JP3214561B2 - 酵素電極およびそれを用いたバイオセンサ、測定器 - Google Patents
酵素電極およびそれを用いたバイオセンサ、測定器Info
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Description
学物質を、酵素反応を用いて電気化学的に測定する酵素
電極およびそれを用いたバイオセンサ、測定器に関す
る。
法として、酵素反応と電気化学反応を組み合わせた測定
方法が広く用いられている。たとえば、溶液中の化学物
質を酵素の触媒機能により過酸化水素に変換し、この過
酸化水素を酸化還元反応により計測するバイオセンサが
汎用化している。たとえばグルコースバイオセンサは、
グルコースをグルコースオキシターゼ(GOX)によっ
て酸化し、グルコノラクトンと過酸化水素とする。発生
する過酸化水素はグルコース濃度に比例することから、
この過酸化水素の発生量を測定することによって試料中
のグルコース量を定量する。
学物質の透過を制限する層(以下制限透過層と称する)
をセンサ電極部の最外層に形成することが一般的に行わ
れている。図9はこのような構造の酵素電極を示すもの
であり、絶縁基板1上に作用極として機能する電極2が
設けられ、その上に結合層3、触媒機能をもつ酵素を有
機高分子中に固定化した固定化酵素層4、制限透過層5
が順次形成されている。このような制限透過層を設ける
ことにより、測定対象となる化学物質の過剰な拡散が制
限され、測定範囲をある程度高濃度にまで拡大すること
が可能となる。また、固定化酵素層が、被検体となる
尿、血液などと直接接触することを防ぎ、タンパク質等
の付着や酵素の分解による性能低下を避けることができ
る。ここで、制限透過層の材料としては、従来、ポリア
ルキルシロキサン(特開平10−26601号公報)や
シリコーン(特開平6−242068号公報)などが用
いられてきた。
として、特開昭59−22620号公報記載の技術があ
る。これは、制限透過層として細孔が設けられたテフロ
ン(登録商標、ポリテトラフロロエチレン)製の膜やポ
リフッ化ビニリデン製の膜を電極を覆うように装着した
ものである。
は、テフロン粒子等を含む多孔質性の制限透過層を固定
化酵素層の上に形成した酵素電極が開示されている。こ
の酵素電極は、図11に示すように、基板30上に白金
等からなる電極31が形成され、その上に固定化酵素層
32が形成されている。そして、その上に接着層33を
介して固定化酵素層32に含まれる酵素と同一の酵素を
含む高分子層34が形成されている。さらにその上に、
制限透過層35、接着層36、保護層37が形成されて
いる。
多孔質性であり、ポリマー粒子、金属粒子、およびポリ
マーバインダーを必須成分とし、ポリマー粒子およびポ
リマーバインダーの材料としてテフロンを用いた例が開
示されている。制限透過層35はスクリーン印刷法を用
いて形成される。すなわち、まずテフロンバインダーを
フッ素含有溶剤に溶解させた後、アルミナ粒子、テフロ
ン粒子等を混合し、これをインクに練り混む(roll mil
led)。作製したインクをスクリーン印刷(stenciled)
することにより制限透過層35が形成される。
来技術は以下に示すような課題を有していた。
ルシロキサンやシリコーンを用いた場合の課題について
述べる。このような材料を用いた場合、長期間の使用に
対する耐久性が必ずしも充分でないという問題があっ
た。これは制限透過層の強度が充分でないことによるも
のである。酵素電極は、固定化酵素膜等、溶液中で膨潤
する有機材料を積層した構造を有する。したがって制限
透過層の強度が不足すると、このような薄膜の膨潤に耐
えられずに亀裂等が生じる。このため、長期間使用した
場合に酵素電極が破損することがあった。
る場合、長期間にわたって測定を行った場合に、センサ
出力が顕著に低下することがあった。これは、汚染物質
が制限透過層自体へ付着し、本来の制限透過性が低下す
ることによるものである。特に体液の場合、タンパク質
以外にも尿素化合物等の物質が制限透過層自体へ付着す
るため、制限透過性の低下は著しい。
た場合に応答速度が遅くなることがあった。これは、測
定対象物質を高濃度含む試料を分析する場合、従来使用
されてきた制限透過層を用いた場合、選択透過性の限界
により膜厚を厚くせざるを得ず、このため制限透過層内
の拡散速度が安定するまでに時間を要することによるも
のである。
の膜を用いた技術(特開昭59−22620号公報)
は、以下の課題を有していた。
方法は従来から行われてきたが、通常、酵素電極の外部
に酵素電極を覆うように配置する使用形態としていた。
上記フッ素化合物は、その分子構造からも明らかなよう
に、固定化酵素層等の他の有機高分子層との密着性が劣
るため固定化酵素層等と一体化して形成することが困難
だからである。特開昭59−22620号公報にも、酵
素電極の先端部に上記フッ素化合物からなる膜を装着す
る構成が示されているのみであり、電極表面部に接着し
て一体化する構成は示されていない。
と電極表面部との間に一定の間隙が生じることとなり、
電極表面に目的物質が到達するのに時間を要し応答速
度が遅くなる、洗浄に長時間を要し再測定時間が長く
なる、という課題を有していた。
は、制限透過性を付与するため、10〜100μmの孔
を設けるとともに膜厚をある程度厚く確保する必要があ
る。このため、応答速度が遅くなり、また、洗浄に長時
間を要し再測定時間が長くなるという課題を有してい
た。
過層は柔軟性に欠けるため、制限透過層よりも電極側に
配置される層が膨潤した場合、破損しやすいという問題
があった。特に、膨潤性の酵素固定化層に隣接して配置
した場合、この問題が顕著となる。
は、テフロン粒子およびテフロンバインダーを含む制限
透過層を電極の上に一体化して形成した構成が開示され
ている。
有量の多いポリマーを制限透過層に用いた場合、固定化
酵素層等の隣接する高分子層との密着性に劣ることは前
述したとおりである。したがって、制限透過層を固定化
酵素層等と一体化して形成したとしても、これらの層の
界面の接着力は充分でない。その上、テフロンを用いた
制限透過層は柔軟性に欠けるため、隣接する層が膨潤し
た場合、その膨潤に充分に追随することができない。し
たがって、使用中に、制限透過層と、固定化酵素層等の
隣接層との間で剥離が生じやすいという問題があった。
いったん剥離が生じると、制限透過層と電極表面部との
間に一定の間隙が生じることとなり、電極表面に目的
物質が到達するのに時間を要し応答速度が遅くなる、
洗浄に長時間を要し、再測定時間が長くなる、という問
題が生じる。
用いた場合、溶剤に対する溶解性が充分でないため溶液
の調整が困難である。このためスピンコート法等の技術
により層形成することが難しく、制限透過層の薄層化が
困難である。くわえて、上記フッ素化合物を用いた制限
透過層は多孔質とすることによって制限透過性を発現さ
せるものであるため、膜厚をある程度厚く確保する必要
がある。上記米国特許公報には、10〜40μmの厚み
が好ましいと記載されている。以上のように、制限透過
層が厚くせざるを得ないため、応答速度が遅く、また、
洗浄に長時間を要するという課題を有していた。
限透過層は柔軟性に欠けるため、隣接する層の膨潤によ
り制限透過層が破損しやすく、この点でも改善の余地を
有していた。特に、膨潤性の酵素固定化層に隣接して配
置した場合、この問題が顕著となる。
決し、広範囲の使用条件下において測定することが可能
であり、長期使用に対する耐久性が良好な酵素電極およ
びそれを用いたバイオセンサ、測定器を提供することを
目的とする。
例ではないが、フッ素化合物を使用した従来技術として
以下のようなものがある。
フロン膜)を酸素透過膜として用いることは、従来から
広く行われており、たとえば特開昭56−73342号
公報などにも開示されている。しかし、これは通常、固
定化酵素層と電極との間に配置されものであって固定化
酵素層の上部に配置するものではなく、制限透過層の機
能を有するものではない。
を固定化酵素層の上部に配置することも公知であり、た
とえば特開平8−50112号公報に開示されている。
ナフィオンとは、陽イオン交換樹脂であり、パーフルオ
ロメチレン主鎖に、末端スルホン酸基を有するパーフル
オロポリアルキレンエーテル側鎖を結合させた構造を有
している(式(1))。
り、過酸化水素の逆拡散を抑え、ピーク値に到達した後
のグルコースに対する応答値の経時変化を抑制し、応答
特性を向上させることができる。しかし、末端スルホン
酸基を有するため、制限透過層の機能を十分に得ること
はできない。イオン交換樹脂は、電極反応に干渉するイ
オン性の干渉物質の透過を阻止することを目的とするも
のであって、過剰なグルコース等の透過を制限するとい
う機能はほとんど有していないのである。
明によれば、絶縁基板上に設けられた電極と、該電極の
上部に形成された固定化酵素層と、該固定化酵素層の上
部に形成された制限透過層とを有し、該制限透過層は、
フッ素を含まないビニル系重合体に対し、少なくともフ
ルオロアルキレンブロックを含有するペンダント基が結
合したポリマーから主としてなることを特徴とする酵素
電極が提供される。
に設けられた電極(電極層)と、この電極上に設けられ
た種々の機能を有する複数の層からなっている。
ルオロアルキレンブロック(フルオロアルキレン単位)
を含有するペンダント基を有している。このため、タン
パク質や尿素化合物等の汚染物質の付着が抑制され、長
期使用した場合にも安定した出力特性を示す酵素電極が
得られる。またフルオロアルキレンはほとんどの非フッ
素系溶剤や界面活性剤等の洗浄剤に溶けることがないた
め、耐薬品性の良好な酵素電極が得られる。
ニル系重合体を主鎖とするため、固定化酵素層等の他の
有機高分子層との密着性が良好である。このため、電極
表面に形成された固定化酵素層等と制限透過層との間に
間隙が生じることがない。したがって、応答速度の迅速
化、および洗浄に要する時間の短縮化を図ることができ
る。また、密着性が良好なために、層構造の耐久性が向
上し、長期使用した場合にも損傷の起こりにくい酵素電
極が得られる。ここで、上記フルオロアルキレンブロッ
クを含有するペンダント基以外に、他の適当な側鎖、官
能基が結合していてもよい。たとえば−OH基、−CO
OH基等の適度な極性を有する官能基を有することによ
って、隣接する固定化酵素層等の他の有機高分子層との
密着性をさらに高めることができる。
は、フッ素を含まないビニル系重合体に対し、少なくと
もフルオロアルキレンブロックを含有するペンダント基
が結合した特有の構造を有しているため、たとえばグル
コースセンサ等に用いた場合、良好な制限透過性を示
す。このため測定濃度範囲を大幅に拡大することができ
る。また、制限透過性が良好なため制限透過層の層厚を
薄くすることが可能となり、たとえば0.1μm以下の
層厚とすることができる。このため、応答速度の迅速
化、および洗浄に要する時間の短縮化を図ることができ
る。
ート法、スプレー法等の簡単な工程で均質な薄膜を製造
することが可能であり、量産性にも優れている。
れた電極と、該電極の上部に形成された固定化酵素層
と、該固定化酵素層の上部に形成された制限透過層とを
有し、該制限透過層は、ポリカルボン酸(A)のフルオ
ロアルコールエステルから主としてなることを特徴とす
る酵素電極が提供される。
れた電極と、該電極の上部に形成された固定化酵素層
と、該固定化酵素層の上部に形成された制限透過層とを
有し、該制限透過層は、ポリカルボン酸(A)のフルオ
ロアルコールエステルと、ポリカルボン酸(B)のアル
キルアルコールエステルとを含んでなることを特徴とす
る酵素電極が提供される。
られた電極と、該電極の上部に形成された固定化酵素層
と、該固定化酵素層の上部に形成された制限透過層とを
有し、該制限透過層は、アルキルアルコールエステル基
およびフルオロアルコールエステル基を有するポリカル
ボン酸エステル化合物から主としてなることを特徴とす
る酵素電極が提供される。
れた電極(電極層)と、この電極上に設けられた種々の
機能を有する複数の層からなっており、制限透過層が、
特定構造からなるポリマーにより構成されていることを
特徴としている。
料としてポリカルボン酸のフルオロアルコールエステル
を用いている。ここで、ポリカルボン酸のフルオロアル
コールエステルとは、ポリカルボン酸のカルボキシル基
の一部、または全部をフルオロアルコールでエステル化
したものである。またフルオロアルコールとはアルコー
ル中の水素のすべて、または少なくとも一つをフッ素に
置き換えたものである。
ルコールエステル基を有するため、タンパク質や尿素化
合物等の汚染物質の付着が抑制され、長期使用した場合
にも安定した出力特性を示す酵素電極が得られる。また
フルオロアルコールエステル基はほとんどの非フッ素系
溶剤や界面活性剤等の洗浄剤に溶けることがないため、
耐薬品性の良好な酵素電極が得られる。
ルボン酸主鎖を有するポリマーを用いている。また、こ
の主鎖に対してフルオロアルコールがエステル基を介し
て結合している。このため固定化酵素層等の他の有機高
分子層との密着性が良好であり、電極表面に形成された
固定化酵素層等と制限透過層との間に間隙が生じること
がない。したがって、応答速度の迅速化、および洗浄に
要する時間の短縮化を図ることができる。また、密着性
が良好なために、層構造の耐久性が向上し、長期使用し
た場合にも損傷の起こりにくい酵素電極が得られる。こ
こで上記ポリカルボン酸からなる主鎖に対し、フルオロ
アルコールエステル基以外の適当な官能基が結合してい
てもよい。適度な極性を有する官能基を有することによ
って、隣接する固定化酵素層等の他の有機高分子層との
密着性をさらに高めることができる。
ーは、ポリカルボン酸のカルボキシル基の一部または全
部がフルオロアルコールによりエステル化された特有の
構造を有しているため、たとえばグルコースセンサ等に
用いた場合、測定濃度範囲を大幅に拡大することができ
る。また、制限透過性が良好なため制限透過層の層厚を
薄くすることが可能となる。たとえば、0.1μm以下
の層厚とすることができる。このため、応答速度の迅速
化、および洗浄に要する時間の短縮化を図ることができ
る。
ンコート法、スプレー法等の簡単な工程で均質な薄膜を
製造することが可能であり、量産性にも優れている。
(A)のフルオロアルコールエステルと、ポリカルボン
酸(B)のアルキルアルコールエステルとを含んでなる
構成、あるいはアルキルアルコールエステル基および
フルオロアルコールエステル基を有するポリカルボン酸
