JP3209068B2 - エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合ゴム組成物 - Google Patents

エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合ゴム組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、押出加工性、形状
保持性、圧縮応力緩和保持率、圧縮永久歪等に優れ、自
動車用シール材を含む幅広い用途、特にスポンジゴム用
に好適なエチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重
合ゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】エチレン−α−オレフィン−非共役ジエ
ン共重合ゴムは、耐熱性、耐オゾン性、耐候性等に優れ
ており、該共重合ゴムを架橋・発泡させたスポンジゴム
として、特に自動車のドアシール、ルーフサイドレー
ル、トランクシール等のシール材等として広く利用され
ているが、自動車の高性能化に伴い、エチレン−α−オ
レフィン−非共役ジエン共重合ゴムからなるスポンジゴ
ムの性能には、高いレベルが要求されている。例えば、
自動車のドアを閉めた場合、シール材が長時間圧縮状態
に置かれることになることから、圧縮による“へたり”
(一般に圧縮永久歪を指標として表される。)の小さい
ことが重要とされており、そのため共重合ゴムの架橋度
を高めることも必要である。また、近年自動車用シール
材の断面形状が複雑化していることから、スポンジゴム
を通常の連続架橋法によって製造する際に、架橋・発泡
の完了前に自重により変形するという型崩れが発生し、
所期の形状が保持できないという問題も生じるため、型
崩れの指標である形状保持性の優れたスポンジゴムが求
められている。しかも、スポンジゴムの付加価値を高め
るため表面性状にも厳しい条件が課せられており、さら
には生産性を高めるため、混練加工性、ロール加工性、
押出加工性等の加工性に優れていることも必要であり、
特に加工時の剪断歪と熱履歴によるゲルを生成し難いこ
とが重要である。そこで、これらの要件を解決すべく、
エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合ゴムを
含有するゴム組成物において、低分子量成分共重合体と
高分子量成分共重合体とを組合せる試みが数多くなされ
ている。しかしながら、このようなゴム組成物において
は、該組成物およびそれから得られるスポンジゴムの諸
特性に重大な影響を与える因子数が多く、しかもこれら
の因子が複雑に相関しているため、適切な因子を選択
し、組合せることが極めて困難であるのが実状である。
例えば、特開昭63−37149号公報には、低分子量
成分共重合体のエチレン含量が約30〜80重量%、ジ
エン含量が約1.5〜約10重量%であり、高分子量成
分共重合体のエチレン含量が約45〜90重量%、ジエ
ン含量が0〜約5重量%であり、かつ低分子量成分共重
合体と高分子量成分共重合体とのジエン含量比が2/1
以上であるゴム組成物が開示されているが、該ゴム組成
物では、低分子量成分共重合体のジエン含量が低いた
め、高架橋度を達成することができず、かつ圧縮永久歪
も不十分である。さらに、特開平4−80245号公報
には、エチレン/α−オレフィン重量比が73/27〜
40/60、よう素価が10〜36、低分子量成分共重
合体と高分子量成分共重合体とのよう素価比が1.1/
1〜4/1、ム−ニ−粘度(ML1+4,121℃)が50
〜100のゴム組成物が、また特開平3−146531
号公報には、共重合ゴムAと共重合ゴムBとからなり、
共重合ゴムAは、エチレン/α−オレフィン重量比が7
3/27〜40/60、よう素価が8〜33、およびム
−ニ−粘度(ML1+4,121℃)が130〜195であ
り、共重合ゴムBは、エチレン/α−オレフィン重量比
が73/27〜40/60、よう素価が10〜36、お
よびム−ニ−粘度(ML1+4,121℃)が20〜55で
あるゴム組成物が開示されている。しかしながら、これ
らのゴム組成物も、低分子量成分共重合体のよう素価が
低いため、十分な架橋度が得られず、圧縮永久歪も大き
く、しかも低分子量成分共重合体と高分子量成分共重合
体とのよう素価比が小さいため、加工時にゲル化しやす
いという問題がある。即ち、従来のゴム組成物では、他
の諸特性を損なうことなく、加工時の“ゲル”生成の抑
制と、架橋度および圧縮永久歪の改善とを同時に満足す
ることは不可能である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、押出
加工性に優れ、形状保持性が良好で、圧縮応力緩和保持
率が高く、ゲル化時間が長い特性を有し、かつスポンジ
