JP3219393U - 中掘り杭工法用雇い杭 - Google Patents
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Abstract
【課題】基礎杭が掘削ビットと同方向に供回りしても、杭頭部に装着された係合突出部とキャップとの係合が外れず、掘削孔の下端まで落下してしまうことのない中堀り杭工法用雇い杭を提供する。
【解決手段】杭頭部に装着された係合突出部15に対し、キャップ3に装着したL型部材4の係止部6と係合することで基礎杭14をキャップ3を介して吊下げ支持するとともに、L型部材4の係止部6にあって立ち上がり部5と反対側の端部6Aに、キャップ3の下端面3Aと端部6Aの上端面とで形成される係合空間12の開口部13を開閉可能な供回り防止治具7を備える。
【選択図】図1
【解決手段】杭頭部に装着された係合突出部15に対し、キャップ3に装着したL型部材4の係止部6と係合することで基礎杭14をキャップ3を介して吊下げ支持するとともに、L型部材4の係止部6にあって立ち上がり部5と反対側の端部6Aに、キャップ3の下端面3Aと端部6Aの上端面とで形成される係合空間12の開口部13を開閉可能な供回り防止治具7を備える。
【選択図】図1
Description
本考案は、既製杭の埋込み工法のうち、特に逆回転により機械的に拡径する掘削ビットを用いた中堀り杭工法に使用する雇い杭に関する。
既製杭の埋込み工法では、先端支持力を大きくするために、掘削孔先端を拡大掘削することが行われる。使用される拡大掘削ビットには、油圧により強制的に拡径する方式と、掘削ビットを回転させながら地盤の抵抗を利用して拡径する方式とがある。
また、一般に杭頭部は地中に埋められることが多く、その深さに応じて上方に雇い杭を繋げて施工される。雇い杭の先端部は、回転埋設可能なよう係止部を設けたキャップを一体に設けることが多く、杭と接続が容易なよう、例えば鋼製の直方体で、杭頭部の金具に複数個溶接されて固定され、回転キャップの正回転によってキャッチングされ、逆回転で離脱されるようになっている。
特に、中堀り杭工法に用いられる雇い杭では、充填液が充分硬化するまでの間、杭体が沈下しないよう、保持金具を設けたりする工夫が用いられている(特許文献1)。一方、雇い杭と杭本体の切り離しもスムーズにできるようにする必要がある(特許文献2、特許文献3)。
拡大根固め工法では、正回転・逆回転の切替えを利用して拡径するのが一般的で、拡径時には掘削ビットを逆回転させて拡大根固め部を築造することが行われている。この場合は、杭頭部に装着された係合突出部に対し、キャップ内側に形成されたL型の係合部が係合することで杭体が落下するのを防止している。
しかし、根固め築造時に掘削ビットを逆回転させる場合、杭中空部の排土の性状によっては杭が掘削ビットと同方向に供回りしてキャップとの係合が外れ、杭が掘削孔の下端まで落下してしまうおそれがある。実際、杭が落下してしまうと、工法の所要の条件を満たさなくなったり、低止まりによってフーチングの補強を要するなどの損害が大きくなることも生じている。
本考案は、前記従来技術の有する問題点を解決するため、基礎杭が掘削ビットと同方向に供回りしてもキャップとの係合が外れず、掘削孔の下端まで落下してしまうことのない中堀り杭工法用の雇い杭を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本願の請求項1に係る考案は、中堀り杭工法に使用する雇い杭であって、杭頭部に装着された係合突出部に対し、キャップに装着したL型部材の係止部と係合することで基礎杭を前記キャップを介して吊下げ支持するとともに、前記L型部材の係止部にあって立ち上がり部と反対側の端部に、前記キャップの下端面と前記端部の上面とで形成される開口部を開閉可能とした供回り防止治具を備えたことを特徴とする中堀り杭工法用雇い杭である。
