JP3215501B2 - 多孔体結合部材、それを用いるフィルター装置、および多孔体結合部材の製造方法 - Google Patents

多孔体結合部材、それを用いるフィルター装置、および多孔体結合部材の製造方法

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JP3215501B2
JP3215501B2 JP14817492A JP14817492A JP3215501B2 JP 3215501 B2 JP3215501 B2 JP 3215501B2 JP 14817492 A JP14817492 A JP 14817492A JP 14817492 A JP14817492 A JP 14817492A JP 3215501 B2 JP3215501 B2 JP 3215501B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば金属フィルタな
どの多孔体と金属製の取付具とを多孔体の空孔特性を損
なうことなく強固に結合した多孔体結合部材、それを用
いた濾過性能に優れるフィルター装置、および多孔体結
合部材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、金属粒子、金属繊維などを所定
形状に、焼結などにより一体成形した多孔体は、その空
孔特性を利用して、フィルタ、防振材、断熱材、触媒、
電極材などとして、多くの産業分野で用いられている。
【0003】また、これらの多孔体は、単体として装置
に組込まれて使用される場合の他、板体やハウジング容
器などの金属製の取付具に一体に結合した多孔体結合部
材として使用される場合、さらにこの多孔体結合部材を
装置に組込んで使用される場合がある。
【0004】フィルタ分野を例にとり説明すると、金属
製の多孔体は、高分子ポリマーなどの数μm程度の異物
を除去する液体の濾過とともに、例えば半導体を中心と
する電子分野で用いるプロセスガスなどの濾過のための
フィルタとして使用され、このような半導体ガス用とし
て用いるフィルタにおいては、近年、0.01μm程度
以下の異物を濾過することが望まれている。
【0005】なお、このような半導体の製造におけるプ
ロセスガスの濾過用として使用するものは、システムの
ベーキング処理のために耐熱性が必要となり、かつ腐蝕
性ガスに耐用しうる耐蝕性も要求される。なおベーキン
グ処理とは、フィルタを含む濾過システム全体を、例え
ば200〜400℃程度に加熱し、システム内に付着
し、存在する有害な水分などを予め除去するものであ
る。
【0006】このために半導体ガス用のフィルタには、
前記のように全金属性の多孔体、とくにステンレスなど
の不銹綱を用いる多孔体が望まれる。なお本出願人は、
前記した半導体プロセスガスの濾過用に好ましく用いう
るフィルタ部材として、特願平3ー289087号明細
書、図面によって、図14に示すような、多孔質の支持
体Aの一面に支持体の孔径よりも微細な粒子からなる粒
子層Bを設けた2層構造の多孔体を提案している。
【0007】他方、多孔体が前記したフィルタであっ
て、このフィルタを取付具に固着した多孔体結合部材と
してフィルター装置に用いるときには、この多孔体結合
部材は、多孔体がガス洩れがないように気密に強固にし
かも非金属のシール材を介することなく取付具に一体に
取付けられていることが重要となる。
【0008】このように多孔体と取付具とを一体化する
方法としては、イオンビーム、プラズマアーク、アセチ
レンなどによって、ときにフィラを用いて多孔体と取付
具とを溶融させ両者を溶着することによって一体化する
溶接法、溶融金属を介して結合するロー付け法、拡散に
より接合する拡散結合法が考えられる。なおネジ止め、
カシメ、焼きバメなどの機械的方法も考えられるがいず
れも結合能率、気密保持性に劣る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで前記した溶接
法、ロー付け法においては、多孔体が微細な金属材料に
より構成されているものでは、取付具とは熱による膨張
率、収縮率が相違し、これに起因して形状変形、多孔体
の空孔の目開きを生じ、又粒子間剥離、多孔体と取付具
との間にクラックなどを生じやすい。とくに多孔体がフ
ィルタであるとき、目開き、空孔形状の変形は濾過特性
を低下し、又粒子間剥離、クラックは濾過性能の大巾な
低下を誘発する。
