JP3224063B2 - 超音速風洞における模型の投入装置 - Google Patents

超音速風洞における模型の投入装置

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JP3224063B2
JP3224063B2 JP03305094A JP3305094A JP3224063B2 JP 3224063 B2 JP3224063 B2 JP 3224063B2 JP 03305094 A JP03305094 A JP 03305094A JP 3305094 A JP3305094 A JP 3305094A JP 3224063 B2 JP3224063 B2 JP 3224063B2
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文男 東野
康二 松永
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石川島播磨重工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超音速気流が形成され
る超音速風洞の測定室において模型を自由落下により投
入する超音速風洞における模型の投入方法および投入装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】風洞は、航空機、自動車、船舶等の空気
中を運動する物体の模型を測定室内に配置し、この模型
に対して気流発生源により発生する一様な気流を吹き付
けて、前記模型への気流の影響を測定し、この測定結果
から相似法則を用いて前記物体への気流の影響を調査す
る実験装置である。
【0003】風洞は、発生する気流の速度により様々な
タイプに分類されるが、高マッハ数の実験を行う高速風
洞として、亜音速風洞、遷音速風洞、超音速風洞および
全部を兼ねたトリソニック風洞がある。
【0004】このうち、超音速風洞はマッハ数:1〜5
程度の超音速気流を発生させる風洞である。従来、超音
速風洞で実験を行う場合に風洞の測定室内に配置される
模型は、スティング等の治具により保持される。
【0005】図6は超音速風洞で実験を行う場合の実験
要領の概要を示す説明図であり、超音速で飛行する飛翔
体の模型53について実験を行う場合を示す。
【0006】図6に示すように、風洞50の測定室51
内の適当な位置に治具52が固定され、この治具52に
より模型53が保持され、この模型53に向けて、図示
しない気流発生源により発生された白抜矢印により示さ
れる一様な超音速気流が吹き付けられる。超音速風洞で
は、発生する超音速気流の持続時間が例えば200ms程
度と極めて短いため、高速度瞬間写真や電子装置等を用
いて短時間の計測を行い、模型に作用する分力やモーメ
ント等を測定する。
【0007】図6において、治具52は模型53の後方
(気流に対する下流側)に配置されるとともに後端部5
3aで模型53を支持するが、これは治具52が模型5
3の周囲の境界層に与える影響を可及的に低減するため
である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような従
来の超音速風洞を用いた実験には、以下に列記する内容
の問題がある。 (1)模型の形状が、後端部が連続した曲面により徐々
に収束するような形状、例えば翼形や流線形でなく、図
6に示す模型53のように後端部53aが段差形状を呈
する不連続な形状であると、超音速気流の場合には一般
的に模型53の周囲の境界層のうちの後方に剥離渦が発
生し易くなるが、この剥離渦の近傍である模型53の後
方に設置された治具52の影響を受けて剥離渦の形状が
変化する。そのため、模型53が受けるバックプレッシ
ャ等の抵抗値が変化し、模型53に作用する分力やモー
メント等の測定値に誤差が生じてしまう。 (2)実物の寸法に応じて、風洞実験用の模型は実物の
1/2〜1/3程度の大きさとすることがあり、模型の
全長が50〜80mm程度と小さくなる場合がある。さ
らに、実物である飛翔体がその本体の一部に姿勢制御機
構として炸薬を有し、この炸薬を爆発させることにより
飛行時の姿勢制御を行う場合に、この姿勢制御機構を前
述の模型に適用し、実験時に模型の一部に設けた炸薬を
爆破させることにより相似法則に基づいて姿勢制御機構
