JP3195561B2 - 粘性継手 - Google Patents

粘性継手

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JP3195561B2
JP3195561B2 JP10386197A JP10386197A JP3195561B2 JP 3195561 B2 JP3195561 B2 JP 3195561B2 JP 10386197 A JP10386197 A JP 10386197A JP 10386197 A JP10386197 A JP 10386197A JP 3195561 B2 JP3195561 B2 JP 3195561B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、車両の動力伝達
装置または差動装置または差動制限装置などに適用され
る粘性継手に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、四輪駆動車の差動制限装置に
は、デフケースに入力されるトルクに比例して差動を制
限する力が生じる形式のトルク比例式と、左右または前
後の入出力軸の回転速度差により差動を制限する力が生
じる形式の差動回転速度感応式とがある。ここで、差動
回転速度感応式に適用される具体的な構成として粘性継
手が挙げられる。
【0003】この粘性継手は、相対回転可能に配置され
たケーシングおよび軸部材と、ケーシングと軸部材との
間に形成された粘性流体室と、ケーシングに取り付けら
れた円板状のアウタープレートと、軸部材に取り付けら
れた円板状のインナープレートとを備えている。そし
て、アウタープレートとインナープレートとに差動回転
が生じた場合は、粘性流体にせん断力が生じてトルク伝
達が行われ、インナープレートとアウタープレートとの
相対回転が抑制される。
【0004】ところで、上記のような粘性継手において
は、高車速化に伴って粘性継手の全体回転速度が上昇
し、遠心力により粘性流体が粘性流体室の外周側に移動
する。また、粘性継手に所定の回転差が生じている場合
は、アウタープレートおよびインナープレートの半径方
向の外周側ほど両プレート間の相対周速度が速くなる。
このため、高速走行時の差動回転により粘性流体のせん
断力が増大し、かつ、せん断力の発生半径の増大により
伝達トルクが増大される。その結果、粘性継手の発熱や
燃費の低下を招く可能性がある。
【0005】そこで、粘性継手においては、高速回転時
における伝達トルクの増大を抑制する機能を備えている
ことが好ましい。また、粘性継手はインナープレートと
アウタープレートとの間に導入される粘性流体のせん断
力によりトルク伝達が行われる。したがって、インナー
プレートとアウタープレートとの間に適量の粘性流体を
導入する機能を備えていることが好ましい。
【0006】上記2つの機能を得ることの可能な粘性継
手の一例が実開平5−3660号公報に記載されてい
る。また、他の従来技術として、実開昭47−203号
公報と特開昭62−98033号公報とが例示される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、実開平
5−3660号公報に記載された粘性継手は、アウター
プレートの内周側から外周側に向けてスリットの開口幅
が広くなるように設定されている。このため、スリット
同士の間の強度が低下し、粘性継手の全体回転速度の上
昇により遠心力が増大すると、アウタープレートの一部
が、スリットの半径方向の外端同士の間を支点として軸
線方向に弾性変形し、インナープレートに当接する恐れ
があった。したがって、粘性継手の高速回転時にトルク
が増大する可能性があった。
【0008】また、実開昭47−203号公報に記載さ
れた粘性継手は、アウタープレートのスリット同士の間
に孔が配置されて、スリット同士の間の強度(剛性)が
弱められている。このため、粘性継手の全体回転速度が
上昇して遠心力が増大すると、アウタープレートの一部
が、スリットの半径方向の外端同士の間を支点として軸
線方向に弾性変形し、インナープレートに当接する恐れ
があった。したがって、粘性継手の高速回転時にトルク
が増大する可能性があった。
【0009】さらに、特開昭62−98033号公報に
記載された粘性継手は、アウタープレートの半径方向の
異なる位置に複数の孔が形成されている。このため、ア
ウタープレートの強度が弱められ、遠心力によりアウタ
ープレートが軸線方向に弾性変形しやすく、インナープ
レートに当接する恐れがあった。したがって、粘性継手
の高速回転時にトルクが増大する可能性があった。
【0010】この発明は上記事情を背景としてなされた