【0010】又溶接法では取付具、多孔体の溶融によっ
て、結合部には溶融したのちの固まり部が生じるため実
質的に濾過面積を減少させ、デッドスペースの増大、被
濾過流体の滞留の発生などの原因ともなる。
【0011】一方、ロー付け法においても、強度に劣る
他、ロー材が通常異種金属であるため、耐食性、製品品
質を損ないがちであるとともに、低温溶融のためにボロ
ンなどの元素をロー材が含むときには、ステンレス鋼か
らなる多孔体を損ない、とくに多孔体がフィルタであっ
て、前記した半導体プロセス用ガスの濾過のために用い
るときには、前記元素はプロセスの障害となる。
【0012】なお溶接法に関して、実開昭59−748
14号公報は、多孔体と取付具との間にリングを介在さ
せることを提案しているが、このものはリングによって
寸法を増し、かつデッドスペースを生じて濾過面積を減
じ、又この部分に異物が在留しやすいなどの不都合があ
る。
【0013】さらに前記した拡散接合として、多孔体と
取付具とを炉内で加熱し拡散結合する全体加熱方法が知
られているが、この方法では、全体が再加熱されるのに
伴い、フィルタとしての多孔体の内部空孔、形状の変化
が起こり、品質にバラツキが生じるとともに、特に前記
した図14に示す2層体の多孔体を用いるときには、再
加熱によって粒子層B側での収縮率が支持体Aよりも大
きく収縮し、多孔体と取付具との間、多孔体の支持体A
と粒子層Bとの間に隙間、クラックが発生することとな
る。
【0014】本発明は、多孔体と取付具とを空孔特性を
損なうことなく強固かつ気密に取付けた多孔体結合部
材、それを用いるフィルター装置、および多孔体結合部
材の製造方法の提供を目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、多孔体と
金属製の取付具とが、その接触面で押圧されかつ前記取
付具が部分的に溶融されることにより形成され前記多孔
体にまでは達しない深さの溶融部による前記接触面にお
ける拡散接合によって一体化されてなる多孔体結合部材
である。
【0016】第2の発明は、ろ材である多孔体と金属製
の取付具とが、その接触面で押圧され前記取付具が部分
的に溶融されることにより形成され前記多孔体にまでは
達しない深さの溶融部による前記接触面における拡散接
合によって一体化されてなる多孔体結合部材を用いてな
るフィルター装置である。
【0017】第3の発明は、多孔体と金属製の取付具と
を接触面で互いに押圧させる押圧段階と、その押圧状態
前記取付具を加熱して部分的に溶融し多孔体にまで達
しない深さの溶融部を形成する溶融段階と、この溶融段
階によって前記多孔体と取付具との接触面を拡散接合に
よって一体化する接合段階、からなることを特徴とする
多孔体結合部材の製造方法である。
【0018】
【作用】このように第1の発明の多孔体結合部材は、多
孔体と取付具とが加熱によって多孔体までは達しない部
分的な溶融部による拡散接合によって一体化、固着され
ており、したがってその接合面において前記多孔体は実
質的に溶融していないため、空孔の変化、クラック等の
発生がなく、気密で強固な接合となる。又ロー材などの
異種金属の混入がなく、高品質を維持できる。
【0019】又多孔体がフィルタである第2の発明のフ
ィルターが装置にあっては、多孔体結合部材を用いるこ
とにより、この多孔体結合部材が有する特性をそのまま
帯有しうる他、フィルタ本来の濾孔を維持し、濾過面積
の減少を防止する。又滞留の発生も抑制できるととも
に、変形、目開き、粒子間剥離、クラックが抑制され、
濾過性能、濾過特性を維持でき、しかもロー材などの異
種金属を含有しないことから、高精度かつ高純度が要求
される半導体プロセスガス用のフィルタ装置として好ま
しいものとなる。
【0020】さらに第3の発明では、多孔体と取付具と
を接合し、その接合部近傍の取付具を加熱して前記取付
具に多孔体にまでは達しない深さの部分的な溶融部を形
成し、その熱によって両者を拡散接合した一体化品をう
ることができるため、両者結合面での熱影響は従来の溶
接などでの溶融状態に比べ極めて低く抑えることができ
る。従って多孔体の空孔径の変化、クラック発生が防止
できるとともに、部分的加熱法であることから多孔体の
結合部以外の部分は実質的に熱影響が少なく、初期状態
を保ち、形状変形も防止できる。
【0021】
【実施例】以下、第1の発明の多孔体結合部材が、第2
の発明のフィルター装置として用いられる場合を例にと
り、その一実施例を第3の発明の製造方法とともに図面
