JP3219614B2 - 車両用充電発電機の回転子のバランス調整方法 - Google Patents

車両用充電発電機の回転子のバランス調整方法

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JP3219614B2 JP28882894A JP28882894A JP3219614B2 JP 3219614 B2 JP3219614 B2 JP 3219614B2 JP 28882894 A JP28882894 A JP 28882894A JP 28882894 A JP28882894 A JP 28882894A JP 3219614 B2 JP3219614 B2 JP 3219614B2
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泰弘 吉田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、車両等の機関に取付
けられる車両用充電発電機において、その回転子のアン
バランス修正時の加工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図8は例えば実開昭61−25344号
公報に示された従来の車両用充電発電機の断面図を示す
もので、図において、1は発電機のリヤブラケットで、
1aは外気の吸気孔、1bは排気孔である。2はレクチ
ファイヤ、3はレギュレータ3aを有するブラシホル
ダ、4は結合された1対のポール4a,4aからなる回
転子で、回転軸5に固着されている。4bは両ポール4
a,4aの内側に収められているコイルフィールド、4
cは図9にも示すように両ポール4a,4aの各々の外
周縁に設けられた複数の台形状の爪部で、交互に噛合っ
た状態で組込まれている。4d,4eはポール4a,4
aの側面にそれぞれ取付けられている遠心ファンであ
る。4f,4g(図9の斜線部)は回転子4のアンバラ
ンス修正の為に削除した切削部分である。t,t
はポール4aの各部の肉厚寸法で、t(ポールの
側面部肉厚),t(ポールの肩部肉厚),t(ポー
ルの爪部肉厚)の寸法であり、特にtはアンバランス
修正の為に削除した切削部分4f,4gのポール肩部の
肉厚寸法である。6は回転子4の外周部に配置された固
定子で、コア6aとコイル6bからなっている。7は発
電機のフロントブラケットで、7aは外気の吸気孔、7
bは排気孔である。8a,8bは回転軸5を支承する軸
受である。
【0003】次に動作について説明する。回転子4は固
定子6の内周面上を空隙を介して高速で回転し、回転子
4の発生する起磁力と、空隙部の磁束変化により、固定
子6のコイル6bに電気が発生する。この時、回転子4
のポール4aの上記肉厚t,t,tが出来るだけ
均等になるように設定されていると、磁気抵抗が少なく
なり、回転子4の発生起磁力の損失が少なく、従って固
定子6のコイル6bに発生する電気量も多く得ることが
可能となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の充電用発電機は
以上のように構成されているので、回転子4のアンバラ
ンス修正の為に除去加工された切削部の形状は、加工用
刃物の汎用性、加工機の簡素化等の目的から、図9に示
すように、回転軸5に対して垂直方向Aに刃物が動いて
切削され、図のように、回転子4のポール4aの肉厚t
がt,tに比べて薄くなって不均一となる為、磁
気抵抗が発生し、発電量の低下が増大するという問題が
あった。また、強度的な面においても、上記の薄肉部が
弱くなり、高速回転時での爪部4cの変形量が増加し
て、固定子6と接触し、回転に支障をきたす問題があっ
た。
【0005】この発明は上記のような問題点を解消する
ためになされたものであり、回転子のアンバランス修正
時の切削部において、上記ポールの肉厚が出来るだけ薄
肉にならないように、加工方向を変更することにより、
発電量の低下を防止する(或いは減少させる)こと、及
び高速回転時のポール強度低下を防止(或いは減少させ
る)することを目的としており、さらにこの発明によれ
ば、従来の製造方法の変更が不要となり、設備投資が不
要な改善案を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る車両用充
電発電機の回転子のバランス調整方法は、ポールの両肩
部のR形状部を回転軸に対して角度をもたせてテーパ状
