP缶体において、
フッ素樹脂からなるライニング3,31がフレーム枠2
に対して接着剤7を介して貼着されてなる構成を採用し
ている。従って、缶体1の製造において、缶内周ライニ
ング3とするフッ素樹脂シート30をフレーム枠2の内
側に沿わせて筒状に配置させる際、フレーム枠2の内面
に接着剤7を塗着しておけば、フッ素樹脂シート30を
確実に位置決めできると共に、フッ素樹脂溶接の際にも
フッ素樹脂シート30の位置ずれを防止できる。
【0012】請求項6の発明に係るフッ素樹脂ライニン
グFRP缶体の製造方法は、環状フレーム部2a,2b
が桟部2cにて結ばれた略鳥籠形をなす金属製フレーム
枠2の内側に沿って、フッ素樹脂シート30を筒状に配
置させると共に、該フッ素樹脂シート30の両端縁30
a,30a前記フレーム枠2の桟部2cの内面側に位置
させて突き合わせ、この突き合わせ部をフッ素樹脂溶接
5したのち、前記フレーム枠2の外周囲に未硬化FRP
シートを積層、硬化させて所定厚みのFRP層4を形成
することを特徴としている。
【0013】従って、既述のように、フッ素樹脂シート
30の溶接において、従来のようなFRPシートによる
仮止めや木型の使用を必要とせず、且つ缶内周ライニン
グ3の凹凸や歪みを確実に防止できると共に、溶接を安
定した状態で行える。また溶接前には、該フッ素樹脂シ
ート30として大きめのものを用い、両端の余剰長さ部
分を桟部2c上で重ね合わせ、その上からカッターにて
切り込んで切断し、端縁30a,30a同士が正確な寸
法で突き合わされた状態とできる。更にFRP層4の形
成のために未硬化FRPシートを積層する際も、該フレ
ーム枠2が支持体となって容易に積層操作できる。
【0014】請求項7の発明では、上記請求項6のフッ
素樹脂ライニングFRP缶体の製造方法において、フレ
ーム枠の内側に沿ってフッ素樹脂シートを筒状に配置さ
せる際、該フッ素樹脂シートを接着剤にて前記フレーム
枠の内面に貼着することから、既述のように、フッ素樹
脂シート30を確実に位置決めできると共に、フッ素樹
脂溶接の際にもフッ素樹脂シート30の位置ずれを防止
できる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るフッ素樹脂ラ
イニングFRP缶体とその製造方法について、図面を参
照して具体的に説明する。
【0016】図1はフッ素樹脂ライニングFRP缶体に
用いるフレーム枠2の斜視図、図2は同横断平面図を示
す。このフレーム枠2は、鉄等の金属製であり、円形の
上部環状フレーム部2aと、これと同径の円形をなす下
部環状フレーム部2bと、周方向に等配配置して両環状
フレーム部2a,2b間を結ぶ複数本の垂直桟部2c…
とからなる籠形に構成されており、全体が厚さ3〜10
mm程度の薄板状をなしている。なお、両環状フレーム
部2a,2bの内径が1m程度の場合、各垂直桟部2c
…の幅は10cm程度に設定される。
【0017】しかして、上部環状フレーム部2aにはフ
ランジ部21がフレアー加工によって一体形成されてお
り、このフランジ部21の外周寄り位置に多数のボルト
孔21a…が周方向に等配して穿設されている。また、
各垂直桟部2cには、上下2カ所に内外を透通する小孔
22,22が穿設されると共に、各小孔22に対応して
外面側に金属製の短管23が溶接によって突設されてい
る。なお、各短管23は、図6に示すように、内部が小
孔22に連通すると共に、内周に吸引管9を接続するた
めの雌ねじ23aが刻設されている。
【0018】フッ素樹脂ライニングFRP缶体を製造す
るには、まず上記フレーム枠2の両環状フレーム部2
a,2b及び垂直桟部2c…の内面にゴム系等の接着剤
7(図5〜図7参照)を塗布しておき、図2の一点鎖線
で示すように、矩形のフッ素樹脂シート30を該フレー
ム枠2の内側全体に沿って筒状に配設する。このとき、
フレーム枠2が支持体となり、特に両環状フレーム部2
a,2bが円周ガイドとなるから、フッ素樹脂シート3
0を凹凸や歪みのない正確な円筒形に容易に曲成できる
と共に、接着剤7によって接着させつつ配設できるの
で、位置ずれを生じる懸念もない。なお、このフッ素樹
脂シート30の厚みは、通常1〜5mm程度である。
【0019】しかして、フッ素樹脂シート30は、予め
正確な寸法に裁断しておく必要はなく、縦横共に大きめ
のものを用い、長さ方向の両端部を一本の垂直桟部2c
