JP3219653B2 - 信号保持回路 - Google Patents

信号保持回路

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JP3219653B2
JP3219653B2 JP24333695A JP24333695A JP3219653B2 JP 3219653 B2 JP3219653 B2 JP 3219653B2 JP 24333695 A JP24333695 A JP 24333695A JP 24333695 A JP24333695 A JP 24333695A JP 3219653 B2 JP3219653 B2 JP 3219653B2
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勉 戸張
春夫 小林
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株式会社テラテック
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は被測定信号の瞬時値
をキャパシタに保持する回路に利用する。本発明はアナ
ログ・ディジタル変換器の前段回路として利用するため
に開発されたものであるが、その他の回路にも利用する
ことができる。本発明は集積回路に利用する。本発明は
バイポーラ系のモノリシックICに利用するに適する。
特に、低インピーダンスの抵抗負荷回路を用いた信号保
持回路の構成技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来からアナログ・ディジタル(以下、
ADと記す)変換器の前段回路として、AD変換を精度
良く、広帯域で高速に動作させるために、被測定信号の
瞬時値をキャパシタに保持する信号保持回路が用いられ
ている。この従来例を図6を参照して説明する。図6は
従来例の信号保持回路の構成図である。信号保持回路は
基本的に図6に示すように、入力端子INに印加された
被測定信号である入力電圧Vinをオン/オフさせるた
めのダイオードブリッジD1〜D4からなるスイッチ部
分と、このスイッチをオン/オフさせる負荷としての定
電流回路Ic1、Ic2に接続される電流スイッチ回路
Q1、Q2と、この電流スイッチ回路Q1、Q2を制御
する信号入力端子(Hold,Track)と、バイアス電流回路と
しての定電流回路Ic3と、ホールドモードのときにダ
イオードブリッジ間の電圧をクリップするためのダイオ
ードD5、D6と、入力電圧の瞬時値を保持するメモリ
としてのキャパシタChと、このキャパシタChの端子
間電圧を出力する出力バッファ回路Buoutとにより
構成される。
【0003】信号保持回路の動作は、トラックモード動
作時はNPN型バイポーラトランジスタQ1がオンし
て、ダイオードブリッジD1〜D4に定電流回路Ic1
から定電流ibが流れる。これによりダイオードブリッ
ジD1〜D4は順方向にバイアスされ、低インピーダン
スになり、信号電圧(電流)はこれらのダイオードブリ
ッジD1〜D4を通り、コンデンサChに出力(充電)
される。
【0004】定電流回路Ic1、Ic2およびNPN型
バイポーラトランジスタQ1のコレクターは、それぞれ
高インピーダンスであるから、ダイオードブリッジD1
〜D4の入力端子INのダイオードD1のカソードおよ
びダイオードD3のアノードの電圧は入力電圧Vinに
追従する。
【0005】入力電圧Vinに追従している状態では、
ダイオードD1〜D3とダイオードD2〜D4とではほ
ぼ同じ電流が流れているので、ダイオードD1、D3、
D2、D4の順方向電圧は、それぞれみなほぼ等しく、
ダイオードブリッジD1〜D4の入力端子IN(ダイオ
ードD3のアノード電圧)は出力端子OUT(ダイオー
ドD4のアノード電圧)に出力される出力電圧Vout
に等しくなる。このように、入力端子INに印加された
入力電圧Vinは、出力端子OUTから出力される出力
電圧VoutとしてコンデンサChに充電される。
【0006】ダイオードD1、D2のアノードの電圧を
Va、ダイオードD3、D4のカソードの電圧をVbと
すれば、入力電圧Vinと出力電圧Voutとはそれぞ
