JP3211559B2 - コアレストルクコンバータ - Google Patents

コアレストルクコンバータ

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JP3211559B2
JP3211559B2 JP10712494A JP10712494A JP3211559B2 JP 3211559 B2 JP3211559 B2 JP 3211559B2 JP 10712494 A JP10712494 A JP 10712494A JP 10712494 A JP10712494 A JP 10712494A JP 3211559 B2 JP3211559 B2 JP 3211559B2
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stator
torque converter
rectifying ring
torque
flow
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治郎 熊田
賢明 久保
徳貴 臼井
克彦 岡田
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Nissan Motor Co Ltd
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Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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  • Control Of Fluid Gearings (AREA)
  • Structures Of Non-Positive Displacement Pumps (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各翼が集合している部
分にコアを持たないコアレストルクコンバータに関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、コアレストルクコンバータとして
は、例えば、実開平1−128055号公報に記載のも
のが知られている。
【0003】上記従来出典には、作動流体の流れが偏ら
ないように整流することで、出力トルクの変動防止とト
ルク伝達効率を高める目的で、ステータの外周中央部に
線状あるいは帯状の部材からなる整流リングを設けたコ
アレストルクコンバータが示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のコアレストルクコンバータにあっては、ステータの
外周位置に整流リングを設けてあるもののその設定位置
が外周中央位置であるため、循環流量の多い低速度比域
において、トルクコンバータ中心部の流れをステータに
流入させる作用や回転軸方向に流出させる作用が十分で
なく、ステータに加わる流体力が小さくなることでトル
ク比が低下し、併せて、ステータ出口での流体の転向が
充分になされないまま、インペラへ流入することにより
インペラトルクが増大すると共に、ステータへの流体の
流入量が少ないことでステータでの流れの損失が小さ
く、トルク容量が過大となってしまうという問題があっ
た。
【0005】つまり、コアレストルクコンバータは、同
一サイズのコアを有するトルクコンバータに比べ、循環
流量の増大が図れることで、トルク容量を大きくでき、
燃費の向上を図ることができる特性を持つものであり、
高速度比域ではこの特性が燃費の向上が図れる点で好ま
しいが、低速度比域でトルク容量が過大となると、トル
ク比が低下し、発進性能を犠牲にしてしまう。
【0006】尚、トルク比tは、t=T2/T1=1+
T3/T1(T1:インペラトルク、T2:タービント
ルク、T3:ステータトルク)であらわされ、インペラ
トルクT1が大きくなるか、又はステータトルクT3が
小さくなるとトルク比tは逆に小さくなってしまう関係
にある。
【0007】本発明は、上記課題に着目してなされたも
ので、第1の目的とするところは、各翼が集合している
部分にコアを持たないコアレストルクコンバータにおい
て、低コストでのトルクコンバータ系列化を達成しなが
ら、低速度比域での発進性能確保と高速度比域での燃費
向上との両立を図ることにある。
【0008】第2の目的は、第1の目的の低速度比域で
の発進性能確保と高速度比域での燃費向上との両立を高
レベルで図ることにある。
【0009】第3の目的は、トルクコンバータ性能への
影響を及ぼすことなく、ステータ及び整流リングの強度
を向上させると共に、生産性を向上させることにある。
【0010】第4の目的は、各翼が集合している部分に
コアを持たないコアレストルクコンバータにおいて、整
流リングが設けられる翼の強度向上を図りながら、低速
度比域での発進性能確保と高速度比域での燃費向上との
両立を高レベルで図ることにある。
【0011】第5の目的は、上記目的に加え、インペラ
流路断面積の急変に伴う損失を小さく抑えてトルク比及
び効率の向上を達成する整流リングを提供することにあ
る。
【0012】上記第1の目的を達成するため第1発明の
コアレストルクコンバータでは、ポンプインペラとター
ビンランナとステータとを持ち、これらの各翼が集合し
ている部分にコアを持たないコアレストルクコンバータ
において、前記ステータ外周部の一部であって出口側の
みに、トルクコンバータ中心部の流れをステータに流入
させる整流リングを設けたことを特徴とする。
【0013】上記第2の目的を達成するため第2発明の
コアレストルクコンバータでは、請求項1記載のコアレ