また、本願の請求項2に係る考案は、前記供回り防止治具が、先端に雄ねじが切られた鋼棒であって、前記係止部の端部に設けた雌ねじと螺合して前記鋼棒の先端部が固定され、前記開口部を閉塞して上方に延びる前記鋼棒の後端部は地上まで延伸され、基礎杭の設置が完了した後、地上部で前記ねじ結合を解除して回収できる構成としたことを特徴とする中堀り杭工法用雇い杭である。
そして又、本願の請求項3に係る考案は、前記供回り防止治具が、短冊状の鋼板であって、先端部が前記係止部の端部に設置した取付部材に差し込まれて固定され、前記開口部を閉塞して上方に延びる前記鋼板の後端部はワイヤロープを介して地上まで延伸され、基礎杭の設置が完了した後、地上部で前記ワイヤロープを介し前記鋼板の先端部を前記取付部から引き抜いて固定を外し、回収できる構成としたことを特徴とする中堀り杭工法用雇い杭である。
本考案では、掘削ビットを逆回転させて拡大根固め部を築造する際に、杭本体が供回りしても杭頭部に装着された係合突出部とキャップとの係合が外れることがない。したがって、基礎杭の設置が完了するまで、基礎杭は前記キャップを介して雇い杭に確実に吊り下げられて支持され、掘削孔下端まで落下することがない。また、築造後は杭の供回り防止治具を地上で操作することで取り外しが可能となり、再利用することができる他、間接的に杭頭レベルの確認や沈下のないことを確認する手段としても利用できる。
以下、本考案を図1乃至図8に示す実施例により詳細に説明する。図1乃至図4において、1は本考案に係る中堀り杭工法用の雇い杭で、2は本体部、3は本体部2の下端に連結したキャップである。4はキャップ3に装着したL型部材で、上端部がキャップ3の外周に装着された立ち上がり部5と、該立ち上がり部5の下端に連結したキャップ3の周方向に延出する係止部6とから主に構成されている。
7は供廻り防止治具で、L型部材4の係止部6にあって、立ち上がり部5と反対側の端部6Aに設置されており、保持金具7Aで上下方向に褶動自在となるように保持された鋼棒8は、その先端に切られた雄ねじ9が係止部6の端部6Aに設置したボックス10内の雌ねじ11と螺合して前記係止部6の端部6Aに固定されている。
12はL型部材4の立ち上がり部5の側端面5Aと係止部6の上端面6B及びキャップ3の下端面3Aとで形成された係合空間で、L型部材4の立ち上がり部5と反対側に形成される係合空間12の開口部13は、先端の雄ねじ9が係止部6の端部6Aに固定された鋼棒8の上部8Aで閉塞され、後端部8Bは地上まで延伸されている。なお、図中14は基礎杭、15は基礎杭14の頭部に装着された係合突出部である。
〔作用〕
本考案の中堀り杭工法用雇い杭1は、掘削孔内に埋設する基礎杭14の頭部に雇い杭1のキャップ3を被せる。その際、図4に示すように、キャップ3に装着したL型部材4にあって、係合空間12の一端側の開口部13と基礎杭14の係合突出部15を対峙させ、雇い杭1,本体部2,キャップ3を逆回転させることで、基礎杭14の係合突出部15を開口部13から奥の係合空間12内に導入する。
本考案の中堀り杭工法用雇い杭1は、掘削孔内に埋設する基礎杭14の頭部に雇い杭1のキャップ3を被せる。その際、図4に示すように、キャップ3に装着したL型部材4にあって、係合空間12の一端側の開口部13と基礎杭14の係合突出部15を対峙させ、雇い杭1,本体部2,キャップ3を逆回転させることで、基礎杭14の係合突出部15を開口部13から奥の係合空間12内に導入する。
その後、供回り防止治具7を構成する鋼棒8を図4に示す状態から下降させ、図1に示すように、鋼棒8の先端の雄ねじ9を係止部6の端部6Aに設置したボックス10内の雌ねじ11と螺合させ、先端がねじ結合9,11によって固定された鋼棒8の上部8Aで開口部13を閉塞する。
