JP3216972U - 手指関節矯正装具 - Google Patents
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Abstract
【課題】3点固定方式に依ることなく指を保持することが可能な手指関節矯正装具を提供する。【解決手段】手指関節矯正装具10は、線状部材12a〜12hで構成されたフレーム12と、第1指吊り部材14a及び第2指吊り部材14bを含む複数の指吊り部材と、前記フレームと前記複数の指吊り部材とを連結する伸縮可能な弾性部材16と、を備えた指関節用装具であって、前記フレームは、前記弾性部材を介して前記第1指吊り部材に連結される線状の第1部分と、前記弾性部材を介して前記第2指吊り部材に連結される線状の第2部分と、前記第1部分の一端と前記第2部分の一端とに繋がる略U字状の第3部分と、前記第1部分の他端と前記第2部分の他端とに繋がる略U字状の第4部分とを含む。【選択図】図1
Description
本考案は、手指関節矯正装具に関する。特に、手指の関節の屈曲拘縮を治療するための矯正装具に関する。
従来、手首、指、脚等における骨折やじん帯の損傷などに起因する関節の屈曲拘縮を改善するために、矯正部位に対して関節を伸展させる方向の力を加える矯正装具(スプリントとも呼ばれる)が使用されている。このような矯正装具は、矯正部位の位置に応じて適切な形状のものが使用されるが、一般的には、矯正部位の周辺に対して3点で力を加える3点固定方式の矯正装具が使用されている。例えば、特許文献1には、3点固定方式の手指の関節矯正装具が開示されている。
上述した3点固定方式の矯正装具は、矯正部位(例えば、指関節であればPIP関節やDIP関節)を挟む2点に対して同じ方向に力を加え、かつ、前述の2点の間の1点に対して逆の方向から力を加えることにより、矯正部位の関節を伸展位にして矯正する機能を有する。例えば、PIP関節を矯正する場合、基節骨と中節骨それぞれの掌側面側を支えつつ、PIP関節を背側面側から押すように指の3点を固定する。
しかしながら、3点固定方式で矯正部位の関節を伸展位にするためには、関節部位を直接的に押しながら力を加え続ける必要があり、患者によっては関節部位にひどい血行障害(循環障害)が起こり、極端に関節包と皮下組織が腫脹してしまう場合があった。これは、動脈を通じて手指に流れ込んだ血液が、関節部位が押されることによって関節部位に滞留し、静脈を通じて効率良く手指から流れ出ていかなくなることに起因する。このような障害は、3点固定方式の矯正装具に特有の問題であり、改善が求められていた。
本考案は、上記問題に鑑みてなされたものであり、3点固定方式に依ることなく指を保持することが可能な手指関節矯正装具を提供することを課題の一つとする。
本考案の一実施形態における手指関節矯正装具は、線状部材で構成されたフレームと、第1指吊り部材及び第2指吊り部材を含む複数の指吊り部材と、前記フレームと前記複数の指吊り部材とを連結する伸縮可能な弾性部材と、を備えた指関節用装具であって、前記フレームは、前記弾性部材を介して前記第1指吊り部材に連結される線状の第1部分と、前記弾性部材を介して前記第2指吊り部材に連結される線状の第2部分と、前記第1部分の一端と前記第2部分の一端とに繋がる略U字状の第3部分と、前記第1部分の他端と前記第2部分の他端とに繋がる略U字状の第4部分とを含む。
前記弾性部材の長さは、前記第1部分と前記第2部分との間の距離の1/2以下であることが望ましい。
また、本考案の一実施形態における手指関節矯正装具は、当該手指関節矯正装具が手から脱落しないようにするための脱落防止用ベルトを含んでいてもよい。前記脱落防止用ベルトは、例えば、前記第3部分と前記第4部分との間に掛け渡されてもよい。
前記フレームは、さらに、前記第1部分の一端と前記第3部分とを連結する第5部分と、前記第2部分の一端と前記第3部分とを連結する第6部分と、前記第1部分の他端と前記第4部分とを連結する第7部分と、前記第2部分の他端と前記第4部分とを連結する第8部分とを含んでいてもよい。この場合、前述の脱落防止用ベルトは、前記第5部分と前記第7部分との間や前記第6部分と前記第8部分との間に配置すればよい。
本考案の一実施形態によれば、3点固定方式に依ることなく指を保持することが可能な手指関節矯正装具を提供することができる。