エステル化合物から主としてなる構成とした場合、上述
の効果に加え、高温時の安定性が良好になるという利点
が得られる。酵素電極やこれを含むバイオセンサは、比
較的高温下(たとえば40℃程度)で保管・使用される
ことがある。通常の酵素電極は、高温下に放置した後、
測定に使用すると、放置前に測定したときに比べ、測定
感度が著しく変動することが多かった。これに対し上記
構成の制限透過層を備えた酵素電極およびバイオセンサ
は、高温下に放置しても測定感度がほとんど変化せず、
安定性に優れている。
極と固定化酵素層とは、直接、接するように形成されて
いてもよいし、これらの間に他の層が介在してもよい。
たとえば、電極と固定化酵素層の間にシランカップリン
グ剤から主としてなる結合層を有する構成としたり、こ
の結合層と固定化酵素層の間にパーフルオロカーボン骨
格を有するイオン交換樹脂から主としてなるイオン交換
樹脂層を有する構成とすることもできる。同様に、固定
化酵素層と制限透過層とは、直接、接するように形成さ
れていてもよいし、これらの間に他の層が介在してもよ
い。
用極として用いたバイオセンサが提供される。このバイ
オセンサは、酵素電極表面に上述した特有の構造を有す
るポリマーからなる制限透過層を設けているため、長期
安定性に優れ、広範囲な測定条件下で使用することが可
能である。
を用いた種々の測定器が提供される。すなわち、本発明
によれば、上記バイオセンサと、該バイオセンサから得
られた電気信号を報知するデータ報知部とを有してなる
ことを特徴とする測定器が提供される。
サから電気信号を得る電気化学測定回路部と、該電気信
号をもとに測定値を算出するデータ処理部と、該測定値
を報知するデータ報知部とを有してなることを特徴とす
る測定器が提供される。
備するバイオセンサを有しているため、長期安定性に優
れ、広範囲な測定条件下で使用することが可能である。
その上、操作方法が簡便であり、装置に不慣れな人でも
簡単に取り扱うことができる。
形成する工程と、該電極に直接、または他の層を介し
て、酵素を含む第一の液を塗布した後、乾燥させ、固定
化酵素層を形成する工程と、該固定化酵素層に直接、ま
たは他の層を介して、フッ素を含まないビニル系重合体
に対し、少なくともフルオロアルキレンブロックを含有
するペンダント基が結合したポリマーを含む第二の液を
塗布した後、乾燥させ、制限透過層を形成する工程とを
含むことを特徴とする酵素電極の製造方法が提供され
る。
特定構造のポリマーを含む第二の液を塗布・乾燥するこ
とにより制限透過層を形成する。このため、繰り返し測
定時における安定性、隣接する層との密着性、耐久性、
制限透過性等に優れる制限透過層を、良好な膜厚制御性
で形成することができる。また、上記第二の液は低粘度
であるので、制限透過層を容易に薄い膜厚で形成するこ
とができる。具体的には、乾燥後において0.01〜3
μmの制限透過層を良好に形成することができる。
は固定化酵素層の設けられた電極をいう。「バイオセン
サ」は、上記酵素電極を含む素子部分をいうものとし、
必要に応じて、対極、参照極を含むものとする。また、
本発明における「測定器」とは、上記バイオセンサを含
むシステムをいい、バイオセンサから得られた電気信号
を報知したり処理を行う種々の手段を備えたものをい
う。以下、本発明に係る酵素電極、バイオセンサ、およ
び測定器について詳細に説明する。
上に設けられた電極と、該電極の上部に形成された固定
化酵素層と、該固定化酵素層の上部に形成された制限透
過層とを有し、該制限透過層は、フッ素を含まないビニ
ル系重合体に対し、少なくともフルオロアルキレンブロ
ックを含有するペンダント基が結合したポリマーから主
としてなることを特徴とする。
限透過層を構成する主成分となっていることをいい、た
とえば、制限透過層に対する上記ポリマーの含有率が5
0重量%以上であることをいう。
体」は、固定化酵素層等の他の有機高分子層との密着性
を良好にする役割を有する部分であるから、特に構造の
制限はないが、フッ素を含むものであってはならない。
ペンダント基を除く重合体部分にフッ素を含むと、固定
化酵素層等の他の有機高分子層との密着性が低下し、溶
液の調整が困難となり、制限透過層を薄膜として形成す
ることが困難になる。
−炭素結合からなる主骨格を有する重合体であり、好ま
しい例としては、不飽和炭化水素、不飽和カルボン酸、
および不飽和アルコールからなる群より選ばれた一種以
上のモノマーの単独重合体または共重合体が挙げられ
る。このうち特にポリカルボン酸が好ましい。このよう
な重合体を選択することによって、固定化酵素層等の他
の有機高分子層との密着性が特に良好となり、耐久性に
優れる制限透過層を得ることができる。また、ビニル系
重合体に対し、フルオロアルキレンブロックがエステル
基を介して結合していることが好ましい。エステル基は
適度な極性を有しているため、固定化酵素層等の他の有
機高分子層との密着性がより向上する。例として、ポリ
メタクリル酸1H,1H−パーフルオロオクチルやポリ
アクリル酸1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシ
ルなどが挙げられる。
ンダント基とは、フルオロアルキレンを構成単位として
含有するペンダント基をいう。フルオロアルキレンと
は、アルキレン基の水素の一部または全部をフッ素で置
換したものをいう。ペンダント基のフッ素含有率、すな
わち、ペンダント基中に含まれるフッ素原子数をx、ペ
ンダント基中に含まれる水素原子数をyとしたときのx
/(x+y)の値は、好ましくは0.3〜1、さらに好
ましくは0.8〜1とする。このようにすることによっ
て制限透過層に対する汚染物質の付着が抑制され、ま
た、良好な制限透過性が得られる。
15、さらに好ましくは5〜10、もっとも好ましくは
8〜10とする。このようにすることによって、ペンダ
ント基の長さが適度となって良好な製膜性と制限透過性
が得られ、隣接する高分子層との密着性も良好に維持さ
れる。
合率、すなわちペンダント基の含有率は特に制限がな
く、他の高分子層材料や用途に応じて適宜な値とするこ
とができる。たとえば、0.1〜30%とする。このよ
うに撥水性を有するペンダント基の含有比率を適度な範
囲とすることで、良好な制限透過性と、隣接高分子層に
対する良好な密着性が得られる。ここでペンダント基の
結合率とは、ビニル系重合体の主骨格となる炭素−炭素
結合に結合するすべての基に対するペンダント基の占め
る割合をいう。たとえば、主鎖となるビニル系重合体が
ポリアクリル酸であって、−COOH基の10%がエス
テル化されペンダント基となっている場合は、−COO
H基の結合率25%にエステル化率10%を乗じて得ら
れる2.5%がペンダント基の結合率となる。
は、好ましくは1000〜50000、さらに好ましく
は3000〜30000とする。分子量が大きすぎると
溶液の調整が困難となり、制限透過層の薄層化が困難と
なる。分子量が小さすぎると充分な制限透過性が得られ
ない。なお、ここでいう分子量とは数平均分子量をい
い、GPC(Gel Permiation Chromatography)により
測定される。
上に設けられた電極と、該電極の上部に形成された固定
化酵素層と、該固定化酵素層の上部に形成された制限透
過層とを有し、該制限透過層は、ポリカルボン酸(A)
のフルオロアルコールエステルから主としてなることを
特徴とする。なお、「主としてなる」とは、上記ポリマ
ーが制限透過層を構成する主成分となっていることをい
い、たとえば、制限透過層に対する上記ポリマーの含有
率が50重量%以上であることをいう。
縁基板上に設けられた電極と、該電極の上部に形成され
た固定化酵素層と、該固定化酵素層の上部に形成された
制限透過層とを有し、該制限透過層は、ポリカルボン酸
(A)のフルオロアルコールエステルと、ポリカルボン
酸(B)のアルキルアルコールエステルとを含んでなる
ことを特徴とする。
縁基板上に設けられた電極と、該電極の上部に形成され
た固定化酵素層と、該固定化酵素層の上部に形成された
制限透過層とを有し、該制限透過層は、アルキルアルコ
ールエステル基およびフルオロアルコールエステル基を
有するポリカルボン酸エステル化合物から主としてなる
ことを特徴とする。なお、「主としてなる」とは、上記
ポリマーが制限透過層を構成する主成分となっているこ
とをいい、たとえば、制限透過層に対する上記ポリマー
の含有率が50重量%以上であることをいう。
ポリカルボン酸エステル化合物を構成するポリカルボン
酸は、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、イタコン
酸等のカルボン酸を構成単位を有する重合体をいう。た
とえばポリメタクリル酸、ポリアクリル酸またはこれら
の共重合体等が挙げられる。ポリカルボン酸(A)とポ
リカルボン酸(B)は、同種のものであっても異種のも
のであってもよい。
るフッ素原子数をx、水素原子数をyとしたときに、x
/(x+y)で表される前記フルオロアルコールエステ
ル基のフッ素含有率は、好ましくは0.3〜1、さらに
好ましくは0.8〜1とする。このようにすることによ
って制限透過層に対する汚染物質の付着が抑制され、ま
た、良好な制限透過性が得られる。
ルオロアルコールの炭素数は、好ましくは3〜15、さ
らに好ましくは5〜10、もっとも好ましくは8〜10
とする。このようにすることによって、ペンダント基の
長さが適度となって良好な製膜性と制限透過性が得ら
れ、隣接する高分子層との密着性も良好に維持される。
テルのエステル化率は特に制限がなく、他の高分子層材
料や用途に応じて適宜な値とすることができる。たとえ
ば、0.1〜30%とする。エステル化率とは、主鎖の
ポリアクリル酸の有するカルボキシル基がエステル化さ
れた割合をいう。エステル化率を上記の範囲とすること
で、撥水性を有するフルオロアルコールエステル基の含
有率が適度となり、良好な制限透過性および隣接高分子
層に対する良好な密着性が得られる。
エステルを構成するフルオロアルコールは、一級アルコ
ールであることが好ましい。制限透過層に対する汚染物
質の付着が効果的に抑制され、また、酸、アルカリ、各
種有機溶媒に対する高い耐薬品性が得られるからであ
る。たとえばポリメタクリル酸1H,1H−パーフルオ
ロオクチルやポリアクリル酸1H,1H,2H,2H−
パーフルオロデシルを好ましく用いることができる。
ルオロアルコールエステルと、ポリカルボン酸(B)の
アルキルアルコールエステルとを含んでなる構成、ある
いは、アルキルアルコールエステル基およびフルオロア
ルコールエステル基を有するポリカルボン酸エステル化
合物から主としてなる構成とすると、高温安定性の良好
な酵素電極が得られる。
い形態については上述したとおりである。
ルアルコールとは、CnHn+2OH(nは自然数)で表さ
れる鎖状または環状のアルコールをいう。nは1以上の
整数であるが、好ましくは2〜10、より好ましくは4
〜8、最も好ましくは6である。たとえば、ヘキシル
基、シクロヘキシル基等が好ましく用いられる。このよ
うにすれば、酵素電極を高温下に放置した場合の安定性
がさらに良好となる。
ルオロアルコールエステルと、ポリカルボン酸(B)の
アルキルアルコールエステルとを含んでなる構成とする
場合、制限透過層に対するポリカルボン酸(A)のフル
オロアルコールエステルの含有率は、好ましくは50〜
99重量%、より好ましくは75〜99重量%、最も好
ましくは80〜95重量%とする。含有率が低すぎると
制限透過層の耐久性が低下する場合がある。また含有率
が高すぎると高温下に放置した際の安定性が充分に得ら
れない場合がある。一方、ポリカルボン酸(B)のアル
キルアルコールエステルの制限透過層に対する含有率
は、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは1〜2
5重量%、最も好ましくは5〜20重量%とする。含有
率が低すぎると高温下に放置した際の安定性が充分に得
られない場合がある。また含有率が高すぎると制限透過
層の耐久性が低下する場合がある。なお、ポリカルボン
酸(B)のアルキルアルコールエステルとは、ポリカル
ボン酸(B)の少なくとも一部が、上記アルキルアルコ
ールによりエステル化されてなるものであり、好ましい
例としてポリメタクリル酸シクロヘキシルが挙げられ
る。
オロアルコールエステル基を有するポリカルボン酸エス
テル化合物を用いて制限透過層を構成する場合、各エス
テル基の好ましい形態は上述したとおりであり、その組
み合わせとして種々の形態のものを採用することができ
る。アルキルアルコールエステル基とフルオロアルコー
ルエステル基の比率は特に制限がないが、上記エステル
化合物中のフルオロアルコールエステル基の数をa、ア
ルキルアルコールエステル基の数をbとしたときのa/
bの値は、好ましくは50/50〜99/1、より好ま
しくは75/25〜99/1、最も好ましくは80/2
0〜95/5とする。
の例として、たとえば下記式(2)に示す繰り返し単位
を有する化合物が挙げられる。COO−R基をポリメタ
クリル酸シクロヘキシルとすれば、特に高温安定性が良
好となる。また、制限透過性も良好となる。
整数を示す。) このような化合物として、メタクリル酸1H,1H−パ
ーフルオロオクチルとメタクリル酸シクロヘキシルの共
重合体、あるいは、アクリル酸1H,1H,2H,2H
−パーフルオロデシルとメタクリル酸シクロヘキシルの
共重合体等が挙げられる。たとえば下記式(3)のよう
な、アクリル酸1H,1H,2H,2H−パーフルオロ
デシルとメタクリル酸シクロヘキシルの繰り返し単位を
有する化合物が好ましく用いられる。
好となる上、制限透過性層等他の特性も良好となる。
限透過層は特定構造のポリマーにより構成されるが、構
造や分子量の異なる2種以上のポリマーの混合物により
構成されていてもよい。
を構成するポリカルボン酸(A)のフルオロアルコール
エステルおよびアルキルアルコールエステル基およびフ
ルオロアルコールエステル基を有するポリカルボン酸エ
ステル化合物の分子量は、好ましくは1000〜500
00、さらに好ましくは3000〜30000とする。
分子量が大きすぎると溶液の調整が困難となり、制限透
過層の薄層化が困難となることがある。分子量が小さす
ぎると充分な制限透過性が得られない場合がある。な
お、ここでいう分子量とは数平均分子量をいう。
の厚みは、好ましくは0.01〜3μm、さらに好まし
くは0.01〜1μm、最も好ましくは0.01〜0.
