JP3214563B2 - 酵素電極およびそれを用いたバイオセンサ、測定器 - Google Patents

酵素電極およびそれを用いたバイオセンサ、測定器

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶液中の特定の化
学物質を、酵素反応を用いて電気化学的に測定する酵素
電極に関する。
【0002】
【従来の技術】生体試料等に含まれる各種成分の測定方
法として、酵素反応と電気化学反応を組み合わせた測定
方法が広く用いられている。たとえば、溶液中の化学物
質を酵素の触媒機能により過酸化水素に変換し、この過
酸化水素を酸化還元反応により計測するバイオセンサが
汎用化している。たとえばグルコースバイオセンサは、
グルコースをグルコースオキシターゼ(GOX)によっ
て酸化し、グルコノラクトンと過酸化水素とする。発生
する過酸化水素はグルコース濃度に比例することから、
この過酸化水素の発生量を測定することによって試料中
のグルコース量を定量する。
【0003】この種のセンサにおいては、干渉物質およ
び汚染物質の影響を排除することが重要である。干渉物
質とは、上述の酸化還元反応系に影響を与え測定結果に
正誤差を生じさせる化学物質であり、アスコルビン酸や
アセトアミノフェン等がある。一方、汚染物質とは、電
極表面に吸着して測定結果に負誤差を生じる化学物質で
ある。たとえば、1992年、バイオインダストリーV
OL.9、NO.12、20〜25頁に、アルブミンや
尿素、尿素化合物、クレアチニンがセンサ出力に汚染物
質(負誤差を与える物質)として記載されている。
【0004】高濃度の干渉物質のセンサ出力への悪影響
を排除する酵素電極として、ポリアルキルシロキサンと
ナフィオン、アセチルセルロースの制限透過層を積層し
た構成のものが特開平8−180286号公報に開示さ
れている。図11にその構成を示す。絶縁基板11上に
電極12が形成され、その上にγ−アミノプロピルトリ
エトキシシラン膜13、アセチルセルロース膜14、パ
ーフルオロカーボンスルホン酸樹脂膜15、固定化酵素
層16、およびポリアルキルシロキサン膜17がこの順
で積層されている。このような積層構造により、高濃度
で存在する干渉物質が電極表面へ到達することを防止で
きるとされている。
【0005】また、干渉物質および汚染物質のセンサ出
力への悪影響を排除する酵素電極として、ナフィオンと
ポリウレタンの制限透過層を用いたものが特開平3−7
2254号公報に開示されている。図12にその構成を
示す。プラスチックフィルム22上に作用極23、対照
電極24、絶縁性保護膜25が形成され、これらを被覆
するように固定化酵素膜29が形成されている。固定化
酵素膜29は、ナフィオン膜29a、酵素層29b、ポ
リウレタン層29cからなっている。このような構造の
電極を用いることにより、干渉物質および汚染物質の電
極への透過や付着を軽減できるとされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
技術に係る酵素電極を用いた場合、尿素化合物等の汚染
物質を高濃度含有する尿や血液などの体液を測定する際
に、かかる汚染物質の透過を排除することが困難であっ
た。たとえばアセチルセルロース膜は、分子量の大きな
物質の透過を制限するものの尿素のような分子量の小さ
な物質の透過を充分に制限することは困難である。
【0007】このため、尿素化合物等の汚染物質が一
部、電極表面に到達して不可逆的に吸着し、使用により
経時的にセンサ出力が低下するという問題があり、繰り
返し測定時の再現性や長期の安定性に欠けていた。ま
た、一度電極に吸着した尿素化合物は、水洗などでは容
易に除去できず、次の測定が可能になるまでの時間が長
くなったり、特に繰り返して測定した場合に測定回数に
依存して負誤差の影響が大きくなる問題があった。
【0008】このような尿素化合物等の汚染物質の付着
の問題は、特に電極材料として白金を用いた場合に顕著
となる。尿素化合物は白金に対して付着しやすいからで
ある。ところが電極材料として、通常、耐薬品性および
過酸化水素の検出特性に優れた白金が用いられており、
上記問題を解決する酵素電極の開発が強く望まれてい
た。
【0009】本発明は上記課題を解決するためになされ
たものであり、特に高濃度の尿素化合物を含む尿や血
液、汗等の体液のサンプルを測定した際、汚染物質の電
極面への透過を排除し、かつ干渉物質の影響も排除し、
センサ出力の低下を防止して安定した出力再現性を示す
酵素電極を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、絶縁基
板上に設けられた電極と、尿素化合物を主成分とし前記
電極の少なくとも一部を被覆する電極保護層と、前記電
極および前記電極保護層を覆うように形成された固定化
酵素層とを有することを特徴とする酵素電極が提供され
る。
【0011】すなわち本発明の酵素電極は、絶縁基板上
に設けられた電極(電極層)と、この電極上に設けられ
た種々の機能を有する複数の層からなっている。
【0012】本発明の酵素電極は、バイオセンサ、特に
尿や血液、汗といった体液等を被測定試料としグルコー
ス等を検出するバイオセンサの検出部として使用され
る。
【0013】本発明の酵素電極は、絶縁基板上に設けら
れた電極の表面に尿素化合物を含む電極保護層が設けら
れている。尿素化合物は、前述したとおり電極表面に付
着して測定結果に負誤差を与える汚染物質である。本発
明の酵素電極は、このような汚染物質を含む電極保護層
をあらかじめ電極表面に設けておくことで、測定の際、
測定試料中に含まれる汚染物質が電極表面へ到達するこ
とを制限し、感度の変動を防止するものである。
【0014】尿素化合物を含む電極保護層を設けること
により、感度の絶対値は低下するものの、その低下幅は
実用上問題となる程度のものではない。一方、使用によ
る感度の経時変化については、電極保護層を設けない従
来の構成の酵素電極と比較して顕著に改善される。
【0015】さらに、電極保護層は、干渉物質であるア
スコルビン酸やアセトアミノフェン等の透過を制限する
機能を有する。これらの物質に対する透過の制限に比
し、過酸化水素に対する透過の制限の程度は小さい。こ
のため、過酸化水素の選択透過性を高めることができ
る。
【0016】本発明の酵素電極は、以上述べた作用を有
する電極保護層を有するため、尿素化合物によるセンサ
出力の経時低下、および干渉物質によるセンサ出力の増
加が抑制され、安定した出力が得られる。また、従来よ
りも高感度のセンサが得られる。
【0017】電極保護層は尿素化合物を含む。その含有
率は特に制限がないが、実質的に尿素化合物から主とし
てなることが好ましい。「主としてなる」とは、たとえ
ば、電極保護層に対する尿素化合物の含有率が50重量
%以上であることをいう。
【0018】電極保護層は、表面の全体を被覆するよう
に形成されることが好ましいが、電極表面の一部を被覆
するものであってもよい。また電極保護層の厚みは特に
制限がないが、実施例等において後述するように電解形
成法により形成された尿素からなる電極保護層により充
分な効果が認められることから、数分子が積層された程
度、たとえば0.1〜50nm程度の平均厚みがあれば
充分である。
【0019】本発明の酵素電極において、電極保護層と
固定化酵素層と固定化酵素層とは、直接、接するように
形成されていてもよいし、これらの間に他の層が介在し
てもよい。たとえば、電極保護層と固定化酵素層の間に
シランカップリング剤から主としてなる結合層を有する
構成としたり、電極保護層と固定化酵素層の間にパーフ
ルオロカーボン骨格を有するイオン交換樹脂から主とし
てなるイオン交換樹脂層を有する構成とすることもでき
る。なお、本発明における、絶縁基板上に設けられた電
極とは、少なくとも作用極として機能する電極をいう。
【0020】また本発明によれば、上記の酵素電極を作
用極として用いたバイオセンサが提供される。このバイ
オセンサは、尿素化合物を含み電極の少なくとも一部を
被覆する電極保護層を有する酵素電極を具備するため、
尿素化合物によるセンサ出力の経時低下、および干渉物
質によるセンサ出力の増加が抑制され、安定した出力が
得られる。また、従来よりも高い感度を実現することが
できる。本発明のバイオセンサは、絶縁基板上に、さら
に対極と参照極とを備えた構成とすることもできる。こ
のとき、酵素電極(作用極)および対極を白金電極と
し、参照極を銀/塩化銀電極とすることが好ましい。尿
素は白金に付着しやすいため、酵素電極(作用極)や対
極に尿素化合物を含む電極保護層を好適に形成できるか
らである。
【0021】さらに本発明によれば、上記バイオセンサ
を用いた種々の測定器が提供される。すなわち、本発明
によれば、上記バイオセンサと、該バイオセンサから得
られた電気信号を報知するデータ報知部とを有してなる
ことを特徴とする測定器が提供される。また、上記バイ
オセンサと、該バイオセンサから電気信号を得る電気化
学測定回路部と、該電気信号をもとに測定値を算出する
データ処理部と、該測定値を報知するデータ報知部とを
有してなることを特徴とする測定器が提供される。
【0022】これらの測定器は、特定構造の作用極を具
備するバイオセンサを有しているため、尿素化合物や干
渉物質による測定値の変動を防止し、高感度の測定を安
定的に行うことができる。
【0023】また本発明によれば、絶縁基板の表面に電
極を形成する工程と、該工程の後、該絶縁基板を支持電
解質と尿素化合物を含む混合溶液中に浸漬した状態で通
電し、前記電極の少なくとも一部を、尿素化合物を含む
電極保護層で被覆する工程とを含むことを特徴とする酵
素電極の製造方法が提供される。
【0024】本発明の酵素電極の製造方法は電解法を用
いるため、尿素化合物層を個々の電極上に選択的に形成
することができる。したがって、尿素化合物層形成とパ
ターン化を同時に達成することができる。このため製造
工程が簡単であり、大量生産も容易である。さらに、電
極のサイズや形状によらず上記尿素化合物層を形成する
ことができる。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明において、「酵素電極」と
は固定化酵素層の設けられた電極をいう。「バイオセン
サ」は、上記酵素電極を含む素子部分をいうものとし、
必要に応じて、対極、参照極を含むものとする。また、
本発明における「測定器」とは、上記バイオセンサを含
むシステムをいい、バイオセンサから得られた電気信号
を報知したり処理を行う種々の手段を備えたものをい
う。以下、本発明に係る酵素電極、バイオセンサ、およ
び測定器について、好ましい実施形態を説明する。
【0026】本発明のバイオセンサは、尿中のグルコー
ス(尿糖)を測定する尿糖センサとして用いた場合、特
に効果的である。
【0027】尿糖の測定下限に関し、従来技術では50
mg/dlであったのに対し、本発明のセンサでは1〜