の内面側で重ね合わせ、その上からカッターにて切り込
んで余剰長さ分を切除することにより、両側の端縁30
a,30a同士が当該垂直桟部2cの内面側で突き合わ
された状態とできる。また幅方向の余剰長さ分について
も両環状フレーム部2a,2bの内端縁に沿ってカッタ
ーで切除すればよい。これらカッターによる切除は、フ
レーム枠2の硬い金属を裏当てした状態で行えるので、
操作的に非常に容易である。
【0020】次いで、図3(A)に示すように、フレー
ム枠2の内側に沿わせたフッ素樹脂シート30の端縁3
0a,30a同士をフッ素樹脂溶接5にて接合すること
により、缶内周ライニング3とする。この溶接について
も、端縁30a,30aの突き合わせ部の全体が垂直桟
部2cで裏当てされ、且つ接着剤7にて固定されて位置
ずれを生じない状態で行えるので、その操作は非常に容
易である。なお、この段階では、フレーム枠2の両環状
フレーム部2a,2bと垂直桟部2c…との間で構成さ
れる窓部20…より、缶内周ライニング3のフッ素樹脂
シート30が露呈している。
【0021】上記のフッ素樹脂溶接5は、フッ素樹脂シ
ート30の素材がポリテトラフロオロエチレン(PTF
E)である場合、溶融流動性を有するフッ素樹脂、例え
ばCF2 =CF2 とCF2 =CF−CF3 の共重合体
(市販品としてイー・アイ・デュポン社の商品名テフロ
ンFEP)、CF2 =CF2 とCF2 =CF−ORfの
共重合体(Rf はパーフルオロアルキル基:同テフロン
PFA)、CF2 =CF 2 とCF2 =CF−CF3 とC
2 =CF−ORf の三元共重合体(Rf は同上:同テ
フロンEPE)、CH2 =CH2 とCF2 =CF2 の共
重合体(同テフロンETFE、三井・デュポンフロロケ
ミカル社の商品名テフゼル)、CH2 =CF2 の重合体
(ポリフッ化ビニリデン樹脂:同テフロンPVDF、P
ennwalt社の商品名カイナー)、CH2 =CH2
とCF2 =CClFの共重合体(同テフロンECTF
E)、CHF=CH2 の重合体(同テフロンPVF)等
を接合剤として融着する。またフッ素樹脂シート30の
素材が上述のような溶融流動性を有するフッ素樹脂であ
る場合は、当該フッ素樹脂シート30の端縁30a,3
0a自体を加熱により融着すればよい。
【0022】なお、図7に示すように、フレーム枠2の
フランジ部21については、上面のボルト孔21a…形
成位置よりも内側の環状表面20aに接着剤7を塗布
し、この上にフッ素樹脂シート30をリング状に切り取
ったものを貼着して環状の端面ライニング31を構成
し、この端面ライニング31の内周縁と缶内周ライニン
グ3の上端周縁とを前記同様にフッ素樹脂溶接5にて接
合する。また、フレーム枠2の下端開口部は、フッ素樹
脂シート30を円盤状に切り取ったもので封鎖して缶内
底ライニング32とし、この缶内底ライニング32の外
周縁と缶内周ライニング3の下端周縁とを前記同様にフ
ッ素樹脂溶接5にて接合する。
【0023】かくして缶内周ライニング3、端面ライニ
ング31、内底面ライニング32を施したのち、フレー
ム枠2の外周に未硬化FRPシートを多重に積層して硬
化させることにより、図3(B)及び図5〜図7に示す
ように所定厚みのFRP層4とする。この場合において
も、フレーム枠2が支持体となるため、未硬化FRPシ
ートの積層操作は非常に容易である。しかして、形成さ
れたFRP層4はフレーム枠2の窓部20…において缶
内周ライニング3と密着している。
【0024】なお、図6に示すように、フレーム枠2の
垂直桟部2c…に設けた各短管22は、その先端部がF
RP層4より外側へ突出するように設定する。また、図
7に示すように、フレーム枠2におけるフランジ部21
の端面ライニング31にて覆われていない他の表面、な
らびに内底面ライニング32の外面側(下面側)にも未
硬化FRPシートを多重に積層し、缶体外面の全体に連
続したFRP層4を形成する。無論、フランジ部21の
各ボルト孔21aはFRP層4で覆われずに上下に透通
するように設定する。
【0025】上記の未硬化FRPシートは、通常、厚さ
1〜2mm程度のガラス繊維のマットにエポキシ樹脂や
不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性合成樹脂液を含浸
させたものであるが、前記マットに予め樹脂液を含浸さ