を実験により検証しようとすると、模型に搭載する炸薬
の量は数mg程度と極めて少量になる。したがって、炸
薬を爆発させてもそれによって模型が受ける姿勢制御の
ための推力は極めて小さく、姿勢制御機構として模型に
作用するモーメントの変化量は極めて微少かつ短時間の
ものとなる。そのため、図6に示すような治具を用いて
模型を支持してしまうと、模型が受ける微少かつ短時間
のモーメントの変化量を正確に検出することがかなり難
しくなってしまう。
【0009】なお、炸薬を用いた姿勢制御機構による実
物の飛翔体の軌道の変化量を風洞実験を行わずに数値計
算により算出することも考えられるが、姿勢制御のため
の推力は極めて微少であるとともに姿勢制御に影響を与
える因子全てを正確に計算要素に取り入れることは難し
いため、数値計算で正確に算出することは現時点では不
可能に近い。
【0010】本発明は、このような従来の超音速風洞を
用いた実験における問題点に鑑みてなされたものであ
り、前述したような後端部が段差形状を呈する不連続な
形状である模型に対しても実験精度を低下することがな
く、しかも前述したような姿勢制御機構としての炸薬を
備える小型の模型に対しても正確にモーメント変化量等
を検出できるようにすることを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために風洞の測定室内において模型を自由落下させ
ることにより治具を使用せずに実験を行うことで、実験
精度に可及的影響を与えることがない具体的な本発明に
かかる超音速風洞における模型の投入装置として、
超音速気流が形成される超音速風洞の測定室内に模型を
自由落下により投入する投入装置であって、前記測定室
の天井に設けられ当該測定室に開口して前記模型を収容
し得る寸法を有する空洞と、この空洞に収容された前記
模型の保持および投入を行う保持機構と、前記測定室の
表面と同一平面をなすよう前記空洞の開口部を閉塞し得
る開閉機構と、前記保持機構による投入タイミングおよ
び前記開閉機構による閉塞タイミングを制御する制御装
置とを備える投入装置(以下、「本発明装置1」とい
う。)、または、
【0012】 超音速気流が形成される超音速風洞の
測定室内に模型を自由落下により投入する投入装置であ
って、前記測定室の天井に設けられ当該測定室に開口し
て前記模型を収容し得る寸法を有する空洞と、前記空洞
に収容された前記模型の保持および投入を行う保持機構
と、前記空洞の開口部表面の圧力を調整する圧力調整機
構と、前記保持機構および圧力調整機構の制御装置とを
備える投入装置(以下、「本発明装置」という。)、
をそれぞれ提案する。
【0013】さらに、本発明装置1または本発明装置2
では、上記構成に加えて空洞内に、収容された前記模型
の前端部および後端部を下方へ同一速度で落下するよう
案内する案内部材を設けている。
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【作用】本発明にかかる超音速風洞における模型の投入
装置(本発明装置1)では、 測定室の天井に設けられた
空洞と、前記空洞の開口部を測定室の表面と同一平面で
閉塞する開閉機構と、前記空洞内に模型を保持する保持
機構とを設けるようにしており、開閉機構を開いた状態
で空洞内に模型を保持し、この模型を自由落下させて模
型と干渉しないように開閉機構を閉じ、この状態で自由
落下する模型に超音速気流が吹き付けて計測できるよう
にしている。
【0018】本発明装置2では、測定室の天井に設けら
れた空洞と、この空洞内に収容された模型を保持および
投入する保持機構と、空洞内の圧力を、超音速気流吹き
付け時の当該空洞の開口部表面の圧力と同じ値に調整し
得る圧力調整機構とを設けるようにしており、保持機構
により空洞内に保持した模型を自由落下させ、超音速気
流が形成される測定状態に、圧力調整機構により空洞の
開口部表面の圧力を調整して空洞がとじられたと同等の
状態を作るようにしている。
【0019】これにより、超音速気流の吹き付け時には
超音速気流が空洞の内部および角部等に衝突しないよう
にし、超音速気流を乱すこと無く測定できるようにな
る。
【0020】さらに、これら本発明装置1または本発明
装置2のいずれかを用いて模型を投入すれば、超音速気
流の一様性に影響を与える模型保持具が測定室内に設置
されず、模型保持具の設置に起因した衝撃波や膨脹波を