比重が低く、圧縮永久歪が小さく、スポンジ表面肌も良
好なスポンジゴムをもたらしうるエチレン−α−オレフ
ィン−非共役ジエン共重合ゴム組成物を提供することに
ある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、低分子量成分
共重合体および高分子量成分共重合体を含有し、低分子
量成分共重合体は、ム−ニ−粘度(ML1+4,100℃)
が10〜150、α−オレフィン含量がエチレンとα−
オレフインとの合計量に対して30〜60重量%および
よう素価が37〜65であるエチレン−α−オレフィン
−非共役ジエン共重合体からなり、高分子量成分共重合
体は、ム−ニ−粘度(ML1+4,100℃)が100〜5
00、α−オレフィン含量がエチレンとα−オレフイン
との合計量に対して15〜50重量%およびよう素価が
3〜15であるエチレン−α−オレフィン−非共役ジエ
ン共重合体からなり、かつ低分子量成分共重合体と高分
子量成分共重合体とのよう素価比が4/1以上であるエ
チレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合ゴム組成
物、を要旨とする。
【0005】以下、本発明を詳細に説明する。エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体 本発明のエチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重
合ゴム組成物(以下、「共重合ゴム組成物」という。)
は、低分子量成分共重合体および高分子量成分共重合体
をなす2種のエチレン−α−オレフィン−非共役ジエン
共重合体(以下、「共重合ゴム」という。)を含有する
ものである。共重合ゴムにおいて、α−オレフィンとし
ては、例えば炭素数3〜12のα−オレフィンを挙げる
ことができ、具体的にはプロピレン、ブテン−1、3−
メチルブテン−1、ペンテン−1、3−メチルペンテン
−1、4−メチルペンテン−1、3−エチルペンテン−
1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1、ドデセ
ン−1等を挙げることができ、特にプロピレンが好まし
い。これらのα−オレフィンは、単独でまたは2種以上
を混合して使用することができる。共重合ゴムにおける
αーオレフィン含量は、エチレンとα−オレフインとの
合計量に対して、低分子量成分共重合体が30〜60重
量%、好ましくは35〜55重量%であり、高分子量成
分共重合体が15〜50重量%、好ましくは15〜45
重量%である。また、加工時のロール作業性、押出時の
流れ性等の観点から、低分子量成分共重合体のαーオレ
フィン含量が高分子量成分共重合体のαーオレフィン含
量より高いことが好ましい。また、非共役ジエンとして
は、例えばエチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジ
エン、5−ビニル−2−ノルボルネン、2,5−ノルボ
ルナジエン、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジ
エン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、
1,9−デカジエン、1,11−ドデカジエン、3,6
−ジメチル−1,7−オクタジエン、4,5−ジメチル
−1,7−オクタジエン等を挙げることができ、特にエ
チリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエンが好まし
い。前記非共役ジエンは、単独でまたは2種以上を混合
して使用することができる。共重合ゴムのよう素価は、
低分子量成分共重合体が37〜65、好ましくは37〜
55であり、高分子量成分共重合体が、3〜15、好ま
しくは5〜12である。この場合、低分子量成分共重合
体のよう素価が37未満では、組成物の架橋度を挙げる
ことが困難となり、スポンジゴムの圧縮永久歪も大きく
なり、一方65を超えると、高い発泡度を達成すること
が困難となる。また、高分子量成分共重合体のよう素価
が3未満では、スポンジゴムの圧縮永久歪が損なわれ、
一方15を超えると、混練加工時および押出加工時に
“ゲル”を生じやすくなる。また、低分子量成分共重合
体と高分子量成分共重合体とのよう素価比は、4/1以
上である。この場合、よう素価比が4/1未満では、混
練加工時および押出加工時に“ゲル”を生じやすく、高
い発泡度を達成することが困難となり、またスポンジ表
面肌が損なわれる。また、共重合ゴムのム−ニ−粘度
(ML1+4,100℃)は、低分子量成分共重合体が10
〜150、好ましくは30〜100であり、また高分子
量成分共重合体が100〜500、好ましくは150〜
450である。この場合、低分子量成分共重合体のム−