以下、本考案の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。但し、本考案は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状、寸法比率等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本考案の解釈を限定するものではない。本明細書と各図面において、既出の図面に関して説明したものと同様の機能を備えた要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の手指関節矯正装具10の概略の構成を示す斜視図の一例である。図1に示されるように、本実施形態の手指関節矯正装具10は、フレーム12、第1指吊り部材14a、第2指吊り部材14b、弾性部材16、並びに脱落防止用ベルト18a及び18bを含む。なお、脱落防止用ベルト18a及び18bは、必須の構成ではなく、省略することも可能である。
図1は、第1実施形態の手指関節矯正装具10の概略の構成を示す斜視図の一例である。図1に示されるように、本実施形態の手指関節矯正装具10は、フレーム12、第1指吊り部材14a、第2指吊り部材14b、弾性部材16、並びに脱落防止用ベルト18a及び18bを含む。なお、脱落防止用ベルト18a及び18bは、必須の構成ではなく、省略することも可能である。
フレーム12は、複数の線状部材12a〜12hで構成された、手指関節矯正装具10の骨格を構成する部品である。線状部材12a〜12hとしては、例えば、針金を用いることができる。この場合、手や指に触れる場合もあることを考慮して、ビニール等の樹脂材料で被覆された針金を用いることが好ましい。また、フレーム12は、ある程度の剛性を有する部材を用いることが可能であり、例えば針金以外にも、プラスチック材料等を成型して用いることも可能である。
本実施形態では、フレーム12は、複数の線状部材12a〜12hを組み合わせて構成されている。複数の線状部材12a〜12hは、例えば金属、又はプラスチック等で構成された連結部材13a〜13hを介して互いに着脱可能に連結される。したがって、線状部材12a〜12hの長さを適宜変更することにより、様々な大きさの手を持つ患者に合わせて手指関節矯正装具10を構成することができる。各線状部材12a〜12hの構成についての詳細は後述する。
次に、第1指吊り部材14a及び第2指吊り部材14bは、ともに矯正部位である指に引っ掛けてフレーム12に吊るための手段である。第1指吊り部材14a及び第2指吊り部材14bは、例えば、皮革または樹脂を用いて形成することができる。具体例の一つとしては、図1の拡大図に示されるように、皮革などで構成される帯状部材を二つ折りにして指を引っ掛ける輪を作り、帯状部材の両端に空けた穴に弾性部材16を取り付ける構成とすることができる。
勿論、具体例はこれに限らず、フレーム12から指を吊ることが可能な手段であれば、どのような手段を用いてもよい。また、本実施形態では、親指以外の指に対応させて4つずつ指吊り部材14を配置した例を示すが、これに限らず、少なくとも1つずつ第1指吊り部材14及び第2指吊り部材14bが配置されていればよい。なお、説明の便宜上、以下の説明において第1指吊り部材14aと第2指吊り部材14bとを区別する必要がない場合は、両者をまとめて「指吊り部材14」と呼ぶ。
弾性部材16は、フレーム12と複数の指吊り部材14とを相互に連結するための部材である。弾性部材16としては、伸縮可能な部材を用いることが望ましく、例えば線状ゴム、コイルばね等を用いることが可能である。本実施形態では、弾性部材16として、線状ゴムを用いるが、線状ゴムを利用することにより、コイルばねを用いる場合に比べて、手指関節矯正装具10の軽量化を図ることができる。なお、詳細については後述するが、弾性部材16の長さは、線状部材12aと線状部材12bとの間の距離の1/2以下であることが望ましい。