に基づき説明する。
【0022】図1は、多孔体3であるフィルタ3Aと、
このフィルタ3Aに固着される金属製のリング状の取付
具4とを結合した多孔体結合部材2を示し、又多孔体結
合部材2は、図2に示すように前後のハウジング金具
5、6と合体することにより、例えば半導体プロセスガ
ス濾過用のフィルター装置7を形成している。
【0023】前記フィルタ3Aは、例えば図14に示し
た多孔体を用い、この多孔体3は有底カップ状をなし、
かつ前記したように、焼結体からなる支持体Aの外面
に、その孔径よりも微細な粒子からなる比較的薄い粒子
層Bを設けて一体に焼結した2層体からなる。なお支持
体Aは、粒子層Bの粒子に比して平均直径が2〜100
倍程度大きい 140/200メッシュ〜200/25
0メッシュのステンレス鋼アトマイズド粉末からなり、
又粒子層Bの粒子は微細、例えば径0.5〜15μm、
好ましくは0.5〜4μm程度の金属粒子、又は略同径
かつアスペクト比が2〜15程度の金属短繊維を用いて
いる。これにより、支持体Aの平均空孔径15μm〜2
0μm程度となり、また粒子層Bの空孔の平均空孔径は
2.0μm以下程度となる。
【0024】なおフィルタ3A、取付具4の金属材質と
していずれも、ステンレス鋼、特にSUS316L、S
US317Lを用い、さらに耐食性の向上のために、イ
ンコネル、ハステロイ(登録商標)なども利用しうる。
【0025】前記取付具4は、平板リング状の基部10
の内円に沿って、前記フィルタ3Aの内孔に嵌着しフィ
ルタ3Aを芯出ししうるボス11を設けており、又フィ
ルタ3Aと取付具4とは、図3に示すごとく、フィルタ
3Aの端面13と、この端面13が接する前記基部10
の内円側の当接面14とからなる接触面15を接合する
ことにより一体化している。
【0026】この接合は、表面仕上げが施されたフィル
タ3Aの端面13と、前記基部10の当接面14との接
触面15を押圧させる状態において、図3に示すよう
に、例えば前記接触面15とは反対側の外面16を加熱
し、この外面16に、取付具4を部分的に溶融した溶融
部Mを形成する際の加熱による拡散接合に基づく。
【0027】又前記拡散接合は、材料を溶融させること
なく金属原子の交じり合いによる拡散によって接合する
ものであり、多孔体結合部材2においては、前記溶融部
Mの形成に伴う熱によって拡散接合させる。
【0028】さらに本発明において、拡散接合に際して
の加熱温度を低下し接合を容易とするべく、ディフュー
ザ、インサートメタルである拡散材を介在させることも
できるが、これらの拡散材が、耐食性の低下など、フィ
ルタ3Aに悪影響を与えるときには使用をさける。
【0029】前記溶融部Mとは、前記取付具4を例えば
前記外面16において部分的に溶融させかつ溶融部分が
固化した痕跡であって、この溶融部Mは、加熱に際し
て、フィラを用いないときには、取付具4の溶融のみに
より形成されるが、フィラを用いるときには、溶融した
フィラとこのフィラにより部分的に溶融される取付具4
の溶融部分とによって形成され、この溶融部Mはデンド
ライト相となる。
【0030】さらに前記溶融部Mは、多孔体3即ちフィ
ルタ3Aまでは達成しない深さを有し、これによりフィ
ルタ3Aの空孔変化を抑制する。
【0031】なおフィルタ3Aまで溶融部Mが達したと
きには、とくにフィルタ3Aにおいて溶融が促進され、
かつフィルタ3Aに空孔を有しない大きな固溶部が生
じ、滞留の原因となり、かつ目開き、粒子間の剥離など
により濾過特性を損なう他、接触面15、フィルタ内
部、支持体Aと粒子層Bとの間などにおいてクラックが
生じ、結合強度を低下させるのが判明している。又クラ
ックによって透過精度も大巾に低下し、半導体ガス用の
フィルター装置としては到底使用しえないこととなる。
【0032】なお溶融部Mと、多孔体3との間の距離L
は、接触面での拡散接合を行う反面、多孔体3の空孔変
化などが生じない範囲で、例えば0.1〜1.0mm程
度、好ましくは0.2〜0.5mm程度とするのがよい。
又溶融部Mの巾Wは、フィルタ3Aの厚さをこえる程度
とするのがよい。なお加熱面が取付具4の当接面14と
反対側の外面16である場合において、取付具4の厚さ
は約0.3〜2mm程度とするのがよい。
【0033】これによって、加熱による溶融部分の発生
およびその固化による溶融部Mの発生の間に亘る熱によ
って、接触面15の金属拡散による拡散接合を可能と
し、強固かつ空孔を乱すことなく接合した多孔体結合部
材2を形成しうる。
