JP3231178U - 電子琴 - Google Patents
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Abstract
【課題】湾曲に配置された琴の絃の振動をより確実にかつ均質に検出し電気信号に変換する電子琴を提供する。【解決手段】電子琴は、複数の絃に当接し、絃を支持する湾曲した枕角105と、枕角を嵌合する溝部301を有し、甲に固定される角104と、溝部内に溝部の長手方向に沿って設けられた棒状または紐状の圧電素子501a〜501dと、溝部の底部と圧電素子との間に設けられ、枕角が溝部に嵌合された際に枕角と圧電素子とが密着するように圧電素子を枕角側へ押しつけるスタビライザー402と、を備える。【選択図】図5
Description
この考案は、絃の振動を電気信号に変換して出力する電子琴に関する。
従来、伝統的な手法により制作される琴は、日本古来の和楽器であり、元来、室内あるいは室外であっても少人数による演奏会において、生演奏、すなわち甲の反響により音を増幅させることで音色を奏でるのが一般的であった。また、大規模なホールなどでおこなわれる場合には、マイクなどを用いて集音し、集音した音を増幅して出力するのが一般的であった。
近年、琴を用いた演奏会などにおいて、多くの観衆の前で、他の楽器とコラボレーションすることが盛んにおこなわれ、特に、電子楽器やドラムスなど大音量による演奏が可能な楽器と一緒に演奏をおこなう機会が増えてきている。そのような演奏会において、マイクによって集音する方法では、近くで演奏する他の大音量を出力する楽器の音を同時に拾ってしまい、琴の音が目立たなくなってしまう(他の楽器に負けてしまう)。一方、琴の音を目立たせるためにマイクの出力を上げると、今度はハウリングを起こしてしまい、演奏に支障を来すという問題点がある。したがって、演奏会における琴を用いた演出の幅が広がらないという演奏者からの意見が多数あった。
また、琴の音色をエフェクターなどを用いて自由に変換して、新しい琴演奏の演出表現を試みる演奏者も増えている。
このように、琴の電子化の要請が強まっているのが現状である。また、伝統的な琴の製造等を生業とする考案者にとっても、伝統的な琴の音色を大切にするだけでなく、琴を電子化し、大音量の出力を可能としたり、多様な音の演出表現ができる琴(エレキ琴)を製造することは長年の課題であった。
関連する技術として、具体的には、竜角の下面凹部あるいは筝板の内面にセンサあるいはマイクロフォン等のトランスデューサを配置してその振動をピックアップし、琴胴内に配置した円筒状の、アウトプットジャックとプリアンプとの複合体で増幅し外部へ出力する。外部のトーンコントロール、パワーアンプの利用により大出力が得られ、電気楽器との協演も可能となり、その活動範囲を拡大することができる。また、琴胴の内部にプリアンプを設けたので、S/N比のよい信号を得ることができる。それによって、琴の演奏音を、音質、音色を損なうことなく、電気信号に変換して演奏活動の範囲を拡げることができるという技術がある(たとえば、下記特許文献1を参照。)。
また、別の関連する技術として、具体的には、演奏音を高感度に検出して電気信号として出力できる琴を提供するために、琴弦(絹、ナイロン、ポリエステル等が使われている)の一端(龍角部)に、ピアノ線を7mm〜10mmの幅に螺旋状に巻きつけ、同様に龍角部に取り付けられたマグネティックピックアップの上に重ねて配設した琴の龍額に、ピアノ線の端部を係止させる係止部(ネジ部を兼ねる)を設け、この係止部のネジに嵌め合うナットによりピアノ線の位置調節が簡単にできるようにした技術があった。この技術においては、ピアノ線の位置を調節する糸巻きを、ピアノ線ごとにそれぞれ配設し、龍額と龍尾のいずれの側からもピアノ線の位置調節が簡単にできるように構成している(たとえば、下記特許文献2を参照。)。