れ、 Vin=Vf(ib/2)3+Vb …(1) =Vf(ib/2)1−Va …(1)′ Vout=Vf(ib/2)4+Vb …(2) =Vf(ib/2)2−Va …(2)′ (ここでダイオードの順方向電圧は、 Vf(i)m=A*Vt*ln(i/is) m=1〜4(ダイオードの番号) i:ダイオードに流れる電流 is:飽和電流 Vt:Thermal Voltage A:スケールファクター と表される。)が成り立ち、(1)、(2)より、 Vout=(Vf(ib/2)4−Vf(ib/2)3)+Vin …(3) よって、ダイオードD3およびD4に流れているバイア
ス電流が等しければ、 Vf(ib/2)4=Vf(ib/2)3 となり、ダイオードD4およびD3は同じものであるの
で、 Vin=Vout になる。電圧Vbは、NPN型バイポーラトランジスタ
Q1のコレクタに接続されて高インピーダンスであり、
またもう片側はダイオードD1を介して、定電流回路I
c1に接続され、これも高インピーダンスなので、入力
電圧Vinによって定まる。電圧Vaも同様に、入力電
圧Vinによって定まる。
【0007】ホールドモード動作では、NPN型バイポ
ーラトランジスタQ1がオフし、NPN型バイポーラト
ランジスタQ2がオンするので、定電流回路Ic1の電
流ibはNPN型バイポーラトランジスタQ2を流れ、
定電流回路Ic3に流れる。定電流回路Ic3の電流2
*ibの残りの電流は、グランドからダイオードD6を
通りNPN型バイポーラトランジスタQ2に流れ、併せ
て2*ibの電流が、定電流回路Ic3に流れ込む。定
電流回路Ic2からの電流はダイオードD5を通り、グ
ランドに流れる。
【0008】これにより、ダイオードブリッジD1〜D
4にはダイオードD5〜D6の順方向電圧が印加される
のでダイオードブリッジD1〜D4は逆バイアスにな
る。これによりダイオードブリッジD1〜D4はオフ状
態になりキャパシタChは被測定信号の瞬時値を保持す
ることができる。
【0009】以上説明したように、(1)、(2)式よ
り、ダイオードブリッジD1〜D4のダイオードD3お
よびD4に同じバイアス電流が流れれば、入力電圧Vi
nと出力電圧Voutは一致する。(1)、(2)式が
成り立つには、理想的な高インピーダンスの定電流回路
Ic1、Ic2が必要になる。通常、高インピーダンス
の定電流回路Ic1、Ic2を実現するためには、PN
P型バイポーラトランジスタが用いられる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、PNP型バイ
ポーラトランジスタはNPN型バイポーラトランジスタ
と同じ工程で作ることができず、専用の工程が必要にな
る。このために、ICプロセスの工程が増える。また、
作ってもトランジスタの原理から、NPN型と同等の性
能のPNP型のバイポーラトランジスタはできず、IC
プロセスとして考えた場合にメリットが少ない。高速の
トランジスタであるHBT(Hetero Bipolar Transisto
r) のプロセスにおいては、ほとんどNPN型でPNP
型混載のHBTは現在のところあまりない。
【0011】また、定電流回路を抵抗でつくるときに、
ICプロセスでは、精度が良く、温度依存性の少ない抵
抗としてNiCrが利用されているが、シート抵抗率が
小さく、(一例としてはほぼ25オームスクエア)、高
抵抗値の抵抗を作るには、面積が大きくなり、それに伴
ってチップ面積が大きくなり、回路として高価なものに
なる。また、寄生容量、寄生インダクタンスその他の影
響が大きくなり性能を劣化させるという問題がある。
【0012】すなわち、抵抗を用いて定電流回路と等価
な負荷をつくることは難しい。そのために、電圧Vaお
よびVbの電位が入力電圧Vinで定まるのではなく、
バイアス電流と負荷抵抗の値できまり、(1)、(2)
式がなり立たなくなる。このように、定電流回路の代わ
りに抵抗を用いた低インピーダンスの抵抗負荷回路を用
いた信号保持回路では出力電圧Voutは入力電圧Vi
nに一致しなくなる欠点がある。
【0013】ダイオードブリッジをオンオフする電流ス
イッチの負荷としてPNP型バイポーラトランジスタを
用いた定電流回路の代わりに抵抗を用いた低インピーダ
ンスの抵抗負荷回路を用いた信号保持回路の一例を図7
に示す。図7は、その他の従来例を示す構成図である。