【0034】この多孔体結合部材2は、図2に示すよう
に、その取付具4の基部10を、各端部に接続用の外ネ
ジ筒17、19を有する前記前後のハウジング5、6の
胴部20、21内端間で挟み、かつ溶着によって一体化
することにより前記フィルター装置7を形成する。
【0035】なお取付具4は、後のハウジング6の胴部
21と接する全面を後加工によって平滑に仕上げ、胴部
21と取付具4との間の空気溜まりの発生をなくす。
【0036】なお多孔体3として、前記二層構造のフィ
ルタ3Aの他、一層からなるもの、又前記ステンレス
鋼、ハステロイ、インコネルなどの他、ニッケル、チタ
ンその他種々の金属、それらの合金材料の粉末、短繊維
あるいは繊維状の微細金属を単体ないしは複合して用い
た焼結品も採用でき、また特性、形状などは用いる用途
により任意に設定される。さらに空孔径、空孔特性を変
化させた2以上の複数層を積層したものも利用できる。
さらに有底筒状の他、平板状、曲面状、筒状とすること
もできる。
【0037】又取付具4もいわゆるムクな金属からなる
ものの他、多孔体を用いてもよく、そのとき、可能な限
り多孔体3に比して高密度のものを利用する。
【0038】又取付具4は、前記ボス部11を省略する
ことも、さらにボス部11に加え、フィルタ3Aの外周
面に接する突起(図示せず)を設けて位置出し精度を向
上するのもよい。さらに図4に示すごとく、取付具4の
外面16に、加熱位置を表示する凹部などの目印部分2
2を形成してもよく、又この目印部分22は例えばT1
Gによる加熱の場合におけるフィラを充填する部分とし
ても利用する。
【0039】さらに取付具4は、多孔体3がフィルタ3
Aである場合において、図9に示すように、例えば後の
ハウジング6を取付具として用い、その後壁の外面16
の加熱による部分的な溶融部Mによる拡散接合により、
この外壁の当接面14に直接固着させ、これによって、
部品点数を削減しうる。
【0040】さらに図10に示すごとく、フィルタ3A
が円板状であるときには、前後のハウジング5、6の向
き合う内端面に、前記フィルタ3Aを圧入する切欠部2
3、24を形成した上、前記内端面を接して外周面から
加熱することができる。これによりフィルタ3Aの外周
面である端面13と、切欠部23、24の内周面である
当接面14とからなる接触面15を接合する。
【0041】さらに図11に示すように、接触面15と
は反対側の取付具4の外面16ではなくて、異なる面、
例えば側面27を加熱し溶融部Mを形成することによっ
て接触面15を拡散接合することもできる。
【0042】さらに、前記溶融部Mは、フィルター3A
を挟んで両方2ケ所に設けてもよく、またフィルター3
Aと取付具4との接触面15は平面状に限らず、段付
状、付状など種々形状とすることもできる。
【0043】このように、本発明の多孔体結合部材2
は、割れを生じることなく、かつ多孔体3の空孔変化を
減じつつ両者を強固に接合でき、例えばフィルター装置
として好適に採用しうる。
【0044】さらに一部を既述したように、第3の発明
である多孔体結合部材を製造するに際しては、多孔体3
の端面13と、取付具4の当接面14とを、平滑に表面
仕上げを施こし、かつ表面を清浄化する。
【0045】ムクの金属からなる取付具4の場合には、
機械加工仕上の後、電解研磨によって鏡面仕上げをす
る。なお多孔体4では、エメリーペーパーによる研磨仕
上げののち、純水による超音波仕上げを施すのがよい。
【0046】又端面13、当接面14を、0.2kg/cm
2 〜30kg/cm2 程度、好ましくは0.5〜2kg/cm2
程度の押圧力で当接させ接触面15を密着させる押圧段
階を具える。
【0047】この状態において加熱する。加熱に先立
ち、窒素、アルゴン(好ましくはアルゴン)などの不活
性ガスを流過させ、多孔体3、取付具4を無酸化雰囲気
状態とする。これにより加熱に伴う酸化等によるスケー
ルの発生、着色を防止する。
【0048】加熱は、取付具4を接触面15の近傍、特
に接触面15の反対側の外面16に局部的かつ全周を連
続加熱する。
【0049】加熱方法としては、例えばプラズマアー
ク、イオンビーム、レーザビーム、アセチレン加熱など
の方法が採用できるが、接合面全面にわたって効果的に
加熱するためには、TIG、特にプラズマアークが好ま
しい。加熱に際して、必要によりフィラを用いる。
【0050】また加熱の条件は、取付具、多孔体の特性
を考慮して選択されるが、例えば取付具4の厚さが0.