さらに、別の関連する技術として、具体的には、弦楽器用のピックアップを備えたブリッジ、ブリッジを備えた弦楽器に関し、たとえば、ブリッジは、サドルを受入れるスロットを有する木製トップ構成部分を主体とするアーチドトップ型の上側部分と、機械加工、または鋳造された下側金属部分とを含み、上側部分は、下側金属部分に取り付けられる。そして、上側部分のスロットは、下側金属部分の上部平坦面を露出させるために木製トップ構成部分を完全に通過し、一塊または分割されたサドルと、サドルの下に、サドルにかかる下向きの弦の圧力によって下側金属部分に対して均一に押されるように設置されるピエゾ素子とを含み、サドルをピエゾ素子に押し付け、次に下側金属部分に押し付け、サドルと下側金属部分の間にピエゾ素子を挟み込んだ状態とする技術がある(たとえば、下記特許文献3を参照。)。
しかしながら、琴を電子化するに当たり、他の電子化された楽器、たとえばギターなどの弦楽器と比較して、琴特有の問題点があった。すなわち、ギターなどは、複数の弦が直線上に配置されるのに対して、琴においては、甲の湾曲(アーチ)形状に合わせて絃が曲線状に配置されるよう、絃を直接支持する枕角も湾曲形状となっている。したがって、すべての絃の音を検出するために、湾曲形状の枕角の振動をギターなどに用いられている棒状または紐状の圧電(ピエゾ)素子を用いて検出しようとすると、その湾曲形状であるがゆえに、圧電(ピエゾ)素子を枕角に完全に密着させることができず、振動が検出できなかったり、検出できたとしてもその検出結果にムラが生じ、圧電(ピエゾ)素子において確実かつ均質な振動の検出が難しいという問題点があった。
枕角の湾曲形状に合わせたピエゾ素子を作成することも考えられるが、枕角の湾曲状態は、甲の形状によって決まる。甲の種類は多数あり、また、絃の本数によっても様々な甲のサイズや種類があるため、枕角ごとにピエゾ素子をオーダーメイドにより作成したのでは、素子自体が非常に高価なものになってしまい、廉価な材料で琴を電子化することができないという問題点があった。
また、たとえば、上記特許文献1にかかる発明おいては、竜角の下面凹部あるいは筝板の内面にトランスデューサを配置したのでは、振動の発生源である絃からの距離が遠く、絃の振動を正確にかつ確実に取得できないため、電気信号として取り出す際の色が良くなく、かつ、音量が小さいなどの問題点があった。上記特許文献2にかかる考案や、上記特許文献3にかかる発明も、その方式や構成が異なり、やはり電気信号として取り出す際の色が良くなく、あるいは、音量が小さいなどの問題点があった。
この考案は、上述した従来技術による問題点を解消するため、他の楽器でも用いられている既存の材料を用いて、湾曲形状の枕角によって支持される各絃の振動をより確実にかつより強い(高感度の)電気信号に変換して出力できる電子琴を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この考案にかかる電子琴は、複数の絃に当接し、当該絃を支持する湾曲した枕角と、前記枕角を嵌合する溝部を有し、甲に固定される角と、前記溝部内に当該溝部の長手方向に沿って設けられた棒状または紐状の圧電素子と、前記溝部の底部と前記圧電素子との間に設けられ、前記枕角が前記溝部に嵌合された際に当該枕角と当該圧電素子とが密着するように当該圧電素子を当該枕角側へ押しつけるスタビライザーと、を備えたことを特徴とする。
また、この考案にかかる電子琴は、上記考案において、前記スタビライザーが、弾性部材によって構成されることを特徴とする。
また、この考案にかかる電子琴は、上記考案において、前記枕角の前記圧電素子と接する部分に金属箔を設けたことを特徴とする。
この考案にかかる電子琴によれば、絃の振動をより直接的に電気信号に変換することができる。
以下に添付図面を参照して、この考案にかかる電子琴の好適な実施の形態を詳細に説明する。
図1は、この考案にかかる実施の形態の電子琴の外観の一部を示す説明図である。図1においては、電子琴100の外観の一部のみを図示する。図1において、電子琴100は、一般的な和楽器である琴と同じ外観であり、その基本的な構造も同じである。なお、図1〜図6において、同じ構成部には同じ符号を付している。
具体的には、図1に示す電子琴100において、符号101は甲(こう)であり、符号102は絃(げん、あるいは琴糸(こといと))であり、符号103は琴柱(ことじ)であり、符号104は角(かく)であり、符号105は枕角(まくらづの)であり、符号106は芯座(しんざ)である。また、符号107はシールドであり、符号108はプラグであり、符号109はアウトプットジャックである。