この構成は、図6に示した定電流回路Ic1およびIc
2の代わりに負荷抵抗R1、R2による抵抗負荷回路を
用いている。それぞれ抵抗値は“R”である。NPN型
バイポーラトランジスタQ1の負荷抵抗R1にはダイオ
ードブリッジDB1と同等のダイオードブリッジDB2
をシリーズに接続して電圧Vccに接続している。
【0014】トラックモード動作時は、NPN型バイポ
ーラトランジスタQ1がオンして、バイアス電流は負荷
抵抗R2およびダイオードブリッジDB1を流れるもの
と、ダイオードブリッジDB2および負荷抵抗R1を流
れるものとがある。電流スイッチとしてのNPN型バイ
ポーラトランジスタQ1、Q2には、バイアス電流回路
I1が接続されている。バイアス電流回路I1のバイア
ス電流は2*iである。
【0015】このときの入力電圧Vinと出力電圧Vo
utの関係は低周波では下記に示すように表される。前
提として、被測定信号源から電流が流れない(iin=
0)とすると、ダイオードブリッジDB2+負荷抵抗R
1の抵抗値およびダイオードブリッジDB1+負荷抵抗
R2の特性は等価であるので、それぞれ等しい電流i=
i1=i2が流れ、また、ダイオードD1〜D3および
ダイオードD2〜D4の特性も等価であるので、流れる
電流はi/2になる。 (Vcc−i*R−Vb)=Vf(i/2)1+Vf(i/2)3…(4) (D1〜D3) (Vcc−i*R−Vb)=Vf(i/2)2+Vf(i/2)4…(5) (D2〜D4) Va=Vcc−i*R …(6) Vin=(Va−Vb)/2 …(7) が成り立つ。ここで、(4)、(6)式を(7)式に代
入すれば、 Vin=(Vf(i/2)1+Vf(i/2)3)/2 となり入力電圧Vinはバイアス電流に依存することに
なる。バイアス電流は一定であるので、入力電圧Vin
は固定されてしまう。
【0016】しかし実際には、最初の前提が不充分で被
測定信号源からバイアス電流が流れ込む。この場合の入
力と出力との関係は、図7に示す電流i1、i2、ii
nを用いて、 (Vcc−i*R−Vb)=Vf(i1)1+Vf(i1+iin)3 …(4)′(D1〜D3) (Vcc−i*R−Vb)=Vf(i2)+Vf(i2)4 …(5)′(D2〜D4) Vin=Vf(i1+iin)d3+Vb …(8) Vout=Vf(i2)d4+Vb …(9) のように近似して表すことができる。
【0017】(8)、(9)式から、ダイオードD3、
D4は同じなので Vout=Vf(i2)−Vf(i1+iin)+Vin …(10) となるが、i1+iinとi2は常に等しくないので
(3)式のように、出力電圧Voutは入力電圧Vin
と等しくはならなくなる。このように、負荷抵抗R1、
R2による抵抗負荷回路構成の信号保持回路では、被測
定信号源電圧によって、ダイオードブリッジDB1を構
成するダイオードD1〜D4に流れる電流がそれぞれ等
しくならず、(4)′、(5)′、(8)、(9)式が
成り立つように、ダイオードD1〜D4に流れる電流が
変化する。それによって、それぞれのダイオードD1〜
D4の順方向電圧が異なり、(10)式より入力電圧V
inが出力電圧Voutに一致しなくなるという欠点が
ある。また、逆に、被測定信号源側にバイアス電流が流
れ込むことにより、被測定信号源側に影響を与えるとい
う欠点もある。
【0018】本発明は、このような背景に行われたもの
であり、PNP型バイポーラトランジスタからなる定電
流回路の代わりに負荷抵抗による低インピーダンスの抵
抗負荷回路を用いて構成することができる信号保持回路
を提供することを目的とする。本発明は、入力のダイナ
ミックレンジを広くとることができる信号保持回路を提
供することを目的とする。本発明は、高周波動作を行う
ことができる信号保持回路を提供することを目的とす
る。本発明は、モノリシックIC化に適する信号保持回
路を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】被測定信号源からの電流
の影響がなければ、ダイオードブリッジのそれぞれのダ
イオードに流れるバイアス電流は等しくなる。よって、
入力電圧を利用して、差動ペアからなる電流スイッチの
バイアス電流回路の電流を調整することにより、被測定
信号源の電圧と、差動ペアからなる電流スイッチのバイ
