JP3233572U - 衣服 - Google Patents
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Abstract
【課題】寝たままの姿勢にあっても着脱容易であり、装飾性の高い衣服を提供する。【解決手段】衣服の一例であるTシャツ10が前見頃11と、後見頃12と、両袖14L、14Rとを有する。前身頃11と後見頃12とのそれぞれは、襟部11aと襟部12aとのそれぞれを有する。Tシャツ10には、横方向Bの一側において襟部12aから袖14Rの後方における後見頃12を通り、裾部にまで達していて、Tシャツ10を縦断している分離部20が形成される。分離部20において、前身頃11と後見頃12とが連結部材25、26を介して重なり合い、分離と連結との反復が可能な状態にある。【選択図】図5
Description
本考案は、衣服に関し、より詳しくは衣服を着用しようとする者が寝たままの状態にあっても着脱することが容易であって、しかも高い装飾効果を発揮することが可能な衣服に関する。
衣服を着用させる対象者が寝たままの状態にあっても、その衣服の着用が容易となるように考案された衣服は公知である。
例えば、特許文献1に記載の介護用上着と介護用ワンピースは、ベッドや布団の上に予め開いた状態で置いておき、そのワンピースの上に要介護者を仰臥位で載せて着用させるもので、長袖の袖口から前身頃の下端部にまで延びる開閉ラインにおいて長袖から前身頃の下端部までの間を開閉することができる。また、前身頃の中央部は、袖口から下端部までが開閉可能に形成されている。
特許文献2記載の介護用衣服は、対照的な形状を有する前身頃と後身頃とが別体で作られていて、これら前身頃と後身頃とがそれぞれの肩部と左右両側縁部とに連結手段を有する。この衣服を着用した者は、寝たままの姿勢にあっても、連結手段を解くことによって、前身頃だけを交換したり、後身頃だけを交換したりすることができる。
特許文献1,2に記載の介護用ワンピースや介護用衣服は、いわゆる実用的なものであって、寝たままの姿勢にあっても衣服を着用して着飾りたいと思う場合にふさわしいものとは言い難い。そこで、この考案では、寝たままの姿勢にあっても着脱することが容易であって、しかも着飾ることを可能にする装飾効果の高い衣服の提供を課題にしている。
前記課題を解決するために、本考案が対象とするのは、互いに直交する前後方向と横方向と上下方向とを有し、前身頃と後見頃と一対の袖とが形成され、前記前見頃と前記後見頃とが襟部を有する衣服である。
かかる衣服において、本考案が特徴とするところは、次のとおりである。すなわち、前記衣服は、前記横方向の一側において前記衣服を縦断して延びる分離部において前記前身頃と前記後見頃とが連結部材を介して重なり合うことによって分離と連結との反復が可能な状態にある。前記分離部は、前記後見頃における前記襟部に始まって、前記袖の付け根よりも後方における前記後見頃を通り、しかる後に前記袖の付け根の下方に位置する前記衣服の脇部を下降して前記衣服の裾にまで達している。前記分離部では、前記後見頃が内側となり、前記前身頃が外側となるように前記前後見頃が前記連結部材を介して重なり合っている。
かかる衣服において、本考案が特徴とするところは、次のとおりである。すなわち、前記衣服は、前記横方向の一側において前記衣服を縦断して延びる分離部において前記前身頃と前記後見頃とが連結部材を介して重なり合うことによって分離と連結との反復が可能な状態にある。前記分離部は、前記後見頃における前記襟部に始まって、前記袖の付け根よりも後方における前記後見頃を通り、しかる後に前記袖の付け根の下方に位置する前記衣服の脇部を下降して前記衣服の裾にまで達している。前記分離部では、前記後見頃が内側となり、前記前身頃が外側となるように前記前後見頃が前記連結部材を介して重なり合っている。
本考案の実施態様の一つにおいて、前記衣服がTシャツを含む両袖付きのシャツであって、前記分離部は、前記シャツのネックホールを形成している前記襟部のうちの前記後見頃に位置する部分に始まって、前記両袖のうちの一方の付け根よりも後方において前記後見頃を下降し、前記付け根よりも下方では前記脇部を通って下降して、前記Tシャツにおける前記裾にまで達している。
本考案の実施態様の他の一つにおいて、前記Tシャツの前記前身頃には、複数のボタンが前記上下方向に間隔を空けて並んでいる。