生じることなく、模型を投入できるようになる。
【0021】また、本発明装置1または本発明装置2
空洞に収容された模型の前端部および後端部を下方へ案
内する案内部材を設けるようにすれば、模型の前端部お
よび後端部を同一の落下速度で自由落下させることがで
きるようになり、自由落下させる模型の超音速気流に対
する迎角を可及的0度に近付けることができるようにな
る。
【0022】
【実施例】さらに、添付図面を参照しながら本発明の一
実施例を詳細に説明する。図1は、本発明における超音
速風洞での模型の投入方法の概要を示す参考説明図であ
る。
【0023】風洞10の測定室11内の天井面に設けら
れた図示しない投入装置により模型12は保持され、符
号aに示す位置に保持される。
【0024】投入装置は、模型の保持およびその解除を
行うべく図示しない制御装置に接続され、制御装置から
の信号により模型の保持の解除を行う。
【0025】超音速気流を発生する気流発生源、自由落
下する模型の軌跡や姿勢等を測定する測定装置等の周辺
機器の準備が完了した時点で、前述の制御装置から投入
装置への保持解除が出力され、投入装置による模型12
の保持が解除され、模型12は測定室11の内部下方へ
向けて自由落下を開始する。
【0026】自由落下する模型12へ向けて、図示しな
い気流発生源から白抜矢印で示す一様な超音速気流が吹
き付けられる。
【0027】そのため、模型12には慣性モーメントが
作用し重心点12Gを中心として模型12が回動しなが
ら軌跡は超音速気流の下流側に向けて流され、図中符号
a→b→cの位置を辿って自由落下する。
【0028】測定は、自由落下する際の模型の重心点お
よび他の任意の二点それぞれの軌跡を測定することによ
り行われる。
【0029】なお、図1では自由落下の際に位置bにお
いて、姿勢制御用の炸薬13が着火され、模型12の姿
勢制御が行われ、前述の3点の軌跡はわずかに変化す
る。
【0030】このようにして投入すれば、測定室11の
内部に模型保持用の治具を設置しないので、模型12の
後方で発生する剥離渦と治具との干渉が解消され、後端
部が段差形状を呈する不連続な形状の模型に対しても正
確な測定を行うことができる。
【0031】また、模型を治具により固定しないので、
小型の模型12に作用する極めて微少なモーメントの変
化量を正確に検出することが可能となる。ところで、模
型を投入する場合に、たとえば図7(a)に示すよう
に、模型62を風洞60の天井面63から突出した状態
で設けた模型保持具61により保持しておき、この状態
で模型保持具61から開放することにより模型62を自
由落下させて投入し、図中白抜矢印で示すように、超音
速気流を吹き付けると、図7(b)に示すように、天井
面63に突設された模型保持具61に超音速気流が衝突
し、模型保持具61を起点として衝撃波または膨脹波6
4が発生し、測定室内に一様な超音速気流を発生させる
ことができなくなって、実験精度を低下させてしまうお
それがある。
【0032】そこで、これらの超音速気流への影響を防
止できるようにした超音速風洞における模型の投入装置
について参考装置、本発明装置1および本発明装置2
構成および動作を図2、図3、図4および図5をそれぞ
れ参照しながら詳細に説明する。
【0033】図2は、参考装置の構成および動作を説明
する説明図であり、図2(a)は模型22の保持時を、
図2(b)は模型22の自由落下時をそれぞれ示す。
【0034】参考装置は、図2(a)に示すように、超
音速風洞、たとえばガンタンネル式の衝撃風洞の円筒状
の測定室の内壁面のうちの天井面20に対して円筒面と
同一平面となるように下面が形成された電磁石23を備
えており、この電磁石23が測定室の天井21に埋設さ
れて天井面20に対して円筒面と同一平面となるように
してある。この電磁石23に保持される模型22は、た
とえば鉄などの磁性体で作られており、電磁石23への
通電によって磁力で保持できるようにしてある。この電
磁石23への通電を制御して吸着保持と開放投入とを制
御するため制御装置24を備えている。
【0035】この制御装置24では、気流発生装置や測
定装置等の周辺機器の準備が完了した後、電磁石23に
制御信号が出力され、電磁石23への通電が解除され
る。
【0036】そのため、図2(b)に示すように、模型
22は電磁石23を離れて下方へ自由落下し、自由落下
する模型22に対して、図示しない気流発生源から白抜
