JP3229830U - バリケード転倒防止具 - Google Patents
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Abstract
【課題】作業者にとって、取扱いが容易で、現場での使い勝手も良く、いわゆる三連看板がバリケードに取付けられている状態であっても、自立状態にあるバリケード等の転倒を、より確かに防止することができるバリケード転倒防止具を提供する。【解決手段】バリケード転倒防止具は、左右両側のA字状脚部51を、連結部材52で接続したA型バリケード50を支えるバリケード転倒防止具であり、基部3と支持部4とを含む本体部2と、連結部材52を係留可能な第1係留部10とを有し、地面Gに自立したA型バリケード50に対し、地面Gと連結部材52との地上高h1より、本体部2の高さHは低く、第1係留部10は、基部3に長手方向Xに沿って配設され、自立した状態のA型バリケード50に対し、本体部2は、連結部材52と交差する向きに基部3を配置して地面Gに接地した状態で、第1係留部10は、地面G側から連結部材52を保持する。【選択図】図3
Description
本考案は、主に工事現場のほか、施設の駐車場や工場の敷地内等の通路において、安全確保上、関係者以外の立ち入りを制限するのに設置されるバリケードや、そのバリケードと共に立てられる関連の看板(いわゆる「工事用の三連看板」の場合を含む)に対し、未然に転倒を防ぐバリケード転倒防止具に関する。
人や自動車等による通行を伴う場所で工事を行う場合、周知の通り、A型バリケードや、工事に関係した立て看板が、安全を確保するために設置され、関係者以外の工事現場への立ち入りを制限している。A型バリケードや立て看板は、地面に自立で置かれるものの、たとえ人や自転車等による軽度の接触であっても、外部からの衝撃や振動、風等に起因した外力の影響を受け易く、転倒し易い。特に、工事に関連した3種の看板、いわゆる三連看板が、A型バリケードの上方に取付けられた状態になっていると、三連看板で、風の影響を大きく受けてしまい、背高な三連看板付きのA型バリケードは、極めて転倒し易い。
そのため、現場の多くでは、A型バリケードや立て看板は、その転倒防止策として、その単体毎に重りを脚部に載せた状態で、設置されることもある。重りは、例えば、砂袋、廃材、単管等のように、普段、工事で取り扱う一般的な物を使用して、汎用的に利用できるよう、工夫を凝らしたものであるほか、例えば、特許文献1のようなウェイトである。
特許文献1は、鋳込み成形により、縦横の長さ比を整数倍とした平面視方形状で、溝を長手方向に沿って複数形成すると共に、長手方向の両端縁上面に、滑り止め段差を設けたダクタイル鋳鉄製の工事用バリケードウェイトである。工事用バリケードウェイトは、使用時に、工事用バリケードのA型脚部に有する2本の横桟を、長手方向両側にある溝に嵌め込むことにより、横桟上に載置した状態で、工事用バリケードの転倒防止を図っている。
しかしながら、特許文献1の工事用バリケードウェイトには、以下の問題があった。
(1)取扱い時に、作業者に伴う負担が大きい問題
特許文献1のバリケードウェイトは、ダクタイル鋳鉄で鋳込み成形されたものであることから、比較的重くなっている。そのため、工事用バリケードのA型脚部の横桟上に、バリケードウェイトを載置すると、工事用バリケードは、より安定した状態で自立することができる。しかしながら、このバリケードウェイトは、実質的に工事用バリケードの重量を増やす重量物となっているため、作業者が、重たいこのバリケードウェイトを持ち運ぶときや、工事用バリケードに載置するときには、作業者に伴う負担は大きい。特に、転倒し易いとされる三連看板付きのA型バリケード向けでは、バリケードウェイトの重量を、より大きくする必要があり、作業者に伴う負担が、より一層大きくなる。
特許文献1のバリケードウェイトは、ダクタイル鋳鉄で鋳込み成形されたものであることから、比較的重くなっている。そのため、工事用バリケードのA型脚部の横桟上に、バリケードウェイトを載置すると、工事用バリケードは、より安定した状態で自立することができる。しかしながら、このバリケードウェイトは、実質的に工事用バリケードの重量を増やす重量物となっているため、作業者が、重たいこのバリケードウェイトを持ち運ぶときや、工事用バリケードに載置するときには、作業者に伴う負担は大きい。特に、転倒し易いとされる三連看板付きのA型バリケード向けでは、バリケードウェイトの重量を、より大きくする必要があり、作業者に伴う負担が、より一層大きくなる。