7mmのステンレス鋼リングであり、プラズマアークによ
って局部加熱する場合、その電流値は10〜30Aと
し、速度80〜170mm/min程度とするのがよい。な
お電流値などは可変とし、加熱温度の調節を可能とする
のがよい。
【0051】このような加熱により、取付具4が部分的
に溶融する溶融部分が生じる。この溶融部分が通電の停
止によって固化することにより、デントライト相からな
る異相組織部である多孔体3にまでは達しない溶融部M
が形成される。
【0052】この溶融段階により、前記接触面15が拡
散接合によって結合する接合段階を具えることとなる。
【0053】このような製造方法は、例えば図12に示
す装置を用いて実施しうる。
【0054】この装置は、回転自在に支持され前記取付
具4の外周縁を受けるとともにガス流入口29を設けた
容器状の下枠30と、取付具4の外周縁を押下げる上枠
31と、下枠30の下部に設けられ多孔体3を上向きに
押上げ接触面15を押圧させる付勢具32とを有する。
【0055】またプラズマアークなどの加熱具33を上
方に配することによって、下枠30の回転とともに、加
熱具33は、所定の位置を連続して加熱でき、また電
流、電圧を変化し、加熱温度を調整することにより、高
精度かつ割れのない強固な接合を可能とする。
【0056】又本発明において、前記溶融部Mを、接触
面15と反対側の取付具の外面16に形成させることに
より、製造を容易とするとともに、使用に際して該溶融
部Mを被処理流体と接触させないことが容易となり、耐
食性を高めるのにも役立てうる。
【0057】なお、本発明の多孔体結合部材は、フィル
タの他、防振材、電極材など、多孔体と取付具とからな
る様々な部材として利用しうる。
【0058】
【具体例】つぎに本発明の効果を確認する為、以下の試
験を行った。SUS316Lのステンレス鋼粉末(粒子
径50μm)を厚さ1.5mmのカップ型に焼結した支持
体Aの外表面に、粉末径2.5μより微細な微細粒子を
用いて粒子層Bを形成した図14のような多孔体3をえ
た。その空孔径は1.5〜2.0μmであり外径22m
m、高さ33mmであった。
【0059】一方、取付具4として、前記多孔体3の内
孔に合うボス11を有するステンレス鋼製リング体(外
径30mm、内径40mm、厚さ0.7mm)を用い、かつ両
者の端面、当接面13、14に、機械加工及び研磨加工
により鏡面乃至鏡面に近い仕上げを施した。なお取付具
4として、図5に示す、ボス11の根本部分にヌスミ状
の凹部aを設けた取付具4Aと、凹部aのない図6〜図
8の取付具4Bとを用いている。
【0060】両者を圧力1.0kg/mm2 で押圧する一
方、全体にアルゴンガスを供給して無酸化状態とした
後、プラズマアークにより電流条件を20〜29Aの範
囲で変化し、かつ加熱具と取付具との間の相対速度を1
28mm/min として加熱することにより夫々溶融部を有
する各5個の4種類の試料(試料1〜4)を作成した。
【0061】各試料1〜4の接合部の状態と、接合強度
と、濾過特性を観察した。各試料1〜4の接合部の状態
をそれぞれ図5〜図8に示している。また接合強度と濾
過特性の結果をまとめて、表1に示している。
【0062】
【表1】
【0063】図5〜7に示す試料1〜3では、溶融部M
が多孔体3まで達していないのに対して、図8に示す試
料4は、溶融部Mが多孔体3にまで延在している。
【0064】濾過特性はバブルポイント圧の接合前後の
変化によって測定し、試料1、4ではいずれも接合後の
バブルポイント圧は、接合前の状態に比べて低下し、リ
ークが生じたものが多く合格率が低かった。また試料1
は、溶融部が多孔体までには達していないにも係わらず
リークが発生したのは前記凹部aの影響によるものと考
えられる。なお接合前は多孔体単体でバブルポイント圧
を測定した。
【0065】試料2、3については、いずれも結合界面
でのリーク現象はなく合格率100%であり、しかも結
合強度についても多孔体3と同等以上の強度を備え十分
な結合状態が得られていることが確認された。
【0066】また試料4については、加熱電流が大であ
ったことから、溶融部が実質的に多孔体にまで到達した
ものとなり、この為加熱によってクラック、空孔変化が
起こりリーク現象を発生させ、濾過性能が低下したもの
と判断される。
