JP6530328B2 - 農業用マルチフィルム及び人参の栽培方法 - Google Patents

農業用マルチフィルム及び人参の栽培方法 Download PDF

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Description

本発明は、農業用マルチフィルム及び人参の栽培方法に関し、より詳しくは、作物の発芽、生育を良好にして、農業栽培の省力化、生産性向上に役立つ農業用マルチフィルム及び人参の栽培方法に関する。
一般に、多くの農作物(人参、落花生、トウモロコシ、大根を始め各種野菜、花卉、果樹等)の栽培に、農業用マルチフィルムが用いられている。
特開2012−95568号公報
例えば、従来の人参栽培では、播種に際して、マルチフィルムに設けられた1植生穴あたりに、2〜3粒播きをしていた。これは、2〜3株のうち何れかの発芽状態が悪くても、収量を落とさないようにするためである。
しかるに、2〜3粒播きには、生育途中で1株に選別する間引き作業の手間がかかり、更に、種代を抑えることも困難である。
2〜3粒播きでは、上記の問題があるため、近年では、シーダーテープ(登録商標)で直播する、若しくはシーダーマルチャー(登録商標)等を使用してシーダーテープから播種して、1植生穴あたりに1粒播きを行うようになりつつある。
1粒播きの場合、地温が低かったりすると、発芽が悪くなり、収穫物の品質などに劣る欠点がある。
また、発芽すると、芽が光の方向に伸びていくため、植生穴の位置から外れた位置に発芽した場合、光透過率の高いマルチフィルムでは、芽がマルチフィルムにあたり、光線や温度で焼けてしまう、つまり芽焼けしてしまう問題がある。
特許文献1のような緑色着色マルチでは、芽焼けの問題を解消できず、収穫物の品質においていまだ改善すべき余地があった。
そこで、本発明は、植生穴の位置から外れた位置に発芽した場合でも、芽焼けを抑制でき、作物の生育に優れ収穫物の品質向上が図れる農業用マルチフィルム及び人参の栽培方法を提供することを課題とする。
また本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかとなる。
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
(請求項1)
波長400nm〜700nmの可視光域の平均透過率が35%以下であり、黒茶色に着色された着色層を有することを特徴とする農業用マルチフィルム。
(請求項2)
波長400nm〜700nmの可視光域の透過率の最小値が3%以上であることを特徴とする請求項1記載の農業用マルチフィルム。
(請求項3)
波長400nm〜700nmの可視光域の透過率の最大値が40%以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の農業用マルチフィルム。
(請求項4)
前記着色層が、少なくともベンガラ顔料と黒顔料とを用いて形成された層であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の農業用マルチフィルム。
(請求項5)
請求項1〜4の何れかに記載の農業用マルチフィルムに、さらに光反射層を積層してなることを特徴とする農業用マルチフィルム。
(請求項6)
波長400nm〜700nmの可視光域の透過率の最大値が20%以下であり、最小値が3%以上であることを特徴とする請求項5記載の農業用マルチフィルム。
(請求項7)
請求項1〜6の何れかに記載の農業用マルチフィルムを圃場の畝面に被覆し、
次いで、該フィルムの植生穴に人参の種を播種し、
該人参の種を、発芽させ、成長させた後に、人参を収穫することを特徴とする人参の栽培方法。
(請求項8)
請求項1〜6の何れかに記載の農業用マルチフィルムを圃場の畝面に被覆し、
次いで、該フィルムの植生穴及び該植生穴を外れた部位に、人参の種を播種し、
該植生穴に播種された種と、該植生穴を外れた部位に播種された種とを、
同時期に発芽させて、同様に成長させた後に、同時期に人参を収穫することを特徴とする人参の栽培方法。
(請求項9)
請求項5又は6記載の農業用マルチフィルムを圃場の畝面に前記光反射層を最上面側に配置するように被覆し、
次いで、該フィルムの植生穴に人参の種を播種し、
該人参の種を、発芽させ、成長させた後に、人参を収穫することを特徴とする人参の栽培方法。
