JP3215581B2 - 農業用マルチフィルム - Google Patents
農業用マルチフィルムInfo
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Description
土面を覆い、地温の上昇と雑草の繁茂防止をはかる農業
用マルチフィルムに関するものである。
タイプのマルチフィルムあるいは黒色タイプのマルチフ
ィルムが一般に使用されていた。ところが、透明タイプ
のマルチフィルムは太陽光線が良く透過するので地温が
高くなり作物の生育促進には有利であるが、雑草が繁茂
しやいという問題があった。また、黒色タイプのマルチ
フィルムは太陽光線をほぼ完全に遮蔽するため雑草の繁
茂は防止できるが、地温を上昇させる効果が充分でない
という問題があった。
能を兼ね備えた農業用マルチフィルムとして、緑色顔料
を配合した緑色タイプのマルチフィルムが市販されてい
る。しかしながら、従来の緑色マルチフィルムは、緑色
顔料の濃度を減らすと地温の上昇機能は高くなるが雑草
が繁茂し、緑色顔料の濃度を増すと雑草の繁茂は防止で
きるが地温上昇に必要な波長が700nmを超える領域
の光線の透過率も低くなって効果が不十分であるといっ
た問題があった。
にかけて使用する農業用マルチフィルムに、十分な雑草
の繁茂防止機能と地温の上昇機能を付与するためには、
雑草の光合成に必要な400〜700nmの領域の光線
をよく遮蔽し(吸光度が高いこと)、雑草の繁茂には寄
与せず、地温の上昇に効果的な700nmを越える領域
の光線はよく透過させる(吸光度が低いこと)機能を付
与する必要があり、具体的には(i)400〜700n
mの領域において透過率が25%を越えないこと、及び
(ii)900〜1,500nmの領域における平均透
過率が60%以上であることの双方を満足する農業用マ
ルチフィルムが要望されている。
グメントグリーンBあるいはピグメントグリーンBと白
色顔料を添加したマルチフィルム(特開平3−1557
17号公報)や二種の着色剤CIソルベントレッド24
とCIソルベントグリーン3の組合せによる着色剤を添
加したマルチフィルム(実公昭58−49097号公
報)等が提案されている。
公報記載のピグメントグリーンBを用いた場合、その実
施例1にも示されているように添加量が1.7wt%、
厚み30μmのフィルムの550nm近辺の透過率は3
0%以上にも達し、雑草の繁茂防止に充分なものではな
い。また、ピグメントグリーンBとチタン白を併用すれ
ば、チタン白の作用によって700nm以下の領域の透
過率を低くする(吸光度を高くする)ことが可能となる
が、同時に、900nmを超える領域の透過率も低くな
り、地温を上昇させる効果が不充分になるという問題が
ある。更に、実公昭58−49097号公報記載のよう
に緑色系と赤色系の2種類の着色剤を併用した場合にお
いても、地温を上昇させる効果については不充分であ
る。
ルチフィルムはもちろんのこと、特開平3−15571
7号公報や実公昭58−49097号公報で提案されて
いるマルチフィルムにおいても、700nm以下の領域
の透過率が低く、700nmを越えると急激に透過率が
高くなるような分光透過率特性を付与すること、すなわ
ち、前記(i)と(ii)の条件の双方を満足するよう
な農業用マルチフィルムを得ることは技術的にきわめて
困難であった。したがって、本発明は上記問題を解決し
て、雑草の繁茂防止効果と地温の上昇効果の双方を満足
する農業用マルチフィルムを提供することを技術的課題
とする。
通りの本発明によって達成できる。すなわち、熱可塑性
樹脂に500nmにおける吸光度 (A500)と800n
mにおける吸光度 (A800)の比 A500/A800 が4.
0以上である酸化鉄粒子、及び紫色、青色又は緑色から
選ばれるいずれかの有機系顔料をそれぞれ1.0〜5.
