JP3216569B2 - ビスカスカップリング - Google Patents

ビスカスカップリング

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JP3216569B2
JP3216569B2 JP11891097A JP11891097A JP3216569B2 JP 3216569 B2 JP3216569 B2 JP 3216569B2 JP 11891097 A JP11891097 A JP 11891097A JP 11891097 A JP11891097 A JP 11891097A JP 3216569 B2 JP3216569 B2 JP 3216569B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、車両の動力伝達
装置または差動装置または差動制限装置などに用いられ
るビスカスカップリングに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の四輪駆動車の動力伝達装置として
適用されるビスカスカップリングの一例が実開昭62−
200824号公報に記載されている。この公報に記載
されたビスカスカップリングは、外周面に外歯が形成さ
れた出力ハブ部材(軸部材)と、出力ハブ部材の外周側
に配置され、かつ、内周面に内歯が形成されたケーシン
グと、出力ハブ部材の外周面とケーシングの内周面との
間に形成された作動室と、出力ハブ部材の外歯にスプラ
イン嵌合する内歯が形成された複数のインナープレート
と、ケーシングの内歯にスプライン嵌合する外歯が形成
された複数のアウタープレートとを備えている。そし
て、複数のインナープレートと複数のアウタープレート
とが交互に配置され、作動室にシリコンオイルが充填さ
れている。
【0003】上記構成のビスカスカップリングにおい
て、ケーシングと出力ハブ部材との回転数が等しい場合
には、ケーシングのトルクは出力ハブ部材には伝達され
ない。一方、ケーシングと出力ハブ部材とに差動回転が
生じた場合は、複数のインナープレートと複数のアウタ
ープレートとが差動回転し、その回転差に応じてシリコ
ンオイルにせん断力が発生し、ケーシングのトルクが出
力ハブ部材に伝達される。
【0004】また、シリコンオイルのせん断力によるト
ルク伝達状態が長時間継続された場合は、シリコンオイ
ルの熱膨張による圧力でインナープレートおよびアウタ
ープレートが変形して相互に圧着される、いわゆるハン
プ現象が生じる。
【0005】一方、ビスカスカップリングにおいては、
出力ハブ部材の外歯とインナープレートの内歯との間、
およびケーシングの内歯とアウタープレートの外歯との
間に隙間が設定されている。この隙間は、ビスカスカッ
プリングの製造工程において、出力ハブ部材とインナー
プレートとのスプライン嵌合作業、およびケーシングと
アウタープレートとのスプライン嵌合作業を円滑に行う
ために設定されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ビスカスカ
ップリングの製造工程では、ケーシングおよび出力ハブ
が鍛造素材を機械加工して製造され、インナープレート
およびアウタープレートが鋼板を打ち抜き加工して製造
される。その後、インナープレートおよびアウタープレ
ートが研磨され、出力ハブの外歯とインナープレートの
内歯との間の隙間、およびケーシングの内歯とアウター
プレートの外歯との間の隙間が設定される。
【0007】ここで、インナープレートおよびアウター
プレートを加工する場合、インナープレートの内歯が出
力ハブの外歯の歯面を基準にして設定され、アウタープ
レートの外歯がケーシングの内歯の歯面を基準にして設
定されている。
【0008】しかしながら、ケーシングの内歯および出
力ハブ部材の外歯は、ブローチ加工などにより円周方向
に順次加工されたものであるため、各内歯または各外歯
の歯厚にバラツキがある。このため、インナープレート
の内歯と出力ハブ部材の外歯との間の半径方向の隙間、
またはアウタープレートの外歯とケーシングの内歯との
間の半径方向の隙間の設定精度が低下する。
【0009】その結果、ビスカスカップリングの組み立
て状態において、出力ハブ部材と複数のインナープレー
トとに半径方向の軸心ずれ(偏心)が生じたり、ケーシ
ングと複数のアウタープレートとに半径方向の軸心ずれ
(偏心)が生じたりして、各回転部材のバランス、つま
