JP3222408U - プレキャストコンクリート製耐摩耗パネルの固定構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐摩耗パネルをアンカーボルトで下地コンクリートに固定する際に、耐摩耗パネルの設置位置を移動させることなく下地コンクリート中の鉄筋を避けて固定できる固定構造を提供する。【解決手段】耐摩耗パネル1を、そのアンカーボルト取付孔内に固定した受け枠5と、該受け枠5内に収納する座金6を介して、下地コンクリートGに設置したアンカーボルト9に固定する構造であって、座金6は略円形状のアンカーボルト固定孔7およびグラウト注入孔8を備え、受け枠5内で自在に回動できる構成とした耐摩耗パネル1の固定構造。【選択図】図9
Description
本考案は、プレキャストコンクリート製耐摩耗パネルを下地コンクリートに固定する固定構造に関する。
河川や排水路からの取水、河床安定を目的とした水利構造物として取水堰、砂防ダム及び床止め工などがある。これら水利構造物の堰体及びエプロン部の表面は、他の箇所に比較して早くから摩耗しやすいが、その主な原因としては、砂礫の流下に伴うエロージョンや、水のキャビテーションなどの作用が挙げられる。
特に我が国の河川は、諸外国に比して全長が短くかつ急勾配であるため、水利構造物の堰体ないしエプロン部表面の損耗進行は著しいものとなりやすく、水利構造物の供用後短期間で補修が必要となるといった問題点がある。また、砂防ダムのような越流落差の大きな場所では、エプロン部が水と共に落下する石類によって滝つぼ状に抉られてしまっていた。
このような水利構造物の損耗箇所を補修する従来の一般的な補修工事方法としては、損耗部位に現場でコンクリートを打設する方法があるが、その方法による場合は損耗箇所周囲を含めて比較的広い範囲を補修する必要がある。また、コンクリートの打設後は、コンクリートに所定の強度が発現するまで養生しなければならない。
こうした問題点を解決する方法として、特開平8ー189024号公報においては、水たたきにプレキャスト高強度ブロックを配置し、アンカーボルトにより固定する施工法を提案している。この施工法によれば、工場で生産され、よく管理された質の高いプレキャストコンクリート部材を直ちに現場設置できること、また、周辺をはつったりすることなく補修部位だけを交換できること、養生期間を設ける必要のないこと、など多くの利点がある。
しかし、下地コンクリートに補強鉄筋が埋設されている場合、アンカーボルトの先端がその補強鉄筋に干渉し、場合によってはアンカー孔を削孔する際に補強鉄筋を損傷してしまうことも考えられる。これらの問題を解消するため、特開2005−2606号公報においては、アンカーボルト取付孔内に固定した受け枠と、その受け枠内に収納されその受け枠内で自在に回動できるとともに直径方向に延びるアンカーボルト挿通用の長穴を備えた座金を介して、下地コンクリートに設置したアンカーボルトにプレキャストコンクリート部材を固定する固定方法を提案している。
上記のような固定方法により、プレキャストコンクリート部材の位置をずらすことなく、下地コンクリートに埋設されている補強鉄筋を避けながらアンカーボルトを設置して、プレキャストコンクリート部材を固定することができる。また、座金にグラウト注入穴を形成し、プレキャストコンクリート部材の下面に段差調整手段を付加することで、プレキャストコンクリート部材の施工作業が著しく容易となる効果が生じる。
しかしながら、施工後のプレキャストコンクリート部材に万一浮き上がりが生じた場合、直径方向に長穴を形成した座金を用いていると、座金の耐力に寄与できる面積が著しく減少するため、座金に変形が生じてアンカーボルトからの抜け出しが生じかねない。一方、座金の大きさや厚さには限界があり、アンカーボルト挿通用の穴を大きくすることにも一定の限界がある。
また、プレキャストコンクリート部材の浮き上がりに対し座金が変形しない場合でも、受け枠自体がプレキャストコンクリート部材から抜け出たり、受け枠周囲のコンクリート部が引張応力に対して破壊されることで、固定が解除されてプレキャストコンクリート部材が流失するおそれもある。
本考案は、上記従来技術の有する問題点を解消するため、アンカーボルト挿通用の長穴を設けることなくアンカー挿通用の孔の位置を調節でき、受け枠がプレキャストコンクリート製耐磨耗パネル(プレキャストコンクリート部材)にしっかりと固定された信頼性の高い、施工性に優れたプレキャストコンクリート製耐摩耗パネルの固定構造を提供することを目的とする。
上記の問題点を解決するため、本願の請求項1に係る考案は、プレキャストコンクリート製耐摩耗パネルに形成されたアンカーボルト取付孔内に固定された受け枠と、該受け枠内に収納された座金を介して、下地コンクリートに設置されたアンカーボルトにナットが締結されることで固定されたプレキャストコンクリート製耐摩耗パネルの固定構造であって、前記受け枠はリング状の底壁と、該底壁の周縁から立設する略円筒状の側壁からなり、前記座金は、略円形状の板状部材であって、前記アンカーボルトの頭部を挿通させる略円形状のアンカーボルト固定孔とグラウト注入孔を備えるとともに、前記受け枠内で自在に回動可能であることを特徴とする。
また、請求項2に係る考案は、前記受け枠の前記側壁の外周面が、前記プレキャストコンクリート製耐摩耗パネル内に埋め込まれた補強鉄筋に固定されていることを特徴とする。