甲101は、一般的な琴と同様に、桐などの木材を切り出して作成した胴体部分である。弾かれた絃102の振動を増幅し、反響させて音を出力する。
絃102は、甲101の長手方向に複数本張られる(締められる)。図1における電子琴100においては、13本の絃(琴糸)が張られている。琴の種類によっては、絃は13本(絃)には限らず、17本(絃)、20本(絃)、25本(絃)などであってもよい。絃102の材質は、たとえばテトロン糸や絹糸などが用いられる。
また、琴柱103は、張られた絃102と甲101との間に挟んで、挟む位置によって絃102の音階および音程の調整をおこなう。
角104は、甲101に対して取り付けられる。角104には、枕角105を嵌合するための溝部(後述する図3に示す溝部301)が設けられる。角104の材質は、木材などが用いられる。角104は、枕角105を固定するとともに、絃102から枕角105に伝わる振動を甲101へ伝える役割を果たす。
また、枕角105は、角104の溝部に設けられ、この溝部に嵌合される(入れられる)。枕角105の高さは、角104の溝部の深さよりも高いため、枕角105の上面はその分、角104よりも高くなり、当該上面に絃102が当接し、それにより絃102を支持することができる。枕角105の材質は、プラスチック、象牙などが用いられる。
また、芯座106は、絃102を通す孔部であって、甲101の裏側の音穴側まで貫通している。芯座106は、絃102と同数だけ設けられている。絃102は、1本ずつ、各芯座106を通って、甲101の裏側へ通されて、裏側で固定される。
以下は、電子琴100に特有の構成である。シールド107は、電気信号を伝達するケーブルである。図示を省略するが、シールド107の他端は、電子楽器のアンプなどに接続される。また、プラグ108は、シールド107の端部に設けられ、アウトプットジャック109に挿入することによって、電子琴100に接続することができる。また、アウトプットジャック109は、プラグ108の挿入を受け付ける。
図1においては、アウトプットジャック109は、外側、すなわち、甲101の側面(磯)部に設けたが、ここに設けることに限定されるものではない。アウトプットジャック109は、たとえば、甲101の裏側の音穴の内部に設けるようにしてもよい。このようにすることによって、アウトプットジャック109を外側から見えないようにして、その存在を隠すことができる。そして、和楽器である琴に電子備品を設けることによる演奏者の抵抗感を低減させることができる。
演奏者は、琴柱103と、枕角105の間において、絃102を指(爪)で弾くことにより、枕角105とその枕角105を支える角104が絃の振動を直接甲101に伝え、甲101においてその振動を増幅・反響させることによって、琴の音色が出力されることになる。
また、それと同時に、枕角105の振動を検出する圧電(ピエゾ)素子(後述する図5の501a〜501d)によりその振動を電気信号に変換し、アウトプットジャック109に挿入されたプラグ108からシールド107によって電子楽器用のアンプに接続され、そこで電気信号を音響に変換して、琴の音色を出力することができる。
図2は、角および芯座付近の拡大図の一例を示す説明図である。図2は、電子琴100を上側から見た上面図を示している。図2において、枕角105が角104の上面に、角104の長手方向に沿って、当該上面の中央部付近に所定の幅(枕角105を嵌合できる幅)をもって形成された溝部に設けられている。そして、甲101の裏側から、それぞれ各芯座106を通って張られた各絃102が、枕角105に当接している様子がわかる。このように、電子琴100は、角104および芯座106周辺の外見は、一般的な琴と、その構成に違いはない。
図3は、角および枕角の構造の一例を示す説明図である。図3は、角104および枕角105を、側面から見た状態を示す側面図である。すなわち、図3は、図2における矢印Aの方向から見た状態を示している。また、図3における角104は、甲101から取り外した状態を示している。