矢印で示す超音速気流が吹き付けられる。そして、この
際に必要なデータの測定が行われる。
【0037】このようにして、模型22が自由落下によ
り投入されるため、模型保持具の設置に伴う測定誤差の
発生および超音速気流の乱れがなく、また模型22にお
いて生じる微少なモーメントの変化量を正確に検出する
ことが可能となる。
【0038】次に、図3および図4は本発明装置1の構
成を示す説明図であり、図3(a)は空洞39の幅方向
中心部において超音速気流が形成される方向を含む垂直
断面図であり、図3(b)は図3(a)のA−A部にお
ける垂直断面を含む説明図であり、図4(a)は空洞3
9を下方から見た様子を示す説明図であり、さらに図4
(b)は模型32の自由落下後であって蓋37aおよび
37b閉鎖後の状況を示す、図3(a)のA−A部にお
ける垂直断面を含む説明図である。
【0039】本発明装置1では、図3(a),(b)な
いし図4(a)に示すように、超音速風洞、たとえばガ
ンタンネル式の衝撃風洞の円筒状の測定室の内壁のうち
の天井31に、模型32を収容し得る寸法を有する下面
が円周面の一部を成すほぼ直方体形状の空洞39が設け
られ、測定室に開口するようになっている。
【0040】この空洞39の内壁面のうちの上面31c
に保持部材34が設けられており、この保持部材34に
より模型32が保持できるようにしてある。この保持部
材34は、図3(b)に示すように、その下面である模
型32との接触面まで真空吸引路34aが埋設されてお
り、真空吸引路34aは真空ポンプ40aに接続され、
真空吸引することにより模型32を吸着して保持できる
ように構成してある。また、保持部材34には高圧ガス
供給路34bも埋設され、この高圧ガス供給路34bは
高圧ガス供給装置41aに接続される。
【0041】したがって、真空ポンプ40aにより真空
吸引を行うことにより模型32は保持部材34に保持さ
れる一方、真空ポンプ40aによる真空吸引を解除する
とともに、高圧ガス供給装置41aによる高圧ガスの供
給を行うことにより模型32を下方へ向けて落下させる
ことができるように構成してある。
【0042】このような本発明装置1では、模型32の
保持および開放を行う保持機構は、保持部材34、真空
ポンプ40aおよび高圧ガス供給装置41aにより構成
される。
【0043】本発明装置1では、天井面30に対して凹
凸がない位置で空洞39の開口部39aを開閉する開閉
機構が設けられる。
【0044】この開閉機構は、図3(b)に示すよう
に、空洞39の幅方向(図面上の左右方向)の両側の内
壁面31aおよび31bの下端部にヒンジ38aおよび
38bがそれぞれ設けられ、これらを介して蓋37aお
よび37bが設置される。ヒンジ38aおよび38bに
はストッパが設けられ、蓋37aおよび蓋37bが開口
部39aの下面を測定室と同一平面をなすように停止さ
せて空洞39を塞ぐことができるようになっている。な
お、図4(a)では、二つの蓋37aおよび37bの合
わせ部を示すために蓋37bが開き蓋37aが閉じた状
態を示すが、蓋37aおよび37bはともに同時に開閉
動作を行う。
【0045】さらに、空洞39の内壁面31aの内部に
は、蓋37aの保持部材35が、内壁面31bの内部に
は、蓋37bの保持部材36が、それぞれ埋設してあ
る。
【0046】この保持部材35には、真空ポンプ40b
に接続された真空吸引路35aと高圧ガス供給装置41
bに接続された高圧ガス供給路35bとが、また、保持
部材36には、真空ポンプ40cに接続された真空吸引
路36aと高圧ガス供給装置41cに接続された高圧ガ
ス供給路36bとが、それぞれ連通され、保持部材35
は蓋37aを、保持部材36は蓋37bを、それぞれ吸
着および解除することが可能なように構成される。
【0047】このような本発明装置1では、空洞39の
開口部39aの開閉を行う開閉機構は、蓋37aおよび
37b、ヒンジ38aおよび38b、保持部材35およ
び36、真空ポンプ40bおよび40c、高圧ガス供給
装置41bおよび41cにより構成される。
【0048】真空ポンプ40aないし40c、高圧ガス
供給装置41aないし41cは、それぞれ制御装置42
に接続され、保持部材34等による模型32の吸着およ
び解除動作と、保持部材35、36等による蓋37a、
37bの開閉動作が制御される。
【0049】本発明装置1では、図3(a)及び図4
