JP3225971B2 - 静電荷像現像用トナー - Google Patents

静電荷像現像用トナー

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】電子写真、静電記録などの静電潜
像を現像するためのトナーに関する。
【0002】
【従来技術】静電荷像現像用トナーは、それに使用され
る結着樹脂単独では一定の帯電性を得ることができない
ので、トナーを所望の摩擦帯電性に制御するために、染
料、顔料等の荷電制御性物質を添加することが行なわれ
ている。今日、当該発明分野で実用化されている荷電制
御性物質としては、トナーに正荷電を付与あるいは制御
する場合にはニグロシン系染料が、負荷電を付与、ある
いは制御する場合は、特公昭45-26478号公報、特公昭55
-42752号公報などに示されている含金属化合物などが挙
げられる。これらの化合物は、トナー粒子へ荷電を付与
する性能の点では、従来提案された荷電制御性物質の中
でも特に優れた特性をもつものであり、また従来の複写
機などにおいても実用上十分な画像を与えるトナーを提
供することができた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、電子写
真、静電記録媒体において、よりパーソナル化、高速
化、多機能化が進む中で、耐久安定性が良く、より濃度
が高く、かぶりがなく、解像力に富み、コントラストの
はっきりした、あるいは階調再現性に優れた画像を与え
るトナーが求められている。正現像、アナログ現像ばか
りでなく、反転現像、デジタル現像、低電位現像など、
さまざまな現像方法が使用されてきており、いかなる現
像方法に対しても高画質を与えるトナーが要求されてい
る。
【0004】小型化、パーソナル化に伴い、常にいかな
る環境下にあっても安定に高画質の画像を与えなければ
ならない。さらに高速化により一度に多量トナーを使用
する場合や、長期間にわたる連続使用にも耐え、安定し
て高画質の画像を提供しなければならない。また、同時
に現像器中でのキャリアとの高速撹拌における帯電立上
りを早くし、初期より安定した高画質の画像を提供する
ようなトナーが求められている。
【0005】一方、トナーに求められる性能も現像性ば
かりでなく、定着性、耐オフセット性、クリーニング
性、耐ブロッキング性を向上させるためにさまざまな材
料が用いられてきている。しかし、材料の種類により摩
擦帯電量が大きく変化するので、荷電制御剤も単に荷電
を「付与する」、すなわち、帯電量を上げるという機能
だけでは不十分であり、トナーの帯電量を一定に「制御
する」ことが求められ、しかも上記に示したトナーとし
ての他の必要な性能を阻害するものであってはならず、
むしろ補助するものが好ましい。
【0006】トナーはいかなる環境下にあっても長期間
の使用中にも常に一定の帯電量に摩擦帯電されるように
制御され、その結果として、安定して高画質を与えるも
のが必要である。従って、従来のトナーでは上記種々の
要件を満足できなくなってきており、荷電制御剤の改善
が必要である。本発明の目的は、耐久性に優れ、長期間
の連続使用にあっても常に安定した画像の得られるトナ
及び前記静電荷像現像用トナーを含む現像剤を用いて
静電荷像を現像することを特徴とする画像形成方法を提
供することにある。
【0007】本発明は上記の問題を解決するために、キ
ャリアとの摩擦帯電の立上りが早く、初期から安定した
高画質の画像を与える荷電制御剤を提供することにあ
る。すなわち、本発明においては少なくとも着色剤、樹
脂、荷電制御剤を含む静電荷像現像用トナーにおいて、
該荷電制御剤微粒子中およびその表面に該荷電制御剤1
00重量部当り20乃至50重量部の導電性カーボンブ
ラック微粒子を非連続に存在させることを特徴とする。
また導電性微粒子を含む荷電制御剤を樹脂100重量部
に対して0.1〜10重量部含むことを特徴とする。
らにまた、前記静電荷像現像用トナーを含む現像剤を用
いて静電荷像を現像することを特徴とする画像形成方法
に関わる
【0008】また、該荷電制御剤微粒子中およびその表
面に導電性カーボンブラック微粒子(以下、「導電性微
粒子」ともいう)を非連続に存在させる手段として、該
荷電制御剤微粒子の製造の精製過程において、該導電性
微粒子を添加しながら混合吸着させる手段を採用するこ
とが最も適当である。具体的に荷電制御剤に導電性微粒
子を混合付着させる方法としては荷電制御剤に公知の方
法で合成した後、濾別洗浄する工程において導電性微粒
子を添加しながら混合吸着させることで均一に吸着させ
ことができる。
【0009】また、導電性微粒子としては、製造過程で
該荷電制御剤を効果的に吸着するカーボンブラックが最
適である。
【0010】本発明に使用する荷電制御剤の効果として
