JP2912368B1 - 誘導飛しょう体およびその誘導方法 - Google Patents

誘導飛しょう体およびその誘導方法

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JP2912368B1
JP2912368B1 JP10192968A JP19296898A JP2912368B1 JP 2912368 B1 JP2912368 B1 JP 2912368B1 JP 10192968 A JP10192968 A JP 10192968A JP 19296898 A JP19296898 A JP 19296898A JP 2912368 B1 JP2912368 B1 JP 2912368B1
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Abstract

【要約】 【課題】 航空機から後方の目標体に向けて発射され、
飛しょう速度が機体後方を向いた状態から零速度へと経
過し、さらには機体前方を向いた状態へと逆転するまで
の全ての誘導過程において、誘導飛しょう体を常に安定
に飛しょうさせることを目的とする。 【解決手段】 航空機に後向きに搭載された誘導飛しょ
う体において、発射後に展開翼を閉じて機体前方の格子
翼の揚力で空力的な静安定性を確保し、かつ推進装置点
火後に機体後方の展開翼を開いて揚力を増すことで発射
直後と終末期における誘導飛しょう体の空力的な静安定
性を確保し、また推力偏向を行なうことで速度零付近の
不安定領域での姿勢を安定に保つ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ヘリコプター、
飛行機などの航空機に搭載され、当該航空機の後方に位
置する他の航空機、誘導弾などの目標体に向けて発射も
しくは投下されて、後方へ向けて飛しょう可能な誘導飛
しょう体およびその誘導方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】以下に、航空機(以下母機とする)に搭
載され、後方発射可能な誘導飛しょう体に関する従来例
を説明する。図14に示すように、後方発射可能な誘導
飛しょう体1は、その機体の前方が飛行中の母機2の後
方(図の右方向)を向くようにして母機2に搭載され
る。母機2の後方で脅威となる航空機、誘導弾などの目
標体3が存在した場合、誘導飛しょう体1は、母機2か
ら発射指令が与えられ、母機2から分離されて目標体3
へ向けて飛しょうする。
【0003】図15(a)は従来の誘導飛しょう体1の
構成要素を示す図であり、図において、4は母機2に搭
載される誘導飛しょう体1の機体、5は機体4の前方
(図の右側)に配置され、その前部に電波センサ、光波
センサなどのシーカ部6を有する誘導装置、7は機体4
の前方に装着されたドーム、8は機体4の後方(図の左
側)に固定された安定翼である後翼、9は機体4に回動
可能に支持された操舵翼、10は前方に固定された安定
翼である前翼、11は誘導飛しょう体1に推進力を発生
する推進装置、12は推進装置11を覆うように機体4
の後方に装着されたカバーを示す。また、図15(b)
は推進装置11の内部構成を示すもので、図において、
13は推進装置11の内部に設けられ機体4の後方向
(図の左方向)に燃焼ガスを噴出して推進力を発生する
ノズル、14は機体4の推力を偏向する推力偏向装置、
15はベーンを示す。
【0004】このような誘導飛しょう体1の各構成要素
は、次のように作用する。後翼8、操舵翼9、前翼10
は、それぞれ機体4の胴体外周を機軸方向から見て4等
分する各位置に1枚づつ計4枚が各一組となって装着さ
れ、後翼8、操舵翼9、および前翼10と推力偏向装置
14によって、誘導飛しょう体1の姿勢安定が確保され
る。ドーム7は、電波や光波を透過する素材で形成さ
れ、誘導装置5のシーカ部6を保護するとともに、機体
4の空気抵抗を低減する作用をもつ。また誘導飛しょう
体1は、発射してからしばらくは推進装置11を先頭と
してドーム7から推進装置11に向かう方向(機体後
方)に飛しょうし、推進装置11が点火されるまでの間
はカバー12が装着される。また、推力偏向装置14
は、ノズル13の噴出口の周囲にべーン15を設けて構
成されるものであり、後述する推力偏向角指令に応じて
ベーン15を所望の位置に駆動し、ノズル13から噴出
される推進薬の燃焼ガスを偏向させることによって、機
体4に所望の回転モーメントを発生させることができ
る。なお、推力偏向装置14の他の例として、特開平5
−34096号公報に開示されているような、機体4の
重心から離れた位置で、かつ機軸方向から見て胴体外周
を4等分する各位置に4つのガス噴出装置を配設したも
のがある。これは、機軸に直交する方向に対して各ガス
噴出装置を適宜噴出することにより、機体4の推力を所
望の方向に偏向することができる。
【0005】さらに、図16は従来の誘導飛しょう体1
を目標体3へ誘導するとともに、機体の姿勢を安定させ
る制御系の構成を示す図である。図において、16は慣
性装置、17は航法計算回路、18はゲイン計算回路、
19は舵角および推力偏向角指令計算回路、20は操舵
翼9を回動させる操舵翼駆動装置である。
【0006】次に、この制御系の動作について説明す
る。誘導飛しょう体1は、発射時に母機2から目標体3
の位置、速度などを示す目標情報が与えられる。発射後
は、その目標情報に基づいて誘導装置5が目標体3の捜
索を行い、シーカ部6が目標体3を捕捉してその追尾が
行なわれる。また誘導装置5は、目標体3の誘導飛しょ
う体1に対する追尾誤差を基に、誘導飛しょう体1と目
標体3との間に成される目視線角度の変化率を推定し、
誘導飛しょう体1の目標体3への誘導方向や目標速度を
示す目標誘導信号を発生する。慣性装置16では、その
内部に有する慣性センサ部で機体4の角速度と加速度が
計測され、その計測結果が慣性情報信号として航法計算
回路17と舵角および推力偏向角指令計算回路19に出
力される。航法計算回路17では、誘導装置5からの目
標誘導信号と慣性装置16からの慣性情報信号に基づい
て、誘導に必要な加速度指令および角速度指令が計算さ
れる。また、誘導飛しょう体1が母機2から発射される
ときに、慣性装置16は、母機2から誘導飛しょう体1
の初期高度と初期速度が与えられる。慣性装置16で
は、この初期高度および速度と、発射後に内部の慣性セ
ンサ部で計測される機体4の角速度および加速度に基づ
いて、内部に有する計算部で誘導飛しょう体1の高度と
速度が計算される。さらにゲイン計算回路18では、慣
性装置16で計算された高度と速度に応じてオートパイ
ロット系ゲインが計算される。舵角および推力偏向角指
令計算回路19では、航法計算回路17から与えられる
加速度指令と慣性装置16から与えられる加速度の計測
データとから加速度偏差を算出し、この偏差にゲイン計
算回路18で計算されたオートパイロット系ゲインの乗
数を掛け合わせ、またこの掛け合わせた結果と慣性装置
16から与えられる角速度に基づいて、誘導飛しょう体
1が目標体3に会合するまでの所定の航法を実現する舵
角指令および推力偏向角指令を計算する。この舵角指令
は操舵翼駆動装置20に出力され、操舵翼9が操舵され
て誘導飛しょう体1において所要の舵角がとられる。ま