図1に示す状態から基礎杭14を雇い杭1で吊り上げることで、図2に示すように、杭頭部に形成した係合突出部15はキャップ3に装着したL型部材4の係止部6と係合して支持されるとともに、係合突出部15は開口部13が閉塞された係合空間12内に位置することになり、基礎杭14は雇い杭1にキャップ3を介して確実に吊下げ支持される。
掘削ビットを正回転しながら杭を沈設し、所定位置に達した時点で、掘削ビットを逆回転させて拡大根固め部を築造するが、その際、掘削ビットの逆回転により基礎杭14も同方向に供回りする場合がある。この際、図2に示すように、杭頭部に形成した係合突出部15はキャップ3に装着したL型部材4にあって係合空間12内にあり、係合突出部15は係合空間12内で逆方向(図3で右方向)に移動する。
この時、係合空間12の開口部13は供回り防止治具7を構成する鋼棒8の上部8Aで閉塞されているので、図3に示すように、杭頭部に形成した係合突出部15は鋼棒8の上部8Aと衝当し、基礎杭14の供回りは阻止される。したがって、基礎杭14の係合突出部15は係合空間12内に止まり、基礎杭14の頭部に形成した係合突出部15はキャップ3に装着したL型部材4の係止部6から外れることがなく基礎杭14の落下はない。
基礎杭14の設置が終了したのち、地上部まで延伸された供回り防止治具7を構成する鋼棒8の後端部8Bを地上部で逆回転させ、鋼棒8の先端の雄ねじ9を係止部6の端部6Aに設置したボックス10内の雌ねじ11との螺合を解除する。そして、鋼棒8を引き抜くことで開口部13を開放する。つぎに、雇い杭1の本体部2及びキャップ3を正回転させることで、図4に示すように、杭頭部に形成した係合突出部15を開口部13から導出させ、杭頭部との係合が外れた雇い杭1及び供回り防止治具7を地上に引き上げ、再利用する。
図5乃至図8に示すものは本考案に係る中堀り杭工法用雇い杭の他の実施例であり、以下では前記図1乃至図4に示す第1の実施例と同じ部分は同一の符号を付し、相違する点について新たな符号を付して詳述する。
図中、1は本考案に係る中堀り杭工法用の雇い杭であり、2は本体部、3は本体部2の下端に連結したキャップである。4はキャップ3に装着したL型部材で、上端部がキャップ3の外周に装着された立ち上がり部5と、該立ち上がり部5の下端に連結したキャップ3の周方向に延出する係止部6とから主に構成されている。
17は本考案の第2実施例に係る供回り防止治具で、L型部材4の係止部6にあって、立ち上がり部5と反対側の端部6Aに設置したものである。18は短冊状の鋼板で、該鋼板18の先端部18Aは係止部6の端部6Aに設置した取付部材19に差し込まれて固定されている。18Bは前記鋼板18の上部で、この部分で開口部13を閉塞しており、上方に延びる前記鋼板18の上端18Cはワイヤロープ20を介して地上まで延伸されている。なお、図中21はキャップ3の外周に設置した保持金具で、該保持金具21により前記鋼板18は上下動自在となるように装着されている。
〔作用〕
本考案の中堀り杭工法用雇い杭1は、掘削孔内に埋設する基礎杭14の頭部にキャップ3を被せる。その際、図8に示すように、キャップ3に装着したL型部材4にあって、係合空間12の一端側の開口部13と基礎杭14の係合突出部15とを対峙させる。次に、雇い杭1,本体部2,キャップ3を逆回転させることで、係合突出部15を開口部13から奥の係合空間12内に導入する。
本考案の中堀り杭工法用雇い杭1は、掘削孔内に埋設する基礎杭14の頭部にキャップ3を被せる。その際、図8に示すように、キャップ3に装着したL型部材4にあって、係合空間12の一端側の開口部13と基礎杭14の係合突出部15とを対峙させる。次に、雇い杭1,本体部2,キャップ3を逆回転させることで、係合突出部15を開口部13から奥の係合空間12内に導入する。