は、該荷電制御剤微粒子中およびその表面に導電性カー
ボンブラック微粒子非連続に存在させることにより、
荷電制御剤としての抵抗値がある一定のレベルになり、
帯電安定性、帯電立上りなどが良くなっているものと推
定される。
【0011】また、導電性カーボンブラック微粒子を該
荷電制御剤微粒子中およびその表面に、非連続に存在さ
せることにより現像の際のフロート電極の効果もある。
キャリヤの表面に砕されたトナーの樹脂が付着する、
いわゆる、スペント化の防止のために樹脂層をキャリヤ
ーの表面に設ける際、導電性物質をその樹脂層に混在さ
せて現像時のフロート電極効果を狙う方法が提案されて
いるが、本発明のトナーの場合、絶縁状表面を存するキ
ャリヤを用いても、トナーの静電荷潜像へのより近接効
果により、導電性物質をその樹脂層に混在させたキャリ
ヤによる現像以上の効果を示すとともに、現像器中での
キャリアとの高速攪拌によってもトナーが破砕されにく
い利点がある。
【0012】また、本発明で使用される結着用樹脂とし
ては、従来、トナーに使用されているポリスチレン、ス
チレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクル酸共
重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチ
レン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレンブタジ
エン共重合体などのスチレン樹脂、飽和ポリエステル樹
脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノー
ル樹脂、マレイン酸樹脂、クマロン樹脂、塩素化パラフ
ィン、キシレン樹脂、塩化ビニル系共重合体及びこれら
樹脂の混合物があげられる。
【0013】本発明で使用される導電性微粒子としては
カーボンブラックがあげられる。本発明で使用される荷
電制御剤としては正極性のものとしてはニグロシン系染
料、アジン系染料が、負極性のものとしては特公昭41
−20153号公報特公昭44−6397号公報、特
開昭57−141452号公報特開昭58−1110
49号公報特開昭61−101558号公報特開昭
63−66263号公報などに記載されているモノアゾ
染料の金属錯塩、アルキルサリチル酸又はサリチル酸の
金属キレートなどがあげられる。
【0014】さらに本発明のトナーには必要に応じて着
色剤を添加しても良い。本発明のトナーに使用する着色
剤としては、任意の適当な顔料また染料が使用される。
トナー着色剤は周知であって、例えば顔料としてカーボ
ンブラック、アリニンブラック、アセチレンブラック、
ナフトールイエロー、ハンザイエロー、ローダミンレー
キ、アリザリンレーキ、ベンガラ、フタロシアニンブル
ー、インダンスレンブルーなどがある。これらは定着画
像の光学濃度を維持するのに必要十分量が用いられ、樹
脂100重量部に対し0.1〜20重量部、好ましくは2〜10重
量部の添加量が良い。また同様の目的で、さらに染料が
用いられる。例えばアゾ系染料、アントラキノン系染
料、キサンテン系染料、メチン系染料などがあり、樹脂
100重量部に対し0.1〜20重量部、好ましくは0.3〜3重
量部の添加量が良い。
【0015】本発明に係る静電荷像現像用トナーを作成
するには樹脂組成物、導電性微粒子を混合吸着させた荷
電制御剤、及び着色剤としての顔料または染料、添加剤
などをボールミルその他の混合機により十分混合してか
ら加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーなどの熱混
練機を用いて溶融、捏和及び練肉して樹脂類を互いに相
溶せしめた中に顔料または染料を分散または溶解せし
め、冷却固化後粉砕及び分級して平均粒径5〜20μmの
トナーを得ることが出来る。
【0016】さらに本発明のトナーは必要に応じて添加
剤を混合してもよい。添加剤としては例えば、テフロ
ン、ステアリン酸亜鉛の如き滑剤あるいは酸化セリウ
ム、炭化ケイ素、チタン酸ストロチウムなどの研磨剤粒
子、あるいは例えばコロイダルシリカ、酸化アルミニウ
ムなどの流動性付与剤粒子、あるいは低分子量ポリエチ
レン、低分子量ポリプロピレン、各種ワックス類などの
定着助剤などがある。
【0017】さらに本発明のトナーは二成分系現像剤と
して用いる場合にはキャリア粉と混合して用いられる。
この場合にはトナーとキャリア粉との混合比はトナー濃
度として0.5〜10重量%、好ましくは3〜5重量%が望
ましい。本発明に使用しうるキャリアとしては公知のも
のがすべて使用可能であり、例えば鉄粉、フェライト
粉、ニッケル粉の如き磁性を有する粉体、ガラスビーズ
