JP3232811U - 機能性編地 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡素な構成で、快適性と共に効率的な滑り止め効果を発揮する、靴下等の衣類製品に利用可能な機能性編地を提供する。【解決手段】芯糸にシリコーンを付着してなるシリコーン付着糸3から編成される機能性編地10であって、シリコーン付着糸からなるニット及びニットミスの2種類の編目1、2を、コース方向及びウェール方向の各々に沿って所定間隔で繰り返してなる浮き編みから編成される。【選択図】図2
Description
本考案は、各種の衣類製品に利用可能な機能性編地に関し、特に、優れた滑り止め機能と快適性を両立する機能性編地に関する。
近年、機能性の高い衣類製品について消費者の関心が高まっている。
衣類製品のうち、例えば、靴下でいえば、着用者に心地良い歩行動作をサポートする機能や、着用者の歩行時に靴下と足の間でズレが生じやすい足裏における滑り止め機能が挙げられる。例えば、靴下に滑り止め機能を実現するために、塩化ビニール樹脂やシリコーン樹脂を、生地に全面塗布(ベタ塗り)された靴下や、生地にドット状に張り付けた靴下が市販されている。
しかし、このような樹脂は気密性が高いことから、樹脂の塗布により、かえって生地の通気性を低下させてしまい、生地に蒸れが生じ、着用者の皮膚障害の一因ともなっていた。そのため、さらに快適性と機能性を両立した衣類製品の実現に向けて、これまで様々な研究がなされている。
例えば、従来の機能性編地としては、表糸を割繊糸としたパイル編み構造に、弾性糸を鹿の子調に挿入した構造であり、滑り止めを行う対象物に対し起毛したループを備えない面を接触させて、滑りを抑制しようとするものがある(特許文献1参照)。
しかし、従来の機能性編地は、上記特許文献1のように、割繊糸のような特殊な糸を用いると共に、弾性糸のような特殊な糸を挿入するというような、複雑な構造で編成される煩雑なものとなっており、製造工程が複雑化し、それに伴い製造コストも増大してしまうという課題がある。また、弾性糸のような特殊な糸を別途挿入することから、挿入された糸を編地で保持することも要求され、編地自体の耐久性が不安定化するという課題もある。
本考案は、前記課題を解消するためになされたものであり、簡素な構成で、快適性と共に効率的な滑り止め効果を発揮する、靴下等の衣類製品に利用可能な機能性編地を提供することを目的とする。
本考案に係る機能性編地は、芯糸にシリコーンを付着してなるシリコーン付着糸から編成される機能性編地であって、前記シリコーン付着糸を編地の表側及び/又は裏側に凹凸形状を形成する編目を含む編地で構成されるものである。
このように、芯糸にシリコーンを付着してなるシリコーン付着糸から編成される機能性編地であって、前記シリコーン付着糸を編地の表側及び/又は裏側に凹凸形状を形成する編目を含む編地で構成されることから、編地の表側及び/又は裏側の表面で繰り返し形成される凹凸形状が着用者と接触する接触面となり、当該凹凸形状による生地表面の表面積の増大とシリコーンによる優れた摩擦特性の向上が重畳的に作用することにより、着用者が接触する編地表面における摩擦係数(さらに着用者と接触頻度の高い生地表面の凹凸形状のうちの凸形状となっている生地の摩擦係数も)が高められることとなり、簡素な構成で、着用者の諸動作に対する滑り止め機能を発揮することができると共に、芯糸にシリコーンを付着してなるシリコーン付着糸が編み込まれて編地が形成されることにより、編地表面の編目に形成される隙間から通気性及び透湿性が確保されることとなり、着用者の皮膚からの汗や湿気の逃げ道が確保され、蒸れることなく、編地と接触する着用者の皮膚に対する高い快適性も得られる。
本考案に係る機能性編地は、必要に応じて、前記凹凸形状を形成する編目が、ゴム編み、パール編み、タック編み、及び浮き編みの少なくともいずれかから構成されるものである。このように、前記凹凸形状を形成する編目が、ゴム編み、パール編み、タック編み、及び浮き編みの少なくともいずれかから構成されることから、簡便な編みの編地で編成されることとなり、簡素な構成で、製造コストも抑制することができる