ストルクコンバータにおいて、前記整流リングに傾斜を
持たせ、この傾斜角はトルクコンバータ中心部の流れを
漏れなく有効にステータに流入させる角度に設定したこ
とを特徴とする。
【0014】上記第3の目的を達成するため第3発明の
コアレストルクコンバータでは、請求項1または請求項
2記載のコアレストルクコンバータにおいて、前記ステ
ータの出口外周部に傾斜を持たせた整流リングを設け、
この整流リングの傾斜内面とステータ翼の外周端面とが
鋭角に交差する隅部に、傾斜内面と外周端面の両面を滑
らかな曲面により接続する隅R部を設定したことを特徴
とする。
【0015】上記第4の目的を達成するため第4発明の
コアレストルクコンバータでは、ポンプインペラとター
ビンランナとステータとを持ち、これらの各翼が集合し
ている部分にコアを持たないコアレストルクコンバータ
において、前記ポンプインペラとタービンランナの少な
くとも一方に、ステータの出口外周部に向かうと共にト
ルクコンバータ中心部の流れをステータに流入させる傾
斜角を持つ整流リングを設けたことを特徴とする。
【0016】上記第5の目的を達成するため第5発明の
コアレストルクコンバータでは、請求項1〜請求項4記
載のコアレストルクコンバータにおいて、前記整流リン
グを、そのポンプインペラ側の面がトーラス断面上でイ
ンペラシェルと同じ方向に膨らんだ曲面部を有する形状
を持つ整流リングとしたことを特徴とする。
【0017】
【作用】第1発明の作用を説明する。
【0018】低速度比域では、トーラス中心部の流れが
整流リングによりステータに導かれ、かつ、ステータ出
口からトーラス中心に向かう漏れがなくなり、トーラス
中心部の流れが有効に生かされ、ステータに加わる流体
力が増すことになり、ステータによるトルク増大作用が
充分に発揮され、トルク比が上昇する。一方、ステータ
出口での流体の転向が充分になされることでインペラト
ルクが減少すると共に、ステータから漏れる流体量が減
少することで流れの損失が大きくなり、トルク容量が低
下する。
【0019】高速度比域では、トーラス中心部の流れが
少ないため、整流リングの有無が循環流量に与える影響
が小さく、高速度比域でのトルク容量は整流リング無し
と同レベルで確保される。
【0020】したがって、低速度比域でのトルク比向上
による発進性能確保と高速度比域でのトルク容量確保に
よる燃費向上との両立が図られる。
【0021】しかも、トルク容量を調整する特性を持つ
整流リングはステータに設けられているため、ステータ
の型式変更のみにより低コストでトルクコンバータの系
列化(同じシェル形状で容量の異なった、またはトルク
比の異なったトルクコンバータを実現すること。)を達
成することができる。
【0022】第2発明の作用を説明する。
【0023】第2発明では、整流リングに傾斜を持た
せ、この傾斜角はトルクコンバータ中心部の流れを漏れ
なく有効にステータに流入させる角度に設定したため、
ステータに加わる流体力が増す作用及びトルク容量が低
下させる作用がより一層高められることになり、低速度
比域での発進性能確保と高速度比域での燃費向上との両
立が高レベルで図られる。
【0024】第3発明の作用を説明する。
【0025】第3発明では、隅R部を設定する部位が、
傾斜を持たせた整流リングの傾斜内面とステータ翼の外
周端面とが鋭角に交差する隅部であり、この隅部はステ
ータ翼の上にあり、しかも、ステータ翼の外周端面との
接触部のみであることで、ステータでの流体の流れに何
ら影響及ぼさず、上記トルクコンバータ性能がそのまま
確保される。
【0026】また、設定される隅R部は、傾斜内面と外
周端面の両面を滑らかな曲面により接続するものである
ため、ステータや整流リングに流体力等が加わった場
合、この力がステータと整流リングとの接続部に集中し
てきても最大応力を低くするように隅R部で力の分散が
なされる。よって、隅R部を設定しない場合に比べ、ス
テータと整流リングの強度が向上する。
【0027】さらに、ステータの製造にあたって、隅R
部が設定されていることにより成形型に溶融樹脂や溶融
金属がスムーズに流れ込むため、ステータと整流リング
とを一体に型成形にて製造することができる。よって、
ステータと整流リングとを別体でそれぞれ製造し、これ
を溶接等により一体化する場合に比べ、生産性が向上す
る。
【0028】第4発明の作用を説明する。
【0029】第4発明では、ポンプインペラとタービン
ランナの少なくとも一方に、ステータの出口外周部に向
かうと共にトルクコンバータ中心部の流れをステータに
流入させる傾斜角を持つ整流リングを設けたため、この
整流リングによりトルクコンバータの系列化を除き、第
1発明及び第2発明と同様な作用を示し、低速度比域で
の発進性能確保と高速度比域での燃費向上との両立が高
レベルで図られる。
【0030】第5発明の作用を説明する。
【0031】第5発明では、整流リングを、そのポンプ
インペラ側の面がトーラス断面上でインペラシェルと同
じ方向に膨らんだ曲面部を有する形状を持つ整流リング
としたため、ポンプインペラの流路断面積の急激な拡大
や縮小がなく、インペラ流路断面積の急変に伴う損失が
小さく抑えられ、損失低減によりトルク比及び効率の向
上が達成される。
【0032】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0033】(第1実施例)まず、構成を説明する。
【0034】図1は請求項1及び請求項2記載の本発明
に対応する第1実施例のコアレストルクコンバータを示
す断面図である。
【0035】図1において、1はコンバータカバー、2
はポンプインペラ、3はタービンランナ、4はステー