なお、図3では、図4A以降で説明する、角104に設けられる貫通孔401a〜401dの記載は省略している。したがって、図3に示す角104および枕角105は、一般的な角および枕角と同じ構造である。
図3において、枕角105は、甲101の長手方向に直交する方向(すなわち図3の左右方向)における曲面(アーチ形状)に沿って絃102を支持するため、甲101の曲面に合わせて湾曲している(弧を描いている)。同様に、角104も、甲101に取り付けて、枕角105を固定するため、甲101の曲面に合わせて湾曲している。角104において、枕角105を取り付けるための溝部301も、同様の曲率で湾曲している。
一般的に、枕角105を角104に取り付けるために、枕角105の形状に合わせて、溝部301を形成する。そして、枕角105を溝部301に嵌合、すなわち、はめ込んで、枕角105を角104に固定する。図3では、枕角105を角104の溝部301に嵌合した(すなわち、枕角105を角104に入れた)状態を示している。
琴の制作工程としては、まず、溝部301を形成した角104を甲101に固定し、その後、溝部301に枕角105を嵌合する。そして、各絃102を、枕角105に当接させて支持するように張る(絃(琴糸)102を締める)。
このようにすることによって、複数本の絃102を張った際、絃102がそれぞれ枕角105に当接する。そして、各絃102を甲101の長手方向に直交する方向における曲面に合わせて配置することができる。これにより、琴に特有のアーチ形状となる絃の配置となる。
図4Aおよび図4Bは、この考案にかかる実施の形態の電子琴の角の構造の一例を示す説明図(上面図)である。図4Aおよび図4Bは、角104を上面から見た状態を示している。すなわち、図4Aおよび図4Bは、図2と同じ方向(図3における矢印Bの方向)から見た状態を示している。なお、図4Aでは、図2において張られていた絃102はすべて外し、また、枕角105も取り外し、溝部301の底部(底面部)301aがむき出しになった状態を示している。
図4Aにおいて、角104の溝部301の底部(底面部)301aには、4つの貫通孔401a〜401dが設けられている。4つの貫通孔401a〜401dは、溝部301の底部(底面部)301aから溝部301の深さ方向に対して角104の溝部301とは反対方向に、角104を高さ方向に貫通するように設けられている。4つの貫通孔401a〜401dに連続して、図示は省略するが、甲101にも貫通孔がそれぞれ設けられる。それにより、図5に示す4つの圧電素子501a〜501dの配線をそれぞれ4つの貫通孔401a〜401dおよび甲101の4つの貫通孔を介して甲101の裏の音穴側へ通すことができる。
なお、図示は省略するが、甲101の裏側における圧電素子501a〜501dの配線の出口付近に金属箔(具体的には銅箔)を貼り付けるようにしてもよい。これにより、圧電素子501a〜501dから出力される電気信号におけるノイズを軽減することができる。
また、図4Bは、図4Aと同じ上面図を示しており、図4Aとの違いは、図4Bでは、溝部301にスタビライザー402を設けていることである。図4Bにおいて、スタビライザー402は、溝部301の開口部(あるいは底面部301a)とほぼ同じ形状をなし、底面部301aに当接するようにして、溝部301にはめ込む。
また、スタビライザー402には、4つの貫通孔401a〜401dが設けられている位置に同様に、図5に示す4つの圧電素子501a〜501dの配線を通すための貫通孔402a〜402dが設けられる。この貫通孔402a〜402dは、圧電素子501a〜501dの配線を通すためのものなので、貫通孔401a〜401dと同じサイズでなくてもよい。具体的には、配線が通過できるサイズの孔であればよい。なお、スタビライザー402の詳細な説明は後述する。
図5は、この考案にかかる実施の形態の電子琴の角および枕角の構造の一例を示す説明図(上面図および側面(断面)図)である。図5において、下側の「(a)上面図」は、図4における上面図と同じ方向から見た角104を示している。また、上側の「(b)側面(断面)図」は、下側の「(a)上面図」に対しての側面(あるいは断面)を示している。