本考案に係る機能性編地は、必要に応じて、前記編目を含む編地が、平編みを含む、ものである。このように、前記編目を含む編地が、平編みを含むことから、着用者が編地のうちの平編み部分に接触した際に穏やかな感触が得られることとなり、ストレスの少ない快適な着用感が得られる。
本考案に係る機能性編地は、必要に応じて、前記凹凸形状を形成する編目が、前記シリコーン付着糸からなるニット及びニットミスの2種類の編目をコース方向及びウェール方向の各々に沿って所定間隔で繰り返してなる浮き編みから編成されるものである。
このように、本考案に係る機能性編地は、前記凹凸形状を形成する編目が、前記シリコーン付着糸からなるニット及びニットミスの2種類の編目を、コース方向及びウェール方向の各々に沿って所定間隔で繰り返してなる浮き編みから編成されることから、ニット及びニットミスの2種類の編目が組み合わさることで、編地表面で大きな編目ループからなる凹凸形状が繰り返し形成され、当該凹凸形状により着用者と接触する編地の接触面の表面積の増大とシリコーンによる優れた摩擦特性の向上が重畳的に作用することにより、編地表面における摩擦係数が高められることとなり、簡素な構成で、着用者の諸動作に対する滑り止め機能を発揮することができると共に、編地表面で編目ループのループ穴が形成されることから、通気性及び透湿性が確保されることとなり、着用者の皮膚からの汗や湿気の逃げ道が確保され、蒸れることなく、編地と接触する着用者の皮膚に対する高い快適性も得られる。
本考案に係る機能性編地は、必要に応じて、前記浮き編みを構成する一のニットミスの編目領域と、当該一のニットミスの編目領域に隣接する他のニットミスの編目領域とが、互いに離隔しているものである。このように、本考案に係る機能性編地は、前記浮き編みを構成する一のニットミスの編目領域と、当該一のニットミスの編目領域に隣接する他のニットミスの編目領域とが、互いに離隔していることから、ニット及びニットミスの2種類の編目による凹凸形状が編地上に満遍なく展開されることとなり、編地が着用者と接触する接触面において、簡素な構成で、着用者の諸動作に対して、着用者と編地との接触面で、滑り止め機能を発揮することができる。
本考案に係る機能性編地は、必要に応じて、前記一及び他のニットミスの編目領域の各々が、連続する複数のニットミスの編目からなり、前記一及び他のニットミスの編目領域の間に、前記ニットの編目が編成されるものである。このように、本考案に係る機能性編地は、前記一及び他のニットミスの編目領域の各々が、連続する複数のニットミスの編目からなり、前記一及び他のニットミスの編目領域の間に、前記ニットの編目が編成されることから、ニット及びニットミスの2種類の編目が規則的に整列化されて組み合わさることから、編地表面で大きな編目ループからなる凹凸形状が繰り返し均一に形成されることとなり、当該凹凸形状による表面積が増大し、簡素な構成で、着用者の諸動作に対する滑り止め機能を発揮することができる。
本考案に係る機能性編地は、必要に応じて、前記一及び他のニットミスの編目領域の各々が、連続する複数のニットミスの編目からなり、前記一及び他のニットミスの編目領域とが、前記ニットの編目を介して編成されるものである。このように、本考案に係る機能性編地は、前記一及び他のニットミスの編目領域の各々が、連続する複数のニットミスの編目からなり、前記一及び他のニットミスの編目領域とが、前記ニットの編目を介して編成されることから、ニット及びニットミスの2種類の編目が規則的に整列化されて組み合わさることから、編地表面で大きな編目ループからなる凹凸形状がより多い配合率で繰り返し均一に形成されることとなり、当該凹凸形状による表面積が増大し、簡素な構成で、着用者の諸動作に対する滑り止め機能を発揮することができる。