せた状態で積層してもよいし、前記マットの積層と樹脂
液の塗布含浸を交互に行うようにしてもよい。FRP層
4の厚みは缶体のサイズや用途によって異なるが、一般
的には10〜20mm程度である。
【0026】図4は上記方法によって製造したフッ素樹
脂ライニングFRP缶体1を示す。この缶体1は、竪型
円筒形の容器を構成しており、内面全体が優れた耐薬品
性を発揮するフッ素樹脂ライニングにて覆われると共
に、胴部10から底部12及びフランジ部10にわたる
外側全体がFRP層4にて構成され、従来のFRP缶体
と同様に上端開口部にボルト孔21a…付きのフランジ
部11を利用して適当な蓋体(図示省略)を取り付ける
ことにより、例えば強腐食性液体や腐食性ガスを取り扱
う貯留槽、混合槽、反応槽、洗浄槽等に適用できるが、
内部に金属のフレーム枠2が芯材として存在するために
缶体としての大きな強度を具備し、且つフランジ部10
も内部にフレーム枠2と一体の金属からなるフランジ部
20が存在して大きな連結強度を発揮できることから、
特に大型の槽類や耐圧強度を要する用途に優れた適性を
示す。
【0027】しかして、この缶体1においては、フレー
ム枠2は短管23の先端部を除いて内外面に露呈しない
ために腐食する恐れはなく、且つ該フレーム枠2は籠形
として缶体1の一部を占めるだけであり、これによる重
量増は小さいため、FRP缶体としての軽量性の利点を
備えている。また短管23…には必要に応じて図6の仮
想線で示すように吸引管9を接続し、缶体1の使用中に
該短管23…からの真空吸引により、フレーム枠2と缶
内周ライニング3との接合界面の開離を防止できるた
め、特に内部が減圧されるような用途にも支障なく適用
できる。
【0028】更に、この缶体1では、胴部10の複数箇
所に、図4の二点鎖線で示すようにFRP層4の外側へ
突出する金属製のラグ部6を設け、このラグ部6によっ
て架台や支持脚に取り付けることが可能である。すなわ
ち、ラグ部6は、図1及び図2の二点鎖線で示すよう
に、フレーム枠2の垂直桟部2cに金属板材を溶接する
ことによって容易に形成できる。
【0029】なお、攪拌機、ポンプ、加熱装置、温度や
圧力の測定器、PHや濃度あるいは粘度等の流体性状の
検出器、流体導出入口、物品出入れ口、薬剤の投入口、
安全弁、点検窓等、缶体1の用途に応じて必要となる各
種の付帯設備は、一般的には前記の蓋体に設けられる
が、缶体1自体にも例えば図4の二点鎖線で示すような
流体導出入口8やドレン等を設けることが可能である。
【0030】図9は流体導出入口8の構成例を示す。こ
の導出入口8は、フッ素樹脂からなる内筒33と、これ
より短く且つ管路接続用のフランジ部8aを形成するフ
ッ素樹脂からなる外筒34とを嵌合し、両者33,34
を外端側でフッ素樹脂溶接5にて接合して二重筒とし、
FRP層4の形成前に、缶内周ライニング3に予め開設
した開口部3aに該二重筒における内筒33の内端を嵌
合してフッ素樹脂溶接5にて接合し、次いで形成される
FRP層4にて内筒33の根元部を包囲し、更に外筒3
4の周面から当該FRP層4の表面にわたって未硬化F
RPシートを積層して硬化させて補強層41を形成して
いる。
【0031】本発明に係るフッ素樹脂ライニングFRP
缶体は、上記実施例で示す竪型円筒形の容器を構成する
缶体1に限らず、横型の缶体、筒形断面が楕円形や角形
等の非円形である缶体、両端に端板や蓋板を連結するフ
ランジ部を備える両端開放形の缶体、竪型や横型の長い
容器構造を構成する連結単位となる両端開放型缶体(中
間用)や一端開放型缶体(端部用)等、様々な缶体形状
に適用可能である。
【0032】従って、フレーム枠2は、両端の環状フレ
ーム部2a,2bを缶体の筒形断面に応じた環形に設定
すると共に、缶体が両端開放形である場合には両環状フ
レーム部2a,2bにフランジ部20を一体形成し、ま
た長い缶体に適用する場合等では補強のために軸方向の
桟部(実施例では垂直桟部2c)間を連絡する周方向や
斜め方向の桟部を設けてもよい。しかして、一端開放型
の缶体においては、その非開放側の端部(実施例では底
部12)に対応して、フレーム枠2に内向きフランジ部
や十字形の桟部等を設け、これらを該端部の内面ライニ
ングと外側のFRP層4との間に介在させて強度向上を
図ることもできる。
【0033】なお、請求項1〜4の発明に係るフッ素樹
