JP3209054B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

電動パワーステアリング装置

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JP3209054B2
JP3209054B2 JP23880295A JP23880295A JP3209054B2 JP 3209054 B2 JP3209054 B2 JP 3209054B2 JP 23880295 A JP23880295 A JP 23880295A JP 23880295 A JP23880295 A JP 23880295A JP 3209054 B2 JP3209054 B2 JP 3209054B2
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良信 向
栄樹 野呂
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電動機の動力を
操舵補助力としてステアリング系に作用させ、ドライバ
の操舵力を軽減する電動パワーステアリング装置に係
り、特にドライバがハンドルの据え切りで速い転舵から
の切り返しを行う際に、ステアリング系の制御の応答遅
れに伴う操舵フィーリングの低下を改善する電動パワー
ステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の電動パワーステアリング装置にお
いて、ドライバのハンドル操作に伴って発生する操舵ト
ルクを操舵トルクセンサで検出し、検出した操舵トルク
信号を電動機を駆動する目標電流信号に変換し、目標電
流信号と電動機に実際に流れる電動機電流に対応した電
動機電流信号との偏差信号にPI(比例・積分)または
PID(比例・積分・微分)制御を施した信号を発生
し、この信号に基づいて生成した電動機制御信号(例え
ば、PWM信号)で電動機を駆動してステアリング系に
操舵補助力を作用させるようにしたものは知られてい
る。
【0003】このような従来の電動パワーステアリング
装置は、電動機電流信号を目標電流信号にフィードバッ
ク(負帰還)させてPI制御またはPID制御する構成
のため、偏差信号が速やかに0になるよう制御され、電
動機電流は目標電流信号で設定された値に収束して電動
機を駆動し、操舵トルク信号に対応した操舵補助力が得
られる。
【0004】図7に従来の電動パワーステアリング装置
の要部ブロック構成図を示す。なお、図7は制御系にP
I(比例・積分)制御を施した例を示す。図7におい
て、電動パワーステアリング装置50は、操舵トルクセ
ンサ12、車速センサ14、制御手段51、電動機駆動
手段16、電動機電流検出手段18、電動機10から構
成される。
【0005】制御手段51はマイクロプロセッサを基本
に各種演算手段、比較・処理手段、メモリ等から構成さ
れ、目標電流設定手段52、偏差演算手段53、比例・
積分制御手段54、制御信号発生手段55を備える。
【0006】操舵トルクセンサ12はドライバのハンド
ル操作に対応して発生する操舵トルクをアナログの電気
信号として検出し、操舵トルク信号TSが目標電流設定
手段52に供給される。車速センサ14は車両の速度に
対応した周波数の電気的なパルス信号として検出し、車
速信号VSが目標電流設定手段52に供給される。
【0007】目標電流設定手段52は、操舵トルクセン
サ12から供給される操舵トルク信号TSをディジタル
の操舵トルク信号TDに変換し、この操舵トルク信号TD
と車速センサ14から供給される車速信号VSに基づい
て予め設定されている目標電流信号IMSに変換し、車速
VS(VL、VM、VH)をパラメータにした操舵トルク信
号TDに対する目標電流信号IMSを偏差演算手段53に
出力するよう構成される。
【0008】図8に車速をパラメータとした操舵トルク
信号(TD)―目標電流信号(IMS)特性図(テーブル
1)を示す。図8において、車速VL、VMおよびVHは