本考案の実施態様の他のさらに他の一つにおいて、前記衣服が着物であって、前記前身頃は左前身頃と右前身頃とがいずれか一方を内側にし、もう一方を外側にして分離不能に重ね合わせられた状態で一体化しており、前記袖には袂が形成されており、前記分離部が前記後見頃の襟に始まり、前記袂が形成された前記袖の後方を通って前記着物の見八ツ口にまで延びたのち、前記見八ツ口の下端部から下降して前記着物の裾にまで達しており、前記前身頃と前記後見頃とが前記分離部において前記連結部材を介して重なり合っている。
本考案の実施態様のさらに他の一つにおいて、前記着物が帯状部材を着用可能に形成されており、前記帯状部材は、着用されて前方に向かって膨らんだ状態にある前記前身頃の所要部位に前記前身頃の前方から嵌合して前記所要部位を覆うことのできるほぼU字形の弧を画いて前記横方向に延びるものであって、前記U字形の両端部それぞれに位置する固定用第2部材を有し、前記固定用第2部材は、前記着物の前記横方向の両側それぞれに位置している固定用第1部材に着脱可能に係合する。
本考案の実施態様のさらに他の一つにおいて、着用状態にある前記着物では、前記着物の胴回り方向において前記帯状部材が前記分離部と交差した状態にあって、前記固定用第2部材が前記第1固定用部材に着脱可能に係合している。
本考案の実施態様のさらに他の一つにおいて、前記着物は前記前身頃と前記後見頃とを部分的に覆う袴に似せた装飾部材が取り外し不能な状態で取り付けられていて、前記装飾部材にも前記分離部が形成されている。
本考案に係る衣服は、前身頃と後身頃とが、その衣服の両側のうちの一側においては一体となり、両側のうちの他側では、袖のつけ根よりも後方における後見頃を通って衣服を縦断するように延びる分離部においての分離と連結との繰り返しが可能な状態にあるから、例えば、その衣服を着用しようとする者が仰向けになって寝ていても、介護者の手を借りれば両袖に手を通すことができる。その後に、衣服を着用しようとする者が横臥の姿勢をとれば、衣服の後見頃を背中に広げることができる。そこで、その者が再び仰向けになれば、衣服の前記他側を背中側から引き出すことができて、前身頃と後見頃とで身体を覆うことができる。その前身頃と後見頃とを分離部において連結させれば、衣服の着用が簡単に終了する。
また、この衣服では、上方から下方に向かって延びる分離部が後見頃と脇部を通って衣服の下端である裾にまで達するように形成されていて、脇部では後見頃が内側となり、前身頃が外側となるようにこれら両部位が重なり合っている。このような状態にある本考案の衣服では、その衣服を前身頃の前方から見たときに、分離部の存在が全く見えないか、目立ちにくい状態にあり、それを見るものに対して、特殊な構造の衣服であるという印象を与えることがない。それゆえ、本考案に係る衣服は、構造的な特徴と相まって、着用者に対する衣服本来の高い装飾効果を発揮することができる。
図面は、本開示に係る本考案の特定の実施の形態を示し、考案の不可欠な構成ばかりでなく、選択的及び好ましい実施の形態を含む。
衣服の一例であるTシャツの正面図。
Tシャツの背面図。
図2のIII−III線切断面を示す図。
図2のIV−IV線切断面を示す図。
前身頃の一部分を反転させたときのTシャツの正面図。
衣服の一例である着物の正面図。
着物の背面図。
帯部材が外してある着物の図6と同様な図。
帯部材が外してある着物の図7と同様な図。
図9のX−X線断面の模式的な図。
図8のXI−XI線断面の模式的な図。
(a)は帯部材の正面図、(b)は(a)におけるXII(b)−XII(b)線に沿う切断面を示す図。
図6とは異なる態様の着物の正面図。
添付の図面を参照して、本考案に係る衣服の詳細を説明すると、以下のとおりである。
図1,2は、本考案に係る衣服の一例であるTシャツ10の正面図と背面図である。Tシャツ10は、互いに直交する前後方向Aと、横方向Bと、上下方向Cとを有する。Tシャツ10はまた、前身頃11と、後見頃12と、横方向Bへ延びる左右一対の袖14L,14Rとを有し、図1,2においては、前後見頃11,12が前後方向Aにおいて互いに重なり合った状態にある。また、前身頃11と後見頃12との襟部11aと12aとによって、ネックホール15が形成されている。また、一体となった前身頃11と後見頃12とには、胴回り方向Pがある。前身頃11には、胸ボタン16が取り付けられていて、胸ボタン16を使用することによって前身頃11の一部分を開閉することができる。ただし、胸ボタン16は、単なる飾りボタンであってもよい。Tシャツ10では、図2に示されているように、襟部12aから右袖14Rの付け根の近くを通り、右袖14Rの下方に達した後にTシャツ10の右脇部17を下降して裾18にまで延びる分離部20が形成されている。分離部20には、後見頃12にあって襟部12aから脇部17にまで延びる第1分離部20aと、脇部17を下降して裾18にまで延びる第2分離部20bとが含まれている。