本考案に係る機能性編地は、必要に応じて、前記芯糸が、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、レーヨン繊維、及びアセテート繊維からなる群の少なくとも1つから選択された繊維から構成されるものである。このように、本考案に係る機能性編地は、前記芯糸が、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、レーヨン繊維、及びアセテート繊維からなる群の少なくとも1つから選択された繊維から構成されることから、シリコーンとの親和性が高い繊維とシリコーンとからシリコーン付着糸が形成されることとなり、よりシリコーンによる優れた摩擦特性の向上が効率的に作用し、編地表面における摩擦係数が高められることとなり、簡素な構成で、着用者の諸動作に対する滑り止め機能を発揮することができる。
本考案に係る機能性靴下は、前記機能性編地が、足裏側に編成されるものである。このように、本考案に係る機能性靴下は、前記機能性編地が、足裏側に編成されることから、着用者の動作時に生じる、足裏と編地とのズレや滑りやすさが、着用者の足裏に直接接触する前記機能性編地に形成された凹凸形状およびシリコーンの優れた摩擦特性の重畳的作用により抑制されることとなり、動作時の滑り止め防止やズレ防止の機能を発揮することができる。
(第1の実施形態)
本考案に係る機能性編地10は、図1に示すように、芯糸31にシリコーン32を付着してなるシリコーン付着糸3から編成される。本考案に係る機能性編地10は、このシリコーン付着糸3を編地の表側及び/又は裏側に凹凸形状を形成する編目を含む編地で構成されるものである。
シリコーン32とは、シロキサン結合による主骨格を有し、オルガノシロキサンまたはポリシロキサンとも呼ばれる合成高分子化合物であるシリコーンポリマーである。このようなポリシロキサンとしては、ポリアルキルメチルシロキサン、メチルヒドロゲンポリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、メチルポリシロキサン、ビニルメチルポリシロキサン、フルオロビニルメチルポリシロキサン、フェニルビニルメチルポリシロキサンなどが挙げられ、例えば、ポリアルキルメチルシロキサンを用いることができる。
この芯糸31とは、合成繊維でも天然繊維でも、その素材は特に限定されないが、例えば、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、レーヨン繊維、及びアセテート繊維からなる群の少なくとも1つから選択された繊維から構成することができ、取り扱いの容易さから、ナイロン繊維を用いることが好適である。
本実施形態に係る機能性編地10は、この芯糸31が、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、レーヨン繊維、及びアセテート繊維からなる群の少なくとも1つから選択された繊維から構成されることで、シリコーン32との親和性が高い繊維とシリコーンとからシリコーン付着糸3が形成されることとなり、よりシリコーンによる優れた摩擦特性の向上が効率的に作用し、編地表面における摩擦係数が高められることとなり、簡素な構成で、着用者の諸動作に対する滑り止め機能を効果的に発揮することができる。
このシリコーン付着糸3は、上記のような芯糸31の繊維表面を、シリコーンポリマーであるシリコーン32でコーティングしたものである。シリコーン32のコーティング方法としては、公知の手法を適用することができ、例えば、吹付け、混合、浸漬またはパッディングなどの各種の手法を用いて、芯糸31の繊維上に形成可能である。
例えば、図1(a)に示すように、芯糸31の繊維表面に対して、シリコーン32を吹付けてコーティングすることができ、また、図1(b)に示すように、芯糸31の繊維表面に対して、シリコーン32を浸漬等で塗布して表面全体にわたってコーティングすることも可能である。
シリコーン32は、上記のような芯糸31の繊維表面と親和性が高いことから、高い結合性で芯糸31に付着することで、得られたシリコーン付着糸3の摩擦特性を向上させることができる。
このシリコーン付着糸3から編成される編目としては、凹凸形状を形成する編目であれば特に限定されないが、より好適には、ゴム編み、パール編み、タック編み、及び浮き編みの少なくともいずれかから構成することができる。
