JP3231712B2 - ２面拘束ツール - Google Patents

２面拘束ツール

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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、マシニングセンタ
などの工作機械の主軸に装着されるツールに係り、特
に、ボトムグリップテーパシャンク（ＢＴシャンク）の
テーパ部とフランジ部の２面で工具を拘束するようにし
た２面拘束ツールに関する。
【０００２】
【従来の技術】従来、マシニングセンタの工具として
は、ＢＴシャンクが標準化されて広く使用されている。
このＢＴシャンクは、そのテーパ部が主軸のテーパ穴に
密着するようにして装着される。
【０００３】最近のマシニングセンタの高速化、高能率
化の進展は、従来のＢＴシャンクに新たな問題を提起し
ている。例えば、主軸が高速回転すると、主軸のテーパ
穴口元が遠心力によって拡がると、ツールの支持剛性が
低下しヒズミ、ビビリが誘発されたり、刃先の位置精度
が変わったりする不都合が生じる。
【０００４】このような問題を解決するために、テーパ
部をテーパ穴に密着させるだけでなく、フランジ部を主
軸端面に接触させることにより、ＢＴシャンクを２面で
拘束できるようにしたツールが開発されている。
【０００５】ＢＴシャンクを２面拘束する方式として
は、図６、図７に示すようなものが知られている。図６
は、端面カラー調整方式と呼ばれているものである。３
０は主軸で、３２はＢＴシャンクを示している。主軸３
０のテーパ穴３１には、ＢＴシャンク３２のシャンク部
３３が挿入されるとともに、主軸３０の端面とフランジ
部３４の端面との間に挟むようにしてカラー３５が装着
されている。この端面カラー調整方式によれば、シャン
ク部３３はテーパ穴３１の内周面で拘束され、フランジ
部３４はカラー３５と一体になって主軸３０の端面で拘
束される。
【０００６】次に、図７は、センチュリータイプとして
知られているもので、ＢＴシャンク３２のテーパ部をシ
ョートテーパ部３６として、フランジ部３４と主軸端面
との間に皿ばね３７を入れて、ＢＴシャンク３２のショ
ートテーパ部３６を主軸３０に押し込み易くするととも
に切削振動の減衰効果を高めた構造としたものである。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、現状の
ＢＴシャンク３２をカラー３５を用いて２面拘束する場
合、主軸３０が高速で回転すると遠心力でカラー３５に
緩みが生じ、主軸端面との密着性が低下するという問題
がある。他方、センチュリータイプでは、テーパ部３６
の当たり面が少なく軸方向にガタが発生し易く、高速・
重切削に不向きであるとの指摘がある。
【０００８】そこで、本発明の目的は、前記従来技術の
有する問題点を解消し、ＢＴシャンクのフランジ部端面
と主軸端面との間に介装するカラーが緩んだり、抜けた
りすることなく、高速切削加工に対応できるようツール
を２面で拘束できるようにした２面拘束ツールを提供す
ることにある。
【０００９】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、本発明は、主軸のテーパ穴に挿入されるＢＴシャ
ンクのテーパ部を前記テーパ穴の内周面に、およびＢＴ
シャンクのフランジ部端面を主軸端面に同時に密着さ
せ、２面でツールを拘束するようにした２面拘束ツール
において、前記ＢＴシャンクのフランジ部端面と主軸端
面との間に介在する着脱自在なカラーを設け、前記フラ
ンジ部端面に溝部を形成するとともに、前記カラーに前
記溝部と係合する凸部を形成し、前記凸部と溝部が協働
してカラーを保持し、前記フランジ部端面が前記カラー
を介して主軸端面に拘束されるようにしたことを特徴と
するものである。
【００１０】本発明によれば、主軸にクランプされたＢ
Ｔシャンクでは、テーパ穴の内周面に密着するテーパ部
の外周面を一の拘束面として、また、カラーを介して主
軸端面ａに拘束されるフランジ部端面を他の拘束面とし
て、２面によって拘束されるので、主軸が高速回転して
も高い支持剛性を保つことができる。
【００１１】
【発明の実施の形態】以下、本発明による２面拘束ツー
ルの一実施形態について、添付の図面を参照しながら説
明する。図１は、本発明の第１の実施形態による２面拘
束ツールの縦断面を示す。１０は主軸、１２はテーパ穴
を示している。ＢＴシャンク１４の一端部にはテーパ部
１５が形成されている。このテーパ部１５は、主軸１０
のテーパ穴１２に挿入され、テーパ部１５の外周面とテ
ーパ穴１２の内周面とは密着するようになっている。テ
ーパ部１５の終端に連続するようにして、フランジ部１
６が形成されている。なお、ＢＴシャンク１４の他端部
には、図示しない刃具が取り付けられるようになってい
る。
【００１２】ＢＴシャンク１４のフランジ部１６には、
主軸１０の端面１０ａと平行に対向する端面１６ａが形
成されている。このフランジ部１６の端面１６ａには、
テーパ部１５を周回するように溝部１８が形成されてい
る。主軸１０の端面１０ａとフランジ部１６の端面１６
ａによって挟まれるようにして、図２に示すようなカラ