脱落防止用ベルト18a及び18bは、手指関節矯正装具10を患者の手に対して脱落しないように固定するための手段である。後述するように、本実施形態では、脱落防止用ベルト18aは、手背(手の甲)側に配置するベルトであり、脱落防止用ベルト18bは、前腕端(手首)の腹側に配置するベルトである。具体的には、脱落防止用ベルト18a及び18bは、図1に示されるようにフレーム12に掛け渡して使用する。本実施形態では、脱落防止用ベルト18aは、線状部材12eと線状部材12gとの間に配置され、脱落防止用ベルト18bは、線状部材12cと線状部材12dとの間に配置される。なお、説明の便宜上、以下の説明において脱落防止用ベルト18a及び18bを区別する必要がない場合は、両者をまとめて「脱落防止用ベルト18」と呼ぶ。
脱落防止用ベルト18としては、例えば、マジックテープ(登録商標)、ベロクロ(登録商標)等の面ファスナーを用いることができる。脱落防止用ベルト18として面ファスナーを用いる場合、ベルト端部に雄部(フック状に起毛された部位)を設け、その他の部分に雌部(ループ状に密集して起毛された部位)を設けた面ファスナーを用いればよい。図1に示されるように、脱落防止用ベルト18の雄部をフレーム12に巻き付けて固定した際、手背又は前腕端に触れる部分が基本的には雌部になる。
なお、本実施形態では、脱落防止用ベルト18として面ファスナーを用いる例を示したが、フレーム12の手からの脱落を防ぐことさえできれば他の手段を用いてもよい。例えば、図1における脱落防止用ベルト18a及び18bが配置された位置に、ゴム等の伸縮可能な弾性部材を掛け渡してもよいし、フレーム12を包帯等で軽く固定してもよい。また、脱落防止用ベルト18a及び18bを配置する位置は、患者の手の大きさや形状等に合わせて任意に設定することができる。
ここで、フレーム12を構成する線状部材12a〜12hの構成について詳細に説明する。図1に示されるように、線状部材12a及び12bには、それぞれ後述する弾性部材16を介して第1指吊り部材14a及び14bが連結されている。本明細書では、線状部材12a及び線状部材12bを、それぞれフレーム12における「第1部分」及び「第2部分」と呼ぶ場合がある。
線状部材12c及び12dは、略U字形状に加工された部位であり、後述するように、前述の線状部材12a及び12bに対して、それぞれが離れる方向に力を与える弾性部として機能する。本明細書では、線状部材12c及び線状部材12dを、それぞれフレーム12における「第3部分」及び「第4部分」と呼ぶ場合がある。
線状部材12e及び12fは、それぞれ線状部材12aの一端と線状部材12bの一端を線状部材12cに連結する部位であり、線状部材12g及び12hは、それぞれ線状部材12aの他端と線状部材12bの他端を線状部材12dに連結する部位である。本明細書では、線状部材12e、線状部材12f、線状部材12g及び線状部材12hを、それぞれフレーム12における「第5部分」、「第6部分」、「第7部分」及び「第8部分」と呼ぶ場合がある。
図2は、第1実施形態の手指関節矯正装具10のフレーム12の構成を示す斜視図の一例である。図2に示されるように、本実施形態において、線状部材12aの屈曲部の間の長さ(X1)は、例えば5〜10cmである。具体的には、線状部材12aは、5cmから10cmまで1cm刻みで長さの異なる部材が用意される。このように様々なサイズの線状部材12aを用意することにより、大人から子供まで様々な患者に対応することができる。なお、本実施形態では、線状部材12aにおける屈曲部から連結部材13a又は13hまでの長さ(X2)をそれぞれ5cmとする。
線状部材12cは、非対称な略U字形状を有している。具体的には、線状部材12cは、それぞれ略U字形状の湾曲部の頂点から連結部材13bまでの長さ(X3)が5cm、前述の頂点から連結部材13cまでの長さ(X4)が7cmとなっている。すなわち、線状部材12cは、それぞれ略U字形状の湾曲部の頂点から異なる長さで線状部材が延在した構成となっている。
線状部材12cが前述のように非対称な構成となっているため、線状部材12eの長さ(X5)と線状部材12fの長さ(X6)もそれぞれ異なっている。具体的には、線状部材12eの長さ(X5)は、4〜12cmであり、例えば、4cmから12cmまで2cm刻みで長さの異なる部材が用意される。同様に、線状部材12fの長さ(X6)は、2〜10cmであり、例えば2cmから10cmまで2cm刻みで長さの異なる部材が用意される。この場合も、様々なサイズの線状部材12e及び12fを用意することにより、様々な患者に対応することができる。