タ、5はロックアップクラッチ、6は円錐型整流リング
(整流リングに相当)である。
【0036】前記コンバータカバー1は、エンジンのク
ランクシャフト等に連結され、エンジンからの回転駆動
力が入力される。
【0037】前記ポンプインペラ2は、前記コンバータ
カバー1に一体結合され、エンジンにより回転駆動され
る。
【0038】前記タービンランナ3は、タービンハブ7
に取り付けられていて、このタービンハブ7には図外の
トランスミッション入力軸が結合される。
【0039】前記ステータ4は、前記ポンプインペラ2
とタービンランナ3とに挟まれた内径側位置に配置され
ていて、ワンウェイクラッチ8を介して図外のトランス
ミッションケースに固定される。
【0040】前記ロックアップクラッチ5は、所定の運
転条件下での締結により前記コンバータカバー1とター
ビンハブ7とを直結し、エンジンからの回転駆動力を直
接トランスミッション入力軸に伝達させるクラッチで、
コンバータカバー1とタービンランナ3とにより区画さ
れるスペースに配置される。尚、ロックアップクラッチ
5には伝達トルク変動を吸収するトーションスプリング
5aを有する。
【0041】前記円錐型整流リング6は、前記ステータ
4の出口外周部に設けられ、低速度比域でトルクコンバ
ータ中心部の流れを漏れなく有効にステータ4に流入さ
せて回転軸方向に流出させるべく傾斜を持たせている。
【0042】次に、作用を説明する。
【0043】[低速度比域での作用]図2に整流リング
無しコアレストルクコンバータと第1実施例のコアレス
トルクコンバータとの低速度比域での子午面の流れ状態
を示す。
【0044】まず、整流リング無しの場合、図2の左部
分に示すように、子午面の流れのうち主流は、トーラス
全体を使っている。また、ステータ出口のインナーパス
ではステータ内径からステータ外径に向った流れになっ
ている。
【0045】円錐型整流リング6を有する場合、図2の
右部分に示すように、トーラス中心部の流れが円錐型整
流リング6によりステータ4に導かれ、ステータ出口で
は回転軸方向の流れに整流されている。
【0046】したがって、低速度比域で整流リング無し
の場合、トーラス中心部の流れがステータの外周部を経
過してそのままトーラス中心に向かって漏れてしまい、
トーラス中心部の流れによりステータに加わる流体力が
小さくなる。
【0047】これに対し、低速度比域で円錐型整流リン
グ6を有する場合、トーラス中心部の流れが円錐型整流
リング6によりステータ4内に導かれ、かつ、ステータ
出口からトーラス中心に向かう漏れがなくなり、トーラ
ス中心部の流れが有効に生かされ、ステータ4に加わる
流体力が増すことになる。
【0048】以上により、円錐型整流リング6を有する
場合、低速度比域でステータ4によるトルク増大作用が
充分に発揮され、トルク比が上昇する。
【0049】また、低速度比域で円錐型整流リング6を
有する場合、主に下記の作用の相乗によりトルク容量が
低下する。
【0050】(1) 円錐型整流リング6を設けると、ステ
ータ出口での流体の転向が充分になされるので、インペ
ラ入口の流れの旋回が大きくなる。これにより、インペ
ラトルクが減少し、トルク容量が低下する。
【0051】(2) 円錐型整流リング6を設けると、ステ
ータ4から漏れる流体量が減少することで、いわゆるブ
ロッケージが増し、流れの損失が大きくなる。
【0052】[高速度比域での作用]図3に整流リング
無しコアレストルクコンバータと第1実施例のコアレス
トルクコンバータとの高速度比域での子午面の流れ状態
を示す。
【0053】まず、整流リング無しの場合、図3の左部
分に示すように、子午面のトーラス中心部は流れが少な
い。
【0054】円錐型整流リング6を有する場合、図3の
右部分に示すように、円錐型整流リング6が流れを阻害
しない。
【0055】したがって、高速度比域では、子午面の主
流はトーラスの外側に形成され、トーラス中心部は流れ
が少ないことで、円錐型整流リング6の存在が循環流量
に与える影響が小さく、整流リング無しの場合とほぼ同
じ循環流量が確保されることになる。
【0056】このため、高速度比域でのトルク容量が整
流リング無しコアレストルクコンバータと同様に確保さ
れ、燃費性能の向上が図られる。
【0057】また、上記のように、円錐型整流リング6
は低速度比域でのみ効き、高速度比域での流体への影響
がないため、高速度比域で締結されるロックアップクラ
ッチ5に対し円錐型整流リング6の存在が悪影響を及ぼ
すこともない。
【0058】[トルクコンバータ特性の比較]図4に本
発明者の行なった実験結果によるトルクコンバータ特性
の比較図を示す。
【0059】尚、実験対象は、第1実施例の円錐型整流
リング6を持つタイプ(a) と、回転軸に対し直角で高い
整流リングを持つタイプ(b) と、回転軸に対し直角で低
い整流リングを持つタイプ(c) と、整流リング無しの4
タイプで行なった。
【0060】この図4の特性で、整流リング無しと、第
1実施例の円錐型整流リング6を持つタイプ(a) との比
較をする。
【0061】まず、トルク容量については、低速度比域
で整流リング無しに比べ円錐型整流リング6を持つタイ
プ(a) が大幅に低下しているが、高速度比域で両者ほぼ
同じトルク容量が確保されていることが分かる。
【0062】トルク比については、ストールトルク比を
含む低速度比域でのトルク比が、整流リング無しに比べ
円錐型整流リング6を持つタイプ(a) が向上しているこ
とが分かる。
【0063】このように、上記作用で述べたことの裏付
けとして、低速度比域でトルク容量が低下すると共にト
ルク比が向上し、高速度比域でトルク容量が整流リング
無しのレベルに保たれることが確認された。しかも、注