もので、アウタープレートとインナープレートとの間に
粘性流体を導入する機能を促進し、かつ、全体回転速度
の変化に起因する伝達トルクの変動を抑制することの可
能な粘性継手を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段およびその作用】上記目的
を達成するため請求項1の発明は、回転可能なケーシン
グと、このケーシングの内部に回転可能に配置された軸
部材と、前記ケーシングと前記軸部材との間に形成さ
れ、かつ、粘性流体が充填される粘性流体室と、この粘
性流体室に配置され、かつ、前記ケーシングに取り付け
られた円板状のアウタープレートと、前記粘性流体室に
配置され、かつ、前記軸部材に取り付けられた円板状の
インナープレートとを備え、前記アウタープレートに、
このアウタープレートの内周端に開口されたスリット
と、このアウタープレートの厚さ方向に貫通された孔と
が形成されている粘性継手において、前記アウタープレ
ートの半径方向における前記孔の位置が、前記アウター
プレートの半径方向における前記スリットの位置よりも
外周側に設定されていることを特徴とする。
【0012】請求項1の発明によれば、アウタープレー
トの内周に開口されたスリットにより、粘性流体をアウ
タープレートとインナープレートとの間に導入する機能
が促進される。
【0013】また、アウタープレートに形成された孔に
より、アウタープレートの外周側のトルク伝達面積が可
及的に狭められている。したがって、粘性継手の全体回
転速度が上昇して遠心力が高められ、粘性流体が粘性流
体室の外周側に移動した状態において、アウタープレー
トとインナープレートとが差動回転して粘性流体のせん
断力が生じた場合でも、伝達トルクの上昇が抑制され
る。
【0014】さらに、孔がスリットよりも外周側に配置
されているため、アウタープレートのスリット同士の間
の強度(剛性)の低下が抑制される。このため、粘性継
手の全体回転速度が上昇して遠心力が増大した場合で
も、アウタープレートの一部が、スリット同士の間を支
点として軸線方向に変形することが抑制される。したが
って、粘性継手の高速回転時における伝達トルクの抑制
機能が一層向上する。
【0015】請求項2の発明は、請求項1の構成に加
え、前記孔の開口形状がほぼ円形に構成され、前記孔の
中心が、前記アウタープレートの半径方向における前記
スリットの外端よりも外周側に設定されていることを特
徴とする。
【0016】請求項2の発明によれば、孔の開口形状が
円形であり、請求項1と同様の作用を得られる。
【0017】請求項3の発明は、請求項1の構成に加
え、前記アウタープレートの円周方向における前記孔の
開口幅が、前記アウタープレートの半径方向の内周側か
ら外周側に向けて広く設定されていることを特徴とす
る。
【0018】請求項3の発明によれば、請求項1と同様
の作用を得られるほか、孔により、アウタープレートの
トルク伝達面積が内周側から外周側に向けて可及的に狭
められている。したがって、粘性継手の全体回転速度が
増大されて粘性流体が粘性流体室の外周側に移動した場
合でも、トルクの増大を抑制する機能が一層向上する。
【0019】
【発明の実施の形態】つぎに、この発明の粘性継手を添
付図面に基づいて詳細に説明する。この発明の粘性継手
は、四輪駆動車の前後車輪間の動力伝達装置または差動
制限装置、もしくは二輪駆動車の左右車輪の差動制限装
置などに適用される。
【0020】図9はこの発明の粘性継手であるビスカス
カップリング1を、スタンバイ四輪駆動車の前後車輪間
の動力伝達装置に適用した場合の概略構成を示す断面図
である。
【0021】ビスカスカップリング1は、ケーシング2
とフロントカバー3とリヤカバー4とハブ(軸部材)5
とを備えている。ケーシング2は円筒形状に構成され、
ケーシング2の一方の開口端にフロントカバー3が固定
され、ケーシング2の他方の開口端にリヤカバー4が固
定されている。つまり、ケーシング2とフロントカバー
3とリヤカバー4とが一体回転可能に構成されている。
【0022】フロントカバー3の外部端面には、ボルト
6によりフランジヨーク7が固定されている。フランジ
ヨーク7は、図示しないプロペラシャフトに連結され
る。前記ハブ5の一端がフロントカバー3の内周に回転
可能に配置され、ハブ5の他端がリヤカバー4の内周に
回転可能に配置されている。つまり、ケーシング2およ
びフロントカバー3およびリヤカバー4とハブ5とが、
軸線A1を中心として相対回転可能に構成されている。
【0023】また、ハブ5の内周には、リヤカバー4側
に配置されたデファレンシャルのドライブピニオンギヤ
