JP2008183628A - 工具ホルダ付き切削工具 - Google Patents

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秀一 古城
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Abstract

【課題】コレットチャックを有する工具ホルダを使用してドリル、リーマなどの回転切削工具を精度良く保持できるようにすることを課題としている。
【解決手段】切削工具10と組み合わせるホルダ本体2に、コレットチャック7のコレット8を挿入するテーパ穴4に続く心出し穴5を形成し、その心出し穴5を内周面が研磨された軸方向に長さを持つ穴、かつ切削工具のストレートシャンク部11とほぼ同径の穴として構成し、この心出し穴5にストレートシャンク部11の一部を嵌合させて切削工具10の傾きを防止するようにした。
【選択図】図1

Description

この発明は、コレットチャックを有する工具ホルダと、その工具ホルダに保持されるリーマなどの回転切削工具とを組み合わせて構成される工具ホルダ付き切削工具に関する。
ドリル、リーマなどの穴加工工具に代表される回転切削工具、中でも小径工具は、加工機の主軸に工具ホルダを装着し、その工具ホルダで保持して使用する方法が採られる。このときに使用する工具ホルダには、下記特許文献1に示されるようなサイドロック式のものや、下記特許文献2,3に示されるようなコレットチャック式のものなどがある。
特開平11−277314号公報 特開2001−150269号公報 特開2005−313263号公報
サイドロック式の工具ホルダは、回転切削工具の取り付け部であるストレートシャンク部をホルダ本体の中心の取付穴に挿入し、そのシャンク部をクランプねじで外周から径方向に加圧し、取付穴の内面に押付けて工具を固定する。このような構造であるので、工具のシャンク部と取付穴の内面との間に生じる嵌合隙間が原因となって工具中心が工具ホルダの中心からずれ、軸長の長い穴加工工具は特に、工具の振れ精度の低下が大きくなって加工精度を悪化させる欠点がある。
また、特許文献2,3が開示しているコレットチャック式の工具ホルダは、ホルダ本体の先端中心に設けたテーパ穴にコレットを挿入し、そのコレットをホルダ本体に螺合させた締付けリングで前記テーパ穴に引き込んで収縮させ、コレットの内側に挿入したストレートシャンク部をそのコレットで把持して工具を固定する。このコレットチャック式の工具ホルダは、締付けリングによる締付け方によっては、コレットの偏った収縮が起って把持された工具が傾くことがあり、それによって工具の振れ精度が低下する。
特許文献2が開示している工具ホルダは、ホルダ本体の内部に工具位置決め部材を設けてその部材で切削工具のシャンク部の後端を位置決めするが、工具位置決め部材を弾性体で形成しているので、シャンク部後端の拘束が十分になされず、コレットの偏った収縮による切削工具の傾きを防止することができない。
特許文献3が開示している工具ホルダは、切削工具のシャンク部の後端を位置決めする切削工具位置決め用部材をコレットの内部に設けており、その部材を剛体で形成することができるが、その部材に設けたテーパの係合穴に工具のシャンク部の後端を係合させるので、シャンク部後端を支点にした切削工具の傾きが許容され、特許文献2の工具ホルダと同様、コレットの偏った収縮による切削工具の傾きを防止することができない。
この発明は、コレットチャックを有する工具ホルダを使用してドリル、リーマなどの切削工具を精度良く保持できるようにすることを課題としている。
上記の課題を解決するため、この発明においては、加工機の主軸に装着されるホルダ本体の前部にコレットチャックを設けた工具ホルダを有し、前記ホルダ本体の中心部(軸心部)に、前記コレットチャックのコレットを挿入するテーパ穴とそのテーパ穴に続く心出し穴が形成され、前記心出し穴が内周面を研磨した軸方向に長さを持つ穴、かつ工具ホルダに保持される切削工具のストレートシャンク部とほぼ同径の穴として構成され、この心出し穴に前記ストレートシャンク部の一部を嵌合させるように前記コレットチャックで前記ストレートシャンク部を掴むようにしたところに特徴を有する工具ホルダ付き切削工具を提供する。
なお、ここで言うほぼ同径とは、心出し穴がストレートシャンク部の外径よりも嵌合隙間に相当する微小クリアランス分を除いて同径であることを意味する。
かかる切削工具は、心出し穴を前記テーパ穴に近接した位置に配置すると好ましい。また、その心出し穴を前記テーパ穴とホルダ本体の中心部に設ける大径穴との間に設け、この心出し穴の内径Dを、前記テーパ穴の内径及び大径穴の内径よりも小さくすることや、心出し穴の長さLを、その心出し穴の内径をDとして、3D〜4Dにすることも好ましい。なお、保持する切削工具は、回転切削工具が多くなると考えられるが、この回転切削工具に限定されるものではない。
この発明の切削工具は、ホルダ本体にコレット挿入用のテーパ穴に続く心出し穴を設けており、内周面を研磨したその心出し穴を軸方向に長さを持つ穴、かつ保持する切削工具のストレートシャンク部と同径の穴にしたので、その心出し穴に嵌合した工具のストレートシャンク部の傾きが心出し穴によって阻止され、そのために、切削工具を把持する際の工具の傾きが抑制され、工具の振れが小さくなって工具の保持精度が向上する。
なお、心出し穴をテーパ穴に近接させたものは、コレットに偏った収縮による切削工具の傾きを抑制して、切削工具先端部の振れがより小さくなる。