なお、上述の説明は、線状部材12a、12c、12e及び12fの長さについてのものであるが、線状部材12b、12d、12g及び12hについても同様のことが言える。つまり、線状部材12aの構成と線状部材12bの構成が対応するように、それぞれ、線状部材12cと線状部材12dの構成、線状部材12eと線状部材12gの構成、線状部材12fと線状部材12hの構成が対応する。
以上、複数の線状部材12a〜12hを組み合わせてフレーム12を構成する例を示したが、説明に用いた数値はあくまで一例であり、これらの数値に限定されるものではない。また、長さの異なる線状部材12a及び12bや線状部材12e〜12hを各種用意することにより様々な患者の手や指のサイズに合わせる例を示したが、フレーム12を継ぎ目のない一体成型物で構成し、そのような様々なタイプのフレーム12を患者に合わせて用意することも可能である。
次に、本実施形態の手指関節矯正装具10を手に装着した状態、及びその際に指に作用する力について説明する。図3は、第1実施形態の手指関節矯正装具10を手に装着した様子を示す側面図の一例である。図4は、第1実施形態の手指関節矯正装具10を手に装着した様子を示す背面図の一例である。図5は、第1実施形態の手指関節矯正装具10の装着時における指に作用する力を説明するための図である。
図3及び図4に示されるように、フレーム12は、略U字形状の線状部材12c及び12dにより前腕端を左右方向に挟むように配置される。このとき、第1指吊り部材14aに連結された線状部材12aと第2指吊り部材14bに連結された線状部材12bとは、矯正部位である指を上下方向に挟むように配置される。線状部材12a及び線状部材12bの適切な位置は、矯正部位により異なる。ただし、基本的には、第1指吊り部材14a及び第2指吊り部材14bを吊る位置が、矯正部位(関節部位)よりも末梢側(先端側)になるように配置することが好ましい。その場合は、線状部材12e〜12hの長さを調整して適切に設定することができる。
例えば、PIP関節を矯正する場合、第1指吊り部材14aを末節骨に対応する位置に当て、第2指吊り部材14bを中節骨に対応する位置に当てることにより、PIP関節に触れることなくPIP関節を伸展位に保持することができる。この場合、従来の3点固定方式と異なり、PIP関節を直接的に圧迫することがない。また、PIP関節よりも末梢側に各指吊り部材が配置されるため、手根部とPIP関節との間の血流を妨げることもない。そのため、PIP関節近傍において血液の循環障害は発生せず、関節部位において、関節包と皮下組織が腫脹するといった問題は生じない。
なお、本実施形態では、フレーム12で手を挟み込んだ後、脱落防止用ベルト18a及び18bを用いて手指関節矯正装具10を保持している。ただし、脱落防止用ベルト18a及び18bは、あくまで重力によりフレーム12が脱落することを防ぐものであり、手に対して力を加えるものではない。すなわち、本実施形態の手指関節矯正装具10は、手首等の基部に何ら負担を与えることなく装着することが可能である。また、例えば線状部材12a及び線状部材12bの直線部分の長さ(X1)を適切に設定すれば、脱落防止用ベルト18a及び18bを用いなくても手指関節矯正装具10を固定することが可能である。
ところで、本実施形態では、一例として、左手の人差し指20のPIP関節を矯正する例を示している。この場合、第1指吊り部材14aは、人差し指20の先端側(具体的には、末節骨付近)に配置され、第2指吊り部材14bは、PIP関節と第1指吊り部材14aとの間(具体的には、中節骨付近)に配置される。ここで、先端側に配置された第1指吊り部材14aは、弾性部材16を介して線状部材12aに連結されるため、人差し指20の末節骨付近は、上方に向かって吊られる。逆に、第2指吊り部材14bは、弾性部材16を介して線状部材12bに連結されるため、人差し指20の中節骨付近は、下方に向かって吊られる。
以上の構成とすることにより、人差し指20のPIP関節よりも末梢側に対して、図3の矢印で示すように、第1指吊り部材14aと第2指吊り部材14bとの間を中心軸とする回転トルクが働く。つまり、第1指吊り部材14aと第2指吊り部材14bとを用いて人差し指20の2点に対して互いに反対方向の力を加えるだけで回転トルクを与え、容易に矯正部位であるPIP関節を伸展位に保持することができる。