(2)工事用立て看板の転倒防止に利用できない問題
工事現場では、工事に関係した立て看板を、現場の外側に、A型バリケードと並べて設置する場合があり、この場合には、立て看板にも、別途、前述したような重りを用意して取付ける必要がある。しかしながら、特許文献1のバリケードウェイトは、立て看板の転倒防止策として使用することはできず、このバリケードウェイトの使い勝手は良くない。
工事現場では、工事に関係した立て看板を、現場の外側に、A型バリケードと並べて設置する場合があり、この場合には、立て看板にも、別途、前述したような重りを用意して取付ける必要がある。しかしながら、特許文献1のバリケードウェイトは、立て看板の転倒防止策として使用することはできず、このバリケードウェイトの使い勝手は良くない。
本考案は、上記問題点を解決するためになされたものであり、作業者にとって、取扱いが容易で、現場での使い勝手も良く、いわゆる三連看板がバリケードに取付けられている状態であっても、自立状態にあるバリケード等の転倒を、より確かに防止することができるバリケード転倒防止具を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本考案に係るバリケード転倒防止具は、以下の構成を有する。
(1)左右両側に有するA字形状の脚部同士を、棒状の連結部材で、互いに平行に接続してなるA型バリケードを支えるバリケード転倒防止具において、長尺状の基部と、その長手方向両側に接続した一対の支持部とを含む本体部と、前記A型バリケードの前記連結部材を係留可能な第1の係留部と、を有し、地面に自立した状態の前記A型バリケードに対し、地面と前記連結部材との距離である地上高に比べ、前記本体部の高さは、低く形成され、前記第1の係留部は、前記基部に、前記長手方向に沿って配設されていること、自立した状態にある前記A型バリケードに対し、前記本体部は、前記連結部材と交差する向きに前記基部を配置すると共に、地面に接地した状態で、前記第1の係留部は、地面側から前記連結部材を保持すること、を特徴とする。
(2)(1)に記載するバリケード転倒防止具において、立て看板の脚部のうち、水平に延びる脚部水平部材を係留可能な第2の係留部を、前記基部の前記長手方向に、前記第1の係留部と干渉しない位置に有し、前記第2の係留部は、自立した状態にある前記立て看板の前記脚部水平部材を、地面側から保持すること、を特徴とする。
(3)(1)または(2)に記載するバリケード転倒防止具において、前記基部は、中空状の部材で形成されていること、を特徴とする。
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載するバリケード転倒防止具において、手で把持可能な把持部を、前記基部に有していること、を特徴とする。
(1)左右両側に有するA字形状の脚部同士を、棒状の連結部材で、互いに平行に接続してなるA型バリケードを支えるバリケード転倒防止具において、長尺状の基部と、その長手方向両側に接続した一対の支持部とを含む本体部と、前記A型バリケードの前記連結部材を係留可能な第1の係留部と、を有し、地面に自立した状態の前記A型バリケードに対し、地面と前記連結部材との距離である地上高に比べ、前記本体部の高さは、低く形成され、前記第1の係留部は、前記基部に、前記長手方向に沿って配設されていること、自立した状態にある前記A型バリケードに対し、前記本体部は、前記連結部材と交差する向きに前記基部を配置すると共に、地面に接地した状態で、前記第1の係留部は、地面側から前記連結部材を保持すること、を特徴とする。
(2)(1)に記載するバリケード転倒防止具において、立て看板の脚部のうち、水平に延びる脚部水平部材を係留可能な第2の係留部を、前記基部の前記長手方向に、前記第1の係留部と干渉しない位置に有し、前記第2の係留部は、自立した状態にある前記立て看板の前記脚部水平部材を、地面側から保持すること、を特徴とする。
(3)(1)または(2)に記載するバリケード転倒防止具において、前記基部は、中空状の部材で形成されていること、を特徴とする。
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載するバリケード転倒防止具において、手で把持可能な把持部を、前記基部に有していること、を特徴とする。
上記構成を有する本考案に係るバリケード転倒防止具の作用・効果について説明する。