図3は、図2におけるIII−III線切断面を示す模式的な図であって、分離部20のうちの第1分離部20aの断面構造を示している。第1分離部20aでは、襟部12aを含む後見頃12が横方向Bにおいて二分された状態にあって、互いに重なり合う内面部21aと外面部21bとを有する。内面部21aと外面部21bとは、これら両者間に介在する第1連結部材25の作用によって分離と連結との反復が可能に形成されている。第1連結部材25には、例えば雌雄一対のフック、ボタン、メカニカルファスナ等があり、図示例では、内面部21aに雌型のボタン25aが取り付けられ、外面部21bに雄型のボタン25bを取り付けられている。図2では、その第1連結部材25が仮想線で示されている。
図4は、図2におけるIV−IV線切断面を示す模式的な図であって、分離部20のうちの第2分離部20bの断面構造を示している。第2分離部20bでは、後見頃12が内面部22aとなり、前身頃11が外面部22bとなるように重なりあっている。ただし、後見頃12には、横方向Bにおける折り返し部12bが形成されていて、その折り返し部12bが内面部22aとなって、外面部22bである前身頃11と互いに重なり合っている。内面部22aと外面部22bとは、これら両部22a,22bの間に介在する第2連結部材26の作用によって分離と連結との繰り返しが可能である。第2連結部材26の一例には、雌雄一対の部材で構成されるメカニカルファスナやフック、ボタン等がある。図示例では、内面部22aに対してメカニカルファスナの雌部材26aが使用され、外面部22bに対してはマジックテープ(登録商標)等の名称で知られるメカニカルファスナの雄部材26bが使用されている。第2分離部20bは直状に延びる部分であるから、メカニカルファスナには、上下方向Cにおいて適宜の長さを有するものを使用して、第2分離部20bにおける開閉操作を容易にすることができる。必要ならば、上下方向Cにおいて、一連の長尺物を使用したり、長さの短いものを一列に並べて使用したりすることができる。図4において仮想線で示す前身頃11とその一部分である外面部22bとは、第2連結部材26が開放されているときの状態を示している。
図5は、図1におけるTシャツ10について、後見頃12をベッド等の平面(図示せず)の上に置き、分離部20において第1,第2連結部材25,26を介して連結状態にあった内面部21a,22aのそれぞれと外面部21b,22bのそれぞれとをその第1,第2連結部材25,26において分離させ、後見頃12の内表面28と前見頃11の内表面27との大部分が露わとなるように、前身頃11の一部分を図示の折曲線Fに沿って反転させたときの状態を示している。図において、後見頃12では、分離部20のうちの第1分離部20aにおける雌型ボタン25aが仮想線で示されており、分離部20のうちの第2分離部20bを形成している後見頃12の折り返し部12bには、メカニカルファスナの雌部材26aが実線で示されている。前身頃11とともに横方向Bにおいて反転している後見頃12の一部分では、第1分離部20aにおける雄型ボタン25bが仮想線で示されている。また、前身頃11の内面27では、第2分離部20bにおけるメカニカルファスナの雄部材26bが実線で示されている。
図示の如くに前身頃11を反転させることのできるTシャツ10では、それを着用しようとする者が寝たままの状態にあるならば、介護者の手を借りて、例えば次のような手順で着用することができる。すなわち、Tシャツ10を図5の如くに広げて、仰向きになって寝ている者の左腕、右腕のそれぞれを袖14L,14Rのそれぞれに通す。次に、着用しようとする者は、右腕が下側となるようにして横臥の姿勢をとって、介護者はTシャツ10の後見頃12を背中にあてる。次いで、着用しようとする者が再び仰向けの姿勢をとる一方、介護者は背中に回した後見頃12を着用しようとする者の右脇のところにまで引き出して、第1分離部20aと第2分離部20bとを連結する。このようにすることで、Tシャツ10を着用することができる。