5mg/dlまで検出可能となる。従来のバイオセンサ
ではS/N比が高いため、50mg/dl以下の領域の
低濃度グルコースを測定するとセンサ出力がノイズに埋
もれてしまい、定量的な測定が困難であった。これに対
し本発明のセンサはS/N比が低いため、低濃度領域で
も高精度の測定が可能となる。健康な人の尿糖値が2〜
10mg/dlであることから、上記のような測定感度
の向上の意義は非常に大きい。本発明のバイオセンサに
よれば50mg/dl以下の領域の尿糖を定量的に測定
できるため、従来のセンサでは不可能であった、尿糖値
が正常範囲内にある人や、糖尿病予備軍に該当する人の
尿糖を測定することが可能となり、糖尿病の予防に役立
つデータ収集が可能となるからである。
【0028】また本発明のセンサを用いれば、尿に大量
に含まれる尿素、ビタミンC、アセトアミノフェンの影
響を有効に排除できる。このため、ビタミンCを含む清
涼飲料を摂取したりアセトアミノフェンを含む解熱剤等
を服用した場合にも正確な測定が可能となる。
【0029】本発明の測定器は、バイオセンサが着脱自
在に設けられていることが好ましい。バイオセンサの電
極部は使用により消耗するため、容易に交換できる構造
とすることが望ましいからである。ここで、バイオセン
サの部分のみが着脱自在になっている形態のほか、バイ
オセンサと他の部分とを接続する配線や、バイオセンサ
を含む部分が着脱自在になっている形態であってもよ
い。たとえば図16の構成の測定器において、バイオセ
ンサ50と電気化学測定回路部51との間の配線54が
着脱自在になっていてもよく、また、バイオセンサ5
0、配線54、および電気化学測定回路部51からなる
部分が着脱自在になっていてもよい。
【0030】本発明の測定器におけるデータ処理部は、
バイオセンサから得られた電気信号をもとに測定値を算
出する機能を有しており、たとえば、上記電気信号をア
ナログ信号および/またはデジタル信号に変換し、測定
値を算出するという形態で動作する。データ処理部は種
々の手段を備えた構成とすることもでき、たとえば、
(a)計時手段、(b)測定時刻を設定する時刻設定手
段および該時刻設定手段で設定した時刻になったことを
報知する時刻報知手段、(c)測定器の操作方法を説明
する操作説明手段、(d)算出した測定値を記憶する測
定値記憶手段、(e)測定器の使用者の暗証番号を登録
する暗証番号登録手段、(f)メモを登録するメモ登録
手段、(g)測定器の誤作動を検出する動作報知手段、
(h)前記酵素電極の較正時期を検出し報知する較正時
期報知手段、(i)前記酵素電極の交換時期を検出し報
知する電極交換時期報知手段、(j)異常電流値を検出
し報知する異常電流値報知手段、および(k)前記酵素
電極の較正を行う電極較正手段のうち、一部または全部
を含む構成とすることができる。このような構成とする
ことにより、操作性がさらに向上する。ここで、上記
(a)〜(k)のうち一または二以上の手段により得ら
れた処理結果は、たとえば、報知部により報知されるも
のとする。
【0031】なお、本発明に係るバイオセンサ等は尿素
化合物を含む電極保護層を有する酵素電極を具備するも
のであるが、さらに、センサの保存液や較正液に尿素化
合物を添加してもよい。これにより、さらに測定の安定
性を高めることが可能となる。
【0032】(第1の実施の形態)本発明の第1の実施
の形態について図面を参照して説明する。本実施形態の
酵素電極は、図1に示すように、絶縁基板1上に作用極
として機能する電極2が設けられ、その上面を被覆する
ように尿素化合物から主としてなる電極保護層5が形成
されている。電極保護層5は、電極2部分にのみ選択的
に形成されている。これらの上にγ−アミノプロピルト
リエトキシシランから主としてなる結合層3が形成さ
れ、さらにその上に、有機高分子を母材として酵素を固
定化した、固定化酵素層4が形成されている。
【0033】絶縁基板1の材料としては、セラミック
ス、ガラス、石英、プラスチック等の絶縁性の高い材料
から主としてなるものを用いることができる。耐水性、
耐熱性、耐薬品性および電極との密着性に優れた材料で
あることが好ましい。
【0034】電極2の材料としては、たとえば白金、
金、銀、炭素等を主成分とする材料が用いられ、このう
ち耐薬品性および過酸化水素の検出特性に優れた白金が
好ましく用いられる。絶縁基板1上の電極2は、スパッ
タリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法、ケ
ミカル・ベーパー・ディポジッション法、電解法等によ
り形成することができ、このうちスパッタリング法が望
ましい。絶縁基板1との密着性が良好であり、かつ、白
金層を容易に形成できるからである。また、絶縁基板1
と電極2の密着性を改善するために、これらの間にチタ
ン層やクロム層などを挟んでも良い。
【0035】電極2を被覆する電極保護層5は、測定試
料中に含まれる尿素等の汚染物質の電極への透過を制限
する。電極保護層5は尿素化合物により構成される。尿
素化合物としては尿素、チオ尿素等が挙げられ、このう
ち毒性が低くさらにコストの安い尿素が好ましく用いら
れる。但し、これらに限定されるものではない。本発明
の酵素電極は、汚染物質を含む電極保護層をあらかじめ
電極表面に設けておくことで、使用中の汚染による感度
の変動を防止するものである。したがって、このような
電極保護層の作用を考慮すれば尿素化合物の種類が上記
のものに限定されないことは明らかである。
【0036】電極保護層5はたとえば浸漬法、プラズマ
重合法、電解法等で形成される。このうち、プロセス時
間が短く、安価な装置で実施できる電解法が望ましい。
すなわち、支持電解質と尿素化合物を含む混合溶液中に
電極を予め形成した絶縁基板を浸漬し、通電することに
より、電極保護層を形成することが好ましい。この際、
混合溶液中の尿素濃度は、好ましくは0.1mM〜6.
7M、さらに好ましくは1M〜6.7Mとする。また、
混合溶液中の塩化ナトリウム濃度は、好ましくは0.1
mM〜2M、さらに好ましくは1.5mM〜150mM
とする。このようにすることによって良質な電極保護層
が得られ、汚染物質の電極への付着を効果的に制限する
とともに、干渉物質の透過を制限して良好な選択性を得
ることができる。さらに、γ−アミノプロピルトリエト
キシシランから主としてなる結合層3との密着性も向上
する。
【0037】電極保護層5上に形成された結合層3は、
その上の固定化酵素層4と、絶縁基板1および電極保護
層5との密着性(結合力)を向上させる。また、絶縁基
板1の表面のぬれ性を改善し、酵素を固定化した固定化
酵素層4を形成する際の膜厚の均一性を向上させる効果
もある。さらには、電極2での過酸化水素の反応に干渉
するアスコルビン酸、尿酸およびアセトアミノフェンに
対する選択透過性も有する。結合層3はシランカップリ
ング剤を主成分とする。シランカップリング剤の種類と
しては、アミノシラン、ビニルシラン、エポキシシラン
が挙げられるが、このうち、密着性、選択透過性の観点
から、アミノシランの一種であるγ−アミノプロピルト
リエトキシシランが好ましく用いられる。結合層3は、
例えばシランカップリング剤溶液をスピンコートするこ
とにより形成することができる。この際、シランカップ
リング剤濃度は、1v/v%(体積%)程度とすることが好
ましい。選択透過性が顕著に向上するからである。
【0038】固定化酵素層4は、有機高分子を母材とし
て、触媒機能をもつ酵素を固定化したものである。固定
化酵素層4は、例えば、各種酵素、グルタルアルデヒド
等のタンパク質架橋剤、およびアルブミンを含む溶液
を、結合層3上に滴下し、スピンコート法にて形成され
る。アルブミンは、各種酵素を架橋剤の反応から保護す
るとともにタンパク質の基材となる。酵素としては、乳
酸酸化酵素、グルコース酸化酵素、尿酸酸化酵素、ガラ
クトース酸化酵素、ラクトース酸化酵素、スクロース酸
化酵素、エタノール酸化酵素、メタノール酸化酵素、ス
ターチ酸化酵素、アミノ酸酸化酵素、モノアミン酸化酵
素、コレステロール酸化酵素、コリン酸化酵素およびピ
ルビン酸酸化酵素等、触媒反応の生成物として過酸化水
素を生成する、または酸素を消費する酵素が挙げられ
る。
【0039】ここで、2種類以上の酵素を同時に用いて
過酸化水素を生成させてもよい。例えば、クレアチニナ
ーゼ、クレアチナーゼ、およびサルコシンオキシダーゼ
がこれに該当する。これらの酵素を用いることによって
クレアチニンの検出が可能になる。また、酵素と補酵素
を同時に用いてもよい。例えば、3-ヒドロキシ酪酸脱水
素酵素とニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NA
D)がこれに該当する。これらの酵素を用いることによ
って3-ヒドロキシ酪酸の検出が可能になる。さらに、酵
素と電子メディエータを同時に用いてもよい。この場合
は、酵素によって還元された電子メディエータが電極表
面上で酸化され、このときに得られる酸化電流値を測定
する。例えば、グルコースオキシダーゼとフェリシアン
化カリウムがこれに該当する。これらを用いることによ
ってグルコースの検出が可能になる。
【0040】以上述べたように、固定化酵素層4は、少
なくとも酵素を含み、測定対象物質を電極感応物質であ
る過酸化水素等に変換する機能を持つ構成であれば、特
に限定されない。
【0041】なお、固定化酵素層4の形成方法について
は、均一な膜厚を形成できる方法であれば特に制限がな
く、スピンコート法以外にもスクリーン印刷法などを用
いることもできる。
【0042】(第2の実施形態)次に、本発明の第2の
実施の形態について図面を参照して説明する。本実施形
態の酵素電極は、図2に示すように、絶縁基板1上に作
用極として機能する電極2が設けられ、その上面を被覆
するように尿素化合物から主としてなる電極保護層5が
形成されている。これらの上にγ−アミノプロピルトリ
エトキシシランから主としてなる結合層3が形成され、
さらにその上に、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂
からなるイオン交換樹脂層6、有機高分子を母材として
酵素を固定化した固定化酵素層4が順次形成されてい
る。
【0043】絶縁基板1上に形成する電極2、電極保護
層5、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン層3およ
び固定化酵素層4は、第1の実施の形態と同様の方法に
より順次形成される。
【0044】イオン交換樹脂層6を構成するパーフルオ
ロカーボンスルホン酸樹脂としては、たとえばナフィオ
ン(商品名)を用いることができる。ナフィオンとは、
陽イオン交換樹脂であり、パーフルオロメチレン主鎖
に、末端スルホン酸基を有するパーフルオロポリアルキ
レンエーテル側鎖を結合させた構造を有している(式
(1))。
【0045】
【化1】 ナフィオン膜等のイオン交換樹脂層6を固定化酵素層の