目すべき点は、円錐型整流リング6の付加だけで、低速
度比域でのトルク容量低下レベルが予想以上に大きく、
これに対応して低速度比域でのトルク比も予想以上に向
上する点である。
【0064】また、図4の特性で、整流リング無しと、
ステータの外周出口部に傾斜角を持たない整流リングを
持つタイプ(b) 及びタイプ(c) との比較をすると、円錐
型整流リング6を持つタイプ(a) との比較に比べて効果
代を小さいものの、低速度比域でのトルク容量の低下及
びトルク比の向上が確認された。
【0065】さらに、整流リングの高さが高いタイプ
(b) が低いタイプ(c) に比べて効果代が大きいことも確
認された。
【0066】これは、ステータの外周出口部に傾斜角を
持たない整流リングを設けた構成にしても充分に低速度
比域での発進性能の向上と高速度比域での燃費向上との
両立が達成できることを意味する。
【0067】[整流リング外径を異ならせることによる
系列化]図5に本発明者がステータの形状寸法は全く同
じで円錐型整流リング6の外径を大にした場合と外径を
小にした場合との実験結果によるトルクコンバータ特性
の比較図を示す。
【0068】この実験結果により、円錐型整流リング6
の外径を大きくするほど低速度比域でのトルク容量低下
レベルが大きくトルク比の向上レベルも大きいことが確
認された。
【0069】これにより、ステータの設置スペースが同
じとしながら、円錐型整流リング6の外径を変えること
で、トルク容量を調整できることになり、この結果、車
両毎に異なったトルク容量のトルクコンバータを製造す
ること(トルクコンバータ系列化)が可能である。
【0070】[ステータ径を異ならせることによる系列
化]図6に本発明者が円錐型整流リング6を含むステー
タ全高Hを変えないで、ステータ高さとリング高さを異
ならせての実験結果によるトルクコンバータ特性の比較
図を示す。尚、ステータ高さをh1としリング高さをh
2とした図1に示す第1実施例に相当するタイプ(d) に
対し、タイプ(e) はステータ高さをh3(<h1)とし
リング高さをh4(>h2)とし、ステータの流路面積
を縮小している。
【0071】この実験結果により、円錐型整流リング6
のリング高さを高くしステータ高さ低くしたタイプ(e)
の方が低速度比域でのトルク容量低下レベルが大きい
が、トルク比の向上レベルはタイプ(d) の方が少し大き
いことが確認された。
【0072】これにより、ステータの設置スペースが同
じとしながら、円錐型整流リング6を含むステータ4の
寸法設定により、要求されるトルク容量やトルク比を調
整できることになり、この結果、車両毎に異なったトル
ク容量あるいはトルク比のトルクコンバータを製造する
こと(トルクコンバータ系列化)が可能である。
【0073】[円錐型整流リングの最適化]コアレスト
ルクコンバータに円錐型整流リング6を設けるにあたっ
て、コンバータ性能として最適性能を得るリング内外径
の設定領域及び傾斜率の設定領域について説明する。
【0074】*リング外径の設定領域 図7に本発明者の行なった実験結果によるトルクコンバ
ータ特性の比較図を示す。
【0075】尚、実験対象は、第1実施例の円錐型整流
リング6を持つタイプにおいて、同じインペラ外径で、
同形状のステータを有するコアレストルクコンバータを
用い、傾斜角は一定でリング外径を異ならせることで、
インペラ出口面積比が0.29,0.33,0.37,
0.44の4通りの場合で行なった。
【0076】ここで、インペラ出口面積比とは、インペ
ラ外径と、ステータ内径により規定される全円断面積に
対するインペラ出口断面積の比であり、インペラ出口断
面積は、円錐型整流リング6の外径とインペラ外径によ
り規定されるドーナツ状の面積である。
【0077】この実験結果について述べる。
【0078】インペラ出口面積比が0.29の場合 インペラ出口面積比が0.29の場合には、カップリン
グポイントを低下させてしまう。
【0079】なぜなら、インペラ出口面積比がステータ
面積比より小さくなってしまい、循環流の流れを絞るこ
とになることによる。
【0080】ここで、ステータ面積比とは、インペラ外
径と、ステータ内径により規定される全円断面積に対す
るステータ断面積の比であり、ステータ断面積は、ステ
ータ4の外径(=円錐型整流リング6の内径)とステー
タ内径により規定されるドーナツ状の面積である。イ
ンペラ出口面積比が0.33と0.37の場合 インペラ出口面積比が0.33と0.37の場合には、
低速度比域でのトルク比向上と高速度比域でのトルク容
量確保とが達成される特性が得られた。
【0081】インペラ出口面積比が0.44の場合 インペラ出口面積比が0.44の場合には、低速度比域
でのトルク容量の上昇とトルク比の低下を招いてしま
う。なぜなら、整流リング6をステータ上面からの漏れ
流れを防止する壁とするには小さ過ぎ、ほとんど整流リ
ング6のないコアレストルクコンバータと同じ流れとな
るからである。
【0082】以上の実験結果により、インペラ出口面積
比がステータ面積比より小さくならない範囲で、インペ
ラ出口面積比が0.37〜0.33に相当するリング外
径に設定した場合、円錐型整流リング6を設ける目的で
ある低速度比域でのトルク比向上と高速度比域でのトル
ク容量確保との両立を達成できる。
【0083】*傾斜率の設定領域 図8に本発明者の行なった実験結果によるトルクコンバ
ータ特性の比較図を示す。
【0084】尚、実験対象は、第1実施例の円錐型整流
リング6を持つタイプにおいて、インペラ出口面積比が
同じ0.33で、傾斜率が35,30または40,0,
70の4通りの場合で行なった。
【0085】ここで、傾斜率とは、図1に示すように、
ステータ外周の軸方向幅Bとし、整流リング6のステー