本発明によれば、植生穴の位置から外れた位置に発芽した場合でも、芽焼けを抑制でき、作物の生育に優れ収穫物の品質向上が図れるだけでなく、雑草を抑制することができる農業用マルチフィルム及び人参の栽培方法を提供することができる。
本発明のマルチフィルム、従来の黒マルチ、グリーンマルチを各々 用いて栽培された人参の発芽率(%)と、発芽した人参の収穫時のサイズ分布を表すグラフ
以下、本発明の実施形態を説明する。
<農業用マルチフィルム>
本発明の農業用マルチフィルムは、波長400nm〜700nmの可視光域の平均透過率が35%以下であり、黒茶色に着色された着色層を有することを特徴とする。これにより、芽焼けの抑制や、地温を上昇させることができ、収穫物の品質を安定化する効果が得られる。
ここでいう平均透過率は、日立分光光度計を用いて測定される波長400nm〜700nmの可視光域の透過率の平均値である。
農業用マルチフィルムは、波長400nm〜700nmの可視光域の平均透過率が35%以下であればよいが、30%以下であることが好ましく、20%以下であることが更に好ましく、15%以下であることが最も好ましい。平均透過率は、黒茶顔料の配合量により調整することができる。
本発明の農業用マルチフィルムは、黒茶色に着色された着色層1層からなるフィルムであってもよいし、該着色層の一側あるいは両側に、1又は2以上のフィルム層が設けられていてもよい。
本発明の農業用マルチフィルムは、波長400nm〜700nmの可視光域の透過率の最大値が40%以下であることが好ましく、また、最小値が3%以上であることが好ましい。波長400nm〜700nmの可視光域の全域に亘って透過率が3%〜40%の範囲内で変動することが好ましいということもできる。これにより、本発明の効果が顕著に奏され好ましい。
波長400nm〜700nmの可視光域の透過率の最大値は、40%以下であることが好ましく、35%以下であることがより好ましく、25%以下であることが更に好ましく、18%以下であることが最も好ましい。透過率の最大値を40%以下とすることで、雑草の繁殖を抑制することができ、かつ収穫物の芽焼けを抑制することができる。
波長400nm〜700nmの可視光域の透過率の最小値は、3%以上であることが好ましく、4%以上であることがより好ましく、5%以上であることが更に好ましい。透過率の最小値を3%以上とすることで、収穫物の品質を好ましくすることができ、さらに収穫物の品質が安定し、秀品率がより好ましくなる。更に、かかる最小値を、10%以上とすることも、本発明の効果が顕著に奏され好ましい。
本発明の農業用マルチフィルムは、本発明の効果を顕著に奏する観点で、波長400nm〜700nmの可視光域の全域に亘って透過率が適度に狭い範囲内で変動することが好ましい。言い換えれば、波長400nm〜700nmの可視光域において、透過率が大きなピークがなく平均的である(透過率スペクトルが適度に平坦化されている)ことが好ましい。具体的には、波長400nm〜700nmの可視光域の透過率の最大値と最小値の差が、3%〜25%であることが好ましく、4%〜20%であることが更に好ましく、5%〜15%であることが最も好ましい。
着色層を形成するためのベース樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂として好ましいのは、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)などが挙げられる。中でも本発明の目的を達成する上では、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)が好ましい。
低密度ポリエチレン(LDPE)は、密度が0.910g/cc〜0.930g/ccの範囲のものを用いることが好ましい。
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)は、メルトインデックス(MI)が0.05〜5.0の範囲、密度が0.900g/cc〜0.960g/ccの範囲のものを用いることが好ましい。
エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)としては、酢酸ビニルモノマーの含有量が、3重量%〜5重量%程度の範囲のものが好適である。