上部に配置することにより、干渉物質の影響を排除する
ことができる。このため、電極保護層3による干渉物質
の透過抑制効果との相乗効果が得られ、干渉物質の影響
を著しく小さくすることができる。
【0046】イオン交換樹脂層6は、純水で50%に希
釈したエタノールに溶解させて調製したナフィオンをγ
−アミノプロピルトリエトキシシラン層3上に滴下し、
スピンコート法で形成される。溶媒としては、たとえば
イソプロピルアルコール、エチルアルコール等のアルコ
ールが用いられる。滴下するナフィオンの濃度は、好ま
しくは1〜10w/v%、さらに好ましくは5〜7w/v%とす
る。このような範囲とすることにより、干渉物質の影響
を排除する効果が顕著となる。
【0047】(第3の実施形態)次に、本発明の第3の
実施の形態について図面を参照して説明する。本実施形
態の酵素電極は、図3に示すように、絶縁基板1上に作
用極として機能する電極2が設けられ、その上面を被覆
するように尿素化合物から主としてなる電極保護層5が
形成されている。これらの上にγ−アミノプロピルトリ
エトキシシランから主としてなる結合層3が形成され、
さらにその上に、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂
からなるイオン交換樹脂層6、有機高分子を母材として
酵素を固定化した固定化酵素層4が形成されている。そ
して最上層に制限透過層7が形成されている。なお、絶
縁基板1上に形成する電極2、電極保護層5、γ−アミ
ノプロピルトリエトキシシラン層からなる結合層3、パ
ーフルオロカーボンスルホン酸樹脂からなるイオン交換
樹脂層6、および酵素を固定化した固定化酵素層4は、
第1および第2の実施の形態と同様な方法により順次形
成される。
【0048】制限透過層7の構成材料としては、フッ素
を含まないビニル系重合体に対し、少なくともフルオロ
アルキレンブロックを含有するペンダント基が結合した
ポリマーが用いられる。ここで、「フッ素を含まないビ
ニル系重合体」は、固定化酵素層等の他の有機高分子層
との密着性を良好にする役割を有する部分であるから、
特に構造の制限はないが、フッ素を含むものであっては
ならない。ペンダント基を除く重合体部分にフッ素を含
むと、固定化酵素層等の他の有機高分子層との密着性が
低下し、溶液の調整が困難となり、制限透過層を薄膜と
して形成することが困難になる。フッ素を含まないビニ
ル系重合体は、炭素−炭素結合からなる主骨格を有する
重合体であり、好ましい例としては、不飽和炭化水素、
不飽和カルボン酸、および不飽和アルコールからなる群
より選ばれた一種以上のモノマーの単独重合体または共
重合体が挙げられる。このうち特にポリカルボン酸が好
ましい。このような重合体を選択することによって、固
定化酵素層等の他の有機高分子層との密着性が特に良好
となり、耐久性に優れる制限透過層を得ることができ
る。また、ビニル系重合体に対し、フルオロアルキレン
ブロックがエステル基を介して結合していることが好ま
しい。エステル基は適度な極性を有しているため、固定
化酵素層等の他の有機高分子層との密着性がより向上す
る。また、フルオロアルキレンブロックを含有するペン
ダント基とは、フルオロアルキレンを構成単位として含
有するペンダント基をいう。フルオロアルキレンとは、
アルキレン基の水素の一部または全部をフッ素で置換し
たものをいう。
【0049】制限透過層7の構成材料は、以上述べたポ
リマー材料により構成されるが、このうち、ポリカルボ
ン酸のフルオロアルコールエステルが特に好ましい。ポ
リカルボン酸の例としては、ポリアクリル酸、ポリメタ
クリル酸、アクリル酸とメタクリル酸の共重合体等が挙
げられる。ポリカルボン酸のフルオロアルコールエステ
ルとは、ポリカルボン酸の一部、または全部がフルオロ
アルコールでエステル化されたものをいう。フルオロア
ルコールとはアルコール中の水素のすべて、または少な
くとも一つがフッ素に置換されたものである。ポリカル
ボン酸のカルボキシル基はすべてがエステル化されてい
てもよいが、一部がエステル化されていればよい。均一
な特性が得られる点で、0.1%以上がエステル化され
ていることが望ましい。ポリフルオロアルコール中の炭
素数は、製膜後に優れた耐久性が得られる5から9の範
囲が好ましく、製膜し易くなる8がさらに好ましい。ま
た、ポリフルオロアルコールの級数は耐久性および耐薬
品性が最も高くなる一級がよい。ポリカルボン酸のフル
オロアルコールエステルのうち特に好ましいのは、ポリ
メタクリル酸1H,1H−パーフルオロオクチルおよび
ポリアクリル酸1H,1H,2H,2H−パーフルオロ
デシルである。優れた制限透過性が安定して得られる
上、製膜し易く、酸アルカリおよび各種有機溶媒に対す
る耐性が高いからである。
【0050】制限透過層の構成材料として、ポリカルボ
ン酸のアルキルアルコールエステルを導入してもよい。
たとえば、制限透過層を、ポリカルボン酸(A)のフル
オロアルコールエステルと、ポリカルボン酸(B)のア
ルキルアルコールエステルとを含む構成とすることがで
き、また、制限透過層を、アルキルアルコールエステル
基およびフルオロアルコールエステル基を有するポリカ
ルボン酸エステル化合物から主としてなる構成とするこ
ともできる。なお、ポリカルボン酸(A)とポリカルボ
ン酸(B)は、同種のものであっても異種のものであっ
てもよい。また、「主としてなる」とは、上記ポリマー
が制限透過層を構成する主成分となっていることをい
い、たとえば、制限透過層に対する上記ポリマーの含有
率が50重量%以上であることをいう。制限透過層を上
記のような構成とすると、高温安定性の良好な酵素電極
が得られる。なお、制限透過層を構成するポリマーの分
子量は、好ましくは1000〜50000、さらに好ま
しくは3000〜30000とする。分子量が大きすぎ
ると溶液の調整が困難となり、制限透過層の薄層化が困
難となることがある。分子量が小さすぎると充分な制限
透過性が得られない場合がある。なお、ここでいう分子
量とは数平均分子量をいい、GPC(Gel Permiation C
hromatography)により測定することができる。
【0051】制限透過層7は、上述したポリマーの溶液
をスピンコート法により塗布することにより形成され
る。たとえばパーフルオロヘキサン等のパーフルオロカ
ーボンの溶媒で希釈したポリメタクリル酸のポリフルオ
ロアルコールエステル溶液を、触媒機能をもつ酵素を固
定化した固定化酵素層4上に滴下してスピンコート法に
より形成することができる。この際、溶液中の濃度は、
測定対象物質にもよるが、好ましくは0.1〜5重量
%、さらに好ましくは0.3重量%程度とする。この範
囲とすることにより良好な制限透過性が発現するからで
ある。
【0052】なお制限透過層7の形成方法については、
均一な厚さの層が得られる方法であれば制限がなく、ス
ピンコート法以外にもスプレーコート法やディップ法な
ども用いることができる。
【0053】上述した特有の構造を有するポリマーから
なる制限透過層7を設けることにより、タンパク質や尿
素化合物等の汚染物質の付着が抑制される。このため、
電極保護層3による汚染物質の付着抑制効果との相乗効
果が得られ、長期使用した場合にも安定した出力特性が
得られるという効果が得られる。また、良好な制限透過
性が得られ、測定濃度範囲を大幅に拡大できるいう効果
も得られる。さらに、制限透過層7と固定化酵素層4と
の密着性が高いため、溶液中の測定対象物を長期間安定
して測定することが可能となる。くわえて、乳酸等のイ
オン化した物質についても安定した測定が可能となる。
制限透過層が荷電を有しないため乳酸等のイオン化した
物質との相互作用が小さいためである。
【0054】本実施形態のセンサをグルコースセンサと
して使用する場合、最外層の制限透過層7がグルコース
の拡散速度を制限し、グルコース酸化酵素を使用した固
定化酵素層4が拡散してきたグルコースと酸素で触媒反
応して過酸化水素とグルコノラクトンを発生し、このう
ち過酸化水素が電極2に到達した際の酸化電流を測定し
てグルコースの濃度を知ることが出来る。また、測定時
の電極系は、2極法の場合には外部から既存の参照極を
使用し、3極法の場合は対極、参照極の両方を測定溶液
中に同時に浸漬する。
【0055】(第4の実施形態)次に、本発明の第4の
実施の形態について図面を参照して説明する。本実施形
態の酵素電極は、図4に示すように、絶縁基板1上に作
用極8、対極9および参照極10を形成し、作用極8、
対極9上に電極保護層5、その上にγ−アミノプロピル
トリエトキシシランから主としてなる結合層3、その上
にパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂から主としてな
るイオン交換樹脂層6、その上に触媒機能をもった酵素
を固定化した固定化酵素層4、そしてその上に制限透過
層7が順次形成された構造を有する。作用極8及び対極
9は、電極2と同様のものであればよい。参照極10の
材料は銀/塩化銀が用いられる。
【0056】このような構成とすると、作用極、対極、
参照極が一つの絶縁基板上に形成されるためセンサを駆
動しながら溶液を交換することが可能になる。センサ表
面が電解質等で濡れている限り、作用極、対極および参
照極の電極間は電気的に接続されることから、センサが
一時的に空気に触れても計測が継続できるからである。
また、3極法による正確な電気化学測定が可能になり、
特に微小な電流検出型の酵素電極を実現することが可能
になる。
【0057】(第5の実施の形態)本実施形態は、本発
明に係る酵素電極の製造方法の一例を示すものである。
まず石英からなる基板上に、白金からなる作用極と対
極、および銀/塩化銀からなる参照極を形成する。
【0058】次に各電極の表面および基板表面を洗浄す
る。洗浄方法としては、有機溶媒や酸等により洗浄する
方法や超音波洗浄器を用いて洗浄する方法を用いること
ができ、これらを併用することもできる。有機溶媒や酸
等としては、電極材料を損傷させないものが用いられ
る。有機溶媒としては極性溶媒が好ましく用いられ、ア
セトン等のケトン系溶媒、イソプロピルアルコール等の
アルコール系溶媒を用いることができる。また、酸とし
ては、希硫酸等が用いられる。このほか、電解カソード
水を用いることもできる。電解カソード水とは、純水等
を電気分解した際に陰極側に生成される液のことをい
う。電解カソード水は中性〜弱アルカリ性でありながら
高い還元性を有するため、基板や電極の損傷を抑えつ
つ、基板表面および付着粒子の表面の電位をともに負電
位とすることができ、脱離粒子の再付着を抑制すること
ができる。上記したうち、たとえば、アセトンおよび希
硫酸で順次洗浄するという方法が好ましく用いられる。
【0059】次に電極保護層を形成する。前述したよう
に、電極保護層は、たとえば、浸漬法、プラズマ重合
法、電解法等で形成され、電解法が好ましく用いられ
る。この際、混合溶液中の尿素濃度は、好ましくは0.