アス電流値から定まるダイオードブリッジの入力側の電
圧とを常に等しくすることができる。したがって、入力
電圧Vinおよび出力電圧Voutを等しくすることが
できる。
【0020】すなわち、本発明は、被測定信号源が接続
される入力端子(IN)と、この入力端子に印加された
電圧値を操作入力にしたがって出力するスイッチ回路
(SW)と、このスイッチ回路の出力電圧値を保持する
保持回路(Ch)と、前記スイッチ回路にバイアス電流
を与えるバイアス電流回路(Ib)とを備えた信号保持
回路である。
【0021】ここで、本発明の特徴とするところは、前
記バイアス電流回路(Ib)と並列に接続され、前記入
力端子(IN)の電圧により前記スイッチ回路(SW)
の入力側電圧と出力側電圧とが等しくなるように前記バ
イアス電流を加減制御するバイアス電流調節回路(Ad
j)が設けられたところにある。
【0022】これにより、被測定信号源の影響により入
力端子に流れる電流が発生したときには、この電流によ
る影響を相殺するようにバイアス電流が調節されるの
で、スイッチ回路の入力側電圧と出力側電圧とを等しく
することができる。
【0023】前記スイッチ回路(SW)はダイオードブ
リッジ回路を含み、入力側電圧はそのダイオードブリッ
ジの一方の腕の中点に接続され、出力側電圧はそのダイ
オードブリッジの他方の腕の中点に接続されることが望
ましい。
【0024】この場合には、バイアス電流調節回路は、
入力側電圧が接続される一方のダイオードブリッジの腕
に流れる電流値と、出力側電圧が接続される他方のダイ
オードブリッジの腕に流れる電流値とが等しくなるよう
にバイアス電流を調節することによりスイッチ回路の入
力側電圧と出力側電圧とを等しくする。
【0025】前記スイッチ回路は、標本化点まで閉成状
態を維持するトラックホールド型であることができる。
【0026】すなわち、前記スイッチ回路の入力側電圧
は、被測定信号の電圧の変化に追従して変化し、標本化
点でその電圧値を保持するように構成することができ
る。標本化点の設定は、外部からの操作入力によって行
うことができる。
【0027】前記スイッチ回路は、標本化点で一時的に
閉成されるサンプルホールド型であることができる。
【0028】すなわち、前記スイッチ回路の入力側電圧
は、標本化点以外ではあらかじめ設定された原点電圧に
固定されており、標本化点で被測定信号の電圧値を保持
するように構成することができる。標本化点の設定は、
外部からの操作入力によって行うことができる。
【0029】前記バイアス電流調節回路(Adj)は、
前記入力端子(IN)の電圧を入力する反転バッファ回
路(Bu)と、この反転バッファ回路の出力を入力とす
る電流制御回路とを備えることが望ましい。
【0030】入力端子の電圧を反転した電圧を電流制御
回路に与えることにより、バイアス電流調節回路は、ネ
ガティブフィードバックによる制御を行うことができ
る。
【0031】この信号保持回路を正負入力について一対
備えた差動型信号保持回路として構成することもでき
る。
【0032】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図1および
図2を参照して説明する。図1は本発明実施例回路の概
念的な構成図である。図2は本発明実施例回路の具体的
な構成図である。
【0033】本発明は、被測定信号源が接続される入力
端子INと、この入力端子INに印加された入力電圧V
inの値を操作入力にしたがって出力するスイッチ回路
SWと、このスイッチ回路SWの出力電圧値を保持する
保持回路としてのコンデンサChと、スイッチ回路SW
にバイアス電流を与えるバイアス電流回路Ibとを備え
た信号保持回路である。
【0034】ここで、本発明の特徴とするところは、バ
イアス電流回路Ibと並列に接続され、入力端子INの
電圧によりスイッチ回路SWの入力側電圧と出力側電圧
とが等しくなるように前記バイアス電流を加減制御する
バイアス電流調節回路Adjが設けられたところにあ
る。
【0035】スイッチ回路SWはダイオードブリッジD
1〜D4を含み、入力側電圧はそのダイオードブリッジ
D1〜D4の一方の腕の中点に、エミッタフォロアのバ
ッファ回路を構成するNPN型バイポーラトランジスタ
Q1を介して接続され、出力側電圧はそのダイオードブ