つぎに、供回り防止治具17を構成する鋼板18を図8に示す状態から下降させ、図5に示すように、鋼板18の先端部18Aを取付部材19に差し込んで固定し、先端部18Aが係止部6の端部6Aに固定された鋼板18の上部18Bで開口部13を閉塞する。
図5に示す状態から基礎杭14を雇い杭1で吊り上げることで、図6に示すように、杭頭部に形成した係合突出部15はキャップ3に装着したL型部材4の係止部6と係合して支持されるとともに、係合突出部15は開口部13が閉塞された係合空間12内に位置することになり、基礎杭14は雇い杭1にキャップ3を介して確実に吊下げ支持される。
掘削ビットを正回転しながら杭を沈設し、所定位置に達した時点で掘削ビットを逆回転させて拡大根固め部を築造するが、その際、掘削ビットの逆回転により基礎杭14も逆方向(図7の矢印方向)に供回りする場合がある。このとき、図7に示すように、杭頭部に形成した係合突出部15はキャップ3に装着したL型部材4にあって係合空間12内にあり、係合突出部15は係合空間12内で逆方向(図7において右方向)に移動する。
係合突出部15が係合空間12内で図7中右方向に移動するが、係合空間12の開口部13は供回り防止治具17を構成する鋼板18の上部18Bで閉塞されているので、図7に示すように、杭頭部に形成した係合突出部15は鋼板18の上部18Bと衝当して基礎杭14の供回りは阻止される。したがって、基礎杭14の係合突出部15は係合空間12内に止まり、基礎杭14の杭頭部に被せて設置したキャップ3にあって、このキャップ3に装着したL型部材4の係止部6から係合突出部15が外れることがなく、基礎杭14の落下はない。
基礎杭14の設置が終了したのち、地上部まで延伸された供回り防止治具17を構成する鋼板18をその上端18Cに固定したワイヤーローブ20を介して引き上げ、先端部18Aを取付部材19から引き抜く。鋼板18の先端部18Aを取付部材19から引き抜くことで開口部13は開放される。その後、雇い杭1,本体2,キャップ3を右回転させることで、図8に示すように、杭頭部に形成した係合突出部15を係合空間12から開口部13を通して導出させる。そして、杭頭部との係合が外れた雇い杭1及び供回り防止治具7を地上に引き上げ、再利用する。
1 雇い杭 10 ボックス
2 本体部 11 雌ねじ
3 キャップ 12 係合空間
3A 同下端面 13 開口部
4 L型部材 14 基礎杭
5 立ち上がり部 15 係合突出部
5A 同側端面 17 供回り防止治具
6 係止部 18 鋼板
6A 端部 18A 先端部
6B 上端部 18B 上部
7 供回り防止治具 18C 上端
7A 保持金具 19 取付部材
8 鋼棒 20 ワイヤロープ
8A 上部
8B 後端部
9 雄ねじ
2 本体部 11 雌ねじ
3 キャップ 12 係合空間
3A 同下端面 13 開口部
4 L型部材 14 基礎杭
5 立ち上がり部 15 係合突出部
5A 同側端面 17 供回り防止治具
6 係止部 18 鋼板
6A 端部 18A 先端部
6B 上端部 18B 上部
7 供回り防止治具 18C 上端
7A 保持金具 19 取付部材
8 鋼棒 20 ワイヤロープ
8A 上部
8B 後端部
9 雄ねじ
本考案は、既製杭の埋込み工法のうち、特に逆回転により機械的に拡径する掘削ビットを用いた中掘り杭工法に使用する雇い杭に関する。
既製杭の埋込み工法では、先端支持力を大きくするために、掘削孔先端を拡大掘削することが行われる。使用される拡大掘削ビットには、油圧により強制的に拡径する方式と、掘削ビットを回転させながら地盤の抵抗を利用して拡径する方式とがある。