そして、図5は、図4における角104の溝部301にスタビライザー402および4つの圧電素子501a〜501dを取り付けた状態を示している。そして、図5においては、枕角105は、角104の溝部301への取り付け前の状態を示している。
図5の芯座106の配置との関係からわかるように、13本の絃102のうち、左側の3本の絃(高音の絃)の音(振動)を検出するのが圧電素子501aであり、その隣の3本の絃の音(振動)を検出するのが圧電素子501bであり、さらにその隣の3本の絃の音(振動)を検出するのが圧電素子501cである。そして残りの右側の4本(低音の絃)の音(振動)を検出するのが圧電素子501dである。
13本の絃から構成される琴では、このように、4つの圧電素子501a〜501dを用いて、3本、3本、3本、4本の絃102を、それぞれの圧電素子501a〜501dが各音(振動)の検出を担う。4本の絃102の音(振動)を検出する他の圧電素子よりも少し長めの圧電素子は、低音の絃の音(振動)を検出しているが、この長めの圧電素子は、どこの4本の絃の音(振動)の検出をしてもよい。すなわち、高音の絃から順に、「4本、3本、3本、3本」としてもよく、「3本、4本、3本、3本」、あるいは、「3本、3本、4本、3本」としてもよい。
1つの圧電素子で3本ないし4本の絃の音(振動)の検出を担うようにしたのは、圧電素子の長さによる。本実施の形態において用いた圧電素子501a〜501dは、通常のギター用のピックアップに用いられたものであって、汎用性が高く、安価で入手することが可能である。したがって、このギター用の圧電素子を用いることによって、安価で作成することが可能である。
なお、1つの圧電素子が担う本数は、この組み合わせに限定されるものではない。たとえば、3つの圧電素子を用いて、「4本、4本、5本」の絃の音(振動)の検出を担ってもよく、また、5つの圧電素子を用いて、「2本、2本、3本、3本、3本」の絃の音(振動)の検出をおこなってもよい。
また、1つの圧電素子を用いて、13本すべての絃の音(振動)の検出を担ってもよい。ただし、圧電素子の長さが長くなることによって、その長さの分だけ、枕角105との密着度の違いからくる絃ごとの振動の検出のばらつきに留意しなければならない。また、修理する際の手間も考慮すると、1つの圧電素子によりすべての絃102の振動を検出するよりは、複数個の圧電素子を用いておこなうほうがよい。
圧電素子501aは、その先端を、甲101の裏側の音穴側から、角104の貫通孔401aおよびスタビライザー402の貫通孔402aに潜らせて溝部301側に通す。そして、圧電素子501aを角104の溝部301に沿って這わせる。あるいは、その反対に、圧電素子501aの配線部分を溝部301側からスタビライザー402の貫通孔402aおよび角104の貫通孔401aに潜らせて甲101の裏側の音穴側へ通すようにしてもよい。
圧電素子501b〜501dも同様の方法により、角104の溝部301に取り付ける。なお、図5においては、角104の貫通孔401b〜401dおよびスタビライザー402の貫通孔402b〜402dの符号は省略する。
角104の溝部301に取り付けられた圧電素子501a〜501dと溝部301の底部(底面部)301aの間に挟むようにして設けられるスタビライザー402は、弾性部材によって構成されるようにしてもよい。弾性部材としては、具体的には、たとえば、硬質ウレタンや硬質のスポンジなどの市販の部材であってもよい。スタビライザー402は板バネ部材などを用いることもできる。
スタビライザー402に用いられる弾性部材の条件としては、ある程度の硬さがあり、かつ、弾性力によって、溝部301において、圧電素子501a〜501dと溝部301の底部(底面部)301aの間に挟んで、枕角105によって圧電素子501a〜501dが底部(底面部)301a側に押しつけられた際に、その弾性部材の弾性力および反発力によって枕角105と圧電素子501a〜501dの間に空間が生じないように、両者が密着できるものが望ましい。