リッジD1〜D4の他方の腕の中点に接続されている。
【0036】スイッチ回路SWは、標本化点まで閉成状
態を維持するトラックホールド型である。あるいは、ス
イッチ回路SWは、標本化点で一時的に閉成されるサン
プルホールド型であるようにしてもよい。
【0037】バイアス電流調節回路Adjは、入力端子
INの電圧を入力する反転バッファ回路Buと、この反
転バッファ回路Buの出力を入力とする電流制御回路と
してのNPN型バイポーラトランジスタQ7とを備えて
いる。
【0038】本発明実施例では、この信号保持回路を正
負入力について一対備えた差動入力型信号保持回路とし
て実施している。
【0039】
【実施例】本発明実施例を説明する。ここでは、差動構
成の信号保持回路を例にして説明するが、シングルエン
ドでも実現することができる。ただし、シングルエンド
にした場合には、入力電圧を反転する手段が別に必要に
なる。
【0040】図2に示す信号保持回路は、差動構成であ
り、対称構成なので、反転入力回路部は非反転入力回路
部分の符号に“100”を足すことにより表すことにす
る。被測定信号である入力電圧VinはNPN型バイポ
ーラトランジスタQ1とバイアス電流回路I1からなる
エミッタフォロアバッファを介し、スイッチ回路SWの
ダイオードブリッジD1〜D4のダイオードD1のカソ
ードとダイオードD3のアノードに供給される。上記の
エミッタフォロアバッファは入力と出力との間にほぼ一
定のVbeのオフセット電圧が生じるが、ここでは、説
明をわかりやすくするために、オフセットのないバッフ
ァとして以降扱う。また、ダイオードブリッジD1〜D
4は、NPN型バイポーラトランジスタQ2およびQ3
からなる差動形式の電流スイッチに接続されている。
【0041】この電流スイッチのNPN型バイポーラト
ランジスタQ2およびQ3のベースにはそれぞれ、トラ
ックモード、ホールドモードの制御信号が加わる。NP
N型バイポーラトランジスタQ2のコレクタはダイオー
ドD3およびD4のカソード部分と負荷抵抗R2に接続
されている。負荷抵抗R2はさらに、ダイオードD7お
よびダイオードD8のカソードに接続され、それぞれの
ダイオードD7のアノードはD5のカソードに、ダイオ
ードD8のアノードはD6のカソードに接続され、ダイ
オードD5およびD6のアノードはそれぞれ、電圧Vc
cに接続されている。ダイオードD3およびD4のアノ
ードはそれぞれダイオードD1およびD2のカソードを
介し負荷抵抗R3に接続されている。
【0042】ダイオードブリッジD5〜D8はダイオー
ドブリッジD1〜D4に使用されているダイオードD1
〜D4と同じダイオードD5〜D8により構成され、N
PN型バイポーラトランジスタQ3のコレクタはダイオ
ードブリッジD1〜D4のダイオードD1およびD2の
アノードと負荷抵抗R3にそれぞれ接続されている。負
荷抵抗R3は電圧Vccに接続されている。
【0043】ダイオードブリッジD1〜D4のダイオー
ドD2のカソードとダイオードD4のアノードはコンデ
ンサChに接続されているとともに、NPN型バイポー
ラトランジスタQ4とバイアス電流回路I3からなるエ
ミッタフォロアバッファに接続されている。さらに高イ
ンピーダンス化のために、NPN型バイポーラトランジ
スタQ4のエミッタから、NPN型バイポーラトランジ
スタQ5およびバイアス電流回路I4からなるエミッタ
フォロアバッファに接続されて出力される。
【0044】電流スイッチQ2、Q3のコレクタにはそ
れぞれ、ホールド時にダイオードブリッジD1〜D4を
オフするためのダイオードD9およびD10が接続され
ている。ダイオードD9のアノードはNPN型バイポー
ラトランジスタQ2のコレクタに、ダイオードD9のカ
ソードはグランドに、ダイオードD10のアノードはグ
ランドに、カソードはNPN型バイポーラトランジスタ
Q3のコレクタに接続されている。しかし、このダイオ
ードD9およびD10は従来例の図7により示した構成
と同様にして省略することもできる。ホールドモード時
にダイオードブリッジD1〜D4の電圧値を一定の原点
電圧に安定させておくために用いるものである。
【0045】ダイオードブリッジD1〜D4をオンオフ
する電流スイッチQ2、Q3の共通のエミッタにはバイ