また、請求項3に係る考案は、前記受け枠の前記側壁の外周面に設けた複数の突出部が、前記プレキャストコンクリート製耐摩耗パネル内に埋め込まれて固定され、または前記プレキャストコンクリート製耐摩耗パネル内に埋め込まれ且つ前記プレキャストコンクリート製耐摩耗パネル内に埋め込まれた補強鉄筋に固定されていることを特徴とする。
また、本願の請求項4に係る考案は、前記プレキャストコンクリート製耐摩耗パネルが、その下面から出没自在に設けたボルトと、該ボルトの先端部が当接する位置にあって内空断面を有するパッキンを介して装着したプレートとからなる段差調整手段を備えたことを特徴とする。
また、本願の請求項5に係る考案は、前記プレキャストコンクリート製耐磨耗パネルの下面にグラウト材との付着防止手段を設けたことを特徴とする。
本願の請求項1に係る考案によれば、アンカーボルト固定孔を備えた座金が受け枠内で自在に回動可能な構成であるため、プレキャストコンクリート製耐摩耗パネルの位置をずらすことなく、下地コンクリートの補強鉄筋を避けて設置したアンカーボルトに自在に対応して固定することができる。
また、座金の耐力に寄与できる面積が大きく、万一プレキャストコンクリート製耐摩耗パネルに浮き上がりが生じた場合であっても座金が変形しにくいため、座金の変形によるアンカーボルトからの抜け出しを防止することができる。
また、本願の請求項2及び3に係る考案によれば、受け枠の側壁の外周面がプレキャストコンクリート製耐摩耗パネル内に埋め込まれた補強鉄筋に固定されている構造、または、受け枠の側壁の外周面に設けた複数の突出部が、プレキャストコンクリート製耐摩耗パネル内に埋め込まれて固定されている構造若しくはプレキャストコンクリート製耐摩耗パネル内に埋め込まれ且つプレキャストコンクリート製耐摩耗パネル内に埋め込まれた補強鉄筋に固定されている構造とすることで、万一プレキャストコンクリート製耐摩耗パネルに浮き上がりが生じても、受け枠自体がプレキャストコンクリート製耐摩耗パネルから抜け出たり、受け枠周囲のコンクリートが引張応力により破壊されることを防止することができるため、プレキャストコンクリート製耐摩耗パネルの固定が解除されて流失するといった問題を解決することができる。
また、本願の請求項4に係る考案によれば、段差調整手段を備えた構成であるため、プレキャストコンクリート製耐摩耗パネルと下地コンクリート間の空隙に応じてパネル高さを自在に調整でき、施工面を水平に保つことができる他、アンカーボルトの長さを調節することで、一定のアンカー定着長さを確保することもできる。また、段差調整手段により、プレキャストコンクリート製耐摩耗パネルの設置後にボルトを取り外すことができるため、ボルトを再利用することができる。
また、本願の請求項5に係る考案によれば、プレキャストコンクリート製耐磨耗パネルの下面に付着防止手段を設けた構成であるため、プレキャストコンクリート製耐磨耗パネルの下面とグラウト材とが付着せず、長時間の使用後であってもプレキャストコンクリート製耐磨耗パネルの交換が容易である。
以下、本考案を図1ないし図13に示す実施形態に従って詳細に説明するが、本考案はこれに限定されるものではない。図において、1は水利構造物のような損耗の著しい箇所に設置するのに最適なプレキャストコンクリート製耐摩耗パネル(以下「耐摩耗パネル」という)で、図1及び図2に示すように、平面視が横長方形状とした盤状の部材であり、その内部に補強鉄筋2が埋設されているとともに、下面には後述するグラウト材Fと付着しない塗布膜ないしシートなどの装着による付着防止層3が形成されている。
4は耐摩耗パネル1の上面から下面に貫通するアンカーボルト取付孔で、図1に示すように、耐摩耗パネル1の上下に3つずつ横一列に等間隔で形成されており、アンカーボルト取付孔4内には、図3に示すように、中央に大径の貫通孔5aを有するリング状の底壁5bと、その底壁5bの周縁から起立する高さの低い略円筒状の側壁5cと、その側壁5cの外周面から放射状に水平に延びる複数(本実施形態では4つ)の略長方形状の突出部5dから構成された受け枠5が埋設され確実に固定されている。このとき突出部5は、図2等に示すように、耐磨耗パネル1内に完全に埋め込まれた状態となっている。
尚、受け枠5は、その側壁5cまたは突出部5dと耐摩耗パネル1内に埋め込まれている補強鉄筋2を溶接等により結合しつつ、耐摩耗パネル1内に埋設することで固定されていてもよい。
また、受け枠5の突出部5dは、側壁5cの外周面からその先端にかけて上方に向けて傾斜する(好ましくは傾斜角が10°以下)ように設けられていてもよい。このような傾斜を設けることで、埋設された受け枠5が耐摩耗パネル1のアンカーボルト取付孔4から脱落しづらい構造とすることができる。
6は受け枠5内に収納する略円形状の板状部材により形成された座金で、受け枠5内にあって水平面で回動可能となるように、略円筒状の側壁5cの内径よりやや小さな外径で形成されている。また、この座金6には、図4(a)等に示すように、座金6の中心を挟んで一方には略円形状のアンカーボルト固定孔7が、他方には略円形状のグラウト注入孔8がそれぞれ形成されている。尚、座金6の上面のアンカーボルト固定孔7の位置にはワッシャー7aが座金6の補強のために固定されている。