1mM〜6.7M、さらに好ましくは1M〜6.7Mと
する。また、混合溶液中の塩化ナトリウム濃度は、好ま
しくは0.1mM〜2M、さらに好ましくは1.5mM
〜150mMとする。このようにすることによって良質
な電極保護層が得られ、汚染物質の電極への付着を効果
的に制限するとともに、干渉物質の透過を制限して良好
な選択性を得ることができる。さらに、γ−アミノプロ
ピルトリエトキシシランから主としてなる結合層3との
密着性も向上する。なお、電解法を用いた場合は、白金
電極部に選択的に尿素化合物層が形成することができ
る。
【0060】次いで、作用極、対極および参照極の表面
に結合層を形成する。前述のように、結合層を構成する
材料としては、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン
等のシランカップリング剤が好ましく用いられる。
【0061】カップリング剤液等の塗布方法としては、
スピンコート法、スプレー法、ディップ法、加熱気流法
等が用いられる。スピンコート法とは、カップリング剤
等、結合層の構成材料を溶解または分散させた液をスピ
ンコーターにより塗布する方法である。この方法によれ
ば膜厚の薄い結合層を膜厚制御性良く形成することがで
きる。また、スプレー法とはカップリング剤液等を基板
に向けてスプレー噴霧する方法であり、ディップ法とは
基板をカップリング剤液等に浸漬する方法である。これ
らの方法によれば、特殊な装置を必要とせず、簡便な工
程で結合層を形成することができる。また加熱気流法と
は、基板を加熱雰囲気下に設置し、ここにカップリング
剤液等の蒸気を流動させる方法である。この方法によっ
ても膜厚の薄い結合層を膜厚制御性良く形成することが
できる。
【0062】カップリング剤液等の塗布後、乾燥を行
う。乾燥温度は特に制限がないが、通常、室温(25
℃)〜170℃の範囲で行う。乾燥時間は、温度にもよ
るが、通常は0.5〜24時間とする。乾燥は空気中で
行っても良いが、窒素等の不活性ガス中で乾燥させても
よい。たとえば、窒素を基板に吹き付けながら乾燥させ
る窒素ブロー法を用いることもできる。
【0063】結合層形成後、酵素溶液を塗布し、固定化
酵素層を形成する。固定化酵素層は、作用極および対極
表面にのみ形成してもよい。酵素溶液の塗布方法として
は、スピンコート法、ディップ法(浸漬法)等が用いら
れ、このうち膜厚制御性に優れるスピンコート法が好ま
しく用いられる。酵素溶液の塗布後、乾燥を行う。乾燥
温度は酵素の活性が損なわれない範囲の温度とする。室
温(25℃)〜40℃の範囲とすることが好ましい。乾
燥時間は、温度にもよるが0.5〜24時間とする。乾
燥は空気中で行っても良いが、窒素等の不活性ガス中で
乾燥させてもよい。たとえば、窒素を基板に吹き付けな
がら乾燥させる窒素ブロー法を用いることもできる。
【0064】次に、ポリカルボン酸のフルオロアルコー
ルエステル溶液等を塗布し、制限透過層を形成する。制
限透過層は、作用極および対極表面にのみ形成してもよ
い。上記溶液の塗布方法としては、スピンコート法、デ
ィップ法、スプレー法、刷毛塗り法等が用いられ、この
うち膜厚制御性に優れるスピンコート法が好ましく用い
られる。スピンコート法を用いた場合、0.01〜3μ
m程度の薄膜からなる制限透過層を制御性良く形成する
ことができる。また、基板を上記容積に浸漬するディッ
プ法により塗布を行い、次いで窒素ガスを吹き付けなが
ら乾燥を行う方法としてもよい。この方法によれば、簡
便な方法で制限透過層を形成することができる。
【0065】上記溶液の塗布後、乾燥を行う。乾燥温度
は、固定化酵素層の酵素の活性が損なわれない範囲の温
度とすることが望ましく、室温(25℃)〜40℃の範
囲とすることが好ましい。乾燥時間は、温度にもよる
が、通常、0.5〜24時間とする。乾燥は空気中で行
っても良いが、窒素等の不活性ガス中で乾燥させてもよ
い。たとえば、窒素を基板に吹き付けながら乾燥させる
窒素ブロー法を用いることもできる。
【0066】以上のようにして、電極上に特定の機能を
有する種々の層が形成された酵素電極が作製される。な
お、本実施形態では作用極、対極、参照極の3極からな
るバイオセンサについて説明したが、白金からなる作用
極と参照極を石英基板上に設けた構成としてもよい。
【0067】(第6の実施形態)本発明の酵素電極を用
いたセンサの例を図13に示す。この例では、作用極8
として酵素電極を用い、石英基板上にさらに対極9と参
照極10とを備えた構造となっている。作用極8および
対極9は白金電極であり、参照極10は銀/塩化銀電極
である。作用極8は尿素からなる電極保護層5により全
面が被覆されている。その上に、γ−アミノプロピルト
リエトキシシランを主成分とする結合層3、ナフィオン
からなるイオン交換樹脂層6、固定化酵素層4、メタク
リル酸樹脂のフルオロアルコールエステル層からなる制
限透過層7が順次形成されている。作用極8、対極9、
参照極10はそれぞれ測定系に電気的に接続されてい
る。
【0068】本実施形態では、同一の絶縁基板1上に作
用極8、対極9および参照極10を形成しているが、こ
れらを複数の基板上に形成した構成としてもよい。図1
4(a)は作用極8、対極9および参照極10をそれぞ
れ異なる絶縁基板1上に形成したものであり、図14
(b)は、作用極8および対極9を同一の絶縁基板1上
に形成し、参照極10を異なる絶縁基板1上に形成した
ものである。
【0069】本実施形態ではアンペロメトリックタイプ
のセンサの例を示したが、本発明の酵素電極は、イオン
感受性電界効果型トランジスタタイプのセンサにも適用
できることはいうまでもない。
【0070】(第7の実施の形態)本実施形態は、バイ
オセンサ、電気化学測定回路部、データ処理部、および
データ報知部を具備した本発明の測定器の一例を示すも
のである。以下、図16および図17を参照して説明す
る。
【0071】この測定器は、図16に示すように、バイ
オセンサ50、電気化学測定回路部51、データ処理部
52およびデータ報知部53が、配線54により接続さ
れた構成となっている。
【0072】バイオセンサ50は、たとえば、第1から
第4の実施形態で説明した酵素電極を具備するものを用
いることができる。バイオセンサ50は消耗品であるた
め、交換が容易な脱着式とすることが好ましい。
【0073】電気化学測定回路部51は、本実施形態で
はポテンシオスタットを用いるが、バイオセンサ50に
対して定電位を印加し、電流値を測定できる回路であれ
ば、特に限定されない。
【0074】データ処理部52は、図17に示す構成と
なっており、計時手段60、時刻設定手段61、時刻報
知手段62、操作説明手段63、測定値記憶手段64、
暗証番号登録手段65、メモ登録手段66、動作報知手
段67、較正時期報知手段68、電極交換時期報知手段
69、異常電流値報知手段70および電極較正手段71
を含んでいる。上記各手段を含む構成となっているた
め、本測定器の使用者は、電極の較正、測定、測定デー
タの保存等を円滑に行うことができる。本実施形態で
は、データ処理部52としてパーソナルコンピュータ
(以下、パソコンと記述する)を用いているが、電気化
学測定回路部51からの信号を処理できるマイクロプロ
セッサ等の演算部を持つものであれば特に限定されな
い。データ処理部52で処理された信号は測定値に換算
され、データ報知部53で測定値として表示される。
【0075】データ報知部53は、本実施形態ではパソ
コン用のディスプレイを用いているが、データ処理部5
2によって処理されたデータを報知する機能を有するも
のであれば特に限定されない。データ処理部52によっ
て処理されたデータとは、データ処理部52で算出され
た測定値、バイオセンサ50の動作確認および誤作動の
確認、異常電流値検出結果、バイオセンサ50の交換時
期、バイオセンサ50の較正時期および較正手順、日
付、時刻、時計、データ処理部52の演算部によって処
理された電気化学測定回路部51からの信号、初期設定
時の操作手段と操作時に操作アドバイスを行うときの操
作説明等である。報知する手段はデジタル数値、アナロ
グ数値、音声である。これ以外の報知手段として、音、
光、振動、色彩、光、図形、熱を利用しても良いが、デ
ジタル数値やアナログ数値が好ましく用いられる。
【0076】配線54はこれらを接続できる電線であれ
ばよい。
【0077】次に、データ処理部52に含まれる各手段
(図17)について説明する。
【0078】計時手段60は、本実施形態ではパソコン
に内蔵されている時計を利用するが、前記演算部に対し
て、時間を示す機能を有するものであれば、特に限定さ
れない。
【0079】時刻設定手段61は、計時手段60を利用
して測定する時刻を設定する機能である。本実施形態で
は計時手段60と同様にパソコンに内蔵されている時計
の機能の一部を利用するが、前記演算部に対して、時間
を示す機能にさらに測定する時刻を設定できる機能を有
するものであれば、特に限定されない。また、設定でき
る時刻は複数であることが好ましい。このようにすれ
ば、一日に複数回の測定を行いたい場合に便利である。
なお時刻設定手段61の利用の有無を選択可能になって
いると、さらに便利である。
【0080】時刻報知手段62は、時刻設定手段61で
設定された時刻に報知する機能である。例えば時刻設定
手段61で12時間毎に報知するように設定すると、測
定者は12時間毎に時刻報知手段62から測定時刻を知
ることが可能になる。
【0081】操作説明手段63は、本発明の測定器の操
作方法や操作を行う際の留意事項を説明する機能を有す
る。操作説明手段63の利用の有無は、設定により適宜
選択できるようになっている。
【0082】測定値記憶手段64は、本測定器による測
定値やその他の情報を記憶する手段であり、半導体記憶
素子としてRAM(ランダム・アクセス・メモリ)が好
ましく使用される。測定値記憶手段64は複数の測定を
記憶できるようになっていることが好ましい。測定値記
憶手段64は、測定値だけでなく、データ処理部52に
おいて処理される種々の情報も記憶できるようになって
いる。記憶させる情報は、設定により適宜制限される。
【0083】暗証番号登録手段65は、特定人物以外の
測定装置の使用と測定値の情報を制限する機能を有して
おり、これを備えていることにより使用者のプライバシ
ーを保護することが可能となる。暗証番号の設定は4桁
以上の数値もしくは英数字が、高い安全性を確保できる
点で好ましい。また暗証番号登録手段65は、複数の暗
証番号を登録できるものであることが望ましい。このよ
うにすれば複数の使用者のプライバシーを保護すること
が可能となる。本実施形態では4桁の暗証番号を入力し
ないと、すべての情報の入出力を行うことができないよ
うになっている。なお、暗証番号登録手段65の利用の
有無は設定により適宜変更できるようになっている。
【0084】メモ登録手段66は、メモを登録できるメ
モ登録手段と、登録したメモ群を呼び出すメモ項目手段
と、呼び出したメモ群から登録したいメモ項目を選択す
るメモ選択手段と、メモ選択手段で選択したメモを呼び
出すメモ呼び出し手段とを備えた構成とすることが好ま
しい。本実施形態ではこのような構成となっており、測
定者の情報として、例えば測定時の体重、血圧、体温を
メモ登録手段を用いて登録する。なお、メモ登録手段6
6の利用の有無は、設定により適宜変更できるようにな
っている。
【0085】動作報知手段67は、バイオセンサ50と
電気化学測定回路部51とデータ処理部52との間の配
線54が断線しているか、もしくは少なくとも一つが接
続されていない状態となっている場合に、このことを報
知する機能を有している。なお、動作報知手段67の利
用の有無は、設定により適宜変更できるようになってい
る。
【0086】較正時期報知手段68は、バイオセンサ5
0の較正時期を報知する手段である。酵素電極を一定程
度使用すると較正が必要となるが、較正時期報知手段6
8はこの較正時期を報知する機能を有している。較正時
期の判断は、測定時間または測定回数を基準に行うこと
ができる。本実施形態では、設定により、これらの両方
もしくはいずれか一方を基準とすることができるように
なっている。
【0087】電極交換時期報知手段69は、バイオセン
サ50に含まれる電極の交換時期を報知する機能であ
る。交換時期の判断は、測定時間または測定回数を基準
に行うことができる。本実施形態では、設定により、こ
れらの両方もしくはいずれか一方を基準とすることがで
きるようになっている。
【0088】異常電流値報知手段70は、バイオセンサ
50、電気化学測定回路部51、データ処理部52およ
びこれらを接続する配線54に異常電流が流れ、測定不
能な状態に陥ったり、これらの一部が破損したことを報
知する手段である。
【0089】なお、動作報知手段67、較正時期報知手
段68、電極交換時期報知手段69、および異常電流値
報知手段70における「報知」は、たとえば前述したデ
ータ報知部を介して行われ、これにより所定の情報が測
定器の使用者に伝達される。
【0090】電極較正手段71は、初期使用時や較正時
期において使用されるものであり、バイオセンサ50の
較正手順を説明するとともにバイオセンサ50を較正す
る機能を有している。較正手順の説明等は、較正時期報
知手段68を介して行われる。
【0091】本実施形態の測定器を用いると、バイオセ
ンサの使用寿命や較正時期、測定器の操作手順等が表示
されるため、装置の取り扱いに不慣れな人でも、高い精
度の測定を容易に行うことができる。
【0092】本実施形態では、図16に示すように、バ
イオセンサ50、電気化学測定回路部51、データ処理
部52およびデータ報知部53が、配線54により接続
された構成としたが、電気化学測定回路部51を設けず
に電気化学測定回路部51とデータ報知部53が直接に
接続した構成とすることもできる。このようにした場
合、バイオセンサ50から得られたアナログ信号がその
ままデータ報知部53に送られ、目盛と針を用いた表示
方法等により測定値が表示される。この場合、表示され
た値を尿糖値や血糖値に換算する表等を添付すれば便利
である。
【0093】(第8の実施の形態)本実施形態は、図1
6の測定器に、更に温度センサ56、pHセンサ57を
具備した測定器の一例を示すものである。以下、図18
を参照して説明する。
【0094】この測定器は、図18に示すように、バイ
オセンサ50と、電気化学測定回路部51と、データ処
理部52と、データ報知部53と、温度センサ56と、
pHセンサ57とが配線54で接続されている。
【0095】データ処理部52では温度センサ56とp
Hセンサ57からの電気信号を処理し、温度およびpH
を算出する。そして、データ処理部52において算出さ
れる測定試料中の特定成分の測定値が、温度およびpH
をもとに補正され、データ報知部53で表示される。
【0096】温度センサ56は、データ処理部52で処
理できる形式のデータを得ることができるものであれ
ば、特に限定されないが、熱電対温度計や抵抗温度計が