また、一般に杭頭部は地中に埋められることが多く、その深さに応じて上方に雇い杭を繋げて施工される。雇い杭の先端部は、回転埋設可能なよう係止部を設けたキャップを一体に設けることが多く、杭と接続が容易なよう、例えば鋼製の直方体で、杭頭部の金具に複数個溶接されて固定され、回転キャップの正回転によってキャッチングされ、逆回転で離脱されるようになっている。
特に、中掘り杭工法に用いられる雇い杭では、充填液が充分硬化するまでの間、杭体が沈下しないよう、保持金具を設けたりする工夫が用いられている(特許文献1)。一方、雇い杭と杭本体の切り離しもスムーズにできるようにする必要がある(特許文献2、特許文献3)。
拡大根固め工法では、正回転・逆回転の切替えを利用して拡径するのが一般的で、拡径時には掘削ビットを逆回転させて拡大根固め部を築造することが行われている。この場合は、杭頭部に装着された係合突出部に対し、キャップ内側に形成されたL型の係合部が係合することで杭体が落下するのを防止している。
しかし、根固め築造時に掘削ビットを逆回転させる場合、杭中空部の排土の性状によっては杭が掘削ビットと同方向に供回りしてキャップとの係合が外れ、杭が掘削孔の下端まで落下してしまうおそれがある。実際、杭が落下してしまうと、工法の所要の条件を満たさなくなったり、低止まりによってフーチングの補強を要するなどの損害が大きくなることも生じている。
本考案は、前記従来技術の有する問題点を解決するため、基礎杭が掘削ビットと同方向に供回りしてもキャップとの係合が外れず、掘削孔の下端まで落下してしまうことのない中掘り杭工法用の雇い杭を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本願の請求項1に係る考案は、中掘り杭工法に使用する雇い杭であって、杭頭部に装着された係合突出部に対し、キャップに装着したL型部材の係止部と係合することで基礎杭を前記キャップを介して吊下げ支持するとともに、前記L型部材の係止部にあって立ち上がり部と反対側の端部に、前記キャップの下端面と前記端部の上面とで形成される開口部を開閉可能とした供回り防止治具を備えたことを特徴とする中掘り杭工法用雇い杭である。
また、本願の請求項2に係る考案は、前記供回り防止治具が、先端に雄ねじが切られた鋼棒であって、前記係止部の端部に設けた雌ねじと螺合して前記鋼棒の先端部が固定され、前記開口部を閉塞して上方に延びる前記鋼棒の後端部は地上まで延伸され、基礎杭の設置が完了した後、地上部で前記ねじ結合を解除して回収できる構成としたことを特徴とする中掘り杭工法用雇い杭である。
そして又、本願の請求項3に係る考案は、前記供回り防止治具が、短冊状の鋼板であって、先端部が前記係止部の端部に設置した取付部材に差し込まれて固定され、前記開口部を閉塞して上方に延びる前記鋼板の後端部はワイヤロープを介して地上まで延伸され、基礎杭の設置が完了した後、地上部で前記ワイヤロープを介し前記鋼板の先端部を前記取付部から引き抜いて固定を外し、回収できる構成としたことを特徴とする中掘り杭工法用雇い杭である。
本考案では、掘削ビットを逆回転させて拡大根固め部を築造する際に、杭本体が供回りしても杭頭部に装着された係合突出部とキャップとの係合が外れることがない。したがって、基礎杭の設置が完了するまで、基礎杭は前記キャップを介して雇い杭に確実に吊り下げられて支持され、掘削孔下端まで落下することがない。また、築造後は杭の供回り防止治具を地上で操作することで取り外しが可能となり、再利用することができる他、間接的に杭頭レベルの確認や沈下のないことを確認する手段としても利用できる。
以下、本考案を図1乃至図8に示す実施例により詳細に説明する。図1乃至図4において、1は本考案に係る中掘り杭工法用の雇い杭で、2は本体部、3は本体部2の下端に連結したキャップである。4はキャップ3に装着したL型部材で、上端部がキャップ3の外周に装着された立ち上がり部5と、該立ち上がり部5の下端に連結したキャップ3の周方向に延出する係止部6とから主に構成されている。
