JP3222316B2 - パルス・レーザによる基板表面薄膜の除去方法 - Google Patents

パルス・レーザによる基板表面薄膜の除去方法

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JP3222316B2 JP12079694A JP12079694A JP3222316B2 JP 3222316 B2 JP3222316 B2 JP 3222316B2 JP 12079694 A JP12079694 A JP 12079694A JP 12079694 A JP12079694 A JP 12079694A JP 3222316 B2 JP3222316 B2 JP 3222316B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、パルス・レーザによる
基板表面薄膜の除去方法に関し、さらに詳細には、半導
体素子、磁性体素子、光学素子ならびにオプトエレクト
ロニクス素子などの製造工程において、基板の表面に付
着した薄膜たる基板表面薄膜を除去する際に用いて好適
な、パルス・レーザによる基板表面薄膜の除去方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来より、半導体素子、磁性体素子、光
学素子ならびにオプトエレクトロニクス素子などの製造
工程における基板表面薄膜の除去は、マスクの作製→レ
ジストの塗布→露光→エッチング→レジストの除去など
の多数の工程を経て行われていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
たような従来の基板表面薄膜の除去方法にあっては、多
数の工程を経なければならないため、処理のために長時
間要するようになってしまうとともに、製造コストも増
大するという問題点があった。
【0004】また、上記したような従来の基板表面薄膜
の除去方法においては、基板表面から除去する薄膜のパ
ターンは、マスクのパターンによって決定されてしまう
ので、基板表面薄膜を必要に応じて多様なパターンで適
宜除去することができず、薄膜除去のパターンの柔軟性
に欠けるという問題点も指摘されていた。
【0005】即ち、上記したような従来の基板表面薄膜
の除去方法においては、処理時間の短時間化、処理費用
の低コスト化あるいは除去パターンの多様化を図ること
ができず、そうした市場のニーズに答えることができな
いという問題点があった。
【0006】本発明は、上記したような従来の技術の有
する種々の問題点に鑑みてなされたものであり、その目
的とするところは、処理時間に長時間を要し、処理費用
が高価となり、さらには薄膜除去のパターンの柔軟性に
欠ける従来の多数の工程を経る基板表面薄膜の除去方法
とは全く異なり、単一工程により処理時間の短縮化、処
理費用の低コスト化ならびに除去パターンの多様化を図
ることのできる、実用性に優れた新規なパルス・レーザ
による基板表面薄膜の除去方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明におけるパルス・レーザによる基板表面薄膜
の除去方法は、基板表面に付着した薄膜たる基板表面薄
膜を除去するための基板表面薄膜の除去方法において、
基板表面薄膜に対して透明な波長を有するとともに、基
板に対して吸収ならびに反射する波長を有するパルス・
レーザを、上記基板表面から除去したい上記基板表面薄
膜の領域部位に対してのみ照射して、当該パルス・レー
ザを照射された領域部位の基板表面薄膜のみを単一工程
により除去するようにしたものである。
【0008】
【作用】基板表面薄膜に対して透明な波長を有するとと
もに、基板に対して吸収ならびに反射する波長を有する
パルス・レーザを、当該基板表面から除去したい基板表
面薄膜の領域部位に対してのみ照射すると、パルス・レ
ーザを照射された領域部位の基板表面薄膜のみが当該基
板から剥離され、パルス・レーザを照射された領域部位