尚、本実施形態における座金6のアンカーボルト固定孔7は、図4(a)等に示すように、座金6の中心からやや円周寄りの位置(座金6の中心からやや左寄りの位置)に形成されているが、座金6の更に中央寄りの位置に形成されていてもよいし、逆に円周寄りの位置に形成されていてもよい。このように、座金6の中心からアンカーボルト固定孔7の位置の距離が異なるパターンの座金6を数種類用意しておくことで、後述するように、下地コンクリートGに埋設されている縦鉄筋R及び横鉄筋Kを避けて設置したアンカーボルト9に耐摩耗パネル1を固定する際に対応することが可能となる。
9は下地コンクリートGに設置するアンカーボルトで、アンカーボルト取付孔4内に固定した受け枠5内において、その受け枠5内に設置した座金6のアンカーボルト固定孔7(ワッシャー7a)からアンカーボルト9の頭部を上方に突出させて座金6を介してナット10を締めることで、耐摩耗パネル1を下地コンクリートGに固定するためのものである。
上記構造により、下地コンクリートGに埋設されている縦鉄筋R及び横鉄筋Kを避けてアンカーボルト9を設置した場合であっても、座金6を回動して(また場合によっては座金6を他のパターンのものに変更しつつ回動して)アンカーボルト固定孔7の位置を移動させることにより、アンカーボルト固定孔7の位置をアンカーボルト9の位置に合わせることができる。そのため、アンカーボルト取付孔4を所定位置に備えた耐摩耗パネル1であっても、耐摩耗パネル1自体の敷設位置を移動調整することなくアンカーボルト9に固定することができる。
また、座金6にアンカーボルト9の頭部を挿通するアンカーボルト固定孔7を形成するとともにグラウト注入孔8を形成する構造であるため、耐摩耗パネル1の固定とグラウト材Fの注入をほぼ同一箇所で行うことができ、作業能率が向上するとともに、耐摩耗パネル1にグラウト注入孔を別途設ける必要がないので、耐摩耗パネル1の品質向上を図ることができる。
11は段差調整ボルト取付孔で、図1に示すように、耐摩耗パネル1の四隅のアンカーボルト取付孔4の近傍に1つずつ計4個形成されている。この段差調整ボルト取付孔11は、耐摩耗パネル1の上面から下面の付着防止層3に向けて大径部と小径部とから構成されており、小径部の内周には雌ねじを有するインサート12が固定されている。
13は内空断面を有する円筒状の弾性パッキンで、図2に示すように、耐磨耗パネル1の下面にあって、段差調整ボルト取付孔11の周囲にその上端面が固定されており、弾性パッキン13の下端面には略円形状のプレート14が装着されている。なお、15はインサート12に予め設置し或いは段差調整時に設置する段差調整ボルトである。
16はアンカーキャップで、図6に示すように、受け枠5の上方開口部に嵌合によって装着するものであり、座金6を介してそのアンカーボルト固定孔7(ワッシャー7a)から上方に突出するアンカーボルト9の頭部を覆うためのものである。
このアンカーキャップ16の上面は、耐磨耗パネル1の内部に埋設された補強鉄筋2よりやや高い位置に設置されているとともに、耐磨耗パネル1及びアンカーキャップ16の上方空隙部に充填される耐摩耗性充填材Tとは色調が異なる色で形成されている。
以下、本考案を、特に砂防ダムなどの水利構造物の水たたきを受けるエプロン部のように、損耗の著しい箇所の補修を行う場合を例にとって詳細に説明する。先ず、補修する既設コンクリートの表面をはつって下地コンクリートGを成形し、成形したこの下地コンクリートGの上面に耐磨耗パネル1を、その下面から突出するプレート14を介して設置する。
つぎに、設置した各耐磨耗パネル1,1間および各耐磨耗パネル1とその周囲との段差調整をそれぞれ行う。この段差調整は、図11に示すように、耐磨耗パネル1に形成した段差調整ボルト取付孔11内のインサート12に予め設置した或いは段差調整時に設置する段差調整ボルト15を回転させながらインサート12に螺合し、その先端部を耐磨耗パネル1の下面から突出せしめる。この段差調整ボルト15の先端部が位置するその下方部には、弾性パッキン13を介してプレート14が設けられているため、段差調整ボルト15を回転させ続けることによりその先端部はプレート14と衝当する。
そして、図12に示すように、耐磨耗パネル1の下面から突出させた段差調整ボルト15の先端部の高さに応じて耐磨耗パネル1の高さが調整されるが、この段差調整時において段差調整ボルト15の先端部は、弾性パッキン13を介したプレート14により支承されているため、下地コンクリートGの表面に凹凸があり或いは傾斜している場合でも確実に且つ正確に耐磨耗パネル1の段差調整を容易に行うことができるとともに、この調整後の状態を安定した状態で保持することができる。
つぎに、段差調整された耐磨耗パネル1の下地コンクリートGへの固定作業を行う。この固定作業は、図6に示すように、アンカーボルト取付孔4内に固定した受け枠5内において、その大径の貫通孔5aから下地コンクリートGに縦孔を穿設し、その縦孔内に充填したケミカルアンカーなどを介してアンカーボルト9を設置し固定する。そして、図6及び図7に示すように、アンカーボルト9の頭部を座金6に形成したアンカーボルト固定孔7及びワッシャー7aに挿通せしめつつ座金6を受け枠5内に設置し、アンカーボルト9にナット10を螺号し締め付けることで、耐磨耗パネル1を下地コンクリートGに固定する。
アンカーボルト9の下地コンクリートGへの設置時において、受け枠5の大径の貫通孔5aが、下地コンクリートGを補強する縦鉄筋Rや横鉄筋Kの真上に位置する場合もある。その場合には、縦鉄筋Rと横鉄筋Kを避けた位置に縦孔を穿設し、ケミカルアンカーを介してアンカーボルト9を設置し固定する。