8がスプライン嵌合されている。つまり、ハブ5とドラ
イブピニオンギヤ8とが一体回転可能に構成されてい
る。なお、前記フロントカバー3の内周には盲蓋9が嵌
合固定されている。
【0024】上記ケーシング2とフロントカバー3とリ
ヤカバー4とハブ5とにより取り囲まれた環状の空間に
粘性流体室10が形成されている。リヤカバー4には注
入孔11が形成され、シリコンオイル(粘性流体)およ
び空気が、注入孔11を介して粘性流体室10に注入さ
れている。粘性流体室10の容積に対するシリコンオイ
ルの充填率は、70ないし90%程度に設定されてい
る。
【0025】前記注入孔11は、シリコンオイルおよび
空気の注入後にボール12により封鎖されている。ま
た、フロントカバー3の内周面にはXリング13が取り
付けられ、リヤカバー4の内周面にはXリング13が取
り付けられている。このXリング13により、粘性流体
室10のハブ5側が液密にシールされている。
【0026】そして、粘性流体室10内には、複数のア
ウタープレート14と、複数のインナープレート15と
が配置されている。複数のアウタープレート14は、軸
線A1を中心とする円板形状に構成され、複数のアウタ
ープレート14の外周が、ケーシング2の内周にスプラ
イン嵌合されている。なお、各アウタープレート14同
士の間にはスペーサリング16が配置されている。
【0027】複数のインナープレート15は、軸線A1
を中心とする円板形状に構成され、複数のインナープレ
ート15の内周が、ハブ5の外周にスプライン嵌合され
ている。そして、各アウタープレート14と各インナー
プレート15とが、軸線A1方向に交互に配置されてい
る。各アウタープレート14および各インナープレート
15は、鋼板をプレス成形により打ち抜いた後に熱処理
が施され、強度や耐摩耗性が向上されている。
【0028】図1は前記アウタープレート14の側面図
である。アウタープレート14の外周には外歯18が形
成されている。また、アウタープレート14の内周端に
はスリット19が複数開口されている。各スリット19
は、アウタープレート14の円周方向にほぼ等間隔おき
に形成されている。各スリット19は、アウタープレー
ト19の内周端から外周側に向けて放射状にほぼ等間隔
で配置されている。
【0029】また、アウタープレート14の半径方向に
おける各スリット19の長さがほぼ同一に設定されてい
る。そして、アウタープレート14の円周方向における
各スリット19の幅C1がほぼ同一に設定されている。
各スリット19の外周端がほぼ半円形に構成されてお
り、各スリット19の直線部分の外端同士を結ぶ線分D
1の長さE1と、線分D1とアウタープレート14の内
周端との直交距離F1とがほぼ同じ長さに設定されてい
る。
【0030】さらに、アウタープレート14には厚さ方
向、つまり軸線A1方向に貫通する孔21が複数形成さ
れている。各孔21はアウタープレート14の同一円周
上にほぼ等間隔おきに配置されている。また、各孔21
の開口形状がほぼ円形に構成され、各孔21の中心が、
アウタープレート14の半径方向におけるスリット19
の外端20よりも外側に配置されている。さらに、各孔
21の開口径(内径)がほぼ同一に設定されている。
【0031】そして、各孔21の開口径が各スリット1
9の幅C1よりも大きく設定されている。さらに、各ス
リット19と各孔21とが、アウタープレート14の半
径方向の異なる位置に交互に配置されている。さらにま
た、アウタープレート14の半径方向における各孔21
の位置が、アウタープレート14の半径方向における各
スリット19の位置よりも外側に設定されている。
【0032】各孔21と各スリット19との位置関係を
より具体的に説明すれば、アウタープレート14の半径
方向における各孔21の内端22を、隣り合うスリッ
19の外端20同士を結ぶ線分(図示せず)よりも外側
に配置する構成と、各孔21の内接円(図示せず)を、
各スリット19の外接円(図示せず)よりも外側に配置
する構成とが例示される。
【0033】上記の2つの構成のいずれが選択された場
合においても、隣り合うスリット19同士の間には孔
1が存在せず、アウタープレート14の隣り合うスリッ
ト19同士の間、特にスリット19の外端20同士の間
の強度(剛性)が確保される。なお、各インナープレー
ト15には外周端に開口するスリット(図示せず)が、
円周方向にほぼ等間隔おきに複数形成されている。
【0034】つぎに、上記構成のビスカスカップリング
1の動作を説明する。まず、アウタープレート14の回
転速度とインナープレート15の回転速度とがほぼ同一
に維持されている状態では、粘性流体室10のシリコン
オイルにせん断力が発生しない。したがって、ケーシン
