JP3221611B2 - 物質乱用障害の治療用医薬組成物 - Google Patents

物質乱用障害の治療用医薬組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の分野〕 本発明はあるジフェニルブチル−ピペラジンカルボキ
サミド、特にアンペロジド(amperozide)、4−〔4,4
−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル〕−N−エチル
−1−ピペラジンカルボキサミド及びその塩の物質乱用
障害の治療における新しい使用に関する。さらに詳細に
は、本発明は禁断症状の改善及び薬物要求行動を緩和す
ることに関する。
〔発明の背景〕
脳内の種々の種類のニューロン受容体と神経伝達物質
がアルコールの強迫的飲用の基礎をなす複雑な機構に関
係している。実質的な発見はオピオイド、ドパミン作動
性、セロトニン作動性、及びベンゾジアゼピン受容体の
サブタイプを支持している。受容体の種類が性質におい
てシナプス前であるか又はシナプス後であるか、及び神
経伝達物質合成及び/又は放出がアルコール飲用の発現
に等しく含まれるか否かについては現在未知である。
薬物依存は離脱することが極めて困難である。これは
依存がエタノール、アンフェタミン、バルビツール酸
塩、ベンゾジアゼピン、コカイン、ニコチン、オピオイ
ド及びフェンシクリジンに基づくか又はその他に基づく
かのどちらかにしても事実である。活発な研究がなされ
ているにもかかわらず、例えばアルコール依存症患者の
アルコール渇望と特異的に対抗し得る薬品はまだ得られ
ていない。以前の研究において、例えばセロトニン取込
み遮断剤(例えばジメリジン(zimelidine)、サートラ
リン(sertraline)はラットとヒトにおける自発的アル
コール消費を減らすことが証明された。しかしながら、
これらの化合物の作用の機構はよく分かっていない。ア
ルコール摂取に対する影響はセロトニンが消費行動(co
nsummatory behaviour)に果たすより一般的な阻害的役
割の表れであるかも知れないとする相当な実験的証拠が
ある。実際にセロトニン取込み遮断剤及びセロトニン作
用薬は若干の経口消費行動例えば種々の香りのある液体
例えばアルコールのみならず食物の摂取を減らすことが
示された。
セロトニン取込み遮断剤のサートラリンはラットにお
けるアルコール摂取を減らすことが見出された。しかし
ながら、サートラリンはアルコール飲用に対する効果と
同時に食物と水の摂取を低下させ、そして体重の全体的
な減少を引き込こした(Gill K等,Alcohol 5:355〜358,
1988;Myers R.D.及びQuarfordt S.D.,Pharmacol. Bioch
em.Behav.40:923〜28,1991)。明らかに、サートラリン
のアルコール摂取に対する作用は経口消費行動に対する
セロトニン取込み遮断剤の効果と関連しているようであ
る。従って、アルコール飲用の減少も意外なことではな
いであろう。さらに、サートラリン処置に続く期間中
に、アルコール摂取は処置前の水準に対して上昇した。
従って、乱用障害を治療するために治療するいっそう特
異的且つ有用な薬品が必要である。
〔発明の要約〕
意外なことに、式 (式中、 R1及びR2は独立してH、炭素原子1〜10の直鎖又は枝
分かれしたアルキル鎖、炭素原子3〜8のシクロアルキ
ル、炭素原子7〜9のアラルキル、炭素原子2〜10のア
ルケニル、置換されていない又はハロゲン特にF、Cl及
びBr、炭素原子1〜5の低級アルキル、炭素原子1〜5
の低級アルコキシから選ばれる1〜3個の基で置換され
たフェニル、置換されていないか又は炭素原子1〜5の
低級アルキル基1個又は2個で置換されたアミン、−CF
3及び−CN基の群から選ばれる基であり、 R3、R4、R5及びR6は独立してH、炭素原子1〜3の低
級アルキル及びフェニルから選ばれる基であり、 R7は水素、ハロゲン特にF、Cl及びBr、炭素原子1〜
3の低級アルコキシ及び−CF3から選ばれ、そして XはO又はSである)のジフェニルブチル−ピペラジ
ンカルボキサミド及びその医薬的に許容される塩がアル
コール依存の抑制に極めて有効且つ特異的であることを