た、舵角および推力偏向角指令計算回路19からの推力
偏向角指令は、推力偏向装置14に入力され所要の方向
に誘導飛しょう体1の推力が偏向される。
【0007】次に、従来の誘導飛しょう体1が、母機2
から発射されてから目標体3に会合するまでの誘導過程
について説明する。図17は、母機2から発射され後方
に向けて飛しょうする誘導飛しょう体1の挙動を示す図
である。
【0008】図において、21は、誘導飛しょう体1が
例えば超音速領域で飛行中の母機2から後方に向けて発
射され、機体後方に向かう速度Vbで飛しょうしている
段階、22はtr3秒後に推進装置11が点火されると
ともに、誘導飛しょう体1が機体後方を向いた速度Vc
で飛しょうしている段階、23は誘導飛しょう体1が推
進装置11からドーム7に向かう方向(機体前方)の速
度Vaで飛しょうしている段階を示す。
【0009】母機2に対して脅威となる目標体3の存在
が確認された後、母機2から発射された誘導飛しょう体
1は、推進装置11が点火される前の段階21のよう
に、母機2の速度V0とほぼ同じ機体後方に向かう飛し
ょう速度Vbで飛しょうする。その後、推進装置11が
点火されると、初期には機体後方に向かう速度Vcをも
つ段階22を経過する。その後誘導飛しょう体1は加速
され、最終的に機体前方に向かう飛しょう速度Vaをも
つ段階23に至って目標体3まで誘導される。このよう
な過程を経る間に、誘導飛しょう体1は空力的に不安定
な速度領域である機体後方に向かう速度Vcをもつ段階
22を経過し、さらに機体の速度が零近傍となる速度領
域も経過していく。
【0010】図18は従来の誘導飛しょう体1に作用す
る空力的なモーメントを示す図であり、図18(a)は
機体前方へ飛しょうする場合、図18(b)は機体後方
へ飛しょうする場合をそれぞれ示す。図18(a)にお
いて、Vaは機体前方へ飛しょうする段階23の誘導飛
しょう体1の速度ベクトル、αは機体周囲の気流に対す
る迎え角、L1は前翼10の揚力、Xc1は重心G1か
ら前翼10の空力中心までの距離、L2は後翼8の揚
力、Xc2は重心G1から後翼8の空力中心までの距
離、Maは機体前方へ飛しょうする段階23の場合の重
心G1周りの回転モーメント、図18(b)においてV
bは機体後方へ飛しょうする段階21の誘導飛しょう体
の速度ベクトル、Mbは機体後方へ飛しょうする段階2
1の場合の重心G1周りの回転モーメント、Vairは
気流の速度ベクトル(対気速度)を示す。
【0011】誘導飛しょう体1が機体前方に向かう速度
Vaをもつ段階23においては、基本的に空力的な静安
定性を確保することが出来る。これは、後翼8の面積が
前翼10の面積より大きいため、同じ迎え角をとる場合
の揚力は後翼8のほうが大きく、例えば迎え角αの場合
は数1に示すように、前翼10の揚力L1、重心G1か
らの距離Xc1、後翼8の揚力L2および重心G1から
の距離Xc2との関係から、ドーム7側で迎え角αを低
減させる頭下げのモーメントMaが発生することに因
る。(モーメントは頭下げ正とする。)
【0012】
【数1】
【0013】すなわち、目標体3の追尾誤差を修正する
ために機体4の姿勢角を偏向したり、機体周囲の気流の
乱れによって気流の方向が変化するなどの外乱が作用し
て迎え角αが発生しても、それを打ち消すモーメントM
aが生じて機体4の気流に対する静安定性が確保でき
る。なお、このとき誘導飛しょう体1の空力中心は重心
G1よりも気流に対して後流側にある。
【0014】一方、母機2から発射直後には、誘導飛し
ょう体1は機体後方に向かう速度をもつ段階21にな
る。ここで誘導飛しょう体1が迎え角αをとるときに、
操舵翼9および推力偏向装置14が作動しない状態を仮
定すると、段階23における誘導飛しょう体1の挙動と
同様に、気流に対して前翼10の揚力L1、後翼8の揚
力L2が発生する。その場合に重心位置がほぼ同一とす
ると、段階23の場合と同様に揚力によってモーメント
が発生するが、ここでのモーメントMbは数2に示すよ
うになるため、推進装置11側で頭上げのモーメントと
なり迎え角αをさらに増大させる方向に作用する。
【0015】
【数2】
【0016】その結果、前翼10と後翼8のみでは気流
に対する姿勢の維持が困難になり、絶えず推力偏向装置
14や操舵翼9を用いて迎え角αを打ち消すモーメント
を常に発生させる必要がある。なお、このときの誘導飛
しょう体1の空力中心は重心G1よりも気流に対して上
流側にある。
【0017】次に、後方発射可能な誘導飛しょう体に関
する他の従来例を示す。図19は、特開平5−7979
8号公報に開示された、従来の飛しょう体用の空力特性
変更装置を示すものであり、図19(a)は機体後方へ
飛しょうする場合、図19(b)は機体前方へ飛しょう
する場合をそれぞれ示す。図において、24は飛しょう
体、25は飛しょう体24の後翼、26は飛しょう体2
4の前翼である操舵翼、27は通電指令を受けて爆発し
切断される爆発ボルト、28は操舵翼26の後方に近接
して、爆発ボルト27の作動(爆破破断)により離脱可
能に固定された付加翼、29は機軸にほぼ平行に胴体の
外方に支持されて前後の気圧差(動圧差)を検知する差
圧センサ、30は差圧センサ29の前後圧から差圧を検
出し、爆発ボルト27を爆発させる通電指令を発する差
圧検出器、31は機体後方に推力を発生する推進装置、
G2は後翼25と操舵翼26の間に位置する機体の重心
を示し、ドーム7は図15と同様なものである。
【0018】次に、この空力特性変更装置の動作につい
て説明する。飛しょう体24が母機2から後方発射され
た初期には、推進装置31によって機体前方(図19
(a)の右方向)に推力を発生しているが、もともと母
機2は飛しょう体24の機体後方(図19(a)の左方
向)に進行しており、飛しょう体24も惰力によって後
方(図19(a)の左方向)に飛しょう中で、気流Va
irは図19(a)の矢印の向き(図の右方向)に流れ
ている。このとき、付加翼28および操舵翼26と、後
翼25とのバランスによって空力中心は重心G2より気
流に対して後流側(付加翼28側)にあるので、空力的
に静安定性を保っている。
【0019】一方、後方への速度が減じて、差圧センサ
29における前後の気圧差がある程度以上小さくなる
と、飛しょう体24は間もなく前方(図19(b)の右
方向)へ進むことになるので差圧検出器30から通電指
令が発せられ、爆発ボルト27が作動して付加翼28が
分離され、操舵翼26と後翼25とのバランスによって
空力中心は重心G2の機体後方、すなわち図19(b)
の左方向に移る。このとき、気流Vairは図19
(b)の矢印の向き(図の左方向)に流れており、空力
中心は重心G2より気流に対して後流側(後翼25側)
にあるので、空力的に静安定となる。また、この場合の
飛しょう体24の姿勢は、操舵翼26で制御される。
【0020】すなわち、飛しょう体24の重心G2に対
し、空力中心を機体前方に配置するのに必要な翼面積を
有する付加翼28を、飛しょう体24の前翼26の後方
近傍に離脱可能に固定することにより、母機2から後方
に向けて発射された飛しょう体24が後進している間
は、気流が飛しょう体24の機体後方から前方に流れて
いるのに対し、空力中心は重心G2より後流側に位置す
ることになって空力的に静安定させることができる。ま