グ2からハブ5に対してトルクは伝達されない。
【0035】また、アウタープレート14とインナープ
レート15とに回転速度差が生じた場合は、粘性流体室
10内のシリコンオイルにせん断力が生じる。したがっ
て、シリコンオイルのせん断力に応じたトルクがケーシ
ング2からハブ5に伝達される。
【0036】上記のようにビスカスカップリング2によ
りトルク伝達が行われる場合、アウタープレート14の
内周に開口されたスリット19により、シリコンオイル
をアウタープレート14とインナープレート15との間
に導入する機能が促進される。
【0037】また、アウタープレート14に形成された
孔21により、アウタープレート14の外周側のトルク
伝達面積が可及的に狭められている。しがたって、ビス
カスカップリング2の全体回転速度が上昇して遠心力が
高められ、シリコンオイルが粘性流体室10の外周側に
移動した状態において、アウタープレート14とインナ
ープレート15とが差動回転されてシリコンオイルのせ
ん断力が生じた場合でも、伝達トルクの上昇が抑制され
る。つまり、ビスカスカップリング1の全体回転速度の
変化に関わりなく、伝達トルクをほぼ均一に維持するこ
とが可能になる。したがって、車両の高速走行時におけ
るビスカスカップリング2の発熱が抑制され、また、こ
れに伴う燃費低下を抑制することができる。
【0038】さらに、アウタープレート14の半径方向
における各孔21の位置が、アウタープレート14の半
径方向における各スリット19の位置よりも外周側に設
定されているため、アウタープレート14の隣り合うス
リット19同士の間の強度(剛性)が確保されている。
【0039】このため、ビスカスカップリング1の全体
回転速度が上昇して遠心力が増大した場合でも、アウタ
ープレート14の一部が、隣り合うスリット19同士の
外周端を支点として軸線A1方向に変形することが抑制
される。つまり、アウタープレート14の内周側がイン
ナープレート15に当接する不具合が生じない。したが
って、ビスカスカップリング1の全体回転速度が増大し
た場合における伝達トルクの抑制機能が一層向上する。
【0040】なお、前述の効果により、アウタープレー
ト14とインナープレート15とが当接して生じる摩耗
や、発熱によるシリコンオイルの劣化を未然に防止する
ことができる。
【0041】図2は、比較例および実施例のアウタープ
レートをほぼ水平に保持し、アウタープレートの内周端
に加えた荷重と、隣り合うスリット同士の外端を支点と
してアウタープレートの一部が変形する変形量との関係
を示す線図である。図2に破線で示す比較例のアウター
プレートの構成を図3に示す。図3に示すアウタープレ
ート100は、その内周側にほぼ放射状に配置された複
数のスリット101を備えており、各スリット101の
外端がほぼ円形に構成されている。そして、各スリット
101の外端同士を接続する線分G1の長さH1より
も、この線分G1からアウタープレート100の内周端
までの直交距離J1のほうが長く設定されている。
【0042】一方、実線で示す実施例のアウタープレー
ト14は、各スリット19の直線部分の外端同士を結ぶ
線分D1の長さE1と、線分D1とアウタープレート1
4の内周端との直交距離F1とがほぼ同じ長さに設定さ
れている。
【0043】この発明の発明者等の実験によれば、図2
の線図に示すように、荷重の大小に関わらず、比較例の
アウタープレート100の変形量よりも、実施例のアウ
タープレート14の変形量の方が少ないことが認められ
た。つまり、実施例のアウタープレート14の強度が比
較例のアウタープレート100の強度よりも強く、アウ
タープレートがインナープレートに接触しにくいことが
分かる。
【0044】図4は、ビスカスカップリングの全体回転
速度とトルク比との関係を示す線図である。比較例のア
ウタープレートは図3と同様に構成されている。ここ
で、トルク比とは、アウタープレートとインナープレー
トとに所定の差動回転が生じ、かつ全体が回転している
場合の発生トルクと、所定の差動回転が生じてケーシン
グ2が静止している場合のトルクの比である。このトル
ク比は、前者を後者で除して算出される値である。
【0045】比較例のアウタープレート100によれ
ば、全体回転速度の増大に伴ってシリコンオイルが粘性
流体室の外周側に移動してせん断力が増大され、かつ、
遠心力によりアウタープレート100の一部が軸線方向
に変形してインナープレートに接触するため、全体回転
速度の増大に対応してトルク比が増大する。
【0046】これに対して、実施例のアウタープレート
14によれば、孔22がスリット19の外周側に配置さ
れている。このため、アウタープレート14の外周側の
