JP3227554B2 - 2価鉄含有排水の処理方法 - Google Patents
2価鉄含有排水の処理方法Info
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- Activated Sludge Processes (AREA)
- Purification Treatments By Anaerobic Or Anaerobic And Aerobic Bacteria Or Animals (AREA)
- Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は排水の生物学的処理、よ
り詳細には、鉄酸化細菌を用いて2価鉄を含む排水を生
物学的に効率的かつ安定的に処理する方法に関するもの
である。
り詳細には、鉄酸化細菌を用いて2価鉄を含む排水を生
物学的に効率的かつ安定的に処理する方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】2価鉄を含む排水は、製鉄業、金属精錬
工業、鉱山などから主として発生する。例えば製鉄業に
おいては、冷延鋼板あるいは亜鉛メッキ、錫メッキなど
により表面処理鋼板を製造する際に大量に発生する。す
なわち、鋼板表面のスケール、汚れ、酸化膜、錆などを
除去するために、硫酸または塩酸により鋼板の洗浄(酸
洗処理)が行われる。また、この他に鋼材の清浄化にも
酸洗処理が広く行われる。これらの鉄鋼材料の酸洗処理
には、濃度3〜20%程度の塩酸、硫酸などが用いられ
ることが多い。しかし、これらの酸は、一定期間以上使
用し、酸洗能力が低下すると廃棄される。また、鉄鋼材
料は酸洗後、鉄鋼材料に付着している塩酸、硫酸などを
除去するために大量の水によって洗浄されるが、これら
の洗浄水も廃棄される。
工業、鉱山などから主として発生する。例えば製鉄業に
おいては、冷延鋼板あるいは亜鉛メッキ、錫メッキなど
により表面処理鋼板を製造する際に大量に発生する。す
なわち、鋼板表面のスケール、汚れ、酸化膜、錆などを
除去するために、硫酸または塩酸により鋼板の洗浄(酸
洗処理)が行われる。また、この他に鋼材の清浄化にも
酸洗処理が広く行われる。これらの鉄鋼材料の酸洗処理
には、濃度3〜20%程度の塩酸、硫酸などが用いられ
ることが多い。しかし、これらの酸は、一定期間以上使
用し、酸洗能力が低下すると廃棄される。また、鉄鋼材
料は酸洗後、鉄鋼材料に付着している塩酸、硫酸などを
除去するために大量の水によって洗浄されるが、これら
の洗浄水も廃棄される。
【0003】これらの排水はpHが2〜3と低く、ま
た、大量の2価鉄を含んでおり、このまま公共用水域に
放流することはできない。さらに、亜鉛メッキ、錫メッ
キなどの表面処理鋼板の酸洗排水の場合、2価鉄の他
に、亜鉛、錫、クロムなどの金属イオンを含有してい
る。また、良好なメッキ性を得るために用いられる有機
化合物を含有している場合もある。したがって、これら
の金属イオンやCODによって表示される有機化合物も
2価鉄と同様に除去してから公共用水域に放流する必要
がある。
た、大量の2価鉄を含んでおり、このまま公共用水域に
放流することはできない。さらに、亜鉛メッキ、錫メッ
キなどの表面処理鋼板の酸洗排水の場合、2価鉄の他
に、亜鉛、錫、クロムなどの金属イオンを含有してい
る。また、良好なメッキ性を得るために用いられる有機
化合物を含有している場合もある。したがって、これら
の金属イオンやCODによって表示される有機化合物も
2価鉄と同様に除去してから公共用水域に放流する必要
がある。
【0004】このような排水中の2価鉄の除去方法に
は、大きく分けて物理化学的方法と生物学的方法とがあ
る。
は、大きく分けて物理化学的方法と生物学的方法とがあ
る。
【0005】物理化学的方法には以下の方法がある。
【0006】まず、2価鉄を3価鉄まで空気酸化し、水
酸化第二鉄として除去する方法がある。しかし、2価鉄
から3価鉄への酸化速度は、pHが4以下では極めて遅
く、ほとんど反応は進行しない。例えば、W・スタム、
J・J・モルガン著、「一般水質化学」、共立出版、5
00〜501頁に記載されているように、150日に反
応の5%が進行するのみである。したがって、通常は2
価鉄を含む排水に水酸化カルシウム、炭酸カルシウムな
どのアルカリ剤を添加してpHを9〜9.5に維持し、
大量の空気を吹き込んで2価鉄を3価鉄まで空気酸化し
た後、水酸化第二鉄として除去している。なお、水酸化
第二鉄は、pHを4以上にすれば溶解度が5.6mg/
l以下と小さく、また、沈降性も良好なので処理水への
流出が少ないが、水酸化第一鉄は、pHを9以上にしな
ければ溶解度が5.6mg/l以下とならず、また、沈
降速度も遅いためほとんど用いられない。
酸化第二鉄として除去する方法がある。しかし、2価鉄
から3価鉄への酸化速度は、pHが4以下では極めて遅
く、ほとんど反応は進行しない。例えば、W・スタム、
J・J・モルガン著、「一般水質化学」、共立出版、5
00〜501頁に記載されているように、150日に反
応の5%が進行するのみである。したがって、通常は2
価鉄を含む排水に水酸化カルシウム、炭酸カルシウムな
どのアルカリ剤を添加してpHを9〜9.5に維持し、
大量の空気を吹き込んで2価鉄を3価鉄まで空気酸化し
た後、水酸化第二鉄として除去している。なお、水酸化
第二鉄は、pHを4以上にすれば溶解度が5.6mg/
l以下と小さく、また、沈降性も良好なので処理水への
流出が少ないが、水酸化第一鉄は、pHを9以上にしな
ければ溶解度が5.6mg/l以下とならず、また、沈
降速度も遅いためほとんど用いられない。
【0007】さらに、排水に含まれている2価鉄を3価
鉄まで次亜塩素酸ソーダ、過酸化水素などの薬剤やオゾ
ンなどを用いて酸化し、水酸化第二鉄として処理する方
法も広く知られている。
鉄まで次亜塩素酸ソーダ、過酸化水素などの薬剤やオゾ