Tシャツ10はまた、寝たままの状態にある者が、次のようにすることでも着用することができる。すなわち、ベッド(図示せず)の上で図5の如くに広げた状態のTシャツ10では、それを着用しようとする者が、まず側臥の姿勢で左腕を左袖14Lに通す。次に、後見頃12に背中を当てながら仰向けの姿勢に変えて、図5における前身頃11の状態を図1の状態に戻しながら右腕を右袖14Rに通す。しかる後に、分離部20が閉じるように、第2分離部20bにおけるメカニカルファスナの雌雄の部材26a,26bを係合させる。続いて、着用者の左腕が下側となるように上半身を少しだけ転がして、分離部20の第1分離部20aにける雌雄のボタン25a,25bを閉じる。このようにすることによって、Tシャツ10の着用が完了する。
Tシャツ10は、前身頃11と後見頃12とが分離部20において開閉するというものであるが、分離部20のうちの第1分離部20aは、寝たままの状態にある着用者の背中側にあって着用者の前方、すなわち腹側からは見えることがない。また、分離部20のうちの第2分離部20bは、Tシャツ10の脇部、例えば図示例の如き右脇部17にあって、着用者の前方からは見えないか、目立ちにくいばかりでなく、その右脇部17では、前身頃11が外側となり、後見頃12が内側となるようにして重ね合わせてあることによって、Tシャツ10が側方から見られる場合であっても、Tシャツ10の優れた外観を損ねることがなく、その時の観者にTシャツ10に固有の好印象を与えることができる。
本考案に係る衣服の一例には、和服がある。図6,7は、その和服である着物110の正面図と背面図である。着物110は、女性用のものとして図示されているが、男性用のものであってもよい。その着物110は、互いに直交する前後方向Aと横方向Bと上下方向Cとを有することに加え、胴回り方向Pを有している。図6,7では、着用者1の頭部2と足部3とが仮想線で示されている。着物110はまた、左前身頃111Lと右前身頃111Rとを含む前身頃111、および後見頃112を有し、左前身頃111Lと後見頃112とには左袖114Lが取り付けられ、右前身頃111Rと後見頃112とには右袖114Rが取り付けられている。また、前身頃111には半襟111bを含む前襟部111aがあり、後見頃112には前襟部111aにつながる後襟部112aがある。左袖114Lでは、袂113Lが垂れ下がり、右袖114Rでは、袂113Rが垂れ下がっている。左前身頃111Lでは、左袖114Lの付け根の下方に身八ツ口132Lが形成され、右前身頃111Rでは、右袖114Rの付け根の下方に身八ツ口132Rが形成されている。図6において、前身頃111には、帯揚げ131aと帯締め131bとを含む帯状部材131が取り付けられている。一方、図7においては、帯状部材131の両端部131eのみが見えている。このように、帯状部材131は、胴回り方向Pへ延びるものであるが、前身頃111では、前身頃111を横断して横方向Bへ延び、後見頃112では、後見頃112を横断することなく、後見頃112の両側部分に帯状部材131の端部131eのみが存在している。後見頃112に見えている端部131eの横方向B、換言すると胴回り方向Pの寸法は、図示例に限らず、短くすることができる。
図8,9は、帯状部材131が外してあるときの着物110の正面図と背面図である。図8では、前身頃111において、帯状部材131で隠されていた襟部111aの一部が見えている。図9では、後見頃112の両側部分に、帯状部材131の両端部131eのそれぞれを固定するための、本発明においての固定用第1部材の一例である雌型ボタン132aの複数個が上下方向Cに延びる列を作るように並んでいる。雌型ボタン132aの列は、帯状部材131における後記雄型ボタン132bが着脱するもので、帯部材121の横方向Bの寸法に対応するように適宜その位置を変更することができる。図9ではまた、着物110を着用するときに使用する分離部120が見えている。すなわち、図9の後見頃112において、後襟部112aから袖114Rの付け根の部分にまで、換言すると、後襟部112aから身八ツ口132Rの頂部にまで延びる第1分離部120aが分離部120の一部分として示されている。分離部120はまた、身八ツ口132Rの下方に位置する着物110の右脇部117Rを通って着物110の裾118にまで延びる第2分離部120bを含んでいる。その第2分離部120bは、身八ツ口132Rを介して第1分離部120aにつながっている。
図10は、図9におけるX−X線矢視図であって、分離部120のうちの第1分離部120aの内部構造を示している。ただし、図10では、着物110に使用されている様々な布地の図示は省略されている。また、着用者1の図示も省略されている。第1分離部120aは、後見頃112の一部分を二分割するように分離させている部分であって、着用者1の肌側に位置する第1内面部121aと、第1内面部121aに着物110の外側から重なる第1外面部121bとを有する。第1内面部121aと第1外面部121bとは、これら両者間に介在する第1連結部材125の作用によって、分離と連結との繰り返しが可能に形成されている。図示例では、第1内面部121aに雌型のボタン125aが取り付けられ、第1外面部121bには雄型のボタン125bが取り付けられている。