また、心出し穴を前記テーパ穴とホルダ本体の中心部に設ける大径穴との間に設けてその心出し穴の内径をテーパ穴の内径及び大径穴の内径よりも小さくしたものは、心出し穴の研磨を容易に行うことができる。
このほか、心出し穴の長さをその穴の内径の3〜4倍に制限したものは、その穴の内周面の研磨加工時間が無駄に長くならない。心出し穴は内径の4倍以上の長さを持つ穴でもよいが、シャンク部の嵌合がなされない領域までその長さを長くしても意味がないし、内径の3〜4倍程度の長さを持つとその穴による工具シャンク部の傾き抑制の効果も不足なく発揮されるので、心出し穴の長さは内径の3〜4倍程度にするのが好ましい。
以下、添付図面の図1〜図3に基づいてこの発明の実施の形態を説明する。図1及び図2に示すように、この発明の切削工具は、コレットチャック式の工具ホルダ1とそれに保持される切削工具10を組み合わせてなる。
工具ホルダ1は、ホルダ本体2の前部にコレットチャック7を備えている。ホルダ本体2は、後部にシャンク部3を有し、そのシャンク部3が加工機の主軸に装着される。ホルダ本体2の中心部には先端に開口した奥すぼみのテーパ穴4とそのテーパ穴4に続く心出し穴5と、その心出し穴5に続く大径穴6を設けてあり、テーパ穴4にコレットチャック7のコレット8が組み込まれる。
コレットチャック7は、テーパ穴4に挿入したコレット8をそのコレットの外周の環状溝8bに係合させた締付けリング9で推進させて把持力を発生させるものを採用している。コレット8は、複数の割り溝8aを設けて収縮性を高めた周知のコレットである。締付けリング9はホルダ本体2の先端外周に螺合しており、この締付けリング9を締め込むとコレット8がテーパ穴4の奥所に引き込まれて収縮する。
切削工具10は、ドリルなどであってもよく、例示のリーマに限定されない。この発明で用いる切削工具10は、ストレートシャンク部11を有するものを採用し、この工具のストレートシャンク部11を収縮したコレット8で把持する。
なお、コレットチャック7は、前掲の特許文献3が開示しているようなもの、即ち、締付けリング9の内側に鋼球を介してリング部材を相対回転可能に取付け、そのリング部材を介して締付けリング9の推進力をコレットに伝達するものであってもよい。
切削工具10は、ストレートシャンク部11をホルダ本体2に設けた心出し穴5に挿入し、この状態でコレットチャック7による保持を行う。
心出し穴5は、軸方向に長さを持つ穴であり、内径が回転切削工具のストレートシャンク部11と同径の穴(厳密にはストレートシャンク部11の外径よりも嵌合隙間分だけ大きい。ここで言う同径はその嵌合隙間を無視)にし、さらに、内周面を研磨して寸法精度を高めた穴にしている。この心出し穴5は、その穴に挿入するストレートシャンク部11との間のクリアランス(嵌合隙間)、すなわち、図1に示すストレートシャンク部11の外径dと、図2及び図3に示す心出し穴5の内径Dとの差(D−d)を0.005〜0.015mmの範囲に収めると好ましい。
このように、心出し穴5を切削工具のストレートシャンク部11に適合したサイズの穴にしてその穴にストレートシャンク部11を挿入すると、そのストレートシャンク部11
が心出し穴5の内周面に拘束されて工具の傾きが阻止され、心出し穴による心出し部を支点にした工具先端側の振れが小さく抑えられる。振れの抑制量は、工具径、ホルダ先端からの工具突出長さ、心出し孔の長さなどに左右されるが、実施例の工具は、心出し孔の無いものとの比較で工具先端の振れが半減した。
上記のクリアランスは、工具の傾き防止の観点からは小さくするほどよいが、工具ホルダに対する切削工具の取付け、取外しの作業性を併せて考えると上記の数値範囲内に収めるのが好ましいとした。また、心出し穴5自体の内径振れ精度は、上記のクリアランスを好ましいとした数値範囲に収めやすくするために、0.005mm以内にするのがよい。
心出し穴5は、図3に示す長さLを内径Dの3〜4倍の範囲に制限すると好ましい。この心出し穴5の長さは上記の範囲を超えてもよいが、シャンク部の嵌合がなされない領域までその長さを長くしても意味がないし、穴長が長くなるほど研磨加工の時間が長くなるので、内径の3〜4倍程度に抑えるのがよい。テーパ穴4までの距離も極力短くするのが好ましい。
テーパ穴4から心出し穴5までの距離も短くするほど好ましい。コレット把持部を作用点とすると梃子の支点になる心出し穴5までの距離が短くなるほど工具の振れはより小さくなる。
なお、実施例は、内周面を研磨する心出し穴5を図3に示すように、テーパ穴4と大径穴6との間に設けてその心出し穴5の内径をテーパ穴4の内径D(Dは小径端の内径)及び大径穴6の内径Dよりも小さくしており、心出し穴5の研磨が行いやすい。
研磨加工を行う前の心出し穴5の内径を大径穴6の内径Dに対して研磨代分だけ小さくし、研磨後の心出し穴5の内径を大径穴の内径と等しくすることも考えられるが、研磨後の心出し穴5の内径が大径穴6の内径Dよりも大きくなると心出し穴5による心出し効果が得られなくなるためこの方法では慎重な加工が要求され、加工が面倒になる。実施例の構造はその不具合が生じない。
この発明の工具ホルダ付き切削工具の実施の形態を示す断面図 図1の工具を分解した状態の断面図 心出し穴を形成した部分の詳細を示す断面図
符号の説明
1 工具ホルダ
2 ホルダ本体
3 シャンク部
4 テーパ穴
5 心出し穴
6 大径穴
7 コレットチャック
8 コレット
8a 割り溝
8b 環状溝
9 締付けリング
10 切削工具
11 ストレートシャンク部