この凹凸形状とは、通常の平編みによる平坦な生地面を基準として定義することができる。すなわち、この凹凸形状とは、この平坦な生地面よりも上方向に突出(隆起)した部分を凸形状と定義することができ、この平坦な生地面よりも下方向に窪んだ部分を凹形状と定義することができる。
ゴム編みとは、別名でリブ編み、畦編み、又はリブ・ニットとも呼ばれ、表目の列と裏目の列を互い違いにして縦方向(ウェール方向)に配列した編みであり、表裏の区別がなく、表目のみのような外観を呈すると共に、横方向(コース方向)の伸縮性に富む性質がある。
パール編みとは、別名でガーター編みとも呼ばれ、表目と裏目が横方向(コース方向)に互い違いにして配列された編みであり、表裏の区別がなく、裏目のみのような外観を呈すると共に、縦方向(ウェール方向)の伸縮性に富む性質がある。
タック編みとは、別名で引き上げ編みとも呼ばれ、編地の編成時に、一時ある編目を作らないで(編目を脱出させず)、次のコースを編むときに一緒に編目を形成する(複数ループを脱出させる)もので、編針から編目を脱出させないで針のフック又は針幹の前の編目と共に保持し、次の給糸により編目を形成するときに同時に2つの編目をくぐって編糸を引き出して新しい編目を作った組織であり、孔のあるような形状が得られ、これにより通気性を有すると共に、編地を隆起させたり、編地を厚くしたりすることができる。
浮き編みとは、別名でフロート編み、ウェルト編、沈み編とも呼ばれ、編地の編成中に、特定の針を不作動位置に配置し、その針には編み糸を供給しないで(ある部分で糸を針にかけずに)前の編目を保持するだけにして、この部分の編糸を編地の裏に真直に浮かせた組織である。これにより通気性を有すると共に、編地を隆起させることができる。
このように、この凹凸形状を形成する編目が、ゴム編み、パール編み、タック編み、及び浮き編みの少なくともいずれかから構成されることから、簡便な編みの編地で編成されることとなり、簡素な構成で、製造コストも抑制することができる。
この凹凸形状を形成する編目は、上記のように様々な編目を所望の目的応じて用いることができるが、このうち浮き編みを用いることが好適であり、さらに、この浮き編みが、図2に示すように、このシリコーン付着糸3からなるニットの編目1及びニットミスの編目2の2種類の編目をコース方向X及びウェール方向Yの各々に沿って所定間隔で繰り返して編成されることが好適である。
このニットの編目1とは、同じ編み目がコース方向X(横方向)に連続する編み目であり、これにより起伏のない平坦な編み組織が形成される。
ニットミスの編目2とは、編成時にウェール方向Y(縦方向)に対向する針床に目移しし、この空針をミスすることでウェール方向Yに縦方向に長いループを形成して編成される編目であり、上述のニットの編目1のように平坦な形状とは異なり、凹凸形状の編み組織が形成される。
本実施形態に係る機能性編地10は、上述のニットの編目1およびニットミスの編目2によって、凹凸形状の浮き編みが編成され、コース方向X及びウェール方向Yの各々に沿って、この凹凸形状が所定間隔で繰り返して形成される。
凹凸形状の所定間隔での繰り返しとは、その繰り返しパターンが限定されるものではなく、ニットの編目1およびニットミスの編目2が、均一に(例えば交互に)繰り返すものであってもよいし、不均一に(例えばランダムに)繰り返すものであってもよい。また、この均一に繰り返す編み目と、不均一に繰り返す編み目とが編地のなかで混在してもよい。すなわち、凹凸形状の所定間隔での繰り返しとは、この凹凸形状が均一及び/又は不均一(規則的及び/又は不規則的)の繰り返し構造で編成されることを意味する。
不均一(不規則的)な繰り返しとは、例えば、図2(a)に示すように、ある箇所では、ニットの編目1が連続し、また別のある個所では、ニットミスの編目2が連続するように、ニットの編目1およびニットミスの編目2が、互いにランダムな繰り返しパターンで編成されるものが挙げられる。図2(b)では、この図2(a)に示した繰り返しパターンを領域Aで表し、本実施形態に係る機能性編地10が、編地全体にわたってランダムな繰り返しパターンにより編成されることを示す。
