JP3214807B2 - バランサー装置におけるバランサーシャフト潤滑構造 - Google Patents

バランサー装置におけるバランサーシャフト潤滑構造

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JP3214807B2
JP3214807B2 JP24342995A JP24342995A JP3214807B2 JP 3214807 B2 JP3214807 B2 JP 3214807B2 JP 24342995 A JP24342995 A JP 24342995A JP 24342995 A JP24342995 A JP 24342995A JP 3214807 B2 JP3214807 B2 JP 3214807B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クランクシャフト
の回転を中間シャフトを介してバランサーシャフトに伝
達するバランサー装置に関し、特にそのバランサーシャ
フトの潤滑構造に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、バランサー装置のバランサーシ
ャフトは、その両端のジャーナルにおいてエンジンブロ
ックに支持されている。ジャーナルの潤滑は、エンジン
ブロックに形成した油路を介して供給される潤滑油で一
端側のジャーナルを潤滑するとともに、その潤滑油をバ
ランサーシャフトに半径方向内向きに形成した油路と、
軸方向に形成した油路と、半径方向外向きに形成した油
路とを通して他端側のジャーナルに導いて潤滑してい
る。
【0003】ところで、バランサーシャフトが高速で回
転しているとき、エンジンブロックの油路から供給され
る潤滑油を一端側のジャーナルに形成した半径方向内向
きの油路に供給しようとしても、遠心力で前記油路内の
潤滑油が半径方向外向きに付勢されるため、バランサー
シャフトの内部に潤滑油を充分に供給できなくなる問題
がある。
【0004】そこで、特開昭51−55835号公報に
記載されたものは、一端側のジャーナルを小径のものと
してエンジンブロックに設けた間座に支持することによ
り、該ジャーナルの周速(即ち、潤滑油に作用する遠心
力)を低下させて潤滑油の給油不良の解消を図ってお
り、或いは半径方向内向きの油路の外端をジャーナルの
外周に形成した環状の油溝に連通させることにより、ジ
ャーナルの実質的な外径を減少させて遠心力による潤滑
油の給油不良の解消を図っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た前者の手法を採用すると間座が必要になって部品点数
が増加する問題があり、後者の手法を採用するとジャー
ナルの摺動面の面積が減少して耐久性が低下する問題が
ある。
【0006】本発明は前述の事情に鑑みてなされたもの
で、バランサーシャフトの高速回転時にも遠心力の影響
を受けずに潤滑油を効果的に供給することが可能であ
り、しかも油路の構造が簡単なバランサーシャフトの潤
滑構造を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載された発明は、クランクシャフトの
回転を中間シャフトを介してバランサーシャフトに伝達
するバランサー装置において、バランサーシャフトと中
間シャフトとを接続するギヤを覆い該バランサーシャフ
トの一端を支持するギヤケースを、エンジンブロックの
端部に結合し、そのギヤケースに形成されてオイルポン
プから中間シャフトに潤滑油を供給する油路に、バラン
サーシャフトの一端のジャーナルを臨ませると共に、バ
ランサーシャフトの、前記一端のジャーナルとは別のジ
ャーナルを潤滑すべく該バランサーシャフトの内部に形
成した油路の軸端開口部を、ギヤケースの前記油路に連
通させ、前記バランサーシャフトの他端にバランサーウ
エイトをボルトで固定し、前記バランサーシャフトの一
端には、工具が係合可能な六角状頭部を一体に形成した
ことを特徴とする。
【0008】また請求項2に記載された発明は、クラン