た、飛しょう体24の対気速度が0近傍になったところ
でこれを検知して付加翼28を離脱させることにより、
飛しょう体24が前進に転じて気流が飛しょう体24の
機体前方から後方に流れても、飛しょう体24の空力中
心が重心G2より気流に対して後方に移動するため、空
力中心は重心G2より後流側となって空力的に静安定さ
せることができる。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】以上説明したように、
誘導飛しょう体が母機から後方に向けて発射された場
合、その飛しょう過程において飛しょう速度が機体後方
から前方に変化する。このとき、最初の従来例で示した
図15のような推力偏向装置を用いた誘導飛しょう体1
においては、次のような問題があった。
【0022】誘導飛しょう体1では後翼8が前翼10よ
りも大きいため、機体後方に飛しょうしている間は前翼
10と後翼8にそれぞれ作用する揚力のバランスによ
り、迎え角αを増大させる頭上げのモーメントが発生し
空力的に不安定な状態が生じて、機体の姿勢安定の確保
が困難になるという問題があった。
【0023】また、機体の姿勢安定を確保するために、
推力偏向装置14および操舵翼9を用いて推力や揚力を
偏向させ、この頭上げのモーメントを打ち消す方向にモ
ーメントを発生させるような機体の姿勢制御を行ったと
しても、その制御力を上回る外乱が加わった場合には制
御不能となるという問題があった。
【0024】また、推力偏向装置14による推力偏向や
操舵翼9の駆動によって姿勢制御を実施できたとして
も、機体前方に向かう速度で飛しょうする場合と機体後
方に向かう速度で飛しょうする場合とでは、操舵翼9に
作用する空力中心が翼長の前後に大きく移動するため、
操舵翼9の回転に要するトルクが大きくなる。このた
め、操舵翼9を駆動するモータとして、大出力を発生す
る大型なものが必要となり、そのようなモータを実装す
るためのスペースの拡大に応じて機体が大型化するとと
もに、駆動のための消費電力が大きくなり、さらにモー
タや機体が高価なものになるなどの問題が生じた。
【0025】さらにまた、内部に推力偏向装置14を備
えた推進装置11においては、機体後方に向かう速度で
飛しょう中に頭上げのモーメントによって常に姿勢の不
安定な状態が生じるので、機体前方へ飛しょうするため
の機軸方向の推力に加えて、推力偏向のために機軸に垂
直な方向の推力を絶えず発生させて機体の姿勢を常に維
持する必要がある。このため、機体に大容量の推進薬を
搭載するとともに、高出力のノズルを実装する必要があ
り、機体が大型化するという問題があった。また誘導飛
しょう体1を搭載するための航空機は、一般に搭載物の
重量や大きさに制限があるため、このような機体の大型
化によって搭載母機にも問題が生じる可能性があった。
【0026】次に、第2の従来例に示すような図19の
空力特性変更装置を用いた飛しょう体24においては、
次のような問題があった。飛しょう体24の空力特性変
更装置は、爆発ボルト27によって付加翼28を分離す
る火口品であり、飛行中の航空機から発射された後に付
加翼28を分離するとき、爆発によって付加翼28など
の空中飛散物が機体の四方に飛び散るため、その飛散物
が機体自身や母機2の他、目標体3以外の航空機などに
衝突して損傷を与える可能性があり、空域の安全性を確
保するという観点では問題が生じた。
【0027】また、飛しょう体24における空力特性の
変更と操舵翼26のみで機体を静安定させようとして
も、機体後方から前方へと飛しょう速度が変化する過程
で、速度が零に近づくとともに揚力が低下するため、気
流の乱れによって機軸に垂直な方向に外力が作用する場
合には、それを打ち消すための制御力を与えられず機体
の姿勢を制御できなくなる。特に、飛しょう体24は後
翼25、操舵翼26、および付加翼28に平面翼を用い
ており、例えば翼下面の流れが下方に偏向されるような
大きな迎え角をとる場合には、飛しょう速度が遅くなる
につれて翼上面で流れの剥離が起こり、揚力が低下して
機体が失速する可能性があった。このため、外乱に対し
て姿勢の安定を確保できないという問題が生じた。
【0028】さらに、飛しょう体24の飛しょう速度が
機体後方から前方へと変化するのに伴って、操舵翼26
に作用する空力中心が翼長の前後に大きく移動し、操舵
翼26を回転させるための所要トルクが大きくなる。こ
のため、上述したように操舵翼26の駆動モータが大き
くなり、機体の大型化や消費電力の増加などを招くとい
う問題が生じた。
【0029】この発明は係る課題を解決するためになさ
れたものであり、推力偏向装置のみ、あるいは空力特性
変更装置のみを利用した従来のものと比較して、機体後
方から前方に向かうまでの全ての速度領域で、より安定
な飛しょうを確保できる誘導飛しょう体を得ることを目
的としている。
【0030】
【課題を解決するための手段】この発明に係る第1の発
明の誘導飛しょう体は、飛しょう中の航空機から分離さ
れ、当該航空機の後方へ向けて飛しょう可能な機体と、
前記機体の飛しょう速度が零近傍であることを検知する
検知手段と、前記検知手段での検知に応じて前記機体の
重心に対して空力中心を機体後方に移動させる空力特性
変更手段と、複数の平面翼が交差して格子形状を成す操
舵翼と、前記機体の推力を偏向させる推力偏向手段とを
備えたものである。
【0031】また、第2の発明の誘導飛しょう体は、第
1の発明において、前記空力特性変更手段として、前記
検知手段での検知に応じて前記機体の重心に対して空力
中心を前記機体後方に移動させるように展開する展開翼
を備えるとともに、前記操舵翼を、前記機体前方に配設
したものである。
【0032】また、第3の発明の誘導飛しょう体は、飛
しょう中の航空機から分離され、当該航空機の後方へ向
けて飛しょう可能な機体と、前記機体の飛しょう速度が
零近傍であることを検知する検知手段と、複数の平面翼
が交差して格子形状を成し、前記機体前方に配設された
開閉翼と、前記機体後方に配設された操舵翼と、前記機
体の推力を偏向させる推力偏向手段とを備え、前記開閉
翼は、通常は展開され、前記検知手段での検知に応じて
前記機体の重心に対して空力中心を前記機体後方に移動
させるように閉じる手段を有したものである。
【0033】また、第4の発明の誘導飛しょう体は、飛
しょう中の航空機から分離され、当該航空機の後方へ向
けて飛しょう可能な機体と、前記機体の飛しょう速度が
零近傍であることを検知する検知手段と、前記機体の重
心に対して空力中心を機体後方に移動させるように展開
する展開翼と、前記機体に配設された操舵翼と、前記検
知手段での検知に応じて、前記機体の機軸に垂直な方向
へ推力を与える推力偏向手段とを備えたものである。
【0034】また、第5の発明の誘導飛しょう体は、第
1から第4の発明のいずれかにおいて、前記機体後方に
配置された推進装置と、前記推進装置の点火前は前記推
進装置を覆い、前記推進装置の点火段階で離脱されるカ
バーとを備えたものである。
【0035】また、第6の発明の誘導飛しょう体は、第
1から第4の発明のいずれかにおいて、前記機体の速度
を計測する慣性装置を備え、前記検知手段は、前記慣性
装置から得られる速度が所定の値より小さいときに前記
機体の飛しょう速度が零近傍であると検知する機能を有
するものである。