【0067】なお接合前は多孔体単体でバブルポイント
圧を測定した。ここでバブルポイント圧とはJIS規格
B8536「濾過粒度試験」において規定されている試
験法である。
【0068】また接合強度は、図13に示すように、取
付具4を固定し、押上具35を用いて、破断するまで押
圧した。試料1は接触面15で破断した。試料2〜4は
多孔体3の曲がり部bで破断した。試料2〜4の接合強
度が優れているのは明らかである。
【0069】
【発明の効果】このように、第1の発明の多孔体結合部
材は、多孔体と取付具とを割れなどを生じることなく、
かつ多孔体の空孔特性を殆ど変化することなく強固に結
合している。従ってこの多孔体結合部材をもちいるフィ
ルター装置は、濾過特性、濾過性能に優れ、半導体ガス
濾過のためにも使用しうることとなる。
【0070】また第3の発明の製造方法において、クラ
ック発生などのトラブル防止が可能となって歩留まりよ
く量産することができ、しかも加熱も局部加熱であるこ
とから多孔質部材の結合部以外の部分の熱影響を減じる
ことができ、多孔体と取付具との強固な結合体を形成し
うる。
【図面の簡単な説明】
【図1】多孔体結合部材の一実施例を示す斜視図であ
る。
【図2】多孔体結合部材を用いて形成するフィルタ装置
の一実施例を示す断面図である。
【図3】溶融部を例示する断面図である。
【図4】取付具の一例を示す断面図である。
【図5】溶融部を例示する断面図である。
【図6】溶融部を例示する断面図である。
【図7】溶融部を例示する断面図である。
【図8】溶融部を例示する断面図である。
【図9】取付具の他の例を示す断面図である。
【図10】多孔体と取付具の他の例を示す断面図であ
る。
【図11】溶融部の他の例を示す断面図である。
【図12】多孔体結合部材の製造装置を例示する断面図
である。
【図13】強度を試験する試験装置を例示する断面図で
ある。
【図14】多孔体を例示する断面図である。
【符号の説明】
2 多孔体結合部材 3 多孔体 3A フィルタ 4 取付具 7 フィルタ装置 15 接触面 M 溶融部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01D 46/24 B01D 39/00 B01D 39/20

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多孔体と金属製の取付具とが、その接触面
    で押圧されかつ前記取付具が部分的に溶融されることに
    より形成され前記多孔体にまでは達しない深さの溶融部
    による前記接触面における拡散接合によって一体化され
    てなる多孔体結合部材。
  2. 【請求項2】前記溶融部は、前記接触面と反対側の取付
    具の外面に形成されていることを特徴とする請求項1に
    記載の多孔体結合部材。
  3. 【請求項3】前記多孔体は、微細な金属粒子又は金属短
    繊維の多孔焼結体であることを特徴とする請求項1また
    は2に記載の多孔体結合部材。
  4. 【請求項4】ろ材である多孔体と金属製の取付具とが、
    その接触面で押圧され前記取付具が部分的に溶融される
    ことにより形成され前記多孔体にまでは達しない深さの
    溶融部による前記接触面における拡散接合によって一体
    化されてなる多孔体結合部材を用いてなるフィルター装
    置。
  5. 【請求項5】前記多孔体は、半導体ガス用のろ材である
    ことを特徴とする請求項4記載のフィルター装置。
  6. 【請求項6】多孔体と金属製の取付具とを接触面で互い
    に押圧させる押圧段階と、その押圧状態で前記取付具を
    加熱して部分的に溶融し多孔体にまで達しない深さの溶
    融部を形成する溶融段階と、この溶融段階によって前記
    多孔体と取付具との接触面を拡散接合によって一体化す
    る接合段階、からなることを特徴とする多孔体結合部材
    の製造方法。
  7. 【請求項7】前記溶融段階は、前記溶融が前記接触面と
    反対側の取付具の外面で行われることを特徴とする請求
    項6記載の多孔体結合部材の製造方法。
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