好ましい。温度センサ56は、測定試料の温度または測
定環境の温度を測定するものとする。測定試料の温度を
測定する場合は、たとえば酵素電極を含むバイオセンサ
の設けられた基板上に温度センサ56を形成する。この
ようにすれば測定試料の温度を精度良く測定でき、測定
試料中の特定成分の測定にあたって正確に補正を行うこ
とができる。また、バイオセンサと独立した温度センサ
を備える構成とし、バイオセンサと温度センサ56を同
時に測定試料中に浸漬する方式とすることもできる。こ
のようにすれば、バイオセンサの交換の際に同時に温度
センサも交換する必要はなく、低コスト化を図ることが
できる。測定環境の温度を測定する場合は、バイオセン
サと独立した温度センサを備える構成とし、温度センサ
56を測定環境中に設置する。温度センサ56は、たと
えばデータ報知部53や電気化学測定回路部51の内部
に設置する。このようにすれば、測定環境が、測定可能
な温度条件内にあるかどうかを容易にチェックすること
が可能となる。
【0097】図15はバイオセンサの設けられた基板上
に温度センサ56を形成した測定器の一例を示すもので
ある。この測定器は、絶縁基板1上に作用極8、対極
9、および参照極10が形成され、併せて温度センサ5
6が設けられている。作用極8、対極9、および温度セ
ンサ56の上には、結合層3、イオン交換樹脂層6、固
定化酵素層4および制限透過層7がこの順で形成されて
おり、参照極9上には、結合層3、イオン交換樹脂層
6、保護層20が形成されている。このような構成とす
れば、温度による測定値の補正を正確に行うことができ
る。
【0098】pHセンサ57は、ガラス電極やイオン感
応性電界効果型トランジスターを好ましく用いることが
できるが、これらに限定されるものではない。pHセン
サ57の較正には、バイオセンサ50を構成する際に使
用する較正液中にpH指示薬を予め溶解したものを用い
ることができる。このようにすれば、バイオセンサ50
とpHセンサ57の較正を同時に行うことが可能とな
る。pH指示薬は通常のガラスpHメータに使用されて
いるシュウ酸塩溶液やフタル酸塩溶液が好ましい。
【0099】本実施形態の測定器を用いれば、温度範囲
およびpH範囲の広い測定試料中の特定成分を正確に測
定することが可能になる。測定した測定試料毎の温度、
pHを用いて、酵素電極の測定値を補正できるからであ
る。
【0100】なお、本実施形態では温度センサ56およ
びpHセンサ57が、データ処理部52に接続した構成
をとっているが、これらが電気化学測定回路部51に接
続していてもよい。
【0101】(第9の実施の形態)本実施形態は、図1
8の測定器に対し、データ処理部に接続された通信処理
部をさらに具備した構成とし、この通信処理部により、
データ処理部で得られたデータが、測定器の外部に転送
されるようにしたものである。以下、図19を参照して
説明する。
【0102】本実施形態の測定器は、図19に示すよう
に、データ処理部52と通信処理部58とが配線54で
接続された構成となっている。通信処理部58は測定値
に関する情報を外部に伝達する手段である。通常モデム
が使用されるが、通信処理機能を有するものであれば限
定されない。伝達に使用される通信回線として、電話回
線、赤外線、無線等が挙げられるが、これらに限定され
るものではない。伝達される情報としては、データ処理
部52において処理される情報、データ報知部53で表
示される情報が挙げられる。例えばバイオセンサ50の
電流値、暗証番号、測定時刻、pH、温度、メモ内容、
データ処理部52で算出された測定値、バイオセンサ5
0の交換時期、バイオセンサ50の較正時期、バイオセ
ンサ50の動作確認および誤作動の確認、異常電流値、
データ処理部52の演算部によって処理された電気化学
測定回路部51からの信号が、通信処理部58によって
測定器の外部に伝達される。伝達先は、通信回線等を通
じて接続されたサーバーやコンピュータ等である。な
お、伝達される情報は、設定により、適宜選択すること
ができるようになっている。
【0103】本実施形態の測定器を用いれば、在宅で糖
尿病患者自身が自分の尿糖を測定し、電話回線を通じて
測定結果を病院等の医療機関に送信することが可能にな
る。その結果、医療機関から食事管理や運動管理等の適
切なアドバイスを受けられ、在宅で糖尿病患者の病態管
理が可能になる。さらに、酵素電極の誤作動等のデータ
も送ることができるため、例えば製造メーカから装置の
修理や保全といったサービスも適宜受けることも可能に
なる。
【0104】(第10の実施の形態)本実施形態は、図
19の測定器に、更に印刷部59を具備した測定器の一
例を示すものである。以下、図20を参照して説明す
る。
【0105】本実施形態の測定器は、図20に示すよう
に、データ処理部52と印刷部59とが配線54で接続
された構成となっている。印刷部59は、感熱式、熱転
写式、ドットインパクト式、インクジェット式、レーザ
ビーム乾式であればよいが、特に限定されない。望まし
くは、低コストで構造の簡単な感熱式がよい。印刷部5
9と接続される配線54は、電線でなくとも、印刷部5
9を使用しないときの使用形態を考慮して、赤外線を用
いてもよい。印刷部59は、データ報知部53に表示さ
れるデータを印刷できればよいが、設定により、印刷す
るデータを限定することもできる。
【0106】本実施形態の測定器を用いれば、測定値等
のデータを紙に印刷して保存しておくことが可能になる
だけでなく、糖尿病患者が印刷機能を利用して測定結果
をプリントした用紙を病院に持っていき医師に結果を示
し、この測定結果を見た医師から適切なアドバイスを受
けることが可能になる。
【0107】(第11の実施の形態)本実施形態は、図
20の測定器に、更に外部記憶部55を具備した測定器
の一例を示すものである。以下、図21を参照して説明
する。
【0108】本実施形態の測定器は、図21に示すよう
に、データ処理部52と外部記憶部55とが配線54で
接続された構成となっている。外部記憶部55として
は、通常の記憶媒体を用いることができ、フロッピーデ
ィスク等の磁気記憶媒体や、メモリーカード等の半導体
記憶媒体、および光ディスク等の光記憶媒体が好ましく
用いられる。脱着が容易で、低価格で入手できるためで
ある。
【0109】本実施形態の測定器を用いれば、測定した
データを記憶媒体に保存することができるので、使用者
は、必要に応じて病院にこの記憶媒体を持参することが
できる。そして、病院の医師は記憶された測定データを
解析し、糖尿病患者等に適切な医療措置を施すことが可
能になる。また、大量の測定データを長期間保存するこ
とも可能になる。さらに、暗証番号によって管理するた
め、患者のプライバシーを守ることも可能になり、一台
の装置を複数人で使用することもできる。なお、記憶さ
せる内容は、設定により、適宜選択できるようになって
いる。
【0110】
【実施例】以下、実施例により本発明をより詳細に説明
する。
【0111】(実施例1)まず10mm×6mmの石英
基板上に、白金からなる作用極(面積7mm2)と対極
(面積4mm2)、銀/塩化銀からなる参照極(面積1
mm2)を形成した。次にこれを150mMの塩化ナト
リウムを含む6M尿素溶液中に浸漬し、参照極に対し作
用極に0.7V、10分間印加した。このようにして作
用極上に電極保護層となる尿素層を形成した。尿素層が
形成されていることの確認は、同様の処理を行った試料
について赤外吸収スペクトルを観測することにより行っ
た。その結果、3440、3340、1640、および
1470cm-1に尿素由来の赤外線吸収スペクトルが得
られた。尿素は白金に付着しやすいため、白金電極部分
にのみ選択的に形成されていた。
【0112】つづいて1v/v%のγ−アミノプロピルトリ
エトキシシラン溶液をスピンコートして結合層を形成し
た。その後、グルコース酸化酵素を含み、かつ1v/v%の
グルタルアルデヒドを含む22.5w/v%アルブミン溶液
をスピンコートして、固定化酵素層を形成し、酵素電極
を作製した。
【0113】比較として、尿素層を形成しなかったこと
以外は上記と同様にして酵素電極を形成した。
【0114】以上のようにして電極部(検出部)を形成
した2種類のグルコースセンサを、150mMの塩化ナ
トリウムを含むpH7のTES(エヌ・トリス(ハイド
ロキシメチル)・メチル・2−アミノエタンサルフォニ
ックアシッド)緩衝液中に浸漬して保存し、約20mg
/dlのグルコースを含むバイオラッド(株)社製の定
量用尿コントロール正常(ライフォチェック)中のグル
コースを5回乃至10回連続して測定した。図5に2種
のセンサのグルコースに対するセンサ出力を、初回の出
力値を100%としたときの相対出力値で示した。
【0115】その結果、尿素層なしのグルコースセンサ
は2回目の測定以降にセンサ出力が急激に低下し始め、
センサ出力は4回目で約52%まで低下した。一方、尿
素層有りのセンサでは、10回の繰り返し測定では安定
した出力を示した。尿素層有りのセンサが安定した出力
を示した理由は、同膜が定量用尿コントロール正常中の
汚染物質の電極への透過を実質的に完全に制限している
ためである。
【0116】(実施例2)まず10mm×6mmの石英
基板上に、白金からなる作用極(面積7mm2)と対極
(面積4mm2)、銀/塩化銀からなる参照極(面積1
mm2)を形成した。次にこれを150mMの塩化ナト
リウムを含む6M尿素溶液中に浸漬し、参照極に対し作
用極に0.7V、10分間印加した。このようにして作
用極上に尿素層を形成した。
【0117】つづいて1v/v%のγ−アミノプロピルトリ
エトキシシラン溶液をスピンコートして結合層を形成し
た。その後、5w/v%のパーフルオロカーボンスルホン酸
樹脂(ナフィオン)溶液をスピンコートして、イオン交
換樹脂層を形成した。
【0118】比較として、尿素層を形成しなかったこと
以外は上記と同様にして電極上に結合層、イオン交換樹
脂層を形成した。
【0119】以上のようにして電極部(検出部)を形成
した2種類のセンサを、150mMの塩化ナトリウムを
含むpH7のTES(エヌ・トリス(ハイドロキシメチ
ル)・メチル・2−アミノエタンサルフォニックアシッ
ド)緩衝液中に浸漬して保存し、100μMの過酸化水
素、50mg/dlのアスコルビン酸および8mg/d
lのアセトアミノフェンに対するセンサ出力を測定し
た。尿素層有りのセンサ出力を、尿素層無しセンサ出力
を100%としたときの相対出力値で示した(図6)。
【0120】その結果、尿素層を作用極表面に形成する
ことによって干渉物質であるアスコルビン酸およびアセ
トアミノフェンの透過が制限され、過酸化水素の選択透
過性が向上することがわかった。
【0121】(実施例3)まず10mm×6mmの石英
基板上に、白金からなる作用極(面積7mm2)と対極
(面積4mm2)、銀/塩化銀からなる参照極(面積1
mm2)を形成した。次にこれを150mMの塩化ナト
リウムを含む6M尿素溶液中に浸漬し、参照極に対し作
用極に0.7V、1、3、9、27分間印加した。すな
わち、印加時間を変えて作用極上に尿素層を形成した。
【0122】つづいて1v/v%のγ−アミノプロピルトリ
エトキシシラン溶液をスピンコートして結合層を形成し
た。その後、5w/v%のパーフルオロカーボンスルホン酸
樹脂(ナフィオン)溶液をスピンコートして、イオン交
換樹脂層を形成した。
【0123】比較として、尿素層を形成しなかったこと
以外は上記と同様にして電極上に結合層、イオン交換樹
脂層を形成した。
【0124】以上のようにして電極部(検出部)を形成
した2種類のセンサを、150mMの塩化ナトリウムを
含むpH7のTES(エヌ・トリス(ハイドロキシメチ
ル)・メチル・2−アミノエタンサルフォニックアシッ
ド)緩衝液中に浸漬して保存し、100μMの過酸化水
素、50mg/dlのアスコルビン酸および8mg/d
lのアセトアミノフェンに対するセンサ出力を測定し
た。各印加時間のセンサ出力を、尿素層無しセンサ出力
を100%としたときの相対出力値で示した(図7)。
【0125】その結果、6Mの尿素と150mMの塩化
ナトリウムを含む溶液中で3分間以上印加してセンサ表
面に尿素層を形成することによって、妨害物質であるア
スコルビン酸およびアセトアミノフェンの透過が効率よ
く制限され、過酸化水素の選択透過性が最も向上するこ
とが明らかになった。
【0126】(実施例4)まず10mm×6mmの石英
基板上に、白金からなる作用極(面積7mm2)と対極
(面積4mm2)、銀/塩化銀からなる参照極(面積1
mm2)を形成した。次にこれを150mMの塩化ナト
リウムを含む0.1mM、0.1、1、6M尿素溶液中に浸
漬し、参照極に対し作用極に700mV、10分間印加
して作用極上に尿素層を形成した。
【0127】つづいて1v/v%のγ−アミノプロピルトリ
エトキシシラン溶液をスピンコートして結合層を形成し
た。その後、5w/v%のパーフルオロカーボンスルホン酸
樹脂(ナフィオン)溶液をスピンコートして、イオン交
換樹脂層を形成した。
【0128】比較として、尿素層を形成しなかったこと
以外は上記と同様にして電極上に結合層、イオン交換樹
脂層を形成した。
【0129】以上のようにして電極部(検出部)を形成
した2種類のセンサを、150mMの塩化ナトリウムを
含むpH7のTES(エヌ・トリス(ハイドロキシメチ
ル)・メチル・2−アミノエタンサルフォニックアシッ
ド)緩衝液中に浸漬して保存し、100μMの過酸化水
素、50mg/dlのアスコルビン酸および8mg/d
lのアセトアミノフェンに対するセンサ出力を測定し
た。各センサ出力を、尿素層無しセンサ出力を100%
としたときの相対出力値で示した(図8)。
【0130】その結果、通電時間を10分間、印加電圧
を700mVとして、0.1mM以上の尿素溶液で処理
することによって、過酸化水素に対する良好な選択性が
得られることが明らかになった。
【0131】(実施例5)まず10mm×6mmの石英
基板上に、白金からなる作用極(面積7mm2)と対極
(面積4mm2)、銀/塩化銀からなる参照極(面積1
mm2)を形成した。次にこれを150mMの塩化ナト
リウムを含む6M尿素溶液中に浸漬し、参照極に対し作
用極に0.7V、10分間印加した。このようにして作
用極上に尿素層を形成した。尿素層が形成されているこ
との確認は、同様の処理を行った試料について赤外吸収
スペクトルを観測することにより行った。
【0132】つづいて1v/v%のγ−アミノプロピルトリ
エトキシシラン溶液をスピンコートして結合層を形成し
た後、5w/v%のパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂
(ナフィオン)溶液をスピンコートしてイオン交換樹脂
層を形成した。次に、グルコース酸化酵素を含み、かつ
1v/v%のグルタルアルデヒドを含む22.5w/v%アルブ
ミン溶液をスピンコートして、固定化酵素層を形成し
た。さらにその後、パーフルオロヘキサンを用いて0.
