JP3216202B2 - 含フッ素スルホン酸エステル基を有する複素環芳香族化合物の製造方法 - Google Patents

含フッ素スルホン酸エステル基を有する複素環芳香族化合物の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は医農薬、液晶などの合成
中間体として重要である含フッ素スルホン酸エステル基
を有する複素環芳香族化合物の製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来,含フッ素スルホン酸エステル基を
導入する方法としては、フェノ−ル類やその塩とトリフ
ルオロメタンスルホン酸無水物との反応、アリ−ルシリ
ルエ−テルとトリフルオロメタンスルホン酸フルオライ
ドとの反応が知られている[V.Beyl et al., Ann. Chem.
, 58(1970)731.] 。また,アリ−ルジアゾニウム塩と
トリフルオロメタンスルホン酸無水物の反応によっても
合成できることが報告されている[V. P. Nazaretyan et
al. , Zh. Organ. Khim., 12(1976)690.]。
【0003】さらに、本発明者らは、アリ−ルジアゾニ
ウム塩とトリフルオロメタンスルホン酸の反応によって
も合成出来ることを報告した[N. Yoneda et al., Chem.
Lett., 459(1991).] 。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら,これら
の方法では副反応の併発により収率が低く、また特定の
置換基を有する化合物の反応は進行しないという問題点
があった。さらに、アリ−ルジアゾニウム塩を経る反応
では、化学的に不安定で取扱いに注意を要するジアゾニ
ウム塩を単離精製する必要があり、また、該ジアゾニウ
ム塩の分解の際にも副反応を併発して目的物とは異なる
生成物を与えるといった問題点があった。
【0005】そこで,本発明者らはかかる課題を解決す
べく鋭意検討を行った結果、アミノ複素環芳香族化合物
を、含フッ素スルホン酸中で亜硝酸付与剤と反応せしめ
てジアゾ化した後、特定の温度で、ジアゾニウム塩を単
離することなく分解することにより、高収率で含フッ素
スルホン酸エステル基を有する複素環芳香族化合物が合
成できることを見いだし本発明に到達した。
【0006】即ち、本発明の目的は含フッ素スルホン酸
エステル基を有する複素環芳香族化合物を高収率で製造
することに存する。
【0007】
【課題を解決するための手段】しかして、かかる本発明
の目的は、アミノ複素環芳香族化合物を、含フッ素スル
ホン酸中で亜硝酸付与剤と反応せしめてジアゾ化した
後、60℃以下の温度でジアゾニウム塩を単離すること
なく分解することを特徴とする含フッ素スルホン酸エス
テル基を有する複素環芳香族化合物の製造方法により容
易に達成される。
【0008】以下に本発明を詳細に説明する。本発明の
製造方法に供しうるアミノ複素環芳香族化合物として
は、環に置換基として1個以上のアミノ基を有するピリ
ジン類、ピリミジン類、ピラジン類、ピリダジン類等が
挙げられる。アミノ複素環芳香族化合物の構造は特に制
限されるものではなく、その複素環はアルキル基、ペル
フルオロアルキル基、アルコキシ基、水酸基、アシル
基、アシルオキシ基、カルボアルコキシ基、ジアルキル
アミノ基、ニトロ基またはハロゲン等の置換基で置換さ
れていても構わない。また、他の芳香環と縮合していて
も構わない。
【0009】含フッ素スルホン酸としては、特に限定さ
れないが、炭素数15以下のパ−フルオロアルキル基を
有するスルホン酸が好ましく、具体的にはフルオロスル
ホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオ
ロエタンスルホン酸等が挙げられる。これらのうち、ト
リフルオロメタンスルホン酸が工業的入手の容易さや反
応収率の点等から好ましい。また、その使用量はアミノ
複素環芳香族化合物に対し1〜200倍当量が用いられ
るが、反応速度及び経済性の点から、好ましくは5〜5
0倍当量である。
【0010】亜硝酸付与剤としては、通常アミノ基のジ
アゾ化に用いられる亜硝酸付与剤なら特に限定されず、
亜硝酸アルカリ金属塩、亜硝酸アルキル、ニトロシル化
合物(NOX;ここでXはCl、F、HSO4等を表
す)、無水亜硝酸等が好ましい。具体的には亜硝酸ナト
リウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸アミル、亜硝酸ブチ
ル、ニトロシル硫酸、N24、N23等が挙げられる。
その使用量は、アミノ複素環芳香族化合物に対して0.