それぞれ低車速領域、中車速領域および高車速領域を示
し、操舵トルク信号TDが同じであっても、車速VSが増
加(VL→VM→VH)するに伴い、目標電流信号IMSが
減少するよう予め設定されている。
【0009】このように、目標電流設定手段52は、低
車速領域(VS=VL)では電動機10を目標電流信号I
MSに対応した大きな電動機電流IMで駆動して充分大き
な操舵補助力が得られるよう構成され、一方、高車速領
域(VS=VH)では電動機10を目標電流信号IMSに対
応した小さな電動機電流IMで駆動して操舵補助力を抑
え、操舵の安定性が得られるよう構成される。
【0010】偏差演算手段53は、目標電流信号IMS
と、電動機電流検出手段18で検出され、電動機電流I
Mに対応させてディジタル信号に変換した電動機電流信
号IMOとの偏差(=IMS−IMO)を演算し、偏差信号Δ
Iが比例・積分制御手段54に提供される。
【0011】比例・積分制御手段54は、偏差信号ΔI
を比例感度KP倍する比例要素と、偏差信号ΔI(=IM
S−IMO)を積分ゲインKIで積分制御する積分要素を並
列接続して構成され、偏差信号ΔIに比例・積分演算を
施し、比例・積分信号IPIが制御信号発生手段55に供
給される。比例・積分信号IPIは比例感度KPおよび積
分ゲインKIを用いて数1で表わされる。
【0012】
【数1】IPI=KP*ΔI+(KI/p)*ΔI ただし、pはヘビサイド演算子
【0013】なお、比例感度KPおよび積分ゲインKIの
値を大きく設定することにより、電動機電流信号IMO
(電動機電流IMに対応)を速やかに目標電流信号IMS
に収束(偏差信号ΔI=0)させることができる。
【0014】制御信号発生手段55はPWM(パルス幅
変調)信号発生手段を備え、比例・積分信号IPIの大き
さと方向に対応したPWM信号VPWMが電動機制御信号
VOとして電動機駆動手段16に供給され、電動機10
は電動機駆動手段16から供給される電動機電圧VMで
駆動される。
【0015】また、電動機制御信号VOにより電動機1
0が駆動されて電動機電流IMが流れるが、電動機電流
検出手段18が電動機電流IMを検出し、電動機電流IM
に対応した電動機電流信号IMOが偏差演算手段53に帰
還される。
【0016】このように、従来の電動パワーステアリン
グ装置50は、目標電流信号IMSに電動機電流IMに対
応した電動機電流信号IMOをフィードバック(負帰還)
させ、偏差信号ΔIに比例・積分制御を施すよう構成し
たので、電動機電流信号IMOを速やかに目標電流信号I
MSに収束させ、操舵トルクに対応した電動機動力が得ら
れ、応答性のよい所望の操舵補助力をステアリング系に
作用させることが可能となる。
【0017】また、従来の電動パワーステアリング装置
50は、偏差信号ΔIに積分制御を施すよう構成したの
で、電動機電流IMに対応した電動機電流信号IMOを目
標電流信号IMSと一致させ、オフセット値を0に設定す
ることができる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】従来の電動パワーステ
アリング装置50は、ハンドル据え切り時や低速走行時
の操舵のように操舵補助力が大きく、電動機10の回転
数が高い場合には、電動機10の電機子巻線のインダク
タンス成分に誘起する逆起電力が増加し、電動機10に
流れる電動機電流IMが減少して偏差信号ΔI(=IMS
−IMO)が大きな値となる傾向にある。
【0019】このようなハンドル据え切り状態から速い
転舵のハンドル切り返しを行った場合には、数1の第2
項で表した積分項の積分値(KI/p)*ΔIが大き
く、かつ目標電流信号IMSの符号が積分値(KI/p)
*ΔIの偏差信号ΔI(=IMS−IMO)を構成する目標
電流信号IMSの符号と反対となり、積分値が一旦0に収
束するまでの遅延時間が長く、ドライバの操舵方向と反
対方向の操舵補助力がステアリング系に作用するため、
ドライバの保舵力に急激な変化を及ぼして操舵フィーリ
ングが著しく低下する課題がある。
【0020】この発明はこのような課題を解決するため