に切削することで、ポールの肉厚寸法t,t,t
がt≒t≒tとなるようにしたものである。
【0007】請求項3に係る車両用充電発電機の回転子
のバランス調整方法は、ポールの両肩部の形状がテーパ
状に形成されているものに対して、上記テーパ面とほぼ
平行に切削することで、ポールの肉厚寸法t,t
がt≒t≒tとなるようにしたものである。
【0008】請求項5に係る車両用充電発電機の回転子
のバランス調整方法は、上記切削テーパ面の一部に軸方
向に平行なフラット部を設けたものである。
【0009】
【作用】この発明においては、ポールの切削加工が円滑
に行われるとともに、切削部のポール肩部肉厚が薄肉と
なりにくいので、発電量の低下を防止或いは減少させる
ことができる。
【0010】
【実施例】
実施例1.以下、この発明の一実施例を図について説明
する。図1は本発明の車両用充電発電機を示す全体の断
面図、図2はその回転子4部分を示す断面図である。図
において、従来技術と同一部分については同一符号で示
すものとする。なお図中、4h,4iの斜線部分は回転
子4のアンバランス修正のために削除した切削部分であ
る。t,t,tは上述した通りのポール4aの外
周部の肉厚寸法で、特にtはアンバランス修正の為に
削除した削除部分4h,4iの肩部の肉厚寸法である。
ここで、図3は上記回転子のアンバランス修正の為に削
除する切削部分の製造方法の一例を示す図であり、図に
おいて、40はほぼ40°〜50°の角度のテーパ歯面
41を有する切削刃物(フライスカッター)である。こ
の切削刃物40を用いて図2のものを切削することで、
回転子4のアンバランス修正された後の切削部の形状
は、回転軸5に対して従来のように垂直方向ではなく、
4hのように斜め方向にほぼ40°〜50°に切削され
ている。なお本実施例においては、回転子4のポール4
aの切削前の形状は、R形状をしているタイプの例を示
している。
【0011】次に動作について説明する。充電発電機の
発電メカニズムは従来と同一であるが、回転子4のアン
バランス修正時の加工方向を軸に対して斜め方向(ほぼ
40°〜50°)に切削することで、削除部分4h,4
iのポール肉厚tはt≒t≒tとすることが出
来、t,t,tの各肉厚がほぼ均一となるので、
磁気抵抗増加がなく、従って発電量の低下を防止するこ
とが出来る。この点、従来例では、上記切削部のポール
肉厚tは、t<t≒tとなっているので、磁気
抵抗増加に伴う発電量低下の問題となっていた。
【0012】また、上記の斜め方向への切削方法につい
ては、図3に示す通り、刃物40の歯面41の形状が約
40°〜50°の角度を成しており、従来の加工設備の
ままで、刃物交換を行うだけで、切削加工することが可
能である。
【0013】実施例2.図2では切削前のポール形状が
R面になっているものを示したが、図4の例は、はじめ
からポール素材の肩部がほぼ40°〜50°のテーパ形
状をなしているタイプでの他の実施例で、回転子4のア
ンバランス修正された後の切削部形状は、回転軸5に対
して斜め方向(ほぼ40°〜50°)に切り込んで切削
されている。即ち、このものは、ポール4aの切削前の
テーパ形状にほぼ平行な角度で切削加工することで、切
削部4f,4gのポール肉厚tをt≒t≒t
修正加工したものであり、上記実施例1と同等の効果が
得られる。
【0014】実施例3.また、図5は回転子4のポール
4aの切削前形状が20°〜30°のテーパ形状を成し
ているタイプでの他の実施例で、回転子4のアンバラン
ス修正された後の切削部形状は回転軸5に対して斜め方
向(ほぼ20°〜30°)に切削されている。この実施
例においても、ポール4aの切削前のテーパ形状にほぼ
平行な角度で切削することで、切削部分4f,4gのポ
ール肉厚tをt≒t≒tとすることが出来、上
記実施例1と同等の効果が得られる。なお、上記実施例
において軸に対する切削角度を40°〜50°または2
0°〜30°としたのは、この角度が回転子4の高速回
転時の騒音量が少ないことと、出力の低下が少ないこと
などの総合的なメリットによる。
【0015】実施例4.図6は回転子4のポール4aの
切削前形状がR形状またはテーパ形状のものにおいて、
アンバランス修正加工後の切削部形状は上記同様テーパ
形状となっているが、その一部にフラット部4j,4k
を設けた他の形状を示すもので、上記実施例と同等の効
果が得られるとともに、上記フラット部4j,4kを設
けることにより、このフラット部を切り込みの基準面と