【0036】また、第7の発明の誘導飛しょう体は、第
1から第4の発明のいずれかにおいて、前記機体に配設
され、前記機体周囲の気流の方向に応じて向きを変える
風向プローブと、前記風向プローブの角度を検出する角
度検出手段とを備え、前記検知手段は、前記角度検出手
段からの角度情報に基づいて前記機体の飛しょう速度が
零近傍であることを検知するものである。
【0037】また、第8の発明の誘導飛しょう体の誘導
方法は、機体の飛しょう速度を検知する検知手段と、前
記機体の重心に対して空力中心を機体後方に移動させる
ように展開する展開翼と、前記機体前方に配設された操
舵翼と、前記機体の推力を偏向させる推力偏向手段とを
具備した誘導飛しょう体の誘導方法において、前記誘導
飛しょう体は、飛しょう中の航空機の後方に機体前方を
向けた状態で当該航空機から分離された後、前記展開翼
を閉じたまま前記機体後方に飛しょうする段階、前記検
知手段で前記機体の飛しょう速度が零近傍であることを
検知した後、前記推力偏向手段で機軸に垂直方向の推力
を発生させ前記機体の姿勢を保持する段階、および前記
展開翼を展開して前記機体前方に飛しょうする段階を経
て、目標体へ向けて誘導する方法である。
【0038】
【発明の実施の形態】実施の形態1.図1、図2および
図3を用いてこの発明に係る実施の形態1について説明
する。図1はこの実施の形態における誘導飛しょう体3
2の構成を示す図であり、図において33は翼展開判定
回路、34は展開翼展開装置を示し、その他は図16の
従来例と同じものである。また、図2はこの実施の形態
における誘導飛しょう体32の構成要素を示す図で、図
2(a)は機体後方へ飛しょうする場合、図2(b)は
機体前方へ飛しょうする場合をそれぞれ示す。図2
(a)において、35は機体4の後方(図の左側)に固
定され、機軸の前後方向に対称な台形状の平面安定翼で
ある固定翼、36は機体4の前方(図の右側)に前翼と
して設けられ、機軸に垂直な操舵軸まわりに回動可能に
支持された格子翼を示し、固定翼35、格子翼36は、
それぞれ機体4の胴体外周を機軸方向から見て4等分す
る各位置に1枚づつ計4枚が各一組となって装着され
る。また図2(b)において、37は各固定翼35に展
開可能に支持された平面状の展開翼を示し、4、7、1
1、12は図15の従来例と同じものである。また、図
3は、航空機から発射もしくは投下された誘導飛しょう
体32の挙動を示す図である。
【0039】次に動作について説明する。図3におい
て、速度V0(例えば超音速領域)で飛しょうする母機
2から発射もしくは投下され、分離された誘導飛しょう
体32は、段階38に示すように、分離直後には速度V
bで母機2の進行方向に向かって飛しょうする。この
時、図2(a)に示すように誘導飛しょう体32は、機
体4のドーム7を後方にし、機体4に保持されたカバー
12を先頭にして機体後方に飛しょうする。この飛しょ
う状態においては、機体4の格子翼36の揚力特性と固
定翼35の揚力特性とのバランスより、格子翼36の揚
力が勝るため静安定性が確保され、機体4が安定に飛し
ょうする。また、カバー12を備えることによって推進
装置11内部への気流の流入を防ぐことができる。
【0040】その後、母機2より分離されてからtr1
秒後には、図3の段階39に示すように推進装置11が
点火されるとともに、カバー12の保持部材が外れてカ
バー12が機体後方に放出され、気流の流れとは反対の
方向に推進装置の噴煙11bが放出される段階に至る。
この段階39では、推進装置11の推進力と機体4の空
気抵抗の働きにより、母機2と同じ方向、すなわち機体
後方に向かう速度Vc(例えば亜音速領域)は減速さ
れ、母機2より分離されてからtw1秒後には、母機2
の進行方向とは逆の方向、すなわち機体前方に向かう速
度Vaをもつようになり、段階40に示す飛しょう過程
に至る。図2(b)のように、この状態で展開翼37が
展開することによって、機体4の静安定性が常に保たれ
る。なお誘導飛しょう体32は、母機2から分離される
ときに母機2より点火時間tr1を設定するための情報
が与えられ、推進装置11において予め点火時間tr1
が設定される。
【0041】次に、図1により展開翼37の展開制御と
その原理を説明する。機体4の速度が減速されていく過
渡の段階38、39では、飛しょう速度の変化により機
体4の制御に必要な回路のゲインなどが大幅に変化す
る。そこで図16に示した従来の誘導飛しょう体1と同
様に、誘導装置5では目標追尾信号に基づいて目標誘導
信号が計算される。慣性装置16では、その慣性センサ
部で機体4の角速度と加速度が計測されて慣性装置16
と舵角および推力偏向角指令計算回路19に出力される
とともに、その計算部で飛しょう高度と速度などが計算
されてゲイン計算回路18に出力され、ゲイン計算回路
18においてこの高度と速度に応じたオートパイロット
系ゲインの乗数が計算される。また、航法計算回路17
では、誘導装置5からの目標誘導信号と慣性装置16か
らの角速度と加速度に基づいて加速度指令あるいは角速
度指令が計算される。舵角および推力偏向角指令計算回
路19では、航法計算回路17からの角速度指令、加速
度指令と、慣性装置16からの角速度、加速度の観測デ
ータと、ゲイン計算回路18からの乗数によって、所定
の航法を実現する舵角および推力偏向角指令が計算さ
れ、その舵角指令を操舵翼駆動装置20に出力し、また
その推力偏向角指令を推力偏向装置14に出力する。こ
の出力された舵角指令、および推力偏向角指令に基づい
て、操舵翼駆動装置20および推力偏向装置14は機体
4に対して時々刻々と所要の姿勢制御を行う。例えば図
2(a)において、カバー12の先端を上げる方向に誘
導飛しょう体32の機体4を傾ける舵角指令が出力され
た場合は、操舵翼駆動装置20が操舵翼36bを図に向
かって左回り(図の矢印イの方向)に回し、またカバー
12の先端を下げる方向に誘導飛しょう体32の機体4
を傾ける舵角指令が出力された場合は、操舵翼駆動装置
20が操舵翼36bを図に向かって右回り(図の矢印ロ
の方向)に回すようにして操舵が行なわれる。また、例
えば図2(b)において、ドーム7の先端を上げる方向
に誘導飛しょう体32の機体4を傾ける推力偏向角指令
が出力された場合は、推力偏向装置14が図の下方向
(図の矢印ハの方向)に推力を与え、ドーム7の先端を
下げる方向に誘導飛しょう体32の機体4を傾ける推力
偏向角指令が出力された場合は、推力偏向装置14が図
の上方向(図の矢印ニの方向)に推力を与えるようにし
て推力偏向が行なわれる。
【0042】一方、この実施の形態においては、慣性装
置16で観測された飛しょう速度が翼展開判定回路33
へ与えられる。翼展開判定回路33において、この観測
された飛しょう速度が、速度零近傍の所定の速度基準値
(例えば時速50km)を下回り、機体後方から前方へ
と飛しょう速度が逆転することが検知されると、翼展開
指令が発生される。展開翼展開装置34では、翼展開判
定回路33から翼展開指令を与えられて展開翼37を展
開動作させる。その結果図2(b)に示すように、固定
翼35から展開翼37が展開された翼形状になり、前翼
である格子翼36よりも固定翼35と展開翼37とで形
成される後翼の方が翼面積が大きくなり、空力中心が気
流に対して重心よりも後流側に移動し、揚力特性が向上