ニ−粘度が10未満では、スポンジゴムの強度、架橋・
発泡時の形状保持性が低下し、一方150を超えると、
混練加工性が損なわれる。また、高分子量成分共重合体
のム−ニ−粘度が100未満では、スポンジゴムの圧縮
永久歪が損なわれ、ゲル化しやすく、また形状保持性も
不十分となり、一方500を超えると、混練加工性が低
下する。本発明において、低分子量成分共重合体のム−
ニ−粘度および高分子量成分共重合体のム−ニ−粘度
は、いずれか一方の共重合体のムーニー粘度に応じて他
方の共重合体のムーニー粘度を適宜選択して組合せられ
るが、両者のムーニー粘度(ML1+4,100℃)の差
は、通常、30以上、好ましくは50〜450である。
また、低分子量成分共重合体と高分子量成分共重合体と
の重量比は、51/49〜95/5の範囲にあることが
好ましい。本発明において、低分子成分共重合体および
高分子成分共重合体は、それぞれ単独でまたは2種以上
を混合して使用することができる。
【0006】本発明において使用される共重合ゴムは、
低分子量成分共重合体および高分子量成分共重合体と
も、中・低圧法による通常の重合方法、例えば、適当な
溶媒中、遷移金属化合物と有機金属化合物とからなるチ
ーグラー・ナッタ触媒、例えば少なくとも1種の溶媒可
溶性バナジウム化合物と少なくとも1種の有機アルミニ
ウム化合物とからなる触媒の存在下で、エチレン、αー
オレフィンおよび非共役ジエンを、必要に応じて分子量
調節剤として水素を供給しつつ重合する方法により製造
することができ、その際の重合は、気相法(流動床ある
いは攪拌床)でも液相法(スラリー法あるいは溶液法)
でも実施することができる。前記溶媒可溶性バナジウム
化合物としては、VOCl3 、VCl4、あるいはVOCl3 とVCl4
1種の少なくとも1種とアルコールとの反応生成物が好
ましい。この場合、前記アルコールとしては、例えばメ
タノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパ
ノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブ
タノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、2−
エチルヘキサノール、n−デカノール、n−ドデカノー
ル等を挙げることができ、これらのうち炭素数3〜8の
アルコールが好ましい。また、前記有機アルミニウム化
合物としては、例えばトリエチルアルミニウム、トリイ
ソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウ
ム、ジエチルアルミニウムモノクロリド、ジイソブチル
アルミニウムモノクロリド、エチルアルミニウムセスキ
クロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチル
アルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジクロリ
ド、トリメチルアルミニウムと水との反応生成物である
メチルアルミノキサン等を挙げることができ、これらの
有機アルミニウム化合物は、単独でまたは2種以上を混
合して使用することができる。特に好ましい有機アルミ
ニウム化合物は、エチルアルミニウムセスキクロリド、
ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウ
ムセスキクロリドとトリイソブチルアルミニウムとの混
合物、トリイソブチルアルミニウムとブチルアルミニウ
ムセスキクロリドとの混合物である。また、前記溶媒と
しては、通常、炭化水素溶媒が使用され、好ましい炭化
水素溶媒は、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタ
ン、n−オクタン、イソオクタン、シクロヘキサン等で
ある。これらの炭化水素溶媒は、単独でまたは2種以上
を混合して使用することができる。本発明の共重合ゴム
組成物は、(イ)低分子量成分共重合体と高分子量成分
共重合体とを別々に製造したのち、両者を混合し、溶媒
を除去して、固体状組成物を得る方法、あるいは(ロ)
直列に連結した2つの重合槽を用い、低分子量成分共重
合体と高分子量成分共重合体とのいずれか一方の共重合
体を最初の重合槽で製造し、その重合生成物を第二の重
合槽に供給し、第二の重合槽で他方の共重合体を製造し
たのち、溶媒を除去して、固体状組成物を得る方法等に
よって調製することができる。
【0007】配合成分 次に、本発明の共重合ゴム組成物には、必要に応じて充
填材、軟化剤、架橋剤、発泡剤等を配合することができ
る。前記充填材としては、例えばSRF、FEF、HA
F、ISAF、SAF、FT、MT等のカーボンブラッ