このように、ニットの編目1及びニットミスの編目2の2種類の編目が組み合わさることで、編地表面で大きな編目ループからなる凹凸形状が繰り返し形成され、編地が着用者と接触する接触面において、この凹凸形状による表面積の増大とシリコーンによる摩擦特性の向上が重畳的に作用することにより、編地表面における摩擦係数が高められることとなり、簡素な構成で、着用者の諸動作に対する滑り止め機能を発揮することができる。また、このように編地表面で編目ループのループ穴が形成されることから、通気性及び透湿性が確保されることとなり、着用者の皮膚からの汗や湿気の逃げ道が確保され、編地と接触する着用者の皮膚に対する高い快適性も得られる。
他方、均一(規則的)な繰り返しとは、その規則的な繰り返しパターンは特に限定されないが、例えば、図3に示すように、この浮き編みを構成する一のニットミスの編目領域21と、この一のニットミスの編目領域21に隣接する他のニットミスの編目領域22とが、互いに離隔しているものが挙げられる。
この図3(a)に示すように、ニットの編目1およびニットミスの編目2が、コース方向X(横方向)及びウェール方向Y(縦方向)に対して斜め方向に隣接又は隔離されて編成された均一(規則的)に出現する繰り返しパターンで編成されるものが挙げられる。図3(b)では、この図3(a)に示した均一(規則的)な繰り返しパターンを領域Aで表し、本実施形態に係る機能性編地10が、編地全体にわたってこの均一(規則的)な繰り返しパターンにより編成されることを示す。
このように、本実施形態に係る機能性編地10は、この浮き編みを構成する一のニットミスの編目領域21と、この一のニットミスの編目領域21に隣接する他のニットミスの編目領域22とが、互いに離隔していることから、ニットの編目1及びニットミスの編目2の2種類の異なる凹凸形状を有する編目が編地上に満遍なく展開されることとなり、編地が着用者と接触する接触面において、簡素な構成で、着用者の諸動作に対して、着用者と編地との接触面で、滑り止め機能を発揮することができる。
このように、本実施形態に係る機能性編地10は、芯糸31にシリコーン32を付着してなるシリコーン付着糸3から編成され、このシリコーン付着糸3を編地の表側及び/又は裏側に凹凸形状を形成する編目を含む編地で構成されることから、編地の表側及び/又は裏側の表面で繰り返し形成される凹凸形状が着用者と接触する接触面となり、この接触面での表面積の増大とシリコーンによる摩擦特性の向上が重畳的に作用することにより、編地表面における摩擦係数が高められることとなり、簡素な構成で、着用者の諸動作に対する滑り止め機能を発揮することができると共に、芯糸31にシリコーン32を付着してなるシリコーン付着糸3が編み込まれて編地が形成されることにより、編地表面の編目に形成される隙間から通気性及び透湿性が確保されることとなり、着用者の皮膚からの汗や湿気の逃げ道が確保され、蒸れることなく、編地と接触する着用者の皮膚に対する高い快適性も得られる。
本実施形態に係る機能性編地10の用途は、多岐にわたり、様々な衣類製品に利用することができ、例えば、靴下、セーター、サポーター、手袋、下着類等に利用することができる。例えば、この機能性編地10を用いた靴下としては、例えば、図4に示すように、この機能性編地10が着用者の足裏側に編成された機能性靴下40として編成することができる。
この着用者の足裏側とは、この機能性靴下40が、地面や靴底に接触する側(靴下の外側:靴下の表糸側)ではなく、着用者の足裏に直接接触する側(靴下の内側:靴下の裏糸側)であることを意味する。
この機能性靴下40は、この機能性編地10が、着用者の足裏側に編成されることから、着用者の動作時に生じる、着用者の足裏と靴下の編地とのズレや滑りやすさが、着用者の足裏に直接接触する機能性編地10に形成された凹凸形状および機能性編地10に含まれるシリコーン32の重畳的作用により抑制されることとなり、着用者の動作時の滑り止め防止やズレ防止の機能を発揮することができる。また、この機能性編地10の表面でニットミスの編目2により編目ループのループ穴が形成されることから、通気性及び透湿性が確保されることとなり、生地の通気性が高められて蒸れにくくなり、着用者の皮膚からの汗や湿気の逃げ道が確保され、機能性靴下40の編地と接触する着用者の皮膚に対する高い快適性も得られる。この点で、この機能性靴下40は、単に樹脂を前面塗布(ベタ塗り)した糸を使った従来の靴下では実現し得なかった、優れた滑り止め機能と、生地の通気性による快適性を両立したものである。
