JP3231527B2 - 大径浸漬管による溶鋼精錬方法 - Google Patents

大径浸漬管による溶鋼精錬方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は大径浸漬管を用いた取鍋
精錬における溶鋼のCa添加方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、溶鋼の脱硫或いは介在物の形態制
御のためにCaが添加されている。Caの添加方法とし
て例えば特公昭46−26612号公報、特公昭58−
6762号公報等ランスを溶鋼中に浸漬させCa合金の
粉体をインジェクションする方法、またCa或いはCa
合金を鉄その他の金属で被覆されたワイヤーで溶鋼中に
添加する方法等がある。
【0003】しかしながらこれらの方法は、RH,DH
等の脱ガス装置とは別位置、或いは別装置での添加とな
るため、ハンドリング時間が余分に必要となり、生産性
の低下、温度降下量の増大等の課題がある。また、個別
に処理装置が必要なため設備費の負担も大きい。
【0004】更に、RHとCa添加を組み合わしたRH
−インジェクション法が開発され、脱ガス処理とCa添
加処理が同一設備で可能となった。一方、Ca合金につ
いても改良され、比重を大きくして溶鋼内部で溶解でき
るFe−Ca合金が開発された。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしRH・DH等の
脱ガス装置は、環流のためには槽内をArの多量吹込み
とともに真空に保持する必要があり、真空下でCa合金
を添加すると歩留りが大幅に低下する。これは、Caは
高温で蒸発しやすい元素のためである。
【0006】また、真空下で取鍋処理を行い、同一設備
で大気圧に復圧後、Ca合金をインジェクションする装
置も提案されているが、使用機能が限定されているた
め、対象鋼種、対象量に少ないという問題に加えてイン
ジェクション独特の溶鋼流れから安定して溶鋼深部でC
aの溶解とその拡散が望めないために歩留りが大幅に変
動する。
【0007】本発明はCa添加のための工程を増やさな
いために、脱ガス装置と同一設備で連続してCa添加処
理が実施できる必要があり、また、Caを歩留良く添加
するするため、大気圧下で、浸漬管内の気泡活性面に、
Ca(あるいはCa合金)を添加処理が出来る方法が必
要であり、処理効率が良くCaの歩留が極めて良好な溶
鋼の精錬方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は取鍋内の溶鋼に
大径浸漬管を浸漬し、該大径浸漬管内を減圧すると共
に、取鍋底部より攪拌用ガスを供給する真空精錬法にお
いて、取鍋内の溶鋼高さ(H)に対して0.5Hよりも
深い位置から攪拌用ガスを供給し、このガスにより気泡
活性面を形成し、この気泡活性面に付随した溶鋼環流域
をつくり、かつ、該大径浸漬管内に形成される気泡活性
面積を40〜95%とし該大径浸漬管により、脱炭、脱
水素等の真空脱ガス処理後復圧し、大気圧下で該大径浸
漬管内に形成される気泡活性面へCaあるいはCa合金
を添加する大径浸漬管による溶鋼精錬方法にある。
【0009】なお、上記した本発明のCaを添加する方
法として、 (1)Ca或いはCa合金の粉体を該大径浸漬管内溶鋼
の浴面から所定距離離した上方からキャリヤーガスと共
に吹きつける。 (2)Ca或いはCa合金の粉体を該大径浸漬管内溶鋼
の浴面下から、浸漬されたランスよりキャリヤーガスと
共にインジェクションする。 (3)Ca合金(好ましくはFeを含有したCa合金)
を該大径浸漬管内溶鋼の浴面上から添加するか、あるい
はCa合金線の連続添加等が可能である。
【0010】
【作用】転炉等の製鋼炉で溶製された溶鋼は、取鍋に移
された後に、2次精錬工程において、単一の装置あるい
は複数の装置にて溶鋼精錬処理が実施され、連続鋳造あ
るいは造魂工程に送られる。2次精錬処理では脱ガス処
理後にCa添加が行われる場合が多い。しかし、脱ガス
処理とCa添加処理はその最適条件が相反するものとな
っている。すなわち、脱ガス処理は、例えば脱炭、脱水
素等はできるだけ高い真空下で処理を行うことが好まし
く、一方、Ca添加処理は、Caが高温で蒸発しやすい
ため、できるだけ圧力を上げた状態で処理を行うことが
好ましい。
【0011】従来はRH、DH等の脱ガス装置にて脱ガ
ス処理を行った後、別の装置にて、大気圧下でCa添加
処理例えば、Ca−Si合金粉の溶鋼中吹き込み処理を
行う。あるいは、RH−インジェクション法で見られる
ようにRHで脱ガス処理を行った後、同一のRH装置に
て真空度を低下させ(例えば150〜200Torr)浸漬
ランスからCa添加処理を実施する。後者の場合、同一
設備で、脱ガス処理とCa添加処理が行える反面、RH
装置はある程度の真空度を保持しておかないと溶鋼が環
流しないため、真空下でのCa添加処理となり、Caの
歩留りは前者よりも低下する。
【0012】本発明では、取鍋底部より攪拌用ガスを供