ンなどを用いて酸化し、水酸化第二鉄として処理する方
法も広く知られている。
【0008】次に、生物学的方法には、2価鉄を3価鉄
まで酸化する際に発生するエネルギーを用いて増殖する
鉄酸化細菌を用いる方法がある。鉄酸化細菌は中性・糸
状細菌と酸性・非糸状細菌に大別されるが、ここで用い
る細菌は後者の酸性・非糸状細菌であり、例えば、「土
壌微生物実験法」、養賢堂、329〜331頁、197
5に記載されているように、化学合成独立細菌であるチ
オバチラス・フェロオキシダンス(Thiobachi
llus ferrooxidans)が代表的な細菌
である。廃水中の2価鉄を3価鉄までいわゆる鉄酸化細
菌によって酸化する生物学的方法には、特公昭47−3
8981号公報、特公昭55−18559号公報、特公
昭55−22345号公報、特公昭57−44393号
公報記載の方法などが知られている。これらの方法の対
象の廃水は、鉱山、炭鉱、精錬廃水などであり、用いら
れる細菌は、金属鉱山廃水などに存在している鉄酸化細
菌である。また、特開昭63−51076号公報に記載
されている鉄酸化細菌を用いる方法は、鉄鋼関連の酸洗
工程とメッキ工程から排出された集水ピットに生息して
いるバクテリアの集合体であるスラッジやスライム中の
鉄酸化細菌を利用し、2価鉄を3価鉄まで酸化すると同
時に有機物を除去する方法である。
まで酸化する際に発生するエネルギーを用いて増殖する
鉄酸化細菌を用いる方法がある。鉄酸化細菌は中性・糸
状細菌と酸性・非糸状細菌に大別されるが、ここで用い
る細菌は後者の酸性・非糸状細菌であり、例えば、「土
壌微生物実験法」、養賢堂、329〜331頁、197
5に記載されているように、化学合成独立細菌であるチ
オバチラス・フェロオキシダンス(Thiobachi
llus ferrooxidans)が代表的な細菌
である。廃水中の2価鉄を3価鉄までいわゆる鉄酸化細
菌によって酸化する生物学的方法には、特公昭47−3
8981号公報、特公昭55−18559号公報、特公
昭55−22345号公報、特公昭57−44393号
公報記載の方法などが知られている。これらの方法の対
象の廃水は、鉱山、炭鉱、精錬廃水などであり、用いら
れる細菌は、金属鉱山廃水などに存在している鉄酸化細
菌である。また、特開昭63−51076号公報に記載
されている鉄酸化細菌を用いる方法は、鉄鋼関連の酸洗
工程とメッキ工程から排出された集水ピットに生息して
いるバクテリアの集合体であるスラッジやスライム中の
鉄酸化細菌を利用し、2価鉄を3価鉄まで酸化すると同
時に有機物を除去する方法である。
【0009】鉄酸化細菌を用いる生物学的方法は、pH
が2〜3で棲息あるいは活性のある鉄酸化細菌により2
価鉄を含む排水を処理すれば、pHが低い段階で2価鉄
を3価鉄まで迅速に酸化することができる。また、鉄酸
化細菌により2価鉄を含む排水を酸化処理した後pHを
2〜4に調整することにより、3価鉄を水酸化第二鉄と
して回収することが可能である。また、この場合、排水
中の3価鉄は水酸化第二鉄として沈殿除去できるが、排
水に含まれる他の亜鉛、錫などの金属は、水酸化物を作
らない。したがって、鉄のみを他の金属から分離して回
収することが可能である。さらに、鉄酸化細菌を用いる
生物学的方法は、物理化学的方法と比較して、処理コス
トが小さい。
が2〜3で棲息あるいは活性のある鉄酸化細菌により2
価鉄を含む排水を処理すれば、pHが低い段階で2価鉄
を3価鉄まで迅速に酸化することができる。また、鉄酸
化細菌により2価鉄を含む排水を酸化処理した後pHを
2〜4に調整することにより、3価鉄を水酸化第二鉄と
して回収することが可能である。また、この場合、排水
中の3価鉄は水酸化第二鉄として沈殿除去できるが、排
水に含まれる他の亜鉛、錫などの金属は、水酸化物を作
らない。したがって、鉄のみを他の金属から分離して回
収することが可能である。さらに、鉄酸化細菌を用いる
生物学的方法は、物理化学的方法と比較して、処理コス
トが小さい。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従来の2価鉄を含む排
水の処理方法は、以下のような課題を有している。
水の処理方法は、以下のような課題を有している。
【0011】まず、物理化学的方法であるが、pHが低
い段階で曝気によって2価鉄を3価鉄まで酸化し、水酸
化第二鉄として回収する方法は、処理速度が極めて遅
く、実用化はほとんど不可能である。2価鉄を含む排水
にアルカリ剤を添加してpHを9〜9.5に維持し、大
量の空気を吹き込んで2価鉄を3価鉄まで空気酸化した
後、水酸化第二鉄として回収する方法は、処理水への流
出が少ないという利点がある反面、鉄以外の金属も水酸
化物として析出してしまうため、鉄のみの分離回収がで
きず、また、このスラッジは発生量も大きく、大量のカ
ルシウム化合物、鉄、亜鉛、錫などの水酸化物を含有し
ているため、スラッジの有効利用がほとんど不可能であ
る問題がある。また、2価鉄を薬剤で酸化する方法は、
酸化剤の添加量の制御が難しく処理水質が安定しない
し、2価鉄の濃度が高い場合、酸化剤の処理コストが極
めて高くなる欠点がある。
い段階で曝気によって2価鉄を3価鉄まで酸化し、水酸
化第二鉄として回収する方法は、処理速度が極めて遅
く、実用化はほとんど不可能である。2価鉄を含む排水
にアルカリ剤を添加してpHを9〜9.5に維持し、大
量の空気を吹き込んで2価鉄を3価鉄まで空気酸化した
後、水酸化第二鉄として回収する方法は、処理水への流
出が少ないという利点がある反面、鉄以外の金属も水酸
化物として析出してしまうため、鉄のみの分離回収がで
きず、また、このスラッジは発生量も大きく、大量のカ
ルシウム化合物、鉄、亜鉛、錫などの水酸化物を含有し
ているため、スラッジの有効利用がほとんど不可能であ
る問題がある。また、2価鉄を薬剤で酸化する方法は、