り動的釣り合い精度が低下し、ビスカスカップリングの
回転時に振動や騒音が生じる可能性があった。
【0010】この発明は上記事情を背景としてなされた
もので、ビスカスカップリングの組み立てが完了した状
態で、各回転部材の半径方向のアンバランスを抑制し、
回転時に振動や騒音が生じることを抑制することの可能
なビスカスカップリングを提供することを目的としてい
る。
【0011】
【課題を解決するための手段およびその作用】上記目的
を達成するため請求項1の発明は、外周面に外歯が形成
された軸部材と、この軸部材の外周側に相対回転可能に
配置され、かつ、内周面に内歯が形成されたケーシング
と、前記軸部材の外歯にスプライン嵌合する内歯が形成
された複数のインナープレートと、前記ケーシングの内
歯にスプライン嵌合する外歯が形成され、かつ、前記複
数のインナープレートと交互に配置された複数のアウタ
ープレートとを備えたビスカスカップリングにおいて、
前記複数のインナープレートの内歯の歯底面が、前記軸
部材の外歯の歯先面を基準にして設定されている。
【0012】請求項1の発明によれば、ビスカスカップ
リングの製造工程で半径方向の加工精度がほぼ均一に維
持された軸部材の外歯の歯先面を基準にして複数のイン
ナープレートの内歯の歯底面が設定されるため、各イン
ナープレートの内歯の歯底面の半径方向の加工精度が可
及的に高められ、軸部材の外歯の歯先面と、各インナー
プレートの内歯の歯底面との間に形成される半径方向の
隙間の設定精度が向上する。
【0013】したがって、ビスカスカップリングの組み
立てが完了した状態で、軸部材と複数のインナープレー
トとの半径方向の軸心ずれが可及的に抑制され、軸部材
側のバランス精度が向上して、軸部材およびインナープ
レートの回転時に生じる振動や騒音を抑制することが可
能になる。
【0014】また、請求項2の発明は、外周面に外歯が
形成された軸部材と、この軸部材の外周側に相対回転可
能に配置され、かつ、内周面に内歯が形成されたケーシ
ングと、前記軸部材の外歯にスプライン嵌合する内歯が
形成された複数のインナープレートと、前記ケーシング
の内歯にスプライン嵌合する外歯が形成され、かつ、前
記複数のインナープレートと交互に配置された複数のア
ウタープレートとを備えたビスカスカップリングにおい
て、前記複数のアウタープレートの外歯の歯底面が、前
記ケーシングの内歯の歯先面を基準にして設定されてい
ることを特徴とする。
【0015】請求項2の発明によれば、ビスカスカップ
リングの製造工程で半径方向の加工精度がほぼ均一に維
持されたケーシングの内歯の歯先面を基準にして複数の
アウタープレートの外歯の歯底面が設定されるため、各
アウタープレートの外歯の歯底面の半径方向の加工精度
が可及的に高められ、ケーシングの内歯の歯先面と、各
アウタープレートの外歯の歯底面との間に形成される半
径方向の隙間の設定精度が向上する。
【0016】したがって、ビスカスカップリングの組み
立てが完了した状態で、ケーシングと複数のアウタープ
レートとの半径方向の軸心ずれが可及的に抑制され、ケ
ーシング側のバランス精度が向上して、ケーシングおよ
びアウタープレートの回転時に生じる振動や騒音を抑制
することが可能になる。請求項3の発明は、請求項1の
構成に加えて、前記軸部材は、ハブであることを特徴と
するものである。請求項4の発明は、請求項3の構成に
加えて、前記ハブは、鍛造素材を機械加工して製造され
たものであることを特徴とするものである。請求項5の
発明は、請求項4の構成に加えて、前記ハブは、前記鍛
造素材を回転させるとともに、この鍛造素材の外周面を
旋盤加工により切削することにより、各外歯の歯先面の
半径方向の加工精度をほぼ均一に設定したものであるこ
とを特徴とするものである。請求項6の発明は、請求項
2の構成に加えて、前記ケーシングは、円筒形状の鍛造
素材の内周面をブローチ加工することにより、その内周
面に前記内歯を形成したものであることを特徴とするも
のである。請求項7の発明は、請求項6の構成に加え
て、前記ケーシングは、前記円筒形状の鍛造素材を回転
させるとともに、この鍛造素材の内周面を旋盤加工によ
り切削することにより、各内歯の歯先面の半径方向の加
工精度をほぼ均一に設定したものであることを特徴とす
るものである。
【0017】
【発明の実施の形態】つぎに、この発明を添付図面に基
づいて詳細に説明する。図3はこの発明のビスカスカッ
プリングを、スタンバイ四輪駆動車の動力伝達装置に適