(a)に示すように、空洞39の内壁面のうちの模型3
2の前端側の内壁面31dに空洞39内を自由落下する
模型32の前端部を案内するガイドレール33aが、空
洞39の内壁面のうちの模型32の後端側の内壁面31
eに空洞39内を自由落下する模型32の後端部を案内
するガイドレール33bが、それぞれ設置される。
【0050】これらのガイドレール33a、33bはと
もに本発明における案内部材の一例であり、模型32の
前端部および後端部の位置を水平方向について規制しな
がら模型32の前端部32aおよび後端部32bを同一
の速度で自由落下させることにより、模型32を超音速
気流に迎角:0度で投入できる機能を備える。本実施例
ではガイドレールとしてチャンネル材を用いる。また、
模型32の形状や重量などによっては、必ずしも水平状
態で落下しない場合もあり、このような場合には、ガイ
ドレール33a,33bに摩擦抵抗の異なる摩擦調整部
材を取付け、これによって測定位置に落下したときに所
定の測定状態となるように調整する。
【0051】以上のように構成された本発明装置1の動
作を説明する。風洞実験の開始前、測定室の天井31に
設けられた空洞39の内部に模型32をセットする。セ
ット手順は、真空ポンプ40bおよび40cを運転して
蓋37aを保持装置35に、蓋37bを保持装置36に
それぞれ吸着させる。次に、真空ポンプ40aを運転し
て模型32を保持部材34に押付けることにより模型3
2を保持部材34に吸着させる。
【0052】この状態で制御装置42から真空ポンプ4
0aに信号が出力されて真空ポンプが停止されるととも
に高圧ガス供給装置41aから高圧ガス供給路34bを
介して保持部材34の先端に向けて高圧ガスが噴出され
る。そのため、模型32は保持部材34を離れて下方に
向けて自由落下を開始する。このとき、模型32はその
前端部32aをガイドレール33aに、後端部32bを
ガイドレール33bに拘束されて、前端部32a、後端
部32bが同一速度で自由落下するため、超音速気流に
対する迎角:0度を維持したまま、下方へ自由落下す
る。
【0053】模型32が適宜距離だけ自由落下した時
点、換言すれば模型32の落下開始から適宜時間経過し
た時点で、制御装置42から信号が出力されて、真空ポ
ンプ40bおよび40cの運転が停止されるとともに高
圧ガス供給装置41bおよび41cから高圧ガスが供給
され、蓋37aおよび37bが高圧ガスに押されて閉ま
り始める。高圧ガスの供給開始タイミングは閉まる動作
をする蓋37aおよび37bが自由落下する模型32に
干渉しないタイミングとする。
【0054】このようにして、模型32は自由落下する
とともに蓋37aおよび37bが空洞39の開口部39
aで停止する。図4(b)はこのときの状態を示す。
【0055】そして、自由落下し続ける模型32に対し
て超音速気流が吹き付けられて実験が行われる。
【0056】このような本発明装置1によれば、風洞の
測定室内に模型保持具を設置せず、また余分な凸部を風
洞の内壁各部に突出させることがないために、超音速気
流の一様性に影響を与えずに、模型を自由落下により風
洞の測定室内に投入できる。
【0057】次に、本発明装置2について説明するが、
本発明装置2は図3及び図4に示す本発明装置1におけ
る蓋37aおよびヒンジ38aと蓋37bおよびヒンジ
38bを設けないことにより構成される。
【0058】図5は本発明装置2の構成を示す説明図で
あり、図5(a)は空洞39の中心部において超音速気
流が形成される方向を含む垂直断面図であり、図5
(b)は図5(a)におけるA−A部における垂直断面
を含む説明図である。
【0059】なお、図5の中の符号は図3及び図4とま
ったく同一であり、特に図5(a)は図3(a)と全く
同一であり、この部分に関する説明は省略するととも
に、図5(b)に関する説明は図3(b)との相違部分
についてのみ行い他の部分の説明は省略する。
【0060】本発明装置2では、図5(b)に示すよう
に、図3(a)での蓋37aおよび37bと、ヒンジ3
8aおよび38bは設置されず、省かれており、これに
ともない保持部材35、36それぞれに設けられた真空
吸引路35aおよび36a、高圧ガス供給路35bおよ
び36bは蓋37a、37bを吸着・保持することはな
い。
【0061】そして、模型32の保持機構は保持部材3