そして、図8に示すように、受け枠5内に収容した座金6を回動させ、アンカーボルト固定孔7の位置を移動させることで、アンカーボルト9の頭部をアンカーボルト固定孔7及びワッシャー7aから突出せしめ、アンカーボルト9にナット10を螺合し締め付けることで耐磨耗パネル1を下地コンクリートGに固定する。この場合、段差調整後の耐磨耗パネル1自体の位置をずらすことなく行うことができるので、容易に固定作業を行うことができる。
つぎに、アンカーボルト取付孔4内にあって、座金6に形成したグラウト注入孔8からグラウト材Fを注入して耐磨耗パネル1と下地コンクリートGとの間隙にグラウト材Fを充填し、グラウト材Fを介して耐磨耗パネル1と下地コンクリートGとを一体化する。このように、座金6にグラウト注入孔8を設けることで、耐磨耗パネル1に新たにグラウト材Fの注入のための孔を設ける必要がなく、耐磨耗パネル1の品質保持上好ましいものとなる。
そして、耐磨耗パネル1と下地コンクリートGとの間隙に充填したグラウト材Fが硬化した後、図12の一点鎖線で示すように、段差調整ボルト15を段差調整ボルト取付孔11内のインサート12から取り外す。この段差調整ボルト15の先端部は弾性パッキン13及びプレート14によって周囲が覆われており、グラウト材Fと直接接触していないため、段差調整ボルト15をインサート12から容易に取り外すことができ、取り外した段差調整ボルト15は再利用が可能となる。尚、段差調整ボルト14を取り外した後は、インサート12の上方開口部を塞ぐために、図13に示すように、シール17を設ける事もできる。
つぎに、図9に示すように、アンカーボルト取付孔4内に固定した受け枠5の上方開口部にアンカーキャップ16を設置することでアンカーボルト9の頭部及び座金6の上方をアンカーキャップ16で覆う。或いは、図10に示すように、受け枠5内に被覆材F2を充填し、アンカーボルト9の頭部及び座金6を被覆材F2で覆う。
その後、アンカーボルト取付孔4内のアンカーキャップ16或いは被覆材F2の上方空間部、段差調整ボルト取付孔11内の段差調整ボルト15を取り外した後に設置したシール17の上方空間部及び各耐磨耗パネル1,1間の目地溝内に、耐摩耗性充填材Tをそれぞれ充填することにより図5に示す状態となり、敷設作業が完了する。
上記より、本考案は、耐摩耗パネル1の下面に形成された付着防止層3が、裏打ちされるグラウト材Fと付着しない構成であるため、長時間の使用後にその交換が必要となった際の交換作業が容易であるという効果を有する。また、耐摩耗パネル1の内部に埋設された補強鉄筋2が摩耗によって露出する前に、アンカーキャップ16又は被覆材F2の上面部分Hが露出する構成であるため、アンカーキャップ16または被覆材F2が露出した時点を耐摩耗パネル1の交換時期と定めることができ、保守管理が容易となるという効果を有する。
1 製耐摩耗パネル 15 段差調整ボルト
2 補強鉄筋 16 アンカーキャップ
3 付着防止層 17 シール
4 アンカーボルト取付孔 F グラウト材
5 受け枠 F2 被覆材
5a 貫通孔 G 下地コンクリート
5b 底壁 H 上面部分
5c 側壁 K 横鉄筋
5d 突出部 R 縦鉄筋
6 座金 T 耐摩耗性充填剤
7 アンカーボルト固定孔
7a ワッシャー
8 グラウト注入孔
9 アンカーボルト
10 ナット
11 段差調整ボルト取付孔
12 インサート
13 弾性パッキン
14 プレート
2 補強鉄筋 16 アンカーキャップ
3 付着防止層 17 シール
4 アンカーボルト取付孔 F グラウト材
5 受け枠 F2 被覆材
5a 貫通孔 G 下地コンクリート
5b 底壁 H 上面部分
5c 側壁 K 横鉄筋
5d 突出部 R 縦鉄筋
6 座金 T 耐摩耗性充填剤
7 アンカーボルト固定孔
7a ワッシャー
8 グラウト注入孔
9 アンカーボルト
10 ナット
11 段差調整ボルト取付孔
12 インサート
13 弾性パッキン
14 プレート
本考案は、プレキャストコンクリート製耐摩耗パネルを下地コンクリートに固定する固定構造に関する。
河川や排水路からの取水、河床安定を目的とした水利構造物として取水堰、砂防ダム及び床止め工などがある。これら水利構造物の堰体及びエプロン部の表面は、他の箇所に比較して早くから摩耗しやすいが、その主な原因としては、砂礫の流下に伴うエロージョンや、水のキャビテーションなどの作用が挙げられる。
特に我が国の河川は、諸外国に比して全長が短くかつ急勾配であるため、水利構造物の堰体ないしエプロン部表面の損耗進行は著しいものとなりやすく、水利構造物の供用後短期間で補修が必要となるといった問題点がある。また、砂防ダムのような越流落差の大きな場所では、エプロン部が水と共に落下する石類によって滝つぼ状に抉られてしまっていた。
このような水利構造物の損耗箇所を補修する従来の一般的な補修工事方法としては、損耗部位に現場でコンクリートを打設する方法があるが、その方法による場合は損耗箇所周囲を含めて比較的広い範囲を補修する必要がある。また、コンクリートの打設後は、コンクリートに所定の強度が発現するまで養生しなければならない。
こうした問題点を解決する方法として、特開平8ー189024号公報においては、水たたきにプレキャスト高強度ブロックを配置し、アンカーボルトにより固定する施工法を提案している。この施工法によれば、工場で生産され、よく管理された質の高いプレキャストコンクリート部材を直ちに現場設置できること、また、周辺をはつったりすることなく補修部位だけを交換できること、養生期間を設ける必要のないこと、など多くの利点がある。