トルク伝達面積が可及的に狭められ、かつ、遠心力によ
りアウタープレート14の一部がスリット19の外端同
士の間を支点として軸線A1方向に変形しにくく、トル
ク比の増大割合が比較例よりも少ないことが判明した。
【0047】図5は、アウタープレート14の他の構成
例を示す側面図である。図5に示されたアウタープレー
ト14においては、スリット19の幅C1と孔21の開
口径とがほぼ同一に設定されている。そのほかの構成は
図1のアウタープレート14と同様である。図5に示さ
れたアウタープレート14においても、図1に示された
アウタープレート14と同様の作用効果を得られる。
【0048】図6は、アウタープレート14Aの他の構
成例を示す側面図である。アウタープレート14Aに
は、スリット19の外周側のほぼ同一円周上に孔23が
複数配置されている。各孔23の開口形状がほぼ台形状
に構成され、各孔23の円周方向の開口幅が内周側から
外周側に向けて広く設定されている。そして、アウター
プレート14Aの半径方向の異なる位置に各孔23と各
スリット19とが配置されている。なお、そのほかの構
成は図1の実施例と同様である。
【0049】図6の実施例においても、図1の実施例と
同様の作用効果を得られる。また、図6の実施例によれ
ば、各孔23の円周方向の開口幅が内周側から外周側に
向けて広く設定されているため、アウタープレート14
の内周側から外周側に向けててトルク伝達面積が漸減さ
れ、ビスカスカップリング2の高速回転時における伝達
トルク抑制機能が一層向上する。
【0050】図7は、アウタープレート14Bの他の構
成例を示す側面図である。アウタープレート14Bに
は、スリット19の外周側のほぼ同一円周上に孔24が
複数配置されている。各孔24の開口形状がほぼ扇形状
に構成され、各孔24の円周方向の開口幅が内周側から
外周側に向けて広く設定されている。
【0051】そして、アウタープレート14Bの半径方
向の異なる位置に各孔24と各スリット19とが配置さ
れている。なお、そのほかの構成は図1の実施例と同様
である。図7の実施例においても、図1の実施例および
図6の実施例と同様の作用効果を得られる。
【0052】図8は、アウタープレート14Cの他の構
成例を示す側面図である。アウタープレート14Cに
は、スリット19の外周側のほぼ同一円周上に孔25が
複数配置されている。各孔25の開口形状がほぼ三角形
状に構成され、各孔25の円周方向の開口幅が内周側か
ら外周側に向けて広く設定されている。そして、アウタ
ープレート14Cの半径方向の異なる位置に各孔25と
各スリット19とが配置されている。なお、そのほかの
構成は図1の実施例と同様である。図8の実施例におい
ても、図1の実施例および図6の実施例と同様の作用効
果を得られる。
【0053】なお、この発明において、上記各スリット
と各孔とに加えて、比較的半径の小さい孔を前記スリッ
トに対して外周側に配置することも可能である。また、
この発明の粘性継手は、四輪駆動車の左右車輪の差動制
限装置、または2輪駆動車の左右車輪の差動制限装置に
適用することも可能である。
【0054】
【発明の効果】以上のように請求項1の発明によれば、
アウタープレートの内周に開口されたスリットにより、
粘性流体をアウタープレートとインナープレートとの間
に導入する機能が促進される。
【0055】また、アウタープレートに形成された孔に
より、アウタープレートの外周側のトルク伝達面積が可
及的に狭められている。しがたって、粘性継手の全体回
転速度が上昇して遠心力が高められ、粘性流体が粘性流
体室の外周側に移動した状態において、アウタープレー
トとインナープレートとが差動回転して粘性流体のせん
断力が生じた場合でも、伝達トルクの上昇が抑制され
る。
【0056】さらに、孔がスリットよりも外周側に配置
されているため、アウタープレートのスリット同士の間
の強度の低下が抑制される。このため、粘性継手の全体
回転速度が上昇して遠心力が増大した場合でも、アウタ
ープレートの一部が、スリット同士の間を支点として軸
線方向に変形することが抑制される。したがって、粘性
継手の高速回転時における伝達トルクの抑制機能が一層
向上する。
【0057】請求項2の発明によれば、孔の開口形状が
円形であり、請求項1と同様の効果を得られる。
【0058】請求項3の発明によれば、請求項1と同様
の効果を得られるほか、孔により、アウタープレートの
トルク伝達面積が内周側から外周側に向けて可及的に狭
められている。したがって、粘性継手の全体回転速度が
増大されて粘性流体が粘性流体室の外周側に移動した場