クシャフトの回転を中間シャフトを介してバランサーシ
ャフトに伝達するバランサー装置において、バランサー
シャフトと中間シャフトとを接続するギヤを覆い該バラ
ンサーシャフトの一端を支持するギヤケースを、エンジ
ンブロックの端部に結合し、そのギヤケースに形成され
てオイルポンプから中間シャフトに潤滑油を供給する油
路に、バランサーシャフトの一端のジャーナルを臨ませ
ると共に、バランサーシャフトの、前記一端のジャーナ
ルとは別のジャーナルを潤滑すべく該バランサーシャフ
トの内部に形成した油路の軸端開口部を、ギヤケースの
前記油路に連通させ、前記ギヤケースの前面に突設した
リブの内部に該ギヤケースの前記油路を形成し、前記ギ
ヤケースの前面にタイミングベルトカバーを重ね合わせ
ると共に該ギヤケースの一部を車体前面側に露出させ、
その露出部に前記リブの一部が位置していることを特徴
とする。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、添
付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0010】図1〜図8は本発明の一実施例を示すもの
で、図1は縦置きV型エンジンの正面図、図2は図1の
2方向矢視図、図3は図2の3方向矢視図、図4は図3
の4−4線断面図、図5は図4の5−5線矢視図、図6
は図4の6−6線矢視図、図7は図2の7−7線断面
図、図8はバランサー装置の組立手順を示す図である。
【0011】図1に示すように、クランクシャフト1を
車体前後方向に配置した縦置きV型6気筒エンジンEの
エンジンブロック2は、その上部に車体左側に延びる左
バンク3L 及び車体右側に延びる右バンク3R を備え
る。左バンク3L に支持したカム軸4L に設けたカムシ
ャフト従動プーリ5L と、右バンク3R に支持したカム
軸4R に設けたカムシャフト従動プーリ5R と、クラン
クシャフト1に設けたカムシャフト駆動プーリ6と、2
個のテンションプーリ7,8とにタイミングベルト9が
巻き掛けられる。
【0012】左バンク3L のカムシャフト従動プーリ5
L 及び右バンク3R のカムシャフト従動プーリ5R の前
面は、それぞれ左タイミングベルトアッパカバー10L
及び右タイミングベルトアッパカバー10R によって覆
われる。また2個のテンションプーリ7,8の前面は、
前記両タイミングベルトアッパカバー10L ,10R
連なるタイミングベルトロアカバー11により覆われ
る。
【0013】図3を併せて参照すると明らかなように、
右バンク3R の下方にバランサーシャフト12がクラン
クシャフト1と平行に支持されており、このバランサー
シャフト12が後述する中間シャフト13を介してクラ
ンクシャフト1により駆動される。即ち、クランクシャ
フト1に設けたバランサーシャフト駆動プーリ14と、
中間シャフト13に設けたバランサーシャフト従動プー
リ15と、テンションプーリ16とにタイミングベルト
17が巻き掛けられ、クランクシャフト1の駆動力がバ
ランサーシャフト12に伝達される。
【0014】クランクシャフト1により駆動されるオイ
ルポンプ18から第1油路19が車体右方向に延びてお
り、この第1油路19の末端から上方に延びる第2油路
20が前記バランサーシャフト12及び中間シャフト1
3に接続される。エンジンEの前方に配置されたラジエ
ータRは左右のファン開口部21L ,21R を備えてお
り、車体右側のファン開口部21R の後方投影面積内に
前記第1、第2油路19,20が位置している。これに
より、ファン開口部21R を通過する冷却風で潤滑油の
冷却を図ることができる。
【0015】図2〜図4に示すように、エンジンブロッ
ク2の右側前面にオイルポンプボディ25及びギヤケー
ス26が重ね合わされており、更にギヤケース26の前
面に形成した合せ面264 にタイミングベルトカバー2
7が重ね合わされる。前記第1、第2油路19,20は
ギヤケース26の前面に突設したリブ262 ,263
内部に形成されており、第1油路19の下流端及び第2