しかし、下地コンクリートに補強鉄筋が埋設されている場合、アンカーボルトの先端がその補強鉄筋に干渉し、場合によってはアンカー孔を削孔する際に補強鉄筋を損傷してしまうことも考えられる。これらの問題を解消するため、特開2005−2606号公報においては、アンカーボルト取付孔内に固定した受け枠と、その受け枠内に収納されその受け枠内で自在に回動できるとともに直径方向に延びるアンカーボルト挿通用の長穴を備えた座金を介して、下地コンクリートに設置したアンカーボルトにプレキャストコンクリート部材を固定する固定方法を提案している。
上記のような固定方法により、プレキャストコンクリート部材の位置をずらすことなく、下地コンクリートに埋設されている補強鉄筋を避けながらアンカーボルトを設置して、プレキャストコンクリート部材を固定することができる。また、座金にグラウト注入穴を形成し、プレキャストコンクリート部材の下面に段差調整手段を付加することで、プレキャストコンクリート部材の施工作業が著しく容易となる効果が生じる。
しかしながら、施工後のプレキャストコンクリート部材に万一浮き上がりが生じた場合、直径方向に長穴を形成した座金を用いていると、座金の耐力に寄与できる面積が著しく減少するため、座金に変形が生じてアンカーボルトからの抜け出しが生じかねない。一方、座金の大きさや厚さには限界があり、アンカーボルト挿通用の穴を大きくすることにも一定の限界がある。
また、プレキャストコンクリート部材の浮き上がりに対し座金が変形しない場合でも、受け枠自体がプレキャストコンクリート部材から抜け出たり、受け枠周囲のコンクリート部が引張応力に対して破壊されることで、固定が解除されてプレキャストコンクリート部材が流失するおそれもある。
本考案は、上記従来技術の有する問題点を解消するため、アンカーボルト挿通用の長穴を設けることなくアンカー挿通用の孔の位置を調節でき、受け枠がプレキャストコンクリート製耐摩耗パネル(プレキャストコンクリート部材)にしっかりと固定された信頼性の高い、施工性に優れたプレキャストコンクリート製耐摩耗パネルの固定構造を提供することを目的とする。
上記の問題点を解決するため、本願の請求項1に係る考案は、プレキャストコンクリート製耐摩耗パネルに形成されたアンカーボルト取付孔内に固定された受け枠と、該受け枠内に収納された座金を介して、下地コンクリートに設置されたアンカーボルトにナットが締結されることで固定されたプレキャストコンクリート製耐摩耗パネルの固定構造であって、前記受け枠はリング状の底壁と、該底壁の周縁から立設する略円筒状の側壁からなり、前記座金は、略円形状の板状部材であって、前記アンカーボルトの頭部を挿通させる略円形状のアンカーボルト固定孔とグラウト注入孔を備えるとともに、前記受け枠内で自在に回動可能であることを特徴とする。
また、請求項2に係る考案は、前記受け枠の前記側壁の外周面が、前記プレキャストコンクリート製耐摩耗パネル内に埋め込まれた補強鉄筋に固定されていることを特徴とする。
また、請求項3に係る考案は、前記受け枠の前記側壁の外周面に設けた複数の突出部が、前記プレキャストコンクリート製耐摩耗パネル内に埋め込まれて固定され、または前記プレキャストコンクリート製耐摩耗パネル内に埋め込まれ且つ前記プレキャストコンクリート製耐摩耗パネル内に埋め込まれた補強鉄筋に固定されていることを特徴とする。
また、本願の請求項4に係る考案は、前記プレキャストコンクリート製耐摩耗パネルが、その下面から出没自在に設けたボルトと、該ボルトの先端部が当接する位置にあって内空断面を有するパッキンを介して装着したプレートとからなる段差調整手段を備えたことを特徴とする。
また、本願の請求項5に係る考案は、前記プレキャストコンクリート製耐摩耗パネルの下面にグラウト材との付着防止手段を設けたことを特徴とする。
本願の請求項1に係る考案によれば、アンカーボルト固定孔を備えた座金が受け枠内で自在に回動可能な構成であるため、プレキャストコンクリート製耐摩耗パネルの位置をずらすことなく、下地コンクリートの補強鉄筋を避けて設置したアンカーボルトに自在に対応して固定することができる。
また、座金の耐力に寄与できる面積が大きく、万一プレキャストコンクリート製耐摩耗パネルに浮き上がりが生じた場合であっても座金が変形しにくいため、座金の変形によるアンカーボルトからの抜け出しを防止することができる。
また、本願の請求項2及び3に係る考案によれば、受け枠の側壁の外周面がプレキャストコンクリート製耐摩耗パネル内に埋め込まれた補強鉄筋に固定されている構造、または、受け枠の側壁の外周面に設けた複数の突出部が、プレキャストコンクリート製耐摩耗パネル内に埋め込まれて固定されている構造若しくはプレキャストコンクリート製耐摩耗パネル内に埋め込まれ且つプレキャストコンクリート製耐摩耗パネル内に埋め込まれた補強鉄筋に固定されている構造とすることで、万一プレキャストコンクリート製耐摩耗パネルに浮き上がりが生じても、受け枠自体がプレキャストコンクリート製耐摩耗パネルから抜け出たり、受け枠周囲のコンクリートが引張応力により破壊されることを防止することができるため、プレキャストコンクリート製耐摩耗パネルの固定が解除されて流失するといった問題を解決することができる。