給しながら大径浸漬管を浸漬する方式のため、槽内を真
空にして脱ガス処理を行うことができる。また、大気圧
下のでも処理が可能である。すなわち、真空度が高いほ
ど効率のよい脱炭、脱水素等の脱ガス処理は高い真空下
で処理を行い、引続き、圧力が高いほど効率のよいCa
添加処理は同一装置で、大気圧下で処理が行われ、それ
ぞれ理想的な状態でかつ同一装置で処理が可能となる。
【0013】また、本発明の最も重要なCa添加処理
同一装置で容器の底部から吹き込むガスにより溶鋼
表面に形成される気泡活性面とこの気泡活性面に付随
した大きな溶鋼環流域とスラグの少ない溶鋼面に
aあるいはCa合金を添加することにより行われるため
に、Caの酸化ロスが少なく、速やかにCaあるいはC
a合金が溶鋼環流に巻き込まれ、極めて深い溶鋼位置で
溶解され歩留りの大幅な向上が達成される。
【0014】特に、このCaあるいはCa合金の添加
、前記の溶鋼表面における気泡活性面とこの気泡活性
面に付随した大きな溶鋼環流域に随伴し巻き込み溶解作
用がより安定し、しかも、Caの溶解気化が抑制され歩
留りが格段に好転する。更に、本発明のCaあるいはC
a合金の添加方法は取鍋底部より攪拌用ガスを供給し
ながら大径浸漬管を浸漬する方式であるために脱炭、
脱水素、脱ガス等の処理から簡単にCa添加処理への切
替えが行えるため工程の簡略化と同時にCa添加が効率
良くできる。
【0015】
【実施例】転炉で溶製した175tの溶鋼を取鍋に受
け、この取鍋底部より攪拌用ガスを供給しながら大径
漬管を浸漬し、浸漬管の内部を減圧しながらガス攪拌し
て脱炭処理を行った後、浸漬管内を大気圧に戻して、取
鍋底部より攪拌用ガスを供給した状態で溶鋼環流しなが
ら溶鋼表面の気泡活性面にCaを添加した場合と従来の
減圧しながらガス攪拌して脱炭処理後に取鍋内溶鋼にC
aワイヤーを添加あるいはCa合金をインジェクション
した場合と比較して図1〜図に示す。
【0016】図1に示すように、本発明によるCa添加
方法(Ca添加は大気圧下)は、従来の脱ガス処理とC
a添加処理を組み合わせた多機能処理装置のそれよりも
高いCa歩留りを得ることができ、また、脱ガス処理と
Ca添加処理を分離した装置によるそれとほぼ同等のC
a歩留りを得ることができた。
【0017】図に示すように、本発明による脱ガス処
理とCa添加処理の合計した処理時間は従来の脱ガス処
理とCa添加処理を分離した装置によるそれよりも大幅
に短縮されている。
【0018】図に示すように、本発明脱ガス処理とC
a添加処理の合計した処理中温度降下は、従来の脱ガス
処理とCa添加処理を分離した装置によるそれよりも大
幅に低減されている。
【0019】
【発明の効果】本発明は以下の効果をもたらし、大幅な
コストダウンを実現できる。 (1)脱ガス工程とCa添加工程を統合し、同一装置で
処理可能となり、温度降下防止のみならず、2次精錬時
間の短縮・生産性の向上が可能である。 (2)従来の多機能2次精錬装置(脱ガス機能+Ca添
加機能)に対し、Ca歩留りが大幅に向上する。 (3)従来のCa添加設備に比べ完全不活性ガス雰囲気
下でのCa添加であるため、〔N〕ピックアップが大幅
に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるCa添加方法(Ca添加は大気圧
下)と、従来の脱ガス処理とCa添加処理を組み合わせ
た多機能処理装置とのCa歩留りの比較を示す図であ
る。
【図2】本発明による脱ガス処理とCa添加処理の合計
した処理時間を従来の脱ガス処理とCa添加処理を分離
した装置による場合と比較した結果を示す図である。
【図3】本発明脱ガス処理とCa添加処理の合計した処
理中温度降下を従来の脱ガス処理とCa添加処理を分離
した装置による場合と比較した結果を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−29618(JP,A) 特開 昭58−22320(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21C 7/10 C21C 7/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 取鍋内の溶鋼に大径浸漬管を浸漬し、該
    大径浸漬管内を減圧すると共に、取鍋底部より攪拌用ガ
    スを供給する真空精錬法において、取鍋内の溶鋼高さ
    (H)に対して0.5Hよりも深い位置から攪拌用ガス
    を供給し、このガスにより気泡活性面を形成し、この気
    泡活性面に付随した溶鋼環流域をつくり、かつ、該大径
    浸漬管内に形成される気泡活性面積を40〜95%とし
    該大径浸漬管により、脱炭、脱水素等の真空脱ガス処理
    後復圧し、大気圧下で該大径浸漬管内に形成される気泡
    活性面へCaあるいはCa合金を添加することを特徴と
    する大径浸漬管による溶鋼精錬方法。
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