など、及びこれらの表面を樹脂などで処理したものなど
があげられる。
【0018】
【実施例】以下本発明を実施例により具体的に説明する
が、これは本発明をなんら限定するものではない。なお
以下の配合における部はすべて重量部である。 実施例1 スチレン−アクリル酸共重合体(SBM−73 三洋化成) 100部 荷電制御剤(含Crアゾ染料)に導電性粉末(カーボンブラック) を制御剤100部に30部混合吸着させたもの 3部 カーボンブラック 12部 を熱ロールミルで溶融混練し、冷却後ハンマーミルを用
いて粗粉砕し、エアージェット方式による微粉砕機で微
粉砕する。得られた微粉末を分級し、5〜15μの粒径に
してトナーとした。本トナー 3.5重量部にシリコーン樹
脂をコートした球状フェライト粉96.5重量部を混合し、
現像剤とした。本現像剤を用い、(株)リコー製PPC複
写機FT-7200にて10万枚のコピーを行なったが、初期か
ら画像は鮮明であり複写品質の低下は見られなかった。
また、現像剤の帯電量の変化もなかった。また、このト
ナーの帯電立上りを次のようにして測定した。すなわ
ち、トナー濃度が3.5%になるようにトナーとキャリア
を混合し、ボールミル用ポットで一定時間撹拌した後、
剤を取り出しブロー装置によりトナーをブローして電荷
量を測定した。その時の電荷量を表1に示す。
【0019】実施例2 ポリエステル樹脂(花王石鹸社製 ATR-2010) 100部 荷電制御剤(含Crアゾ染料)100部に導電性粉末(酸化スズ) 25部を混合吸着させたもの 3.5部 カーボンブラック 12部 上記配合物を実施例1と同様に処理してトナーとした。
得られたトナー3.5部に対してフェライトキャリア96.5
部を混合して現像剤とした。本現像剤を用い、(株)リコ
ー製PPC複写機FT-5740にて10万枚コピーを行なった
が、初期から鮮明な画像が得られ、変化のない安定した
複写画像が得られた。又実施例1と同様にして測定した
帯電立上り特性を表1に示す。
【0020】実施例3 スチレン−メタクリル酸共重合体 100部 荷電制御剤(ニグロシン染料)100部に導電性粉末(カーボンブラック) 30部を混合吸着させたもの 1部 カーボンブラック 15部 上記配合物を実施例1と同様にして処理してトナーとし
た。得られたトナー2部に対して、フェライトキャリア
98部を混合して現像剤とした。本現像剤を用い、(株)
リコー製PPC複写機 FT-4820にて10万枚コピーを行な
ったが、初期から鮮明な画像が得られ、変化のない安定
した複写画像が得られた。
【0021】比較例1 実施例1において導電性粉末を除いた以外は実施例1と
同様にしてトナーとした。得られたトナー3.5部に対し
てフェライトキャリア96.5部を混合して現像剤とした。
本現像剤を用い、実施例1と同様な評価を行なったとこ
ろ初期複写では良好な画像が得られたが、連続複写5万
枚後において不鮮明な複写画像が得られた。以下、本発
明の実施例の結果を次の表に一覧にする。
【0022】
【表1】 画像濃度 …………マクベス濃度計での計測値 ブローオフQ/M ……現像剤中のトナーをブローして得ら
れた電荷をケースレのエレクトロメータで測定した値 ボールミルQ/M ……トナー濃度が3.5%になるようにト
ナーとキャリアを混合し、ボールミル用ポットで一定時
間撹拌後、トナーをブローオフして電荷を測定した値
【0023】以上のように本発明においては、荷電制御
剤にあらかじめ一定量の導電性カーボンブラック微粒子
を混合させることにより帯電安定性が良くなり、耐久性
に優れ、長期間の連続使用においても常に安定した画像
のトナー及び前記静電荷像現像用トナーを含む現像剤を
用いて静電荷像を現像することを特徴とする画像形成方
が得られる。又、帯電立上りが早いので、初期から地
汚れのない安定した画像が得られる。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも着色剤、樹脂、荷電制御剤を
    含む静電荷像現像用トナーにおいて、該荷電制御剤微粒
    子中、およびその表面に、該荷電制御剤100重量部当
    り20乃至50重量部の導電性カーボンブラック微粒子
    を非連続に存在させること特徴とする静電荷像現像用
    トナー。
  2. 【請求項2】 前記導電性微粒子を含む荷電制御剤を
    樹脂100重量部に対して、0.1乃至10重量部含ま
    せることを特徴とする請求項1記載の静電荷像現像用ト
    ナー。
  3. 【請求項3】 前記請求項1又は2に記載の静電荷像現
    像用トナーを含む現像剤を用いて静電荷像を現像するこ
    とを特徴とする画像形成方法。
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