(1)左右両側に有するA字形状の脚部同士を、棒状の連結部材で、互いに平行に接続してなるA型バリケードを支えるバリケード転倒防止具において、長尺状の基部と、その長手方向両側に接続した一対の支持部とを含む本体部と、A型バリケードの連結部材を係留可能な第1の係留部と、を有し、地面に自立した状態のA型バリケードに対し、地面と連結部材との距離である地上高に比べ、本体部の高さは、低く形成され、第1の係留部は、基部に、長手方向に沿って配設されていること、自立した状態にあるA型バリケードに対し、本体部は、連結部材と交差する向きに基部を配置すると共に、地面に接地した状態で、第1の係留部は、地面側から連結部材を保持すること、を特徴とする。
この特徴により、例えば、実施形態において、図4に示すように、赤色工事灯等、工事用設備を取付けたA型バリケードや、A型バリケード単体をはじめ、図5に示すように、通行する人等に注意喚起を促す看板を、複数並置(いわゆる三連看板)して取付けたA型バリケード、図6に示すように、立て看板と並置したA型バリケード等を対象に、外力が、例えば、人や自転車等の接触による衝撃、振動や、強風等に起因して、地面に自立しているA型バリケード等に作用しても、本考案のバリケード転倒防止具は、特に前傾側や後傾側に向けたA型バリケードの転倒を、より効果的に防止することができる。
特に、いわゆる三連看板がA型バリケード上方に設けられていると、このような背高な三連看板付きのA型バリケードの重心位置は、上方寄りになり、かつ看板自体が、風の受圧面となるため、A型バリケード単体に比べ、三連看板付きのA型バリケードは、外部から作用する風等の外力により、極めて転倒し易い状態にある。本考案のバリケード転倒防止具では、長尺状の基部とその両側に接続した一対の支持部とを含む本体部を、地面に接地した状態の下、第1の係留部により、A型バリケードの連結部材を、地面側から係留するため、三連看板付きのA型バリケードでも、前傾側や後傾側に向けた転倒を、より効果的に防止することができる。
また、本考案のバリケード転倒防止具は、A型バリケードの重量を実質的に増やしてA型バリケードの転倒を防ぐ特許文献1等のような従来の転倒防止手段に比べ、軽量化することができる。そのため、作業者にとって、本考案のバリケード転倒防止具の持ち運びに伴う負担や、工事現場におけるこのバリケード転倒防止具の設置・撤去に伴う負担を、より軽減することができる。しかも、本考案のバリケード転倒防止具は、単に地面に置き、A型バリケードの連結部材を、地面側から第1の係留部に係留させるだけで、自立したA型バリケードの転倒を防止することができる。それ故に、現場では、本考案のバリケード転倒防止具の使い勝手は良く、作業者にとって、本考案のバリケード転倒防止具の取扱いも容易である。
従って、本考案に係るバリケード転倒防止具によれば、作業者にとって、取扱いが容易で、現場での使い勝手も良く、いわゆる三連看板がバリケードに取付けられている状態であっても、自立状態にあるバリケード等の転倒を、より確かに防止することができる、という優れた効果を奏する。
(2)に記載するバリケード転倒防止具において、立て看板の脚部のうち、水平に延びる脚部水平部材を係留可能な第2の係留部を、基部の長手方向に、第1の係留部と干渉しない位置に有し、第2の係留部は、自立した状態にある立て看板の脚部水平部材を、地面側から保持すること、を特徴とする。
この特徴により、立て看板を、A型バリケードと隣接して立てる場合に、立て看板に取付ける重りを、別途必要とせず、無駄なく、本考案に係るバリケード転倒防止具1つで、立て看板とA型バリケードとを、並べて設置することができる。そして、前述したように、例えば、人や自転車等の接触による衝撃、振動や、強風等に起因した外力が、地面に自立しているA型バリケードや立て看板に作用しても、本考案に係るバリケード転倒防止具は、前傾側や後傾側に向けて、A型バリケードの転倒を防ぐと共に、立て看板の転倒も、より効果的に防止することができる。
(3)に記載するバリケード転倒防止具において、基部は、中空状の部材で形成されていること、を特徴とする。
この特徴により、本考案に係るバリケード転倒防止具は、A型バリケード等の転倒防止の効果を維持したまま、自重の軽量化を図って構成することができる。
(4)に記載するバリケード転倒防止具において、手で把持可能な把持部を、前記基部に有していること、を特徴とする。
この特徴により、本考案に係るバリケード転倒防止具の可搬性は向上するため、作業者は、このバリケード転倒防止具を持ち運び易い。