見出した。
この発見は薬物、アルコール、ニコチンなどに対する
依存症の治療の完全に新しい方法の可能性を開くもので
ある。実際の物質はこれまで薬物依存症の治療用として
提唱されてきた薬品とは化学的及び薬理学的に異なるこ
とを見出した。
特に本発明は乱用した薬物又は物質への耽溺の結果生
ずる禁断症状の軽減又は予防、及び/又は乱用した薬物
又は物質への依存の抑制に関する。
この物質自体は従来技術で知られており(米国特許第
4308387号参照、これは参考として本明細書に組み入れ
る)、並びにこの物質の他の医薬分野における用途も同
様である(米国特許第4447433号、同第4385057号及び同
第5013735各号)。
〔発明の詳細な説明〕
本発明は種々の乱用に苦しむ患者に対して前記で定義
したような式Iのジフェニルブチル−ピペラジンカルボ
キサミドの治療に有効な量を投与することからなる物質
乱用障害の治療方法に関する。現在好ましい物質は R1がメチル、エチル又はn−、イソ−又はシクロプロ
ピルであり、 R2がHであり、 R3、R4、R5及びR6が水素であるか、又はR3及びR6が水
素であり並びにR4及びR5がメチルであるか、又はR4及び
R5が水素であり並びにR3及びR6がメチルであり、 R7が水素又はハロゲン、好ましくは各々のベンゼン環
上の1つの置換基がFであり、そして XがOである物質、又はその生理学的に許容される塩
である。
現在最も好ましい物質はアンペロジド、又はその生理
学的に許容される塩である。アンペロジドは4−〔4,4
−ビス(4−フルオロフェニル)ブチル〕−N−エチル
−1−ピペラジンカルボキサミドの化学名を持ち、Bj
rk A.K.K.等により開発された向精神化合物であり(米
国特許第4308387号)、大脳縁辺系領域に対する作用に
より仲介されて情動行動に優先的に影響する(Christen
sson E.及びBjrk A.,Pharmacol.Toxiol.66:Suppl.I,5
〜7,1990)。アンペロジドが情動行動に影響する機構は
未知のまま残されているが、研究の結果はアンペロジド
がセロトニン行動性拮抗質であること(Svartengren J.
及びSimonsson P., Pharmacol.Toxicol.66:Suppl.I,8〜
11,1990)及びさらにセロトニン取込み遮断剤として作
用すること(Eriksson E.,Life Sci.47:2111〜2117,199
0)を示している。最近の発見はアンペロジドが学習と
記憶に重要と思われるグルタミン作動性神経伝達も変化
させることを示唆している。
Eriksson E.による前記文献に、「アルコール乱用を
抑制すると思われるセロトニン取込み阻害剤、例えばシ
タロプラム(citalopram)及びジメリジンは乱用治療に
有用であるかも知れない」との所説が引用されている。
しかしながら、前記文献にはセロトニン取込み遮断剤が
若干の経口消費行動を減らすことが示されたという事実
は述べられていない。明らかに、セロトニン取込み遮断
剤はそれ自身では物質乱用障害の治療における作用の薬
理学的特異性の基礎を構成するものではない。従って、
Eriksson E.による前記文献における一般的所説は当業
者に対して物質乱用障害の治療に使用するいっそう特異
的且つ有効な薬品に対する必要に適合する物質を選択す
る基礎を与えるものではない。
本発明は物質乱用障害の治療用組成物及びその製造の
ため、式1の物質の治療に有用な量の使用に関する。
被験者に対するある種の薬品例えばアヘン剤(例えば
モルヒネ)、コカイン、ベンゾジアゼピン(例えばジア
ゼパム)、又は乱用物質例えばアルコール又はニコチン
の反復投与はそれらの薬品又は物質に対する肉体的及び
/又は精神的依存に導くことができる。乱用の薬品又は
物質を依存症患者から取り上げると、患者に睡眠及び情
緒障害並びに乱用薬品又は物質に対する強い渇望を含む
ある徴候が現れる。これらの徴候はひとまとめにして本
発明と関連する離脱又は禁断症候群と説明される。
本発明の薬理学的に活性の化合物を含む処方物は米国
特許第4308387号、同第4385057号及び同第5013735各号
に開示されており、これらは参照として本明細書に組み
入れる。物質乱用障害の治療への使用に適していること