することで切削の切込量の検出が容易となり、より高精
度なアンバランス修正が可能となる。
【0016】実施例5.図7は上記実施例4についてテ
ーパ切削形状におけるフラット部4j,4kの径位置が
異なる他の実施例で、上記実施例4と同等の効果が得ら
れる。
【0017】
【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、回転子
のアンバランス修正時のポール切削方向を軸に対して傾
斜角度をもたせ、またポール切削前形状とほぼ平行に切
削することで、切削後のポール肉厚t,t,t
ほぼ均一とするようにしたもので、容易かつ効率的な切
削加工方法で、磁気抵抗増加がなく、発電量の低下を防
止し得るすぐれた充電発電機が得られる効果がある。
【0018】更にこの発明によれば、従来の製造方法の
変更が不要で、刃物形状の変更のみで対応可能となるの
で、新たな設備投資が不要であり、結果として安価で高
性能な充電発電機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施例1を示す車両用充電発電機
全体の断面図である。
【図2】 図1の回転子の断面図である。
【図3】 この発明の実施例1のアンバランス修正の具
体例を示す断面図である。
【図4】 この発明の実施例2を示す回転子の断面図で
ある。
【図5】 この発明の実施例3を示す回転子の断面図で
ある。
【図6】 この発明の実施例4を示す回転子の断面図で
ある。
【図7】 この発明の実施例5を示す回転子の断面図で
ある。
【図8】 従来例の車両用充電発電機全体を示す断面図
である。
【図9】 図8における回転子の断面図で、切削加工方
法の説明図である。
【符号の説明】
4 回転子、4a ポール、4c 爪部、4f,4g
切削部分、4h,4i削除部分、4j,4k フラット
部、5 回転軸、6 回転子、40 切削刃物、t
ポールの側面部肉厚、t ポールの肩部肉厚、t
ポールの爪部肉厚。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02K 15/16 H02K 19/22

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外周に一対の交互に噛合った複数個の爪
    を有し回転軸上に固着されたポールと、このポールの内
    側に巻装された励磁コイルを有する回転子、およびこの
    回転子の外周部に該回転子と対向させて配置した固定子
    を有する車両用充電発電機であって、上記ポールの両側
    肩部の形状がR形状をなす回転子のアンバランス修正加
    工において、上記R形状部を、上記回転軸に対して斜め
    の角度をつけたテーパ状に切削することで、t(ポー
    ルの側面部肉厚),t(ポールの肩部肉厚),t
    (ポールの爪部肉厚)の寸法がほぼ等しくなるように
    したことを特徴とする車両用充電発電機の回転子のバラ
    ンス調整方法。
  2. 【請求項2】 上記回転軸に対する角度は、ほぼ40°
    〜50°である請求項1記載の車両用充電発電機の回転
    子のバランス調整方法。
  3. 【請求項3】 外周に一対の交互に噛合った複数個の爪
    を有し回転軸上に固着されたポールと、このポールの内
    側に巻装された励磁コイルを有する回転子、およびこの
    回転子の外周部に該回転子と対向させて配置した固定子
    を有する車両用充電発電機であって、上記ポールの肩部
    がテーパ形状をなす回転子のアンバランス修正加工にお
    いて、上記テーパ面に対してほぼ平行な角度で切削する
    ことで、t(ポールの側面部肉厚),t(ポールの
    肩部肉厚),t(ポールの爪部肉厚)の寸法がほぼ等
    しくなるようにしたことを特徴とする車両用充電発電機
    の回転子のバランス調整方法。
  4. 【請求項4】 上記テーパ面は軸に対してほぼ20°〜
    50°である請求項3記載の車両用充電発電機の回転子
    のバランス調整方法。
  5. 【請求項5】 回転子のアンバランス修正の切削形状に
    おいて、その一部分に軸方向に平行なフラット部を有す
    るテーパ形状としたことを特徴とする請求項1乃至4の
    いずれかに記載の車両用充電発電機の回転子のバランス
    調整方法。
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