なお、上記では、この機能性靴下40は、この機能性編地10が足裏側に編成されることとしたが、この構成に限定されず、この他にも、この機能性編地10が地面や靴底に接触する側(靴下の外側)に編成される構成とすることも可能であり、この機能性靴下40と靴下外側(地面や靴底に接触する側)との摩擦を低減することができ、動作時の滑り止め防止やズレ防止の機能を発揮することができる。
なお、この機能性編地10から構成される衣類製品では、この一のニットミスの編目領域21と一のニットミスの編目領域21で構成される凹凸形状を有する浮き編みを、表糸として編成することもでき、裏糸として編成することもでき、さらに、表糸及び裏糸の両方で編成することもでき、目的に応じて、自在に滑り面を調整することが可能となる。
また、この機能性編地10から構成される衣類製品では、この凹凸形状を有する浮き編みを、部分的に切り替えることも可能である。例えば、上述した機能性靴下40において、かかと部分のみをこの凹凸形状を有する浮き編みから構成することも可能であり、この場合には、動作時のズレが局所的に大きいかかと部分の滑り易さを集中的に効果的に抑制できる。また、機能性靴下40において、口ゴム部分のみをこの凹凸形状を有する浮き編みから構成することも可能であり、この場合には、着用者の足との固定に重要となる口ゴム部分を滑り難くすることで着用感を向上させることができる。つまり、この機能性編地10から構成される衣類製品は、自在に浮き編みの凹凸形状の出現箇所を調整して編成することができ、これにより、目的に応じて滑り面及び滑り止め面を調整できると共に、浮き編みの凹凸形状が無い箇所(平坦な箇所)では滑りやすい編地によりストレス不要の快適性を確保することが可能となる。
また、本実施形態に係る機能性編地10は、編地に平編みを含むこともできる。
平編みとは、別名でメリヤス編、天竺編、ジャージーとも呼ばれ、最も簡単な組織であり、1列の針で編目をすべて同方向に引出して編まれることで、編目が連続して並び、表と裏の区別があるものである。
このように、前記編目を含む編地が、平編みを含むことから、着用者が編地のうちの平編み部分に接触した際には穏やかな感触が得られることとなり、ストレスの少ない快適な着用感が得られる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る機能性編地10は、第1の実施形態と同様に、前記シリコーン付着糸3からなるニットの編目1及びニットミスの編目2の2種類の編目を、コース方向X及びウェール方向Yの各々に沿って所定間隔で繰り返してなる浮き編みを備え、さらに、図6に示すように、前記一のニットミス及び他のニットミスの編目領域22の各々が、連続する複数のニットミスの編目2からなり、前記一のニットミスの編目領域21及び他のニットミスの編目領域22の間に、前記ニットの編目1が編成されるものである。
第2の実施形態に係る機能性編地10は、第1の実施形態と同様に、前記シリコーン付着糸3からなるニットの編目1及びニットミスの編目2の2種類の編目を、コース方向X及びウェール方向Yの各々に沿って所定間隔で繰り返してなる浮き編みを備え、さらに、図6に示すように、前記一のニットミス及び他のニットミスの編目領域22の各々が、連続する複数のニットミスの編目2からなり、前記一のニットミスの編目領域21及び他のニットミスの編目領域22の間に、前記ニットの編目1が編成されるものである。