図11は、図8におけるXI−XI線矢視図であって、分離部120のうちの第2分離部120bの内部構造を示している。第2分離部120bでは、後見頃112が内面部122aとなり、前身頃111のうちの右前身頃111Rが外面部122bとなるように重なり合っている。ただし、後見頃112には、横方向Bにおける折り返し部112bが形成されていて、その折り返し部112bが内面部122aとなって、外面部122bである右前身頃111Rと重なり合い、第2分離部120bを形成している。内面部122aと外面部122bとは、これらの間に介在する第2連結部材126の作用によって、分離と連結との繰返しが可能である。図示例では、その第2連結部材126として、内面部122aに対してはマジックテープ(登録商標)等の名称で知られているメカニカルファスナの雌部材126aが使用され、外面部122bに対しては、そのメカニカルファスナの雄部材126bが使用されている。第2分離部120bは上下方向Cへ直状に延びる部分であるから、メカニカルファスナには上下方向Cにおいて適宜の長さを有する雌雄一対または複数対のものを使用することが好ましい。
このように形成されている着物110は、左前身頃111Lと右前身頃111Rとが分離することがないように一体化されているものであるが、前身頃111のうちの例えば右前身頃111Rと後見頃112とが分離部120において分離と連結との繰り返しが可能なものであって、その構造と着脱の仕方は通常の着物と全く異なるものであるから、着物110は着物様、または着物風の衣服と呼ぶことができるものでもある。そのような着物110の構造は、基本的には図1に例示のTシャツ10と同じであるから、着物110を着用しようとする者が寝たままの状態にあっても、Tシャツ10の場合と同様な手順で、容易に着脱することができる。それのみならず、着用状態にあるときの着物110は、正面視においても側面視においてもその構造が外観上に現れることがなく、和服である着物に固有の外観を備え、着物110と着物110の着用者1とは、観者に対して着物110に固有の美的な印象を与えることが可能になる。
図12の(a),(b)は、帯状部材131の平面図と、その平面図のXII(b)−XII(b)線切断面を示す図である。帯状部材131は、平面視がほぼ矩形のもので、帯揚げ131aや帯締め131b等の装飾部材が適宜取り付けられる。図12(b)に示されているように、帯状部材131は、表地131cと裏地131dとの間に剛性があって弾性変形可能な芯材140を有する。芯材140は、前後方向Aの前方に向かって凸となるように弧を画いている。芯材140に倣って弧を画いている帯状部材131は、裏地131dの側に、横方向Bにおいて対向するように突出している複数の雄ボタン132bを含んでいる。雄ボタン132bは本発明における固定用第2部材である。かような帯状部材131は、芯材140として弾性変形可能で剛性のある、例えば厚さが0.5〜2mmのプラスチック板材で作られることによって、矢印Y(図12(b)参照)で示す方向へ、すなわち横方向Bにおける寸法が大きくなるように、換言すると弧が大きくなるように弾性変形可能な状態にある。一方、着物110の後見頃112には、帯状部材131における雄ボタン132bが着脱可能に係合する固定用第1部材としての雌ボタン132a(図9参照)が取り付けられている。着物110が着用状態にあるときに、帯状部材131を図12(b)に例示の如く弾性変形させながらその着物110の所要部位にあてがったなら、次には弧が小さくなるような弾性的な復元力を作用させて、雌雄のボタン132aと132bとを嵌合させる。こうすることによって、帯状部材131を図6に例示の如き態様で着用することができる。そのように着用した帯状部材131は、弾性的な復元力によって着物110に密着しようとするときに、着物110をあたかもしっかりと締め付けているような印象を観者に与えることができる。このときの帯状部材131は、胴回り方向Pにおいて閉じた状態にある分離部120をまたいで着物110に取り付けられた状態にあることによって、着用者が身体を動かしたりすることによって、分離部120が意図しないにもかかわらず開いた状態になるというトラブルを未然に防ぐことができる。