以下、本考案に係るバリケード転倒防止具について、実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。本考案に係るバリケード転倒防止具は、本実施形態では、人や自動車等による通行を伴った場所で工事を実施するにあたり、現場で設置されるA型バリケードや、工事に関係した立て看板を支える目的で使用する場合を挙げて、説明する。
はじめに、A型バリケードと立て看板について、簡単に説明する。図7は、実施形態に係るバリケード転倒防止具の装着対象である周知のA型バリケードを示す斜視図である。なお、A型バリケード50において、図7中、左上‐右下方向を、立て看板60において、図8中、左上‐右下方向を、それぞれ左右方向Wと定義する。
図7に示すように、A型バリケード50は、左右方向W両側に有する一対のA字状脚部51(A字形状の脚部)同士を、2本の棒状の連結部材52で、互いに平行に接続してなる周知のバリケードである。A型バリケード50では、A字状脚部51をなす2本の脚51aが、回動軸53を中心に相対的に回動することで、双方の脚51aの下方側同士が、互いに近接または離間を可能とした構造で設けられている。
双方の脚51aの下方側同士が近接すると、2本の脚51aは閉脚し、A型バリケード50は、折り畳まれた状態となる。その反対に、折り畳まれた状態のA型バリケード50に対し、双方の脚51aの下方側同士が離間すると、2本の脚51aは、略山型形状に開脚して、A型バリケード50は、地面Gに自立することができる。一対のA字状脚部51では、同じ側に位置する脚51a同士は、水平に延びる連結部材52を介して連結されている。地面Gに自立した状態のA型バリケード50に対し、地面Gと連結部材52との距離は、地上高h1(0<h1)である。
図8は、実施形態に係るバリケード転倒防止具の装着対象である周知の立て看板を示す斜視図である。図8に示すように、立て看板60は、脚部61と標示面66を有した周知のスタンド式看板である。立て看板60には、現場周辺を通行する人や自動車等に注意喚起を促すために設置される。例えば、「電気工事を行っています」、「工事中につき速度厳守」、「停止位置」、「工事中 左によってください」、「この先工事につき左折禁止」、「道路工事中」、「工事標示看板」等に挙げられるように、工事に関係した内容が、標示面66に記されている。
脚部61では、左右方向W両側とも、標示面66を取付けた主脚62に対し、補助脚63が、回動軸65を中心に相対的に回動することで、補助脚63の下方側が、主脚62と、互いに近接または離間する構造で設けられている。左右方向W両側の補助脚63は、水平に延びる脚部水平部材64を介して連結されている。地面Gに自立した状態の立て看板60に対し、地面Gと脚部水平部材64との距離は、地上高h2(0<h2)である。
双方とも、補助脚63の下方側が主脚62に近接すると、2本の補助脚63は閉脚し、立て看板60は、折り畳まれた状態となる。その反対に、折り畳まれた状態の立て看板60に対し、補助脚63の下方側が主脚62と離間すると、補助脚63は、主脚62と共に略山型形状に開脚して、立て看板60は、地面Gに自立することができる。
次に、本実施形態に係るバリケード転倒防止具1の構成について、説明する。図1は、実施形態に係るバリケード転倒防止具を示す斜視図である。図2は、実施形態に係るバリケード転倒防止具を上方から示す平面図であり、その側面図を、図3に示す。なお、バリケード転倒防止具1において、図1中、左下‐右上方向を「長手方向X」とし、左上‐右下方向を「幅方向Y」とし、「長手方向X」と「幅方向Y」に直交する方向を「上下方向Z」として、バリケード転倒防止具1の各方向を定義し、図2以降についても、図1で定義した方向に準じる。
図1〜図3に示すように、バリケード転倒防止具1は、基部3と、支持部4と、把持部5と、第1係留部10(第1の係留部)と、第2係留部20(第2の係留部)等を有している。基部3は、中空状の部材からなり、真直ぐに延びる長尺状に形成されている。具体的には、基部3は、例えば、外形の一辺が20〜70mm程で、長手方向Xに対し、500〜1200mm程の全長を有する構造用角型鋼管等からなる。
なお、基部3の全長は、後に詳述するように、バリケード転倒防止具1に取付ける装着対象を、例えば、A型バリケード50単体、または立て看板60単体とする場合に、概ね500〜800mm程である。また、いわゆる三連看板として、3種の看板71(図5参照)を、A型バリケード50上方に並置して取付ける場合や、A型バリケード50と立て看板60とを並置する場合には、基部3の全長は、概ね700〜1200mm程であり、バリケード転倒防止具1への装着対象によって異なる。