1μmとする。このような厚みとすることで、応答速度
の向上および洗浄時間の短縮化を図ることができる。
10に示す。この例では、作用極7として酵素電極を用
い、石英基板上にさらに対極8と参照極9とを備えた構
造となっている。作用極7および対極8は白金電極であ
り、参照極9は銀/塩化銀電極である。作用極7の上部
にγ−アミノプロピルトリエトキシシランを主成分とす
る結合層3、触媒機能をもつ酵素を有機高分子中に固定
化した固定化酵素層4、メタクリル酸樹脂のフルオロア
ルコールエステル層からなる制限透過層5が順次形成さ
れている。作用極7、対極8、参照極9はそれぞれ測定
系に電気的に接続されている。
の例を示したが、本発明の酵素電極は、イオン感受性電
界効果型トランジスタタイプのセンサにも適用できるこ
とはいうまでもない。
ス(尿糖)を測定する尿糖センサとして用いた場合、特
に効果的である。
mg/dlであったのに対し、本発明のセンサでは1〜
5mg/dlまで検出可能となる。従来のバイオセンサ
ではS/N比が高いため、50mg/dl以下の領域の
低濃度グルコースを測定するとセンサ出力がノイズに埋
もれてしまい、定量的な測定が困難であった。これに対
し本発明のセンサはS/N比が低いため、低濃度領域で
も高精度の測定が可能となる。健康な人の尿糖値が2〜
10mg/dlであることから、上記のような測定感度
の向上の意義は非常に大きい。本発明のバイオセンサに
よれば50mg/dl以下の領域の尿糖を定量的に測定
できるため、従来のセンサでは不可能であった、尿糖値
が正常範囲内にある人や、糖尿病予備軍に該当する人の
尿糖を測定することが可能となり、糖尿病の予防に役立
つデータ収集が可能となるからである。
に含まれる尿素、ビタミンC、アセトアミノフェンの影
響を有効に排除できる。このため、ビタミンCを含む清
涼飲料を摂取したりアセトアミノフェンを含む解熱剤等
を服用した場合にも正確な測定が可能となる。
在に設けられていることが好ましい。バイオセンサの電
極部は使用により消耗するため、容易に交換できる構造
とすることが望ましいからである。ここで、バイオセン
サの部分のみが着脱自在になっている形態のほか、バイ
オセンサと他の部分とを接続する配線や、バイオセンサ
を含む部分が着脱自在になっている形態であってもよ
い。たとえば図16の構成の測定器において、バイオセ
ンサ50と電気化学測定回路部51との間の配線54が
着脱自在になっていてもよく、また、バイオセンサ5
0、配線54、および電気化学測定回路部51からなる
部分が着脱自在になっていてもよい。
バイオセンサから得られた電気信号をもとに測定値を算
出する機能を有しており、たとえば、上記電気信号をア
ナログ信号および/またはデジタル信号に変換し、測定
値を算出するという形態で動作する。データ処理部は種
々の手段を備えた構成とすることもでき、たとえば、
(a)計時手段、(b)測定時刻を設定する時刻設定手
段および該時刻設定手段で設定した時刻になったことを
報知する時刻報知手段、(c)測定器の操作方法を説明
する操作説明手段、(d)算出した測定値を記憶する測
定値記憶手段、(e)測定器の使用者の暗証番号を登録
する暗証番号登録手段、(f)メモを登録するメモ登録
手段、(g)測定器の誤作動を検出する動作報知手段、
(h)前記酵素電極の較正時期を検出し報知する較正時
期報知手段、(i)前記酵素電極の交換時期を検出し報
知する電極交換時期報知手段、(j)異常電流値を検出
し報知する異常電流値報知手段、および(k)前記酵素
電極の較正を行う電極較正手段のうち、一部または全部
を含む構成とすることができる。このような構成とする
ことにより、操作性がさらに向上する。ここで、上記
(a)〜(k)のうち一または二以上の手段により得ら
れた処理結果は、たとえば、報知部により報知されるも
のとする。
上に電極を形成する工程と、該電極に直接、または他の
層を介して、酵素を含む第一の液を塗布した後、乾燥さ
せ、固定化酵素層を形成する工程と、該固定化酵素層に
直接、または他の層を介して、フッ素を含まないビニル
系重合体に対し、少なくともフルオロアルキレンブロッ
クを含有するペンダント基が結合したポリマーを含む第
二の液を塗布した後、乾燥させ、制限透過層を形成する
工程とを含むことを特徴とするものである。「フッ素を
含まないビニル系重合体に対し、少なくともフルオロア
ルキレンブロックを含有するペンダント基が結合したポ
リマー」の好ましい実施形態等については、本発明に係
る第一乃至第四の酵素電極についての説明の部分で述べ
たのと同様であり、たとえば、ポリカルボン酸のフルオ
ロアルコールエステルが例示され、ポリメタクリル酸1
H,1H−パーフルオロオクチル、ポリアクリル酸1
H,1H,2H,2H−パーフルオロデシル、あるい
は、メタクリル酸1H,1H−パーフルオロオクチルと
メタクリル酸シクロヘキシルの共重合体、アクリル酸1
H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルとメタクリ
ル酸シクロヘキシルの共重合体等が挙げられる。
ついてさらに説明する。
図1を参照して説明する。本実施形態の酵素電極は、絶
縁基板1上に作用極として機能する電極2が設けられ、
その上にγ−アミノプロピルトリエトキシシランを主成
分とする結合層3が形成されている。そして、さらにそ
の上に、触媒機能をもつ酵素を有機高分子中に固定化し
た固定化酵素層4、メタクリル酸樹脂のフルオロアルコ
ールエステル層からなる制限透過層5が順次形成されて
いる。
ス、ガラス、石英、プラスチック等の絶縁性の高い材料
から主としてなるものを用いることができる。耐水性、
耐熱性、耐薬品性および電極との密着性に優れた材料で
あることが好ましい。
金、銀、炭素等から主としてなるものを用いることがで
き、このうち耐薬品性および過酸化水素の検出特性に優
れた白金が好ましく用いられる。絶縁性基材1上の電極
2は、スパッタリング法、イオンプレーティング法、真
空蒸着法、ケミカル・ベーパー・ディポジッション法、
電解法等により形成することができ、このうちスパッタ
リング法が望ましい。絶縁性基材1との密着性が良好で
あり、かつ、白金層を容易に形成できるからである。ま
た、絶縁性基材1と電極2の密着性を改善するために、
これらの間にチタン層やクロム層などを挟んでも良い。
の固定化酵素層4と、絶縁性基材1および電極2との密
着性(結合力)を向上させる。また、絶縁性基材1の表
面のぬれ性を改善し、酵素を固定化した固定化酵素層4
を形成する際の膜厚の均一性を向上させる効果もある。
さらには、電極2での過酸化水素の反応に干渉するアス
コルビン酸、尿酸およびアセトアミノフェンに対する選
択透過性もある。結合層3はシランカップリング剤から
主としてなる。シランカップリング剤の種類としては、
アミノシラン、ビニルシラン、エポキシシランが挙げら
れるが、このうち、密着性、選択透過性の観点から、ア
ミノシランの一種であるγ−アミノプロピルトリエトキ
シシランが好ましい。結合層3は、例えばシランカップ
リング剤溶液をスピンコートすることにより形成するこ
とができる。この際、シランカップリング剤濃度は、1
v/v%(体積/体積%)程度とすることが好ましい。選択
透過性が顕著に向上するからである。
て、触媒機能をもつ酵素を固定化したものである。固定
化酵素層4は、例えば、各種酵素、グルタルアルデヒド
等のタンパク質架橋剤、およびアルブミンを含む溶液
を、結合層3上に滴下し、スピンコート法にて形成され
る。アルブミンは、各種酵素を架橋剤の反応から保護す
るとともにタンパク質の基材となる。酵素としては、乳
酸酸化酵素、グルコース酸化酵素、尿酸酸化酵素、ガラ
クトース酸化酵素、ラクトース酸化酵素、スクロース酸
化酵素、エタノール酸化酵素、メタノール酸化酵素、ス
ターチ酸化酵素、アミノ酸酸化酵素、モノアミン酸化酵
素、コレステロール酸化酵素、コリン酸化酵素およびピ
ルビン酸酸化酵素等、触媒反応の生成物として過酸化水
素を生成する、または酸素を消費する酵素が挙げられ
る。
過酸化水素を生成させてもよい。例えば、クレアチニナ
ーゼ、クレアチナーゼ、およびサルコシンオキシダーゼ
がこれに該当する。これらの酵素を用いることによって
クレアチニンの検出が可能になる。また、酵素と補酵素
を同時に用いてもよい。例えば、3-ヒドロキシ酪酸脱水
素酵素とニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NA
D)がこれに該当する。これらの酵素を用いることによ
って3-ヒドロキシ酪酸の検出が可能になる。さらに、酵
素と電子メディエータを同時に用いてもよい。この場合
は、酵素によって還元された電子メディエータが電極表
面上で酸化され、このときに得られる酸化電流値を測定
する。例えば、グルコースオキシダーゼとフェリシアン
化カリウムがこれに該当する。これらを用いることによ
ってグルコースの検出が可能になる。
なくとも酵素を含み、測定対象物質を電極感応物質であ
る過酸化水素等に変換する機能を持つ構成であれば、特
に限定されない。
は、均一な膜厚を形成できる方法であれば特に制限がな
く、スピンコート法以外にもスクリーン印刷法などを用
いることもできる。
のフルオロアルコールエステルとは、メタクリル酸樹脂
の一部、または全部をフルオロアルコールでエステル化
され、前記フルオロアルコールとはアルコール中の水素
のすべて、または少なくとも一つをフッ素に置き換えら
れたものである。たとえばポリメタクリル酸1H,1H
−パーフルオロオクチルやポリアクリル酸1H,1H,
2H,2H−パーフルオロデシルを用いることができ
る。なお、本発明においては、たとえばポリメタクリル
酸1H,1H−パーフルオロオクチルは、メタクリル酸
の一部または全部が1H,1H−パーフルオロオクチル
アルコールによりエステル化された重合体をいうものと
する。
ン等のパーフルオロカーボンの溶媒で希釈したメタクリ
ル酸樹脂のフルオロアルコールエステル溶液を、触媒機
能をもつ酵素を固定化した固定化酵素層4上に滴下して
スピンコート法により形成することができる。
ールエステル濃度は、測定対象物質にもよるが、0.1
〜5重量%とすることが好ましく、0.3重量%程度と
することがさらに好ましい。後述するように、この範囲
とすることにより良好な制限透過性が発現するからであ
る(図6)。
均一な厚さの層が得られる方法であれば制限がなく、ス
ピンコート法以外にもスプレーコート法やディップ法な
ども用いることができる。
として使用する場合、最外層の制限透過層5がグルコー
スの拡散速度を制限し、グルコース酸化酵素を使用した
有機高分子膜4が拡散してきたグルコースと酸素で触媒
反応して過酸化水素とグルコノラクトンを発生する。こ
のうち過酸化水素が電極2に到達した際の酸化電流を測
定してグルコースの濃度を知ることができる。測定時の
電極系は、2極法の場合には外部から既存の参照極を使
用し、3極法の場合は対極、参照極の両方を測定溶液中
に同時に浸漬する。
ついて図2を参照して説明する。本実施形態の酵素電極
は、絶縁基板1上に作用極として機能する電極2が設け
られ、その上にγ−アミノプロピルトリエトキシシラン
から主としてなる結合層3が形成されている。そして、
さらにその上にパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂
(ナフィオン)を主成分とするイオン交換樹脂層6、有
機高分子中に触媒機能をもつ酵素を固定化した固定化酵
素層4、メタクリル酸樹脂のフルオロアルコールエステ
ル層からなる制限透過層5が順次形成されている。
ノプロピルトリエトキシシラン膜3は、第1の実施の形
態と同様な方法により順次形成する。
フィオン)を主成分とするイオン交換樹脂層6は、純水
で50%に希釈したエタノールに溶解させて調製したパ
ーフルオロカーボンスルホン酸樹脂をγ−アミノプロピ
ルトリエトキシシランからなる結合層3上に滴下し、ス
ピンコート法で形成される。溶媒としては、たとえばイ
ソプロピルアルコール、エチルアルコール等のアルコー
ルが用いられる。滴下するパーフルオロカーボンスルホ
ン酸樹脂の濃度は、好ましくは1〜10w/v%、さらに好
ましくは5〜7w/v%とする。このような範囲とすること
により、過酸化水素の電極反応に干渉するアスコルビン
酸の影響を排除する効果が顕著となるからである。
ついて図面を参照して説明する。本実施形態の酵素電極
は、図3に示すように、絶縁基板1上に作用極7、対極
8および参照極9が設けられ、その上にγ−アミノプロ
ピルトリエトキシシランから主としてなる結合層3が形
成されている。そして、さらにその上に、有機高分子中
に触媒機能をもつ酵素を固定化した固定化酵素層4、メ
タクリル酸樹脂のフルオロアルコールエステル層からな
る制限透過層5が順次形成されている。作用極7及び対
極8の材料は、第1及び第2の実施形態における電極2
と同様のものであればよい。参照極9の材料は銀/塩化
銀が用いられる。
参照極が一つの絶縁基板上に形成されるためセンサを駆
動しながら溶液を交換することが可能になる。センサ表
面が電解質等で濡れている限り、作用極、対極および参
照極の電極間は電気的に接続されることから、センサが
一時的に空気に触れても計測が継続できるからである。
また、3極法による正確な電気化学測定が可能になり、
特に微小な電流検出型の酵素電極を実現することが可能
になる。さらに、第2の実施の形態と同様にして、γ−
アミノプロピルトリエトキシシラン膜3と固定化酵素層
4との間にパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂からな
るイオン交換樹脂層を形成することも可能である。