なされたもので、その目的はハンドル据え切り状態から
速い転舵のハンドル切り返しをしても、最適な操舵フィ
ーリングが得られる電動パワーステアリング装置を提供
することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
この発明に係る電動パワーステアリング装置は、制御手
段に、操舵回転速度センサが検出した信号に基づいて積
分要素から出力される信号が所定値以下の場合にはその
まま出力し、積分要素から出力される信号が所定値を超
える場合には所定値以下に制限する制限手段を備えたこ
とを特徴とする。
【0022】 この発明に係る電動パワーステアリング装
置は、制御手段に、操舵回転速度センサが検出した信号
に基づいて積分要素から出力される信号が所定値以下の
場合にはそのまま出力し、積分要素から出力される信号
が所定値を超える場合には所定値に以下制限する制限手
段を備えたので、ハンドル据え切り状態から速い転舵の
ハンドル切り返しをしても、積分要素による信号の応答
遅れを補償することができる。
【0023】 また 、この発明に係る制限手段は、操舵方
向の反転を検出する符号反転検出手段と、積分要素の積
分値を予め設定した基準値と比較する積分値比較手段と
を備えるとともに、符号反転検出手段、および積分値比
較手段から出力される信号に基づいて積分要素から出力
される信号を制限することを特徴とする。
【0024】 この発明に係る制限手段は、操舵方向の反
転を検出する符号反転検出手段と、積分要素の積分値を
予め設定した基準値と比較する積分値比較手段とを備え
るとともに、符号反転検出手段、および積分値比較手段
から出力される信号に基づいて積分要素から出力される
信号を制限するので、ハンドル据え切り状態から速い転
舵のハンドル切り返しを確実に検出して積分要素による
信号の応答遅れを補償することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を添
付図面に基づいて説明する。なお、本発明は、制御系を
構成するPI(比例・積分)制御の積分要素から出力さ
れる信号を、ハンドル据え切り状態から速い転舵のハン
ドル切り返し時に制限し、積分要素による信号の応答遅
れを補償して最適な操舵フィーリングが得られるように
するものである。
【0026】 図1はこの発明に係る電動パワーステアリ
ング装置の全体構成図である。図1において、電動パワ
ーステアリング装置1は、ステアリングホイール17に
一体的に設けられたステアリング軸2に自在継ぎ手3
a、3bを備えた連結軸3を介し、ステアリング・ギア
ボックス4内に設けたラック&ピニオン機構5のピニオ
ン5aに連結されて手動操舵力発生手段6を構成する。
【0027】 ピニオン5aに噛み合うラック歯7aを備
え、これらの噛み合いにより往復運動するラック軸7
は、その両端にタイロッド8を介して操向輪としての左
右の前輪9が連結される。
【0028】 このようにして、ステアリングホイール1
7操舵時には通常のラック&ピニオン式の手動操舵力発
生手段6を介し、マニュアルステアリングで前輪9を転
動させて車両の向きを変えている。
【0029】 手動操舵力発生手段6による操舵力を軽減
するため、操舵補助力を供給する電動機10をラック軸
7と同軸的に配設し、ラック軸7と同軸に設けられたボ
ールねじ機構11を介して推力に変換し、ラック軸7
(ボールねじ軸11a)に作用させる。
【0030】 ステアリング・ギアボックス4内にはドラ
イバの手動操舵トルクの方向と大きさを検出する操舵ト
ルクセンサ12、ドライバの操作するステアリングホイ
ール17の操舵回転速度の方向と大きさを検出する操舵
回転速度センサ13を配置し、操舵トルクセンサ12が
検出した操舵トルクに対応したアナログ電気信号の操舵
トルク信号TS、操舵回転速度センサ13が検出した操
舵回転速度に対応したアナログ電気信号の操舵回転速度
信号NSのそれぞれを制御手段15に提供する。また、
車速センサ14は車両の速度に対応した周波数の電気的