支持部4は、平板状の部材からなる。支持部4は、基部3とその長手方向X両側で、それぞれ幅方向Yに沿って配置され、リブ6による補強を加えて基部3に接続されている。これにより、基部3と一対の支持部4を含む本体部2が、H字型形状をなして構成されている。本体部2の高さH(0<H)は、A型バリケード50の地上高h1より低くなっていると共に、立て看板60の地上高h2より低くなっている。
バリケード転倒防止具1は、手で把持可能な把持部5を具備している。把持部5は、作業者にとって、バリケード転倒防止具1を可搬し易い基部3の中央部に設けられている。
第1係留部10は、A型バリケード50の連結部材52を係留可能に形成されており、図1〜図3に示すように、2つの第1係留部10が、1組となっている。具体的には、2つとも、第1係留部10は、基部3上面に垂設された板状の水平方向規制部材11と、基部3上面と平行に配置された板状の鉛直方向規制部材12とを、90°の角度で連結させた逆さL字形状に形成されている。
これらの第1係留部10は、基部3上面の長手方向Xに沿い、対向した配置で設けられており、基部3の長手方向X一端側(図2中、上側)にある最寄りの支持部4A(4)と、この支持部4Aと隣接する第1係留部10とは、例えば、200〜400mm程度の距離を介して、離間している。また、互いに対向する第1係留部10では、双方の水平方向規制部材11同士は、A型バリケード50において、2本の連結部材52同士の間隔に対応して、その距離分だけ離間している。
第2係留部20は、立て看板60の脚部61のうち、脚部水平部材64を係留可能に形成されており、図1〜図3に示すように、2つの第2係留部20が、1組となっている。
具体的には、一方の第2係留部20は、基部3上面に垂設された板状の水平方向規制部材21と、基部3上面と平行に配置された板状の鉛直方向規制部材22とを、90°の角度で連結させた逆さL字形状に形成されている。鉛直方向規制部材22では、その先端側の角部が面取りされており、立て看板60の脚部水平部材64が、一方の第2係留部20に係留し易くなっている。また、他方の第2係留部20は、基部3側面に垂設された棒状の水平方向規制部材23によって、形成されている。
これらの第2係留部20は、基部3上面のうち、2つの第1係留部10と干渉しない配置で、長手方向Xに沿った部位に設けられている。一方の第2係留部20は、基部3の長手方向X他端側(図2中、下側)にある最寄りの支持部4B(4)と、例えば、100〜200mm程度の距離で、離間している。
次に、本実施形態に係るバリケード転倒防止具1の使い方について、説明する。図4は、実施形態に係るバリケード転倒防止具にA型バリケードを装着した様子を、斜視で示す説明図である。図5は、実施形態に係るバリケード転倒防止具に、三連看板をなす3種の看板を取付けたA型バリケードと、立て看板とを装着した様子を、斜視で示す説明図である。図6は、実施形態に係るバリケード転倒防止具に立て看板を装着した様子を、斜視で示す説明図である。
工事現場では、現場内への関係者以外の立ち入りを制限するために、図4に示すように、A型バリケード50が、現場周囲に設置される(第1の用途)。また、その現場周囲の一部には、図5に示すように、必要に応じて、いわゆる三連看板として、並置した3種の看板71が、A型バリケード50上方に取付けられる場所や、立て看板60が、A型バリケード50と並置して立てられる場所がある(第2の用途)。さらに、工事現場と近接した場所で、通行する人や自動車等に、工事に関する情報を事前に提供して、工事の予告を行う場合に、図6に示すように、立て看板60が、設置される(第3の用途)。バリケード転倒防止具1は、主にこのような用途の下で、使用される。
A型バリケード50や立て看板60を、バリケード転倒防止具1に付ける場合、図4〜図6に示すように、作業者は、設置しようとするA型バリケード50の連結部材52や、立て看板60の脚部水平部材64に対し、概ね角度90°に交差した向きに本体部2を配置し、バリケード転倒防止具1を、地面Gに接地した状態で設置する。なお、第1の用途でバリケード転倒防止具1を使用する場合には、安全上、基部3の長手方向X他端側(図4中、左下側)にある支持部4B(4)を現場内に配置して、バリケード転倒防止具1を、地面Gに設置することが好ましい。支持部4A(4)側が、現場の外側に、必要以上にはみ出てしまうことによる通行の妨げを、防ぐためである。