ついて図面を参照して説明する。本実施形態の酵素電極
は、図4に示すように、絶縁基板1上に2個の作用極
7、1個の対極8および1個の参照極9が設けられ、そ
の上にγ−アミノプロピルトリエトキシシランから主と
してなる結合層3が形成されている。2個の作用極7上
には、それぞれ異なる種類の酵素を固定化した固定化酵
素層4、10が設けられている。そして、さらにその上
に、メタクリル酸樹脂のフルオロアルコールエステル層
からなる制限透過層5が形成されている。作用極7及び
対極8の材料は、第1及び第2の実施形態における電極
2と同様のものであればよい。参照極9の材料は銀/塩
化銀が好ましく用いられる。
に異なる触媒機能をもつ酵素を固定化した層が形成さ
れ、測定試料中の複数の特定試料成分を同時に測定する
ことが可能となる。
明に係る酵素電極の製造方法の一例を示すものである。
作用極と対極、および銀/塩化銀からなる参照極を形成
する。
る。洗浄方法としては、有機溶媒や酸等により洗浄する
方法や超音波洗浄器を用いて洗浄する方法を用いること
ができ、これらを併用することもできる。有機溶媒や酸
等としては、電極材料を損傷させないものが用いられ
る。有機溶媒としては極性溶媒が好ましく用いられ、ア
セトン等のケトン系溶媒、イソプロピルアルコール等の
アルコール系溶媒を用いることができる。また、酸とし
ては、希硫酸等が用いられる。このほか、電解カソード
水を用いることもできる。電解カソード水とは、純水等
を電気分解した際に陰極側に生成される液のことをい
う。電解カソード水は中性〜弱アルカリ性でありながら
高い還元性を有するため、基板や電極の損傷を抑えつ
つ、基板表面および付着粒子の表面の電位をともに負電
位とすることができ、脱離粒子の再付着を抑制すること
ができる。上記したうち、たとえば、アセトンおよび希
硫酸で順次洗浄するという方法が好ましく用いられる。
に結合層を形成する。前述のように、結合層を構成する
材料としては、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン
等のシランカップリング剤が好ましく用いられる。
スピンコート法、スプレー法、ディップ法、加熱気流法
等が用いられる。スピンコート法とは、カップリング剤
等、結合層の構成材料を溶解または分散させた液をスピ
ンコーターにより塗布する方法である。この方法によれ
ば膜厚の薄い結合層を膜厚制御性良く形成することがで
きる。また、スプレー法とはカップリング剤液等を基板
に向けてスプレー噴霧する方法であり、ディップ法とは
基板をカップリング剤液等に浸漬する方法である。これ
らの方法によれば、特殊な装置を必要とせず、簡便な工
程で結合層を形成することができる。また加熱気流法と
は、基板を加熱雰囲気下に設置し、ここにカップリング
剤液等の蒸気を流動させる方法である。この方法によっ
ても膜厚の薄い結合層を膜厚制御性良く形成することが
できる。
う。乾燥温度は特に制限がないが、通常、室温(25
℃)〜170℃の範囲で行う。乾燥時間は、温度にもよ
るが、通常は0.5〜24時間とする。乾燥は空気中で
行っても良いが、窒素等の不活性ガス中で乾燥させても
よい。たとえば、窒素を基板に吹き付けながら乾燥させ
る窒素ブロー法を用いることもできる。
酵素層を形成する。酵素溶液の塗布方法としては、スピ
ンコート法、ディップ法(浸漬法)等が用いられ、この
うち膜厚制御性に優れるスピンコート法が好ましく用い
られる。酵素溶液の塗布後、乾燥を行う。乾燥温度は酵
素の活性が損なわれない範囲の温度とする。室温(25
℃)〜40℃の範囲とすることが好ましい。乾燥時間
は、温度にもよるが0.5〜24時間とする。乾燥は空
気中で行っても良いが、窒素等の不活性ガス中で乾燥さ
せてもよい。たとえば、窒素を基板に吹き付けながら乾
燥させる窒素ブロー法を用いることもできる。
ルエステル溶液等を塗布し、制限透過層を形成する。上
記溶液の塗布方法としては、スピンコート法、ディップ
法、スプレー法、刷毛塗り法等が用いられ、このうち膜
厚制御性に優れるスピンコート法が好ましく用いられ
る。スピンコート法を用いた場合、0.01〜3μm程
度の薄膜からなる制限透過層を制御性良く形成すること
ができる。また、基板を上記容積に浸漬するディップ法
により塗布を行い、次いで窒素ガスを吹き付けながら乾
燥を行う方法としてもよい。この方法によれば、簡便な
方法で制限透過層を形成することができる。
は、固定化酵素層の酵素の活性が損なわれない範囲の温
度とすることが望ましく、室温(25℃)〜40℃の範
囲とすることが好ましい。乾燥時間は、温度にもよる
が、通常、0.5〜24時間とする。乾燥は空気中で行
っても良いが、窒素等の不活性ガス中で乾燥させてもよ
い。たとえば、窒素を基板に吹き付けながら乾燥させる
窒素ブロー法を用いることもできる。
有する種々の層が形成された酵素電極が作製される。本
実施形態では、作用極、対極、参照極のすべてに対し、
結合層、固定化酵素層、および制限透過層を設ける場合
の例について説明したが、本発明の構成はこれに限定さ
れず、たとえば、作用極および対極上には結合層、固定
化酵素層、制限透過層を設け、参照極上には結合層と、
参照極を保護するための保護層とを順次積層することも
できる。また、本実施形態では作用極、対極、参照極の
3極からなるバイオセンサについて説明したが、白金か
らなる作用極と参照極を石英基板上に設けた構成として
もよい。
オセンサ、電気化学測定回路部、データ処理部、および
データ報知部を具備した本発明の測定器の一例を示すも
のである。以下、図16および図17を参照して説明す
る。
オセンサ50、電気化学測定回路部51、データ処理部
52およびデータ報知部53が、配線54により接続さ
れた構成となっている。
第4の実施形態で説明した酵素電極を具備するものを用
いることができる。バイオセンサ50は消耗品であるた
め、交換が容易な脱着式とすることが好ましい。
はポテンシオスタットを用いるが、バイオセンサ50に
対して定電位を印加し、電流値を測定できる回路であれ
ば、特に限定されない。
なっており、計時手段60、時刻設定手段61、時刻報
知手段62、操作説明手段63、測定値記憶手段64、
暗証番号登録手段65、メモ登録手段66、動作報知手
段67、較正時期報知手段68、電極交換時期報知手段
69、異常電流値報知手段70および電極較正手段71
を含んでいる。上記各手段を含む構成となっているた
め、本測定器の使用者は、電極の較正、測定、測定デー
タの保存等を円滑に行うことができる。本実施形態で
は、データ処理部52としてパーソナルコンピュータ
(以下、パソコンと記述する)を用いているが、電気化
学測定回路部51からの信号を処理できるマイクロプロ
セッサ等の演算部を持つものであれば特に限定されな
い。データ処理部52で処理された信号は測定値に換算
され、データ報知部53で測定値として表示される。
コン用のディスプレイを用いているが、データ処理部5
2によって処理されたデータを報知する機能を有するも
のであれば特に限定されない。データ処理部52によっ
て処理されたデータとは、データ処理部52で算出され
た測定値、バイオセンサ50の動作確認および誤作動の
確認、異常電流値検出結果、バイオセンサ50の交換時
期、バイオセンサ50の較正時期および較正手順、日
付、時刻、時計、データ処理部52の演算部によって処
理された電気化学測定回路部51からの信号、初期設定
時の操作手段と操作時に操作アドバイスを行うときの操
作説明等である。報知する手段はデジタル数値、アナロ
グ数値、音声である。これ以外の報知手段として、音、
光、振動、色彩、光、図形、熱を利用しても良いが、デ
ジタル数値やアナログ数値が好ましく用いられる。
ばよい。
(図17)について説明する。
に内蔵されている時計を利用するが、前記演算部に対し
て、時間を示す機能を有するものであれば、特に限定さ
れない。
して測定する時刻を設定する機能である。本実施形態で
は計時手段60と同様にパソコンに内蔵されている時計
の機能の一部を利用するが、前記演算部に対して、時間
を示す機能にさらに測定する時刻を設定できる機能を有
するものであれば、特に限定されない。また、設定でき
る時刻は複数であることが好ましい。このようにすれ
ば、一日に複数回の測定を行いたい場合に便利である。
なお時刻設定手段61の利用の有無を選択可能になって
いると、さらに便利である。
設定された時刻に報知する機能である。例えば時刻設定
手段61で12時間毎に報知するように設定すると、測
定者は12時間毎に時刻報知手段62から測定時刻を知
ることが可能になる。
作方法や操作を行う際の留意事項を説明する機能を有す
る。操作説明手段63の利用の有無は、設定により適宜
選択できるようになっている。
定値やその他の情報を記憶する手段であり、半導体記憶
素子としてRAM(ランダム・アクセス・メモリ)が好
ましく使用される。測定値記憶手段64は複数の測定を
記憶できるようになっていることが好ましい。測定値記
憶手段64は、測定値だけでなく、データ処理部52に
おいて処理される種々の情報も記憶できるようになって
いる。記憶させる情報は、設定により適宜制限される。
測定装置の使用と測定値の情報を制限する機能を有して
おり、これを備えていることにより使用者のプライバシ
ーを保護することが可能となる。暗証番号の設定は4桁
以上の数値もしくは英数字が、高い安全性を確保できる
点で好ましい。また暗証番号登録手段65は、複数の暗
証番号を登録できるものであることが望ましい。このよ
うにすれば複数の使用者のプライバシーを保護すること
が可能となる。本実施形態では4桁の暗証番号を入力し
ないと、すべての情報の入出力を行うことができないよ
うになっている。なお、暗証番号登録手段65の利用の
有無は設定により適宜変更できるようになっている。
モ登録手段と、登録したメモ群を呼び出すメモ項目手段
と、呼び出したメモ群から登録したいメモ項目を選択す
るメモ選択手段と、メモ選択手段で選択したメモを呼び
出すメモ呼び出し手段とを備えた構成とすることが好ま
しい。本実施形態ではこのような構成となっており、測
定者の情報として、例えば測定時の体重、血圧、体温を
メモ登録手段を用いて登録する。なお、メモ登録手段6
6の利用の有無は、設定により適宜変更できるようにな
っている。
電気化学測定回路部51とデータ処理部52との間の配
線54が断線しているか、もしくは少なくとも一つが接
続されていない状態となっている場合に、このことを報
知する機能を有している。なお、動作報知手段67の利
用の有無は、設定により適宜変更できるようになってい
る。
0の較正時期を報知する手段である。酵素電極を一定程
度使用すると較正が必要となるが、較正時期報知手段6
8はこの較正時期を報知する機能を有している。較正時
期の判断は、測定時間または測定回数を基準に行うこと
ができる。本実施形態では、設定により、これらの両方
もしくはいずれか一方を基準とすることができるように
なっている。
サ50に含まれる電極の交換時期を報知する機能であ
る。交換時期の判断は、測定時間、測定回数、電池の電
圧低下等を基準に行うことができる。本実施形態では、
設定により、これらの全部もしくはいずれか一つを基準
とすることができるようになっている。
50、電気化学測定回路部51、データ処理部52およ
びこれらを接続する配線54に異常電流が流れ、測定不
能な状態に陥ったり、これらの一部が破損したことを報
知する手段である。
段68、電極交換時期報知手段69、および異常電流値
報知手段70における「報知」は、たとえば前述したデ
ータ報知部を介して行われ、これにより所定の情報が測
定器の使用者に伝達される。
期において使用されるものであり、バイオセンサ50の
較正手順を説明するとともにバイオセンサ50を較正す
る機能を有している。較正手順の説明等は、較正時期報
知手段68を介して行われる。
ンサの使用寿命や較正時期、測定器の操作手順等が表示
されるため、装置の取り扱いに不慣れな人でも、高い精
度の測定を容易に行うことができる。
イオセンサ50、電気化学測定回路部51、データ処理
部52およびデータ報知部53が、配線54により接続
された構成としたが、電気化学測定回路部51を設けず
に電気化学測定回路部51とデータ報知部53が直接に
接続した構成とすることもできる。このようにした場
合、バイオセンサ50から得られたアナログ信号がその
ままデータ報知部53に送られ、目盛と針を用いた表示
方法等により測定値が表示される。この場合、表示され
た値を尿糖値や血糖値に換算する表等を添付すれば便利
である。
6の測定器に、更に温度センサ56、pHセンサ57を
具備した測定器の一例を示すものである。以下、図18
を参照して説明する。
オセンサ50と、電気化学測定回路部51と、データ処
理部52と、データ報知部53と、温度センサ56と、
pHセンサ57とが配線54で接続されている。
Hセンサ57からの電気信号を処理し、温度およびpH
を算出する。そして、データ処理部52において算出さ
れる測定試料中の特定成分の測定値が、温度およびpH
をもとに補正され、データ報知部53で表示される。
理できる形式のデータを得ることができるものであれ
ば、特に限定されないが、熱電対温度計や抵抗温度計が
好ましい。温度センサ56は、測定試料の温度または測
定環境の温度を測定するものとする。測定試料の温度を
測定する場合は、たとえば酵素電極を含むバイオセンサ
の設けられた基板上に温度センサ56を形成する。この
ようにすれば測定試料の温度を精度良く測定でき、測定
試料中の特定成分の測定にあたって正確に補正を行うこ
とができる。また、バイオセンサと独立した温度センサ
を備える構成とし、バイオセンサと温度センサ56を同