ベース樹脂に黒茶顔料を配合して、黒茶色に着色された着色層を形成することができるが、配合量は、波長400nm〜700nmの可視光域の平均透過率が35%以下となるように選択・決定され、好ましくは、該平均透過率が3%以上となるように選択・決定される。
配合量を例示的に示すと、ベース樹脂100重量部に、黒茶顔料を2〜15重量部の範囲、より好ましくは5〜12重量部の範囲で選択・決定することできる。
本発明において、着色されたマルチフィルムの黒茶色のマンセル値は、1.9YR 3.7/3.3の色で表されるものであることが好ましい。ここで、1.9YRは色相、3.7が明度、3.3が彩度を表す。なお、この表示方法は、日本では、JIS Z 8721(三属性による色の表示方法)として規格化されている。本発明でいう「黒茶」は、上記マンセル値と全く同一である必要はなく、黒茶色と近似する色は含まれる。
黒茶色に着色する手法は、黒茶顔料を用いることもできるが、複数種の顔料のブレンドによって黒茶色を作り上げてもよい。
本発明において、顔料として市販されているベンガラとカーボンブラックのブレンドによって、黒茶色の顔料を形成することは特に好ましい。
ベンガラとカーボンブラックのブレンド比は、カーボンブラック100重量部に対して、ベンガラを、100重量部〜500重量部とすることが好ましく、150重量部〜400重量部とすることが更に好ましく、200重量部〜300重量部とすることが最も好ましい。
顔料のブレンドに際しては、ベンガラ顔料のマスターバッチと、カーボンブラックのマスターバッチを混合することが好ましい。
ベンガラ顔料としては、例えば、酸化第二鉄(Fe)等を好ましく用いることができ、例えば大日精化工業社製等の市販品を用いることができる。カーボンブラックとしては、例えば東京インキ社や大日精化工業社製等の市販品を用いることができる。
次に、着色層の一側あるいは両側に、1又は2以上のフィルム層が設けられる農業用マルチフィルムである場合について説明すると、この場合、1又は2以上のフィルム層は例えば透明層であってもよい。また、着色層の一側に、フィルム層として光反射層を積層形成した態様でもよい。
着色層に光反射層を積層形成してなる農業用マルチフィルムは、波長400nm〜700nmの可視光域の透過率の最大値が20%以下であることが好ましく、また、最小値が3%以上であることが、本発明の目的を達成する上で特に好ましい。
光反射層は、太陽光を反射するように構成されたものであり、例えば、ベース樹脂に、アルミ微粒子、二酸化チタン(TiO)などから選ばれる少なくとも1種を含有させて形成される。
アルミ微粒子は、鱗片状粉末として含有することが好ましく、紫外線を効率よく乱反射させるため、アスペクト比は10〜10000の範囲が好ましい。
二酸化チタンは、粉末として含有することができ、平均粒径は0.1〜1.0μmの範囲が好ましい。ここで平均粒径とは、電子顕微鏡写真に基づく算術的平均値である。二酸化チタンの結晶型は、ルチルとアナタースの2型があるが、アナタースはフィルム耐候性を大きく低下させるので、通常はルチル型を用いる。二酸化チタンは、紫外光を吸収し、活性酸素を発生する特性があり、このためフィルム耐候性を低下させるので、TiO粒子表面をAl、Siなどの金属酸化膜でコート処理することが好ましい。
光反射層のベース樹脂としては、前記着色層について例示したものを好ましく用いることができる。
農業用マルチフィルムに光反射層を設ける場合、使用時において、黒茶の着色層を下側(土面側)に、光反射層を上側に向けて設置することが好ましい。
本発明の農業用マルチフィルムは、全層厚みが、10μm〜40μmの範囲であることが好ましく、10μm〜30μmの範囲であることが更に好ましい。全層厚みが10μm以上であることにより、展張時などにおいてマルチフィルムが意図せず破れることを好適に防止できる。また、全層厚みが40μm以下であることにより、材料コストを削減できるだけでなく、土に馴染みやすいため展曝されにくくなる効果も得られる。この効果は、全層厚みが30μm以下であることにより、更に顕著となる。厚みは、フィルム断面の光学顕微鏡観察によって測定することができる。
黒茶の着色層あるいは光反射層には、各種添加剤を添加することができる。添加剤としては、例えば、耐侯安定剤、酸化防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、無滴剤等を適宜使用することができる。