の基板表面薄膜のみを当該基板から除去することができ
る。
【0009】従って、基板の全面に付着された基板表面
薄膜を全て除去したい場合には、基板の表面全体に上記
した波長のパルス・レーザを照射することにより、基板
全面に付着された基板表面薄膜を除去することができ
る。
【0010】また、基板の全面に付着された基板表面薄
膜の一部のみを除去したい場合などには、除去したい基
板表面薄膜の領域部位のみに上記した波長のパルス・レ
ーザを照射することにより、基板表面から当該領域部位
に位置する基板表面薄膜を除去することができる。
【0011】このように、上記した波長のパルス・レー
ザを選択的に基板表面に照射することにより、照射した
領域部位に位置する基板表面薄膜を確実に除去できる。
【0012】ところで、上記した波長のパルス・レーザ
の照射による基板表面薄膜の除去は、以下の三つのメカ
ニズムが総合的に作用して実現されるものと考えられる
ものであり、図1に示す基板表面薄膜Cを付着された基
板Bたる基板表面薄膜付着基板100の断面図を参照し
ながら、それら三つのメカニズムを詳細に説明する。
【0013】即ち、それら三つのメカニズムとは、 (1)パルス・レーザAの照射による基板Bと基板表面
薄膜Cとの界面Dへの瞬間運動量の伝達 (2)パルス・レーザAの照射による界面Dに存在する
物質(界面物質)の光化学分解 (3)パルス・レーザAの照射による基板Bおよび基板
表面薄膜Cの熱膨張の際における基板Bの材料と基板表
面薄膜Cの材料との熱膨張率の相違 である。
【0014】まず、上記(1)のメカニズムについて説
明すると、パルス・レーザAの照射によるレーザ・パル
スの中の光子は、運動量源として界面Dに作用する。一
光子当たりでは、h/λ(h:プランク定数、λ:パル
ス・レーザAの波長)の運動量を持っている。パルス・
レーザAの波長は、基板表面薄膜Cに対して透明な波長
であるとともに基板Bに対して吸収ならびに反射する波
長とされているので、基板Bの表面に対して照射された
パルス・レーザAは基板表面薄膜Cを透過して、基板B
で吸収ならびに反射される。このため、光子の運動量は
界面Dに与えられることになる。
【0015】この際に、連続レーザと異なりパルス・レ
ーザの瞬間エネルギー密度は非常に高いので、光子の運
動量による界面Dへの衝撃は瞬間的に極めて大きなもの
となる。この衝撃により界面Dに振動が生起され、界面
Dの上に付着している基板表面薄膜Cが剥離されること
になる。
【0016】なお、エネルギー密度の高い連続レーザを
照射すると、連続的にエネルギー密度の高いレーザが基
板表面薄膜付着基板100に照射されることになって、
基板B自体に損傷を発生させる恐れがあるが、パルス・
レーザによれば瞬間エネルギー密度を非常に高くするこ
とはできるが、エネルギー密度の高いレーザが連続的に
照射されることにはならないので、基板B自体に物理的
なダメージや化学的なダメージを与える恐れはない。
【0017】次に、上記(2)のメカニズムについて説
明すると、基板Bと基板表面薄膜Cとの界面Dには、基
板表面薄膜Cの成長前または基板表面薄膜Cの成長中
に、吸収ガスやその他の残留物などの不純物(主に有機
不純物である。)よりなる界面物質が生成される。こう
した界面物質は、パルス・レーザAの照射により光化学
分解されて気相へと変化する。このため、界面Dにおけ
る圧力Pが高まり、この圧力により基板Bから基板表面
薄膜Cが剥離されるようになる。
【0018】さらに、上記(3)のメカニズムについて
説明すると、基板Bと基板表面薄膜Cとは一般的に異な
る材料で形成されているために、両者の熱膨張率には差
異がある。従って、パルス・レーザAの照射によって界
面Dで温度上昇が生じると、基板Bと基板表面薄膜Cと
は異なる熱膨張率で膨張する。このため、界面Dにおい
て大きな応力が発生し、この応力により基板Bから基板
表面薄膜Cが剥離されるようになる。
【0019】以上において説明したように、上記(1)