5〜10倍当量、好ましくは1〜3倍当量である。
【0011】また、本発明は溶媒中で行うことも出来
る。この場合溶媒としては、水及び/またはジエチルエ
−テル、テトラヒドロフラン、アセトニトリル等の非プ
ロトン性有機溶媒が好ましいものとして例示される。ジ
アゾ化反応は、含フッ素スルホン酸中でアミノ複素環芳
香族化合物と亜硝酸付与剤とを反応させて実施するが、
その温度は−100℃〜10℃の範囲で実施される。反
応速度の点から、−10℃〜10℃の範囲が好ましい。
【0012】ジアゾニウム塩の分解は、熱分解、光照射
による分解等公知のいずれの方法でもよいが、目的の分
解反応のみを選択的に進行させて、含フッ素スルホン酸
エステル類を有する複素環芳香族化合物を高選択率で得
るには、該分解反応の温度は60℃以下でなければなら
ない。好ましくは40℃以下、特に25℃以下で分解反
応を行う。また、該分解反応の温度の下限は、反応が進
行する温度である限り特に限定されないが、ジアソ化反
応の温度以上であることが好ましく、より好ましくは1
0℃を越える温度である。
【0013】熱分解反応の開始及び終了は窒素ガスの発
生により容易に確認しうる。反応後の生成物の分離は、
反応液に多量の水を加えたのち炭酸水素ナトリウム等を
添加して生成物を遊離化した後、生成物を抽出により分
離し、次いで蒸留、再結晶、クロマトグラフィ−等に付
すことで容易に実施される。
【0014】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明
するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例
によって何ら限定されるものではない。なお、反応生成
物の収率は、単離またはガスクロマトグラフィ−によっ
て確認した。実施例1 トリフルオロメタンスルホン酸3mlに2−アミノピリ
ジン(3mmol)を加えた後、水(1ml)に溶解し
た亜硝酸ナトリウム(4.35mmol)を0℃で添加
した。添加終了後20℃で窒素の発生が終了するまで攪
拌した(1Hr)。反応液に水とジエチルエ−テルを加
え、次いでアルカリ性になるまで炭酸水素ナトリウムを
添加した。ジエチルエ−テルで抽出し、2−トリフルオ
ロメタンスルホニルオキシピリジンを88%の収率で得
た。実施例2〜5および比較例16 実施例1の反応を、表−1の通りのトリフルオロメタン
スルホン酸量、溶媒(5ml)及び分解反応温度で行っ
た。その結果を表−1に示す。
【0015】
【表1】 表−1 ─────────────────────────── 実験 CF3SO3H 溶媒 分解温度 収率 (ml) (℃) (%) ─────────────────────────── 実施例1 3.0 ── 20 88 実施例2 0.45 CH3CN 20 11 実施例3 0.45 Et2O 20 18 実施例4 1.0 Et2O 20 43 実施例5 2.0 Et2O 20 60 比較例1 5.0 ── 80 70 ───────────────────────────実施例6〜8及び比較例2〜3 2−アミノピリジンの代わりに、3−アミノピリジン、
4−アミノピリジンまたは2,6−ジアミノピリジンを
基質として用い、実施例1と同様の反応を行った。結果
を表−2に示す。
【0016】
【表2】 表−2 ────────────────────────────── 実験 基質 分解温度 収率 (℃) (%) ────────────────────────────── 実施例6 3−アミノピリジン 20 87 実施例7 4−アミノピリジン 20 67 実施例8 2,6−ジアミノピリジン 20 32 ────────────────────────────── 比較例2 3−アミノピリジン 80 51 比較例3 4−アミノピリジン 80 61 ──────────────────────────────実施例9〜14 種々の置換基を有する2−アミノピリジンを基質として
用い、実施例1と同様の反応を行った。結果を表−3に
示す。
【0017】
【表3】 実施例15 トリフルオロメタンスルホン酸の代わりにフルオロスル
ホン酸を用い、実施例1と同様の反応を行った。2−フ
ルオロスルホニルオキシピリジンが15%の収率で得ら
れた。実施例16〜19 2−アミノピリジンの代わりにピリミジンやピラジン環
を持つ基質を用い、実施例1と同様の反応を行った。結
果を表−4に示す。
【0018】
【表4】 表−4 ─────────────────────────── 実施例 基質 収率 (%) ─────────────────────────── 16 2−アミノピリミジン 39 17 2−アミノ−4,6−ジクロロ 12 ピリミジン 18 6−アミノ−2,4−ジメチル 15 ピリミジン 19 2−アミノピラジン 58 ───────────────────────────
【0019】
【発明の効果】本発明によれば含フッ素スルホン酸エス
テル基を有する複素環芳香族化合物を高収率で得ること
ができ、その産業的意義は多大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C07D 241/18 C07D 241/18 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 213/00 C07D 239/00 C07D 241/00 CA(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アミノ複素環芳香族化合物を、含フッ
    素スルホン酸中で亜硝酸付与剤と反応せしめてジアゾ化
    した後、60℃以下の温度でジアゾニウム塩を単離する
    ことなく分解することを特徴とする含フッ素スルホン酸
    エステル基を有する複素環芳香族化合物の製造方法。
JP05387292A 1992-03-12 1992-03-12 含フッ素スルホン酸エステル基を有する複素環芳香族化合物の製造方法 Expired - Fee Related JP3216202B2 (ja)

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