また、本実施形態の手指関節矯正装具10を手に装着した状態における第1指吊り部材14a及び第2指吊り部材14bに加わる力の関係は、図5に示すとおりである。なお、図5において、第1指吊り部材14a及び第2指吊り部材14bの間を通過する一点鎖線は、指(例えば、左手の人差し指20a)の位置を疑似的にを表している。
図5に示されるように、フレーム12の線状部材12a(すなわち、フレーム12の第1部分)には、略U字形状の線状部材12c及び12dの弾性力により、上方向に働く力25aが生じる。逆に、フレーム12の線状部材12b(すなわち、フレーム12の第2部分)には、略U字形状の線状部材12c及び12dの弾性力により、下方向に働く力25bが生じる。これらの力25a及び25bが、指を吊る力として、第1指吊り部材14a及び第2指吊り部材14bに作用する。
また、前述のように、弾性部材16の長さは、線状部材12aと線状部材12bとの間の距離(L)の1/2以下である。ここで、距離(L)とは、線状部材12c及び線状部材12dに対して重力以外の外力が働いていない状態における線状部材12aと線状部材12bとの間の距離である。この場合、図5に示されるように第1指吊り部材14aと第2指吊り部材14bとが重なる状態(すなわち、図3に示されるように、指吊り部材14を指に装着した状態)とするためには、線状部材12c及び12dに対して、略U字形状の幅を狭める方向に力を加える必要がある。したがって、図5に示す状態においては、略U字形状の線状部材12c及び12dの弾性力により、線状部材12a及び12bのそれぞれに対して、上方向に働く力25aと下方向に働く力25bが生じる。
さらに、このとき、伸縮可能な部材(例えば、線状ゴム)で構成された弾性部材16は、第1指吊り部材14aと線状部材12aとの間、及び第2指吊り部材14bと線状部材12bとの間で伸長された状態となる。その結果、弾性部材16には、矢印で示す方向に収縮する方向の力27a及び27bが働く。ここで、第1指吊り部材14a及び第2指吊り部材14bは、指の位置で固定されているため、弾性部材16の弾性力(収縮する方向の力27a及び27b)は、線状部材12a及び線状部材12bに対して作用する。
このとき、線状部材12aには、線状部材12c及び12dの弾性力により生じる上方向の力25aと、弾性部材16の弾性力により生じる下方向の力27aが生じ、それらが釣り合う位置で線状部材12aの位置が保持される。同様に、線状部材12bには、線状部材12c及び12dの弾性力により生じる下方向の力25bと、弾性部材16の弾性力により生じる上方向の力27bが生じ、それらが釣り合う位置で線状部材12bの位置が保持される。そして、これらの力全体が相互に打ち消し合う形で作用するため、結果として、指に加わる力を打ち消すことが可能である。
以上のように、本実施形態の手指関節矯正装具10は、指に対して回転トルクを与えることにより矯正すべき指関節を伸展位に保持する機能を有し、かつ、手に装着するに当たり、手の基部等に固定する必要がない。また、1本の指に作用する力点は2点のみであるとともに、フレーム12の弾性力と弾性部材16の弾性力との相互作用により、指に作用する力を打ち消し合うことができる。したがって、本実施形態によれば、3点固定方式に依ることなく指を保持することが可能な手指関節矯正装具10を提供することができる。
なお、図3及び図4に示す例では、線状部材12c及び12dの近傍に、弾性力制限ベルト30a及び30bを有している。弾性力制限ベルト30a及び30bは、略U字形状の線状部材12c及び線状部材12dが弾性により広がろうとする力(略U字形状の幅を広げる方向に働く力)を制限する目的で配置される。このようなベルトを設けることにより、線状部材12c及び線状部材12dの弾性力を適切にコントロールするが可能となり、指関節の状態に合わせて、指関節に与える回転トルクを細やかに調整することができる。
弾性力制限ベルト30a及び30bは、例えば面ファスナーを用いて構成することができる。この場合も、脱落防止用ベルト18a及び18bと同様に、ベルト端部に雄部を設け、その他の部分に雌部を設けることが好ましい。また、例えば、弾性力制限ベルト30a及び30bの先端側裏面(フレーム12に接する側)の1/2の範囲に滑り止め加工を施してもよい。このような滑り止め加工を施しておくと、弾性力制限ベルト30a及び30bをフレーム12に巻き付けた際、弾性力に負けて裏面が滑り、弾性力制限ベルト30a及び30bが外れてしまうことを防ぐことができる。
