JP3225136U - 非常用防護装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】設置後のメンテナンスもいつでも容易かつ確実に行えるようにすることで常に適正な作動性が得られるようにして特に非常時の作動が安全のため確保できるようにした非常用防護装置を提供する。【解決手段】河川岸、海岸、湖沼水畔など長い岸を対象にして設置される溝部付き基台12と、該基台の溝部内に長手方向に添って隣り合う関係で複数配列されてそれぞれ昇降可能とされた昇降壁15と、少なくとも上昇時の昇降壁相互間に構成されて増水側からの水を遮断するようにする壁間シール手段と、昇降壁を昇降駆動可能とする油圧、水圧あるいは空圧、電動式などのうちから特定される直動式シリンダである駆動手段30とを有し、前記基台の上端には、昇降壁を昇降自在に連結した駆動手段の上部に連結された支持部材が昇降壁および駆動手段とともに溝部の外部に抜脱可能な状態で取り付けられている。【選択図】図6

Description

本考案は、非常用防護装置に関する。
河川の氾濫を防止するには、河岸である堤防の上に胸壁を設けるようにする方法があり、この胸壁形成方式には、堤防から上向きに突き出す固定式のものと、平時は堤防内に納めておく一方洪水時に上昇させて壁を形成するようにする可動式のものとがある。固定式のものは、特に観光地にあってはその壁の存在自体が河岸や河川一帯の景観を損なうことがあり、可動式のものでは、堤防の天端に上昇時の壁を固定するための固定支柱を堤防の天端に立設配備しておく必要があるため該支柱の存在自体が河岸や河川一帯の景観を損なうことになっていた。
そうした平時においても景観が損なわれないようにした堤防技術の一つとして特許文献1に開示の可動堤防の技術が提供された。
特開2016−44530号
上記特許文献1にかかる非常用防護装置は、津波・高潮などの襲来が想定される特定地域を対象にして襲来に先立って始動される油圧シリンダや電動シリンダなどの直動式シリンダで昇降自在な堰を配備してなる非常用防護装置であって、堰は、垂直を含む前あるいは後傾斜式のピット内に堰端部同士が堰間密閉部材を介して水密式にして隣り合う関係で複数枚列状に配備されて平時は上面が閉止された状態でピット内に納まり非常時には直動式シリンダにより地盤(基台)より高く上昇するようになっているものである。
こうした非常用防護装置では、ピット内に固定された直動式シリンダが、下端をピット内にピン止めして固定されているため、一旦設置固定したあとには、内部装置をメンテナンスをして作動の安全性を確保することが簡単にはできなかったものである。従って、メンテナンスはそのまま放置した状態になってしまうため、肝心な洪水や津波が襲来したときに作動しなくなるおそれもあった。
本考案は、このような問題を解決しようとするものであり、設置後のメンテナンスもいつでも容易かつ確実に行えるようにすることで常に適正な作動性が得られるようにして特に非常時の作動が安全のため確保できるようにした非常用防護装置を提供することを目的とする。
本考案は上記目的を達成するため、請求項1に記載の考案は、河川岸、海岸、湖沼水畔など長い岸を対象にして設置される溝部付き基台と、該基台の溝部内に長手方向に添って隣り合う関係で複数配列されてそれぞれ昇降可能とされた昇降壁と、少なくとも上昇時の昇降壁相互間に構成されて増水側からの水を遮断するようにする壁間シール手段と、昇降壁を昇降駆動可能とする油圧、水圧あるいは空圧、電動式などのうちから特定される直動式シリンダである駆動手段とを有し、前記基台の上端には、昇降壁を昇降自在に連結した駆動手段の上部に連結された支持部材が昇降壁および駆動手段とともに溝部の外部に抜脱可能な状態で取り付けられている。