が期待される処方物の例は下記の通りである。
カプセルの処方物組成(カプセル当たり) 活性成分 10mg 乳 糖 250mg 殿 粉 120mg ステアリン酸マグネシウム 5mg 錠剤の処方物組成(錠剤当たり) 活性成分 10mg アビセル 108mg コロイドシリカ 10mg タルク 20mg ステアリン酸マグネシウム 2mg 注射溶液(100ml当たり) 活性成分 1000mg メタジン 100mg NaCl 700mg 0.1NのHClでpH3.5に調節 滅菌水で100mlにする 物質乱用障害の治療に使用する前記で定義した物質例
えばアンペロジドの1日当たりmgで表される治療に有効
な量は約0.1〜約40mg、好ましくは0.1〜20mg、そして特
に1〜20mgであり、治療する特定の状態、特定の患者の
年齢と体重、及び特定の患者の医薬に対する反応の如何
により変動する。従って、正確な個々の投薬量、並びに
毎日の投薬量は医師の指示に基づき標準の医薬的原則に
従って決定される。下記の動物実験は1日2回の投与が
治療効果を示しており、そしてこれは物質をヒトに投与
する場合にも当てはまることが予想される。
従って本活性成分はそのような治療の必要に応じて通
常の投与経路と通常の形態で患者に投与されると予想さ
れる。これは経口投与のため医薬的に許容される担体中
で調製した溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、カプセ
ル及び粉末、又は非経口投与のための滅菌溶液を含む。
本発明の1つの実施態様においては、活性物質の毎日
の用量を実質的に一定の水準で、所定の時間、例えば注
射孔(injection port)又は注入用ポンプにより連続的
に投与する。
薬品の安定性又は投与の容易性を増すための種々の添
加剤が考えられる。医薬組成物は組合せ治療のため、本
発明の薬理学的活性化合物の外に別の治療に有用な物質
を含ませることもできる。
20年間の研究は人間によって乱用される薬品は通常実
験動物により自己投与されることを一貫して証明してい
る。エタノール、アンフェタミン、バルビツール酸塩、
ベンゾジアゼピン、コカイン、ニコチン、オピオイド及
びフェンシクリジンなどは人間が乱用しそして動物モデ
ルにより自己投与される物質のほんの少数の例である。
薬物依存性の基礎になる薬理学的及び行動機構を研究す
るための動物モデルの価値は繰り返し証明されている。
実際に、動物モデルは薬物要求行動を改善し又は緩和す
る化合物の研究のための唯一の頼みとするものである。
これに関連して上述の薬品を乱用する先入的愛好の基礎
になる耽溺過程自体の機構における共通性(commonalt
y)が脳幹中に存在することを支持する相当な実験的証
拠がある。
次の実施例は本発明を例証することを意図するもので
あり、その範囲を決して限定するものではない。
実施例1 アンペロジド錠剤の製造 次の組成を持つアンペロジド錠剤を製造した。
アンペロジド塩酸 5.0 mg 乳 糖 105.5 mg 微結晶セルロース 13.0 mg ナトリウムスターチズリコレート 5.2 mg 二酸化ケイ素 0.65mg ステアリン酸マグネシウム 0.65mg コア組成物を慣用的な蔗糖剤皮で被覆して経口用錠剤
をつくった。
実施例2 ラットにおけるシアナミド誘導アルコール飲
用に対するアンペロジドの効果 前述した実験方法(Critcher E.C.及びMyers R.D.,Al
cohol 4:347〜353,1987)により一連のシアナミドの腹
腔内注射により慢性的にアルコールを飲むように誘導し
たSpraque−Dawleyラットを用いて組織内投与したアン
ペロジドの効果を試験した。食物と水の摂取及び体重増
加の測定を記録した。
アンペロジドを3日間隔で2.5mg/kg、1日2回の用量
を皮下投与した場合、アルコールの自発的消費が顕著に
変化した。アンペロジドの投与に続いて即時効果がg/kg
で示す絶対量及びアルコールの水に対する比率に現れ
た。平均摂取量g/kgは試験前水準のアルコール4.4g/kg
から1.6g/kgへ約60%減少した(Pは0.01以下)。消費
したアルコールの全液体に対する比率は同様に試験前水
準から減少した。特に重要なことは体重又はラットによ