雌雄のボタン132a,132bにおいて、図9に雌ボタン132aで例示したように上下方向Cに並ぶ複数のボタンは、そのうちの一つだけをその他のボタンとはサイズの違うものにしておくと、その他のボタンは着物110に対する帯状部材131の位置決め手段となる。雌雄のボタン132a、32bがそのように構成されていると、着物110に対して、帯状部材131が上にずれたり、下にずれたりするような誤った取り付け状態になることを防ぐことができる。また、帯状部材131において上下方向Cに並ぶ雄ボタン132bの列は、その列のサイズに応じて適宜の列を選ぶことが可能になり、帯状部材131を着用者1の胴回りにフィットさせることが容易になる。
図13は、本考案に係る衣服の一つである着物210の正面図である。着物210は、図6の着物110と同じ構造を有するものであるが、帯状部材131を着用しておらず、袴250を着用した状態にあることにおいてのみ着物110と異なっている。その袴250は、着物210の前身頃211と後見頃212とに縫い付けられて着物210と一体化しており、着物210からは取り外すことができない。このような着物210には、図6の着物110の分離部120と同じ態様の分離部220が形成されている。そのような分離部220には、第1分離部220aと第2分離部220bとがある。第1分離部220aは、後見頃212に形成され、第2分離部220bは、着物210の右脇部217Rに形成されている。第2分離部220bは、袴250にも形成されている。かような袴250は、第2分離部220bに並行する態様で右前身頃211Rと後見頃212とのそれぞれに縫合されている。このように形成されている着物210は、分離部220において前身頃211と後見頃212との間に介在する連結部材(図示せず)の連結を解くことによって、袴250と一体の前身頃211を図5に例示のTシャツ10と同様に、展開することができる。それゆえ、着物210は、着物110やTシャツ10と同様に、着用しようとする者が寝たままの状態にあっても容易に着脱することができて、着用したときには、着物210による着飾った様子を十分に楽しんだり、観者に対して着物210に固有の美的な印象を与えたりすることができる。袴250は、着物210に対して取り外し不能な状態で縫合されているのみならず、右側方には分離部220が形成されているものであるから、実用性のあるものではなく、袴に似せた装飾部材と呼ぶことのできるものである。
このように衣服の後見頃と脇部とに分離部を有する本考案の衣服は、図示例の衣服に限らず、襟部と一対の袖とを有する衣服において広く実施することができる。そのような衣服には、図示例の他に、詰襟を有する学生服や、セーラー服型の学生服、ワイシャツやネクタイと一体のスーツ等の衣服も含まれる。
1 衣服の着用者
10 衣服(Tシャツ)
11 前身頃
11a 襟部
12 後身頃
12a 襟部
12b 折り返し部
13 ネックホール
14,14L,14R 袖
17 脇部
20,20a,20b 分離部
25,25a,25b 連結部材
26,26a,26b 連結部材
110 衣服(着物)
111 前身頃
111L 左前身頃
111R 右前身頃
112 後見頃
112a 襟部
112b 折り返し部
114L,114R 袖
117R 脇部
118 裾
120,120a,120b 分離部
121a 内面部
121b 外面部
122a 内面部
121b 外面部
126 連結部材
131 帯状部材
132a 雌ボタン(固定用第1部材)
132b 雄ボタン(固定用第2部材)
140 芯材
210 着物
211,211L,211R 前身頃
212 後見頃
220,220a,220b 分離部
250 袴(装飾部材)
A 前後方向
B 横方向
C 上下方向
P 胴回り方向
10 衣服(Tシャツ)
11 前身頃
11a 襟部
12 後身頃
12a 襟部
12b 折り返し部
13 ネックホール
14,14L,14R 袖
17 脇部
20,20a,20b 分離部
25,25a,25b 連結部材
26,26a,26b 連結部材
110 衣服(着物)
111 前身頃
111L 左前身頃
111R 右前身頃
112 後見頃
112a 襟部
112b 折り返し部
114L,114R 袖
117R 脇部
118 裾
120,120a,120b 分離部
121a 内面部
121b 外面部
122a 内面部
121b 外面部
126 連結部材
131 帯状部材
132a 雌ボタン(固定用第1部材)