上述したように請求項1に記載の考案は、河川岸、海岸、湖沼水畔など長い岸を対象にして設置される溝部付き基台と、該基台の溝部内に長手方向に添って隣り合う関係で複数配列されてそれぞれ昇降可能とされた昇降壁と、少なくとも上昇時の昇降壁相互間に構成されて増水側からの水を遮断するようにする壁間シール手段と、昇降壁を昇降駆動可能とする油圧、水圧あるいは空圧、電動式などのうちから特定される直動式シリンダである駆動手段とを有し、前記基台の上端には、昇降壁を昇降自在に連結した駆動手段の上部に連結された支持部材が昇降壁および駆動手段とともに溝部の外部に抜脱可能な状態で取り付けられているので、設置後のメンテナンスもいつでも容易かつ確実に行えるようにすることで常に適正な作動性が得られるようにして特に非常時の作動が安全のため確保できるようにした非常用防護装置を提供することができる。
本考案の非常用防護装置の設置状況の実施形態を示す平面図。 図1のII部拡大正面図。 図2のIII方向からの拡大矢視図。 図6のIV−IV線断面図。 図4のV−V線断面図。 図4のVI−VI線断面図。 他の実施形態を示す横断面図。
以下、本考案である非常用防護装置の一実施形態を図1ないし図6を参照しつつ説明する。図1ないし図6の実線状態は非常用防護装置の平時の状態を示す。
図1において1は河川(低水路)で、Xはその流れ方向であり、2は右岸堤防、3は左岸堤防を示している。右岸堤防2は洪水に対し旧来から充分高く形成されているが、左岸堤防3の方は旧来から洪水で度々溢流する低いものであった。左岸堤防3側には高水敷4から表のり面5を超えたところに歩道6が設けられ、その近くには車道7が通されているとともに車道7の脇には観光地によくみられる土産物屋とか旅館などの建屋8…が設けられている。9は河川1上を渡す橋である。左岸堤防3の図示範囲の最も上流側部分3aは図2の歩道6の面よりもやや高くなっており、その上流側部分3aから下流側に緩やかに低くなった歩道6上に添って本考案である非常用防護装置が設置されている。
非常用防護装置は、河川岸、海岸、湖沼水畔など長い岸を対象にして設けられる形式のもので、ここでは、河川岸の歩道6上における上流側から下流側に向けて1列状に配設されている。
非常用防護装置は、要部としてコンクリート現場打設式の基台12を備える。基台12はRC製であるがその鉄筋補強構造は図示省略されている。基台12は、U字溝製品のように長さが例えば、2100mmなどのように一定長さに規定されたブロック製品が使用されることがある。U字溝製品の基台12を直列に並べる場合は、その相互間は基台間シール材が介装される。基台12は金属製、樹脂製あるいは木製とされることがある。
この基台12は、底部aと河川側である前部bおよび歩道6側である後部cを備えており、前部bは後部cよりも少し肉厚状で下方へ向かうに従って厚みが大きくなっている。例えば、図6における基台12の上部前後幅が300mm、溝部dは幅が150mmとされる。この基台12は、高さが900mmで、左右幅は200mとされる。左右幅は100mあるいは50m、30mと前記より少し短い単位長さとされることがある。
以下では一連に長い、例えば、200m長さの基台12を例にして説明する。13は地業である。
この基台12は、図6に示すように、表のり面5の上側である歩道6の川側内に約600mm程度の深さをもって埋設固定されている。基台12の溝部d内の前側(河川側)には、昇降壁15が昇降自在に設けられている。昇降壁15は、縦が500mmで左右幅が2000mmの横長状矩形をした中空で前後幅(厚み)が50mmのSUSやアルミ合金などの金属製や樹脂製のものであり、その左右両端には凹状或いは凸状をした弾性質の壁間シール材16,16が取り付けられ、その隣り合うもの16,16同士が凹凸状に密着しながら上下し得ることにより上昇したときに前方からの洪水時の浸水を防止するようになっている。壁間シール材16は左右幅が50mm程度で前後の厚みは50mm前後になっており、高さは500mmになっている。