なパルス信号として検出し、車速信号VSを制御手段1
5に提供する。
【0031】 なお、操舵回転速度センサ13の代りに電
動機回転速度センサを設け、数2から操舵回転速度NS
を算出することもできる。
【0032】
【数2】NS=K1(NM−dTS/dt) ただし、K1は定数、NMは電動機回転速度、dTS/d
tは操舵トルクTSの微分値
【0033】 また、電動機回転速度NSは、電動機電圧
VM、電動機電流IM、電動機の誘起電圧係数KMおよび
電動機内部抵抗RMを用いて数3より推定することもで
きる。
【0034】
【数3】NS=(VM−RM*IM)/KM
【0035】 制御手段15はマイクロプロセッサを基本
に各種演算手段、処理手段、信号発生手段、メモリ等で
構成し、操舵トルク信号TSに対応する電動機制御信号
VO(例えば、オン信号とPWM信号の混成信号)を発
生して電動機駆動手段16を駆動制御する。
【0036】 また、制御手段15は比例・積分制御手
段、および比例・積分制御手段の積分要素から出力され
る信号を制限する制限手段を備え、ハンドル据え切り状
態から速い転舵のハンドル切り返し時に積分要素からの
信号を制限して積分要素による信号の応答遅れを補償す
る。
【0037】 電動機駆動手段16は、例えば4個のパワ
ーFET(電界効果トランジスタ)のスイッチング素子
からなるブリッジ回路で構成し、電動機制御信号VOに
基づいて電動機電圧VMを出力して電動機10を駆動す
る。
【0038】 電動機電流検出手段18は電動機10に実
際に流れる電動機電流IMを検出し、電動機電流IMに対
応した電動機電流信号IMOを制御手段15にフィードバ
ック(負帰還)する。
【0039】 図2はこの発明に係る電動パワーステアリ
ング装置の要部ブロック構成図である。図2において、
制御手段15は、目標電流設定手段21、偏差演算手段
22、比例・積分制御手段23、制御信号発生手段2
7、制限手段30を備える。
【0040】 なお、目標電流設定手段21、偏差演算手
段22および制御信号発生手段27は、それぞれ図7に
示す目標電流設定手段52、偏差演算手段53および制
御信号発生手段55と同一構成、同一作用なので説明を
省略する。
【0041】 比例・積分制御手段23は、比例感度KP
を発生して偏差信号ΔI(=IMS−IMO)を比例制御す
る比例要素24と、積分ゲインKIを発生して偏差信号
ΔI(=IMS−IMO)を積分制御する積分要素25と、
積分要素25からの出力信号に制限係数KLを乗算する
乗算手段28と、比例要素24および乗算手段28の出
力信号を加算する加算手段26を備える。
【0042】 乗算手段28と直列接続された積分要素2
5は比例要素24と並列接続される。比例要素24は偏
差信号ΔIに比例感度KPを乗算した比例信号IPを加算
手段26に供給する。積分要素25は偏差信号ΔIに積
分ゲインKIで積分処理を施した積分信号(積分値)II
を乗算手段28に提供し、乗算手段28で制限係数KL
を乗算処理した積分制限信号IL(=II×KL)を加算
手段26に供給する。
【0043】 加算手段26は比例信号IPと積分制限信
号IL(=II×KL)を加算処理し、比例・積分信号IP
I(=IP+IL)を制御信号発生手段27に出力する。
【0044】 制限手段30は符号反転検出手段、回転速
度比較手段、積分値比較手段、制限係数発生手段等を備
え、操舵回転速度センサ13が検出した操舵回転速度信
号NSおよび積分要素25から供給される積分信号(積
分値)IIに基づいてハンドル据え切り状態から速い転
舵のハンドル切り返し時の操舵状態を検出し、制限係数
KLを乗算手段28に供給する。
【0045】 なお、乗算手段28で積分信号(積分値)
IIと制限係数KLを乗算処理することにより、積分信号
(積分値)IIを制限係数KLで制限した積分制限信号I
L(=II×KL)が得られ、例えば制限係数KLを1を下
回る値(0≦KL<1)に設定して積分要素25の積分
制御に伴う応答遅れを改善することができる。
【0046】 加算手段26から出力される比例・積分信