乃至(3)のメカニズムはいずれも、パルス・レーザA
による基板Bと基板表面薄膜Cとの界面Dにおける作用
に基づくものであるため、本発明のパルス・レーザによ
る基板表面薄膜の除去方法は、大気中は勿論のことであ
るが、溶液中あるいは真空中においても界面Dが外部雰
囲気に影響されない限りは、任意の雰囲気中において実
施することができる。
【0020】
【実施例】以下、図面に基づいて、本発明のパルス・レ
ーザによる基板表面薄膜の除去方法の一実施例を詳細に
説明する。
【0021】図2には、本発明のパルス・レーザによる
基板表面薄膜の除去方法を実施するためのシステムの概
略構成が示されており、図1に示すような基板表面薄膜
付着基板100の基板表面薄膜Bを除去するものであ
る。
【0022】図1に示されたシステムにおいては、パル
ス・レーザとして短波長のパルス・レーザを生成できる
エキシマ・レーザの中のKrFエキシマ・レーザを採用
しており、符号10はKrFエキシマ・レーザ発振器を
示している。このKrFエキシマ・レーザ発振器10か
らは、波長248nm、パルス幅20nsのパルス状の
出力ビーム(パルス・ビーム)が出力されるものであ
る。
【0023】さらに、このシステムは、KrFエキシマ
・レーザ発振器10から出力されるパルス・ビームを、
均一の光強度分布を持つビームに変換するビーム・ホモ
ジェナイザ12と、ビーム・ホモジェナイザ12から出
力されるパルス・ビームのサイズと形状を制御するアパ
ーチャ14aを可変できる電動アパーチャ14と、移動
可能な電動ステージ16上に配設され、電動アパーチャ
14のアパーチャ14aから出力されるパルス・ビーム
を縮小あるいは拡大するための石英ガラス製の集光レン
ズ18と、複数の基板100を載置して順次移動するベ
ルト・コンベア20と、ベルト・コンベアの移動速度を
調節するスピード・コントローラ22と、集光レンズ1
8から出力されたパルス・ビームをベルト・コンベア2
0上の基板表面薄膜付着基板100へ反射するためのミ
ラー24と、上記したKrFエキシマ・レーザ発振器1
0のパワーを検出して表示するパワー計測器26と、基
板表面薄膜付着基板100の表面を観察するための受像
装置としてのCCDカメラ32と、CCDカメラ32に
より受像した映像を表示するための表示装置34とを有
している。
【0024】なお、電動アパーチャ14のアパーチャ1
4aと集光レンズ18の位置とにより、基板表面薄膜付
着基板100表面に照射するパルス・ビームの大きさと
光強度とが調節されることになる。
【0025】そして、KrFエキシマ・レーザ発振器1
0と、電動アパーチャ14と、電動ステージ16と、ス
ピード・コントローラ22と、パワー計測器26とは、
インターフェース28を介して、CPU30a、ROM
30bおよびRAM30cを備えた制御部30に接続さ
れている。
【0026】ROM30bには、KrFエキシマ・レー
ザ発振器10から出力されるKrFエキシマ・レーザの
パルス・ビームの繰り返し周波数、電動アパーチャ14
により形成されるアパーチャ14aのサイズと形状、電
動ステージ16の移動位置により決定される集光レンズ
18の位置およびスピード・コントローラ22により調
節されるベルト・コンベア20の位置ならびに移動速度
を、基板表面薄膜付着基板100の基板Bと基板表面薄
膜Cとの材料組成、除去する基板表面薄膜Cの領域なら
びに基板表面薄膜Cの膜厚とに適した条件を設定できる
ように、所定のプログラムが記憶されている。
【0027】また、RAM30cは、CPU30aがR
OM30bに記憶されたプログラムを実行する際のワー
キング・エリアとして使用されるものである。
【0028】なお、上記システムは、大気中において構
成することができるものであるが、基板表面薄膜付着基
板100の基板Bと基板表面薄膜Cとの界面Dが影響を
受けない限りは、溶液中あるいは真空中において構成し
てもよいことは勿論である。
【0029】以上の構成において、制御部30によっ