油路20の上流端はそれぞれ盲栓28,29により閉塞
される(図3参照)。ギヤケース26の前面にタイミン
グベルトカバー27を重ね合わせたとき、ギヤケース2
6の一部が車体前面側に露出しており、その露出部に第
1、第2油路19,20の一部を臨ませることにより
(図1参照)、またリブ262 ,263 の内部に第1、
第2油路19,20を形成することにより、冷却風によ
る潤滑油の冷却を促進している。
【0016】バランサーシャフト12はエンジンブロッ
ク2の右外側面に沿って車体前後方向に配置される。バ
ランサーシャフト12の前側(図4における右側)には
第1ジャーナル121 及び第2ジャーナル122 が形成
されるとともに、後側(図4における左側)には第3ジ
ャーナル123 が形成される。第1ジャーナル121
シャフトホルダーとしての前記ギヤケース26に形成し
たジャーナル軸受26 1 に支承され、また第2ジャーナ
ル122 はシャフトホルダーとしての前記オイルポンプ
ボディ25に形成したジャーナル軸受251 に支承され
る。エンジンブロック2の後端にはシャフトホルダー3
0がシール部材22を介してボルト31で固定されてお
り、このシャフトホルダー30に形成したジャーナル軸
受301に前記第3ジャーナル123 が支承される。
【0017】ギヤケース26に支持した中間シャフト1
3の後端に一体に形成した駆動ギヤ32が、バランサー
シャフト12の第1ジャーナル121 の後側に圧入した
従動ギヤ33に噛合する。バランサーシャフト駆動プー
リ14及びバランサーシャフト従動プーリ15間の歯数
比と、駆動ギヤ32及び従動ギヤ33間の歯数比とは、
バランサーシャフト12がクランクシャフト1と同速度
で回転するように設定される。また駆動ギヤ32及び従
動ギヤ33の噛合により、バランサーシャフト12の回
転方向はクランクシャフト1の回転方向と反対方向にな
る。
【0018】図4及び図5から明らかなように、バラン
サーシャフト12の第2ジャーナル122 と従動ギヤ3
3との間に、概略扇状の第1バランサーウエイト34が
圧入により結合される。前記駆動ギヤ32、従動ギヤ3
3及び第1バランサーウエイト34は、オイルポンプボ
ディ25の前面に開口する凹部252 に収納される。バ
ランサーシャフト12の前端には、工具が係合可能な六
角状頭部124 が一体に形成される。
【0019】図4及び図6から明らかなように、バラン
サーシャフト12の後端に概略扇状の第2バランサーウ
エイト35が嵌合してボルト36により結合される。第
2バランサーウエイト35はシャフトホルダー30に形
成した凹部302 に収納され、前記ボルト31で共締め
されたカバー24により覆われる。ボルト36はバラン
サーシャフト12の回転に伴って緩むことがないように
逆ネジとされる。しかもカバー24の内面はボルト36
の頭部に僅かな隙間αを存して対向しており、ボルト3
6が緩んでも該ボルト36の脱落が防止され、ひいては
第2バランサーウエイト35のバランサーシャフト12
からの脱落が防止される。
【0020】第2バランサーウエイト35の中心部(バ
ランサーシャフト12との嵌合部)は比較的に薄肉に形
成されているが、外周部は軸方向前方側及び軸方向後方
側に張り出して比較的に厚肉に形成されており、特に軸
方向前方側に張り出した厚肉部はシャフトホルダー30
のジャーナル軸受301 の半径方向外側を覆っている
(図4参照)。これによりシャフトホルダー30に形成
した凹部302 の内部空間を有効利用して第2バランサ
ーウエイト35に径方向寸法の小型化を図ることができ
る。
【0021】図4から明らかなように、エンジンブロッ
ク2に形成した前部支持孔24 及び後部支持孔25 にパ
イプ部材37の前端及び後端がシール部材38,39を
介して嵌合しており、このパイプ部材37の内部にバラ
ンサーシャフト12の中間部125 が収納される。パイ
プ部材37の前端の直径(即ち、前部支持孔24 の直
径)は後端の直径(即ち、後部支持孔25 の直径)より