アスのバイアス電流回路I2および本発明に関するバイ
アス電流を調整するバイアス電流調節回路Adjが接続
されている。
【0046】バイアス電流調節回路Adjは、入力電圧
Vinを反転させて、反転入力電圧Vinnを出力する
反転バッファ回路Buと、NPN型バイポーラトランジ
スタQ6およびバイアス電流回路I5からなるバッファ
回路とこのバッファ回路からの出力を減衰するための負
荷抵抗Raおよび負荷抵抗Rbからなる減衰器に接続さ
れている。減衰器からの出力はNPN型バイポーラトラ
ンジスタQ7のベースに入力される。NPN型バイポー
ラトランジスタQ7には負荷抵抗Rcが接続され、負荷
抵抗Rcは電圧Veeに接続されている。NPN型バイ
ポーラトランジスタQ6には、入力を反転させた反転入
力電圧Vinnが加えられる。
【0047】トラックモードでの動作はNPN型バイポ
ーラトランジスタQ2およびQ3に制御信号が加えら
れ、NPN型バイポーラトランジスタQ2がオンしてN
PN型バイポーラトランジスタQ3がオフ状態になる。
このときバイアス電流回路I2の電流はNPN型バイポ
ーラトランジスタQ2だけに流れる。
【0048】NPN型バイポーラトランジスタQ2を流
れるバイアス電流は、被測定信号源から流れ込む電流を
無視すれば、ダイオードブリッジD5〜D8から負荷抵
抗R2を流れる電流と負荷抵抗R3からダイオードブリ
ッジD1〜D4を流れる電流の和になる。
【0049】入力電圧VinとダイオードブリッジD1
〜D4の入力側腕の電圧が一致したとき、信号電流は流
れないので、ダイオードD1、D2、D3、D4をそれ
ぞれ同じバイアス電流が流れるので、ダイオードブリッ
ジD1〜D4の入力側腕の電圧とバイアス電流との関係
は、 Vcc−R*i−Vf(ib/2)d1=Vin(バイアス電流はib) …(11) になる。入力がVin−ΔVに変化したときは(11)
式から、電流を Δi=ΔV/(R/2) …(12) だけバイアス電流を増やせば、入力端子INの入力電圧
VinとダイオードブリッジD1〜D4の入力側腕の電
圧がほぼ一致する。ここで、一般にダイオードの飽和領
域での内部抵抗の値は負荷抵抗Rに比べて充分に小さい
ので、 Vf((i+Δi)/2)d1 は Vf(i/2)d1 と近似している。このように、(11)式で表されたよ
うに、入力電圧Vinに比例する量を変えることができ
れば、入力電圧Vinとバイアス電流から定まるダイオ
ードブリッジD1〜D4の入力側腕の電圧が一致するの
で、入力端子INに電流が流れないので、ダイオードブ
リッジD1〜D4の入力側腕のダイオードD1およびD
3と、出力側腕のダイオードD2およびD4とに流れる
バイアス電流を常にほぼ一定にすることができる。
【0050】本発明の特徴であるバイアス電流調節回路
Adjにかかわる回路の動作は、NPN型バイポーラト
ランジスタQ6とバイアス電流回路I5からなるバッフ
ァに入力電圧Vinの反転入力電圧Vinnを供給する
と、入力に対して電圧Vbeだけオフセットされた電圧
が出力される。この出力は負荷抵抗Raと負荷抵抗Rb
からなる抵抗減衰器により、Rb/(Ra+Rb)だけ
減衰され、NPN型バイポーラトランジスタQ7に加え
られる。この電圧によりNPN型バイポーラトランジス
タQ7に流れる電流icomは、 icom= (1/Rc)*[〔Rb/(Ra+Rb)〕* (Vinn−Vbe1+Vee)+Vee−Vbe2]= [Rb/〔Rc*(Ra+Rb)〕]*Vinn −[〔Rb/(Rc*(Ra+Rb))〕*(Vbe1−Vee) +Vbe2−Vee] =α*Vinn+β …(13) となる。電圧Vbe1およびVbe2はそれぞれNPN
型バイポーラトランジスタQ6およびQ7のベース・エ
ミッタ間電圧である。ここで、反転入力電圧Vinnが
0Vのときにバイアス電流を β+2*ib とし、(11)式を成り立たせる電圧Vccを選び、
(12)式の関係を満たせば、バイアス電流により定ま
るダイオードブリッジD1〜D4の入力側腕の電圧は入
力電圧Vinにほぼ等しくなるので、バイアス電流を Δi=ΔV/(R/2) …(12) α=2/R …(14) (ここで負荷抵抗R2、R3の抵抗値をRとした)の関
係を満足する負荷抵抗Ra、Rb、Rcを組み合わせる
ことにより設定すればよい。(13)式より、好適な値