また、本願の請求項4に係る考案によれば、段差調整手段を備えた構成であるため、プレキャストコンクリート製耐摩耗パネルと下地コンクリート間の空隙に応じてパネル高さを自在に調整でき、施工面を水平に保つことができる他、アンカーボルトの長さを調節することで、一定のアンカー定着長さを確保することもできる。また、段差調整手段により、プレキャストコンクリート製耐摩耗パネルの設置後にボルトを取り外すことができるため、ボルトを再利用することができる。
また、本願の請求項5に係る考案によれば、プレキャストコンクリート製耐摩耗パネルの下面に付着防止手段を設けた構成であるため、プレキャストコンクリート製耐摩耗パネルの下面とグラウト材とが付着せず、長時間の使用後であってもプレキャストコンクリート製耐摩耗パネルの交換が容易である。
以下、本考案を図1ないし図13に示す実施形態に従って詳細に説明するが、本考案はこれに限定されるものではない。図において、1は水利構造物のような損耗の著しい箇所に設置するのに最適なプレキャストコンクリート製耐摩耗パネル(以下「耐摩耗パネル」という)で、図1及び図2に示すように、平面視が横長方形状とした盤状の部材であり、その内部に補強鉄筋2が埋設されているとともに、下面には後述するグラウト材Fと付着しない塗布膜ないしシートなどの装着による付着防止層3が形成されている。
4は耐摩耗パネル1の上面から下面に貫通するアンカーボルト取付孔で、図1に示すように、耐摩耗パネル1の上下に3つずつ横一列に等間隔で形成されており、アンカーボルト取付孔4内には、図3に示すように、中央に大径の貫通孔5aを有するリング状の底壁5bと、その底壁5bの周縁から起立する高さの低い略円筒状の側壁5cと、その側壁5cの外周面から放射状に水平に延びる複数(本実施形態では4つ)の略長方形状の突出部5dから構成された受け枠5が埋設され確実に固定されている。このとき突出部5は、図2等に示すように、耐摩耗パネル1内に完全に埋め込まれた状態となっている。
尚、受け枠5は、その側壁5cまたは突出部5dと耐摩耗パネル1内に埋め込まれている補強鉄筋2を溶接等により結合しつつ、耐摩耗パネル1内に埋設することで固定されていてもよい。
また、受け枠5の突出部5dは、側壁5cの外周面からその先端にかけて上方に向けて傾斜する(好ましくは傾斜角が10°以下)ように設けられていてもよい。このような傾斜を設けることで、埋設された受け枠5が耐摩耗パネル1のアンカーボルト取付孔4から脱落しづらい構造とすることができる。
6は受け枠5内に収納する略円形状の板状部材により形成された座金で、受け枠5内にあって水平面で回動可能となるように、略円筒状の側壁5cの内径よりやや小さな外径で形成されている。また、この座金6には、図4(a)等に示すように、座金6の中心を挟んで一方には略円形状のアンカーボルト固定孔7が、他方には略円形状のグラウト注入孔8がそれぞれ形成されている。尚、座金6の上面のアンカーボルト固定孔7の位置にはワッシャー7aが座金6の補強のために固定されている。
尚、本実施形態における座金6のアンカーボルト固定孔7は、図4(a)等に示すように、座金6の中心からやや円周寄りの位置(座金6の中心からやや左寄りの位置)に形成されているが、座金6の更に中央寄りの位置に形成されていてもよいし、逆に円周寄りの位置に形成されていてもよい。このように、座金6の中心からアンカーボルト固定孔7の位置の距離が異なるパターンの座金6を数種類用意しておくことで、後述するように、下地コンクリートGに埋設されている縦鉄筋R及び横鉄筋Kを避けて設置したアンカーボルト9に耐摩耗パネル1を固定する際に対応することが可能となる。
9は下地コンクリートGに設置するアンカーボルトで、アンカーボルト取付孔4内に固定した受け枠5内において、その受け枠5内に設置した座金6のアンカーボルト固定孔7(ワッシャー7a)からアンカーボルト9の頭部を上方に突出させて座金6を介してナット10を締めることで、耐摩耗パネル1を下地コンクリートGに固定するためのものである。
上記構造により、下地コンクリートGに埋設されている縦鉄筋R及び横鉄筋Kを避けてアンカーボルト9を設置した場合であっても、座金6を回動して(また場合によっては座金6を他のパターンのものに変更しつつ回動して)アンカーボルト固定孔7の位置を移動させることにより、アンカーボルト固定孔7の位置をアンカーボルト9の位置に合わせることができる。そのため、アンカーボルト取付孔4を所定位置に備えた耐摩耗パネル1であっても、耐摩耗パネル1自体の敷設位置を移動調整することなくアンカーボルト9に固定することができる。
また、座金6にアンカーボルト9の頭部を挿通するアンカーボルト固定孔7を形成するとともにグラウト注入孔8を形成する構造であるため、耐摩耗パネル1の固定とグラウト材Fの注入をほぼ同一箇所で行うことができ、作業能率が向上するとともに、耐摩耗パネル1にグラウト注入孔を別途設ける必要がないので、耐摩耗パネル1の品質向上を図ることができる。
11は段差調整ボルト取付孔で、図1に示すように、耐摩耗パネル1の四隅のアンカーボルト取付孔4の近傍に1つずつ計4個形成されている。この段差調整ボルト取付孔11は、耐摩耗パネル1の上面から下面の付着防止層3に向けて大径部と小径部とから構成されており、小径部の内周には雌ねじを有するインサート12が固定されている。
13は内空断面を有する円筒状の弾性パッキンで、図2に示すように、耐摩耗パネル1の下面にあって、段差調整ボルト取付孔11の周囲にその上端面が固定されており、弾性パッキン13の下端面には略円形状のプレート14が装着されている。なお、15はインサート12に予め設置し或いは段差調整時に設置する段差調整ボルトである。