Claims (5)

  1. 加工機の主軸に装着されるホルダ本体(2)の前部にコレットチャック(7)を設けた工具ホルダ(1)を有し、前記ホルダ本体(2)の中心部に、前記コレットチャック(7)のコレット(8)を挿入するテーパ穴(4)とそのテーパ穴に続く心出し穴(5)が形成され、前記心出し穴(5)が内周面を研磨した軸方向に長さを持つ穴、かつこの工具ホルダに保持される切削工具(10)のストレートシャンク部(11)とほぼ同径の穴として構成され、この心出し穴(5)に前記ストレートシャンク部(11)の一部を嵌合させるように前記コレットチャック(7)で前記ストレートシャンク部(11)を掴むようにした工具ホルダ付き切削工具。
  2. 前記心出し穴(5)を、前記テーパ穴(4)に近接した位置に配置した請求項1に記載の工具ホルダ付き切削工具。
  3. 前記心出し穴(5)を前記テーパ穴(4)とホルダ本体(2)の中心部に設ける大径穴(6)との間に設け、この心出し穴(5)の内径Dを、前記テーパ穴(4)の内径及び大径穴(6)の内径よりも小さくした請求項1又は2に記載の工具ホルダ付き切削工具。
  4. 前記心出し穴(5)の長さLを、その心出し穴(5)の内径をDとして、3D〜4Dにした請求項1〜3のいずれかに記載の工具ホルダ付き切削工具。
  5. 前記切削工具(10)が、リーマ、ドリルなどの穴加工工具である請求項1〜4のいずれかに記載の工具ホルダ付き切削工具。
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