して飛しょう経路における機体4の静安定性が確保され
る。
【0043】ここで、図4によって飛しょう速度と静安
定との関係を詳細に説明する。図4(a)は展開翼37
の展開後に誘導飛しょう体32に作用する空力的なモー
メントを示し、図4(b)は展開翼37の展開前に誘導
飛しょう体32に作用する空力的なモーメントを示す図
である。
【0044】誘導飛しょう体32が機体後方に向かう速
度Vbで飛しょうする図3の段階38の場合には、展開
翼37が収納され固定翼35と格子翼36によって、空
力的な静安定性を確保することが出来る。これは、図4
(b)に示すように、迎え角αをとった場合の機体前方
の格子翼36の揚力L3が、機体後方の固定翼35の揚
力L2よりも大きくなるように翼を形成することによ
り、格子翼36の重心Gからの距離Xc3と固定翼35
の重心Gからの距離Xc4との間の数3に示すモーメン
トバランスの関係から、カバー12側で迎え角αを低減
させる頭下げのモーメントMbが発生することに因る。
(モーメントは頭下げ正とする。)なお、誘導飛しょう
体32が機体後方に向かう速度Vcで飛しょうする段階
39の場合も、段階38の場合と同様に静安定性が確保
できる。
【0045】
【数3】
【0046】このため、飛しょう速度が機体後方から機
体前方へ変化する過程において、誘導飛しょう体32が
機体後方に向けて飛しょうする場合には、迎え角αが発
生したときにそれを打ち消すモーメントMbが発生し、
気流に対する機体4の静安定性が確保できる。
【0047】また、推進装置11の推力と空気抵抗の作
用により、誘導飛しょう体32の飛しょう速度が逆転
し、速度Vaで機体前方へ飛しょうする図3の段階40
に至る場合には、固定翼35から展開翼37が展開され
る。ここで誘導飛しょう体32が、気流に対して図4
(b)の場合と同じ迎え角αをとったと仮定すると、図
4(a)に示すように、固定翼35と展開翼37から成
る後翼で揚力L4が発生する。この揚力L4は固定翼3
5の揚力に展開翼37の揚力を加えたようにして発生す
るため、展開翼37の翼面積を十分大きくすることによ
って、格子翼36の揚力L3よりも後翼の揚力L4を大
きくとることができる。その場合に機体4を回転させよ
うとするモーメントMaは、数4に示すドーム7側で頭
下げのモーメントとなり、迎え角αを減少させる方向に
作用する。
【0048】
【数4】
【0049】その結果、飛しょう速度が機体後方から機
体前方へ変化する過程において、誘導飛しょう体32が
機体前方に向けて飛しょうする場合でも、空力的な静安
定性が確保され、気流に対する機体4の姿勢を安定に保
つことができる。このため、母機2から発射された直後
の後方の気流が乱れた空気的な外乱の強い領域では、空
力的な静安定性を確保して母機から安全に離脱され、目
標体3に至る終末期においても、空力的な静安定性を確
保して機体4の姿勢を安定に保ったまま飛しょうでき
る。また、推進装置11が点火されずに飛しょう中の母
機2から投下された状態であっても、機体4が大きく上
下動することなく、常に姿勢が安定した状態で母機から
安全に離脱される。
【0050】一方、誘導飛しょう体32は、飛しょう速
度が機体後方から機体前方へと変化する過度期で、速度
が零近傍となる速度領域を通過する。この速度領域で
は、各翼に作用する揚力が小さくなり、誘導飛しょう体
32にとって空力的に不安定な状態が発生する。
【0051】このため、この実施の形態の誘導飛しょう
体32では、推力偏向装置14によって機体4の姿勢を
安定に保つように制御を行なう。例えば、舵角および推
力偏向角指令計算回路19は、慣性装置16で観測され
る飛しょう速度の大きさが所定値より小さくなった(例
えば速度の大きさが時速100km以下になった)こと
が検知されると、慣性装置16で計測される速度と加速
度に基づいて、機体4を空間安定させるように機軸に対
して垂直な方向の推力を与える推力偏向角指令を発生す
る。推力偏向装置14では、舵角および推力偏向角指令
計算回路19から推力偏向角指令を与えられて、その間
は絶えず推力偏向装置14によって推力偏向制御が行な
われて機体4の姿勢が安定に保たれる。
【0052】したがって、誘導飛しょう体32では、全
ての速度領域で安定した飛しょうを実現することができ
る。また、全飛しょう過程において、通常は機体4の重
心に対し空力中心を後流側に移動させるとともに格子翼
36を操舵することで空力的な静安定性を確保し、飛し
ょう速度の大きさが所定値より小さい場合や格子翼36
の操舵による制御力を上回った場合にのみ推力偏向装置
14を動作させることによって、従来の誘導飛しょう体
1と比べて推進装置11における推進薬の消費が減少
し、効率の良い飛しょうを実現できる。なお、展開翼3
7は、誘導飛しょう体32の飛しょう速度が完全に逆転
した後以外でも、例えば速度零近傍の所定の速度基準値
(例えば機体後方に時速50km)に至ったときから速
度が零に至るまでの間においても、翼展開判定回路33
から翼展開指令が発生されて展開翼37の展開が行なわ
れてもよい。ただしこの場合、前後の翼に作用する揚力
により機体4に発生するモーメントが、推力偏向装置1
4で発生できる機軸垂直方向の推力に比して十分小さく
なるような速度領域で展開を行う。
【0053】次に、展開翼37の展開動作の1例につい
て説明する。図5は展開翼37の展開動作を示す図であ
り、図5(a)は展開翼37が収納された状態を示し、
図5(b)は展開翼37が展開された状態を示し、図5
(c)は展開翼37のC−C断面を示す図である。図に
おいて、34bは展開翼展開装置34に設けられたロッ
クピン、35bは固定翼35に固定されたストッパ、3
7bは展開翼37に突設されたレバー、41は展開翼3
7の回転軸部、37cは固定翼35にばねで接続された
ロックピン、41bは回転軸部41に設けられ、展開翼
37に回転トルクを与える巻きばね、モータなどのトル
カを示す。また、展開翼展開装置34は固定翼35に固
定されている。
【0054】図5(a)のように、展開翼37は、展開
翼展開装置34へ翼展開指令が入力されるまで固定翼3
5の中に収納され、展開翼展開装置34によって保持さ
れている。このとき、図5(c)のように、固定翼35
に固定されたロックピン34bが、展開翼37に設けら
れた穴部Bに嵌合することによって展開翼37が保持さ
れる。展開翼判定回路33から翼展開指令が発生し展開
翼展開装置34に入力されると、展開翼展開装置34
は、内部に有する電磁石を通電して電磁力を発生し、そ
の電磁力によって展開翼37の穴部Bから離間させる方
向(図5(c)の右方向)にロックピン34bを可動す
る。これによって展開翼37の保持が解放され、トルカ
41bから矢印トの方向に回転するトルクを与えられ
て、展開翼37が図5(b)の矢印トの方向に回転す
る。その後、図5(b)のように、展開翼37のレバー
37bがストッパ35bに当接するところで展開が完了
する。また、このときロックピン37cが、弾性力によ
って展開翼37に設けられた切り欠き部Dに付勢され、
展開翼37がラッチされて固定翼35に保持される。
【0055】なお、展開翼展開装置34は、上述の例の
ような所定の角度展開したところで展開を完了させる以
外のもの、例えばトルカ41bとして特にモータのよう