7は供廻り防止治具で、L型部材4の係止部6にあって、立ち上がり部5と反対側の端部6Aに設置されており、保持金具7Aで上下方向に褶動自在となるように保持された鋼棒8は、その先端に切られた雄ねじ9が係止部6の端部6Aに設置したボックス10内の雌ねじ11と螺合して前記係止部6の端部6Aに固定されている。
12はL型部材4の立ち上がり部5の側端面5Aと係止部6の上端面6B及びキャップ3の下端面3Aとで形成された係合空間で、L型部材4の立ち上がり部5と反対側に形成される係合空間12の開口部13は、先端の雄ねじ9が係止部6の端部6Aに固定された鋼棒8の上部8Aで閉塞され、後端部8Bは地上まで延伸されている。なお、図中14は基礎杭、15は基礎杭14の頭部に装着された係合突出部である。
〔作用〕
本考案の中掘り杭工法用雇い杭1は、掘削孔内に埋設する基礎杭14の頭部に雇い杭1のキャップ3を被せる。その際、図4に示すように、キャップ3に装着したL型部材4にあって、係合空間12の一端側の開口部13と基礎杭14の係合突出部15を対峙させ、雇い杭1,本体部2,キャップ3を逆回転させることで、基礎杭14の係合突出部15を開口部13から奥の係合空間12内に導入する。
本考案の中掘り杭工法用雇い杭1は、掘削孔内に埋設する基礎杭14の頭部に雇い杭1のキャップ3を被せる。その際、図4に示すように、キャップ3に装着したL型部材4にあって、係合空間12の一端側の開口部13と基礎杭14の係合突出部15を対峙させ、雇い杭1,本体部2,キャップ3を逆回転させることで、基礎杭14の係合突出部15を開口部13から奥の係合空間12内に導入する。
その後、供回り防止治具7を構成する鋼棒8を図4に示す状態から下降させ、図1に示すように、鋼棒8の先端の雄ねじ9を係止部6の端部6Aに設置したボックス10内の雌ねじ11と螺合させ、先端がねじ結合9,11によって固定された鋼棒8の上部8Aで開口部13を閉塞する。
図1に示す状態から基礎杭14を雇い杭1で吊り上げることで、図2に示すように、杭頭部に形成した係合突出部15はキャップ3に装着したL型部材4の係止部6と係合して支持されるとともに、係合突出部15は開口部13が閉塞された係合空間12内に位置することになり、基礎杭14は雇い杭1にキャップ3を介して確実に吊下げ支持される。
掘削ビットを正回転しながら杭を沈設し、所定位置に達した時点で、掘削ビットを逆回転させて拡大根固め部を築造するが、その際、掘削ビットの逆回転により基礎杭14も同方向に供回りする場合がある。この際、図2に示すように、杭頭部に形成した係合突出部15はキャップ3に装着したL型部材4にあって係合空間12内にあり、係合突出部15は係合空間12内で逆方向(図3で右方向)に移動する。
この時、係合空間12の開口部13は供回り防止治具7を構成する鋼棒8の上部8Aで閉塞されているので、図3に示すように、杭頭部に形成した係合突出部15は鋼棒8の上部8Aと衝当し、基礎杭14の供回りは阻止される。したがって、基礎杭14の係合突出部15は係合空間12内に止まり、基礎杭14の頭部に形成した係合突出部15はキャップ3に装着したL型部材4の係止部6から外れることがなく基礎杭14の落下はない。
基礎杭14の設置が終了したのち、地上部まで延伸された供回り防止治具7を構成する鋼棒8の後端部8Bを地上部で逆回転させ、鋼棒8の先端の雄ねじ9を係止部6の端部6Aに設置したボックス10内の雌ねじ11との螺合を解除する。そして、鋼棒8を引き抜くことで開口部13を開放する。つぎに、雇い杭1の本体部2及びキャップ3を正回転させることで、図4に示すように、杭頭部に形成した係合突出部15を開口部13から導出させ、杭頭部との係合が外れた雇い杭1及び供回り防止治具7を地上に引き上げ、再利用する。