昇降壁15を上下方向である垂直に昇降させるため、前ガイドローラー21と後ガイドローラー22を備えている。前・後ガイドローラー21、22は、昇降壁15の下端とそれより20cm程度高い位置の前後面に配置されかつ正面からみれば図2に示すように昇降壁15の幅間中央から一定幅離れた上下位置に設けられている。溝部d内の上位に上下しない上部定置ローラーを設ける一方昇降壁15の下部前後に上下するガイドローラーを設けてもよいが、昇降壁15を上方へ抜脱する際に下部のガイドローラーが上部定置ローラーに干渉しないような位置関係にしておく必要がある。
25はシリンダ受材ともいえる支持部材で金属板製でなり、前後幅が150mm程度の横長状の矩形板とされ、横方向の長さは、前記昇降壁15の横幅2000mmに左右の壁間シール材16,16の各幅50mmを加えた2100mm程度とされている。この支持部材25は、その後部を基台12の後部c上に載せるとともにその前側を溝部d上開口に張り出した状態とされ、前記後部は後部c内に埋め込まれた受ねじ26に支持部材25の孔を通じてねじ込まれたアイボルトである後吊掛アンカー27を介して固定されるようになっている。後吊掛アンカー27は、1枚の支持部材25当たり左右一対設けられている。後吊掛アンカー27は、左に回されて受ねじ26から外されてもフランジが支持部材25に回転自在に掛けられているので、支持部材25から容易に外れることはない。
支持部材25の前部には、後吊掛アンカー27の前側に位置するように前吊掛アンカー28が溶接固着されている。30は油圧、水圧などのシリンダでなる駆動手段であり、この駆動手段30は、その尾端部を支持部材25の前部左右幅間中央に固着する一方ロッド31の先端部32を下方に伸ばして溝部dの底面に固着した凹溝型受盤33内に連結関係なしに当て付けられて退避するようにされている。
P1は入側配管、P2は出側配管であり、支持部材25を通じて外部に導かれている。
ロッド31の先端には、連結体35が設けられ、その連結体35には前記昇降壁15との間に設けた縦つなぎ材36が設けられている。
昇降壁15の上端には、支持部材25と前部bとの間を塞ぐ前蓋38が設けられており、この前蓋38の底面には、前側シール材39と後側シール材40が設けられ、前側シール材39は支持部材25上に後側シール材40は基台12の上端面に載り掛ってシールがなされるようになっている。
図1ないし図6は駆動手段30がロッド31を下向きに伸長させ昇降壁15を基台12内に収納退避させた平時の状態にある場合を示している。洪水で非常時になると、駆動手段30は縮小され、それにより昇降壁15は持ち上げられてゆき、洪水を防護することになる。平時においてメンテナンスが必要になった場合、後吊掛アンカー27を受ねじ26から外すとともに前吊掛アンカー28にも吊上げ部材(ワイヤーロープなど)43を掛けて持ち上げるようにすれば、駆動手段30・昇降壁15などの全てが持ち上げられることになってメンテナンスを容易かつ確実に行うことができるようになる。
図7は他の実施形態を示す。駆動手段30はロッド31を上向きにしたものにしてもよく、その背部に連結したL字形支持部材25を後吊掛アンカー27により基台12側に支持してある。ロッド31の上端には連結体35が取り付けられるとともに縦つなぎ材36を下向きに伸ばしてその下端に昇降壁15を連結してある。その他は前記と同じ符号を付してある。
1…河川 2,3…岸堤防 12…基台 15…昇降壁 16…壁間シール材 25…支持部材 30…駆動手段。

Claims (1)

  1. 河川岸、海岸、湖沼水畔など長い岸を対象にして設置される溝部付き基台と、該基台の溝部内に長手方向に添って隣り合う関係で複数配列されてそれぞれ昇降可能とされた昇降壁と、少なくとも上昇時の昇降壁相互間に構成されて増水側からの水を遮断するようにする壁間シール手段と、昇降壁を昇降駆動可能とする油圧、水圧あるいは空圧、電動式などのうちから特定される直動式シリンダである駆動手段とを有し、前記基台の上端には、昇降壁を昇降自在に連結した駆動手段の上部に連結された支持部材が昇降壁および駆動手段とともに溝部の外部に抜脱可能な状態で取り付けられている非常用防護装置。
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