本発明の農業用マルチフィルムを製造するには、インフレーション成形法又はTダイ成形法等を好ましく用いることができる。
<人参の栽培方法>
本発明のマルチフィルムは、多くの農作物、例えば人参、落花生、トウモロコシ、大根を始め各種野菜、花卉、果樹等の栽培に適しているが、特に人参の栽培に適している。
具体的には、本発明のマルチフィルムを圃場の畝面に被覆し、次いで、該フィルムの植生穴に人参の種を播種し、該人参の種を、発芽させ、成長させた後に、人参を収穫する。
このとき、該植生穴を外れた部位に播種した種が存在する場合でも、該植生穴に播種された種と、該植生穴を外れた部位に播種された種とを、同時期に発芽させて、同様に成長させた後に、同時期に人参を収穫することができる。
本発明の人参の栽培方法で用いる農業用マルチフィルムは、光反射層を積層していることが好ましい。光反射層を積層した農業用マルチフィルムを用いる際には、該光反射層をフィルムの最上面側に配置する。
人参の栽培に適用した場合に、人参の発芽率(%)が増加し、特に、収穫される人参のうち、人参のA品規格で、一般的にLサイズ及びMサイズとされる人参の収穫量が増加する。
Lサイズ及びMサイズの人参は、消費者需要が極めて高く、栽培従事者にとってCP(コストパフォーマンス)が高いので、これらの収穫量を増加させることができるマルチフィルムは、優れたマルチフィルムとしての評価が高い。
本発明のマルチフィルムを用いた人参の栽培方法によると、人参の発芽率を増加させ、且つ、消費者需要の高いLサイズ及びMサイズの人参の収穫量を増加させることができる。
一方、上記Lサイズ及びMサイズの人参の収穫量が多い時期から、2週間から1ヶ月程度遅らせて人参を収穫すると、人参のA品規格での3Lサイズ及び2Lサイズの人参の収穫量を最も多くすることができる。
3Lサイズ及び2Lサイズの人参は、加工用としてや、家畜の餌として需要が極めて高い。
以下に、本発明の実施例について説明するが、本発明はかかる実施例により限定されない。
(実施例1)
ベース樹脂である直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(メルトインデックス1.0、密度0.920g/cc)100重量部に、下記黒茶マスターバッチを2重量部配合し、インフレーション成形法で、黒茶の着色単層からなる全層厚み20μmのマルチフィルムを得た。得られたマルチフィルムの波長400nm〜700nmの可視光域の透過率の平均値は25%であり、最大値は32%であり、最小値は19%であった。また、得られた着色マルチフィルムのマンセル値は、1.9YR 3.7/3.3であった。
<黒茶マスターバッチ>
ベンガラマスターバッチ(大日精化工業社製 ベンガラ含量:30重量%)と、カーボンブラックマスターバッチ(東京インキ社製 カーボンブラック含量:40重量%)とを、カーボンブラック100重量部に対してベンガラ250重量部のブレンド比となるようにブレンドした。
(実施例2)
実施例1において、黒茶層の配合に用いる黒茶マスターバッチの配合量を6重量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてマルチフィルムを得た。得られたマルチフィルムの波長400nm〜700nmの可視光域の透過率の平均値は15%であり、最大値は20%であり、最小値は12%であった。
(実施例3)
実施例1において、黒茶層の配合に用いる黒茶マスターバッチの配合量を8重量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてマルチフィルムを得た。得られたマルチフィルムの波長400nm〜700nmの可視光域の透過率の平均値は10%であり、最大値は14%であり、最小値は5%であった。
(実施例4)
下記のようにして、光反射層を備えたマルチフィルムを製造した。
<黒茶色の着色層の配合処方>
実施例1と同様にして黒茶マスターバッチを調製した。
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(メルトインデックス1.0、密度0.920g/cc)100重量部に、上記黒茶マスターバッチを12重量部配合した。
<光反射層の配合処方>
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(メルトインデックス1.0、密度0.920g/cc)に、アルミ微粉末を0.5重量部配合した。