時に測定試料中に浸漬する方式とすることもできる。こ
のようにすれば、バイオセンサの交換の際に同時に温度
センサも交換する必要はなく、低コスト化を図ることが
できる。測定環境の温度を測定する場合は、バイオセン
サと独立した温度センサを備える構成とし、温度センサ
56を測定環境中に設置する。温度センサ56は、たと
えばデータ報知部53や電気化学測定回路部51の内部
に設置する。このようにすれば、測定環境が、測定可能
な温度条件内にあるかどうかを容易にチェックすること
が可能となる。
に温度センサ56を形成した測定器の一例を示すもので
ある。この測定器は、絶縁基板1上に作用極7、対極
8、および参照極9が形成され、併せて温度センサ56
が設けられている。作用極7、対極8、および温度セン
サ56の上には、結合層3、固定化酵素層4および制限
透過層5がこの順で形成されており、参照極9上には、
結合層3、保護層20が形成されている。このような構
成とすれば、温度による測定値の補正を正確に行うこと
ができる。
応性電界効果型トランジスターを好ましく用いることが
できるが、これらに限定されるものではない。pHセン
サ57の較正には、バイオセンサ50を構成する際に使
用する較正液中にpH指示薬を予め溶解したものを用い
ることができる。このようにすれば、バイオセンサ50
とpHセンサ57の較正を同時に行うことが可能とな
る。pH指示薬は通常のガラスpHメータに使用されて
いるシュウ酸塩溶液やフタル酸塩溶液が好ましい。
およびpH範囲の広い測定試料中の特定成分を正確に測
定することが可能になる。測定した測定試料毎の温度、
pHを用いて、酵素電極の測定値を補正できるからであ
る。
びpHセンサ57が、データ処理部52に接続した構成
をとっているが、これらが電気化学測定回路部51に接
続していてもよい。
8の測定器に対し、データ処理部に接続された通信処理
部をさらに具備した構成とし、この通信処理部により、
データ処理部で得られたデータが、測定器の外部に転送
されるようにしたものである。以下、図19を参照して
説明する。
に、データ処理部52と通信処理部58とが配線54で
接続された構成となっている。通信処理部58は測定値
に関する情報を外部に伝達する手段である。通常モデム
が使用されるが、通信処理機能を有するものであれば限
定されない。伝達に使用される通信回線として、電話回
線、赤外線、無線等が挙げられるが、これらに限定され
るものではない。伝達される情報としては、データ処理
部52において処理される情報、データ報知部53で表
示される情報が挙げられる。例えばバイオセンサ50の
電流値、暗証番号、測定時刻、pH、温度、メモ内容、
データ処理部52で算出された測定値、バイオセンサ5
0の交換時期、バイオセンサ50の較正時期、バイオセ
ンサ50の動作確認および誤作動の確認、異常電流値、
データ処理部52の演算部によって処理された電気化学
測定回路部51からの信号が、通信処理部58によって
測定器の外部に伝達される。伝達先は、通信回線等を通
じて接続されたサーバーやコンピュータ等である。な
お、伝達される情報は、設定により、適宜選択すること
ができるようになっている。
尿病患者自身が自分の尿糖を測定し、電話回線を通じて
測定結果を病院等の医療機関に送信することが可能にな
る。その結果、医療機関から食事管理や運動管理等の適
切なアドバイスを受けられ、在宅で糖尿病患者の病態管
理が可能になる。さらに、バイオセンサの誤作動等のデ
ータも送ることができるため、例えば製造メーカから装
置の修理や保全といったサービスも適宜受けることも可
能になる。
9の測定器に、更に印刷部59を具備した測定器の一例
を示すものである。以下、図20を参照して説明する。
に、データ処理部52と印刷部59とが配線54で接続
された構成となっている。印刷部59は、感熱式、熱転
写式、ドットインパクト式、インクジェット式、レーザ
ビーム乾式であればよいが、特に限定されない。望まし
くは、低コストで構造の簡単な感熱式がよい。印刷部5
9と接続される配線54は、電線でなくとも、印刷部5
9を使用しないときの使用形態を考慮して、赤外線を用
いてもよい。印刷部59は、データ報知部53に表示さ
れるデータを印刷できればよいが、設定により、印刷す
るデータを限定することもできる。
のデータを紙に印刷して保存しておくことが可能になる
だけでなく、糖尿病患者が印刷機能を利用して測定結果
をプリントした用紙を病院に持っていき医師に結果を示
し、この測定結果を見た医師から適切なアドバイスを受
けることが可能になる。
20の測定器に、更に外部記憶部55を具備した測定器
の一例を示すものである。以下、図21を参照して説明
する。
に、データ処理部52と外部記憶部55とが配線54で
接続された構成となっている。外部記憶部55として
は、通常の記憶媒体を用いることができ、フロッピーデ
ィスク等の磁気記憶媒体や、メモリーカード等の半導体
記憶媒体、および光ディスク等の光記憶媒体が好ましく
用いられる。脱着が容易で、低価格で入手できるためで
ある。
データを記憶媒体に保存することができるので、使用者
は、必要に応じて病院にこの記憶媒体を持参することが
できる。そして、病院の医師は記憶された測定データを
解析し、糖尿病患者等に適切な医療措置を施すことが可
能になる。また、大量の測定データを長期間保存するこ
とも可能になる。さらに、暗証番号によって管理するた
め、患者のプライバシーを守ることも可能になり、一台
の装置を複数人で使用することもできる。なお、記憶さ
せる内容は、設定により、適宜選択できるようになって
いる。
する。
基板上に、白金からなる作用極(面積7mm2)と対極
(面積4mm2)、銀/塩化銀からなる参照極(面積1
mm2)を形成した。
ピルトリエトキシシラン溶液をスピンコートして結合層
を形成した。その後、グルコース酸化酵素を含み、かつ
1v/v%のグルタルアルデヒドを含む22.5w/v%アルブ
ミン溶液をスピンコートして、固定化酵素層を形成し
た。
えて以下の2種類の酵素電極を作製した。 (1)固定化酵素層の上に全面に、パーフルオロヘキサ
ンを用いて0.3重量%に調整したメタクリル酸樹脂の
フルオロアルコールエステルをスピンコートした後、乾
燥を行って制限透過層を形成し、第一の酵素電極を作製
した。スピンコートの条件は3000rpm、30秒間
とした。メタクリル酸樹脂のフルオロアルコールエステ
ルは住友スリーエム社製のフロラード722を使用し
た。フロラード722は、ポリメタクリル酸1H,1H
−パーフルオロオクチルであり、平均分子量(Mn)は
約7000程度(GPC測定値)である。希釈液である
パーフルオロヘキサンは、住友スリーエム社製のフロラ
ード726を使用した。なお、同様にしてメタクリル酸
樹脂のフルオロアルコールエステルを石英基板上に直接
スピンコートしたサンプルについて膜厚測定を行った。
製膜後、超音波カッタで膜の一部を剥離し、凹凸を生じ
させ、その後、原子間力顕微鏡により凹凸を測定するこ
とにより膜厚を測定した。メタクリル酸樹脂のフルオロ
アルコールエステル膜の厚みは約50nmであった。
ンを用いて10w/v%に調製したポリアルキルシロキサン
をスピンコートした後、乾燥を行って制限透過層を形成
し、第二の酵素電極を作製した。ポリアルキルシロキサ
ンはダウコーニング社製のペルガンZを使用した。
のいずれかの酵素電極を備えた2種類のセンサを、15
0mMの塩化ナトリウムを含むpH7のTES(エヌ・
トリス(ハイドロキシメチル)・メチル・2−アミノエ
タンサルフォニックアシッド)緩衝液中に浸漬して保存
し、200mg/dlのグルコース標準液を毎日1回、
20日間測定した。図5に2種センサのグルコースに対
するセンサ出力を、初日の出力値を100%としたとき
の相対出力値で示した。また、表1には一定期間使用
後、走査型電子顕微鏡にて制限透過層表面を観察し、亀
裂の発生頻度を比較したデータを示す。
日間経過後、センサ出力が増加し始めた(図5)。また
初期状態より膜に亀裂が生じ、時間の経過とともに亀裂
が増加する傾向を示した(表1)。一方、メタクリル酸
樹脂のフルオロアルコールエステルを使用したセンサ
は、少なくとも20日間は安定したセンサ出力を与え、
亀裂の発生も認められなかった。
に観察される亀裂の頻度を5つの水準に分類した。 1・・検出不可 2・・少し発生(数カ所) 3・・発生(数十カ所または大きな亀裂1カ所) 4・・多く発生(数百カ所または大きな亀裂数カ所) 5・・非常に多く発生(大きな亀裂が数十カ所) 表1の結果より、相対センサ出力上昇の原因は制限透過
層の亀裂によるものと考えられる。制限透過層の亀裂
は、下層に位置する固定化酵素層の膨潤に耐えきれず発
生したものと考えられる。本実施例の結果は、メタクリ
ル酸樹脂のフルオロアルコールエステルからなる制限透
過層は、下層に酵素膜があってもその膨潤を十分許容で
きる膜強度を保持できることを示している。
照極を具備したセンサを用い、これらの電極上のすべて
に結合層、固定化酵素層および制限透過層を形成した構
成としたが、これらの層を作用極のみに形成した構成と
してもよい。
基板上に、白金からなる作用極(面積7mm2)と対極
(面積4mm2)、銀/塩化銀からなる参照極(面積1
mm2)を形成した。
ピルトリエトキシシラン溶液をスピンコートして結合層
を形成した。その後、グルコース酸化酵素を含み、かつ
1v/v%のグルタルアルデヒドを含む22.5w/v%アルブ
ミン溶液をスピンコートして、固定化酵素層を形成し
た。
キサフルオライドを用いて0.3重量%に調整したアク
リル酸樹脂のフルオロアルコールエステルをスピンコー
トにより塗布した後、乾燥を行い、制限透過層を形成し
た。以上により酵素電極を作製した。スピンコートの条
件は3000rpm、30秒間とした。塗布液は、ポリ
アクリル酸1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシ
ルのキシレンヘキサフルオライド溶液(アクリル酸樹脂
含有率17%、キシレンヘキサフルオライド含有率83
%、粘度20cps(25℃))を、上記のように、さ
らにキシレンヘキサフルオライドを添加して濃度調整し
たものを用いた。
たセンサを、150mMの塩化ナトリウムを含むpH7
のTES(エヌ・トリス(ハイドロキシメチル)・メチ
ル・2−アミノエタンサルフォニックアシッド)緩衝液
中に浸漬して保存し、200mg/dlのグルコース標
準液を毎日1回、20日間測定した。また、走査型電子
顕微鏡にて制限透過層表面を観察し、亀裂の発生状態を
確認した。その結果、本実施例のセンサは、実施例1の
アクリル酸樹脂のフルオロアルコールエステルを使用し
たセンサと同様、少なくとも20日間は安定したセンサ
出力を与え、制限透過層表面の亀裂の発生も認められな
かった。
基板上に、白金からなる作用極(面積7mm2)と対極
(面積4mm2)、銀/塩化銀からなる参照極(面積1
mm2)を形成した。
ルトリエトキシシラン溶液をスピンコートして結合層を
形成した後、5w/v%のパーフルオロカーボンスルホン酸
樹脂溶液をスピンコートしてパーフルオロカーボンスル
ホン酸樹脂(ナフィオン)を主成分とするイオン交換樹
脂層を形成した。次に、グルコース酸化酵素を含み、か
つ0.5v/v%のグルタルアルデヒドを含む22.5w/v%
アルブミン溶液をスピンコートして、固定化酵素層を形
成した。
0.1、0.3重量%の濃度のメタクリル酸樹脂フルオ
ロアルコールエステル溶液を、スピンコート法で製膜し
た。スピンコートの条件は、3000rpm、30秒と
した。
ステルは住友スリーエム社製のフロラード722を使用
した。フロラード722の原液はメタクリル酸樹脂のフ
ルオロアルコールエステルに換算すると2重量%であ
る。希釈液であるパーフルオロヘキサンは、住友スリー
エム社製のフロラード726を使用した。メタクリル酸
樹脂のフルオロアルコールエステルの製膜条件は、フロ
ラード726で適宜希釈した濃度である。
いるように、グルコースの制限透過性は、メタクリル酸
樹脂のフルオロアルコールエステル濃度が0.02重量
%以上の場合において認められ、0.1重量%とするこ
とにより広範囲にわたる測定が可能となる。特に0.3
重量%以上の場合、3000mg/dlの濃度まで電流
出力値が直線性を示し、高濃度のグルコース溶液の測定
が可能であった。また、このときのセンサの応答時間
は、平均して約15秒以下であった。このような速い応
答速度が得られるのは、制限透過層を、非常に薄い均一
な薄膜として形成することが可能なためである。本実施
例のように3000rpm、30秒でスピンコートした
場合、0.01μmから0.1μm程度の均一な薄膜が
得られる。
基板上に、白金からなる作用極(面積7mm2)と対極
(面積4mm2)、銀/塩化銀からなる参照極(面積1
mm2)を形成した。
エトキシシラン溶液をスピンコートして結合層を形成し
た後、5w/v%のパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂溶
液をスピンコートしてパーフルオロカーボンスルホン酸
樹脂(ナフィオン)を主成分とするイオン交換樹脂層を
形成した。次に、グルコース酸化酵素を含み、かつ1v/
v%のグルタルアルデヒドを含む22.5w/v%アルブミン
溶液をスピンコートして、固定化酵素層を形成した。
素電極を作製した。
用いて0.3重量%に調整したメタクリル酸樹脂のフル
オロアルコールエステルをスピンコートした。スピンコ
ートの条件は3000rpm、30秒間とした。メタク
リル酸樹脂のフルオロアルコールエステルは住友スリー
エム社製のフロラード722を使用した。平均分子量
(Mn)は約7000程度である。希釈液であるパーフ