酸化剤の添加量の制御が難しく処理水質が安定しない
し、2価鉄の濃度が高い場合、酸化剤の処理コストが極
めて高くなる欠点がある。
【0012】従来の鉄酸化細菌を用いる生物学的方法に
も以下のような課題が残されている。
も以下のような課題が残されている。
【0013】まず、通常、鉄酸化細菌は金属硫化物の鉱
石、とくに黄鉄鉱(FeS2 )を含む鉱山からの排水が
生じる場所や製鉄所の酸洗排水ピットに多く見られる。
これらの場所から汚泥やスラッジを採取し、FeSO4
を中心とした溶液、例えば「土壌微生物実験法」、養賢
堂、394頁記載の9K倍地を用いて鉄酸化細菌を増殖
させ、その後、排水処理に用いることが多い。このよう
な鉄酸化細菌を入手できる場所は、pHが低く、かつ2
価鉄が存在し、好気的雰囲気が保たれている極めて特殊
な地点に限られている。このため、このような環境が無
い場所では鉄酸化細菌を増殖させることがかなり困難で
ある。したがって、鉄酸化細菌を大量に培養する技術を
確立することが実用上重要な課題である。
石、とくに黄鉄鉱(FeS2 )を含む鉱山からの排水が
生じる場所や製鉄所の酸洗排水ピットに多く見られる。
これらの場所から汚泥やスラッジを採取し、FeSO4
を中心とした溶液、例えば「土壌微生物実験法」、養賢
堂、394頁記載の9K倍地を用いて鉄酸化細菌を増殖
させ、その後、排水処理に用いることが多い。このよう
な鉄酸化細菌を入手できる場所は、pHが低く、かつ2
価鉄が存在し、好気的雰囲気が保たれている極めて特殊
な地点に限られている。このため、このような環境が無
い場所では鉄酸化細菌を増殖させることがかなり困難で
ある。したがって、鉄酸化細菌を大量に培養する技術を
確立することが実用上重要な課題である。
【0014】さらに、このような鉄酸化細菌は、数1の
反応式に見られるように金属硫化物を含む環境に生息し
ていることが多い。このため、従来の鉄酸化細菌は、F
eSO4 は酸化できるが、FeCl2 などの塩素イオン
が存在する場合には塩素イオンの阻害を受けやすい欠点
がある。塩素イオンが硝化細菌などある種の細菌の成育
に阻害作用を有することは広く認められているが、鉄鋼
排水の場合、例えばHClを用いる酸洗排水に対してこ
の鉄酸化細菌を使用すると、塩素イオン濃度としては3
000〜4000mg/l程度が限界であり、これ以上
の塩素イオン濃度になると2価鉄の酸化率が急速に低下
する。したがって、塩素イオン耐性の高い鉄酸化細菌を
大量かつ迅速に培養する技術を確立することが重要な課
題である。
反応式に見られるように金属硫化物を含む環境に生息し
ていることが多い。このため、従来の鉄酸化細菌は、F
eSO4 は酸化できるが、FeCl2 などの塩素イオン
が存在する場合には塩素イオンの阻害を受けやすい欠点
がある。塩素イオンが硝化細菌などある種の細菌の成育
に阻害作用を有することは広く認められているが、鉄鋼
排水の場合、例えばHClを用いる酸洗排水に対してこ
の鉄酸化細菌を使用すると、塩素イオン濃度としては3
000〜4000mg/l程度が限界であり、これ以上
の塩素イオン濃度になると2価鉄の酸化率が急速に低下
する。したがって、塩素イオン耐性の高い鉄酸化細菌を
大量かつ迅速に培養する技術を確立することが重要な課
題である。
【0015】
【数1】2FeS2 +2H2 O+7O2 → 2FeSO
4 +2H2 SO4 2FeSO4 +2H2 SO4 +O2 → 2Fe2 (SO
4 )3 +2H2 O
4 +2H2 SO4 2FeSO4 +2H2 SO4 +O2 → 2Fe2 (SO
4 )3 +2H2 O
【0016】特願平6−220822号明細書には、塩
素イオン耐性がある鉄酸化細菌の増殖方法が記載されて
いる。これは、2価鉄を酸化するとともに塩素イオン耐
性がある鉄酸化細菌は、都市下水や産業廃水の有機物の
処理を行っている活性汚泥から容易に大量に増殖できる
こと、さらに、この鉄酸化細菌は、馴養によって、海水
程度の塩素イオン濃度(20000mg/l)があって
も、pHが2〜3の領域で2価鉄を酸化できることに基
づく。
素イオン耐性がある鉄酸化細菌の増殖方法が記載されて
いる。これは、2価鉄を酸化するとともに塩素イオン耐
性がある鉄酸化細菌は、都市下水や産業廃水の有機物の
処理を行っている活性汚泥から容易に大量に増殖できる
こと、さらに、この鉄酸化細菌は、馴養によって、海水
程度の塩素イオン濃度(20000mg/l)があって
も、pHが2〜3の領域で2価鉄を酸化できることに基
づく。
【0017】しかし、このような鉄酸化細菌を用いる処
理方法にも以下のような課題が残されている。
理方法にも以下のような課題が残されている。
【0018】まず、有機物を分解するような従属栄養細
菌と比較すると、鉄酸化細菌は増殖速度が極めて小さ
く、また、フロックを形成する能力が小さい。したがっ
て、曝気槽での鉄酸化細菌の濃度管理が極めて重要であ
る。しかも、従来の処理方法では、図3に示すように、
曝気槽での鉄酸化細菌の濃度は鉄酸化細菌の沈殿池での
沈降性、濃縮性に支配されており、曝気槽での鉄酸化細
菌の高濃度化に限界がある。また、曝気槽のエアレーシ
ョン量が過大であると鉄酸化細菌のフロックが破壊さ
れ、SSとして沈殿池から処理水に流出してしまう。こ
の結果、沈殿池から曝気槽に鉄酸化細菌が返送されない
ため、曝気槽の鉄酸化細菌の濃度が急速に低下する場合
がある。さらに、排水の濃度変動、水量変動、水温変動
が繁雑に起こると、鉄酸化細菌の沈降性が急激に悪化
(バルキング現象)する場合がある。この場合、沈殿池
から鉄酸化細菌のフロックが処理水に流出してしまう。
この結果、やはり、沈殿池から曝気槽に鉄酸化細菌が返
送されないため、曝気槽の鉄酸化細菌の濃度が急速に低
下してしまう。
菌と比較すると、鉄酸化細菌は増殖速度が極めて小さ
く、また、フロックを形成する能力が小さい。したがっ