4、真空ポンプ40aおよび高圧ガス供給装置41aに
より構成される。さらに、圧力調整機構は保持部材3
4、真空ポンプ40aおよび高圧ガス供給装置41a
と、必要に応じて設けられる、保持部材35および3
6、真空ポンプ40bおよび40c、および高圧ガス供
給装置41bおよび41cにより構成される。
【0062】以上のように構成された本発明装置2の動
作を説明する。風洞実験の開始前、測定室の天井31に
設けられた空洞39に模型32をセットする。セット手
順は、真空ポンプ40aを運転して模型32を保持部材
34に押付けることにより模型32を保持部材34に吸
着させる。
【0063】この状態で制御装置42から真空ポンプ4
0aに信号が出力されて真空ポンプが停止されるととも
に、高圧ガス供給装置41aから高圧ガス供給路34b
を介して保持部材34の先端に向けて高圧ガスが噴出さ
れる。そのため、模型32は保持部材34を離れて下方
に向けて自由落下を開始する。このとき、模型32はそ
の前端部32aをガイドレール33aに、後端部32b
をガイドレール33bに拘束されて、前端部32aと後
端部32bとが同一速度で落下するため、超音速気流に
対する迎角:0度を維持したまま、下方へ自由落下す
る。
【0064】模型32が自由落下を開始した直後から、
制御装置42から真空ポンプ40a、40bおよび40
cと高圧ガス供給装置41a、41bおよび41cに信
号が出力されて、空洞39の開口部表面の圧力が超音速
気流吹き付け時の測定室の開口部39aの直下部分にお
ける圧力と同一となるように、真空ポンプ40a、40
bおよび40cと高圧ガス供給装置41a、41bおよ
び41cとの運転が制御される。
【0065】このようにして模型32が測定室内の適宜
位置まで自由落下した時には空洞39の内部の圧力は、
超音速気流吹き付け時の測定室内の圧力とほぼ同じ値に
調整される。
【0066】したがって、この状態で自由落下する模型
32に超音速気流を吹き付けても超音速気流は空洞39
の角部等に衝突すること等による乱れがなく、超音速気
流の一様性に影響を受けることがない。
【0067】そのため、本発明装置1で示したように蓋
を用いて空洞の開口部を機械的に塞ぐこと無く測定室を
空洞がないと同じ状態にすることができる。
【0068】そして、自由落下し続ける模型32に対し
て超音速気流が吹き付けられて実験が行われる。
【0069】このように、本発明装置2によれば、風洞
の測定室内に模型保持具を設置せず、また余分な凸部を
風洞の内壁各部に突出させることがないために、超音速
気流の一様性に影響を与えずに、模型を自由落下により
風洞の測定室内に投入できる。
【0070】
【変型例】図2に示す参考装置における電磁石23は模
型の長手方向について一つだけ設置されているが、二つ
以上に分割して設置してもよい。
【0071】図3に示す本発明装置1において、模型の
保持機構、蓋の開閉機構として、真空ポンプや高圧ガス
発生装置を用いたが、かかる態様には限定されず、公知
の保持機構、開閉機構等を適宜組合わせて適用すること
ができる。
【0072】また、ガイドレールとしてチャンネル材を
用いたが、かかる態様には限定されない。模型が自由落
下する際に、先端部、後端部それぞれが同一速度で落下
するように規制できるものであればよい。
【0073】
【発明の効果】本発明装置1では、測定室の内壁のうち
の天井に設けられた空洞と、空洞の開口部を開閉する開
閉機構と、空洞内に模型を保持する保持機構とを有し、
開閉機 構を開いた状態で空洞内に模型を保持し、前記模
型を自由落下させてから開閉機構を閉じ、この状態で測
定室内を自由落下する模型に超音速の気流を吹き付け
る。
【0074】さらに、本発明装置2では、測定室の内壁
のうちの天井に設けられた空洞と、この空洞内に収容さ
れた模型を保持および開放する保持機構と、空洞内の圧
力を、超音速気流の吹き付け時の空洞の開口部の圧力と
同じ値に調整し得る圧力調整装置とを有し、保持機構に
より空洞内に模型を保持し、この模型が自由落下を開始
した時以降、圧力調整機構により空洞内の圧力を上記の
値に調整し、超音速気流の吹き付け時には超音速気流が
空洞の内部および角部等に衝突しないようにする。
【0075】そのため、本発明装置1または本発明装置
のいずれかによれば、模型保持具が測定室内に突設さ
れずに超音速風洞へ模型を投入して測定を行うことによ