図5乃至図8に示すものは本考案に係る中掘り杭工法用雇い杭の他の実施例であり、以下では前記図1乃至図4に示す第1の実施例と同じ部分は同一の符号を付し、相違する点について新たな符号を付して詳述する。
図中、1は本考案に係る中掘り杭工法用の雇い杭であり、2は本体部、3は本体部2の下端に連結したキャップである。4はキャップ3に装着したL型部材で、上端部がキャップ3の外周に装着された立ち上がり部5と、該立ち上がり部5の下端に連結したキャップ3の周方向に延出する係止部6とから主に構成されている。
17は本考案の第2実施例に係る供回り防止治具で、L型部材4の係止部6にあって、立ち上がり部5と反対側の端部6Aに設置したものである。18は短冊状の鋼板で、該鋼板18の先端部18Aは係止部6の端部6Aに設置した取付部材19に差し込まれて固定されている。18Bは前記鋼板18の上部で、この部分で開口部13を閉塞しており、上方に延びる前記鋼板18の上端18Cはワイヤロープ20を介して地上まで延伸されている。なお、図中21はキャップ3の外周に設置した保持金具で、該保持金具21により前記鋼板18は上下動自在となるように装着されている。
〔作用〕
本考案の中掘り杭工法用雇い杭1は、掘削孔内に埋設する基礎杭14の頭部にキャップ3を被せる。その際、図8に示すように、キャップ3に装着したL型部材4にあって、係合空間12の一端側の開口部13と基礎杭14の係合突出部15とを対峙させる。次に、雇い杭1,本体部2,キャップ3を逆回転させることで、係合突出部15を開口部13から奥の係合空間12内に導入する。
本考案の中掘り杭工法用雇い杭1は、掘削孔内に埋設する基礎杭14の頭部にキャップ3を被せる。その際、図8に示すように、キャップ3に装着したL型部材4にあって、係合空間12の一端側の開口部13と基礎杭14の係合突出部15とを対峙させる。次に、雇い杭1,本体部2,キャップ3を逆回転させることで、係合突出部15を開口部13から奥の係合空間12内に導入する。
つぎに、供回り防止治具17を構成する鋼板18を図8に示す状態から下降させ、図5に示すように、鋼板18の先端部18Aを取付部材19に差し込んで固定し、先端部18Aが係止部6の端部6Aに固定された鋼板18の上部18Bで開口部13を閉塞する。
図5に示す状態から基礎杭14を雇い杭1で吊り上げることで、図6に示すように、杭頭部に形成した係合突出部15はキャップ3に装着したL型部材4の係止部6と係合して支持されるとともに、係合突出部15は開口部13が閉塞された係合空間12内に位置することになり、基礎杭14は雇い杭1にキャップ3を介して確実に吊下げ支持される。
掘削ビットを正回転しながら杭を沈設し、所定位置に達した時点で掘削ビットを逆回転させて拡大根固め部を築造するが、その際、掘削ビットの逆回転により基礎杭14も逆方向(図7の矢印方向)に供回りする場合がある。このとき、図7に示すように、杭頭部に形成した係合突出部15はキャップ3に装着したL型部材4にあって係合空間12内にあり、係合突出部15は係合空間12内で逆方向(図7において右方向)に移動する。
係合突出部15が係合空間12内で図7中右方向に移動するが、係合空間12の開口部13は供回り防止治具17を構成する鋼板18の上部18Bで閉塞されているので、図7に示すように、杭頭部に形成した係合突出部15は鋼板18の上部18Bと衝当して基礎杭14の供回りは阻止される。したがって、基礎杭14の係合突出部15は係合空間12内に止まり、基礎杭14の杭頭部に被せて設置したキャップ3にあって、このキャップ3に装着したL型部材4の係止部6から係合突出部15が外れることがなく、基礎杭14の落下はない。