なアクチュエータを用いて、展開翼37を任意の角度展
開するようなものであってもよい。また、この場合ロッ
クピン37cをワイヤなどで引いて切り欠き部Dから離
間する方向に可動させて展開翼37のラッチを解放し、
展開翼展開装置34の電磁石に通電してロックピン34
bを図5(c)の右方向に可動させた状態で、固定翼3
5に収納されるまで展開翼37を上述のモータで(矢印
トと逆方向に)回転させた後、展開翼展開装置34内の
電磁石を遮断して、ロックピン34bを展開翼37の穴
部Bに嵌合するように移動させて展開翼をロックするこ
とにより、展開翼37を再び収納することができる。こ
のため、誘導飛しょう体32を母機2ヘ搭載する前に、
展開翼展開装置34に直接翼展開指令を発生させて固定
翼35から展開翼37を展開させた後、再度展開翼37
を固定翼35に収納することによって、地上で展開動作
を確認することが可能となる。
【0056】上記動作により、従来例のように爆発ボル
ト27で分離するような付加翼28を使用せずに、展開
翼37を展開するだけで、機体4の重心に対する空力中
心を移動させる空力特性の変更ができるため、空力特性
の変更時に機体4の四方に飛散物を生じさせることがな
く、機体自身や搭載母機や他の航空機等に対してより安
全な運用が可能である。
【0057】また、従来例のように空力特性変更手段と
して爆発ボルト27のようなワンショット火口品を用い
て付加翼28を分離するものを用いる場合、爆発ボルト
27の爆発後に再度付加翼28を取り付けることができ
ないため、誘導飛しょう体32を母機2へ搭載する前
に、地上での動作確認を行なうことが不可能である。こ
れに対し、この実施の形態の誘導飛しょう体32では、
展開翼展開装置34と展開翼37を用いているため、こ
のような地上における展開動作の確認を行なうことが可
能である。
【0058】次に、この実施の形態における格子翼36
の空力特性について説明する。図6は格子翼36と従来
の誘導飛しょう体で用いられたような通常の平面翼につ
いて示した図であり、図6(a)は格子翼36を誘導飛
しょう体の正面(機軸方向)から見た形状、図6(b)
は格子翼36を誘導飛しょう体の側面(機軸垂直方向)
から見た形状、図6(c)は格子翼36と同じ揚力特性
をもつ平面翼42の機軸垂直方向から見た側面形状を示
す図である。図において、43は操舵軸である。
【0059】図6(a)に示すように、格子翼36は細
長いプレート状の翼片を複数枚直交させ、箱型のフレー
ムの中に収納して形成される。この複数枚の翼片は、N
枚(N≧2)が互いに平行に配列され、このN枚のもの
に直交するM枚(N≧2)が互いに平行に配列されたよ
うな形状を有する。このため、図6(c)に示す平面翼
42の側面形状と比較して、図6(b)の側面形状に示
すような極めて狭い翼長を実現できる。このとき、速度
の変化による空力中心の移動は翼長に比例するため、同
じ揚力特性を有する平面翼42に比べて、操舵翼36は
空力中心の移動が極めて短くなる。
【0060】この関係を図7を用いて説明する。図7
(a)は格子翼36を側面から見た図、図7(b)は平
面翼42を側面から見た図を示す。図7(a)、(b)
において、XRは発射直後における機体後方ヘ飛しょう
するときの翼の空力中心であり、XFは速度が逆転し機
体前方へ飛しょうするときの翼の空力中心を示す(図の
右側が機体前方、左側が機体後方)。また矢印ホ、ヘ
は、各々の翼における、空力中心の移動量(XRからX
Fまでの長さ)を示している。この移動量は、超音速や
亜音速の速度領域において起こるものであるが、本発明
のように速度方向が全く正反対になる場合は、翼長の前
後に著しい移動が生じる。
【0061】特に、図7(b)に示すように水平翼42
では空力中心の移動量が大きくなり、XRとXFの中心
に操舵軸43を配置しても、各空力中心に作用する揚力
で生じるモーメントに打ち勝てるように操舵するために
は、大きな所要トルクが必要となって、操舵翼駆動装置
20bが大きくなる。一方、図7(a)に示すように格
子翼36では空力中心の移動量が少なく、操舵翼36を
操舵軸43周りに回動するための所要トルクが低く押さ
えられる。このため、操舵翼36の駆動用に出力の小さ
なモータを使用できることから、従来の誘導飛しょう体
1と比べて、操舵翼駆動装置20が小型になり、かつ消
費電力が小さくなる。また、操舵翼駆動装置20を実装
するためのスペースが小さくてすむため、機体4をより
小型軽量にでき、費用対効果の優れた誘導飛しょう体を
実現できる。さらに、誘導飛しょう体32を搭載する母
機2においても、搭載重量が減って航続距離が延伸し旋
回性能などが向上する。
【0062】また、上述のように誘導飛しょう体32の
飛しょう速度が遅くなるにつれ、機体4は空力的に最も
不安定な状態の速度領域に至る。図8は、飛しょう速度
が零に接近した場合における格子翼36と平面翼42の
気流の流れを示すものである。平面翼42は、図8
(b)に示すように気流に対して大きな迎え角をとる場
合に、翼の下面においては流れが下方向に偏向される
が、上面においては流れの剥離が生じて揚力が低下して
しまう可能性がある。しかし、格子翼36は、図8
(a)に示すように複数の翼片が平行に配置され、それ
ぞれの翼片の上面が上方の翼片の下面に位置するため、
翼片の上面で流れの剥離が起こりそうになっても上の翼
片の影響で、強制的に流れが格子間を剥離せずに抜けて
いく。これが複数の格子間で起こるため、大きな迎え角
の場合にも流れが乱れずに効率よく流れて失速しにく
い。
【0063】この実施の形態における誘導飛しょう体3
2は上記のように動作し、全ての誘導段階において常に
空力的な安定を確保できる。
【0064】実施の形態2.図9、10、11を用いて
この発明に係る実施の形態2を説明する。図9はこの実
施の形態2における誘導飛しょう体44の構成を示す図
であり、図において、45は慣性センサ、46は胴体の
外方において回転軸が機軸に直交するように設けられ、
回転可能に支持された風向プローブ、47は速度高度領
域判定回路、48は風向プローブ46の角度を検出する
例えばポテンショメータ、エンコーダやレゾルバなどの
角度検出器を示す。図10はこの発明の実施の形態2に
おける誘導飛しょう体44の機体の外形を示したもの
で、図10(a)は機体後方に飛しょう中で展開翼37
が固定翼35に収納されている状態を示し、図10
(b)は機体前方に飛しょう中で展開翼37が展開した
状態を示す図である。また、図11は風向プローブ46
について示したもので、図11(a)は風向プローブ4
6の構成を示し、図11(b)は機体前方に飛しょうす
るときの風向プローブ46の動作を示し、図11(c)
は機体後方に飛しょうするときの風向プローブ46の動
作を示し、図11(d)は風向プローブ46の指向する
角度領域を示す図である。
【0065】図9における慣性センサ45は、発明の実
施の形態1における慣性装置16の慣性センサ部のみか
らなり、加速度と角速度のみを計測するものである。図
11(a)に示すように、風向プローブ46は小型で長
方形状の平面翼と、平面翼の長手方向に直交する回転軸
を有し、かつその平面翼の端部が回転軸に接続されてお
り、気流の方向にしたがって吹き流しのように動く。誘
導飛しょう体44が母機2から分離された直後の図3の