ルオロヘキサンは、住友スリーエム社製のフロラード7
26を使用した。
ルエンを用いて10w/v%に調製したポリアルキルシロキ
サンをスピンコートした。ポリアルキルシロキサンはダ
ウコーニング社製のペルガンZを使用した。
た2種類のセンサを、150mMの塩化ナトリウムを含
むpH7のTES(エヌ・トリス(ハイドロキシメチ
ル)・メチル・2−アミノエタンサルフォニックアシッ
ド)緩衝液中に浸漬して保存し、400mg/dlの尿
素を含む200mg/dlのグルコース標準液を10回
連続して測定した。図7に2種センサのグルコースに対
するセンサ出力を、初回の出力値を100%としたとき
の相対出力値で示した。
サは2回目の測定以降にセンサ出力が低下し始め、セン
サ出力は10回目で86%まで低下した。一方、メタク
リル酸樹脂のフルオロアルコールエステルを使用したセ
ンサでは、10回の繰り返し測定では安定した出力を示
した。メタクリル酸樹脂のフルオロアルコールエステル
を使用したセンサの出力が安定していた理由としては、
メタクリル酸樹脂のフルオロアルコールエステルの表面
自由エネルギーが、ポリアルキルシロキサンよりも低い
ため、尿素が付着しにくいことによると思われる。
基板上に、白金からなる作用極(面積7mm2)と対極
(面積4mm2)、銀/塩化銀からなる参照極(面積1
mm2)を形成した。
エトキシシラン溶液をスピンコートして結合層を形成し
た後、5w/v%のパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂溶
液をスピンコートしてパーフルオロカーボンスルホン酸
樹脂(ナフィオン)を主成分とするイオン交換樹脂層を
形成した。次に、グルコース酸化酵素を含み、かつ1v/
v%のグルタルアルデヒドを含む22.5w/v%アルブミン
溶液をスピンコートして、固定化酵素層を形成した。
素電極を作製した。
用いて0.3重量%に調整したメタクリル酸樹脂のフル
オロアルコールエステルをスピンコートした。スピンコ
ートの条件は3000rpm、30秒間とした。メタク
リル酸樹脂のフルオロアルコールエステルは住友スリー
エム社製のフロラード722を使用した。平均分子量
(Mn)は約7000程度である。希釈液であるパーフ
ルオロヘキサンは、住友スリーエム社製のフロラード7
26を使用した。
ルエンを用いて10w/v%に調製したポリアルキルシロキ
サンをスピンコートした。ポリアルキルシロキサンはダ
ウコーニング社製のペルガンZを使用した。
た2種類のセンサを、150mMの塩化ナトリウムを含
むpH7のTES(エヌ・トリス(ハイドロキシメチ
ル)・メチル・2−アミノエタンサルフォニックアシッ
ド)緩衝液中に浸漬して保存し、約20mg/dlのグ
ルコースを含むバイオラッド(株)社製の定量用尿コン
トロール正常(ライフォチェック)を10回連続して測
定した。図8に2種センサのグルコースに対するセンサ
出力を、初回の出力値を100%としたときの相対出力
値で示した。
サは2目の測定以降にセンサ出力が低下し始め、センサ
出力は10回目で28%まで低下した。一方、メタクリ
ル酸樹脂のフルオロアルコールエステルを使用したセン
サでは、10回の繰り返し測定では安定した出力を示し
た。このことはメタクリル酸樹脂のフルオロアルコール
エステルが尿中に含まれるセンサ出力の低下を引き起こ
す物質の付着を実用的に十分に防止できることを示して
いる。
ステルを使用したセンサの出力が安定していた理由とし
ては、ポリアルキルシロキサンよりも表面張力が低いた
め、尿素ならびに他のセンサ出力の低下を引き起こす妨
害物質に反応しないためであると思われる。
1個の参照極および3個の作用極(電極面積3mm2)
を形成した。つづいて全面に1v/v%のγ−アミノプロピ
ルトリエトキシシラン溶液をスピンコートした。次にフ
ォトリソグラフィ技術を用い、3個の作用極上にそれぞ
れ、グルコース酸化酵素と1v/v%のグルタルアルデヒ
ドを含む22.5w/v%アルブミン溶液、乳酸酸化酵素
と0.5v/v%のグルタルアルデヒドを含む22.5w/v%
のアルブミン溶液、およびエタノール酸化酵素と1v/
v%のグルタルアルデヒドを含む22.5w/v%のアルブミ
ン溶液をスピンコートした。
後、最外層の構成を変えて2種類の酵素電極を作製し
た。
用いて0.3重量%に調整したメタクリル酸樹脂のフル
オロアルコールエステルをスピンコートした。スピンコ
ートの条件は3000rpm、30秒間とした。メタク
リル酸樹脂のフルオロアルコールエステルは住友スリー
エム社製のフロラード722を使用した。平均分子量
(Mn)は約7000程度である。希釈液であるパーフ
ルオロヘキサンは、住友スリーエム社製のフロラード7
26を使用した。
w/v%のパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂溶液をスピ
ンコートしてパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂(ナ
フィオン)を主成分とするイオン交換樹脂層を形成し
た。
るセンサを用い、繰り返し測定した際の測定値の変動を
評価した。100mg/dlグルコース、20mM乳酸
および20mMエタノールを含む混合液を11回繰り返
して測定し、測定値の変動係数(C.V.値)を求め
た。変動係数とは標準偏差/平均値×100で表される
値を示す。
コールエステル層を形成した酵素電極を用いた場合、表
2に示すように測定成分を問わず安定した測定値が得ら
れた。この理由として、上記樹脂層は荷電を有しないた
め乳酸等の電解性物質との相互作用が小さいこと、上記
樹脂層はエタノール等の測定物質に対する耐薬品性に優
れること、同一絶縁基板上に形成した2つ以上の作用
極、および2種類以上の酵素が互いの成分測定に影響し
ないことが挙げられる。
脂層を最外層に形成した場合、この樹脂膜はエタノール
に溶解するため、エタノール測定時に制限透過性が低下
する。また、この樹脂膜は荷電を有するため乳酸等の電
解性物質の測定を行った場合、変動が大きくなる。
基板上に、白金からなる作用極(面積7mm2)と対極
(面積4mm2)、銀/塩化銀からなる参照極(面積1
mm2)を形成した。
ピルトリエトキシシラン溶液をスピンコートして結合層
を形成した。その後、グルコース酸化酵素を含み、かつ
1v/v%のグルタルアルデヒドを含む22.5w/v%アルブ
ミン溶液をスピンコートして、固定化酵素層を形成し
た。その後、最外層の構成を変えて以下の2種類の酵素
電極を作製した。
ルオロヘキサンを用いて0.3重量%に調整したメタク
リル酸樹脂のフルオロアルコールエステルをスピンコー
トして、第一の酵素電極を作製した。スピンコートの条
件は3000rpm、30秒間とした。メタクリル酸樹
脂のフルオロアルコールエステルは住友スリーエム社製
のフロラード722を使用した。フロラード722は、
ポリメタクリル酸1H,1H−パーフルオロオクチルで
あり、平均分子量(Mn)は約7000程度である。希
釈液であるパーフルオロヘキサンは、住友スリーエム社
製のフロラード726を使用した。
ル酸1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルとメ
タクリル酸シクロヘキシルの共重合体1.7重量%を含
むキシレンヘキサフルオライド溶液を用意し、この溶液
をスピンコートして第二の酵素電極を作製した。アクリ
ル酸1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルとメ
タクリル酸シクロヘキシルの共重合比は約8:2であ
り、アクリル酸1H,1H,2H,2H−パーフルオロ
デシル基の数aと、メタクリル酸シクロヘキシル基の数
bの比率a/bは、約8/2であった。
のいずれかの酵素電極を備えた2種類のセンサを、15
0mMの塩化ナトリウムを含むpH7のTES(エヌ・
トリス(ハイドロキシメチル)・メチル・2−アミノエ
タンサルフォニックアシッド)緩衝液中に40℃で浸漬
して保存し、0〜2000mg/dlのグルコース標準
液を48時間後に測定した。印加電位は、参照極に対し
て作用極に700mVとした。
安定性を評価した。浸漬前および浸漬48時間後におけ
るセンサ出力の測定結果を図12に示す。図12(a)
は第一の酵素電極を備えたセンサを用いた測定結果であ
る。図12(b)は第二の酵素電極を備えたセンサを用
いた測定結果である。第一の酵素電極を備えたセンサで
は必ずしも充分な安定性は得られなかったのに対し、第
二の酵素電極を備えたセンサでは、浸漬前(図中の0時
間)と48時間経過後の出力がほぼ一致し、優れた安定
性を示すことが明らかになった。
基板上に、白金からなる作用極(面積7mm2)と対極
(面積4mm2)、銀/塩化銀からなる参照極(面積1
mm2)を形成した。
ピルトリエトキシシラン溶液をスピンコートして結合層
を形成した。その後、グルコース酸化酵素を含み、かつ
1v/v%のグルタルアルデヒドを含む22.5w/v%アルブ
ミン溶液をスピンコートして、固定化酵素層を形成し
た。
H,2H−パーフルオロデシル0.85重量%、および
ポリメタクリル酸シクロヘキシル0.085重量%を
溶解させたキシレンヘキサフルオライド溶液を用意し、
この溶液をスピンコートして第二の酵素電極を作製し
た。
たセンサについて、0〜2000mg/dlのグルコー
ス標準液に対する検量線を作成した。印加電位は、参照
極に対して作用極に700mVとした。得られた検量線を図
13(a)および(b)に示す。なおこれらの検量線は
同一のセンサについて得たものである。図からわかるよ
うに、本実施例のセンサは0〜2000mg/dlの広
い領域にわたって良好な感度を示す。特に、2〜50m
g/dlmg/dlのグルコースに対しても十分な電流値を
示す。このため本実施例のセンサを用いれば、尿糖値が
正常範囲内にある人や、糖尿病予備軍に該当する人の尿
糖を測定することが可能となり、糖尿病の予防に役立つ
データ収集が可能となる。
人の尿を10回連続して測定した。結果を図14に示
す。繰り返し再現性は約3%であり、尿中に含まれる低
濃度のグルコースを再現性良く測定可能であった。
有する測定器の一例を示すものである。
ンサ部の作製手順について説明する。まず10mm×6
mmの石英基板上に白金からなる作用極(面積7m
m2)と対極(面積4mm2)、銀/塩化銀からなる参照
極(面積1mm2)を形成した。つづいて、全面に1v/v
%のγ−アミノプロピルトリエトキシシラン溶液をスピ
ンコートして結合層を形成した。その後、56.5U/
μlグルコース酸化酵素を含み、かつ1v/v%のグルタル
アルデヒドを含む22.5w/v%のアルブミン溶液をスピ
ンコートして固定化酵素層を形成した。そしてその上に
1.7重量%のアクリル酸樹脂のポリフルオロアルコー
ルエステル溶液をスピンコートして制限透過層を形成し
た。アクリル酸樹脂のポリフルオロアルコールエステル
は、ポリアクリル酸1H,1H,2H,2H−パーフル
オロデシルを使用した。希釈液はキシレンヘキサフルオ
ライドを使用した。スピンコートの条件は3000rp
m、30秒とした。
センサを用い、図16に示す構成の測定器を作製した。
電極部分とフレキシブル基板はワイヤーボンディングで
結線し、フレキシブル基板と電気化学測定回路部はピン
ジャック型の電線を用いて接続した。
ンシオスタットHOKUTODENKOPOTENTIOSTAT/GALVANOSTATH
A150Gを使用した。データ処理装置は、日本電気(株)社
製のパーソナルコンピュータPC-9821RaII23を使用し
た。データ報知部53は、日本電気(株)社製のディスプ
レイPC-KP531を使用した。電気化学測定回路とデータ処
理装置とデータ報知部53とをピンジャック型の電線で
接続した。
説明する。使用者は、酵素電極を具備するバイオセンサ
を150mMの塩化ナトリウムを含むpH7の1mMTES(エヌ
・トリス(ハイドロキシル)・メチル・2−アミノエタ
ンサルフォニックアシッド)緩衝液中に浸漬し、次いで
装置の電源を入れた。すると、データ報知部に[時刻を
設定します。現在の時刻を入力して下さい。]と表示さ
れた。この表示に基づいて使用者がキーを操作して現在
の時刻を入力すると、データ報知部に[現在の時刻が入
力されました。]と表示された。正確に時刻が入力され
ないと、再度[時刻を設定します。現在の時刻を入力し
て下さい。]と表示されるようになっている。こうし
て、入力された現在の時刻はデータ処理部内に保存され
る。
らくお待ち下さい。]と表示された。酵素電極から送ら
れてくる電流値が安定すると、データ報知部に[較正を
行います。電極を較正液に浸漬して下さい。]と表示さ
れた。この表示に基づいて、使用者は、バイオセンサを
200mg/dlグルコースの較正液に浸漬して較正を行った。
すると、データ報知部に[較正が正常に完了しました。
洗浄後、緩衝液に戻して下さい。]と表示された。正常
に較正されたか否かはデータ処理部が判断し、その結果
がデータ報知部に表示されるようになっている。較正が
正常に行われなかった場合は、[較正できません。電極
を洗浄し、再度、較正液に浸漬して下さい。]もしくは
[電極が壊れています。交換して下さい。]というメッ
セージが表示される。較正終了後、使用者は酵素電極を
緩衝液に浸漬し、測定の準備を整えた。較正が終了して
から10秒間以上、電極が緩衝液に戻されない場合に
は、警告音が発生するようになっている。
れた[測定開始]の項目を選択した。するとデータ報知
部には、[測定を開始します。電極を尿に浸漬して下さ
い。]というメッセージが表示された。この表示に基づ
いて使用者は、電極を尿に浸漬して測定を開始した。測