用した場合を示す断面図である。このスタンバイ四輪駆
動車には、プロペラシャフト1とデファレンシャルキャ
リヤ2とが搭載されている。プロペラシャフト1の後端
には、フックジョイント3を介してコンパニオンフラン
ジ4が取り付けられている。
【0018】一方、デファレンシャルキャリヤ2の内部
にはドライブピニオンシャフト5が配置され、デファレ
ンシャルキャリヤ2の前方の開口端には円筒形状のカバ
ー6が固定されている。そして、デファレンシャルキャ
リヤ2の内部およびカバー6の内部に亘りビスカスカッ
プリング7が配置されている。以下、ビスカスカップリ
ング7の構成を具体的に説明する。
【0019】ビスカスカップリング7は、円筒形状のケ
ーシング8と、環状のフロントカバー9と、円筒形状の
リヤカバー10と、円筒形状のハブ(軸部材)11とを
備えている。環状のフロントカバー9は、ケーシング8
のプロペラシャフト1側に固定され、リヤカバー10
は、ケーシング8のデファレンシャルキャリヤ2側に固
定されている。
【0020】また、ハブ11は、ケーシング8およびフ
ロントカバー9およびリヤカバー10の内部に亘って配
置されている。これら、ケーシング8およびフロントカ
バー9およびリヤカバー10およびハブ11は、クロム
モリブデン鋼などの鍛造素材を機械加工して製造されて
いる。ケーシング8およびフロントカバー9およびリヤ
カバー10およびハブ11の摺動箇所には軟窒化処理が
施されて強度や耐摩耗性が向上されている。
【0021】フロントカバー9の外周にはフランジ12
が形成され、フランジ12の外周端がケーシング8の一
方の開口端に溶接して固定されている。また、カバー6
の内周にはラジアル軸受13が固定されており、ラジア
ル軸受13によりフロントカバー9が回転可能に保持さ
れている。そして、フロントカバー9の外端面には、ボ
ルト14によりコンパニオンフランジ4が固定されてい
る。なお、フロントカバー9にはシリコンオイル注入孔
(図示せず)が形成されている。
【0022】前記リヤカバー10の外周にはフランジ1
5が形成されており、フランジ15の外周端がケーシン
グ8の他方の開口端に溶接して固定されている。また、
デファレンシャルキャリヤ2の内周にはラジアル軸受1
6が固定されており、ラジアル軸受16によりリヤカバ
ー10が回転可能に保持されている。
【0023】前記ハブ11は軸線Aを中心として回転可
能に配置されており、ハブ11の内周にはドライブピニ
オンシャフト5の先端がスプライン嵌合されている。一
方、フロントカバー9の内周には円筒形状のブッシュ1
7が固定され、リヤカバー10の内周には円筒形状のブ
ッシュ18が固定されている。そして、ブッシュ17,
18によりハブ11の軸線A方向の両端が回転可能に保
持されている。
【0024】また、フロントカバー9の内周におけるブ
ッシュ17よりもリヤカバー10側の位置にはXリング
19が装着されている。このXリング19によりハブ1
1とフロントカバー9との間が液密にシールされてい
る。さらに、リヤカバー10の内周におけるブッシュ1
8よりもフロントカバー9側の位置にはXリング20が
装着されている。このXリング20により、ハブ11と
リヤカバー10との間が液密にシールされている。
【0025】上記のようにして、ハブ11とケーシング
8およびフロントカバー9およびリヤカバー10とが軸
線Aを中心として相対回転可能に構成されている。そし
て、ハブ11とケーシング8とフロントカバー9とリヤ
カバー10とケーシング8により取り囲まれ、かつ、X
リング19およびXリング20により液密にシールされ
た環状の空間に粘性流体室Bが形成されている。粘性流
体室B内には粘性流体としてのシリコンオイル(図示せ
ず)が、粘性流体室Bの容積の80ないし90%程度の
充填率で充填されている。
【0026】前記ハブ11の外周、つまり粘性流体室B
に対面する位置には外歯21が形成されている。また、
粘性流体室Bには環状のインナープレート22が複数配
置されており、各インナープレート22の内歯23が外
歯21にスプライン嵌合されている。各インナープレー
ト22の外径は、ケーシング8の内径よりも小さく設定
されている。さらに、各インナープレート22の外周に
は、円周方向に所定間隔をおいて複数のスリット(図示
せず)が形成されている。なお、各インナープレート2
2は、特殊鋼の薄板をプレス成形により打ち抜いた後に
焼き入れおよび焼戻し、さらには軟窒化処理が施されて