合でも、トルクの増大を抑制する機能が一層向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の粘性継手に用いられるアウタープレ
ートの構成を示す側面図である。
【図2】図1の実施例のアウタープレートおよび比較例
のアウタープレートにおいて、アウタープレートに作用
する荷重と、アウタープレートの一部の変形量との関係
を示す線図である。
【図3】比較例のアウタープレートの構成を示す部分的
な側面図である。
【図4】図1の実施例のアウタープレートと、図3に示
された比較例のアウタープレートとを用い、粘性継手の
全体回転速度およびトルク比を比較した線図である。
【図5】この発明の粘性継手に用いられるアウタープレ
ートの他の構成例を示す側面図である。
【図6】この発明の粘性継手に用いられるアウタープレ
ートの他の構成例を示す側面図である。
【図7】この発明の粘性継手に用いられるアウタープレ
ートの他の構成例を示す側面図である。
【図8】この発明の粘性継手に用いられるアウタープレ
ートの他の構成例を示す側面図である。
【図9】この発明の粘性継手を四輪駆動車の動力伝達装
置に適用した場合の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
2 ケーシング 5 ハブ 10 粘性流体室 14,14A,14B,14C アウタープレート 15 インナープレート 19 スリット 21,23,24,25 孔
フロントページの続き (72)発明者 加納 盟之 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 芦田 敏 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 木下 朋法 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 松波 辰哉 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 川瀬 昌男 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 尾崎 俊昭 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 西隈 靖 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 大島 文男 栃木県栃木市大光寺町1150 ビスコドラ イブジャパン株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−248026(JP,A) 特開 昭62−98033(JP,A) 実開 昭47−203(JP,U) 実開 昭46−105800(JP,U) 実開 平3−57528(JP,U) 実開 平5−3660(JP,U) 実開 平5−79066(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16D 35/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転可能なケーシングと、このケーシン
    グの内部に回転可能に配置された軸部材と、前記ケーシ
    ングと前記軸部材との間に形成され、かつ、粘性流体が
    充填される粘性流体室と、この粘性流体室に配置され、
    かつ、前記ケーシングに取り付けられた円板状のアウタ
    ープレートと、前記粘性流体室に配置され、かつ、前記
    軸部材に取り付けられた円板状のインナープレートとを
    備え、前記アウタープレートに、このアウタープレート
    の内周端に開口されたスリットと、このアウタープレー
    トの厚さ方向に貫通された孔とが形成されている粘性継
    手において、 前記アウタープレートの半径方向における前記孔の位置
    が、前記アウタープレートの半径方向における前記スリ
    ットの位置よりも外周側に設定されていることを特徴と
    する粘性継手。
  2. 【請求項2】 前記孔の開口形状がほぼ円形に構成さ
    れ、前記孔の中心が、前記アウタープレートの半径方向
    における前記スリットの外端よりも外周側に設定されて
    いることを特徴とする請求項1に記載の粘性継手。
  3. 【請求項3】 前記アウタープレートの円周方向におけ
    る前記孔の開口幅が、前記アウタープレートの半径方向
    の内周側から外周側に向けて広く設定されていることを
    特徴とする請求項1に記載の粘性継手。
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