定を開始してから10秒後、データ報知部に[測定が正
常に完了しました。尿糖値は○○mg/dlです。]と表示
された。正常に測定が行われたか否かはデータ処理部が
判断し、その結果がデータ報知部に表示されるようにな
っている。較正が正常に行われなかった場合は、[測定
できません。電極を洗浄し、再度、尿に浸漬して下さ
い。]もしくは[電極が壊れています。交換して下さ
い。]というメッセージがデータ報知部に表示される。
し、緩衝液に戻して下さい。]と表示された。測定終了
後10秒間以上電極が緩衝液に戻されない場合には、警
告音が発生するようになっている。その後、使用者はデ
ータ報知部の[測定終了]の項目を選択し、測定を終了
した。
め設定しておくこともできる。設定した時刻になると、
報知音が発生するとともに、データ報知部に[測定を開
始します。電極を尿に浸漬して下さい。]というメッセ
ージが表示される。設定時刻は任意に設定でき、複数の
時刻を設定できるようになっている。
の入力に際しては、入力が受け入れられた場合と、入力
が受け入れられない場合に、報知音が発せられるように
なっている。報知音ではなく報知光を発するようにして
もよい。また、酵素電極、電気化学測定回路、データ処
理装置および電線間に異常電流が生じると、異常電流報
知手段によって[異常電流が検出されました。]とデー
タ報知部に表示される。この表示によって、装置の破損
を防ぐことができる。
路、データ処理装置は、いずれもピンジャック型の電線
で接続されているため、これらの間において脱着が容易
であり、必要に応じて交換が可能である。
ば、規則正しい時刻に測定を行うことができ、さらに操
作ミスが発生することなく、誰にでも簡単に扱うことが
可能になる。
構成を有する測定器の一例を示すものである。この測定
器は、実施例9の測定器に対し、さらに、pHセンサお
よび温度センサを付加したものとなっている。
ぞれ熱電対方式の温度センサとイオン感応性電界効果型
トランジスター方式のpHセンサを用いた。pHセン
サ、温度センサ、電気化学測定回路、データ処理装置、
およびデータ報知部は、それぞれ電線により接続した。
明する。使用者はまず酵素電極を150mMの塩化ナトリウ
ムを含むpH7の1mMTES(エヌ・トリス(ハイドロキシ
ル)・メチル・2−アミノエタンサルフォニックアシッ
ド)緩衝液中に浸漬してから装置の電源を入れた。約1
分後、酵素電極のベース電流値が安定化した。この状態
で酵素電極を200mg/dlグルコース標準液に浸漬し、酵素
電極の較正を行った。このグルコース標準液は、pH指
示薬も含まれているため、同時にpHセンサの較正も同
時に行うことができる。なお、電極の交換時を除き、酵
素電極が接続された状態で装置の電源は切られないよう
になっている。
た[測定開始]の項目を選択した。すると[測定を開始
します。電極を尿に浸漬して下さい。]というメッセー
ジがデータ報知部に表示された。
て2人の糖尿病患者の尿糖を続けて一回づつ測定した。
なお、測定の際にメモ登録手段を利用して、被験者の血
圧と体温を同時に入力した。その結果、1人目の患者が
酵素電極を尿中に浸漬して10秒後に、データ報知部に
[測定が正常に完了しました。尿糖値は80mg/dlで
す。]と表示され、同時に音声で[測定が正常に完了し
ました。尿糖値は80mg/dlです。]と表示された。続い
て約20秒後、2人目の患者が酵素電極を尿中に浸漬し
て10秒後に、データ報知部に[測定が正常に完了しま
した。尿糖値は180mg/dlです。]と表示され、同時に音
声で[測定が正常に完了しました。尿糖値は180mg/dlで
す。]と表示された。この時に既存の臨床検査装置(日
立自動分析装置7050、グルコースデヒドロゲナーゼ法)
との測定値の比較を行った結果、測定値はほぼ一致し、
高い相関を示した。
により、2人の尿糖を連続測定することができた。ま
た、視力の衰えた人でも確実に自分の尿糖値を知ること
が可能であった。さらにメモ登録手段を利用して入力し
ておいた体温と血圧を呼び出し、尿糖値と比較すること
が可能になり、詳細な病態管理が可能になった。また、
得られた測定値に対して温度補正とpH補正を行ったた
め、既存の臨床検査装置に匹敵する高い測定精度の測定
を行うことができた。
構成を有する測定器の一例を示すものである。この測定
器は、実施例10の測定器に対し、さらに、通信処理部
58を付加したものとなっている。通信処理部58は、
日本電気(株)社製のモデム・ターミナルアダプタPC-IT6
5S1Pを使用した。pHセンサ、温度センサ、電気化学測
定回路、データ処理装置、データ報知部、通信処理部の
各部は、いずれも電線により接続した。
糖を30日間、毎日2回(朝食後、夕食後、それぞれ2
時間後)連続して測定し、測定後のデータを電話回線を
利用して逐一、病院に送信した。
し、病院は送られた尿糖値をもとにグラフ化して解析
し、適宜患者の病態管理を行うことができた。
構成を有する測定器の一例を示すものである。この測定
器は、実施例11の測定器に対し、さらに、印刷部59
を付加したものとなっている。印刷部59としては、日
本電気(株)社製のレーザープリンタMultiwriter2000Xを
使用した。データ処理装置と印刷部はプリンタケーブル
PC-CA202で接続した。以下、本実施例の測定器を用いて
測定を行った結果について説明する。
の尿糖を連続して測定した。較正は装置を立ち上げたと
きに一回のみ行った。同じ試料について既存の臨床検査
装置を用いた測定も行い、本実施例の測定器および既存
の臨床検査装置(日立自動分析装置7050、グルコースデ
ヒドロゲナーゼ法)の測定結果の比較を行った。その結
果、相関係数は0.96、回帰式はY=1.09X+8
8となった。本実施例の測定器によれば、臨床検査装置
と同等の測定精度が得られることが明らかになった。ま
た、本実施例の測定器を用いた場合の測定時間は、1サ
ンプル当たり90秒程度であり、迅速な測定が可能であ
った。さらに本実施例の測定器は、印刷部59を具備し
ているため、測定結果が速やかに印刷され、確認を行う
ことができた。患者は、測定値の印刷されたものを病院
に持ち込み、医師からのアドバイスを受けることもでき
た。
構成を有する測定器の一例を示すものである。この測定
器は、実施例12の測定器に対し、さらに、外部記憶部
55を付加したものとなっている。外部記憶部として、
日本電気(株)社製の3.5インチ光ディスクユニットPC
-OD302Rを使用した。外部記憶装置とデータ処理部と
は、電線により接続した。以下、本実施例の測定器の動
作について説明する。
リウムを含むpH7の1mMTES(エヌ・トリス(ハイドロ
キシル)・メチル・2−アミノエタンサルフォニックア
シッド)緩衝液中に浸漬してから装置の電源を入れた。
約1分後、酵素電極のベース電流値が安定化した。この
状態で酵素電極を200mg/dlグルコース標準液に浸漬し、
酵素電極の較正を行った。
れた[測定人数の入力]の項目を選択し、[測定人数を
入力して下さい。]と表示させた。この表示に基づいて
使用者が測定する人数を入力すると、データ報知部に
[○人の測定を行います。(はい、Y/いいえ、N)]と
表示された。[はい、Y]が選択されると、[○人の測
定が可能です。]と表示された。[いいえ、N]であれ
ば、再度、[測定人数入力して下さい。]と表示され、
[はい、Y]が選択されるまで上記手順が繰り返され
る。
[暗証番号]の項目を選択し、次いで[暗証番号の登
録]を選択した。データ処理部は暗唱番号入力ボタンが
押されたことを認識して、データ報知部に[暗唱番号を
登録します。4桁の番号を入力して下さい。]と表示さ
せる。この表示に基づいて使用者がキーを操作して4桁
の番号を入力すると、データ報知部に[同じ暗証番号を
入力して下さい。]と表示された。使用者が再度同じ番
号を入力すると、[暗証番号を受け付けました。]と表
示された。暗証番号の登録は測定人分登録される。こう
して、登録した暗証番号はデータ処理部内のメモリに保
存される。
す。暗証番号を入力してから、電極を尿に浸漬して下さ
い。]と表示された。この表示に基づいて使用者は、暗
証番号を入力してから、電極を尿に浸漬して測定を開始
した。すると、データ報知部に[測定が正常に完了しま
した。尿糖値は○○mg/dlです。]と表示された。測定
が正常に行われなかった場合には、[測定できません。
電極を洗浄し、再度、尿に浸漬して下さい。]もしくは
[電極が壊れています。交換して下さい。]と表示され
るようになっている。また、正しい暗証番号が入力され
ないと、再度[測定を開始します。暗証番号を入力して
から、電極を尿に浸漬して下さい。]と表示される。ま
た、3回連続して暗証番号が一致しないと、前回までの
測定データはすべて消去され、初期設定に戻るようにな
っている。
[電極を洗浄し、緩衝液に戻して下さい。]と表示され
た。
を選択し、[メモを登録しますか。(はい、Y/いい
え、N)]と表示させた。[Y]を選択すると、[暗証番
号を入力して下さい]と表示された。暗証番号を入力し
てから、メモ内容を入力すると、データ報知部に[メモ
を登録しますか。(はい、Y/いいえ、N)]と表示され
た。[Y]を入力し、メモを入力すると、再度[メモを
登録しますか。(はい、Y/いいえ、N)]と表示され
た。使用者は[Y]を入力し、メモの登録を行った。こ
れらの入力をやめるときには[N]を入力すればよい。
また、登録したメモを呼び出したり、修正したり、消去
するときには、[暗証番号を入力後、メモ番号を指定し
て下さい。]と表示される。この表示に基づいて使用者
は暗証番号を入力すると、メモを呼び出したり、修正し
たり、消去することができる。暗証番号が正しく入力さ
れない場合には[暗証番号が一致しません。再度暗証番
号を入力して下さい。]と表示される。3回連続して暗
証番号が一致しないと、前回までのメモ内容はすべて消
去され、初期設定にもどる。
った結果について説明する。本実施例の測定器を用い
て、2人の糖尿病患者の尿糖を1日2回、一週間、繰り
返して測定した。較正は装置を立ち上げたときに一回の
み行った。同じ試料について既存の臨床検査装置(日立
自動分析装置7050、グルコースデヒドロゲナーゼ法)を
用いた測定も行い、本実施例の測定器および既存の臨床
検査装置の測定結果の比較を行った。その結果、相関係
数は0.955(n=28)となった。本実施例の測定器に
よれば、臨床検査装置と同等の測定精度が得られること
が明らかになった。また、メモ機能を利用して患者名を
入力していたため、測定値のデータを取り違えることも
無く、さらに、暗証番号で管理されているため、測定時
のプライバシーを守ることも可能であった。また、測定
データを棒グラフで表示することもできた。さらに、デ
ータが記憶されている光ディスクは、携帯可能であるた
め、別のパソコンでデータの管理を行ったり、データの
解析を行うこともできた。
およびこれを用いたバイオセンサは、フッ素を含まない
ビニル系重合体に対し、フルオロアルキレンブロックを
含有するペンダント基が結合したポリマーから主として
なる制限透過層を有するため、以下のような効果を奏す
る。
の汚染物質の付着が抑制され、長期使用した場合にも安
定した出力特性が得られることである。これは、フルオ
ロアルコールエステル基等のフルオロアルキレンブロッ
クを含有するペンダント基はほとんどの非フッ素系溶剤
や界面活性剤等の洗浄剤に対して難溶性を示すことによ
る。したがって、体液などの多様な化学物質を含む成分
系においても安定した繰り返し測定結果が得られる。
高分子層との良好な密着性が得られ、応答速度の迅速
化、洗浄に要する時間の短縮化を図られるとともに、層
構造の耐久性が向上して長期使用した場合にも損傷の起
こりにくい酵素電極が得られることである。良好な密着
性が得られる理由は、上記ポリマーがフッ素を含まない
ビニル系重合体からなる主鎖を有することによる。な
お、ペンダント基が、エステル基を介して主鎖に結合す
る構造をとることにより、さらに密着性改善が図られ
る。
れ、測定濃度範囲を大幅に拡大できることである。良好
な制限透過性が得られる理由は、制限透過層を構成する
ポリマーが、フッ素を含まないビニル系重合体に対し、
少なくともフルオロアルキレンブロックを含有するペン
ダント基が結合した特有の構造を有していることによ
る。
限透過層の層厚を薄くすることが可能となり、応答速度
の迅速化、および洗浄に要する時間の短縮化が図られる
ことである。
についても安定した測定が可能なことである。これは、
制限透過層が荷電を有しないため乳酸等のイオン化した
物質との相互作用が小さいことによる。
素電極、バイオセンサが得られる。本発明の酵素電極
は、その層構造を、各種溶液をスピンコート法等により
塗布することによって形成できるので、既存のプレーナ
製造工程の大部分を流用することが可能であり、大量
に、しかも低コストで生産が可能となるからである。
絶縁基板上に組み込むことによりセンサ自体を小型化で
きる。これにより携帯性等に優れたセンサを得ることが
できる。
る触媒機能をもつ複数の酵素を固定化した固定化酵素層
を設ければ、測定試料中の複数の特定試料成分を同時に
測定できるという利点が得られる。
ルコース(尿糖)を測定する尿糖センサとして用いれ
ば、従来のセンサでは不可能であった、尿糖値が正常範
囲内にある人や、糖尿病予備軍に該当する人の尿糖を測
定することが可能となり、糖尿病の予防に役立つデータ
収集が可能となる。また、層構成を適宜に設計すること
により、尿に大量に含まれる尿素、ビタミンC、アセト
アミノフェンが測定値に与える影響を有効に排除でき
る。
極を具備するバイオセンサを有しているため、長期安定
性に優れ、広範囲な測定条件下で使用することが可能で