て、KrFエキシマ・レーザ発振器10から出力される
KrFエキシマ・レーザのパルス・ビームの周波数、電
動アパーチャ14により形成されるアパーチャ14aの
サイズと形状、電動ステージ16の移動位置により決定
される集光レンズ18の位置およびスピード・コントロ
ーラ22により調節されるベルト・コンベア20の位置
ならびに移動速度が制御され、基板表面薄膜付着基板1
00の基板Bの材料と基板Bの表面に付着した除去対象
物たる基板表面薄膜Cの材料とに適した条件が設定され
る。
【0030】こうして、条件設定された状態で、基板表
面薄膜付着基板100の表面にKrFエキシマ・レーザ
発振器10から出力されるKrFエキシマ・レーザのパ
ルス・ビームが照射されると、当該照射された領域の基
板表面薄膜Cが、上記において作用の項で説明した、 (1)KrFエキシマ・レーザの照射による基板Bと基
板表面薄膜Cとの界面Dへの瞬間運動量の伝達 (2)KrFエキシマ・レーザの照射による界面Dに存
在する物質(界面物質)の光化学分解 (3)KrFエキシマ・レーザの照射による基板Bおよ
び基板表面薄膜Cの熱膨張の際における基板Bの材料と
基板表面薄膜Cの材料との熱膨張率の相違 の総合作用によって基板Bから剥離されて、基板B表面
から除去されることになる。
【0031】即ち、リソグラフィやエッチングなどを要
せずに、パルス・レーザの照射という単一の工程のみよ
って、基板Bから基板表面薄膜Cを除去することができ
る。
【0032】以下に、上記のようなシステムによる基板
Bからの基板表面薄膜Cの除去の効果を詳細に説明する
が、基板表面薄膜付着基板100としては、基板Bとし
てGaAs基板を用い、このGaAs基板上に基板表面
薄膜CとしてSiO2薄膜を蒸着したものを用いた場合
を示し、KrFエキシマ・レーザの照射によりGaAs
基板上に蒸着したSiO2薄膜を除去した場合を示す。
【0033】なお、GaAs基板上に蒸着したSiO2
薄膜のパターンの形成は、配線部以外の場所に予めホト
レジスト膜のパターンを付けておき、その上にSiO2
膜を付着させた後に、ホトレジスト膜の除去とともに配
線部以外のSiO2膜を除去してパターンを形成する、
リフトオフ法により行った。
【0034】図3には、本発明によるシステムにより、
KrFエキシマ・レーザの照射によってGaAs基板上
に蒸着したSiO2薄膜を除去する前の基板表面薄膜付
着基板100の表面の顕微鏡写真が示されている。
【0035】図3に示されているように、SiO2薄膜
は1μmの幅と50nmの厚さとを持ち、1μmの間隔
でGaAs基板上に付着されている。
【0036】この図3に示す基板表面薄膜付着基板10
0の表面の略半面に対して、上記システムにより、50
0mJ/cm2のエネルギー密度と20nsのパルス幅
のKrFエキシマ・レーザのパルス・ビームを1パルス
照射すると、図4に示すように、GaAs基板上におけ
るKrFエキシマ・レーザの照射領域部分のSiO2
膜を剥離することができる。なお、図4においては、G
aAs基板上から剥離されたSiO2薄膜の細線が、G
aAs基板上に浮いている状態が示されている。
【0037】なお、GaAs基板上から除去するSiO
2薄膜の領域が狭い場合には、図4に示されるように、
GaAs基板上にSiO2薄膜の細線が浮いている状態
とはならずに、GaAs基板上から剥離されたSiO2
薄膜の細線は、GaAs基板上から完全に排除されるこ
とになる。
【0038】従って、本発明のパルス・レーザによる基
板表面薄膜の除去方法においては、ウェット・エッチン
グを行うことなしに、GaAs基板上からSiO2薄膜
を確実に除去することができるものである。
【0039】さらに、図4に示す状態において、アセト
ンの中で超音波洗浄を行うと、図5(a)(b)に示す
ように、GaAs基板上から剥離されてGaAs基板上
に浮いている状態のSiO2薄膜の細線を、GaAs基
板上から容易に取り除くことができる。
【0040】図5(a)には、アセトンの中での超音波