て、曝気槽での鉄酸化細菌の濃度管理が極めて重要であ
る。しかも、従来の処理方法では、図3に示すように、
曝気槽での鉄酸化細菌の濃度は鉄酸化細菌の沈殿池での
沈降性、濃縮性に支配されており、曝気槽での鉄酸化細
菌の高濃度化に限界がある。また、曝気槽のエアレーシ
ョン量が過大であると鉄酸化細菌のフロックが破壊さ
れ、SSとして沈殿池から処理水に流出してしまう。こ
の結果、沈殿池から曝気槽に鉄酸化細菌が返送されない
ため、曝気槽の鉄酸化細菌の濃度が急速に低下する場合
がある。さらに、排水の濃度変動、水量変動、水温変動
が繁雑に起こると、鉄酸化細菌の沈降性が急激に悪化
(バルキング現象)する場合がある。この場合、沈殿池
から鉄酸化細菌のフロックが処理水に流出してしまう。
この結果、やはり、沈殿池から曝気槽に鉄酸化細菌が返
送されないため、曝気槽の鉄酸化細菌の濃度が急速に低
下してしまう。
【0019】このような課題を解決するためには、沈殿
池を大型化することも考えられるが、バルキング時の沈
殿池の設計手法は確立されておらず、また、設備コスト
の増大を招いてしまう。
池を大型化することも考えられるが、バルキング時の沈
殿池の設計手法は確立されておらず、また、設備コスト
の増大を招いてしまう。
【0020】さらに、従来の鉄酸化細菌を用いる処理方
法は、図3に示すように、主として曝気槽3と沈殿池2
7を用い、曝気槽3で鉄酸化細菌の濃度を維持するため
には、沈殿池27から鉄酸化細菌を曝気槽3に返送する
必要がある。ところが、沈殿池27において濃縮された
鉄酸化細菌の濃度が20〜60重量%にもなり、しか
も、この大半は鉄の酸化物であるため、沈殿池27の付
帯設備である沈殿池レーキ、汚泥返送ポンプ28、返送
用配管の仕様(強度耐酸性、配管流速)の設備コストが
増大してしまう。さらに、鉄酸化細菌が返送用配管で堆
積したり、閉塞が生じ易いなど維持管理上の問題点を有
している。
法は、図3に示すように、主として曝気槽3と沈殿池2
7を用い、曝気槽3で鉄酸化細菌の濃度を維持するため
には、沈殿池27から鉄酸化細菌を曝気槽3に返送する
必要がある。ところが、沈殿池27において濃縮された
鉄酸化細菌の濃度が20〜60重量%にもなり、しか
も、この大半は鉄の酸化物であるため、沈殿池27の付
帯設備である沈殿池レーキ、汚泥返送ポンプ28、返送
用配管の仕様(強度耐酸性、配管流速)の設備コストが
増大してしまう。さらに、鉄酸化細菌が返送用配管で堆
積したり、閉塞が生じ易いなど維持管理上の問題点を有
している。
【0021】このように、鉄酸化細菌を用いて2価鉄含
有排水を安定的かつ効率的に処理するためには、上述の
課題を解決する必要がある。
有排水を安定的かつ効率的に処理するためには、上述の
課題を解決する必要がある。
【0022】そこで本発明は、鉄酸化細菌の濃度管理を
容易に行えるとともに、2価鉄を効率的に酸化する処理
方法を確立し、上述の課題を解決する。
容易に行えるとともに、2価鉄を効率的に酸化する処理
方法を確立し、上述の課題を解決する。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明は、曝気槽で鉄酸
化細菌によって2価鉄含有排水中の2価鉄を酸化する2
価鉄含有排水の処理方法において、pHが2〜3である
曝気槽内に形成された3価の水酸化鉄を、孔径1〜20
ミクロンの膜を用いて分離して、水酸化鉄に付着した鉄
酸化細菌を分離することを特徴とする2価鉄含有排水の
処理方法である。膜分離装置としてセラミックスを素材
とする膜を用いることが好ましい。
化細菌によって2価鉄含有排水中の2価鉄を酸化する2
価鉄含有排水の処理方法において、pHが2〜3である
曝気槽内に形成された3価の水酸化鉄を、孔径1〜20
ミクロンの膜を用いて分離して、水酸化鉄に付着した鉄
酸化細菌を分離することを特徴とする2価鉄含有排水の
処理方法である。膜分離装置としてセラミックスを素材
とする膜を用いることが好ましい。
【0024】
【作用】以下、本発明の作用を詳細に説明する。
【0025】鉄酸化細菌の濃度管理を容易に行うととも
に、2価鉄を効率的に酸化するためには、鉄酸化細菌を
増殖させる曝気槽内に膜分離装置を設置し、処理水と鉄
酸化細菌を分離すればよい。こうすれば、従来の曝気槽
と沈殿池を分離して設置する場合と比較し、より効率的
に、かつ安定して2価鉄を酸化することができる。
に、2価鉄を効率的に酸化するためには、鉄酸化細菌を
増殖させる曝気槽内に膜分離装置を設置し、処理水と鉄
酸化細菌を分離すればよい。こうすれば、従来の曝気槽
と沈殿池を分離して設置する場合と比較し、より効率的
に、かつ安定して2価鉄を酸化することができる。
【0026】膜分離装置に用いる膜の孔径は、いわゆる
精密ろか膜(MF)の孔径で十分であり、1〜20μm
あればよい。これは、鉄酸化細菌自体の大きさは1μm
程度であるが、pHが2〜3の曝気槽内には多くの3価
の水酸化鉄が形成されており、この水酸化鉄の大きさが
20〜50μmであり、鉄酸化細菌はこの水酸化鉄に付
着して生息していると考えられるためである。したがっ
て、膜の孔径が20μm以下であれば、鉄酸化細菌と処
理水に分離できる。さらに、曝気槽における鉄酸化細菌
の補足率をあげるためには、膜の孔径を小さくするのが
有効であるが、水の透過率が低下する問題があり、鉄酸
化細菌自体の大きさも1μm程度であるため、膜の孔径
は最小1μmで十分である。通常、排水処理にこのよう
な孔径の精密ろか膜を使用することは難しいとされてい
るが(小山ら、分離膜の汚染対策と洗浄・回生技術、水
処理技術、Vol.33、No.2、1992)、本発
明方法では、3価の水酸化鉄の形成により鉄酸化細菌の
分離回収が可能になる。
精密ろか膜(MF)の孔径で十分であり、1〜20μm
あればよい。これは、鉄酸化細菌自体の大きさは1μm
程度であるが、pHが2〜3の曝気槽内には多くの3価