3重量%に調整したメタクリル酸樹脂のポリフルオロア
ルコールエステル溶液を順次スピンコートしてメタクリ
ル酸樹脂のポリフルオロアルコールエステルからなる制
限透過層を形成し、酵素電極を作製した。
【0133】比較として、尿素層を形成しなかったこと
以外は上記と同様にして酵素電極を形成した。
【0134】以上のようにして電極部(検出部)を形成
した2種類のセンサを、150mMの塩化ナトリウムを
含むpH7のTES(エヌ・トリス(ハイドロキシメチ
ル)・メチル・2−アミノエタンサルフォニックアシッ
ド)緩衝液中に浸漬して保存し、約302mg/dlの
グルコースを含むバイオラッド(株)社製の定量用尿コ
ントロール異常(ライフォチェック)中のグルコースを
4回乃至6回連続して測定した。図9に2種センサのグ
ルコースに対するセンサ出力を、初回の出力値を100
%としたときの相対出力値で示した。
【0135】その結果、尿素層なしのグルコースセンサ
は2回目の測定以降にセンサ出力が低下し始め、センサ
出力は4回目で約53%まで低下した。一方、尿素層有
りのセンサでは、6回の繰り返し測定では安定した出力
を示した。尿素層有りのセンサの出力が安定していた理
由としては、同膜が定量用尿コントロール異常中の汚染
物質の電極への透過を実質的に完全に制限しているため
である。
【0136】(実施例6)まず10mm×6mmの石英
基板上に、白金からなる作用極(面積7mm2)と対極
(面積4mm2)、銀/塩化銀からなる参照極(面積1
mm2)を形成した。次にこれを150mMの塩化ナト
リウムを含む6M尿素溶液中に浸漬し、参照極に対し作
用極に0.7V、10分間印加した。このようにして作
用極上に尿素層を形成した。
【0137】つづいて1v/v%のγ−アミノプロピルトリ
エトキシシラン溶液をスピンコートして結合層を形成し
た。その後、5w/v%のパーフルオロカーボンスルホン酸
樹脂(ナフィオン)溶液をスピンコートして、イオン交
換樹脂層を形成し、センサの検出部を作製した。
【0138】比較として、10mm×6mmの石英基板
上に、白金からなる作用極(面積7mm2)と対極(面
積4mm2)、銀/塩化銀からなる参照極(面積1m
2)を形成した後、1v/v%のγ−アミノプロピルトリ
エトキシシラン溶液、2w/v%のアセチルセルロース溶
液、5w/v%のパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂(ナ
フィオン)溶液を順次スピンコートして製膜し、センサ
の電極部を作製した。
【0139】以上のようにして電極部(検出部)を形成
した2種類のセンサを、150mMの塩化ナトリウムを
含むpH7のTES(エヌ・トリス(ハイドロキシメチ
ル)・メチル・2−アミノエタンサルフォニックアシッ
ド)緩衝液中に浸漬して保存し、100μMの過酸化水
素、50mg/dlのアスコルビン酸および8mg/d
lのアセトアミノフェンに対するセンサ出力を測定した
(図10)。
【0140】その結果、尿素層を設けたセンサでは、少
なくとも36日間は連続して過酸化水素を選択的に測定
することが可能であったが、アセチルセルロース層を設
けたセンサでは3日間しか測定することができず、4日
以降はセンサ破損のため測定不可能となった。アセチル
セルロース層を均一な厚さに製膜することが困難である
ため、使用中にアセチルセルロース層の剥離が発生し、
センサ自体が破損したものである。
【0141】(実施例7)本実施例は、図16の構成を
有する測定器の一例を示すものである。
【0142】本実施例に係る測定器のバイオセンサ部に
ついては、実施例1と同様にして作製した。すなわち、
10mm×6mmの石英基板上に、白金からなる作用極
(面積7mm2)と対極(面積4mm2)、銀/塩化銀か
らなる参照極(面積1mm2)を形成した後、白金電極
部分に尿素層を選択的に形成した。
【0143】以上のようにして電極部を形成したバイオ
センサを用い、図16に示す構成の測定器を作製した。
電極部分とフレキシブル基板はワイヤーボンディングで
結線し、フレキシブル基板と電気化学測定回路部はピン
ジャック型の電線を用いて接続した。
【0144】電気化学測定回路は、北斗電工社製のポテ
ンシオスタットHOKUTODENKOPOTENTIOSTAT/GALVANOSTATH
A150Gを使用した。データ処理装置は、日本電気(株)社
製のパーソナルコンピュータPC-9821RaII23を使用し
た。データ報知部53は、日本電気(株)社製のディスプ
レイPC-KP531を使用した。電気化学測定回路とデータ処
理装置とデータ報知部53とをピンジャック型の電線で
接続した。
【0145】続いて、本実施例の測定器の動作について
説明する。
【0146】使用者は、酵素電極を具備するバイオセン
サを150mMの塩化ナトリウムを含むpH7の1mMTES(エ
ヌ・トリス(ハイドロキシル)・メチル・2−アミノエ
タンサルフォニックアシッド)緩衝液中に浸漬し、次い
で装置の電源を入れた。すると、データ報知部に[時刻
を設定します。現在の時刻を入力して下さい。]と表示
された。この表示に基づいて使用者がキーを操作して現
在の時刻を入力すると、データ報知部に[現在の時刻が
入力されました。]と表示された。正確に時刻が入力さ
れないと、再度[時刻を設定します。現在の時刻を入力
して下さい。]と表示されるようになっている。こうし
て、入力された現在の時刻はデータ処理部内に保存され
る。
【0147】次に、データ報知部に[準備中です。しば
らくお待ち下さい。]と表示された。酵素電極から送ら
れてくる電流値が安定すると、データ報知部に[較正を
行います。電極を較正液に浸漬して下さい。]と表示さ
れた。この表示に基づいて、使用者は、バイオセンサを
200mg/dlグルコースの較正液に浸漬して較正を行った。
すると、データ報知部に[較正が正常に完了しました。
洗浄後、緩衝液に戻して下さい。]と表示された。正常
に較正されたか否かはデータ処理部が判断し、その結果
がデータ報知部に表示されるようになっている。較正が
正常に行われなかった場合は、[較正できません。電極
を洗浄し、再度、較正液に浸漬して下さい。]もしくは
[電極が壊れています。交換して下さい。]というメッ
セージが表示される。較正終了後、使用者は酵素電極を
緩衝液に浸漬し、測定の準備を整えた。較正が終了して
から10秒間以上、電極が緩衝液に戻されない場合に
は、警告音が発生するようになっている。
【0148】つづいて使用者は、データ報知部に表示さ
れた[測定開始]の項目を選択した。するとデータ報知
部には、[測定を開始します。電極を尿に浸漬して下さ
い。]というメッセージが表示された。この表示に基づ
いて使用者は、電極を尿に浸漬して測定を開始した。測
定を開始してから10秒後、データ報知部に[測定が正
常に完了しました。尿糖値は○○mg/dlです。]と表示
された。正常に測定が行われたか否かはデータ処理部が
判断し、その結果がデータ報知部に表示されるようにな
っている。較正が正常に行われなかった場合は、[測定
できません。電極を洗浄し、再度、尿に浸漬して下さ
い。]もしくは[電極が壊れています。交換して下さ
い。]というメッセージがデータ報知部に表示される。
【0149】測定完了後、データ報知部に[電極を洗浄
し、緩衝液に戻して下さい。]と表示された。測定終了
後10秒間以上電極が緩衝液に戻されない場合には、警
告音が発生するようになっている。その後、使用者はデ
ータ報知部の[測定終了]の項目を選択し、測定を終了
した。
【0150】本実施例の測定器は、測定すべき時刻を予
め設定しておくこともできる。設定した時刻になると、
報知音が発生するとともに、データ報知部に[測定を開
始します。電極を尿に浸漬して下さい。]というメッセ
ージが表示される。設定時刻は任意に設定でき、複数の
時刻を設定できるようになっている。
【0151】本実施例の測定器におけるデータ処理部へ
の入力に際しては、入力が受け入れられた場合と、入力
が受け入れられない場合に、報知音が発せられるように
なっている。報知音ではなく報知光を発するようにして
もよい。また、酵素電極、電気化学測定回路、データ処
理装置および電線間に異常電流が生じると、異常電流報
知手段によって[異常電流が検出されました。]とデー
タ報知部に表示される。この表示によって、装置の破損
を防ぐことができる。
【0152】さらに、バイオセンサ、電気化学測定回
路、データ処理装置は、いずれもピンジャック型の電線
で接続されているため、これらの間において脱着が容易
であり、必要に応じて交換が可能である。
【0153】以上のように本実施例の測定器を用いれ
ば、規則正しい時刻に測定を行うことができ、さらに操
作ミスが発生することなく、誰にでも簡単に扱うことが
可能になる。
【0154】(実施例8)本実施例は、図18に示す構
成を有する測定器の一例を示すものである。この測定器
は、実施例7の測定器に対し、さらに、pHセンサおよ
び温度センサを付加したものとなっている。
【0155】温度センサおよびpHセンサとして、それ
ぞれ熱電対方式の温度センサとイオン感応性電界効果型
トランジスター方式のpHセンサを用いた。pHセン
サ、温度センサ、電気化学測定回路、データ処理装置、
およびデータ報知部は、それぞれ電線により接続した。
【0156】以下、本実施例の測定器の動作について説
明する。
【0157】使用者はまず酵素電極を150mMの塩化ナト
リウムを含むpH7の1mMTES(エヌ・トリス(ハイドロ
キシル)・メチル・2−アミノエタンサルフォニックア
シッド)緩衝液中に浸漬してから装置の電源を入れた。
約1分後、酵素電極のベース電流値が安定化した。この
状態で酵素電極を200mg/dlグルコース標準液に浸漬し、
酵素電極の較正を行った。このグルコース標準液は、p
H指示薬も含まれているため、同時にpHセンサの較正
も同時に行うことができる。なお、電極の交換時を除
き、酵素電極が接続された状態で装置の電源は切られな
いようになっている。
【0158】つづいて使用者はデータ報知部に表示され
た[測定開始]の項目を選択した。すると[測定を開始
します。電極を尿に浸漬して下さい。]というメッセー
ジがデータ報知部に表示された。
【0159】この表示に基づいて使用者は、被験者とし
て2人の糖尿病患者の尿糖を続けて一回づつ測定した。
なお、測定の際にメモ登録手段を利用して、被験者の血
圧と体温を同時に入力した。その結果、1人目の患者が
酵素電極を尿中に浸漬して10秒後に、データ報知部に
[測定が正常に完了しました。尿糖値は80mg/dlで
す。]と表示され、同時に音声で[測定が正常に完了し
ました。尿糖値は80mg/dlです。]と表示された。続い
て約20秒後、2人目の患者が酵素電極を尿中に浸漬し
て10秒後に、データ報知部に[測定が正常に完了しま
した。尿糖値は180mg/dlです。]と表示され、同時に音
声で[測定が正常に完了しました。尿糖値は180mg/dlで
す。]と表示された。この時に既存の臨床検査装置(日
立自動分析装置7050、グルコースデヒドロゲナーゼ法)