洗浄後における、KrFエキシマ・レーザを照射された
領域と照射されない領域との境界が示されているが、照
射されない領域ではSiO2薄膜パターンが依然として
残っているのに対して、照射された領域ではSiO2
膜パターンは全て除去されている(図5(a)中の白枠
部分の拡大写真である図5(b)参照)。
【0041】このように、本発明のパルス・レーザによ
る基板表面薄膜の除去方法によれば、パルス・レーザを
照射する領域を選択することにより、基板表面薄膜を除
去する領域を任意に選択することができるようになる。
【0042】なお、SiO2薄膜が除去されたGaAs
基板表面においては、欠陥や残留物は観察されていな
い。
【0043】即ち、オージェ電子分光法(AES)によ
ってGaAs基板表面の組成比を分析し、図6にそのA
ESスペクトルを示すものであるが、(a)は、大気中
でKrFエキシマ・レーザを照射した後に、SiO2
膜が除去された後のGaAs基板表面のAESスペクト
ルである。たしかに、この(a)に示すスペクトルの中
には、Ga(ガリウム)およびAs(砒素)のピークの
他に、C(炭素)とO(酸素)との強いピークが観察さ
れている。
【0044】しかしながら、(a)に示すスペクトルを
備えたGaAs基板に対して、5秒間だけアルゴン・イ
オン・スパッタリングを行って、表面から厚さ3nmの
表面層を取り除くと、(b)に示すように、そのスペク
トルからCのピークが消えるとともに、Oのピークも著
しく小さくなった。
【0045】このことより、(a)におけるGaAs基
板表面のCやOの存在は、KrFエキシマ・レーザを照
射したことによるGaAs基板表面の欠陥や残留物によ
るものではなく、長時間(本測定の場合には、2〜3日
間である。)にわたってGaAs基板表面が大気中にさ
らされたことによるものであると考えられる。
【0046】また、1分間までアルゴン・イオン・スパ
ッタリングを行って、表面から厚さ40nmの表面層を
取り除くと、(c)に示すように、GaAsのバルク・
スペクトルが観察される。このように、本発明のパルス
・レーザによる基板表面薄膜の除去方法によれば、エッ
チングやアニーリングなどの他の方法において観察され
るような、As成分の減少は観察されない。
【0047】従って、GaAs基板に対してKrFエキ
シマ・レーザ照射によって与えられる物理的ならびに化
学的ダメージは、極めて少ないものと考えることができ
る。
【0048】なお、上記においては、SiO2薄膜が除
去された後のGaAs基板表面の状態に関して説明した
が、図7に示すように、GaAs基板から剥離されたS
iO2薄膜は、GaAs基板上に形成されたときと同一
の形状を保ったままで剥離されることになる。従って、
本発明のパルス・レーザによる基板表面薄膜の除去方法
によれば、予め基板表面に所望の微細形状の薄膜を形成
しておき、その後にパルス・レーザを照射して当該基板
表面から所望の微細形状の薄膜を剥離することにより、
所望の微細形状(微細構造)の立体物を作製することが
できるようになるものであり、微細加工技術に応用する
ことができる。
【0049】また、本発明のパルス・レーザによる基板
表面薄膜の除去方法において用いるパルス・レーザとし
ては、熱的効果が低く、かつ光的効果(光子の運動、光
化学分解)の大きい短波長のパルス・レーザが好まし
く、例えば、600nm以下のパルス・レーザを用いる
ことが望ましい。
【0050】しかしながら、基板の材質と、基板表面に
付着された薄膜の材質との関係によって、600nm以
上のパルス・レーザを用いてもよいことは勿論である。
【0051】図8には、基板の材質と、基板表面に付着
された薄膜の材質と、基板に照射するパルス・レーザの
波長との関係を示した表が示されており、合わせてその
応用分野も示されている。図8に示されているように、
基板として半導体を用い、基板に付着された薄膜の材質
がLiNbO3やDiamond(ダイヤモンド)であ
る場合には、600nm以上の波長のパルス・レーザを