の水酸化鉄が形成されており、この水酸化鉄の大きさが
20〜50μmであり、鉄酸化細菌はこの水酸化鉄に付
着して生息していると考えられるためである。したがっ
て、膜の孔径が20μm以下であれば、鉄酸化細菌と処
理水に分離できる。さらに、曝気槽における鉄酸化細菌
の補足率をあげるためには、膜の孔径を小さくするのが
有効であるが、水の透過率が低下する問題があり、鉄酸
化細菌自体の大きさも1μm程度であるため、膜の孔径
は最小1μmで十分である。通常、排水処理にこのよう
な孔径の精密ろか膜を使用することは難しいとされてい
るが(小山ら、分離膜の汚染対策と洗浄・回生技術、水
処理技術、Vol.33、No.2、1992)、本発
明方法では、3価の水酸化鉄の形成により鉄酸化細菌の
分離回収が可能になる。
【0027】次に、膜の材質は、曝気槽のpHが2〜3
程度に維持されるため、耐酸性があることが必須条件で
ある。また、排水の水温が20〜40℃であるため、耐
熱性があること、さらに、曝気槽内で水酸化鉄が形成さ
れ、エアレーションにより流動しているため、耐磨耗性
があることも要求される。膜の材質には、メタル系とし
てステンレス繊維、無機系としてセラミックスやガラス
繊維、有機高分子系としてポリプロピレン、ポリビニル
アルコール、ポリアクリロニトリルなどがあるが、セラ
ミックスは耐酸性、耐磨耗性、耐熱性の点で優れてお
り、最適である。セラミックスの材料としては、シリカ
−アルミナ系の粘土が主体のものが望ましいが、これに
フライアッシュや製鉄所の副産物である高炉水砕スラグ
を混合してもかまわない。
程度に維持されるため、耐酸性があることが必須条件で
ある。また、排水の水温が20〜40℃であるため、耐
熱性があること、さらに、曝気槽内で水酸化鉄が形成さ
れ、エアレーションにより流動しているため、耐磨耗性
があることも要求される。膜の材質には、メタル系とし
てステンレス繊維、無機系としてセラミックスやガラス
繊維、有機高分子系としてポリプロピレン、ポリビニル
アルコール、ポリアクリロニトリルなどがあるが、セラ
ミックスは耐酸性、耐磨耗性、耐熱性の点で優れてお
り、最適である。セラミックスの材料としては、シリカ
−アルミナ系の粘土が主体のものが望ましいが、これに
フライアッシュや製鉄所の副産物である高炉水砕スラグ
を混合してもかまわない。
【0028】本発明の処理方法を実施する前に、まず、
都市下水や産業廃水の有機物の処理を行っている活性汚
泥処理場の活性汚泥から、バッチ処理により鉄酸化細菌
を馴養、増殖する。下水処理場の曝気槽から採取した活
性汚泥を図2に示す鉄酸化細菌処理装置の曝気槽3に投
入し、活性汚泥を沈降させ、上澄液を放流する。既に濃
縮された返送汚泥をそのまま用いてもかまわない。次
に、硫酸第2鉄水溶液(Fe2+濃度:500〜2000
mg/l)およびNH4 −Nを5〜20mg/l、PO
4 −Pを1〜10mg/l程度添加する。その後、曝気
槽3のpHを2〜3に制御しながらエアレーションを連
続して行い、混合液のFe2+がFe3+まで酸化されるこ
とを水質分析によって確認する。この場合、pHを中性
から2〜3程度とするため、pHが中性で活性のある有
機物分解菌はほとんどが死滅する。曝気槽3内でFe2+
が90%以上酸化されたならば、汚泥を沈降させ上澄液
を放流し、先に述べた操作を繰り返す。そして、Fe2+
が90%以上酸化される時間が24時間以内となった段
階で、鉄酸化細菌がある程度増殖したとみなし、バッチ
処理から排水の連続処理に移行する。
都市下水や産業廃水の有機物の処理を行っている活性汚
泥処理場の活性汚泥から、バッチ処理により鉄酸化細菌
を馴養、増殖する。下水処理場の曝気槽から採取した活
性汚泥を図2に示す鉄酸化細菌処理装置の曝気槽3に投
入し、活性汚泥を沈降させ、上澄液を放流する。既に濃
縮された返送汚泥をそのまま用いてもかまわない。次
に、硫酸第2鉄水溶液(Fe2+濃度:500〜2000
mg/l)およびNH4 −Nを5〜20mg/l、PO
4 −Pを1〜10mg/l程度添加する。その後、曝気
槽3のpHを2〜3に制御しながらエアレーションを連
続して行い、混合液のFe2+がFe3+まで酸化されるこ
とを水質分析によって確認する。この場合、pHを中性
から2〜3程度とするため、pHが中性で活性のある有
機物分解菌はほとんどが死滅する。曝気槽3内でFe2+
が90%以上酸化されたならば、汚泥を沈降させ上澄液
を放流し、先に述べた操作を繰り返す。そして、Fe2+
が90%以上酸化される時間が24時間以内となった段
階で、鉄酸化細菌がある程度増殖したとみなし、バッチ
処理から排水の連続処理に移行する。
【0029】膜分離装置4は円筒型のセラミックス膜、
処理水を排出する排出ポンプ19、セラミックス内部洗
浄用ブロアから構成されている。さらに、膜分離装置4
は曝気槽3内の散気管上部に設置されており、散気管に
供給されるエアーにより常時セラミックス膜の排水通水
側は洗浄され、セラミックス膜に付着した鉄酸化細菌を
回収する。
処理水を排出する排出ポンプ19、セラミックス内部洗
浄用ブロアから構成されている。さらに、膜分離装置4
は曝気槽3内の散気管上部に設置されており、散気管に
供給されるエアーにより常時セラミックス膜の排水通水
側は洗浄され、セラミックス膜に付着した鉄酸化細菌を
回収する。
【0030】2価鉄を含有する排水の連続処理は以下の
通り実施する。
通り実施する。
【0031】まず、2価鉄を含有する排水を処理装置の
曝気槽3の水理学的滞留時間(HRT)が12時間にな
るように供給する。続いて、曝気槽3内の膜分離装置4
に接続した排出ポンプ19を稼働させる。処理水の排出
ポンプ19は、曝気槽3に設置した液面スイッチ18と
連動しており、曝気槽3の水位によって制御する。曝気
槽3内の水酸化鉄および鉄酸化細菌は、セラミックス膜
によって流出を阻止される。
曝気槽3の水理学的滞留時間(HRT)が12時間にな