上記の配合条件のもと、ダイラミ成形法で、黒茶色の着色層を12μm、光反射層を8μmの厚さに成形し、全層厚み20μmのマルチフィルムを得た。得られたマルチフィルムの波長400nm〜700nmの可視光域の透過率の平均値は8%であり、最大値は12%であり、最小値は5%であった。
(比較例1)
マルチフィルムとして、みかど化工社製「黒マルチ」を用いた。このフィルムの波長400nm〜700nmの可視光域の平均透過率は0%であり、最大値は0%であり、最小値は0%である。
(比較例2)
マルチフィルムとして、みかど化工社製「グリーンマルチ」を用いた。このフィルムは、緑色層+光反射層の2層構成である。この光反射層は、実施例4と同様にアルミ微粉末を用いて形成した。
このフィルムの波長400nm〜700nmの可視光域の平均透過率は40%であり、最大値は50%であり、最小値は24%である。
(比較例3)
マルチフィルムとして、みかど化工社製「透明マルチ」を用いた。このフィルムの波長400nm〜700nmの可視光域の平均透過率は90%であり、最大値は90%であり、最小値は90%である。
<栽培試験>
・栽培時期:2014年1月16日〜5月27日
・栽培実験場所:みかど化工株式会社誉田実験農場
・試験条件
幅1m、長さ5mの畝面にマルチフィルムを展張し、当該マルチフィルムに設けられた200個の植生穴(6cm)のそれぞれに、人参(フジイシード社製「彩誉」)の種を1粒ずつ播種した。
効果の観察を容易にする観点で、植生穴に対応する位置からあえて外すように播種を行った。
発芽を確認後、収穫まで生育させて、(1)芽焼け防止、(2)収穫物、(3)雑草抑制の各項目について、下記の評価基準で評価した。
(1)芽焼け防止の評価基準
<評価基準>
◎:芽焼けしない
○:ほぼ芽焼けしない
△:一部に芽焼けがみられる
△△:ほとんどに芽焼けがみられる
×:全部が芽焼けする
(2)収穫物の評価基準
<評価基準>
◎:品質が揃い、秀品率が高い
○:品質がほぼ揃う
△:品質がややばらつく
△△:品質のばらつきが大きい
×:規格外が多い
(3)雑草抑制の評価基準
<評価基準>
◎:雑草が生えない
○:雑草がほとんど生えない
△:雑草がやや生えない
△△:雑草がほとんど生える
×:雑草の繁茂した状態である
以上の評価結果を表1に示した。
Figure 0006530328
<評価>
表1より、実施例1〜4のマルチフィルムは、芽焼けの抑制、収穫物の品質向上、及び雑草を抑制する効果が得られることがわかる。
(実施例5及び比較例4,5)
以下の3種の農業用マルチフィルムを用意した。
1.実施例4のフィルム(黒茶層+光反射層)
2.比較例1の黒マルチ
3.比較例2のグリーンマルチ(緑色層+光反射層)
この光反射層は、実施例4と同様にアルミ微粉末を用いて形成した。
<栽培試験>
・栽培時期:2014年12月〜2015年6月
・栽培実験場所:みかど化工株式会社誉田実験農場
・試験条件
幅1m、長さ5mの畝面にマルチフィルムを展張し、当該マルチフィルムに設けられた200個の植生穴(6cm)のそれぞれに、人参(フジイシード社製「彩誉」)の種を1粒ずつ播種した。
効果の観察を容易にする観点で、植生穴に対応する位置からあえて外すように播種を行った。
発芽を確認後、収穫まで生育させて、以下の各項目について、測定した。
(1)発芽率
播種した種の数と、発芽した芽の数とから発芽率を求めた。その結果を表2に示した。
本発明のフィルムを用いると、植生穴を外れてマルチフィルム下に播種された種も、植生穴に播種された種と同時期に発芽し、同様に成長させることができるため、発芽率が高くなっている。
Figure 0006530328
(2)計量区分(大きさの揃い)
上記(1)の発芽率で発芽した種を、その後成長させ、人参を収穫した。
収穫された人参のサイズを、下記のような計量区分に従って分け、発芽した種がどのサイズの人参に成長したのかサイズ分布を調べた。
A品以外は、規格外として評価する。その結果を図1に示す。図1のグラフの横軸の長さは、発芽率(%)である。各棒グラフ内の数値は、該発芽率で発芽した種のうち、収穫時の人参のサイズの分布である。
発芽した種は、収穫まで全て順調に成長したため、発芽率を収穫量として考えることができる。
(人参の計量区分)
・A品;
3L:350g以上
2L:250g以上〜350g未満
L:160g以上〜250g未満
M:110g以上〜160g未満
S:60g以上〜110g未満