第1の用途や第2の用途で、A型バリケード50を設置する場合には、作業者は、A型バリケード50のA字状脚部51に対し、折り畳まれた状態にある2本の脚51aの下方側同士を開脚して、A型バリケード50を地面Gに自立させる。このとき、作業者は、図3〜図5示すように、先に地面Gに設置したバリケード転倒防止具1の1組の第1係留部10に対し、双方とも鉛直方向規制部材12の下に、かつ水平方向規制部材11同士の間に、A型バリケード50の連結部材52を、2本とも配置した状態で、A型バリケード50を立てる。
これにより、自立した状態にあるA型バリケード50では、2本の連結部材52が、第1係留部10における水平方向規制部材11と鉛直方向規制部材12により、それぞれ地面G側から保持される。かくして、A型バリケード50は、バリケード転倒防止具1に支えられて設置される。
なお、バリケード転倒防止具1で支えるA型バリケード50の態様には、図4に示すように、赤色工事灯72等、工事に関連した設備をA型バリケード50に取付ける場合や、A型バリケード50単体の場合がある。また、図5に示すように、例えば、「止まれ」の看板や、工事中を表す標識のように、通行する人等に注意喚起を促す看板71を3種並置(いわゆる三連看板)してA型バリケード50に取付ける場合もある。バリケード転倒防止具1は、このようなA型バリケード50の態様に拘わらず、第1の用途や第2の用途で使用される。
また、第2の用途や第3の用途で、立て看板60を設置する場合には、作業者は、折り畳まれた状態の立て看板60に対し、補助脚63の下方側と主脚62とを開脚して、地面Gに立て看板60を自立させる。このとき、作業者は、図3、図5、及び図6に示すように、先に地面Gに設置したバリケード転倒防止具1に対し、一方の第2係留部20にある鉛直方向規制部材22の下に、かつその第2係留部20の水平方向規制部材21と、他方の第2係留部20である水平方向規制部材23との間に、脚部水平部材64を配置した状態で、立て看板60を立てる。
これにより、自立した状態にある立て看板60の脚部水平部材64は、1組の第2係留部20において、水平方向規制部材21及び鉛直方向規制部材22と、水平方向規制部材23とにより、それぞれ地面G側から保持される。かくして、立て看板60は、バリケード転倒防止具1に支えられて設置される。
次に、本実施形態に係るバリケード転倒防止具1の作用・効果について説明する。
本実施形態に係るバリケード転倒防止具1は、左右両側Wに有するA字状脚部51同士を、2本の棒状の連結部材52で、互いに平行に接続してなるA型バリケード50を支えるバリケード転倒防止具において、長尺状の基部3と、その長手方向X両側に接続した一対の支持部4とを含む本体部2と、A型バリケード50の連結部材52を係留可能な第1係留部10と、を有し、地面Gに自立した状態のA型バリケード50に対し、地面Gと連結部材52との距離である地上高h1に比べ、本体部2の高さHは、低く形成され、第1係留部10は、基部3に、長手方向Xに沿って配設されていること、自立した状態にあるA型バリケード50に対し、本体部2は、連結部材52と交差する向きに基部3を配置して地面Gに接地され、第1係留部10は、地面G側から連結部材52を保持すること、を特徴とする。
この特徴により、図4に示すように、赤色工事灯72等、工事用設備を取付けたA型バリケード50や、A型バリケード50単体をはじめ、図5に示すように、通行する人等に注意喚起を促す看板71を複数並置(いわゆる三連看板)して取付けたA型バリケード50、図6に示すように、立て看板60と並置したA型バリケード50等を対象に、外力が、例えば、人や自転車等の接触による衝撃、振動や、強風等に起因して、地面Gに自立しているA型バリケード50等に作用しても、バリケード転倒防止具1は、このようなA型バリケード50に対し、特に、図3に示す前傾側Fや後傾側Rに向けた転倒を、より効果的に防止することができる。
すなわち、A型バリケード50は、地面Gに接地した4つ脚51aの接地部位を支点に自立しているため、このような外力がA型バリケード50全体に作用すると、A型バリケード50には、支点を中心とした回転モーメントが生じる。これにより、全4つ脚51aのうち、一部の脚51aは、地面Gから離れてしまい、2本の連結部材52が上方に浮き上がり、A型バリケード50は、前傾側F、または後傾側Rに転倒してしまうこともある。