るように供給する。続いて、曝気槽3内の膜分離装置4
に接続した排出ポンプ19を稼働させる。処理水の排出
ポンプ19は、曝気槽3に設置した液面スイッチ18と
連動しており、曝気槽3の水位によって制御する。曝気
槽3内の水酸化鉄および鉄酸化細菌は、セラミックス膜
によって流出を阻止される。
【0032】曝気槽3のエアレーション量は、曝気槽3
のORPによって制御する。実験結果から、Fe2+がF
e3+まで90%以上酸化されれば、曝気槽3のORPは
+550mV(Ag/AgCl電極基準)以上となる。
したがって、曝気槽3のORPは約+550〜+600
mV(Ag/AgCl電極基準)の範囲であれば十分で
あり、曝気槽のORPを+600mV(Ag/AgCl
電極基準)超に維持することは、エアレーション量が過
大と考えられ不経済である。しかし、排水供給当初は曝
気槽3のORPが+550mV以下(Ag/AgCl電
極基準)であり、+550mV以上に維持するのがかな
り困難な場合がある。このような場合は、曝気槽3のD
Oを指標として、曝気槽3のDOが1〜5mg/lに維
持されるように運転する。曝気槽3のDOが1〜5mg
/l存在すれば、DO不足により鉄酸化細菌が阻害を受
けることは無く、また、曝気槽3のDOを5mg/l超
に維持することはエアレーション量が過大となり、不経
済となる。
のORPによって制御する。実験結果から、Fe2+がF
e3+まで90%以上酸化されれば、曝気槽3のORPは
+550mV(Ag/AgCl電極基準)以上となる。
したがって、曝気槽3のORPは約+550〜+600
mV(Ag/AgCl電極基準)の範囲であれば十分で
あり、曝気槽のORPを+600mV(Ag/AgCl
電極基準)超に維持することは、エアレーション量が過
大と考えられ不経済である。しかし、排水供給当初は曝
気槽3のORPが+550mV以下(Ag/AgCl電
極基準)であり、+550mV以上に維持するのがかな
り困難な場合がある。このような場合は、曝気槽3のD
Oを指標として、曝気槽3のDOが1〜5mg/lに維
持されるように運転する。曝気槽3のDOが1〜5mg
/l存在すれば、DO不足により鉄酸化細菌が阻害を受
けることは無く、また、曝気槽3のDOを5mg/l超
に維持することはエアレーション量が過大となり、不経
済となる。
【0033】曝気槽3のORPを安定して+550mV
以上に維持できる状態になれば、曝気槽3のHRTが1
2時間→8時間→6時間→4時間→3時間→2時間→1
時間となるように7〜10日毎に排水の供給量を増加さ
せ、処理性能を検討し、排水のFe2+濃度に応じたHR
Tを決定すればよい。
以上に維持できる状態になれば、曝気槽3のHRTが1
2時間→8時間→6時間→4時間→3時間→2時間→1
時間となるように7〜10日毎に排水の供給量を増加さ
せ、処理性能を検討し、排水のFe2+濃度に応じたHR
Tを決定すればよい。
【0034】このようにして、鉄酸化細菌を活性汚泥か
ら増殖させ、排水の2価鉄を安定して3価鉄まで酸化す
ることが可能となる。
ら増殖させ、排水の2価鉄を安定して3価鉄まで酸化す
ることが可能となる。
【0035】膜を長期間運転すると、膜面に水酸化鉄に
鉄酸化細菌が付着した濁質が付着して透過水量の低下を
招くため、定期的に膜面を洗浄し、濁質を除去する必要
がある。膜面を洗浄する方法には、大きく分けて物理的
洗浄法と薬品を用いる化学的洗浄法がある。
鉄酸化細菌が付着した濁質が付着して透過水量の低下を
招くため、定期的に膜面を洗浄し、濁質を除去する必要
がある。膜面を洗浄する方法には、大きく分けて物理的
洗浄法と薬品を用いる化学的洗浄法がある。
【0036】物理的洗浄法としては、空気によるセラミ
ックス膜の排水通水側および排水排出側からのフラッシ
ング法が有効である。空気によるセラミックス膜の排水
通水側からの洗浄としては、ORPによって制御される
補助ブロアによる膜面洗浄方法が好ましい。すなわち、
膜分離装置を補助ブロアの散気管上部に設置し、エアレ
ーションによって膜面を連続的に洗浄するとともに、逆
洗用ブロアを利用して空気によりセラミックス膜内部か
ら洗浄する膜面洗浄方法である。逆洗用ブロアはタイマ
ーにより1時間毎に30秒〜1分稼働し、高圧空気によ
ってセラミックス膜の排水排出側から膜面を連続的に洗
浄する。ここで、洗浄用のガスは空気に限らず、酸素を
含有している不活性ガスも使用可能である。
ックス膜の排水通水側および排水排出側からのフラッシ
ング法が有効である。空気によるセラミックス膜の排水
通水側からの洗浄としては、ORPによって制御される
補助ブロアによる膜面洗浄方法が好ましい。すなわち、
膜分離装置を補助ブロアの散気管上部に設置し、エアレ
ーションによって膜面を連続的に洗浄するとともに、逆
洗用ブロアを利用して空気によりセラミックス膜内部か
ら洗浄する膜面洗浄方法である。逆洗用ブロアはタイマ
ーにより1時間毎に30秒〜1分稼働し、高圧空気によ
ってセラミックス膜の排水排出側から膜面を連続的に洗
浄する。ここで、洗浄用のガスは空気に限らず、酸素を
含有している不活性ガスも使用可能である。
【0037】物理的洗浄法のみによって透過水量の低下
を防げないときは、酸によって、セラミックス膜の排水
通水側および排出側からのフラッシングを行う。膜に付
着する成分は鉄酸化物であるので、酸によって容易に付
着物を溶解させることができる。この場合、膜分離装置
を曝気槽から引き出し、硫酸などによってセラミックス
膜外部および内部からフラッシングすることも可能であ
るが、簡易な洗浄も可能である。すなわち、曝気槽のp
H調整用の硫酸の一部をセラミックス膜内部に間欠的に
添加して洗浄するのである。これによって、膜面の閉塞
による透過水量の低下をほぼ完全に防ぐことができる。
を防げないときは、酸によって、セラミックス膜の排水
通水側および排出側からのフラッシングを行う。膜に付