<第2実施形態>
本実施形態では、フレーム12形状を第1実施形態とは異なるものとした手指関節矯正装具10bについて図6を用いて説明する。なお、本実施形態では、第1実施形態の手指関節矯正装具10との構成上の差異に注目して説明を行い、同じ構成については同じ符号を付して説明を省略する。
本実施形態では、フレーム12形状を第1実施形態とは異なるものとした手指関節矯正装具10bについて図6を用いて説明する。なお、本実施形態では、第1実施形態の手指関節矯正装具10との構成上の差異に注目して説明を行い、同じ構成については同じ符号を付して説明を省略する。
図6は、第3実施形態の手指関節矯正装具10bの構成を示す斜視図の一例である。図7に示されるように、本実施形態の手指関節矯正装具10bは、フレーム32、第1指吊り部材14a、第2指吊り部材14b、弾性部材16、並びに脱落防止用ベルト18a及び18bを含む。
本実施形態の手指関節矯正装具10bが第1実施形態の手指関節矯正装具10と異なる点は、本実施形態では、フレーム32が継ぎ目のない一体成型物で構成されている点である。このような構成とすることにより、日常生活において意図せず装具に対して衝撃等の外力が働いても、フレーム32が分解するといった不具合がない。また、部品点数を抑えてシンプルな構成とすることができるため、より安価に手指関節矯正装具10bを提供することができる。
また、本実施形態の手指関節矯正装具10bは、弾性部材16が連結されるフレーム32の第1部分32a及び第2部分32bの位置が、第1実施形態の手指関節矯正装具10よりも指から離れている。これにより、弾性部材16に働く収縮する方向の力を強めることができ、指関節(本実施形態では、PIP関節)の屈曲拘縮が頑固な場合であっても、指に負担をかけることなく、十分に強い力で指関節を伸展位に矯正することができる。
以上、本考案の実施形態について説明したが、本考案の実施形態として、上述した各実施形態の手指関節矯正装具を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったものも、本考案の要旨を備えている限り、本考案の範囲に含まれる。また、上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本考案によりもたらされるものと解される。
10、10a、10b…手指関節矯正装具、12…フレーム、12a〜12h…線状部材、13a〜13h…連結部材、14…指吊り部材、14a…第1指吊り部材、14b…第2指吊り部材、16…弾性部材、18、18a、18b…脱落防止用ベルト、20…指、25a…上方向に働く力、25b…下方向に働く力、27a、27b…収縮する方向に働く力、30a、30b…弾性力制限ベルト、32…フレーム、32a…第1部分、32b…第2部分
Claims (3)
- 線状部材で構成されたフレームと、
第1指吊り部材及び第2指吊り部材を含む複数の指吊り部材と、
前記フレームと前記複数の指吊り部材とを連結する伸縮可能な弾性部材と、
を備えた指関節用装具であって、
前記フレームは、前記弾性部材を介して前記第1指吊り部材に連結される線状の第1部分と、前記弾性部材を介して前記第2指吊り部材に連結される線状の第2部分と、前記第1部分の一端と前記第2部分の一端とに繋がる略U字状の第3部分と、前記第1部分の他端と前記第2部分の他端とに繋がる略U字状の第4部分とを含む、
手指関節矯正装具。 - 前記弾性部材の長さは、前記第1部分と前記第2部分との間の距離の1/2以下である、請求項1に記載の手指関節矯正装具。
- 前記フレームは、さらに、前記第1部分の一端と前記第3部分とを連結する第5部分と、前記第2部分の一端と前記第3部分とを連結する第6部分と、前記第1部分の他端と前記第4部分とを連結する第7部分と、前記第2部分の他端と前記第4部分とを連結する第8部分とを含む、請求項1又は2に記載の手指関節矯正装具。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018001490U JP3216972U (ja) | 2018-04-23 | 2018-04-23 | 手指関節矯正装具 |
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