本機能性編地10は、図5(a)に示すように、この一のニットミスの編目領域21及び他のニットミスの編目領域22の各々が、ウェール方向Y(縦方向)に連続する複数のニットミスの編目2から形成され、これら連続する複数のニットミスの編目2であり隣接しあうこの一のニットミスの編目領域21及び他のニットミスの編目領域22の間に、このニットの編目1が編成されるものである。すなわち、これら連続する複数のニットミスの編目2からなり隣接しあう一のニットミスの編目領域21及び他のニットミスの編目領域22は、互いにコース方向X(横方向)及びウェール方向Y(縦方向)に対して斜め方向に隣接又は隔離されて編成された均一(規則的)に出現する繰り返しパターンで編成される。
図5(b)では、この図5(a)に示した均一(規則的)な繰り返しパターンを領域Aで表し、本実施形態に係る機能性編地10が、編地全体にわたってこの均一(規則的)な繰り返しパターンにより編成されることを示す。
このように、本実施形態に係る機能性編地10は、この一のニットミスの編目領域21及び他のニットミスの編目領域22の各々が、連続する複数のニットミスの編目2からなり、この一のニットミスの編目領域21及び他のニットミスの編目領域22の間に、このニットの編目1が編成されることから、ニットの編目1及びニットミスの編目2の2種類の編目が規則的に整列化されて組み合わさることから、編地表面で大きな編目ループからなる凹凸形状が繰り返し均一に形成されることとなり、この凹凸形状による表面積が増大し、簡素な構成で、着用者の諸動作に対する滑り止め機能を発揮することができる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係る機能性編地10は、第1の実施形態と同様に、前記シリコーン付着糸3からなるニットの編目1及びニットミスの編目2の2種類の編目を、コース方向X及びウェール方向Yの各々に沿って所定間隔で繰り返してなる浮き編みを備え、さらに、図6に示すように、前記一のニットミスの編目領域21及び他のニットミスの編目領域22の各々が、連続する複数のニットミスの編目2からなり、前記一のニットミスの編目領域21及び他のニットミスの編目領域22とが、前記ニットの編目1を介して編成されるものである。
第3の実施形態に係る機能性編地10は、第1の実施形態と同様に、前記シリコーン付着糸3からなるニットの編目1及びニットミスの編目2の2種類の編目を、コース方向X及びウェール方向Yの各々に沿って所定間隔で繰り返してなる浮き編みを備え、さらに、図6に示すように、前記一のニットミスの編目領域21及び他のニットミスの編目領域22の各々が、連続する複数のニットミスの編目2からなり、前記一のニットミスの編目領域21及び他のニットミスの編目領域22とが、前記ニットの編目1を介して編成されるものである。
本機能性編地10は、図6(a)に示すように、この一のニットミスの編目領域21及び他のニットミスの編目領域22の各々が、コース方向X(横方向)に連続する複数のニットミスの編目2から形成され、これら連続する複数のニットミスの編目2であり隣接しあうこの一のニットミスの編目領域21及び他のニットミスの編目領域22とが、このニットの編目1を介して編成されるものである。すなわち、これらコース方向X(横方向)に連続する複数のニットミスの編目2からなり隣接しあう一のニットミスの編目領域21及び他のニットミスの編目領域22は、互いにコース方向X(横方向)及びウェール方向Y(縦方向)に対して斜め方向又は対向方向に隣接又は隔離されて編成された均一(規則的)に出現する繰り返しパターンで編成される。
図6(b)では、この図6(a)に示した均一(規則的)な繰り返しパターンを領域Aで表し、本実施形態に係る機能性編地10が、編地全体にわたってこの均一(規則的)な繰り返しパターンにより編成されることを示す。
このように、本実施形態に係る機能性編地10は、この一のニットミスの編目領域21及び他のニットミスの編目領域22の各々が、連続する複数のニットミスの編目2からなり、この一のニットミスの編目領域21及び他のニットミスの編目領域22とが、このニットの編目1を介して編成されることから、ニットの編目1及びニットミスの編目2の2種類の編目が規則的に整列化されて組み合わさることから、編地表面で大きな編目ループからなる凹凸形状がより多い配合率で繰り返し均一に形成されることとなり、この凹凸形状による表面積が増大し、簡素な構成で、着用者の諸動作に対する滑り止め機能を発揮することができる。