も小さく形成されており、またパイプ部材37の中間部
の直径は前端の直径及び後端の直径よりも小さく形成さ
れている。
【0022】図2及び図7から明らかなように、エンジ
ンブロック2の右側面に4本のボルト40…,41でマ
ウントブラケット42が結合されており、そのうち1本
のボルト41により、エンジンブロック2とマウントブ
ラケット42との間にディファレンシャルDから突設し
たフランジ部43が共締めされる。マウントブラケット
42がエンジンマウント44を介して図示せぬ車体フレ
ームに支持される。このように、エンジンブロック2と
マウントブラケット42との間に形成された空間45に
バランサーシャフト12及びパイプ部材37を配置する
ことにより、マウントブラケット42でバランサーシャ
フト12及びパイプ部材37の外側を覆って保護するこ
とができる。
【0023】図4から明らかなように、バランサー装置
に組み立て時にバランサーシャフト12の位相合わせを
行うべく、バランサーシャフト12に形成した工具挿入
孔126 に対向する工具挿入孔26 がエンジンブロック
2の前部に穿設される。エンジンブロック2の工具挿入
孔26 を閉塞するシーリングボルト46により、補機取
付ブラケット47(或いは、排気マニホールドのカバ
ー)等が共締めされる。補機取付ブラケット47はバラ
ンサーシャフト12及びパイプ部材37を覆う保護部材
としての機能を発揮する。
【0024】バランサー装置の組み付けは以下のような
手順で行われる。
【0025】図4及び図8において、シリンダブロック
2の前部支持孔24 及び後部支持孔25 にパイプ部材3
7を矢印A方向に挿入する。このとき、先ずパイプ部材
37の小径側の前端に装着したシール部材38が前部支
持孔24 の内周に嵌合し、続いてパイプ部材37の大径
側の後端に装着したシール部材39が後部支持孔25
内周に嵌合する。このように2個のシール部材38,3
9を前部支持孔24 及び後部支持孔25 に時間差をもっ
て挿入することにより、挿入荷重を減らして組み付けを
容易化することができる。
【0026】続いてシリンダブロック2の前端面にオイ
ルポンプボディ25を結合し、予め第1バランサーウエ
イト34及び従動ギヤ33を圧入したバランサーシャフ
ト12を矢印B方向に挿入する。続いてシリンダブロッ
ク2の後端面にシャフトホルダー30を結合した後、バ
ランサーシャフト12の後端に第2バランサーウエイト
35をボルト36で固定し、その後部にカバー24を固
定する。シリンダブロック2の後端面にシャフトホルダ
ー30を結合する際に、パイプ部材37の後端に形成し
たフランジ371 がエンジンブロック2の段部とシャフ
トホルダー30の前端との間に挟持され、これにより特
別の位置決め部材を用いることなくパイプ部材37を軸
方向に位置決めすることができる(図4参照)。第2バ
ランサーウエイト35を固定する際にボルト36の締付
トルクを支持すべく、バランサーシャフト12の前端の
六角状頭部124 をスパナSで固定して回り止めする。
六角状頭部124 の面取りにより、そこを流れる潤滑油
の流路断面積を充分に確保することができる。
【0027】続いてエンジンブロック2及びバランサー
シャフト12の工具挿入孔26 ,126 にピン状の工具
を挿入してバランサーシャフト12の位相を決定し、こ
の状態で駆動ギヤ32及び従動ギヤ33を噛合させた後
に、オイルポンプボディ25の前面にギヤケース26を
結合する。そしてバランサーシャフト駆動プーリ14、
バランサーシャフト従動プーリ15及びテンションプー
リ16にタイミングベルト17を巻き掛けた後、前記工
具挿入孔26 ,126 から工具を抜去してシーリングボ
ルト46を工具挿入孔26 を螺入してバランサー装置の
組み付けを完了する。
【0028】次に、バランサー装置の潤滑について説明
する。
【0029】図4から明らかなように、バランサーシャ
フト12の内部を第3油路50が軸方向に貫通してお
り、その第3油路50の前端はギヤケース26に形成し
た前記第2油路20に連通する。バランサーシャフト1