132b 雄ボタン(固定用第2部材)
140 芯材
210 着物
211,211L,211R 前身頃
212 後見頃
220,220a,220b 分離部
250 袴(装飾部材)
A 前後方向
B 横方向
C 上下方向
P 胴回り方向
Claims (7)
- 互いに直交する前後方向と横方向と上下方向とを有し、前身頃と後見頃と一対の袖とが形成され、前記前見頃と前記後見頃とが襟部を有する衣服であって、
前記衣服は、前記横方向の一側において前記衣服を縦断して延びる分離部において前記前身頃と前記後見頃とが連結部材を介して重なり合うことによって分離と連結との反復が可能な状態にあり、
前記分離部は、前記後見頃における前記襟部に始まって、前記袖の付け根よりも後方における前記後見頃を通り、しかる後に前記袖の付け根の下方に位置する前記衣服の脇部を下降して前記衣服の裾にまで達しており、
前記分離部では、前記後見頃が内側となり、前記前身頃が外側となるように前記前後見頃が前記連結部材を介して重なり合っていることを特徴とする前記衣服。 - 前記衣服がTシャツを含む両袖付きのシャツであって、前記分離部は、前記シャツのネックホールを形成している前記襟部のうちの前記後見頃に位置する部分に始まって、前記両袖のうちの一方の付け根よりも後方において前記後見頃を下降し、前記付け根よりも下方では前記脇部を通って下降して、前記Tシャツにおける前記裾にまで達している請求項1記載の衣服。
- 前記Tシャツの前記前身頃には、複数のボタンが前記上下方向に間隔を空けて並んでいる請求項2記載の衣服。
- 前記衣服が着物であって、前記前身頃は左前身頃と右前身頃とがいずれか一方を内側にし、もう一方を外側にして分離不能に重ね合わせられた状態で一体化しており、前記袖には袂が形成されており、前記分離部が前記後見頃の襟に始まり、前記袂が形成された前記袖の後方を通って前記着物の見八ツ口にまで延びたのち、前記見八ツ口の下端部から下降して前記着物の裾にまで達しており、前記前身頃と前記後見頃とが前記連結部材を介して連結されている請求項1記載の衣服。
- 前記着物が帯状部材を着用可能に形成されており、前記帯状部材は、着用されて前方に向かって膨らんだ状態にある前記前身頃の所要部位に前記前身頃の前方から嵌合して前記所要部位を覆うことのできるほぼU字形の弧を画いて前記横方向に延びるものであって、前記U字形の両端部それぞれに位置する固定用第2部材を有し、前記固定用第2部材は、前記着物の前記横方向の両側それぞれに位置している固定用第1部材に着脱可能に係合する請求項4記載の着物。
- 着用状態にある前記着物は、前記着物の胴回り方向において前記帯状部材が前記分離部と交差した状態にあって、前記固定用第2部材が前記第1固定用部材に着脱可能に係合している請求項5記載の着物。
- 前記着物は前記前身頃と前記後見頃とを部分的に覆う袴に似せた装飾部材が取り外し不能な状態で取り付けられていて、前記装飾部材にも前記分離部が形成されている請求項4記載の着物。
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JP2021002211U JP3233572U (ja) | 2021-06-08 | 2021-06-08 | 衣服 |
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JP2021002211U JP3233572U (ja) | 2021-06-08 | 2021-06-08 | 衣服 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP3233572U true JP3233572U (ja) | 2021-08-19 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021002211U Active JP3233572U (ja) | 2021-06-08 | 2021-06-08 | 衣服 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP3233572U (ja) |
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2021
- 2021-06-08 JP JP2021002211U patent/JP3233572U/ja active Active
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