との測定値の比較を行った結果、測定値はほぼ一致し、
高い相関を示した。
【0160】このように本実施例の測定器を用いること
により、2人の尿糖を連続測定することができた。ま
た、視力の衰えた人でも確実に自分の尿糖値を知ること
が可能であった。さらにメモ登録手段を利用して入力し
ておいた体温と血圧を呼び出し、尿糖値と比較すること
が可能になり、詳細な病態管理が可能になった。また、
得られた測定値に対して温度補正とpH補正を行ったた
め、既存の臨床検査装置に匹敵する高い測定精度の測定
を行うことができた。
【0161】(実施例9)本実施例は、図19に示す構
成を有する測定器の一例を示すものである。この測定器
は、実施例8の測定器に対し、さらに、通信処理部58
を付加したものとなっている。
【0162】通信処理部58は、日本電気(株)社製のモ
デム・ターミナルアダプタPC-IT65S1Pを使用した。pH
センサ、温度センサ、電気化学測定回路、データ処理装
置、データ報知部、通信処理部の各部は、いずれも電線
により接続した。
【0163】この装置を用いて、1人の糖尿病患者の尿
糖を30日間、毎日2回(朝食後、夕食後、それぞれ2
時間後)連続して測定し、測定後のデータを電話回線を
利用して逐一、病院に送信した。
【0164】その結果、患者は尿糖の測定時間を遵守
し、病院は送られた尿糖値をもとにグラフ化して解析
し、適宜患者の病態管理を行うことができた。
【0165】(実施例10)本実施例は、図20に示す
構成を有する測定器の一例を示すものである。この測定
器は、実施例9の測定器に対し、さらに、印刷部59を
付加したものとなっている。印刷部59としては、日本
電気(株)社製のレーザープリンタMultiwriter2000Xを使
用した。データ処理装置と印刷部はプリンタケーブルPC
-CA202で接続した。以下、本実施例の測定器を用いて測
定を行った結果について説明する。
【0166】この装置を用いて、100人の糖尿病患者
の尿糖を連続して測定した。較正は装置を立ち上げたと
きに一回のみ行った。同じ試料について既存の臨床検査
装置を用いた測定も行い、本実施例の測定器および既存
の臨床検査装置(日立自動分析装置7050、グルコースデ
ヒドロゲナーゼ法)の測定結果の比較を行った。その結
果、相関係数は0.96、回帰式はY=1.09X+8
8となった。本実施例の測定器によれば、臨床検査装置
と同等の測定精度が得られることが明らかになった。ま
た、本実施例の測定器を用いた場合の測定時間は、1サ
ンプル当たり90秒程度であり、迅速な測定が可能であ
った。さらに本実施例の測定器は、印刷部59を具備し
ているため、測定結果が速やかに印刷され、確認を行う
ことができた。患者は、測定値の印刷されたものを病院
に持ち込み、医師からのアドバイスを受けることもでき
た。
【0167】(実施例11)本実施例は、図21に示す
構成を有する測定器の一例を示すものである。この測定
器は、実施例10の測定器に対し、さらに、外部記憶部
55を付加したものとなっている。外部記憶部として、
日本電気(株)社製の3.5インチ光ディスクユニットPC
-OD302Rを使用した。外部記憶装置とデータ処理部と
は、電線により接続した。以下、本実施例の測定器の動
作について説明する。
【0168】使用者はまず酵素電極を150mMの塩化ナト
リウムを含むpH7の1mMTES(エヌ・トリス(ハイドロ
キシル)・メチル・2−アミノエタンサルフォニックア
シッド)緩衝液中に浸漬してから装置の電源を入れた。
約1分後、酵素電極のベース電流値が安定化した。この
状態で酵素電極を200mg/dlグルコース標準液に浸漬し、
酵素電極の較正を行った。
【0169】つづいて使用者は、データ報知部に表示さ
れた[測定人数の入力]の項目を選択し、[測定人数を
入力して下さい。]と表示させた。この表示に基づいて
使用者が測定する人数を入力すると、データ報知部に
[○人の測定を行います。(はい、Y/いいえ、N)]と
表示された。[はい、Y]が選択されると、[○人の測
定が可能です。]と表示された。[いいえ、N]であれ
ば、再度、[測定人数入力して下さい。]と表示され、
[はい、Y]が選択されるまで上記手順が繰り返され
る。
【0170】次に使用者は、データ報知部に表示された
[暗証番号]の項目を選択し、次いで[暗証番号の登
録]を選択した。データ処理部は暗唱番号入力ボタンが
押されたことを認識して、データ報知部に[暗唱番号を
登録します。4桁の番号を入力して下さい。]と表示さ
せる。この表示に基づいて使用者がキーを操作して4桁
の番号を入力すると、データ報知部に[同じ暗証番号を
入力して下さい。]と表示された。使用者が再度同じ番
号を入力すると、[暗証番号を受け付けました。]と表
示された。暗証番号の登録は測定人分登録される。こう
して、登録した暗証番号はデータ処理部内のメモリに保
存される。
【0171】次に、データ報知部に[測定を開始しま
す。暗証番号を入力してから、電極を尿に浸漬して下さ
い。]と表示された。この表示に基づいて使用者は、暗
証番号を入力してから、電極を尿に浸漬して測定を開始
した。すると、データ報知部に[測定が正常に完了しま
した。尿糖値は○○mg/dlです。]と表示された。測定
が正常に行われなかった場合には、[測定できません。
電極を洗浄し、再度、尿に浸漬して下さい。]もしくは
[電極が壊れています。交換して下さい。]と表示され
るようになっている。また、正しい暗証番号が入力され
ないと、再度[測定を開始します。暗証番号を入力して
から、電極を尿に浸漬して下さい。]と表示される。ま
た、3回連続して暗証番号が一致しないと、前回までの
測定データはすべて消去され、初期設定に戻るようにな
っている。
【0172】測定が正常に完了した後、データ報知部に
[電極を洗浄し、緩衝液に戻して下さい。]と表示され
た。
【0173】次に使用者はデータ報知部の[メモ登録]
を選択し、[メモを登録しますか。(はい、Y/いい
え、N)]と表示させた。[Y]を選択すると、[暗証番
号を入力して下さい]と表示された。暗証番号を入力し
てから、メモ内容を入力すると、データ報知部に[メモ
を登録しますか。(はい、Y/いいえ、N)]と表示され
た。[Y]を入力し、メモを入力すると、再度[メモを
登録しますか。(はい、Y/いいえ、N)]と表示され
た。使用者は[Y]を入力し、メモの登録を行った。こ
れらの入力をやめるときには[N]を入力すればよい。
また、登録したメモを呼び出したり、修正したり、消去
するときには、[暗証番号を入力後、メモ番号を指定し
て下さい。]と表示される。この表示に基づいて使用者
は暗証番号を入力すると、メモを呼び出したり、修正し
たり、消去することができる。暗証番号が正しく入力さ
れない場合には[暗証番号が一致しません。再度暗証番
号を入力して下さい。]と表示される。3回連続して暗
証番号が一致しないと、前回までのメモ内容はすべて消
去され、初期設定にもどる。
【0174】次に、本実施例の測定器を用いて測定を行
った結果について説明する。本実施例の測定器を用い
て、2人の糖尿病患者の尿糖を1日2回、一週間、繰り
返して測定した。較正は装置を立ち上げたときに一回の
み行った。同じ試料について既存の臨床検査装置(日立
自動分析装置7050、グルコースデヒドロゲナーゼ法)を
用いた測定も行い、本実施例の測定器および既存の臨床
検査装置の測定結果の比較を行った。その結果、相関係
数は0.955(n=28)となった。本実施例の測定器に
よれば、臨床検査装置と同等の測定精度が得られること
が明らかになった。また、メモ機能を利用して患者名を
入力していたため、測定値のデータを取り違えることも
無く、さらに、暗証番号で管理されているため、測定時
のプライバシーを守ることも可能であった。また、測定
データを棒グラフで表示することもできた。さらに、デ
ータが記憶されている光ディスクは、携帯可能であるた
め、別のパソコンでデータの管理を行ったり、データの
解析を行うこともできた。
【0175】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の酵素電極
およびバイオセンサは、作用極として機能する電極の少
なくとも一部を、尿素化合物を主成分とする電極保護層
により被覆されている。このため、高濃度の尿素等の汚
染物質を含有する測定試料中の特定成分を精度良く測定
することができる。電極保護層により、測定試料中に含
まれる尿素等の汚染物質の電極への透過が制限されるた
めである。また、上記電極保護層は、干渉物質であるア
スコルビン酸やアセトアミノフェン等の透過を制限する
機能を有するため、過酸化水素等の測定対象物の選択透
過性を高めることができる。
【0176】このため、本発明の酵素電極およびバイオ
センサは、尿素化合物によるセンサ出力の経時低下、お
よび干渉物質によるセンサ出力の増加が抑制され、安定
した出力が得られる。さらに、選択透過性の改善により
従来よりも高感度のセンサが得られる。
【0177】また、本発明における電極保護層は、電極
やγ−アミノプロピルトリエトキシシランからなる結合
層との密着性が高いため、センサ自体の強度が向上す
る。このためセンサの使用寿命が延びる。
【0178】また、本発明の酵素電極を対極および参照
極と一緒に絶縁基板上に組み込んだ構成のバイオセンサ
とすることにより、センサの小型化を図ることができ
る。これにより携帯性等に優れたセンサを得ることがで
きる。
【0179】また、本発明のバイオセンサを、尿中のグ
ルコース(尿糖)を測定する尿糖センサとして用いれ
ば、従来のセンサでは不可能であった、尿糖値が正常範
囲内にある人や、糖尿病予備軍に該当する人の尿糖を測
定することが可能となり、糖尿病の予防に役立つデータ
収集が可能となる。また、尿に大量に含まれる尿素、ビ
タミンC、アセトアミノフェンが測定値に与える影響を
有効に排除できる。
【0180】また、本発明の測定器は、特定構造の作用
極を具備するバイオセンサを有しているため、長期安定
性に優れ、高感度の測定が可能となる。その上、操作方
法が簡便であり、装置に不慣れな人でも簡単に取り扱う
ことができるという利点が得られる。
【0181】また、本発明の酵素電極の製造方法は、電
解法を用いるため、尿素化合物層を個々の電極上に選択
的に形成することができる。したがって、尿素化合物層
形成とパターン化を同時に達成することができる。この
ため製造工程が簡単であり、大量生産も容易である。さ
らに、電極のサイズや形状によらず尿素化合物層を形成
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の酵素電極の断面図である。
【図2】本発明の酵素電極の断面図である。
【図3】本発明の酵素電極の断面図である。
【図4】本発明の酵素電極の断面図である。
【図5】本発明のバイオセンサの安定性を示す図であ
る。
【図6】本発明のバイオセンサの選択透過性を示す図で
ある。
【図7】本発明のバイオセンサの選択透過性を示す図で
ある。
【図8】本発明のバイオセンサの選択透過性を示す図で