強度および耐摩耗性を向上させたものが用いられてい
る。
【0027】前記ケーシング8の内周、つまり粘性流体
室Bに対面する位置には内歯24が形成されている。ま
た、粘性流体室Bには環状のアウタープレート25が複
数配置されており、各アウタープレート25の外歯26
が内歯24にスプライン嵌合されている。各アウタープ
レート25の内径は、ハブ11の外径よりも大きく設定
されている。さらに、各アウタープレート25の内周に
は、円周方向に所定間隔をおいて複数のスリット(図示
せず)が形成されている。なお、各アウタープレート2
5は、特殊鋼の薄板をプレス成形により打ち抜いた後に
焼き入れ、焼戻し、軟窒化処理が施されて強度および耐
摩耗性を向上させたものが用いられている。
【0028】上記各インナープレート22と各アウター
プレート25とが軸線A方向に交互に配置されている。
そして、各アウタープレート25同士の間における各イ
ンナープレート22の外周側にスペーサリング27が各
々配置されている。各スペーサリング27の軸線A方向
の断面形状がほぼ円形に構成され、スペーサリング27
の内径が、各インナープレート22の外径よりも大きく
設定されている。このスペーサリング27により、各ア
ウタープレート25同士の軸線A方向の間隔が所定の値
に維持されている。なお、リヤカバー10と、リヤカバ
ー10に対面する位置に配置されているアウタープレー
ト25との間には、環状の受圧板28が配置されてい
る。
【0029】ここで、上記構成のビスカスカップリング
7の動作を説明する。プロペラシャフト1の回転数とド
ライブピニオンシャフト5との回転数が等しい場合に
は、各アウタープレート25と各インナープレート22
との回転数も等しく、プロペラシャフト1のトルクはド
ライブピニオンシャフト5には伝達されない。つまり、
二輪駆動状態になる。
【0030】一方、前輪(図示せず)がスリップしてプ
ロペラシャフト1とドライブピニオンシャフト5とに差
動回転が生じた場合は、各アウタープレート25と各イ
ンナープレート22とが差動回転し、その回転差に応じ
てシリコンオイルにせん断力が発生し、プロペラシャフ
ト1のトルクがハブ11を介してドライブピニオンシャ
フト5に伝達される。つまり、四輪駆動状態になる。
【0031】また、シリコンオイルのせん断力によるト
ルク伝達状態が長時間継続された場合は、シリコンオイ
ルの圧力上昇により各インナープレート22および各ア
ウタープレート25が変形して相互に圧着される、いわ
ゆるハンプ現象が生じる。
【0032】つぎに、ビスカスカップリング7の製造工
程を説明する。まず、ケーシング8およびハブ11は鍛
造素材を機械加工して製造される。具体的には、旋盤加
工およびブローチ加工により円筒部材の内周面に内歯が
形成され、内歯の研磨が行われる。また、インナープレ
ート22およびアウタープレート25を製造する場合
は、鋼板をプレスで打ち抜いて外歯および内歯が成形さ
れ、この内歯および外歯が研磨される。
【0033】上記加工により成形されたインナープレー
ト22がハブ11にスプライン嵌合される。また、アウ
タープレート25がケーシング8にスプライン嵌合され
る。ついで、フロントカバー9およびリヤカバー10が
ケーシング8に溶接固定され、粘性流体室Bにシリコン
オイルが充填されてビスカスカップリング7の組み立て
が完了する。
【0034】図1は、ビスカスカップリング7の組み立
て状態におけるハブ11とインナープレート22とを示
す部分的な断面図である。前述したように、ビスカスカ
ップリング7の製造工程では、鍛造素材が回転され、そ
の外周面が旋盤加工に切削されるため、各外歯21の歯
先面21Aの半径方向の加工精度がほぼ均一に設定され
る。そして、各外歯21の歯先面21Aを基準にして各
内歯23の歯底面23Aが加工される。
【0035】このため、内歯23の歯底面23Aの半径
方向の加工精度が可及的に高められ、外歯21の歯先面
21Aと、内歯23の歯底面23Aとの間に形成される
半径方向の隙間Cの設定精度が向上する。つまり、隙間
Cを、インナープレート22をハブ11にスプライン嵌
合する作業を円滑に行うために必要な最低限の値に設定
することが可能になる。
【0036】図2は、ビスカスカップリング7の組み立
て状態におけるアウタープレート25とケーシング8と
を示す部分的な断面図である。前述したように、ビスカ
スカップリング7の製造工程では、鍛造素材が回転さ
れ、その内周面が旋盤加工に切削されるため、各内歯2