ク;微粒子けい酸、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウ
ム、クレー、タルク等の無機充填材等を挙げることがで
きる。これらの充填材は、単独でまたは2種以上を混合
して使用することができる。本発明における充填材の配
合量は、低分子量成分共重合体と高分子量成分共重合体
との合計100重量部当たり、通常、50〜200重量
部である。また、前記軟化剤としては、ゴムに通常用い
られるアロマティック油、ナフテニック油、パラフィン
油等のプロセスオイル;やし油等の植物油;アルキルベ
ンゼン等の合成油等を挙げることができる。これらの軟
化剤のうち、プロセスオイルが好ましく、特にパラフィ
ン油が好ましい。これらの軟化剤は、単独でまたは2種
以上を混合して使用することができる。本発明における
軟化剤の配合量は、低分子量成分共重合体と高分子量成
分共重合体との合計100重量部当たり、通常、30〜
150重量部である。また、前記架橋剤としては、例え
ば粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄等の
硫黄;塩化硫黄、セレン、テルル等の無機系加硫剤;モ
ルホリンジスルフィド類、アルキルフェノールジスルフ
ィド類、チウラムジスルフィド類、ジチオカルバミン酸
類等の含硫黄有機化合物;1,1−ジ−t−ブチルパー
オキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジ−
t−ブチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、t−
ブチルクミルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5
−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ビス
(t−ブチルパーオキシ−イソプロピル)ベンゼン等の
有機過酸化物類等を挙げることができる。これらの架橋
剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することが
できる。本発明における架橋剤の配合量は、架橋剤の種
類、共重合ゴム組成物のよう素価等により変わるが、例
えば硫黄の場合、低分子量成分共重合体と高分子量成分
共重合体との合計100重量部当たり、通常、0.1〜
10重量部、好ましくは0.5〜5重量部である。架橋
剤として硫黄を用いる場合、必要に応じて加硫促進剤、
加硫促進助剤をさらに配合することができる。このよう
な加硫促進剤としては、例えばヘキサメチレンテトラミ
ン、アセトアルデヒドアンモニア等のアルデヒドアンモ
ニア類;ジフェニルグアニジン、ジ(o−トリル)グア
ニジン、o−トリル−ビグアニド等のグアニジン類;チ
オカルバニリド、ジ(o−トリル)チオウレア、N,
N’−ジエチルチオウレア、テトラメチルチオウレア、
トリメチルチオウレア、ジラウリルチオウレア等のチオ
ウレア類;メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチア
ゾールジスルフィド、2−(4−モルフォリノチオ)ベ
ンゾチアゾール、2−(2,4−ジニトロフェニル)メ
ルカプトベンゾチアゾール、N,N’−(ジエチルチオ
カルバモイルチオ)ベンゾチアゾール等のベンゾチアゾ
ール類;N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェ
ンアミド、N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチ
アジルスルフェンアミド、N,N’−ジイソプロピル−
2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N−シクロヘキ
シル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド等のスルフ
ェンアミド類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テ
トラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラ
ムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィ
ド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチ
ウラム類;ジメチルチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルチ
オカルバミン酸亜鉛、ジ−n−ブチルチオカルバミン酸
亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチ
ルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカル
バミン酸銅、ジメチルチオカルバミン酸テルル、ジメチ
ルチオカルバミン酸鉄等のチオカルバミン酸塩類;ブチ
ルチオキサントゲン酸亜鉛、イソプロピルキサントゲン
酸亜鉛等のキサントゲン酸塩類等を挙げることができ
る。これらの加硫促進剤は、単独でまたは2種以上を混
合して使用することができる。本発明における加硫促進
剤の配合量は、低分子量成分共重合体と高分子量成分共
重合体との合計100重量部当たり、通常、0.1〜2
0重量部、好ましくは0.2〜10重量部である。ま
た、前記加硫促進助剤としては、例えば酸化マグネシウ
ム、亜鉛華、リサージ、鉛丹、鉛白等の金属酸化物;ス
テアリン酸、オレイン酸、ステアリン酸亜鉛等の有機酸
類等を挙げることができ、特に亜鉛華、ステアリン酸が
好ましい。これらの加硫促進助剤は、単独でまたは2種
以上を混合して使用することができる。本発明における
加硫促進助剤の配合量は、低分子量成分共重合体と高分
子量成分共重合体との合計100重量部当たり、通常、
3〜20重量部である。また、架橋剤として有機過酸化
物類を用いる場合、必要に応じて架橋助剤をさらに配合
することができる。このような架橋助剤としては、例え
ば硫黄、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等
の硫黄あるいは硫黄化合物;ポリエチレンジメタクリレ
ート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、トリア
リルシアヌレート、メタフェニレンビスマレイミド、ト
ルイレンビスマレイミド等の多官能性モノマー類;p−
キノンオキシム、p,p’−ベンゾイルキノンオキシム
等のオキシム化合物等を挙げることができる。これらの
架橋助剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用する
ことができる。また、前記発泡剤としては、例えば炭酸
アンモニウム、重炭酸ナトリウム、無水硝酸ナトリウム
等の無機発泡剤;ジニトロソペンタメチレンテトラミ
ン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフ
タルアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、p,p’
−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、3,
3’−ジスルホンヒドラジドジフェニルスルホン、アゾ
イソブチロニトリル、アゾビスホルムアミド等の有機発
泡剤を挙げることができる。これらの発泡剤は、単独で
または2種以上を混合して使用することができる。ま
た、前記発泡剤とともに、尿素系、有機酸系、金属塩系
等の発泡助剤を用いることもできる。本発明における発
泡剤および発泡助剤の配合量は、それらの種類や所望の
発泡度により変わるが、低分子量成分共重合体と高分子
量成分共重合体との合計100重量部当たり、発泡剤
が、通常、0.5〜20重量部、好ましくは1〜15重
量部であり、また発泡助剤が、通常、1〜20重量部で
ある。さらに、本発明の共重合ゴム組成物には、所望に
より、吸湿剤、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、熱安
定剤、紫外線吸収剤、滑剤、離型剤、難燃剤、帯電防止
剤、染顔料、防かび剤等の他の添加剤を配合することが
でき、また、他の重合体、例えば天然ゴム、ポリイソプ
レンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン
ゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ブチルゴ
ム、アクリルゴム、エチレン−α−オレフィンゴム、低
密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエ
チレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等
を配合することもできる。共重合ゴム組成物の調製に際
しては、バンバリーミキサー、ロールミキサー、押出機
等の通常の混練機を用いることができる。
【0008】スポンジゴムの製造 本発明の共重合ゴム組成物は、特にスポンジゴムに有用
である。このようなスポンジゴムを製造する際には、共
重合ゴム組成物に対して、必要に応じて前記架橋剤、発
泡剤等を配合してゴム配合物としたのち、例えば通常用
いられる方法により架橋・発泡を行なう。スポンジゴム
を製造する際の各成分の配合方法および配合順序は特に
限定されるものではなく、また混練機も公知のものを用
いることができるが、特に、バンバリーミキサーを用い