ある。
【図9】本発明のバイオセンサの安定性を示す図であ
る。
【図10】本発明のバイオセンサの安定性を示す図であ
る。
【図11】従来の酵素電極の断面図である。
【図12】従来の酵素電極の断面図である。
【図13】本発明のバイオセンサの概略図である。
【図14】本発明のバイオセンサの構成の一例を示す図
である。
【図15】本発明の測定器のセンサ部分の一例を示す図
である。
【図16】本発明の測定器の構成の一例を示す図であ
る。
【図17】本発明の測定器に含まれるデータ処理部の構
成の一例を示す図である。
【図18】本発明の測定器の構成の一例を示す図であ
る。
【図19】本発明の測定器の構成の一例を示す図であ
る。
【図20】本発明の測定器の構成の一例を示す図であ
る。
【図21】本発明の測定器の構成の一例を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 絶縁基板 2 電極 3 結合層 4 固定化酵素層 5 電極保護層 6 イオン交換樹脂層 7 制限透過層 8 作用極 9 対極 10 参照極 11 絶縁基板 12 電極 13 γ−アミノプロピルトリエトキシシラン膜 14 アセチルセルロース膜 15 パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂膜 16 固定化酵素層 17 ポリアルキルシロキサン膜 20 保護層 22 プラスチックフィルム 23 作用極 23a 作用極感応部 24 対照電極 24a 対照電極感応部 25 絶縁性保護膜 29 固定化酵素膜 29a ナフィオン膜 29b 酵素層 29c ポリウレタン層 50 バイオセンサ 51 電気化学測定回路部 52 データ処理部 53 データ報知部 54 配線 55 外部記憶部 56 温度センサ 57 pHセンサ 58 通信処理部 60 計時手段 61 時刻設定手段 62 時刻報知手段 63 操作説明手段 64 測定値記憶手段 65 暗証番号登録手段 66 メモ登録手段 67 動作報知手段 68 較正時期報知手段 69 電極交換時期報知手段 70 異常電流値報知手段 71 電極較正手段

Claims (34)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁基板上に設けられた電極と、尿素化
    合物を含み前記電極の少なくとも一部を被覆する電極保
    護層と、前記電極および前記電極保護層を覆うように形
    成された固定化酵素層とを有することを特徴とする酵素
    電極。
  2. 【請求項2】 前記尿素化合物が、尿素またはチオ尿素
    であることを特徴とする請求項1に記載の酵素電極。
  3. 【請求項3】 前記電極は白金電極であることを特徴と
    する請求項1または2に記載の酵素電極。
  4. 【請求項4】 前記電極保護層は、支持電解質と尿素化
    合物を含む混合溶液中に前記電極を備えた前記絶縁基板
    を浸漬し通電することにより形成された層であることを
    特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の酵素電極。
  5. 【請求項5】 前記混合溶液は、0.1mM〜6.7M
    の尿素を含み、0.1mM〜2Mの塩化ナトリウムを含
    むことを特徴とする請求項4に記載の酵素電極。
  6. 【請求項6】 前記電極保護層と前記固定化酵素層との
    間に、シランカップリング剤から主としてなる結合層を
    有することを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載
    の酵素電極。
  7. 【請求項7】 前記シランカップリング剤は、γ−アミ
    ノプロピルトリエトキシシランであることを特徴とする
    請求項6に記載の酵素電極。
  8. 【請求項8】 前記電極保護層と前記固定化酵素層との
    間に、パーフルオロカーボン骨格を有するイオン交換樹
    脂から主としてなるイオン交換樹脂層を有することを特
    徴とする請求項1乃至7いずれかに記載の酵素電極。
  9. 【請求項9】 前記固定化酵素層の上に、フッ素を含ま
    ないビニル系重合体に対し、少なくともフルオロアルキ
    レンブロックを含有するペンダント基が結合したポリマ
    ーから主としてなる制限透過層を有することを特徴とす
    る請求項1乃至8いずれかに記載の酵素電極。
  10. 【請求項10】 前記ポリマーが、ポリカルボン酸のフ
    ルオロアルコールエステルであることを特徴とする請求
    項9いずれかに記載の酵素電極。
  11. 【請求項11】 請求項1乃至10いずれかに記載の酵
    素電極を作用極として用いたことを特徴とするバイオセ
    ンサ。
  12. 【請求項12】 前記絶縁基板上に、さらに対極と参照
    極とを備えたことを特徴とする請求項11に記載のバイ
    オセンサ。
  13. 【請求項13】 前記酵素電極および前記対極が白金電
    極であり、前記参照極が銀/塩化銀電極であることを特
    徴とする請求項12に記載のバイオセンサ。
  14. 【請求項14】 尿中のグルコースの測定に使用される
    ことを特徴とする請求項11乃至13いずれかに記載の
    バイオセンサ。
  15. 【請求項15】 請求項11乃至14いずれかに記載の
    バイオセンサと、該バイオセンサから得られた電気信号
    を報知するデータ報知部とを有してなることを特徴とす
    る測定器。
  16. 【請求項16】 請求項11乃至14いずれかに記載の
    バイオセンサと、該バイオセンサから電気信号を得る電
    気化学測定回路部と、該電気信号をもとに測定値を算出
    するデータ処理部と、該測定値を報知するデータ報知部
    とを有してなることを特徴とする測定器。
  17. 【請求項17】 前記データ処理部は、(a)計時手
    段、(b)測定時刻を設定する時刻設定手段および該時
    刻設定手段で設定した時刻になったことを報知する時刻
    報知手段、(c)測定器の操作方法を説明する操作説明
    手段、(d)算出した測定値を記憶する測定値記憶手
    段、(e)測定器の使用者の暗証番号を登録する暗証番
    号登録手段、(f)メモを登録するメモ登録手段、
    (g)測定器の誤作動を検出する動作報知手段、(h)
    前記酵素電極の較正時期を検出し報知する較正時期報知
    手段、(i)前記酵素電極の交換時期を検出し報知する
    電極交換時期報知手段、(j)異常電流値を検出し報知
    する異常電流値報知手段、および(k)前記酵素電極の
    較正を行う電極較正手段のうち、一部または全部を含む
    ことを特徴とする請求項16に記載の測定器。
  18. 【請求項18】 前記データ報知部は、前記データ処理
    部により算出された測定値のほか、さらに、(a)〜
    (k)のうち一または二以上の手段により得られた処理
    結果を報知することを特徴とする請求項17に記載の測
    定器。
  19. 【請求項19】 前記時刻設定手段で設定できる時刻が
    複数であることを特徴とする請求項17または18に記
    載の測定器。
  20. 【請求項20】 前記暗証番号登録手段は複数の暗証番
    号を登録できることを特徴とする請求項17乃至19い
    ずれかに記載の測定器。
  21. 【請求項21】 前記測定値記憶手段は複数の測定値を
    記憶できることを特徴とする請求項17乃至20いずれ
    かに記載の測定器。
  22. 【請求項22】 前記メモ登録手段は、予め登録したメ
    モ群を呼び出すメモ項目手段と、呼び出したメモ群から
    登録したいメモ項目を選択するメモ選択手段と、メモ選
    択手段で選択したメモを呼び出すメモ呼び出し手段とを
    備え、登録できるメモが複数であることを特徴とする請
    求項17乃至21いずれかに記載の測定器。
  23. 【請求項23】 温度センサをさらに有し、該温度セン
    サで測定された、測定試料または測定環境の温度を用い
    て、前記測定値が補正されることを特徴とする請求項1
    7乃至22いずれかに記載の測定器。
  24. 【請求項24】 pHセンサをさらに有し、該pHセン
    サで測定された測定試料のpH値を用いて前記測定値が
    補正されることを特徴とする請求項17乃至23いずれ
    かに記載の測定器。
  25. 【請求項25】 前記データ処理部に接続された通信処
    理部をさらに有し、該通信処理部により、前記データ処
    理部で得られたデータが、測定器の外部に転送されるこ
    とを特徴とする請求項17乃至24いずれかに記載の測
    定器。
  26. 【請求項26】 前記データ処理部に接続された印刷部
    をさらに有し、該印刷部により、前記データ処理部で得
    られたデータが印刷されることを特徴とする請求項17
    乃至25いずれかに記載の測定器。
  27. 【請求項27】 前記データ処理部に接続された外部記
    憶部をさらに有し、該外部記憶部により、前記データ処
    理部で得られたデータが保存されることを特徴とする請
    求項17乃至26いずれかに記載の測定器。
  28. 【請求項28】 前記外部記憶部は、脱着可能な記憶媒
    体を利用するものであることを特徴とする請求項27に
    記載の測定器。
  29. 【請求項29】 前記記憶媒体が、半導体記憶媒体、磁
    気記憶媒体、または光学的記憶媒体であることを特徴と
    する請求項28に記載の測定器。
  30. 【請求項30】 前記データ報知部の報知方法が、デジ
    タル数値、アナログ数値、図形、音声、音、振動、熱、
    または光であることを特徴とする請求項15乃至29い
    ずれかに記載の測定器。
  31. 【請求項31】 前記バイオセンサが着脱自在に設けら
    れたことを特徴とする請求項15乃至30いずれかに記
    載の記載の測定器。
  32. 【請求項32】 絶縁基板の表面に電極を形成する工程
    と、該工程の後、該絶縁基板を支持電解質と尿素化合物
    を含む混合溶液中に浸漬した状態で通電し、前記電極の
    少なくとも一部を尿素化合物を含む電極保護層で被覆す
    る工程とを含むことを特徴とする酵素電極の製造方法。
  33. 【請求項33】 前記支持電解質が塩化ナトリウムであ
    ることを特徴とする請求項32に記載の酵素電極の製造
    方法。
  34. 【請求項34】 前記混合溶液は、0.1mM〜6.7
    Mの尿素を含み、0.1mM〜2Mの塩化ナトリウムを
    含むことを特徴とする請求項33に記載の酵素電極の製
    造方法。
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