着する成分は鉄酸化物であるので、酸によって容易に付
着物を溶解させることができる。この場合、膜分離装置
を曝気槽から引き出し、硫酸などによってセラミックス
膜外部および内部からフラッシングすることも可能であ
るが、簡易な洗浄も可能である。すなわち、曝気槽のp
H調整用の硫酸の一部をセラミックス膜内部に間欠的に
添加して洗浄するのである。これによって、膜面の閉塞
による透過水量の低下をほぼ完全に防ぐことができる。
【0038】従来は曝気槽の鉄酸化細菌の濃度は、沈殿
池での鉄酸化細菌の沈降性によって決定されていた。し
かし、本発明では沈殿池に代えて膜分離装置を用いるの
で、曝気槽の鉄酸化細菌の濃度は鉄酸化細菌の沈降性と
無関係になり、曝気槽の鉄酸化細菌の高濃度化が容易と
なる。この結果、曝気槽の鉄酸化細菌の濃度を従来と比
較して2〜3倍に維持することが可能となる。このた
め、曝気槽の容積は従来と比較して1/2〜1/3に小
型化できる。
池での鉄酸化細菌の沈降性によって決定されていた。し
かし、本発明では沈殿池に代えて膜分離装置を用いるの
で、曝気槽の鉄酸化細菌の濃度は鉄酸化細菌の沈降性と
無関係になり、曝気槽の鉄酸化細菌の高濃度化が容易と
なる。この結果、曝気槽の鉄酸化細菌の濃度を従来と比
較して2〜3倍に維持することが可能となる。このた
め、曝気槽の容積は従来と比較して1/2〜1/3に小
型化できる。
【0039】また、本発明では沈殿池が不要となるた
め、沈殿池に付随する汚泥返送ポンプ、返送汚泥配管、
沈殿部のレーキが不要となり、設備費が削減できる。
め、沈殿池に付随する汚泥返送ポンプ、返送汚泥配管、
沈殿部のレーキが不要となり、設備費が削減できる。
【0040】さらに、鉄酸化細菌のバルキングの対策を
考慮する必要が無くなり、また、配管の閉塞や磨耗など
のトラブルも無くすことができるため、維持管理が極め
て容易となる。
考慮する必要が無くなり、また、配管の閉塞や磨耗など
のトラブルも無くすことができるため、維持管理が極め
て容易となる。
【0041】
【実施例】本発明の方法を、製鉄所から発生する表面処
理鋼板排水の処理に実施した。排水はpHが2〜3、F
e2+濃度が300〜1500mg/lで平均500mg
/l、Cl- 濃度が200〜1500mg/lで平均5
00mg/l、また、亜鉛イオンを2000〜3000
mg/l、錫イオンを50〜100mg/l、3価クロ
ムイオンを50〜100mg/l程度含有しており、水
温は10〜35℃程度であった。
理鋼板排水の処理に実施した。排水はpHが2〜3、F
e2+濃度が300〜1500mg/lで平均500mg
/l、Cl- 濃度が200〜1500mg/lで平均5
00mg/l、また、亜鉛イオンを2000〜3000
mg/l、錫イオンを50〜100mg/l、3価クロ
ムイオンを50〜100mg/l程度含有しており、水
温は10〜35℃程度であった。
【0042】まず、図2に示す処理装置の曝気槽3に、
都市下水の有機物の処理を行っている下水処理場の活性
汚泥(活性汚泥濃度:1000mg/l)を投入し、沈
殿させ、上澄液を投棄した後、バッチ処理により鉄酸化
細菌を馴養した。すなわち、曝気槽のpHを3.0に制
御し、Fe2+濃度が500mg/l、塩素イオン濃度が
500mg/l、亜鉛イオンが300mg/l、錫イオ
ンが100mg/l、3価クロムイオンが100mg/
lの人工排水を添加し、エアレーションを行った。
都市下水の有機物の処理を行っている下水処理場の活性
汚泥(活性汚泥濃度:1000mg/l)を投入し、沈
殿させ、上澄液を投棄した後、バッチ処理により鉄酸化
細菌を馴養した。すなわち、曝気槽のpHを3.0に制
御し、Fe2+濃度が500mg/l、塩素イオン濃度が
500mg/l、亜鉛イオンが300mg/l、錫イオ
ンが100mg/l、3価クロムイオンが100mg/
lの人工排水を添加し、エアレーションを行った。
【0043】エアレーションは、曝気槽3のDOを3m
g/lと設定して、DOによってブロアにより制御し
た。曝気槽3のpHは、10%硫酸16および10%N
aOH15によって3.0に制御した。窒素、リンは、
それぞれ10mg/lずつ曝気槽3に添加した。
g/lと設定して、DOによってブロアにより制御し
た。曝気槽3のpHは、10%硫酸16および10%N
aOH15によって3.0に制御した。窒素、リンは、
それぞれ10mg/lずつ曝気槽3に添加した。
【0044】曝気槽3に人工排水を供給してから14日
後に、曝気槽3のORPが+550mV以上となり、処
理水のFe2+が10mg/l以下となった。この段階
で、再び曝気槽3の汚泥を沈殿させ、上澄液をすて、同
じ人工排水を供給した。この操作を繰り返すと、24時
間以内に処理水のFe2+が10mg/l以下となった。
後に、曝気槽3のORPが+550mV以上となり、処
理水のFe2+が10mg/l以下となった。この段階
で、再び曝気槽3の汚泥を沈殿させ、上澄液をすて、同
じ人工排水を供給した。この操作を繰り返すと、24時
間以内に処理水のFe2+が10mg/l以下となった。
【0045】この段階で、バッチ処理から膜分離装置を
用いる本発明の処理に移行した。
用いる本発明の処理に移行した。
【0046】膜分離装置4の膜としては、シリカ−アル
ミナ系の孔径が20μmのセラミックス膜を用いた。膜
の逆洗用ブロア22はタイマー26により1時間毎に3
0秒稼働し、1〜5kg/cm2 の空気によってセラミ
ックス膜の排水排出側から膜面を連続的に洗浄した。
ミナ系の孔径が20μmのセラミックス膜を用いた。膜
の逆洗用ブロア22はタイマー26により1時間毎に3
0秒稼働し、1〜5kg/cm2 の空気によってセラミ
ックス膜の排水排出側から膜面を連続的に洗浄した。
【0047】また、連続運転においては、曝気槽3のO
RPを+550mVと設定して、ORPによってベース
ブロア7を制御した。