タ出口側面の基端位置と外端位置との軸方向長さをLと
した場合、L/B×100(%)であらわされる。
【0086】この実験結果について述べる。
【0087】傾斜率が35%の場合 傾斜率が35%とは、インペラ出口面積比とステータ面
積比とが等しくなる位置であり、この場合、低速度比域
でのトルク比向上と高速度比域でのトルク容量確保とが
達成される最適な特性が得られた。
【0088】傾斜率が30%または40%の場合 傾斜率が30%は整流リング6により流路を絞る下限の
傾斜率であり、傾斜率40%は整流リング6により流路
を広げる上限の傾斜率であり、これらの場合、インペラ
出口面積比とステータ面積比とがほぼ等しくなる領域
で、低速度比域でのトルク比向上と高速度比域でのトル
ク容量確保とがある程度のレベルで達成される特性が得
られた。
【0089】傾斜率が0%の場合 傾斜率が0%とは、整流リング6が径方向に立設された
傾斜のない状態であり、この場合には、整流リング6に
より流路が大幅に絞られることで、ストールトルク比が
低下してしまう。
【0090】傾斜率が70%の場合 傾斜率が70%とは、整流リング6の傾斜度合いの大き
な状態であり、この場合には、整流リング6により流路
が大幅に広げられることで、整流リングを設けていない
コアレストルクコンバータと同様に、トルク容量が高く
トルク比が低い特性を示す。
【0091】以上の実験結果により、傾斜率を30%〜
40%に設定した場合、円錐型整流リング6を設ける目
的である低速度比域でのトルク比向上と高速度比域での
トルク容量確保との両立を達成できる。
【0092】特に、図9に傾斜率に対するストールトル
ク比とストールトルク容量係数の特性を示すが、傾斜率
が35%の場合、最も大きなストールトルク比が得ら
れ、この傾斜率35%の設定が最適値であることが確認
された。
【0093】次に、効果を説明する。
【0094】(1)各翼が集合している部分にコアを持
たないコアレストルクコンバータにおいて、ステータ4
の出口外周部にトルクコンバータ中心部の流れをステー
タ4に流入させる円錐型整流リング6を設けたため、低
速度比域でトルク比を向上させることによる発進性能確
保と高速度比域でトルク容量を確保することによる燃費
向上との両立を高レベルで図ることができる。
【0095】(2)低速度比域でトルク容量を低下させ
る特性を持つ円錐型整流リング6をステータ4に設けた
構成としたため、円錐型整流リング6の内外径を変える
というステータの型式変更のみでトルクコンバータ系列
化ができ、ポンプインペラの型式変更によるトルクコン
バータ系列化に比べてコスト低減を達成することができ
る。(同じシェル形状でトルク容量の異なった又はトル
ク比の異なったトルクコンバータを実現できる。)つま
り、従来型トルクコンバータは、インペラの出口角度を
変えてトルク容量を変え、系列化するのが一般的であ
り、この場合、インペラの翼の変更を含むポンプインペ
ラの型式変更を要し、非常にコスト増となる。
【0096】(3)ステータ4に整流リング6を設けた
ため、ステータ4の翼の強度を向上させることができ
る。
【0097】(4)円錐型整流リング6を設定するにあ
たって、インペラ出口面積比がステータ面積比より小さ
くならない範囲で、インペラ出口面積比が0.37〜
0.33に相当するリング外径で、かつ、傾斜率を30
%〜40%に設定することで、低速度比域でのトルク比
向上と高速度比域でのトルク容量確保との両立により、
高い発進性能確保と燃費向上を達成できる。
【0098】(第2実施例)図10は請求項3記載の発
明に対応する第2実施例のコアレストルクコンバータの
ステータを示す断面図、図11は第2実施例のコアレス
トルクコンバータのステータを示す右側面図、図12は
ステータの整流リング部を示す拡大平面図、図13はス
テータの整流リング部を示す拡大断面図である。
【0099】この第2実施例のコアレストルクコンバー
タは、ステータ4を除いて第1実施例と同様であるの
で、ステータ部の構成のみについて説明する。
【0100】このステータ4は、図10及び図11に示
すように、フェノール樹脂等を素材として一体成形され
ていて、内周リング部4aと、ステータ翼4bと、整流
リング部4cと、隅R部4dにより構成されている。
【0101】前記内周リング部4aは、リング形状であ
り、上記ワンウェイクラッチ8に取り付けられる部分で
ある。
【0102】前記ステータ翼4bは、内周リング部4a
の外周円筒面から等間隔で放射状に複数設けられてい
る。
【0103】前記整流リング部4cは、前記ステータ翼
4bの出口外周部に、各ステータ翼4bをステータ外周
位置で連結するように設けられている。そして、この整
流リング部4cは、第1実施例と同様に、低速度比域で
トルクコンバータ中心部の流れを漏れなく有効にステー
タ翼4bに流入させて回転軸方向に流出させるべく傾斜
を持たせている。
【0104】前記隅R部4dは、図12及び図13に示
すように、前記整流リング部4cの傾斜内面4c’と前
記ステータ翼4bの外周端面4b’とが鋭角に交差する
隅部に、傾斜内面4c’と外周端面4b’の両面を曲率
半径Rを有する滑らかな曲面により接続することで設定
されている。
【0105】次に、作用を説明する。
【0106】[トルクコンバータ性能]第2実施例で
は、隅R部4dを設定する部位が、傾斜を持たせた整流
リング部4cの傾斜内面4c’とステータ翼4bの外周
端面4b’とが鋭角に交差する隅部であり、この隅部は
図13に示すようにステータ翼4bの上にあり、しか
も、隅R部4dを設定する部位が、図12の斜線部に示
すように、ステータ翼4bの外周端面4b’との接触部
のみであることで、図12の矢印に示すように、ステー