使用することができる。
【0052】なお、上記実施例においては、1パルスの
照射によりGaAs基板表面からSiO2薄膜を除去す
ることができたが、1パルスによりGaAs基板表面か
らSiO2薄膜を除去できない場合には、複数パルス照
射するようにしてもよい。
【0053】また、上記実施例においては、短波長パル
ス・レーザとしてエキシマ・レーザのKrFエキシマ・
レーザを用いたが、これに限られることなしに、上記し
た図8に例示するように、基板の材質と、基板表面に付
着された薄膜の材質との関係から、適宜の波長のパルス
・レーザを用いることができるものであり、例えば、X
eClエキシマ・レーザ(波長308nm)、ArFエ
キシマ・レーザ(波長193nm)などのエキシマ・レ
ーザの他に、波長が600nm以下の短波長のパルス状
の出力ビームである固体レーザ、半導体レーザなどや、
波長が600nm以上のパルス・レーザを適宜用いるこ
とができることは勿論である。また、パルス幅に関して
も、適宜設定することができる。
【0054】さらにまた、上記実施例に示すように、有
機溶剤などの化学薬品を使用することなく、大気中にお
けるパルス・レーザの照射によるドライ・プロセスによ
り基板表面薄膜の除去を行うことができるため、CCD
カメラ32および表示装置34を用いた観察、レーザ・
プローブによる表面反射率の測定、レーザ誘起表面振動
による音波の発生などの、処理中におけるリアル・タイ
ムのその場観察を行うことができる。
【0055】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0056】基板表面に付着した薄膜たる基板表面薄膜
を除去するための基板表面薄膜の除去方法において、基
板表面薄膜に対して透明な波長を有するとともに、基板
に対して吸収ならびに反射する波長を有するパルス・レ
ーザを、基板表面から除去したい基板表面薄膜の領域部
位に対してのみ照射するという単一工程により、パルス
・レーザを照射された領域部位の基板表面薄膜のみが基
板から剥離され、パルス・レーザを照射された領域部位
の基板表面薄膜のみを基板から除去することができるの
で、処理時間の短縮化、処理費用の低コスト化ならびに
除去パターンの多様化を図ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のパルス・レーザによる基板表面薄膜の
除去方法の処理対象である基板表面薄膜付着基板の断面
図である。
【図2】本発明のパルス・レーザによる基板表面薄膜の
除去方法を実施するためのシステムを示す概略構成説明
図である。
【図3】本発明によるシステムにより、KrFエキシマ
・レーザの照射によってGaAs基板上に蒸着したSi
2薄膜を除去する前の基板表面薄膜付着基板の表面の
顕微鏡写真である。
【図4】図3に示す基板表面薄膜付着基板の表面の略半
面に対して、本発明によるシステムにより、500mJ
/cm2のエネルギー密度と20nsのパルス幅のKr
Fエキシマ・レーザのパルス・ビームを1パルス照射し
た後の状態を示す顕微鏡写真である。
【図5】(a)は、図4に示す基板表面薄膜付着基板の
アセトンの中での超音波洗浄後における、KrFエキシ
マ・レーザを照射された領域と照射されない領域との境
界が部位を示す顕微鏡写真であり、(b)は、(a)中
の白枠部分の拡大写真である。
【図6】オージェ電子分光法(AES)によってGaA
s基板表面の組成比を分析した結果によるAESスペク
トルを示し、(a)は、大気中でKrFエキシマ・レー
ザを照射した後に、SiO2薄膜が除去された後のGa
As基板表面のAESスペクトルであり、(b)は、
(a)に示すスペクトルを備えたGaAs基板に対し
て、5秒間だけアルゴン・イオン・スパッタリングを行
って、表面から厚さ3nmの表面層を取り除いた後のA
ESスペクトルを示し、(c)は、(a)に示すスペク
トルを備えたGaAs基板に対して、1分間までアルゴ
ン・イオン・スパッタリングを行って、表面から厚さ4