2の前部には第3油路50から半径方向に延びて第2ジ
ャーナル122 の外周に連通する油孔51が形成される
とともに、バランサーシャフト12の後部には第3油路
50から半径方向に延びて第3ジャーナル123 の外周
に連通する油孔52が形成される。
【0030】バランサーシャフト12の外周とパイプ部
材37の内周との間には第4油路53が形成されてお
り、この第4油路53の前端はシリンダブロック2の前
端に形成した凹部27 連通し、後端はシャフトホルダー
30に形成した前記凹部302に連通する。
【0031】而して、オイルポンプ18から吐出された
潤滑油はギヤケース26の第1油路19を経て第2油路
20に流入し、バランサーシャフト12の第1ジャーナ
ル121 の外周面を潤滑するとともに中間シャフト13
の外周面を潤滑する。第2油路20を流れる潤滑油の一
部はバランサーシャフト12の第3油路50に流入し、
油孔51を介してバランサーシャフト12の第2ジャー
ナル122 の外周面を潤滑するとともに、油孔52を介
してバランサーシャフト12の第3ジャーナル123
外周面を潤滑する。第1、第2ジャーナル121 ,12
2 からオイルポンプボディ25の凹部252 に漏れた潤
滑油は、図5において矢印方向に回転する第1バランサ
ーウエイト34により掻き上げられ、凹部252 の下部
に形成した油孔253 及びエンジンブロック2内に形成
した図示せぬ油路を経てオイルパンに戻される。
【0032】第3ジャーナル123 から前方に漏れてパ
イプ部材37内に流入した潤滑油は第4油路53を通っ
てシリンダブロック2の凹部27 に達し、そこからオイ
ルパンに戻される。また、第3ジャーナル123 から後
方に漏れてシャフトホルダー30の凹部302 に流入し
た潤滑油、或いは第4油路53から油孔54を経てシャ
フトホルダー30の凹部302 に流入した潤滑油は、図
6において矢印方向に回転する第2バランサーウエイト
35により掻き上げられ、凹部302 の下部に形成した
油孔303 を経てオイルパンに戻される。
【0033】上述したように、バランサーシャフト12
の前端に開口する第3油路50を、中間軸13に潤滑油
を供給する第2油路20の途中に連通させたので、バラ
ンサーシャフト12の第3油路50に潤滑油を導く特別
の油路が不要になるばかりか、バランサーシャフト12
の回転に伴う遠心力の影響を受けずに該バランサーシャ
フト12の第3油路50に潤滑油をスムーズに供給する
ことができる。しかも、ギヤケース26に第1、第2油
路19,20を形成したので、シリンダブロック2に形
成する場合に比べて加工が容易である。
【0034】而して、エンジンEの運転によりクランク
シャフト1が回転すると、その回転は駆動プーリ14、
タイミングベルト17、従動プーリ15、中間シャフト
13、駆動ギヤ32及び受動ギヤ33を介してバランサ
ーシャフト12に伝達され、該バランサーシャフト12
をクランクシャフト1と同速度で逆方向に回転駆動して
エンジンEの一次振動を抑制する。
【0035】また、バランサーシャフト12の中間部1
5 をエンジンブロック2の外部に配置したので、バラ
ンサーシャフト12全体をエンジンブロック2の内部に
収納する場合に比べて該エンジンブロック2が小型軽量
化される。更に、バランサーシャフト12の前端部をエ
ンジンブロック2と別体で該エンジンブロック2の前端
面に取り付けられたオイルポンプボディ25及びギヤケ
ース26を介して支持するとともに、バランサーシャフ
ト12の後端部をエンジンブロック2と別体で該エンジ
ンブロック2の後端面に取り付けられたシャフトホルダ
ー30を介して支持したので、エンジンブロック2の形
状を大幅に変更することなくバランサーシャフト12の
両端部のジャーナル121 ,122 ,123 間の距離を
充分に確保し、両バランサーウエイト34,35を適切
な位置に容易に支持することができる。その結果、両バ
ランサーウエイト34,35間の距離を充分に確保して
該バランサーウエイト34,35の軽量化を図ることが
でき、しかも両バランサーウエイト34,35をジャー