タ4での流体の流れに何ら影響及ぼさず、第1実施例で
説明した低速度比域でのトルク比の向上と高速度比域で
のトルク容量の確保というトルクコンバータ性能がその
まま確保される。
【0107】[ステータ強度]設定される隅R部4d
は、整流リング部4cの傾斜内面4c’とステータ翼4
bの外周端面4b’とを滑らかな曲面により接続するも
のであるため、ステータ翼4bや整流リング部4cに流
体力等が加わった場合、この力がステータ翼4bと整流
リング部4cとの接続部に集中してきても最大応力を低
くするように隅R部4dで力の分散がなされる。
【0108】したがって、隅R部4dを設定しない第1
実施例に比べ、ステータ翼4bと整流リング部4cの強
度が向上する。
【0109】[生産性]ステータ4を製造するにあたっ
て、隅R部4dが設定されていることにより成形型に溶
融樹脂や溶融金属がスムーズに流れ込むため、ステータ
翼4bと整流リング部4cとを一体に型成形にて製造す
ることができる。そこで、第2実施例の場合には、樹脂
を素材としてステータ4を一体に型成形し、生産性の向
上とステータ4の軽量化を図っている。具体例として
は、図15に示すように、隣接するステータ翼4b,4
bとの間に型割線を設定し、この型割線に対して2方向
に型抜きを行なうことで、型成形によるステータの生産
を行なうことができる。
【0110】このように、隅R部4dの設定によりステ
ータ4の一体に型成形が可能となることで、内周リング
を有するステータ翼と整流リングとを別体でそれぞれ製
造し、これを溶接等により一体化する場合に比べて大幅
に生産性が向上する。
【0111】[隅R部の設定限界]上記強度上のメリッ
トと生産性のメリットを享受するためには、隅R部4d
の曲率半径Rの設定に下限と上限とが存在することにな
る。
【0112】まず、図14(イ) に示すように、強度上,
生産上のメリットのでる最小の曲率半径Rは、R=0.
5mm(下限)である。
【0113】また、図14(ロ) に示すように、強度上,
生産上のメリットのでる最大の曲率半径Rは、傾斜内面
4c’の外周端部に曲線が接し、外周端面4b’の入口
側端部に曲線が接する時の径(上限)である。
【0114】次に、効果を説明する。
【0115】第2実施例のコアレストルクコンバータで
は、整流リング部4cの傾斜内面4c’と前記ステータ
翼4bの外周端面4b’とが鋭角に交差する隅部に、傾
斜内面4c’と外周端面4b’の両面を曲率半径Rを有
する滑らかな曲面により接続する隅R部4dを設定した
ため、トルクコンバータ性能への影響を及ぼすことな
く、ステータ部4b及び整流リング部4cの強度を向上
させることができると共に、生産性を向上させることが
できる。
【0116】(第3実施例)図16は請求項4記載の発
明に対応する第3実施例のコアレストルクコンバータを
示す断面図である。
【0117】この第3実施例のコアレストルクコンバー
タは、ポンプインペラ2にステータ4の出口外周部に向
かうと共にトルクコンバータ中心部の流れをステータ4
に流入させる傾斜を持つ整流リング26を設けた例であ
る。他の構成は、第1実施例と同様であるので、対応す
る構成に同一符号を付して説明を省略する。
【0118】尚、作用効果については、トルクコンバー
タ系列化を除いて第1実施例と同様であるので説明を省
略する。
【0119】また、この第3実施例では、ポンプインペ
ラ2に整流リング26を設けたため、ポンプインペラ2
の翼の強度を向上させることができる。
【0120】(第4実施例)図17は請求項4記載の発
明に対応する第4実施例のコアレストルクコンバータを
示す断面図である。
【0121】この第4実施例のコアレストルクコンバー
タは、タービンランナ3にステータ4の出口外周部に向
かうと共にトルクコンバータ中心部の流れをステータ4
に流入させる傾斜を持つ整流リング36を設けた例であ
る。他の構成は、第1実施例と同様であるので、対応す
る構成に同一符号を付して説明を省略する。
【0122】尚、作用効果については、トルクコンバー
タ系列化を除いて第1実施例と同様であるので説明を省
略する。
【0123】また、この第4実施例では、タービンラン
ナ3に整流リング36を設けたため、タービンランナ3
の翼の強度を向上させることができる。
【0124】(第5実施例)図18は請求項5記載の発
明に対応する第5実施例のコアレストルクコンバータを
示す断面図である。
【0125】この第5実施例のコアレストルクコンバー
タは、第1実施例の整流リング6に代え、そのポンプイ
ンペラ2側の面がトーラス断面上でインペラシェルと同
じ方向に膨らんだ曲面部6aを有する形状を持つ整流リ
ング6’とした例である。他の構成は、第1実施例と同
様であるので、対応する構成に同一符号を付して説明を
省略する。
【0126】次に、作用を説明する。
【0127】第1実施例の整流リング6では、インペラ
入口で流路断面積が次第に広がり、その後、出口に向か
うにしたがって絞られてゆく形状設定となっている。こ
のため、インペラ流路の急拡大や縮小に伴う流れの損失
が大きくなるという傾向にある。
【0128】これに対し、ポンプインペラ2側の面がト
ーラス断面上でインペラシェルと同じ方向に膨らんだ曲
面部6aを有する形状を持つ整流リング6’とした場
合、インペラ流路は比較的等面積となり、インペラ流路
の急激な拡大や縮小がなく、インペラ流路断面積の急変
に伴う損失が小さく抑えられる。この損失低減の結果、
トルク比及び効率の向上が達成される。
【0129】ちなみに、本発明者が行なった比較実験結
果を図19に示す。
【0130】この図19で第1実施例の整流リング6を
持つコアレストルクコンバータに比べて第5実施例の整