4の歯先面24Aの半径方向の加工精度がほぼ均一に設
定される。そして、各内歯24の歯先面24Aを基準に
して各外歯26の歯底面26Aが加工される。このた
め、外歯26の歯底面26Aの半径方向の加工精度が可
及的に高められ、内歯24の歯先面24Aと、外歯26
の歯底面26Aとの間に形成される半径方向の隙間Dの
設定精度が向上する。つまり、隙間Dを、アウタープレ
ート25をケーシング8にスプライン嵌合する作業を円
滑に行うために必要な最低限の値に設定することが可能
になる。
【0037】また、前記のように、各外歯21の歯先面
21Aを基準にして各内歯23の歯底面23Aが加工さ
れて、内歯23の歯底面23Aの半径方向の加工精度が
可及的に高められ、外歯21の歯先面21Aと、内歯2
3の歯底面23Aとの間に形成される半径方向の隙間C
の設定精度が向上しているとともに、各内歯24の歯先
面24Aを基準にして各外歯26の歯底面26Aが加工
されて、外歯26の歯底面26Aの半径方向の加工精度
が可及的に高められ、内歯24の歯先面24Aと、外歯
26の歯底面26Aとの間に形成される半径方向の隙間
Dの設定精度が向上している。このため、ビスカスカッ
プリング7の組み立てが完了した場合、ハブ11と各イ
ンナープレート22との半径方向の軸心ずれ(偏心)が
可及的に抑制され、かつ、ケーシング8と各アウタープ
レート25との半径方向の軸心ずれ(偏心)が可及的に
抑制され、ケーシング8およびハブ11のバランス、言
い換えれば動的釣り合い精度が向上する。したがって、
ビスカスカップリング7の回転中において、各インナー
プレート22、各アウタープレート25の半径方向の振
動や騒音が抑制され、車両の走行中における振動特性や
騒音特性が改善される。
【0038】また、上記実施例では、フロントカバー9
の内周に固定されたブッシュ19と、リヤカバー10の
内周に固定されたブッシュ20とにより、ハブ11が保
持されている。このため、フロントカバー9およびリヤ
カバー10とハブ11との相対回転によりブッシュ19
またはブッシュ20が摩耗する場合がある。この場合
は、ブッシュ19またはブッシュ20を未摩耗品に交換
することで、フロントカバー9およびリヤカバー10と
ハブ11との半径方向の位置ずれや振動が抑制され、ビ
スカスカップリング7のトルク伝達機能が良好に維持さ
れる。
【0039】なお、図3に示されたビスカスカップリン
グ7においては、各インナープレート22の内歯23の
歯底面23Aを、ハブ11の外歯21の歯先面21Aを
基準にして設定する第1の構成と、各アウタープレート
25の外歯26の歯底面26Aが、ケーシング8の内歯
24の歯先面24Aを基準にして設定する第2の構成と
が両方とも適用されているが、いずれか一方の構成のみ
を適用することも可能である。
【0040】さらに、この発明のビスカスカップリング
は、四輪駆動車のセンターデファレンシャルの差動制限
装置として用いたり、フロントデファレンシャルまたは
リヤデファレンシャルの差動制限装置として用いること
も可能である。
【0041】
【発明の効果】以上のように請求項1の発明によれば、
ビスカスカップリングの製造工程で半径方向の加工精度
がほぼ均一に維持された軸部材の外歯の歯先面を基準に
して複数のインナープレートの内歯の歯底面が設定され
るため、各インナープレートの内歯の歯底面の半径方向
の加工精度が可及的に高められ、軸部材の外歯の歯先面
と、各インナープレートの内歯の歯底面との間に形成さ
れる半径方向の隙間の設定精度が向上する。
【0042】したがって、ビスカスカップリングの組み
立てが完了した状態において、軸部材と複数のインナー
プレートとの半径方向の軸心ずれが可及的に抑制され、
軸部材側のアンバランスが抑制されて軸部材およびイン
ナープレートの回転時に生じる振動や騒音を抑制するこ
とが可能になる。
【0043】また、請求項2の発明によれば、ビスカス
カップリングの製造工程で半径方向の加工精度がほぼ均
一に維持されたケーシングの内歯の歯先面を基準にして
複数のアウタープレートの外歯の歯底面が設定されるた
め、各アウタープレートの外歯の歯底面の半径方向の加
工精度が可及的に高められ、ケーシングの内歯の歯先面
と、各アウタープレートの外歯の歯底面との間に形成さ
れる半径方向の隙間の設定精度が向上する。
【0044】したがって、ビスカスカップリングの組み
立てが完了した状態において、ケーシングと複数のアウ
タープレートとの半径方向の軸心ずれが可及的に抑制さ