ある。その上、操作方法が簡便であり、装置に不慣れな
人でも簡単に取り扱うことができる。
定構造のポリマー成分を含む液を塗布・乾燥することに
より制限透過層を形成するため、繰り返し測定時におけ
る安定性、隣接する層との密着性、耐久性、制限透過性
等にすぐれる制限透過層を、膜厚制御性良く形成するこ
とができる。
定性を示す図である。
ル酸樹脂のフルオロアルコールエステル濃度との関係を
示す図である。
定性を示す図である。
定性を示す図である。
サ)の40℃におけるセンサ出力安定性を評価した結果
を示す図である。
サ)の測定感度を示す図である。
サ)の安定性を示す図である。
である。
る。
成の一例を示す図である。
る。
る。
る。
る。
Claims (55)
- 【請求項1】 絶縁基板上に設けられた電極と、該電極
の上部に形成された固定化酵素層と、該固定化酵素層の
上部に形成された制限透過層とを有し、該制限透過層
は、フッ素を含まないビニル系重合体に対し、少なくと
もフルオロアルキレンブロックを含有するペンダント基
が結合したポリマーから主としてなることを特徴とする
酵素電極。 - 【請求項2】 前記ビニル系重合体は、不飽和炭化水
素、不飽和カルボン酸、および不飽和アルコールからな
る群より選ばれた一種以上のモノマーの単独重合体また
は共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の酵
素電極。 - 【請求項3】 前記ビニル系重合体は、ポリカルボン酸
であることを特徴とする請求項1に記載の酵素電極。 - 【請求項4】 前記ビニル系重合体に対し前記フルオロ
アルキレンブロックがエステル基を介して結合したこと
を特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の酵素電
極。 - 【請求項5】 前記ペンダント基中に含まれるフッ素原
子数をx、前記ペンダント基中に含まれる水素原子数を
yとしたときに、x/(x+y)で表される前記ペンダ
ント基のフッ素含有率が、0.3〜1であることを特徴
とする請求項1乃至4いずれかに記載の酵素電極。 - 【請求項6】 前記ペンダント基の炭素数が3〜15で
あることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の
酵素電極。 - 【請求項7】 前記ポリマーの分子量が、1000〜5
0000である請求項1乃至6いずれかに記載の酵素電
極。 - 【請求項8】 絶縁基板上に設けられた電極と、該電極
の上部に形成された固定化酵素層と、該固定化酵素層の
上部に形成された制限透過層とを有し、該制限透過層
は、ポリカルボン酸(A)のフルオロアルコールエステ
ルから主としてなることを特徴とする酵素電極。 - 【請求項9】 絶縁基板上に設けられた電極と、該電極
の上部に形成された固定化酵素層と、該固定化酵素層の
上部に形成された制限透過層とを有し、該制限透過層
は、ポリカルボン酸(A)のフルオロアルコールエステ
ルと、ポリカルボン酸(B)のアルキルアルコールエス
テルとを含んでなることを特徴とする酵素電極。 - 【請求項10】 前記ポリカルボン酸(B)が、ポリメ
タクリル酸、ポリアクリル酸、またはアクリル酸とメタ
クリル酸の共重合体であることを特徴とする請求項9に
記載の酵素電極。 - 【請求項11】 前記ポリカルボン酸(B)のアルキル
アルコールエステルは、ポリカルボン酸(B)のカルボ
キシル基の少なくとも一部が、炭素数2〜10のアルキ
ルアルコールによりエステル化されてなるエステル化合
物であることを特徴とする請求項9または10に記載の
酵素電極。 - 【請求項12】 前記ポリカルボン酸(B)のアルキル
アルコールエステルは、ポリメタクリル酸シクロヘキシ
ルであることを特徴とする請求項11に記載の酵素電
極。 - 【請求項13】 前記ポリカルボン酸(A)が、ポリメ
タクリル酸、ポリアクリル酸、またはアクリル酸とメタ
クリル酸の共重合体であることを特徴とする請求項8乃
至12いずれかに記載の酵素電極。 - 【請求項14】 前記ポリカルボン酸(A)のフルオロ
アルコールエステルに含まれるフルオロアルコールエス
テル基中のフッ素原子数をx、水素原子数をyとしたと
きに、x/(x+y)で表される前記フルオロアルコー
ルエステル基のフッ素含有率が、0.3〜1であること
を特徴とする請求項8乃至13いずれかに記載の酵素電
極。 - 【請求項15】 前記ポリカルボン酸(A)のフルオロ
アルコールエステルに含まれるフルオロアルコールエス
テル基を構成するフルオロアルコールの炭素数が3〜1
5であることを特徴とする請求項8乃至14いずれかに
記載の酵素電極。 - 【請求項16】 前記ポリカルボン酸(A)のフルオロ
アルコールエステルに含まれるフルオロアルコールエス
テル基を構成するフルオロアルコールは、一級アルコー
ルであることを特徴とする請求項8乃至15いずれかに
記載の酵素電極。 - 【請求項17】 前記ポリカルボン酸(A)のフルオロ
アルコールエステルは、ポリメタクリル酸1H,1H−
パーフルオロオクチルであることを特徴とする請求項1
6に記載の酵素電極。 - 【請求項18】 前記ポリカルボン酸(A)のフルオロ
アルコールエステルは、ポリアクリル酸1H,1H,2
H,2H−パーフルオロデシルであることを特徴とする
請求項16に記載の酵素電極。 - 【請求項19】 前記ポリカルボン酸(A)のフルオロ
アルコールエステルの分子量が、1000〜50000
である請求項8乃至18いずれかに記載の酵素電極。 - 【請求項20】 絶縁基板上に設けられた電極と、該電
極の上部に形成された固定化酵素層と、該固定化酵素層
の上部に形成された制限透過層とを有し、該制限透過層
は、アルキルアルコールエステル基およびフルオロアル
コールエステル基を有するポリカルボン酸エステル化合
物から主としてなることを特徴とする酵素電極。 - 【請求項21】 前記フルオロアルコールエステル基中
のフッ素原子数をx、水素原子数をyとしたときに、x
/(x+y)で表される前記フルオロアルコールエステ
ル基のフッ素含有率が、0.3〜1であることを特徴と
する請求項20に記載の酵素電極。 - 【請求項22】 前記フルオロアルコールエステル基を
構成するフルオロアルコールの炭素数が3〜15である
ことを特徴とする請求項20または21に記載の酵素電
極。 - 【請求項23】 前記フルオロアルコールエステル基を
構成するフルオロアルコールは、一級アルコールである
ことを特徴とする請求項20乃至22いずれかに記載の
酵素電極。 - 【請求項24】 前記フルオロアルコールエステル基
は、ポリメタクリル酸1H,1H−パーフルオロオクチ
ルであることを特徴とする請求項23に記載の酵素電
極。 - 【請求項25】 前記フルオロアルコールエステル基
は、ポリアクリル酸1H,1H,2H,2H−パーフル
オロデシル基であることを特徴とする請求項23に記載
の酵素電極。 - 【請求項26】 前記アルキルアルコールエステル基の
炭素数が2〜10であることを特徴とする請求項20乃
至25いずれかに記載の酵素電極。 - 【請求項27】 前記アルキルアルコールエステル基
は、ポリメタクリル酸シクロヘキシルであることを特徴
とする請求項26に記載の酵素電極。 - 【請求項28】 前記制限透過層の厚みが、0.01〜
3μmである請求項1乃至27いずれかに記載の酵素電
極。 - 【請求項29】 前記電極と前記固定化酵素層との間
に、シランカップリング剤から主としてなる結合層を有
することを特徴とする請求項1乃至28いずれかに記載
の酵素電極。 - 【請求項30】 前記シランカップリング剤は、γ−ア
ミノプロピルトリエトキシシランであることを特徴とす
る請求項29に記載の酵素電極。 - 【請求項31】 前記結合層と前記固定化酵素層との間
に、パーフルオロカーボン骨格を有するイオン交換樹脂
から主としてなるイオン交換樹脂層を有することを特徴
とする請求項29または30に記載の酵素電極。 - 【請求項32】 請求項1乃至31いずれかに記載の酵
素電極を作用極として用いたバイオセンサ。 - 【請求項33】 尿中のグルコースの測定に使用される
ことを特徴とする請求項32に記載のバイオセンサ。 - 【請求項34】 請求項32または33に記載のバイオ
センサと、該バイオセンサから得られた電気信号を報知
するデータ報知部とを有してなることを特徴とする測定
器。 - 【請求項35】 請求項32または33に記載のバイオ
センサと、該バイオセンサから電気信号を得る電気化学
測定回路部と、該電気信号をもとに測定値を算出するデ
ータ処理部と、該測定値を報知するデータ報知部とを有
してなることを特徴とする測定器。 - 【請求項36】 前記データ処理部は、(a)計時手
段、(b)測定時刻を設定する時刻設定手段および該時
刻設定手段で設定した時刻になったことを報知する時刻
報知手段、(c)測定器の操作方法を説明する操作説明
手段、(d)算出した測定値を記憶する測定値記憶手
段、(e)測定器の使用者の暗証番号を登録する暗証番
号登録手段、(f)メモを登録するメモ登録手段、
(g)測定器の誤作動を検出する動作報知手段、(h)
前記酵素電極の較正時期を検出し報知する較正時期報知
手段、(i)前記酵素電極の交換時期を検出し報知する
電極交換時期報知手段、(j)異常電流値を検出し報知
する異常電流値報知手段、および(k)前記酵素電極の
較正を行う電極較正手段のうち、一部または全部を含む
ことを特徴とする請求項35に記載の測定器。 - 【請求項37】 前記データ報知部は、前記データ処理
部により算出された測定値のほか、さらに、(a)〜
(k)のうち一または二以上の手段により得られた処理
結果を報知することを特徴とする請求項36に記載の測
定器。 - 【請求項38】 前記時刻設定手段で設定できる時刻が
複数であることを特徴とする請求項36または37に記
載の測定器。 - 【請求項39】 前記暗証番号登録手段は複数の暗証番
号を登録できることを特徴とする請求項36乃至38い
ずれかに記載の測定器。 - 【請求項40】 前記測定値記憶手段は複数の測定値を
記憶できることを特徴とする請求項36乃至39いずれ
かに記載の測定器。 - 【請求項41】 前記メモ登録手段は、予め登録したメ
モ群を呼び出すメモ項目手段と、呼び出したメモ群から
登録したいメモ項目を選択するメモ選択手段と、メモ選
択手段で選択したメモを呼び出すメモ呼び出し手段とを
備え、登録できるメモが複数であることを特徴とする請
求項36乃至40いずれかに記載の測定器。 - 【請求項42】 温度センサをさらに有し、該温度セン
サで測定された、測定試料または測定環境の温度を用い
て、前記測定値が補正されることを特徴とする請求項3
6乃至41いずれかに記載の測定器。 - 【請求項43】 pHセンサをさらに有し、該pHセン
サで測定された測定試料のpH値を用いて前記測定値が
補正されることを特徴とする請求項36乃至42いずれ
かに記載の測定器。 - 【請求項44】 前記データ処理部に接続された通信処
理部をさらに有し、該通信処理部により、前記データ処
理部で得られたデータが、測定器の外部に転送されるこ
とを特徴とする請求項36乃至43いずれかに記載の測
定器。 - 【請求項45】 前記データ処理部に接続された印刷部
をさらに有し、該印刷部により、前記データ処理部で得
られたデータが印刷されることを特徴とする請求項36
乃至44いずれかに記載の測定器。 - 【請求項46】 前記データ処理部に接続された外部記
憶部をさらに有し、該外部記憶部により、前記データ処
理部で得られたデータが保存されることを特徴とする請
求項36乃至45いずれかに記載の測定器。 - 【請求項47】 前記外部記憶部は、脱着可能な記憶媒
体を利用するものであることを特徴とする請求項46に
記載の測定器。 - 【請求項48】 前記記憶媒体が、半導体記憶媒体、磁
気記憶媒体、または光学的記憶媒体であることを特徴と
する請求項47に記載の測定器。 - 【請求項49】 前記データ報知部の報知方法が、デジ
タル数値、アナログ数値、図形、音声、音、振動、熱、
または光であることを特徴とする請求項34乃至48い
ずれかに記載の測定器。 - 【請求項50】 前記バイオセンサが着脱自在に設けら
れたことを特徴とする請求項34乃至49いずれかに記
載の記載の測定器。 - 【請求項51】 絶縁基板上に電極を形成する工程と、
該電極に直接、または他の層を介して、酵素を含む第一
の液を塗布した後、乾燥させ、固定化酵素層を形成する
工程と、該固定化酵素層に直接、または他の層を介し
て、フッ素を含まないビニル系重合体に対し少なくとも
フルオロアルキレンブロックを含有するペンダント基が
結合したポリマーを含む第二の液を塗布した後、乾燥さ
せ、制限透過層を形成する工程とを含むことを特徴とす
る酵素電極の製造方法。 - 【請求項52】 前記電極を形成した後、シランカップ
リング剤から主としてなる結合層を形成し、次いで前記
固定化酵素層を形成することを特徴とする請求項51に
記載の酵素電極の製造方法。 - 【請求項53】 前記第二の液をスピンコート法により
塗布することを特徴とする請求項51または52に記載
の酵素電極の製造方法。 - 【請求項54】 ディップ法により前記第二の液を塗布
した後、窒素ガスを吹き付けながら乾燥を行うことを特
徴とする請求項51または52に記載の酵素電極の製造
方法。 - 【請求項55】 前記制限透過層の厚みを、乾燥後にお
いて0.01〜3μmとすることを特徴とする請求項5
1乃至54いずれかに記載の酵素電極の製造方法。
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