り、測定室内に一様な超音速気流を形成でき、後端部が
段差形状を呈する不連続な形状であって小型の模型に対
する測定精度を向上することができる。
【0076】さらに、本発明装置1または本発明装置2
における空洞の内壁面に、収容された前記模型を下方へ
案内する案内部材を設けることにより、自由落下中の模
型の姿勢を、気流に対する迎角が可及的0度になる姿勢
に制御することができる。そのため、模型の空気抗力係
数C値を正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における投入方法の概要を示す参考説明
図である。
【図2】参考装置の構成および動作を説明する説明図で
あり、図2(a)は模型22の保持時を、図2(b)は
模型22の自由落下時をそれぞれ示す。
【図3】本発明装置1の構成を示す説明図であり、図3
(a)は空洞39の幅方向中心部において超音速気流が
形成される方向を含む垂直断面図であり、図3(b)は
図3(a)のA−A部における垂直断面を含む説明図で
ある。
【図4】本発明装置1の構成を示す説明図であり、図4
(a)は空洞39を下方から見た様子を示す説明図であ
り、図4(b)は模型32の自由落下後であって蓋37
aおよび37b閉鎖後の状況を示す、図3(a)のA−
A部における垂直断面を含む説明図である。
【図5】本発明装置2の構成を示す説明図であり、図5
(a)は空洞39の中心部において超音速気流が形成さ
れる方向を含む垂直断面図であり、図5(b)は図5
(a)におけるA−A部における垂直断面を含む説明図
である。
【図6】超音速風洞で実験を行う場合の従来の実験要領
の概要を示す説明図である。
【図7】模型を自由落下により投入する場合の一例を示
す説明図であり、図7(a)は模型の保持時を、図7
(b)は模型の自由落下時をそれぞれ示す。
【符号の説明】
10 風洞 11 測定室 12 模型 12G 重心点 13 炸薬 20 天井面 21 天井 22 模型 23 電磁石 24 制御装置 30 天井面 31 天井 32 模型 32a 先端部 32b 後端部 33 ガイドレール(案内部材) 34 保持部材 35、36 保持部材 37 蓋 38 ヒンジ 39 空洞 39a 開口部 40 真空ポンプ 41 高圧ガス供給装置 42 制御装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−106446(JP,A) 特開 平1−297523(JP,A) 実開 平2−146347(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01M 9/08 G01M 9/04

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超音速気流が形成される超音速風洞の測
    定室内に模型を自由落下により投入する投入装置であっ
    て、前記測定室の天井に設けられ当該測定室に開口して
    前記模型を収容し得る寸法を有する空洞と、この空洞に
    収容された前記模型の保持および投入を行う保持機構
    と、前記測定室の表面と同一平面をなすよう前記空洞の
    開口部を閉塞し得る開閉機構と、前記保持機構による投
    入タイミングおよび前記開閉機構による閉塞タイミング
    を制御する制御装置とを備えることを特徴とする超音速
    風洞における模型の投入装置。
  2. 【請求項2】 超音速気流が形成される超音速風洞の測
    定室内に模型を自由落下により投入する投入装置であっ
    て、前記測定室の天井に設けられ当該測定室に開口して
    前記模型を収容し得る寸法を有する空洞と、前記空洞に
    収容された前記模型の保持および投入を行う保持機構
    と、前記空洞の開口部表面の圧力を調整する圧力調整機
    構と、前記保持機構および圧力調整機構の制御装置とを
    備えることを特徴とする超音速風洞における模型の投入
    装置。
  3. 【請求項3】 前記空洞内には、収容された前記模型の
    前端部および後端部を下方へ同一速度で落下するよう案
    内する案内部材が設けられることを特徴とする請求項1
    または請求項2記載の超音速風洞における模型の投入装
    置。
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