流リング6’を持つコアレストルクコンバータは、トル
ク比や効率が大きく向上していることが分かる。
【0131】尚、他の作用については第1実施例と同様
であるので説明を省略する。
【0132】次に、効果を説明する。
【0133】この第5実施例では、整流リングを、ポン
プインペラ2側の面がトーラス断面上でインペラシェル
と同じ方向に膨らんだ曲面部6aを有する形状を持つ整
流リング6’としたため、インペラ流路断面積の急変に
伴う損失を小さく抑えてトルク比及び効率の向上を達成
することができる。
【0134】また、この整流リング6’は、板素材を曲
げたプレス品とすることで、低コストで、しかも、断面
形状が曲がっているために強度上も有利である。
【0135】(第6実施例)図20は請求項5記載の発
明に対応する第6実施例のコアレストルクコンバータを
示す断面図である。
【0136】この第6実施例のコアレストルクコンバー
タは、第3実施例の整流リング26に代え、そのポンプ
インペラ2側の面がトーラス断面上でインペラシェルと
同じ方向に膨らんだ曲面部6aを有する形状を持つ整流
リング26’とした例である。他の構成は、第3実施例
と同様であるので、対応する構成に同一符号を付して説
明を省略する。
【0137】また、作用効果については、第3実施例の
作用効果に第5実施例の作用効果を加えた作用効果を示
す。
【0138】(第7実施例)図21は請求項5記載の発
明に対応する第7実施例のコアレストルクコンバータを
示す断面図である。
【0139】この第7実施例のコアレストルクコンバー
タは、第4実施例の整流リング36に代え、そのポンプ
インペラ2側の面がトーラス断面上でインペラシェルと
同じ方向に膨らんだ曲面部6aを有する形状を持つ整流
リング36’とした例である。他の構成は、第4実施例
と同様であるので、対応する構成に同一符号を付して説
明を省略する。
【0140】また、作用効果については、第4実施例の
作用効果に第5実施例の作用効果を加えた作用効果を示
す。
【0141】(第8実施例)図22は請求項5記載の発
明に対応する第8実施例のコアレストルクコンバータを
示す断面図である。
【0142】この第8実施例のコアレストルクコンバー
タは、第1実施例の整流リング6に、そのポンプインペ
ラ2側の面がトーラス断面上でインペラシェルと同じ方
向に膨らんだ曲面部6aを付加した形状を持つ整流リン
グ6”とした例である。他の構成は、第1実施例と同様
であるので、対応する構成に同一符号を付して説明を省
略する。
【0143】また、作用効果については、第1実施例の
作用効果に第5実施例の作用効果を加えた作用効果を示
す。尚、この整流リング6”は、第2実施例のように、
成形型に溶融樹脂や溶融金属を流し込む型成形にて製造
される。
【0144】以上、実施例を図面により説明してきた
が、具体的な構成は実施例に限られるものではなく、本
発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加等があ
っても本発明に含まれる。
【0145】例えば、実施例では、3つの流体要素の1
つに整流リングを設けた例を示したが、2つあるいは3
つの流体要素に分割タイプのリングを設け、組み合わせ
た状態で実施例のような整流リングを構成するような例
であっても良い。
【0146】実施例では、ロックアップクラッチ付きコ
アレストルクコンバータへ整流リングを適用した例を示
したが、ロックアップクラッチ無しのコアレストルクコ
ンバータへも適用できることは勿論である。
【0147】
【発明の効果】請求項1記載の本発明にあっては、各翼
が集合している部分にコアを持たないコアレストルクコ
ンバータにおいて、ステータ外周部の一部であって出口
側のみに、トルクコンバータ中心部の流れをステータに
流入させる整流リングを設けた構成としたため、低コス
トでのトルクコンバータ系列化を達成しながら、低速度
比域での発進性能確保と高速度比域での燃費向上との両
立を図ることができるという効果が得られる。
【0148】請求項2記載の本発明にあっては、請求項
1記載のコアレストルクコンバータにおいて、整流リン
グに傾斜を持たせ、この傾斜角はトルクコンバータ中心
部の流れを漏れなく有効にステータに流入させる角度に
設定したため、低コストでのトルクコンバータ系列化を
達成しながら、低速度比域での発進性能確保と高速度比
域での燃費向上との両立を高レベルで図ることができる
という効果が得られる。
【0149】請求項3記載の本発明にあっては、請求項
1または請求項2記載のコアレストルクコンバータにお
いて、ステータの出口外周部に傾斜を持たせた整流リン
グを設け、この整流リングの傾斜内面とステータ翼の外
周端面とが鋭角に交差する隅部に、傾斜内面と外周端面
の両面を滑らかな曲面により接続する隅R部を設定した
ため、トルクコンバータ性能への影響を及ぼすことな
く、ステータ及び整流リングの強度を向上させることが
できると共に、生産性を向上させることができるという
効果が得られる。
【0150】請求項4記載の本発明にあっては、各翼が
集合している部分にコアを持たないコアレストルクコン
バータにおいて、ポンプインペラとタービンランナステ
ータの少なくとも一方に、ステータの出口外周部に向か
うと共にトルクコンバータ中心部の流れをステータに流
入させる傾斜角を持つ整流リングを設けた構成としたた
め、整流リングが設けられる翼の強度向上を図りなが
ら、低速度比域での発進性能確保と高速度比域での燃費
向上との両立を高レベルで図ることができるという効果
が得られる。
【0151】請求項5記載の本発明にあっては、請求項
1〜請求項4記載のコアレストルクコンバータにおい
て、整流リングを、ポンプインペラ側の面がトーラス断