特に、いわゆる三連看板をなす3種の看板71が、A型バリケード50の上方に取付けられた状態になっていると、このような背高な三連看板付きのA型バリケード50の重心位置は、上方寄りになっている。また、看板71自体が、風の受圧面になっている。そのため、A型バリケード50単体に比べ、三連看板付きのA型バリケード50は、外部から作用する風等の外力により、前傾側F、または後傾側Rに、極めて転倒し易い状態にある。
バリケード転倒防止具1では、本体部2は、A型バリケード50の連結部材52の下に、長尺状の基部3を、この連結部材52と交差する向きに配置し、基部3の長手方向X両端の支持部4で、地面Gに支持した状態で設置される。第1係留部10は、基部3に設けられ、地面G側から連結部材52を保持する。これにより、外力がA型バリケード50に作用したことに伴い、連結部材52に、上方への浮き上がりや、基部3の長手方向Xに、地面Gに沿ったずれ等の動きが生じても、連結部材52のずれは、第1係留部10の水平方向規制部材11によって規制することができ、連結部材52の浮き上がりは、鉛直方向規制部材12によって規制することができる。そのため、前述した支点を中心とした回転モーメントがA型バリケード50に作用しても、本体部2が、地面Gに安定して設置された状態の下で、第1係留部10が、連結部材52の動きを規制する。
それ故に、前述した第1の用途〜第3の用途で、A型バリケード50を設置するにあたり、いわゆる三連看板をなす3種の看板71を、A型バリケード50上方に取付けた背高な三連看板付きのA型バリケード50を設置する場合でも、前傾側Fまたは後傾側RへのA型バリケード50の転倒が、効果的に防止できている。
しかも、バリケード転倒防止具1は、長尺状の基部3に設けた第1係留部10により、地面G側からA型バリケード50の連結部材52を保持するものであるため、A型バリケード50の転倒防止にあたり、A型バリケードの重量を実質的に増やしてA型バリケードの転倒を防ぐ特許文献1等のような従来の転倒防止手段に比べ、軽量化することができる。そのため、作業者にとって、バリケード転倒防止具1の持ち運びに伴う負担や、工事現場におけるバリケード転倒防止具1の設置・撤去に伴う負担を、より軽減することができる。
特に、特許文献1の工事用バリケードウェイトのような従来の転倒防止手段は、重りとして、A型バリケードの脚部に載せるものであるため、作業者への負担が大きく、その取扱いも容易ではない。これに対し、バリケード転倒防止具1は、単に地面Gに置き、連結部材52を、地面G側から第1係留部10に係留させるだけで、自立したA型バリケード50の転倒を防止することができる。よって、現場でのバリケード転倒防止具1の使い勝手は良く、作業者にとって、バリケード転倒防止具1の取扱いも容易である。
従って、本実施形態に係るバリケード転倒防止具1によれば、作業者にとって、取扱いが容易で、現場での使い勝手も良く、いわゆる三連看板がA型バリケード50に取付けられている状態であっても、自立状態にあるA型バリケード50等の転倒を、より確かに防止することができる、という優れた効果を奏する。
また、本実施形態に係るバリケード転倒防止具1では、立て看板60の脚部61のうち、水平に延びる脚部水平部材64を係留可能な第2係留部20を、基部3の長手方向Xに、第1係留部10と干渉しない位置に有し、第2係留部20は、自立した状態にある立て看板60の脚部水平部材64を、地面G側から保持すること、を特徴とする。
この特徴により、図5に示すように、立て看板60を、A型バリケード50と隣接して立てる場合に、立て看板60に取付ける重りを、別途必要とせず、無駄なく、1つのバリケード転倒防止具1で、立て看板60とA型バリケード50とを、並べて設置することができる。そして、前述したように、例えば、人や自転車等の接触による衝撃、振動や、強風等に起因した外力が、地面Gに自立しているA型バリケード50や立て看板60に作用しても、バリケード転倒防止具1は、図3に示す前傾側Fや後傾側Rに向けて、A型バリケード50の転倒を防ぐと共に、立て看板60の転倒も、より効果的に防止することができる。勿論、図6に示すように、前述した第3の用途のように、立て看板60だけを、バリケード転倒防止具1に取付けて立て、その立て看板60の転倒を防止することもできるため、実際の現場では、バリケード転倒防止具1は、用途に汎用性を有した転倒防止手段となり得る。
また、本実施形態に係るバリケード転倒防止具1では、基部3は、中空状の部材で形成されていること、を特徴とする。
この特徴により、バリケード転倒防止具1は、A型バリケード50等の転倒防止の効果を維持したまま、自重の軽量化を図って構成することができる。