16はアンカーキャップで、図6に示すように、受け枠5の上方開口部に嵌合によって装着するものであり、座金6を介してそのアンカーボルト固定孔7(ワッシャー7a)から上方に突出するアンカーボルト9の頭部を覆うためのものである。
このアンカーキャップ16の上面は、耐摩耗パネル1の内部に埋設された補強鉄筋2よりやや高い位置に設置されているとともに、耐摩耗パネル1及びアンカーキャップ16の上方空隙部に充填される耐摩耗性充填材Tとは色調が異なる色で形成されている。
以下、本考案を、特に砂防ダムなどの水利構造物の水たたきを受けるエプロン部のように、損耗の著しい箇所の補修を行う場合を例にとって詳細に説明する。先ず、補修する既設コンクリートの表面をはつって下地コンクリートGを成形し、成形したこの下地コンクリートGの上面に耐摩耗パネル1を、その下面から突出するプレート14を介して設置する。
つぎに、設置した各耐摩耗パネル1,1間および各耐摩耗パネル1とその周囲との段差調整をそれぞれ行う。この段差調整は、図11に示すように、耐摩耗パネル1に形成した段差調整ボルト取付孔11内のインサート12に予め設置した或いは段差調整時に設置する段差調整ボルト15を回転させながらインサート12に螺合し、その先端部を耐摩耗パネル1の下面から突出せしめる。この段差調整ボルト15の先端部が位置するその下方部には、弾性パッキン13を介してプレート14が設けられているため、段差調整ボルト15を回転させ続けることによりその先端部はプレート14と衝当する。
そして、図12に示すように、耐摩耗パネル1の下面から突出させた段差調整ボルト15の先端部の高さに応じて耐摩耗パネル1の高さが調整されるが、この段差調整時において段差調整ボルト15の先端部は、弾性パッキン13を介したプレート14により支承されているため、下地コンクリートGの表面に凹凸があり或いは傾斜している場合でも確実に且つ正確に耐摩耗パネル1の段差調整を容易に行うことができるとともに、この調整後の状態を安定した状態で保持することができる。
つぎに、段差調整された耐摩耗パネル1の下地コンクリートGへの固定作業を行う。この固定作業は、図6に示すように、アンカーボルト取付孔4内に固定した受け枠5内において、その大径の貫通孔5aから下地コンクリートGに縦孔を穿設し、その縦孔内に充填したケミカルアンカーなどを介してアンカーボルト9を設置し固定する。そして、図6及び図7に示すように、アンカーボルト9の頭部を座金6に形成したアンカーボルト固定孔7及びワッシャー7aに挿通せしめつつ座金6を受け枠5内に設置し、アンカーボルト9にナット10を螺号し締め付けることで、耐摩耗パネル1を下地コンクリートGに固定する。
アンカーボルト9の下地コンクリートGへの設置時において、受け枠5の大径の貫通孔5aが、下地コンクリートGを補強する縦鉄筋Rや横鉄筋Kの真上に位置する場合もある。その場合には、縦鉄筋Rと横鉄筋Kを避けた位置に縦孔を穿設し、ケミカルアンカーを介してアンカーボルト9を設置し固定する。
そして、図8に示すように、受け枠5内に収容した座金6を回動させ、アンカーボルト固定孔7の位置を移動させることで、アンカーボルト9の頭部をアンカーボルト固定孔7及びワッシャー7aから突出せしめ、アンカーボルト9にナット10を螺合し締め付けることで耐摩耗パネル1を下地コンクリートGに固定する。この場合、段差調整後の耐摩耗パネル1自体の位置をずらすことなく行うことができるので、容易に固定作業を行うことができる。
つぎに、アンカーボルト取付孔4内にあって、座金6に形成したグラウト注入孔8からグラウト材Fを注入して耐摩耗パネル1と下地コンクリートGとの間隙にグラウト材Fを充填し、グラウト材Fを介して耐摩耗パネル1と下地コンクリートGとを一体化する。このように、座金6にグラウト注入孔8を設けることで、耐摩耗パネル1に新たにグラウト材Fの注入のための孔を設ける必要がなく、耐摩耗パネル1の品質保持上好ましいものとなる。
そして、耐摩耗パネル1と下地コンクリートGとの間隙に充填したグラウト材Fが硬化した後、図12の一点鎖線で示すように、段差調整ボルト15を段差調整ボルト取付孔11内のインサート12から取り外す。この段差調整ボルト15の先端部は弾性パッキン13及びプレート14によって周囲が覆われており、グラウト材Fと直接接触していないため、段差調整ボルト15をインサート12から容易に取り外すことができ、取り外した段差調整ボルト15は再利用が可能となる。尚、段差調整ボルト15を取り外した後は、インサート12の上方開口部を塞ぐために、図13に示すように、シール17を設ける事もできる。
つぎに、図9に示すように、アンカーボルト取付孔4内に固定した受け枠5の上方開口部にアンカーキャップ16を設置することでアンカーボルト9の頭部及び座金6の上方をアンカーキャップ16で覆う。或いは、図10に示すように、受け枠5内に被覆材F2を充填し、アンカーボルト9の頭部及び座金6を被覆材F2で覆う。
その後、アンカーボルト取付孔4内のアンカーキャップ16或いは被覆材F2の上方空間部、段差調整ボルト取付孔11内の段差調整ボルト15を取り外した後に設置したシール17の上方空間部及び各耐摩耗パネル1,1間の目地溝内に、耐摩耗性充填材Tをそれぞれ充填することにより図5に示す状態となり、敷設作業が完了する。