ナル121 ,122 ,123 に近接して配置したことに
より該バランサーウエイト34,35の安定した支持が
可能となる。
【0036】以上、本発明の実施例を詳述したが、本発
明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行う
ことができる。
【0037】例えば、実施例ではエンジンEの一次振動
を抑制する一次バランサー装置を例示したが、本発明は
エンジンEの二次振動を抑制する二次バランサー装置に
対しても適用することができる。
【0038】
【発明の効果】以上のように請求項1に記載された発明
によれば、バランサーシャフトと中間シャフトとを接続
するギヤを覆い該バランサーシャフトの一端を支持する
ギヤケースを、エンジンブロックの端部に結合し、その
ギヤケースに形成されてオイルポンプから中間シャフト
に潤滑油を供給する油路に、バランサーシャフトの一端
のジャーナルを臨ませると共に、バランサーシャフト
の、前記一端のジャーナルとは別のジャーナルを潤滑す
べく該バランサーシャフトの内部に形成した油路の軸端
開口部を、ギヤケースの前記油路に連通させたので、中
間シャフトを潤滑する油路を利用してバランサーシャフ
トを潤滑することが可能になる。しかもバランサーシャ
フトの軸端開口部から潤滑油を供給するので、該バラン
サーシャフトの回転による遠心力の影響を受けずに潤滑
油を効率的に供給することができる。またギヤケースに
油路を設けたので、シリンダブロックに油路を設ける場
合に比べて加工が容易であるばかりか、前記油路にバラ
ンサーシャフトの一端のジャーナルを臨ませたので該ジ
ャーナルに潤滑油を導く特別の油路を設ける必要がな
い。 また特にバランサーシャフトの他端にバランサーウ
エイトをボルトで固定し、バランサーシャフトの一端に
は、工具が係合可能な六角状頭部を一体に形成したの
で、バランサーシャフトの他端にバランサーウエイトを
ボルトで固定する際にバランサーシャフト一端の六角状
頭部を工具で固定して回り止めすることができ、またそ
の六角状頭部の面取りにより、そこを流れる潤滑油の流
路断面積を充分に確保することができる。
【0039】また請求項2に記載された発明によれば、
バランサーシャフトと中間シャフトとを接続するギヤを
覆い該バランサーシャフトの一端を支持するギヤケース
を、エンジンブロックの端部に結合し、そのギヤケース
に形成されてオイルポンプから中間シャフトに潤滑油を
供給する油路に、バランサーシャフトの一端のジャーナ
ルを臨ませると共に、バランサーシャフトの、前記一端
のジャーナルとは別のジャーナルを潤滑すべく該バラン
サーシャフトの内部に形成した油路の軸端開口部を、ギ
ヤケースの前記油路に連通させたので、中間シャフトを
潤滑する油路を利用してバランサーシャフトを潤滑する
ことが可能になる。しかもバランサーシャフトの軸端開
口部から潤滑油を供給するので、該バランサーシャフト
の回転による遠心力の影響を受けずに潤滑油を効率的に
供給することができる。またギヤケースに油路を設けた
ので、シリンダブロックに油路を設ける場合に比べて加
工が容易であるばかりか、前記油路にバランサーシャフ
トの一端のジャーナルを臨ませたので該ジャーナルに潤
滑油を導く特別の油路を設ける必要がない。また特にギ
ヤケースの前面に突設したリブの内部に該ギヤケースの
前記油路を形成し、前記ギヤケースの前面にタイミング
ベルトカバーを重ね合わせると共に該ギヤケースの一部
を車体前面側に露出させ、その露出部に前記リブの一部
を位置させたので、前記リブ内の油路を通る潤滑油の、
冷却風による冷却を促進できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】縦置きV型エンジンの正面図
【図2】図1の2方向矢視図
【図3】図2の3方向矢視図
【図4】図3の4−4線断面図
【図5】図4の5−5線矢視図
【図6】図4の6−6線矢視図
【図7】図2の7−7線断面図
【図8】バランサー装置の組立手順を示す図
【符号の説明】