基礎杭14の設置が終了したのち、地上部まで延伸された供回り防止治具17を構成する鋼板18をその上端18Cに固定したワイヤーローブ20を介して引き上げ、先端部18Aを取付部材19から引き抜く。鋼板18の先端部18Aを取付部材19から引き抜くことで開口部13は開放される。その後、雇い杭1,本体2,キャップ3を右回転させることで、図8に示すように、杭頭部に形成した係合突出部15を係合空間12から開口部13を通して導出させる。そして、杭頭部との係合が外れた雇い杭1及び供回り防止治具7を地上に引き上げ、再利用する。
1 雇い杭 10 ボックス
2 本体部 11 雌ねじ
3 キャップ 12 係合空間
3A 同下端面 13 開口部
4 L型部材 14 基礎杭
5 立ち上がり部 15 係合突出部
5A 同側端面 17 供回り防止治具
6 係止部 18 鋼板
6A 端部 18A 先端部
6B 上端部 18B 上部
7 供回り防止治具 18C 上端
7A 保持金具 19 取付部材
8 鋼棒 20 ワイヤロープ
8A 上部
8B 後端部
9 雄ねじ
2 本体部 11 雌ねじ
3 キャップ 12 係合空間
3A 同下端面 13 開口部
4 L型部材 14 基礎杭
5 立ち上がり部 15 係合突出部
5A 同側端面 17 供回り防止治具
6 係止部 18 鋼板
6A 端部 18A 先端部
6B 上端部 18B 上部
7 供回り防止治具 18C 上端
7A 保持金具 19 取付部材
8 鋼棒 20 ワイヤロープ
8A 上部
8B 後端部
9 雄ねじ
Claims (3)
- 中堀り杭工法に使用する雇い杭であって、杭頭部に装着された係合突出部に対し、キャップに装着したL型部材の係止部と係合することで基礎杭を前記キャップを介して吊下げ支持するとともに、前記L型部材の係止部にあって立ち上がり部と反対側の端部に、前記キャップの下端面と前記端部の上端面とで形成される開口部を開閉可能とした供回り防止治具を備えたことを特徴とする中堀り杭工法用雇い杭。
- 前記供回り防止治具が、先端に雄ねじが切られた鋼棒であって、前記係止部の端部に設けた雌ねじと螺合して前記鋼棒の先端部が固定され、前記開口部を閉塞して上方に延びる前記鋼棒の後端部は地上まで延伸され、基礎杭の設置が完了した後、地上部で前記ねじ結合を解除して回収できる構成としたことを特徴とする請求項1記載の中堀り杭工法用雇い杭。
- 前記供回り防止治具が、短冊状の鋼板であって、先端部が前記係止部の端部に設置した取付部材に差し込まれて固定され、前記開口部を閉塞して上方に延びる前記鋼板の後端部はワイヤロープを介して地上まで延伸され、基礎杭の設置が完了した後、地上部で前記ワイヤロープを介し前記鋼板の先端部を前記取付部から引き抜いて固定を外して回収できる構成としたことを特徴とする請求項1記載の中堀り杭工法用雇い杭。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018003904U JP3219393U (ja) | 2018-10-10 | 2018-10-10 | 中掘り杭工法用雇い杭 |
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JP2018003904U Active JP3219393U (ja) | 2018-10-10 | 2018-10-10 | 中掘り杭工法用雇い杭 |
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- 2018-10-10 JP JP2018003904U patent/JP3219393U/ja active Active
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