0nmの表面層を取り除いた後のAESスペクトルを示
す。
【図7】本発明のパルス・レーザによる基板表面薄膜の
除去方法により、GaAs基板から剥離されたSiO2
薄膜を示す顕微鏡写真である。
【図8】基板の材質と、基板表面に付着された薄膜の材
質と、基板に照射するパルス・レーザの波長との関係な
らびにその応用分野を示す表である。
【符号の説明】
10 KrFエキシマ・レーザ発振器 12 ビーム・ホモジャイザ 14 電動アパーチャ 14a アパーチャ 16 電動ステージ 18 集光レンズ 20 ベルト・コンベア 22 スピード・コントローラ 24 ミラー 26 パワー計測器 28 インターフェース 30 制御部 30a CPU 30b ROM 30c RAM 32 CCDカメラ 34 表示装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−296623(JP,A) 特開 平2−15625(JP,A) 特開 平3−119725(JP,A) 特開 平4−188620(JP,A) 米国特許4172741(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/302 B23K 26/00

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板表面に付着した薄膜たる基板表面薄
    膜を除去するための基板表面薄膜の除去方法において、 基板表面薄膜に対して透明な波長を有するとともに、基
    板に対して吸収ならびに反射する波長を有するパルス・
    レーザを、前記基板表面から除去したい前記基板表面薄
    膜の領域部位に対してのみ照射して、該パルス・レーザ
    を照射された領域部位の基板表面薄膜のみを単一工程に
    より除去することを特徴とするパルス・レーザによる基
    板表面薄膜の除去方法。
  2. 【請求項2】 前記基板が半導体または磁性体であり、
    前記薄膜がSiO、Si、LiNbOまたは
    ダイヤモンドである請求項1記載のパルス・レーザによ
    る基板表面薄膜の除去方法。
  3. 【請求項3】 前記パルス・レーザの波長は短波長であ
    る請求項1または2のいずれか1項に記載のパルス・レ
    ーザによる基板表面薄膜の除去方法。
  4. 【請求項4】 前記パルス・レーザの波長は600nm
    以下である請求項1または2のいずれか1項に記載のパ
    ルス・レーザによる基板表面薄膜の除去方法。
  5. 【請求項5】 前記基板が半導体であり、前記薄膜がL
    iNbOまたはダイヤモンドであるとき、前記パルス
    ・レーザの波長が600nm以上である請求項1記載の
    パルス・レーザによる基板表面薄膜の除去方法。
  6. 【請求項6】 大気中において前記パルス・レーザを、
    前記基板表面から除去したい前記基板表面薄膜の領域部
    位に対してのみ照射する請求項1、2、3、4または5
    のいずれか1項に記載のパルス・レーザによる基板表面
    薄膜の除去方法。
  7. 【請求項7】 エキシマ・レーザをSiO薄膜を付着
    したGaAs基板上の所望の領域に照射し、前記GaA
    s基板上の前記所望の領域から前記SiO薄膜を剥離
    させて除去することを特徴とするパルス・レーザによる
    基板表面薄膜の除去方法。
  8. 【請求項8】 波長248nm、パルス幅20ns、エ
    ネルギー密度500mJ/cmのKrFエキシマ・レ
    ーザを、厚さ50nmのSiO薄膜を蒸着したGaA
    s基板上の所望の領域に1パルス照射し、前記GaAs
    基板上の前記所望の領域から前記SiO薄膜を剥離さ
    せて除去することを特徴とするパルス・レーザによる基
    板表面薄膜の除去方法。
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