ー２０ａ、２０ｂが介装されている。このカラー２０
ａ、２０ｂは、使用するツールごとに指定された寸法の
厚さのものが用いられる。
【００１３】また、カラー２０ａ、２０ｂは、この実施
形態では、リング状のカラーを対称的に半分に分割した
もので、フランジ部１６の端面１６ａとほぼ同じ外径、
内径を有している。また、カラー２０ａ、２０ｂの内周
側には円周方向に凸部２２ａ、２２ｂが形成されてお
り、この凸部２２ａ、２２ｂは、フランジ部１６の端面
１６ａに形成した溝部１８に係合するようになってい
る。
【００１４】図１に示すように、ＢＴシャンク１４は、
主軸端面１０ａ、フランジ部端面１６ａとの間にカラー
２０ａ、２０ｂを介在させた状態で主軸１０に装着され
る。主軸１０の内部には、クランプ力発生機構と連結し
ているドローバーとその先端のコレット（ともに図示せ
ず）が設けられており、コレットがフランジ部１６の先
に取り付けられたプルスタッドを把持しドローバーが強
大なクランプ力で引き込むようになっている。
【００１５】主軸１０にクランプされたＢＴシャンク１
４では、テーパ穴１２の内周面に密着するテーパ部１５
の外周面を一の拘束面として、また、カラー２０ａ、２
０ｂを介して主軸端面１０ａに拘束されるフランジ部端
面１６ａを他の拘束面として、２面によって拘束される
ので、主軸１０が高速回転しても高い支持剛性を保つこ
とができる。
【００１６】しかも、カラー２０ａ、２０ｂはその凸部
２２ａ、２２ｂがフランジ部端面１６ａの溝部１８に係
合しているので、主軸１０の高速回転によりカラー２０
ａ、２０ｂに作用する遠心力が大きくなるほど強く係合
し合うので、カラー２０ａ、２０ｂが緩んだり抜けたり
することがない。また、テーパ部１５を拘束する面をテ
ーパ穴１２の内周面全体に大きくとれるので、軸方向の
ガタを抑止することができる。
【００１７】次に、本発明による２面拘束工具の第２の
実施形態について、図３乃至図５を参照しながら説明す
る。なお、この第２実施形態において、図１および図２
の第１実施形態と同一の構成要素には同一の参照符号を
付してある。
【００１８】この第２実施形態では、カラー２０ａ、２
０ｂを磁気でＢＴシャンク１４に装着できるように、凸
部２２ａ、２２ｂが設けられている方の面にマグネット
２４ａ、２４ｂが埋め込まれている。このマグネット２
４ａ、２４ｂの表面は、カラー２０ａ、２０ｂの表面と
面一になっている。
【００１９】このようにマグネット２４ａ、２４ｂを埋
め込むことで、溝部１８に凸部２２ａ、２２ｂを係合さ
せると同時に磁気によりカラー２０ａ、２０ｂをフラン
ジ部端面１６ａに対してワンタッチで装着することがで
きる。
【００２０】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、ＢＴシャンクのフランジ部端面と主軸端面と
の間に介装するカラーが緩んだり、抜けたりすることな
く、高速切削加工に対応できるようツールを２面で拘束
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明による２面拘束ツールの一実施形態を示
す縦断面図。
【図２】図１の２面拘束ツールのＺ矢視図。
【図３】本発明による２面拘束ツールの他の実施形態を
示す縦断面図。
【図４】図３におけるＡ部の拡大図。
【図５】カラーの正面図。
【図６】従来の２面拘束ツールの側面図。
【図７】従来の他の形式の２面拘束ツールの側面図。
【符号の説明】
１０ 主軸 １０ａ 主軸端面 １２ テーパ穴 １４ ＢＴシャンク １５ テーパ部 １６ フランジ部 １６ａ フランジ部端面 １８ 溝部 ２０ａ、２０ｂ カラー ２２ａ、２２ｂ 凸部 ２４ａ、２４ｂ マグネット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平７−96435（ＪＰ，Ａ) 特開 平９−225769（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) B23B 31/117 B23Q 3/12

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】主軸のテーパ穴に挿入されるＢＴシャンク
    のテーパ部を前記テーパ穴の内周面に、およびＢＴシャ
    ンクのフランジ部端面を主軸端面に同時に密着させ、２
    面でツールを拘束するようにした２面拘束ツールにおい
    て、 前記ＢＴシャンクのフランジ部端面と主軸端面との間に
    介在する着脱自在なカラーを設け、前記フランジ部端面
    に溝部を形成するとともに、前記カラーに前記溝部と係
    合する凸部を形成し、前記凸部と溝部が協働してカラー
    を保持し、前記フランジ部端面が前記カラーを介して主
    軸端面に拘束されるようにしたことを特徴とする２面拘
    束ツール。
  2. 【請求項２】前記カラーには、磁力でカラーをフランジ
    部端面に装着するための磁石が設けられていることを特
    徴とする請求項１に記載の２面拘束ツール。
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