脂ライニングFRP缶体、ならびに請求項6の発明に係
る同缶体の製造方法においては、フレーム2の内面と缶
内周ライニング3との間に接着剤7を介在しない構成を
包含する。すなわち、ライニングのフッ素樹脂とFRP
との親和性はよく、フレーム枠2の窓部20…において
缶内周ライニング3と外周のFRP層4とは広面積で互
いに密着するため、接着剤7がなくとも特に支障はな
い。また、フレーム枠2の小孔22…及び短管23…に
ついては、請求項1〜3及び請求項5〜7の発明では必
須構成ではなく、且つ請求項4の発明では実施例の如く
垂直桟部2c…の他に環状フレーム部2a,2bにも設
ける構成も包含する。
【0034】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、フッ素樹脂ラ
イニングFRP缶体として、缶内周ライニングと外周の
FRP層との間に金属性のフレーム枠が介在することか
ら、その製造における缶内周ライニング及び外周のFR
P層の形成が容易であり、従来に比較して製造コストが
大きく低減され、しかも強度的に優れて大型の塔槽類に
も充分に適用可能である上、缶内周ライニング3の凹凸
や歪みがなく高品位であると共に、FRP缶体本来の軽
量性の利点を有し、また当該缶体を架台や支持脚に取り
付けるためのラグ部等を容易に付設できるものが提供さ
れる。
【0035】請求項2の発明によれば、上記のフッ素樹
脂ライニングFRP缶体として、その製造において缶内
周ライニングとするフッ素樹脂シートの端縁同士のフッ
素樹脂溶接を安定した状態で行えると共に、該フッ素樹
脂シートを予め正確な寸法に裁断しておく必要がなく、
フレーム枠を利用して簡単に所要の寸法に切り揃えるこ
とができ、もって製造時の作業性により優れるものが提
供することを目的としている。される。
【0036】請求項3の発明によれば、上記のフッ素樹
脂ライニングFRP缶体として、蓋板の取付けや缶体相
互の連結を行うためのフランジ部を有し、且つこのフラ
ンジ部による前記蓋板の取付け強度や缶体相互の連結強
度が非常に大きくなり、しかも該フランジ部を容易に形
成できるものが提供される。
【0037】請求項4の発明によれば、上記のフッ素樹
脂ライニングFRP缶体として、先端部が外側のFRP
層から突出した複数の短管を有し、該短管から真空吸引
を行うことによってフレーム枠と缶内周ライニングとの
接合界面の開離を防止でき、もって耐久性に優れ、特に
内部が減圧されるような用途にも好適に使用できるもの
が提供される。
【0038】請求項5の発明によれば、上記のフッ素樹
脂ライニングFRP缶体として、その製造において、特
に缶内周ライニングとするフッ素樹脂シートを確実に位
置決めして容易に配設及びフッ素樹脂溶接できるものが
提供される。
【0039】請求項6の発明によれば、上記のフッ素樹
脂ライニングFRP缶体の製造において、缶内周ライニ
ングとするフッ素樹脂シートの端縁同士の溶接する際、
従来のようなFRPシートによる仮止めや木型の使用を
必要とせず、安定した状態で容易に溶接作業を行えると
共に、凹凸や歪みのない缶内周ライニングを確実に形成
でき、また溶接前には該フッ素樹脂シートとして大きめ
のものを用い、その両端の余剰長さ部分をフレーム枠の
桟部上で重ね合わせて切除するだけで端縁同士を溶接す
べき突き合わせ状態とでき、更にFRP層の形成のため
に未硬化FRPシートの積層を容易に行える。
【0040】請求項7の発明によれば、上記のフッ素樹
脂ライニングFRP缶体の製造において、特に缶内周ラ
イニングとするフッ素樹脂シートを確実に位置決めして
容易に配設及びフッ素樹脂溶接できるという利点があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例に係るフッ素樹脂ライニン
グFRP缶体に用いるフレーム枠の斜視図。
【図2】 同フレーム枠の横断平面図。
【図3】 (A)は同フレーム枠に缶内周ライニングを
施した状態の横断平面図、(B)は缶内周ライニングを
施した同フレーム枠の外周にFRP層を形成した状態の
横断平面図。
【図4】 前記フッ素樹脂ライニングFRP缶体の全体
の斜視図。
【図5】 同FRP缶体におけるフレーム枠の桟部部分
の拡大横断面図。
【図6】 同FRP缶体における短管部分の拡大縦断面
図。
【図7】 同FRP缶体の要部の縦断側面図。