0wt%含有させることを特徴とする農業用マルチフィ
ルムである。
いて述べる。本発明における熱可塑性樹脂としては、通
常の押出成形法やカレンダー成形法に適する熱可塑性樹
脂であれば特に制限なく適用でき、例えば低密度ポリエ
チレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレ
ン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタク
リル酸メチル共重合体等のポリエチレン系樹脂やポリプ
ロピレン系樹脂あるいはポリ塩化ビニル樹脂等が挙げら
れる。これらのなかでも使用後の焼却処分が可能であ
り、安価に入手できるポリエチレン系樹脂を使用するこ
とが好ましく、特に直鎖状低密度ポリエチレンが好まし
い。
した熱可塑性樹脂に酸化鉄粒子を添加混合して得られた
フィルムの500nmにおける吸光度 (A500)と80
0nmにおける吸光度 (A800)の比であるA500/A
800が4.0以上を示すものであれば特に制限はなく、
このような条件を満足する酸化鉄粒子としては例えば平
均粒子径が80〜150nmのヘマタイト(α−Fe2
O3)粒子が挙げられる。平均粒子径が80nm未満あ
るいは150nmを越えた場合には A800は一定もしく
は低下するが A500が大きく低下するのでA500/A800
の値が4.0未満となり、特に雑草の繁茂防止効果が低
下するので好ましくない。粒子形状は紡錘状、針状、板
状、そして球形、六面体、八面体、多面体、不定形等の
ほぼ等方形状を呈するいわゆる粒状のいずれであっても
よいが、雑草の光合成に必要な400〜700nmの領
域の光線を透過し難い粒状が好ましい。
青色又は緑色から選ばれるいずれかの有機顔料が使用で
きる。このような有機顔料として、例えば、ジオキサジ
ンバイオレット、フタロシアニンブルー、ダイアモンド
グリーンレーキ、ピグメントグリーンB、グリーンゴー
ルド、フタロシアニングリーン等が挙げられる。特に、
フタロシアニンブルーは波長が550〜700nmの範
囲で光線の透過率が低く、900nm以上ではかなり高
い透過率を示すので好ましい。
び有機顔料の添加量は農業用マルチフィルムの厚み、使
用する酸化鉄粒子あるいは有機顔料の種類、あるいはそ
れぞれ併用する酸化鉄粒子や有機顔科の添加量にもよる
が、それぞれ1.0〜5.0wt%、特に好ましくは
1.5〜3.5wt%である。酸化鉄粒子や有機顔料を
5.0wt%を超えて添加した場合は、全体的に太陽光
線の透過率が低くなって地温を上昇させる効果が低下す
るばかりか、コストも高くなるので好ましくない。一
方、1.0wt%未満では特に波長が550〜700n
m付近の透過率が高くなって雑草の繁茂防止効果が低下
するので好ましくない。また、酸化鉄粒子と有機顔料の
合計の添加量は2.5wt%以上にすることが好まし
い。
顔料の他に、従来公知の界面活性剤、カップリング剤、
滑材、ブロッキング防止剤、耐候剤、紫外線吸収剤、安
定剤等を添加することももちろん可能である。
合成樹脂フィルムの製造方法が特に制限なく適用でき
る。例えば、熱可塑性樹脂に所定量の酸化鉄粒子及び有
機顔料を添加混合した後、これを押出機に供給して、イ
ンフレーション成形法又はキャスティング成形法で製造
する。また、この場合、押出機を複数台使用して共押出
すれば、多層の農業用マルチフィルムを製造することも
できる。特に、農業用マルチフィルムはある程度以上の
耐候性が要求されることから、酸化鉄粒子と有機顔料を
含有している層の少なくとも一方の表面に透明な樹脂層
を積層して多層の農業用マルチフィルムとするのが好ま
しい。なお、農業用マルチフィルムの厚みは利用用途に
よっても異なり、また透過率とも密接な関係があるので
慎重に選択する必要があるが、概ね15〜60μm程度
とするのが一般的である。
紫外線領域の光線を吸収するので透過率が低く、可視光
線、近赤外線領域と長波長になるにしたがって透過率が
高くなる性質を有している。とりわけ、酸化鉄粒子は多
様な結晶構造、色調を有しているので、酸化鉄粒子の種
類や結晶形状、粒子径を適宜選択することにより主に5
50nm以下の領域の光線の透過率をある程度コントロ
ールして遮蔽することができるという特徴を有してい
る。
ける吸光度の比 A500/A800 が4.0以上、すなわ
ち、500nmから800nmにかけて急激に透過率が
高くなる分光透過率特性を有する酸化鉄粒子と550〜
800nmの可視光線の透過率が低く、800nm以上
の領域で透過率が急激に高くなる紫色、青色、緑色から
選ばれた有機顔料を組み合わせて使用すればそれらの相
乗効果によって400〜700nmの領域での透過率が
最高値でも25%であり、900〜1,500nmの近
赤外線領域の透過率が平均で60%を超えるような特性
を農業用マルチフィルムに付与することができる。
お、本発明の農業用マルチフィルムの性能評価は以下の
方法によって行った。 <分光透過率特性>60φ積分球を装着した分光光度計
(日立製作所製、U−3500)を用いて、各種マルチ
フィルムの250〜2,500nmにおける透過率(%
T)を測定した。また、その分光透過率曲線から400
〜700nm及び900〜1,500nmの領域での平
均透過率(%T)を算出するとともに、400〜700
nmにおける透過率(%T)の最高値を測定してその値
をもとにマルチフィルムの性能評価を行った。なお、酸
化鉄粒子のA500/A800は、2.0wt%の酸化鉄粒子
を直鎖状低密度ポリエチレンに添加混合して作製した厚
さ20μmのフィルムの500nm及び800nmにお
ける透過率(%T)(図1)より、次式により求めた吸
光度Aを用いて計算した。 A=log(100/%T)
が、実際に土面の被覆に使用した場合の雑草繁茂防止効