の組み合わせとしては、 R=200Ω Ra、Rb=100Ω Rc=50Ω である。このように電流スイッチQ2、Q3のバイアス
電流にこの電流icomを加えることにより、バイアス
電流により定まるダイオードブリッジD1〜D4の入力
側腕の電圧は入力電圧Vinにほぼ等しくなり、入力端
子INに被測定信号源の影響による電流は流れないの
で、ダイオードブリッジD1〜D4の入力側腕のダイオ
ードD1およびD3と、出力側腕のダイオードD2およ
びD4とにはほぼ等しいバイアス電流が流れる。また、
ホールドモード動作では、NPN型バイポーラトランジ
スタQ2がオフし、NPN型バイポーラトランジスタQ
3がオンするので、バイアス電流はダイオードブリッジ
D1〜D4ではなく、ダイオードD9〜D10を流れ
る。
【0051】これにより、ダイオードブリッジD1〜D
4にはダイオードD9〜D10の逆電圧が印加されるの
でダイオードブリッジD1〜D4はオフ状態になりキャ
パシタChは被測定信号の瞬時値を保持する。反転入力
部の信号保持回路は上記に説明した非反転の信号保持回
路と同等であり同様に動作する。異なる点は信号保持回
路の入力と本発明に関わるバイアスを調整する回路の入
力がそれぞれ反転入力、非反転入力になる点である。
【0052】本発明によれば、入力電圧Vinにより、
電流スイッチQ2、Q3のバイアス電流を調整すること
で、入力端子INに被測定信号源の影響による電流が流
れないので、ダイオードブリッジD1〜D4の各ダイオ
ードD1、D2、D3、D4のバイアス電流が等しくな
る。図3はダイオードブリッジD1〜D4を構成する各
ダイオードD1、D2、D3、D4のバイアス電流と入
力電圧Vinとの関係を示す図である。横軸に入力電圧
Vinをとり、縦軸にバイアス電流をとる。図3に示す
ように、従来回路に比較してダイオードブリッジD1〜
D4を構成する各ダイオードD1、D2、D3、D4の
バイアス電流は等しくなる。そのためダイオードブリッ
ジD1〜D4の各ダイオードD1、D2、D3、D4の
順方向電圧が等しくなり、出力電圧Voutを入力電圧
Vinに一致させることができる。図4は入力電圧Vi
nと出力電圧Voutとの関係を示す図である。横軸に
入力電圧Vinをとり、縦軸に出力電圧Voutをと
る。図4に示すように、出力電圧Voutを入力電圧V
inに一致させることができる。
【0053】また、逆に、被測定信号源にバイアス電流
が流れ込み、ダイオードD3のバイアス電流が少なくな
り飽和することもなくなり、入力のダイナミックレンジ
も広くなる。さらに、個々のダイオードD1、D2、D
3、D4に同じようにバイアス電流が分配されるので、
良好な高周波動作が期待できる。
【0054】図5は高周波動作のシミュレーション結果
を示す図であり、横軸に時間をとり、縦軸に出力電圧V
outをとる。図5(a)は、50MHzの正弦波を約
300MHzでサンプリングしたときの出力電圧Vou
tの波形を示し、図5(b)は、500MHzの正弦波
を約3GHzでサンプリングしたときの出力電圧Vou
tの波形を示す。図5(a)に示すように、50MHz
の正弦波を約300MHzでサンプリングしたときの従
来回路と本発明回路とのホールド特性の差異と、図5
(b)に示すように、500MHzの正弦波を約3GH
zでサンプリングする高サンプリングを行ったときの従
来回路と本発明回路とのホールド特性の差異とを比較す
ると、50MHzの正弦波を約300MHzでサンプリ
ングしたときに比べて、500MHzの正弦波を約3G
Hzでサンプリングしたときは、従来回路のホールド特
性は著しく劣化するが、本発明回路は入力信号に追従し
て、良好な高周波動作を行うことがわかる。
【0055】このように、定電流回路の代わりに負荷抵
抗による低インピーダンスの抵抗負荷回路が利用出来る
のでPNP型バイポーラトランジスタが必要なくなり、
特に、バイポーラ系のNPNプロセスのみによるモノリ
シックICにおいて、理想的な高インピーダンスの定電
流回路を用いた信号保持回路と同等の回路を簡単に実現
することができる。
【0056】ここでは、トラック・ホールド回路として
の信号保持回路として本発明を説明したが、サンプル・
ホールド回路として本発明を適用することもできる。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