1 クランクシャフト 2 エンジンブロック 12 バランサーシャフト 121 第1ジャーナル(ジャーナル) 122 第2ジャーナル(ジャーナル) 123 第3ジャーナル(ジャーナル)12 4 六角状頭部 13 中間シャフト 18 オイルポンプ19 第1油路(ギヤケースの油路) 20 第2油路(ギヤケースの油路) 26 ギヤケース27 タイミングベルトカバー 32 駆動ギヤ(ギヤ) 33 従動ギヤ(ギヤ) 50 第3油路(油路)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−217644(JP,A) 実開 昭63−92846(JP,U) 実開 昭57−35404(JP,U) 実開 昭59−99111(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16F 15/26

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クランクシャフト(1)の回転を中間シ
    ャフト(13)を介してバランサーシャフト(12)に
    伝達するバランサー装置において、バランサーシャフト(12)と中間シャフト(13)と
    を接続するギヤ(32,33)を覆い該バランサーシャ
    フト(12)の一端を支持するギヤケース(26)を、
    エンジンブロック(2)の端部に結合し、そのギヤケー
    ス(26)に形成されてオイルポンプ(18)から中間
    シャフト(13)に潤滑油を供給する油路(19,2
    0)に、バランサーシャフト(12)の一端のジャーナ
    ル(12 1 )を臨ませると共に、バランサーシャフト
    (12)の、前記一端のジャーナル(12 1 )とは別の
    ジャーナル(12 2 ,12 3 )を潤滑すべく該バランサ
    ーシャフト(12)の内部に形成した油路(50)の軸
    端開口部を、ギヤケース(26)の前記油路(19,2
    0)に連通させ、前記バランサーシャフト(12)の他
    端にバランサーウエイト(35)をボルト(36)で固
    定し、前記バランサーシャフト(12)の一端には、工
    具が係合可能な六角状頭部(12 4 )を一体に形成した
    ことを特徴とする、バランサー装置におけるバランサー
    シャフト潤滑構造。
  2. 【請求項2】 クランクシャフト(1)の回転を中間シ
    ャフト(13)を介してバランサーシャフト(12)に
    伝達するバランサー装置において、 バランサーシャフト(12)と中間シャフト(13)と
    を接続するギヤ(32,33)を覆い該バランサーシャ
    フト(12)の一端を支持するギヤケース(26)を、
    エンジンブロック(2)の端部に結合し、そのギヤケー
    ス(26)に形成されてオイルポンプ(18)から中間
    シャフト(13)に潤滑油を供給する油路(19,2
    0)に、バランサーシャフト(12)の一端のジャーナ
    ル(12 1 )を臨ませると共に、バランサーシャフト
    (12)の、前記一端のジャーナル(12 1 )とは別の
    ジャーナル(12 2 ,12 3 )を潤滑すべく該バランサ
    ーシャフト(12)の内部に形成した油路(50)の軸
    端開口部を、ギヤケース(26)の前記油路(19,2
    0)に連通させ、前記ギヤケース(26)の前面に突設
    したリブ(26 2 ,26 3 )の内部に該ギヤケース(2
    6)の前記油路(19,20)を形成し、前記ギヤケー
    ス(26)の前面にタイミングベルトカバー(2 7)を
    重ね合わせると共に該ギヤケース(26)の一部を車体
    前面側に露出させ、その露出部に前記リブ(26 2 ,2
    3 )の一部が位置している ことを特徴とする、バラン
    サー装置におけるバランサーシャフト潤滑構造。
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