て、低分子量成分共重合体、高分子量成分共重合体、充
填材、軟化剤等を混練したのち、ロールミキサーを用い
て、架橋剤、発泡剤、発泡助剤等を混練することが好ま
しい。また、押出機を用いて混練する場合は、低分子量
成分共重合体および高分子量成分共重合体と配合成分の
一部とをバンバリーミキサー等により予め混練したのち
押出機に供給し、残りの配合成分を別途押出機に供給し
て混練することも、低分子量成分共重合体、高分子量成
分共重合体および全配合成分を直接押出機に供給して混
練することもできる。次いで、通常のスポンジゴムの製
造に使用される手順に従い、例えば、ゴム配合物を公知
の架橋・発泡装置の金型内で加熱して架橋・発泡させる
方法、あるいはゴム配合物を押出成形機を用いて所望形
状に成形したのち架橋槽内で加熱する方法等により、所
望のスポンジゴムを製造することができる。架橋・発泡
時の加熱温度および加熱時間は、架橋剤や発泡剤の種
類、発泡度等によって変わるが、加熱温度は、通常、1
50〜280℃、好ましくは180〜250℃であり、
また加熱時間は、通常、2〜15分、好ましくは3〜1
0分である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、実施例を挙げて、本発明の
実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明
は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。実
施例および比較例における各測定・評価は、下記の手順
で行なった。 (1)プロピレン含量(重量%) 赤外線吸収スペクトル法により測定した。 (2)よう素価 赤外線吸収スペクトル法により測定した。 (3)ム−ニ−粘度(ML1+4 100℃) 測定温度100℃、余熱時間1分、粘度を読んだときま
での時間4分で測定した。 (4)押出加工性(ガーベダイ評点) 表2に示す成分 [I] および[II]を配合した配合ゴムに
ついて、ASTM−D2230Aに準拠して評価した。 (5)形状保持性(%) 表2に示す成分 [I] および[II]を配合した配合ゴム
を、図1に示す形状の口金を用いて押出し、この成形物
を220℃の雰囲気下で水平に7分間放置したのち、成
形物の縦寸法La と横寸法Lb との比率(La /Lb )
×100により評価した。 (6)圧縮応力緩和保持率 表2に示す成分 [I] を配合したコンパウンドを、円筒
状試験片(13mmΦ×6mm)に成形したのち、島多
技研(株)製全自動圧縮応力緩和試験機により、圧縮率
20%、測定温度100℃の条件で測定し、圧縮後の経
過時間tにおける圧縮応力から、下記式により評価し
た。 圧縮応力緩和保持率=圧縮応力(t=1秒)/圧縮応力
(t=0秒) (7)ゲル化時間 表2に示す成分 [I] を配合したコンパウンドについ
て、応力緩和測定装置(日本合成ゴム(株)製JSRエ
ストラグラフ、特公平5−25059号公報参照)によ
り、130℃、剪断歪速度20毎秒の条件で測定したト
ルクの上昇開始温度をもって、ゲル化時間とした。ゲル
化時間が長いほど、ゲル化し難いことを示す。 (8)スポンジ物性 比重 日本ゴム協会標準規格・膨張ゴムの物理試験法に準拠し
て測定した。 圧縮永久歪 表2に示す成分 [I] および[II]を配合した配合ゴム
を、図1に示す形状の口金を用いて押出し、加硫、発泡
した成形物に、図1の縦方向に50%の圧縮歪をかけ、
70℃×22時間後の圧縮歪を測定した。 スポンジ表面肌 スポンジゴム表面の平滑性、つや、粘着性の有無を目視
にて観察し、 優:○、 普通:△、 不良:× の3段階で評価した。
【0010】
【実施例】
実施例1〜4および比較例1〜4 表1に示す低分子量成分共重合体および高分子量成分共
重合体を用いて、表2に示す成分 [I] を、50℃に設
定したBR型バンバリーミキサー(内容量1.7リット
ル)により、回転数60rpmで5分間混練して、コン
パウンド(1)を得た。このコンパウンド(1)に対し
て、表2に示す成分[II]を配合し、50℃に保持した1
0インチロールにより5分間混練して、コンパウンド
(2)を得た。その後、50mm押出機にガーベダイ
(ASTM−D2330A法に準拠したもの)を装着
し、シリンダー温度60℃、ダイ温度80℃に設定し
て、コンパウンド(2)の押出しを行って、押出加工性
を評価した。また、50mm押出機に図1に示す形状の
口金を装着し、シリンダー温度60℃、ダイ温度80
℃、スクリュウ回転数30rpmに設定して、コンパウ
ンド(2)の押出しを行ったのち、200℃の熱風槽内
で10分間加熱して、加硫、発泡を行い、スポンジゴム
を得て、スポンジ物性の評価を行った。評価結果を、表
2に示す。その結果、本発明の共重合ゴム組成物は、押
出加工性に優れ、形状保持性が良好で、圧縮応力緩和保