上記より、本考案は、耐摩耗パネル1の下面に形成された付着防止層3が、裏打ちされるグラウト材Fと付着しない構成であるため、長時間の使用後にその交換が必要となった際の交換作業が容易であるという効果を有する。また、耐摩耗パネル1の内部に埋設された補強鉄筋2が摩耗によって露出する前に、アンカーキャップ16又は被覆材F2の上面部分Hが露出する構成であるため、アンカーキャップ16または被覆材F2が露出した時点を耐摩耗パネル1の交換時期と定めることができ、保守管理が容易となるという効果を有する。
1 製耐摩耗パネル 15 段差調整ボルト
2 補強鉄筋 16 アンカーキャップ
3 付着防止層 17 シール
4 アンカーボルト取付孔 F グラウト材
5 受け枠 F2 被覆材
5a 貫通孔 G 下地コンクリート
5b 底壁 H 上面部分
5c 側壁 K 横鉄筋
5d 突出部 R 縦鉄筋
6 座金 T 耐摩耗性充填剤
7 アンカーボルト固定孔
7a ワッシャー
8 グラウト注入孔
9 アンカーボルト
10 ナット
11 段差調整ボルト取付孔
12 インサート
13 弾性パッキン
14 プレート
2 補強鉄筋 16 アンカーキャップ
3 付着防止層 17 シール
4 アンカーボルト取付孔 F グラウト材
5 受け枠 F2 被覆材
5a 貫通孔 G 下地コンクリート
5b 底壁 H 上面部分
5c 側壁 K 横鉄筋
5d 突出部 R 縦鉄筋
6 座金 T 耐摩耗性充填剤
7 アンカーボルト固定孔
7a ワッシャー
8 グラウト注入孔
9 アンカーボルト
10 ナット
11 段差調整ボルト取付孔
12 インサート
13 弾性パッキン
14 プレート
Claims (5)
- プレキャストコンクリート製耐摩耗パネルに形成されたアンカーボルト取付孔内に固定された受け枠と、該受け枠内に収納された座金を介して、下地コンクリートに設置されたアンカーボルトにナットが締結されることで固定されたプレキャストコンクリート製耐摩耗パネルの固定構造であって、前記受け枠はリング状の底壁と、該底壁の周縁から立設する略円筒状の側壁からなり、前記座金は、略円形状の板状部材であって、前記アンカーボルトの頭部を挿通させる略円形状のアンカーボルト固定孔とグラウト注入孔を備えるとともに、前記受け枠内で自在に回動可能であることを特徴とするプレキャストコンクリート製耐摩耗パネルの固定構造。
- 前記受け枠の前記側壁の外周面が、前記プレキャストコンクリート製耐摩耗パネル内に埋め込まれた補強鉄筋に固定されていることを特徴とする請求項1記載のプレキャストコンクリート製耐摩耗パネルの固定構造。
- 前記受け枠の前記側壁の外周面に設けた複数の突出部が、前記プレキャストコンクリート製耐摩耗パネル内に埋め込まれて固定され、または前記プレキャストコンクリート製耐摩耗パネル内に埋め込まれ且つ前記プレキャストコンクリート製耐摩耗パネル内に埋め込まれた補強鉄筋に固定されていることを特徴とする請求項1記載のプレキャストコンクリート製耐摩耗パネルの固定構造。
- 前記プレキャストコンクリート製耐摩耗パネルが、その下面から出没自在に設けたボルトと、該ボルトの先端部が当接する位置にあって内空断面を有するパッキンを介して装着したプレートとからなる段差調整手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のうちのいずれか一つに記載のプレキャストコンクリート製耐摩耗パネルの固定構造。
- 前記プレキャストコンクリート製耐磨耗パネルの下面にグラウト材との付着防止手段を設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のうちのいずれか一つに記載のプレキャストコンクリート製耐摩耗パネルの固定構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019001169U JP3222408U6 (ja) | 2019-04-01 | プレキャストコンクリート製耐摩耗パネルの固定構造 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2019001169U JP3222408U6 (ja) | 2019-04-01 | プレキャストコンクリート製耐摩耗パネルの固定構造 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JP3222408U true JP3222408U (ja) | 2019-08-01 |
JP3222408U6 JP3222408U6 (ja) | 2019-09-12 |
Family
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7429525B2 (ja) | 2019-12-06 | 2024-02-08 | 前田製管株式会社 | アンカー固定金具を有するプレキャストコンクリート部材及びその固定方法 |
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JP7429525B2 (ja) | 2019-12-06 | 2024-02-08 | 前田製管株式会社 | アンカー固定金具を有するプレキャストコンクリート部材及びその固定方法 |
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