スタビライザー402の厚さも、上記の条件に基づいて適宜設定することができる。また、スタビライザー402は、溝部301に対して一つだけ設けるようにしたが、各圧電素子501a〜501dに合わせて複数個別々に設けるようにしてもよい。その際、スタビライザー402の材質やサイズをそれぞれ異なるものとすることができる。
また、枕角105の曲面であって、圧電素子501a〜501dと接する部分に金属箔502を設けるようにしてもよい。金属箔502は、具体的には、たとえば銅箔などであってもよい。このように金属箔502を設けることによって、圧電素子501a〜501dが出力する電気信号のノイズを軽減することができる。
図6は、この考案にかかる実施の形態の電子琴の角および枕角の構造の一例を示す説明図(側面(断面)図)である。図6は、図5の「(b)側面(断面)図」における、枕角105を角104に取り付けた状態を示している。
図6において、枕角105が、角104の溝部301において、圧電素子501a〜501d側に押しつけるようにして取り付けられている。絃102を張ることによって、さらに枕角105がより強く圧電素子501a〜501d側に押しつけられる。したがって、スタビライザー402はその弾性力により、圧電素子501a〜501dによって押し潰されて変形する。
その結果、溝部301内では、スタビライザー402の反発力によって、圧電素子501a〜501dを枕角105側へ押し戻し、それにより、枕角105と圧電素子501a〜501dとを密着させ、両者の間に空間を生じさせないようにすることができる。また、スタビライザー402の反発力によって、圧電素子501a〜501dが溝部301内で動いてしまう(遊んでしまう)ことを確実に防止することができる。
図6では、図5と比較して、スタビライザー402が、枕角105を嵌合したことによって押しつぶされて変形してる状態を示している。また、図6では、スタビライザー402の反発力によって、圧電素子501a〜501dが枕角105側へ押されて枕角105に密着している様子を示している。
枕角105と圧電素子501a〜501dとの間に一部でも空間が生じると、枕角105の振動が伝わらなかったり、伝わる振動にムラが生じてしまう。スタビライザー402は、その問題を解消し、枕角105において生じた振動を確実にかつ減衰することなく各圧電素子501a〜501dに伝えることができる。
このように、圧電素子501a〜501dを角104の溝部301内に設け、その上から枕角105を被せるようにするので、圧電素子501a〜501dは、枕角105によって完全に隠れてしまう。したがって、外見上は、普通の琴と全く見分けがつかない。
また、枕角105、角104の構造は、通常の琴と同じであるので、枕角105の振動を角104を介して確実に甲101へ伝え、甲101の反響により、圧電素子501a〜501dによる電気信号の出力をおこなわなくても、通常の琴と遜色のない音を発生させることができる。
以上説明したように、この考案にかかる実施の形態の電子琴100は、複数の絃102に当接し、絃102を支持する湾曲した枕角105と、枕角105を嵌合する溝部301を有し、甲101に固定される角104と、溝部301内に当該溝部301の長手方向に沿って設けられた棒状または紐状の圧電素子501a〜501dと、溝部301の底部301aと圧電素子501a〜501dとの間に設けられ、枕角105が溝部301に嵌合された際に枕角105と圧電素子501a〜501dとが密着するように圧電素子501a〜501dを枕角105側へ押しつけるスタビライザー402と、を備えるので、枕角105と圧電素子501a〜501dを密着させることができ、枕角105の振動を確実かつ正確にかつ高感度で各圧電素子501a〜501dに伝えることができる。
したがって、絃102を弾くことによって枕角105において生じた振動を確実にかつ減衰することを抑えて各圧電素子501a〜501dに伝えることができるので、振動が変換されたより強い(高感度の)電子信号を出力でき、より大きな音を出すことができる。また、それにより、ボリュームの上げすぎによるハウリングを防止または抑制することができる。また、音のひずみやノイズを抑えることができる。