また、本実施形態に係るバリケード転倒防止具1では、手で把持可能な把持部5を、基部3に有していること、を特徴とする。
この特徴により、バリケード転倒防止具1の可搬性は向上するため、作業者は、バリケード転倒防止具1を持ち運び易い。
以上において、本考案を実施形態に即して説明したが、本考案は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できる。
(1)例えば、実施形態では、バリケード転倒防止具1の基部3を、構造用角型鋼管で構成したが、基部を中空状の部材で構成する場合、基部の材質は、鋼製に限らず、例えば、アルミニウム製管材、樹脂製管材等に挙げられるように、種々変更可能である。また、基部を中実状の部材で構成する場合には、基部は、例えば、ポリアセタール(POM)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等に挙げられるような、いわゆるエンジニアリング・プラスチックのほか、合成ゴム等、金属よりも小さい比重を有した材料で、構成されていても良い。
(2)実施形態では、工事の現場に設置されるA型バリケード50や、その工事に関係した立て看板60の転倒防止策として、バリケード転倒防止具1を使用した。しかしながら、バリケード転倒防止具は、工事現場向けの用途に限らず、例えば、施設内や野外の駐車場、工場の敷地内等の通路に、安全の確保上、関係者以外の立ち入りを制限するのに設置するバリケードや、その立ち入り制限に関連して立てる立て看板に対し、これらの転倒を未然に防ぐために使用されるものであれば、バリケード転倒防止具の用途は、特に限定されるものではない。
1 バリケード転倒防止具
2 本体部
3 基部
4 支持部
5 把持部
10 第1係留部(第1の係留部)
20 第2係留部(第2の係留部)
50 A型バリケード
51 A字状脚部(A字形状の脚部)
52 連結部材
60 立て看板
61 脚部
62 脚部水平部材
G 地面
H 本体部の高さ
h1 地上高(地面と連結部材との距離)
X 長手方向
2 本体部
3 基部
4 支持部
5 把持部
10 第1係留部(第1の係留部)
20 第2係留部(第2の係留部)
50 A型バリケード
51 A字状脚部(A字形状の脚部)
52 連結部材
60 立て看板
61 脚部
62 脚部水平部材
G 地面
H 本体部の高さ
h1 地上高(地面と連結部材との距離)
X 長手方向
Claims (4)
- 左右両側に有するA字形状の脚部同士を、棒状の連結部材で、互いに平行に接続してなるA型バリケードを支えるバリケード転倒防止具において、
長尺状の基部と、その長手方向両側に接続した一対の支持部とを含む本体部と、
前記A型バリケードの前記連結部材を係留可能な第1の係留部と、を有し、
地面に自立した状態の前記A型バリケードに対し、地面と前記連結部材との距離である地上高に比べ、前記本体部の高さは、低く形成され、前記第1の係留部は、前記基部に、前記長手方向に沿って配設されていること、
自立した状態にある前記A型バリケードに対し、前記本体部は、前記連結部材と交差する向きに前記基部を配置すると共に、地面に接地した状態で、前記第1の係留部は、地面側から前記連結部材を保持すること、
を特徴とするバリケード転倒防止具。 - 請求項1に記載するバリケード転倒防止具において、
立て看板の脚部のうち、水平に延びる脚部水平部材を係留可能な第2の係留部を、前記基部の前記長手方向に、前記第1の係留部と干渉しない位置に有し、
前記第2の係留部は、自立した状態にある前記立て看板の前記脚部水平部材を、地面側から保持すること、
を特徴とするバリケード転倒防止具。 - 請求項1または請求項2に記載するバリケード転倒防止具において、
前記基部は、中空状の部材で形成されていること、
を特徴とするバリケード転倒防止具。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載するバリケード転倒防止具において、
手で把持可能な把持部を、前記基部に有していること、
を特徴とするバリケード転倒防止具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020004258U JP3229830U (ja) | 2020-10-01 | 2020-10-01 | バリケード転倒防止具 |
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