り消費された食物と水の量における変化の点で、試験前
の水準に比べて処理期間中にアンペロジドによる著しい
影響が認められなかったという事実であり、この薬品の
作用の薬理学的特異性を示している。
特に注目されるのは、アンペロジドを肩甲骨内腔に移
植したAlzet浸透圧ミニポンプにより5mg/kg/日を7日間
にわたり定常状態用量レジメンで投与した場合、シアナ
ミド処置ラットにおけるアルコール飲用が絶対値g/kgと
アルコールの水に対する比率の両方の点で著しく減少し
たことである。アルコールの絶対摂取量に関しては、平
均摂取量g/kgがアンペロジドを供給している間、アルコ
ール7.0g/kgから3.4g/kgに減少した(Pは0.01以下)。
組織内へのアンペロジド投与に続く4日間、すなわちミ
ニポンプによる薬品供給がおわった後でも、ラットの絶
対的摂取量g/kgは抑制されていた。さらに好ましいもの
につき、アンペロジドの供給の中止後30、70、110及び1
40日間の間隔をおいて再試験したところ低下が持続して
いた。アルコール飲用に対する効果と同時に、食物の消
費並びに体重の水準はアンペロジドにより影響されなか
った。この結果はアンペロジドについて異常なアルコー
ル飲用に対する薬品の持続的作用を証明する最初のもの
であり、そして実際の化合物が依存性誘導剤への依存性
を予防し又は減少させるために有用であることを明らか
に証明している。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭55−57572(JP,A) Life Sciences,Vo l.47,No.23,p.2111−2117 (1990) Pharmacology & To xicology,Vol.66,Sup pl.1,p.8−11(1990) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 295/00 - 295/32 C07D 241/04 A61K 31/495 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式 (式中、 R1及びR2は独立してH、炭素原子1〜10の直鎖又は枝分
    かれしたアルキル鎖、炭素原子3〜8のシクロアルキ
    ル、炭素原子7〜9のアラルキル、炭素原子2〜10のア
    ルケニル、置換されていないか又はハロゲン特にF、Cl
    及びBr、炭素原子1〜5の低級アルキル、炭素原子1〜
    5の低級アルコキシから選ばれる1〜3個の基で置換さ
    れたフェニル、置換されていないか又は炭素原子1〜5
    の低級アルキル基の1又は2個で置換されたアミン、−
    CF3及び−CN基の群から選ばれる基であり、 R3、R4、R5及びR6は独立してH、炭素原子1〜3の低級
    アルキル及びフェニルから選ばれる基であり、 R7は水素、ハロゲン特にF、Cl及びBr、炭素原子1〜3
    の低級アルコキシ及び−CF3から選ばれ、そして XはO又はSである) を有するジフェニルブチル−ピペラジンカルボキサミド
    又はその生理学的に許容される塩を含む、乱用したアル
    コールに対する耽溺の結果生ずる禁断症状の軽減又は予
    防及び/又は乱用したアルコールへの依存の抑制のため
    の医薬組成物。
  2. 【請求項2】R1がメチル、エチル又はn−、イソ−又は
    シクロプロピルであり、 R2がHであり、 R3、R4、R5及びR6が水素であるか、又はR3及びR6が水素
    であり並びにR4及びR5がメチルであるか、又はR4及びR5
    が水素であり並びにR3及びR6がメチルであり、 R7が水素又はハロゲン、好ましくは各々のベンゼン環上
    の1個の置換基はFであり、そして XがOである請求項1記載の医薬組成物。
  3. 【請求項3】ジフェニルブチル−ピペラジンカルボキサ
    ミドがアンペロジド、4−〔4,4−ビス(4−フルオロ
    フェニル)ブチル〕−N−エチル−1−ピペラジンカル
    ボキサミド、又はその生理学的に許容される塩である請
    求項2記載の医薬組成物。
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