れ、ケーシング側のアンバランスが抑制されてケーシン
グおよびアウタープレートの回転時に生じる振動や騒音
を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のビスカスカップリングに用いられる
ハブおよびインナープレートの嵌合部分を示す断面図で
ある。
【図2】この発明のビスカスカップリングに用いられる
ケーシングおよびアウタープレートの嵌合部分を示す断
面図である。
【図3】この発明のビスカスカップリングを、スタンバ
イ四輪駆動車のプロペラシャフトとデファレンシャルキ
ャリヤとの間に配置した実施例の断面図である。
【符号の説明】
21,26 外歯 11 ハブ 23,24 内歯 8 ケーシング 22 インナープレート 25 アウタープレート 23A,26A 歯底面 21A,24A 歯先面
フロントページの続き (72)発明者 尾崎 俊昭 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 加納 盟之 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 市川 晶彦 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−187340(JP,A) 実開 昭62−200824(JP,U) 実開 平2−94940(JP,U) 実開 平7−12633(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16D 35/00

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外周面に外歯が形成された軸部材と、こ
    の軸部材の外周側に相対回転可能に配置され、かつ、内
    周面に内歯が形成されたケーシングと、前記軸部材の外
    歯にスプライン嵌合する内歯が形成された複数のインナ
    ープレートと、前記ケーシングの内歯にスプライン嵌合
    する外歯が形成され、かつ、前記複数のインナープレー
    トと交互に配置された複数のアウタープレートとを備え
    たビスカスカップリングにおいて、 前記複数のインナープレートの内歯の歯底面が、前記軸
    部材の外歯の歯先面を基準にして設定されていることを
    特徴とするビスカスカップリング。
  2. 【請求項2】 外周面に外歯が形成された軸部材と、こ
    の軸部材の外周側に相対回転可能に配置され、かつ、内
    周面に内歯が形成されたケーシングと、前記軸部材の外
    歯にスプライン嵌合する内歯が形成された複数のインナ
    ープレートと、前記ケーシングの内歯にスプライン嵌合
    する外歯が形成され、かつ、前記複数のインナープレー
    トと交互に配置された複数のアウタープレートとを備え
    たビスカスカップリングにおいて、 前記複数のアウタープレートの外歯の歯底面が、前記ケ
    ーシングの内歯の歯先面を基準にして設定されているこ
    とを特徴とするビスカスカップリング。
  3. 【請求項3】 前記軸部材は、ハブであることを特徴と
    する請求項1に記載のビスカスカップリング。
  4. 【請求項4】 前記ハブは、鍛造素材を機械加工して製
    造されたものであることを特徴とする請求項3に記載の
    ビスカスカップリング。
  5. 【請求項5】 前記ハブは、前記鍛造素材を回転させる
    とともに、この鍛造素材の外周面を旋盤加工により切削
    することにより、各外歯の歯先面の半径方向の加工精度
    をほぼ均一に設定したものであることを特徴とする請求
    項4に記載のビスカスカップリング。
  6. 【請求項6】 前記ケーシングは、円筒形状の鍛造素材
    の内周面をブローチ加工することにより、その内周面に
    前記内歯を形成したものであることを特徴とする請求項
    2に記載のビスカスカップリング。
  7. 【請求項7】 前記ケーシングは、前記円筒形状の鍛造
    素材を回転させ るとともに、この鍛造素材の内周面を旋
    盤加工により切削することにより、各内歯の歯先面の半
    径方向の加工精度をほぼ均一に設定したものであること
    を特徴とする請求項6に記載のビスカスカップリング。
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