【図8】 同FRP缶体の流体導出入口部分の縦断側面
図。
【符号の説明】
1 缶体 10 胴部 11 フランジ部 12 底部 2 フレーム枠 2a 上部環状フレーム部 2b 下部環状フレーム部 2c 垂直桟部(軸方向に沿う桟部) 20 窓部 21 フランジ部 21a ボルト孔 22 小孔 23 短管 3 缶内周ライニング 30 フッ素樹脂シート 30a 端縁 31 端面ライニング 32 内底面ライニング 4 FRP層 5 フッ素樹脂溶接 6 らぐ部 7 接着剤 8 流体導出入口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−114889(JP,A) 特開 平7−291392(JP,A) 特開 平7−206084(JP,A) 特開 平3−124592(JP,A) 特開 平7−267250(JP,A) 特開 平8−80996(JP,A) 実開 平2−40099(JP,U) 実公 昭45−23882(JP,Y1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B65D 88/00 - 90/08 B32B 1/02

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 缶体の両端部に配置する一対の環状フレ
    ーム部が桟部にて結ばれた籠形の金属製フレーム枠と、
    このフレーム枠の内側に密接して筒状に配置したフッ素
    樹脂シートからなる缶内周ライニングと、前記フレーム
    枠の外周囲全体を覆うFRP層とから缶胴部が形成さ
    れ、 前記の缶内周ライニングのフッ素樹脂シートの突き合わ
    せた端縁同士がフッ素樹脂溶接にて接合され、前記フレ
    ーム枠の一対の環状フレーム部と桟部との間に構成され
    る窓部において、缶内周ライニングと外周のFRP層と
    が密着してなる、フッ素樹脂ライニングFRP缶体。
  2. 【請求項2】 前記フレーム枠が缶体の軸方向に沿う桟
    部を有し、この桟部の内面側において缶内周ライニング
    を形成するフッ素樹脂シートの端縁同士がフッ素樹脂溶
    接されてなる請求項1記載のフッ素樹脂ライニングFR
    P缶体。
  3. 【請求項3】 前記フレーム枠の少なくとも一方の環状
    フレーム部に周方向に等配する複数のボルト孔を有する
    フランジ部が一体形成され、このフランジ部の缶体開口
    側の端面におけるボルト孔形成位置よりも内側の環状表
    面がフッ素樹脂の端面ライニングにて覆われると共に、
    この端面ライニングにて覆われない当該フランジ部の他
    の表面がFRP層にて覆われてなる請求項1又は2に記
    載のフッ素樹脂ライニングFRP缶体。
  4. 【請求項4】 前記フレーム枠に内外を透通する小孔が
    設けられると共に、該フレーム枠の外面には前記小孔に
    通じる短管が突設され、該短管の先端部がFRP層の外
    側へ突出してなる請求項1〜3のいずれかに記載のフッ
    素樹脂ライニングFRP缶体。
  5. 【請求項5】 フッ素樹脂からなるライニングがフレー
    ム枠に対して接着剤を介して貼着されてなる請求項1〜
    4のいずれかに記載のフッ素樹脂ライニングFRP缶
    体。
  6. 【請求項6】 環状フレーム部が桟部にて結ばれた略鳥
    籠形をなす金属製フレーム枠の内側に沿って、フッ素樹
    脂シートを筒状に配置させると共に、該フッ素樹脂シー
    トの両端縁を前記フレーム枠の桟部の内面側に位置させ
    て突き合わせ、この突き合わせ部をフッ素樹脂溶接した
    のち、前記フレーム枠の外周囲に未硬化FRPシートを
    多重に積層して硬化させることにより、所定厚みのFR
    P層を形成することを特徴とするフッ素樹脂ライニング
    FRP缶体の製造方法。
  7. 【請求項7】 フレーム枠の内側に沿ってフッ素樹脂シ
    ートを筒状に配置させる際、該フッ素樹脂シートを接着
    剤にて前記フレーム枠の内面に貼着することを特徴とす
    る請求項6記載のフッ素樹脂ライニングFRP缶体の製
    造方法。
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