10 機能性編地
1 ニットの編目
2 ニットミスの編目
21 一のニットミスの編目領域
22 他のニットミスの編目領域
31 芯糸
32 シリコーン
40 機能性靴下
1 ニットの編目
2 ニットミスの編目
21 一のニットミスの編目領域
22 他のニットミスの編目領域
31 芯糸
32 シリコーン
40 機能性靴下
Claims (9)
- 芯糸にシリコーンを付着してなるシリコーン付着糸から編成される機能性編地であって、
前記シリコーン付着糸を編地の表側及び/又は裏側に凹凸形状を形成する編目を含む編地で構成されることを特徴とする
機能性編地。 - 請求項1に記載の機能性編地において、
前記凹凸形状を形成する編目が、ゴム編み、パール編み、タック編み、及び浮き編みの少なくともいずれかから構成される、
機能性編地。 - 請求項1又は2に記載の機能性編地において、
前記編目を含む編地が、平編みを含む、
機能性編地。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の機能性編地において、
前記凹凸形状を形成する編目が、前記シリコーン付着糸からなるニット及びニットミスの2種類の編目をコース方向及びウェール方向の各々に沿って所定間隔で繰り返してなる浮き編みから編成される、
機能性編地。 - 請求項4に記載の機能性編地において、
前記浮き編みを構成する一のニットミスの編目領域と、当該一のニットミスの編目領域に隣接する他のニットミスの編目領域とが、互いに離隔している、
機能性編地。 - 請求項5に記載の機能性編地において、
前記一及び他のニットミスの編目領域の各々が、連続する複数のニットミスの編目からなり、
前記一及び他のニットミスの編目領域の間に、前記ニットの編目が編成される、
機能性編地。 - 請求項5に記載の機能性編地において、
前記一及び他のニットミスの編目領域の各々が、連続する複数のニットミスの編目からなり、
前記一及び他のニットミスの編目領域とが、前記ニットの編目を介して編成される、
機能性編地。 - 請求項1〜7のいずれか一項に記載の機能性編地において、
前記芯糸が、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、レーヨン繊維、及びアセテート繊維からなる群の少なくとも1つから選択された繊維から構成される、
機能性編地。 - 請求項1〜8のいずれか一項に記載の機能性編地が、足裏側に編成される、
機能性靴下。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021001282U JP3232811U (ja) | 2021-04-07 | 2021-04-07 | 機能性編地 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021001282U JP3232811U (ja) | 2021-04-07 | 2021-04-07 | 機能性編地 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP3232811U true JP3232811U (ja) | 2021-07-08 |
Family
ID=76647877
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2021001282U Active JP3232811U (ja) | 2021-04-07 | 2021-04-07 | 機能性編地 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3232811U (ja) |
-
2021
- 2021-04-07 JP JP2021001282U patent/JP3232811U/ja active Active
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