信号保持回路を定電流回路の代わりに負荷抵抗による低
インピーダンスの抵抗負荷回路を用いて構成することが
できる。このとき本発明によれば、入力のダイナミック
レンジを広くとることができるとともに、高周波動作を
行うことができる。したがって、本発明の信号保持回路
は、モノリシックIC化に適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示すブロック構成図。
【図2】本発明実施例の信号保持回路の構成図。
【図3】ダイオードブリッジを構成する各ダイオードの
バイアス電流と入力電圧との関係を示す図。
【図4】入力電圧と出力電圧との関係を示す図。
【図5】高周波動作のシミュレーション結果を示す図。
【図6】従来例の信号保持回路の構成図。
【図7】その他の従来例を示す構成図。
【符号の説明】
Adj バイアス電流調節回路 Bu 反転バッファ回路 Buout 出力バッファ回路 Ch コンデンサ D1〜D10、D101〜D110 ダイオード DB1、DB2、D1〜D4、D5〜D8、D101〜
D104、D105〜D 108 ダイオードブリッジ Hold ホールド信号入力端子 I1〜I5、I101〜I105、Ib バイアス電流
回路 Ic1〜Ic3 定電流回路 IN 入力端子 OUT 出力端子 Q1〜Q9、Q101〜Q109 NPN型バイポーラ
トランジスタ R1〜R3、Ra、Rb、Rc 負荷抵抗 SW スイッチ回路 Track トラック信号入力端子 Va、Vb、Vcc、Vee 電圧 Vin 入力電圧 Vinn 反転入力電圧 Vout 出力電圧
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11C 27/02 G06F 3/05 H03M 1/12

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被測定信号源が接続される入力端子(I
    N)と、この入力端子に印加された電圧値を操作入力に
    したがって出力するスイッチ回路(SW)と、このスイ
    ッチ回路の出力電圧値を保持する保持回路(Ch)と、
    前記スイッチ回路にバイアス電流を与えるバイアス電流
    回路(Ib)とを備え 前記スイッチ回路は、前記入力側電圧がダイオードブリ
    ッジ回路を介してコレクタに入力され前記操作入力がベ
    ースに入力される差動バイポーラトランジスタ対(Q
    1,Q2)を含む 信号保持回路において、 前記バイアス電流回路(Ib)と並列に接続され、前記
    入力端子(IN)の電圧により前記スイッチ回路(S
    W)の入力側電圧と出力側電圧とが等しくなるように前
    記バイアス電流を加減制御するバイアス電流調節回路
    (Adj)が設けられ 前記バイアス電流調節回路は、前記差動バイポーラトラ
    ンジスタ対の共通エミッタに接続された ことを特徴とす
    る信号保持回路。
  2. 【請求項2】 入力側電圧は前記ダイオードブリッジの
    一方の腕の中点に接続され、出力側電圧はそのダイオー
    ドブリッジの他方の腕の中点に接続された請求項1記載
    の信号保持回路。
  3. 【請求項3】 前記スイッチ回路は、標本化点まで閉成
    状態を維持するトラックホールド型である請求項1また
    は2記載の信号保持回路。
  4. 【請求項4】 前記スイッチ回路は、標本化点で一時的
    に閉成されるサンプルホールド型である請求項1または
    2記載の信号保持回路。
  5. 【請求項5】 前記バイアス電流調節回路(Adj)
    は、前記入力端子(IN)の電圧を入力する反転バッフ
    ァ回路(Bu)と、この反転バッファ回路の出力を入力
    とする電流制御回路とを備えた請求項1ないし4のいず
    れかに記載の信号保持回路。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかに記載の信
    号保持回路を正負入力について一対備えた差動入力型信
    号保持回路。
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