面上でインペラシェルと同じ方向に膨らんだ曲面部を有
する形状を持つ整流リングとしたため、上記効果に加
え、インペラ流路断面積の急変に伴う損失を小さく抑え
てトルク比及び効率の向上を達成することができる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明第1実施例のコアレストルクコンバータ
を示す断面図である。
【図2】第1実施例のコアレストルクコンバータの低速
度比域での作用説明図である。
【図3】第1実施例のコアレストルクコンバータの高速
度比域での作用説明図である。
【図4】第1実施例のコアレストルクコンバータを含む
各種のタイプによるトルクコンバータ特性の比較図であ
る。
【図5】ステータの形状寸法は全く同じで円錐型整流リ
ングの外径を大にした場合と外径を小にした場合との実
験結果によるトルクコンバータ特性の比較図である。
【図6】円錐型整流リングを含むステータ全高を変えな
いで、ステータ高さとリング高さを異ならせての実験結
果によるトルクコンバータ特性の比較図である。
【図7】円錐型整流リングのリング外径の最適設定のた
めに行なった実験結果によるトルクコンバータ特性の比
較図である。
【図8】円錐型整流リングの傾斜率の最適設定のために
行なった実験結果によるトルクコンバータ特性の比較図
である。
【図9】傾斜率を横軸としたストールトルク比特性及び
ストールトルク容量係数特性を示す図である。
【図10】第2実施例のコアレストルクコンバータのス
テータを示す断面図である。
【図11】第2実施例のコアレストルクコンバータのス
テータを示す右側面図である。
【図12】第2実施例のステータの整流リング部を示す
拡大平面図である。
【図13】第2実施例のステータの整流リング部を示す
拡大断面図である。
【図14】第2実施例のステータでの隅R部を最小曲率
半径に設定した例と最大曲率半径に設定した例を示す図
である。
【図15】第2実施例のステータを型成形にて製造する
時の型割線と型抜き方向を示す図である。
【図16】本発明第3実施例のコアレストルクコンバー
タを示す断面図である。
【図17】本発明第4実施例のコアレストルクコンバー
タを示す断面図である。
【図18】本発明第5実施例のコアレストルクコンバー
タを示す断面図である。
【図19】本発明第1実施例と第5実施例のコアレスト
ルクコンバータでのトルクコンバータ特性の比較図であ
る。
【図20】本発明第6実施例のコアレストルクコンバー
タを示す断面図である。
【図21】本発明第7実施例のコアレストルクコンバー
タを示す断面図である。
【図22】本発明第8実施例のコアレストルクコンバー
タを示す断面図である。
【符号の説明】
1 コンバータカバー 2 ポンプインペラ 3 タービンランナ 4 ステータ 5 ロックアップクラッチ 6 円錐型整流リング(整流リング)
フロントページの続き (72)発明者 岡田 克彦 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日 産自動車株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−144152(JP,A) 実開 平1−128055(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16H 41/26

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポンプインペラとタービンランナとステ
    ータとを持ち、これらの各翼が集合している部分にコア
    を持たないコアレストルクコンバータにおいて、 前記ステータ外周部の一部であって出口側のみに、トル
    クコンバータ中心部の流れをステータに流入させる整流
    リングを設けたことを特徴とするコアレストルクコンバ
    ータ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のコアレストルクコンバー
    タにおいて、 前記整流リングに傾斜を持たせ、この傾斜角はトルクコ
    ンバータ中心部の流れを漏れなく有効にステータに流入
    させる角度に設定したことを特徴とするコアレストルク
    コンバータ。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載のコアレス
    トルクコンバータにおいて、 前記ステータの出口外周部に傾斜を持たせた整流リング
    を設け、この整流リングの傾斜内面とステータ翼の外周
    端面とが鋭角に交差する隅部に、傾斜内面と外周端面の
    両面を滑らかな曲面により接続する隅R部を設定したこ
    とを特徴とするコアレストルクコンバータ。
  4. 【請求項4】 ポンプインペラとタービンランナとステ
    ータとを持ち、これらの各翼が集合している部分にコア
    を持たないコアレストルクコンバータにおいて、 前記ポンプインペラとタービンランナの少なくとも一方
    に、ステータの出口外周部に向かうと共にトルクコンバ
    ータ中心部の流れをステータに流入させる傾斜角を持つ
    整流リングを設けたことを特徴とするコアレストルクコ
    ンバータ。
  5. 【請求項5】 請求項1〜請求項4記載のコアレストル
    クコンバータにおいて、 前記整流リングを、そのポンプインペラ側の面がトーラ
    ス断面上でインペラシェルと同じ方向に膨らんだ曲面部
    を有する形状を持つ整流リングとしたことを特徴とする
    コアレストルクコンバータ。
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