RPを+550mVと設定して、ORPによってベース
ブロア7を制御した。
【0048】さらに、曝気槽3のHRTを7日毎に12
時間→8時間→4時間→3時間→2時間→1時間→30
分→15分となるように短縮し、連続処理を行い、それ
ぞれのHRTでの処理性能を評価した。この結果、連続
処理の処理水は、表1に処理水質を示すようにどのHR
Tの条件においてもFe2+が15mg/l以下まで除去
されており、CODも15mg/l以下と良好であっ
た。曝気槽3中の鉄酸化細菌の濃度は、MLVSS(M
ixed liquor volatile susp
ended solids:有機性浮遊物質)として3
0000〜60000mg/lまで上昇し、バルキング
現象がないため、鉄酸化細菌を高濃度に維持することが
容易であった。
時間→8時間→4時間→3時間→2時間→1時間→30
分→15分となるように短縮し、連続処理を行い、それ
ぞれのHRTでの処理性能を評価した。この結果、連続
処理の処理水は、表1に処理水質を示すようにどのHR
Tの条件においてもFe2+が15mg/l以下まで除去
されており、CODも15mg/l以下と良好であっ
た。曝気槽3中の鉄酸化細菌の濃度は、MLVSS(M
ixed liquor volatile susp
ended solids:有機性浮遊物質)として3
0000〜60000mg/lまで上昇し、バルキング
現象がないため、鉄酸化細菌を高濃度に維持することが
容易であった。
【0049】
【表1】 (データ;10〜12個の平均値)
【0050】
【発明の効果】本発明は都市下水や産業排水の活性汚泥
から増殖させた鉄酸化細菌を曝気槽内に高濃度に維持で
きるため、Fe2+を含有する排水を効率的、安定的に処
理できるとともに、設備のコンパクト化が可能である。
から増殖させた鉄酸化細菌を曝気槽内に高濃度に維持で
きるため、Fe2+を含有する排水を効率的、安定的に処
理できるとともに、設備のコンパクト化が可能である。
【図1】本発明の2価鉄含有排水の処理方法を示す図で
ある。
ある。
【図2】実施例に用いた処理装置を示す図である。
【図3】従来の2価鉄含有排水の処理方法を示す図であ
る。
る。
1 原水槽 2 原水供給ポンプ 3 曝気槽 4 膜分離装置 5 ORPセンサー 6 ORP制御装置 7 ベースブロア 8 補助ブロア 9 流量計 10 流量計 11 pHセンサー 12 pH制御装置 13 アルカリ供給ポンプ 14 酸供給ポンプ 15 10%NaOH 16 10%硫酸 17 DOセンサー 18 液面スイッチ 19 排出ポンプ 20 吸引圧力計 21 処理水槽 22 逆洗用ブロア 23 流量計 24 電磁弁 25 圧力計 26 タイマー 27 沈殿池 28 汚泥返送ポンプ 29 排出ポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−49298(JP,A) 特開 昭61−263698(JP,A) 特開 平4−363196(JP,A) 特開 昭60−7994(JP,A) 特公 昭47−38981(JP,B1) 特公 昭55−18559(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C02F 3/12,3/34
Claims (2)
- 【請求項1】 曝気槽で鉄酸化細菌によって2価鉄含有
排水中の2価鉄を酸化する2価鉄含有排水の処理方法に
おいて、pHが2〜3である曝気槽内に形成された3価
の水酸化鉄を、孔径1〜20ミクロンの膜を用いて分離
して、水酸化鉄に付着した鉄酸化細菌を分離することを
特徴とする2価鉄含有排水の処理方法。 - 【請求項2】 膜分離装置としてセラミックスを素材と
する膜を用いることを特徴とする請求項1記載の2価鉄
含有排水の処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33240394A JP3227554B2 (ja) | 1994-12-14 | 1994-12-14 | 2価鉄含有排水の処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33240394A JP3227554B2 (ja) | 1994-12-14 | 1994-12-14 | 2価鉄含有排水の処理方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08164399A JPH08164399A (ja) | 1996-06-25 |
JP3227554B2 true JP3227554B2 (ja) | 2001-11-12 |
Family
ID=18254585
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP33240394A Expired - Fee Related JP3227554B2 (ja) | 1994-12-14 | 1994-12-14 | 2価鉄含有排水の処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3227554B2 (ja) |
-
1994
- 1994-12-14 JP JP33240394A patent/JP3227554B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH08164399A (ja) | 1996-06-25 |
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Legal Events
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---|---|---|---|
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