果及び地温の上昇効果と一致するかどうかを確認する目
的で以下の試験を行った。 <雑草防止効果>香川県丸亀市内の農地で平成6年4月
16日に各種マルチフィルムを敷設し、30日後の雑草
の繁茂状況によって評価した。 ○・・・雑草の繁茂なし △・・・雑草が少量繁茂 ×・・・雑草が多量に繁茂 <地温測定>香川県丸亀市内の農地で平成6年5月8日
から5月16日までの間、各種マルチフィルムを敷設
し、1日のうちの午前5時、午後2時、午後6時におけ
る被覆下5cmの土中の温度の平均値で評価した。
酸化鉄粒子(戸田工業株式会社製)を使用した。また、
有機顔料としてフタロシアニンブルー(住化カラー
(株)製、商品名:ブルーSPEM−503)、ピグメ
ントグリーンB(住化カラー(株)製、商品名:グリー
ンSPEM−460)を、黒色顔料としてカーボンブラ
ック(東京インキ(株)製、商品名:PEX3500
C)を使用した。
商品名:スミカセンLFR144E、MI=0.8g/
10分、密度=0.920g/cm3)に酸化鉄粒子、有機
顔料を表2に示すごとく所定量配合して押出機に供給
し、インフレーション成形法により厚さ20μm、幅
1,500mmの単層の農業用マルチフィルムA〜Kを
製造した。製造条件は加工温度200℃、押出量20k
g/hr、ブロー比3.0、引取速度12m/minで
あった。なお、比較例5の市販の緑色マルチフィルムJ
は大倉工業(株)の製品を用いた。得られた農業用マル
チフィルムの分光透過率特性を表2に、分光透過率曲線
を図2〜4に示す。
E、F、G、Jの雑草の繁茂防止効果及び地温上昇効果
を実際に農地に敷設して評価した結果を表3に示す。
に本発明にかかる農業用マルチフィルムA〜Eは、40
0〜700nmにおける透過率の最大値が25%以下、
平均透過率が10%未満であって、この領域においては
優れた光線の遮蔽性を示し、900〜1,500nmに
おける平均透過率が70%以上と極めて優れた分光透過
率特性を示した。一方、比較例にかかる農業用マルチフ
ィルムは、例えば、透明マルチフィルムF、酸化鉄粒子
aを配合したマルチフィルムH、フタロシアニンブルー
を配合したマルチフィルムI及び、A500/A800が4.0
未満の酸化鉄粒子b、酸化鉄粒子cとフタロシアニング
ルーを併用した以外は実施例1の農業用マルチフィルム
Aと同じ組成のマルチフィルムK、Lはいずれの場合で
も400〜700nmの領域の光線の遮蔽性が不十分で
あり、黒色マルチフィルムGの場合は、900〜1,5
00nmにおける透過率が不十分であった。また、市販
の緑色マルチフィルムJの場合は、400〜700nm
の領域及び900〜1,500nmの領域のいずれにお
いても実施例にかかる農業用マルチフィルムに比べて不
十分な分光透過率特性を示した。
は、表3に示した実際に農地に敷設して測定した雑草の
繁茂防止効果及び地温上昇効果ともよく一致し、本発明
にかかる農業用マルチフィルムが優れた雑草の繁茂防止
効果と地温の上昇効果を有していることが実証された。
繁茂防止効果と地温の上昇効果を有しているので秋口か
ら春先にかけての農作物の栽培にきわめて効果的であ
り、この農業用マルチフィルムを使用することにより農
作物の早期収穫、収穫量の増大を図ることができるよう
になった。
分光透過率曲線である。
である。
曲線である。
過率曲線である。
Claims (1)
- 【請求項1】熱可塑性樹脂に500nmにおける吸光度
(A500)と800nmにおける吸光度 (A800)の比
A500/A800が4.0以上である酸化鉄粒子、及び紫
色、青色又は緑色から選ばれるいずれかの有機系顔料を
それぞれ1.0〜5.0wt%含有させることを特徴と
する農業用マルチフィルム。
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---|---|---|---|
JP21345094A JP3215581B2 (ja) | 1994-09-07 | 1994-09-07 | 農業用マルチフィルム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21345094A JP3215581B2 (ja) | 1994-09-07 | 1994-09-07 | 農業用マルチフィルム |
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JPH0870712A JPH0870712A (ja) | 1996-03-19 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP21345094A Expired - Fee Related JP3215581B2 (ja) | 1994-09-07 | 1994-09-07 | 農業用マルチフィルム |
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Families Citing this family (1)
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---|---|---|---|---|
JP6530328B2 (ja) * | 2015-04-10 | 2019-06-12 | みかど化工株式会社 | 農業用マルチフィルム及び人参の栽培方法 |
-
1994
- 1994-09-07 JP JP21345094A patent/JP3215581B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH0870712A (ja) | 1996-03-19 |
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