飛しょう段階38においては、図11(c)のように風
向プローブ46における平面翼の長手方向が、速度Vb
と反対のドーム7の方向を指向し、また展開翼37が展
開してドーム7の方向に飛しょうする図3の段階40の
場合には、図11(b)のように風向プローブ46にお
ける平面翼の長手方向が、速度Vaと反対の推進装置1
1の方向を指向する。
【0066】図11に示すように風向プローブ46の指
向する方向は機体4の進行方向に応じて変化しており、
角度検出器48は、ドーム7と反対方向の機体後方に飛
しょうしている時は図11(d)のAmの角度領域を検
出し、ドーム7方向の機体前方に飛しょうしている時は
図11(d)のApの角度領域を検出する。また、飛し
ょう速度が反転する速度が零近傍に至る過度期では、風
向プローブ46が角度領域Amと角度領域Apとの間を
指向し、角度検出器48で検出される角度領域が図11
(d)の角度領域Atとなる。
【0067】図9に示すように、この風向プローブ46
の指向する角度を検出する角度検出器48からの角度信
号と、慣性センサ45からの加速度および角速度を示す
信号が速度高度領域判定回路47に入力されると、速度
高度領域判定回路47では、慣性センサ45からの信号
と発射時に記憶された初期高度から、飛しょう高度およ
び速度領域が推定される。この推定された高度と速度に
より、翼展開判定回路33による翼展開指令発生と、ゲ
イン計算回路18でのオートパイロット系ゲインの計算
が可能になる。また、速度高度領域判定回路47では、
角度検出器48で検出された角度領域が所定の領域At
にあることを検知することにより、飛しょう速度が零近
傍に至ったことを精度よく検知できる。このとき、舵角
および推力偏向角指令計算回路19から推力偏向角指令
が発生され、推力偏向装置14によって空力的に不安定
な速度領域での機体4の姿勢が安定に維持される。な
お、その他の作動は、実施の形態1と同じである。
【0068】以上のようにこの発明の実施の形態2にお
いては、高価な慣性装置を使わなくとも安価な慣性セン
サ45と、風見安定のある風向プローブ46を使用する
ことにより、空力的に不安定な領域を精度よく検知する
ことが可能となる。
【0069】なお、この実施の形態では、飛しょう速度
が零近傍に至ったことを検知するために風向プローブ4
6と角度検出器48を用いたが、図19の従来例に示し
たような差圧センサ29を用いることによって、機体周
囲に流れる気流の速度を検出し、それに基づいて飛しょ
う速度が零近傍に至ったことを検知するようなものを用
いてもよい。
【0070】実施の形態3.図12を用いてこの発明に
係る実施の形態3を説明する。図12は、この実施の形
態の誘導飛しょう体52を示す構成図であり、図におい
て53は格子翼の開閉を行なう格子翼開閉装置を示す。
また、図13はこの実施の形態の動作について示す図で
あり、図13(a)は機体後方へ飛しょうする場合、図
13(b)は機体前方へ飛しょうする場合をそれぞれ示
す。図13(a)において54は機体4に開閉可能に支
持された開閉翼である格子翼、55は固定翼、56は固
定翼55と推進装置11との間に配置された操舵翼を示
す。
【0071】次に動作について説明する。この実施の形
態では、実施の形態1における格子翼36に開閉機構を
加えた格子翼54と、固定翼55の後方(推進装置11
側)に配置された操舵翼56とを備えた。図13(a)
において、母機から投下された直後の飛しょう段階で
は、格子翼54は展開された状態で操舵翼として機能す
る。また、このとき展開翼37は固定翼55に収納され
ている。一方、図13(b)において、実施の形態1と
同様に翼展開判定回路33において飛しょう速度が所定
の速度基準値に至ったことを検知し、飛しょう速度が逆
向きになったとき、翼展開判定回路33から展開翼展開
装置34に翼展開指令が発生されて展開翼37が展開す
る。このとき、同時に翼展開判定回路33から格子翼開
閉装置53に開閉指令が発生され、格子翼開閉装置53
に設けられたモータが駆動して格子翼54を閉じるよう
に動作する。また、この状態では空力操舵は操舵翼56
によって行われる。なお、このとき操舵翼56の操舵軸
を、機体前方に向かう速度で飛しょうするときの空力中
心点付近へ機軸に垂直に配置することにより、操舵トル
クを小さくすることが可能となる。なお、その他の作動
は、実施の形態1と同じである。
【0072】この実施の形態では、揚力及び空気抵抗の
大きい格子翼を機体後方の飛しょう速度をもつ領域のみ
で使用し、機体前方に向けて飛しょうする場合において
は格子翼を閉じて空気抵抗を抑圧することによって、射
程の延伸あるいは存速の増大が確保できる。その結果、
機体の姿勢を安定に保持したまま、空気力を効率よく利
用することが出来、後方の目標体に向けて効率良く飛し
ょうすることができる。
【0073】なお、実施の形態1から実施の形態3のも
のは、この発明の主旨を満足するものであれば、これに
限定されることなく他の構成を用いてもよい。
【0074】
【発明の効果】この発明に係る誘導飛しょう体は以上の
ように構成されているので、以下に記載するような効果
を奏する。
【0075】この第1から第2の発明によれは、航空機
から後方に向けて分離され機体後方から前方へ飛しょう
するときに、重心に対する機体の空力中心を後方に移動
させて空力特性を変化させ、また格子形状を成す操舵翼
を備えることにより、常に空力的に安定で効率の良い飛
しょうが可能となる。
【0076】また、この第2の発明によれば、機体後方
から前方への飛しょう速度の変化に応じて展開翼を展開
させて空力特性を変化させ、また格子翼で操舵すること
により、常に空力的に安定な状況を確保できるため、航
空機から分離された直後の航空機後方の気流が乱れ空気
的な外乱の強い領域であっても、航空機の安全性を維持
しながら飛しょうすることが出来る。また、航空機から
緊急に投下されたときでも安全に航空機から離脱出来
る。
【0077】また、この第3の発明によれば、機体後方
から前方への飛しょう速度の変化に応じて開閉翼を閉じ
ることで、常に空力安定を確保しながらも機体前方に飛
しょうする時に空力抵抗を少なくすることができる。
【0078】また、この第4の発明によれば、推力偏向
制御を実施することで速度零近傍の空力的な安定が確保
できない領域での姿勢を安定に保つことができる。
【0079】また、この第5の発明によれば、機体後方
に飛しょうする時に推進装置を覆うカバーを備えること
により、推進装置内部への気流の流れを防ぐことができ
る。
【0080】また、この第6の発明によれば、慣性装置
を備えることにより、飛しょう速度が零近傍に至ったか
否かを正確に検知することができ、機体が空力的に不安
定となる速度領域を正確に把握することが可能となる。
【0081】また、この第7の発明によれば、機体周囲
に風向プローブを設けることにより、高価な慣性装置を
使用せずに飛しょう速度の領域の変化を精度よく検知す
ることが出来る。
【0082】さらにまた、この第8の発明に係る誘導飛
しょう体の誘導方法によれば、航空機の後方に存在する
目標体へ向けて飛しょうする誘導飛しょう体の全誘導過
程において、機体の姿勢を常に安定に保持したままでの
誘導を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1の構成を示す図であ