持率が高く、ゲル化時間が長い特性を有し、かつスポン
ジ比重が低く、圧縮永久歪が小さく、スポンジ表面肌も
良好なスポンジゴムが得られた。これに対して、比較例
1の共重合ゴム組成物は、低分子量成分共重合体と高分
子量成分共重合体のよう素価比が4/1未満であるた
め、押出加工性が劣り、ゲル化時間が短く、高発泡させ
ることが困難であり、かつスポンジ表面肌が劣ってい
る。比較例2の共重合ゴム組成物は、高分子量成分共重
合体のムーニー粘度が低いため、形状保持性に劣り、圧
縮応力緩和保持率が小さく、圧縮永久歪が大きく、かつ
ガス抜けによりスポンジ表面肌が劣っている。比較例3
の共重合ゴム組成物は、低分子量成分共重合体のよう素
価が37未満であるため、形状保持性に劣り、圧縮応力
緩和保持率が小さく、かつ圧縮永久歪が大きい。さら
に、比較例4の共重合ゴム組成物は、本発明の共重合ゴ
ム組成物の平均値に近い分子特性の単一成分(EPD
M)からなり、低分子量成分共重合体と高分子量成分共
重合体との2成分から構成されないため、押出加工性が
劣り、圧縮応力緩和保持率が小さく、ゲル化時間が短
く、かつ圧縮永久歪が大きい。
【0011】
【表1】
【0012】
【表2】
【0013】表2において、 (*1) 〜(*11) は次のとお
りである。 (*1) 旭カーボン(株)製 旭50HG (*2) 旭カーボン(株)製 旭F200 (*3) 出光興産(株)製 ダイアナプロセスオイルPW
−380 (*4) 井上石灰(株)製 ベスタPP (*5) メルカプトベンゾチアゾール (*6) ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛 (*7) ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸亜鉛 (*8) ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド (*9) テトラエチルチウラムジスルフィド (*10) 4,4’−ジチオ−ビス−ジモルフォリン (*11) p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒド
ラジド)
【0014】
【発明の効果】本発明の共重合ゴム組成物は、押出加工
性に優れ、形状保持性が良好で、圧縮応力緩和保持率が
高く、ゲル化時間が長い特性を有し、かつスポンジ比重
が低く、圧縮永久歪が小さく、スポンジ表面肌も良好な
スポンジゴムをもたらすことができる。したがって、本
発明の共重合ゴム組成物は、特にスポンジゴムとして、
自動車用のドアシール、ルーフサイドレール、トランク
シール等のシール材として極めて好適に使用することが
できるほか、他の輸送機械用シール材、土木・建築用シ
ール材、一般機械・装置用シール材、電線被覆材等を含
めた幅広い用途に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】形状保持性と圧縮永久歪の評価に用いた口金の
形状を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 堤 文雄 東京都中央区築地二丁目11番24号 日本 合成ゴム株式会社内 (72)発明者 森 洋二 東京都中央区築地二丁目11番24号 日本 合成ゴム株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−309544(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 23/16 C08F 10/06 C08F 210/16

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 低分子量成分共重合体および高分子量成
    分共重合体を含有し、低分子量成分共重合体は、ム−ニ
    −粘度(ML1+4,100℃)が10〜150、α−オレ
    フィン含量がエチレンとα−オレフインとの合計量に対
    して30〜60重量%およびよう素価が37〜65であ
    るエチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体か
    らなり、高分子量成分共重合体は、ム−ニ−粘度(ML
    1+4,100℃)が100〜500、α−オレフィン含量
    エチレンとα−オレフインとの合計量に対して15〜
    50重量%およびよう素価が3〜15であるエチレン−
    α−オレフィン−非共役ジエン共重合体からなり、かつ
    低分子量成分共重合体と高分子量成分共重合体とのよう
    素価比が4/1以上であるエチレン−α−オレフィン−
    非共役ジエン共重合ゴム組成物。
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