また、エフェクターなどを用いることによって、出力された電気信号に様々な加工を施すことができるので、琴の演奏における多種の演出を実現することができる。
また、この考案にかかる実施の形態の電子琴100は、スタビライザー402が、弾性部材によって構成されるので、弾性部材の弾性力と反発力により、より確実に枕角105と圧電素子501a〜501dとを密着させ、枕角105の振動を圧電素子501a〜501dに伝え、その振動をより高密度な電気信号に変換することができる。
また、この考案にかかる実施の形態の電子琴100は、枕角105の圧電素子501a〜501dと接する部分に金属箔502を設けたので、圧電素子501a〜501dから出力される電子信号のノイズを軽減し、また、ハウリングを防止または抑制することができる。
以上のように、この考案にかかる電子琴は、音を電気信号に変換して出力する電子琴に有用であり、特に、演奏会などで大音量で演奏するのに適している。
100 電子琴
101 甲
102 絃(琴糸)
103 琴柱
104 角
105 枕角
106 芯座
107 シールド(ケーブル)
108 プラグ
109 アウトプットジャック
301 溝部
301 (溝部の)底部(底面部)
401a〜401d (角の)貫通孔
402 スタビライザー
402a〜402d (スタビライザーの)貫通孔
501a〜501d 圧電(ピエゾ)素子
502 金属(銅)箔
101 甲
102 絃(琴糸)
103 琴柱
104 角
105 枕角
106 芯座
107 シールド(ケーブル)
108 プラグ
109 アウトプットジャック
301 溝部
301 (溝部の)底部(底面部)
401a〜401d (角の)貫通孔
402 スタビライザー
402a〜402d (スタビライザーの)貫通孔
501a〜501d 圧電(ピエゾ)素子
502 金属(銅)箔
Claims (3)
- 複数の絃に当接し、当該絃を支持する湾曲した枕角と、
前記枕角を嵌合する溝部を有し、甲に固定される角と、
前記溝部内に当該溝部の長手方向に沿って設けられた棒状または紐状の圧電素子と、
前記溝部の底部と前記圧電素子との間に設けられ、前記枕角が前記溝部に嵌合された際に当該枕角と当該圧電素子とが密着するように当該圧電素子を当該枕角側へ押しつけるスタビライザーと、
を備えたことを特徴とする電子琴。 - 前記スタビライザーは、弾性部材によって構成されることを特徴とする請求項1に記載の電子琴。
- 前記枕角の前記圧電素子と接する部分に金属箔を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の電子琴。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021000004U JP3231178U (ja) | 2021-01-04 | 2021-01-04 | 電子琴 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021000004U JP3231178U (ja) | 2021-01-04 | 2021-01-04 | 電子琴 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP3231178U true JP3231178U (ja) | 2021-03-18 |
Family
ID=74860652
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021000004U Active JP3231178U (ja) | 2021-01-04 | 2021-01-04 | 電子琴 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3231178U (ja) |
-
2021
- 2021-01-04 JP JP2021000004U patent/JP3231178U/ja active Active
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