2S:40g以上〜60g未満
LA、MA:A品の青首、肩こけ、曲がり、長根、短根、軽度な形状不良、色沢の薄いもの
・B品;
形状不良、目の大きいもの、小さい二股、割れの小さいもの
・C品;
割れの大きいもの(芯の見えないもの)、大きな二股
・その他;
シミ有り、芯の見える割れ、二股以上のもの
<評価>
図1より、本発明のマルチフィルム(実施例5)を用いた場合には、その他のマルチフィルム(比較例4、5)を用いた場合に比べて、発芽率を6(%)以上増加するのみならず、その増加した分の発芽した種を、Lサイズ及びMサイズの人参として成長、収穫することができることがわかった。
実施例5でのLサイズ及びMサイズの人参の収穫量の和をみると、比較例4、5におけるそれに比べて、約20%多く収穫できている。
特に、本発明のフィルムを用いた場合、Mサイズの収穫量が、グリーンマルチを用いた場合に比べて、30%以上多い。
つまり、本発明のマルチフィルムを用いると、発芽率が増加するのみならず、消費者需要が最も高いLサイズ及びMサイズの収穫量を増加させることができる。結果として、収穫される人参における大きさのバラつきを押さえている。
また、図1は、2015年5月下旬時の収穫量に基づくグラフである。この約2週間後の6月中旬に収穫した場合は、図1中の2L、L、M、Sサイズの割合をほぼ維持したまま、2Lは3L、Lは2L、MはL、SはMサイズにそれぞれ生育していたことが確認された。
Lサイズ及びMサイズの人参は、消費者需要が高く、3Lサイズ及び2Lサイズの人参は、加工用としての需要が高い。
本発明のマルチフィルムを使用すると、人参の大きさ比率をほぼ維持しながら生育させることが出来るので、収穫時期によって人参のサイズを予測することも容易となると考えられる。

Claims (9)

  1. 黒茶色に着色された着色層を有し、前記黒茶色のマンセル値は、1.9YR 3.7/3.3の色(ここで、1.9YRは色相、3.7が明度、3.3が彩度を表す。)で表されるか、又は前記着色層の黒茶色は上記マンセル値で表される黒茶色と近似する色が含まれるものであり、
    該着色層は、波長400nm〜700nmの可視光域の平均透過率が35%以下であり、波長400nm〜700nmの可視光域の透過率の最小値が3%以上であり、波長400nm〜700nmの可視光域の透過率の最大値が40%以下であることを特徴とする農業用マルチフィルム。
  2. 波長400nm〜700nmの可視光域の透過率の最大値と最小値の差が、5%〜15%であることを特徴とする請求項1記載の農業用マルチフィルム。
  3. 前記着色層が、黒茶顔料を用いて形成された層であることを特徴とする請求項1又は2記載の農業用マルチフィルム。
  4. 前記着色層が、ベンガラ顔料と黒顔料のブレンドによって作り上げられた黒茶顔料を用いて形成された層であることを特徴とする請求項1又は2記載の農業用マルチフィルム。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載の農業用マルチフィルムに、さらに光反射層を積層してなることを特徴とする農業用マルチフィルム。
  6. 波長400nm〜700nmの可視光域の透過率の最大値が20%以下であり、最小値が3%以上であることを特徴とする請求項5記載の農業用マルチフィルム。
  7. 請求項1〜6の何れかに記載の農業用マルチフィルムを圃場の畝面に被覆し、
    次いで、該フィルムの植生穴に人参の種を播種し、
    該人参の種を、発芽させ、成長させた後に、人参を収穫することを特徴とする人参の栽培方法。
  8. 請求項1〜6の何れかに記載の農業用マルチフィルムを圃場の畝面に被覆し、
    次いで、該フィルムの植生穴及び該植生穴を外れた部位に、人参の種を播種し、
    該植生穴に播種された種と、該植生穴を外れた部位に播種された種とを、同時期に発芽させて、同様に成長させた後に、同時期に人参を収穫することを特徴とする人参の栽培方法。
  9. 請求項5又は6記載の農業用マルチフィルムを圃場の畝面に前記光反射層を最上面側に配置するように被覆し、
    次いで、該フィルムの植生穴に人参の種を播種し、
    該人参の種を、発芽させ、成長させた後に、人参を収穫することを特徴とする人参の栽培方法。
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