る。
【図2】 この発明の実施の形態1の誘導飛しょう体の
動作を示す図である。
【図3】 航空機から分離された実施の形態1の誘導飛
しょう体の挙動について示す図である。
【図4】 この発明の実施の形態1における展開翼を使
用した場合の、誘導飛しょう体の空力的な回転運動を示
す図である。
【図5】 この発明の実施の形態1における展開翼の構
成図である。
【図6】 この発明の実施の形態1における格子翼と通
常の平面翼との関係について示す図である。
【図7】 この発明の実施の形態1における格子翼と通
常の平面翼との空力中心の移動について示す図である。
【図8】 この発明の実施の形態1における格子翼と通
常の平面翼との気流の流れについて示す図である。
【図9】 この発明の実施の形態2の構成を示す図であ
る。
【図10】 この発明の実施の形態2の誘導飛しょう体
の外形を示す図である。
【図11】 この発明の実施の形態2における風向プロ
ーブの動作について示す図である。
【図12】 この発明の実施の形態3の構成図を示す図
である。
【図13】 この発明の実施の形態3の動作を示す図で
ある。
【図14】 航空機に搭載された誘導飛しょう体の外観
を示す図である。
【図15】 従来の誘導飛しょう体の構成要素を示す図
である。
【図16】 従来の誘導飛しょう体の構成を示す図であ
る。
【図17】 航空機から発射された従来の誘導飛しょう
体が、発射されてから後方の脅威目標へと誘導されるま
での拳動を示す図である。
【図18】 従来の誘導飛しょう体の空力的な回転運動
を示す図である。
【図19】 従来の他の例の飛しょう体における空力特
性変更装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
2 母機、3 目標体、4 機体、5 誘導装置、6
シーカ部、7 ドーム、11 推進装置、12 カバ
ー、13 ノズル、14 推力偏向装置、15ベーン、
16 慣性装置、17 航法計算回路、18 ゲイン計
算回路、19舵角および推力偏向角指令計算回路、20
操舵翼駆動装置、32 誘導飛しょう体、33 翼展
開判定回路、34 展開翼展開装置、35 固定翼、3
6 格子翼、37 展開翼、44 誘導飛しょう体、4
5 慣性センサ、46 風向プローブ、47 速度高度
領域判定回路、48 角度検出器、52 誘導飛しょう
体、53 格子翼開閉装置、54 格子翼、55 固定
翼、56 操舵翼。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F42B 15/00 - 15/12 F42B 10/00 - 10/66 F41G 7/00 - 11/00

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 飛しょう中の航空機から分離され、当該
    航空機の後方へ向けて飛しょう可能な機体と、前記機体
    の飛しょう速度が零近傍であることを検知する検知手段
    と、前記検知手段での検知に応じて前記機体の重心に対
    して空力中心を機体後方に移動させる空力特性変更手段
    と、複数の平面翼が交差して格子形状を成す操舵翼と、
    前記機体の推力を偏向させる推力偏向手段とを備えた誘
    導飛しょう体。
  2. 【請求項2】 前記空力特性変更手段は、前記検知手段
    での検知に応じて前記機体の重心に対して空力中心を前
    記機体後方に移動させるように展開する展開翼を備え、
    前記操舵翼は、前記機体前方に配設されたことを特徴と
    する請求項1記載の誘導飛しょう体。
  3. 【請求項3】 飛しょう中の航空機から分離され、当該
    航空機の後方へ向けて飛しょう可能な機体と、前記機体
    の飛しょう速度が零近傍であることを検知する検知手段
    と、複数の平面翼が交差して格子形状を成し、前記機体
    前方に配設された開閉翼と、前記機体後方に配設された
    操舵翼と、前記機体の推力を偏向させる推力偏向手段と
    を備え、前記開閉翼は、通常は展開され、前記検知手段
    での検知に応じて前記機体の重心に対して空力中心を前
    記機体後方に移動させるように閉じる手段を有したこと
    を特徴とする誘導飛しょう体。
  4. 【請求項4】 飛しょう中の航空機から分離され、当該
    航空機の後方へ向けて飛しょう可能な機体と、前記機体
    の飛しょう速度が零近傍であることを検知する検知手段
    と、前記機体の重心に対して空力中心を機体後方に移動
    させるように展開する展開翼と、前記機体に配設された
    操舵翼と、前記検知手段での検知に応じて、前記機体の
    機軸に垂直な方向へ推力を与える推力偏向手段とを備え
    た誘導飛しょう体。
  5. 【請求項5】 前記機体後方に配置された推進装置と、
    前記推進装置の点火前は前記推進装置を覆い、前記推進
    装置の点火段階で離脱されるカバーとを備えたことを特
    徴とする請求項1から4のいずれかに記載の誘導飛しょ
    う体。
  6. 【請求項6】 前記機体の速度を計測する慣性装置を備
    え、前記検知手段は、前記慣性装置から得られる速度が
    所定の値より小さいときに前記機体の飛しょう速度が零
    近傍であると検知する機能を有することを特徴とする請
    求項1から4のいずれかに記載の誘導飛しょう体。
  7. 【請求項7】 前記機体に配設され、前記機体周囲の気
    流の方向に応じて向きを変える風向プローブと、前記風
    向プローブの角度を検出する角度検出手段とを備え、前
    記検知手段は、前記角度検出手段からの角度情報に基づ
    いて前記機体の飛しょう速度が零近傍であることを検知
    することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載
    の誘導飛しょう体。
  8. 【請求項8】 機体の飛しょう速度を検知する検知手段
    と、前記機体の重心に対して空力中心を機体後方に移動
    させるように展開する展開翼と、前記機体前方に配設さ
    れた操舵翼と、前記機体の推力を偏向させる推力偏向手
    段とを具備した誘導飛しょう体の誘導方法において、前
    記誘導飛しょう体は、飛しょう中の航空機の後方に機体
    前方を向けた状態で当該航空機から分離された後、前記
    展開翼を閉じたまま前記機体後方に飛しょうする段階、
    前記検知手段で前記機体の飛しょう速度が零近傍である
    ことを検知した後、前記推力偏向手段で機軸に垂直方向
    の推力を発生させ前記機体の姿勢を保持する段階、およ
    び前記展開翼を展開して前記機体前方に飛しょうする段
    階を経て、目標体へ向けて誘導することを特徴とした誘
    導飛しょう体の誘導方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112179215A (zh) * 2020-09-21 2021-01-05 西安理工大学 一种基于等离子体喷射技术的飞行制导武器控制装置

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