号IPI(=IP+IL)は、制御信号発生手段27で比例
・積分信号IPI(=IP+IL)の大きさと方向に対応し
たPWM信号VPWMに変換され、このPWM信号VPWMが
電動機制御信号VOとして電動機駆動手段16に供給さ
れて発生する電動機電圧VMで電動機10が駆動され、
この電動機10の動力を操舵補助力としてステアリング
系に作用させる。
【0047】 このように、この発明に係る電動パワース
テアリング装置1は、制御手段15に制限手段30を備
えて積分要素25から出力される積分信号(積分値)I
Iを制限係数KLで制限するので、ハンドル据え切り状態
から速い転舵のハンドル切り返しをしても、比例要素2
4から出力される比例信号IPが支配的となって積分要
素25による信号の応答遅れを補償することができる。
【0048】 図3はこの発明に係る制限手段の要部ブロ
ック構成図である。制限手段30は、符号反転検出手段
31、回転速度比較手段32、積分値比較手段33、論
理積演算手段34、レベル保持手段35、制限係数発生
手段36、制限停止制御手段37を備え、操舵回転速度
センサ13で検出した操舵回転速度信号NSおよび図2
に示す積分要素25から供給される積分信号(積分値)
IIに基づき、ハンドル据え切り状態から速い転舵のハ
ンドル切り返し状態を検出し、積分信号(積分値)II
を減衰させる制限係数KLを発生する。
【0049】 符号反転検出手段31は、操舵回転速度信
号NSの極性(例えば、図示しない極性判定手段で、ハ
ンドル右方向はHレベル、ハンドル左方向はLレベルの
2値信号で検出)の立上りまたは立下りをトリガとして
極性反転を検出し、極性反転を検出する毎に、例えばH
レベルのワンショットパルスからなる極性反転信号HO
を論理積演算手段34に提供する。
【0050】 図4にこの発明に係る符号反転検出手段の
一実施形態要部ブロック構成図を示す。図4において、
符号反転検出手段31は、正極性反転検出手段31A、
負極性反転検出手段31B、論理和演算手段31Cを備
える。
【0051】 正極性反転検出手段31Aおよび負極性反
転検出手段31Bは、例えばリトリガブル・モノマルチ
バイブレータで構成し、それぞれ操舵回転速度信号NS
の極性の立上り、立下りをトリガとして所定時間TMの
ワンショットパルス(例えばHレベル)からなる正極性
検出信号Pτ+、負極性検出信号Pτ-を論理和演算手段
31Cに供給する。
【0052】 論理和演算手段31Cは論理和ゲートまた
は論理和演算機能を有し、正極性反転検出手段31Aか
ら供給される正極性検出信号Pτ+と、負極性反転検出
手段31Bから供給される負極性検出信号Pτ-の論理
和を演算し、極性反転信号HO(所定時間TMでHレベル
のワンショットパルス)を出力する。
【0053】 回転速度比較手段32はROM等のメモ
リ、比較手段を備え、予めメモリに設定した基準回転速
度NKと操舵回転速度信号NSの比較を行い、操舵回転速
度信号NSが基準回転速度NKを超える(NS>NK)場合
には、例えばHレベルの回転速度判定信号NOを論理積
演算手段34に提供する。なお、回転速度比較手段32
は省略することもできる。
【0054】 このように、符号反転検出手段31は操舵
回転速度信号NSの極性を検出することによってハンド
ルの切り返しを検出し、回転速度検出手段32は操舵回
転速度信号NSと基準回転速度NKとの比較結果からハン
ドルの急激な回転操作を検出することができので、極性
反転信号HOと回転速度判定信号NOの論理積からドライ
バが行うハンドルの速い転舵からの切り返し操作を検出
することができる。
【0055】 積分値比較手段33はROM等のメモリ、
比較手段を備え、予めメモリに設定した基準積分値IK
と積分信号(積分値)IIの比較を行い、積分信号(積
分値)IIが基準積分値IKを超える(II>IK)場合に
は、例えばHレベルの積分値判定信号IOを論理積演算
手段34に提供する。
【0056】 このように、基準積分値IKをハンドル据
え切り近傍に対応させて設定し、積分値判定信号IOを
検出することにより、ドライバの据え切りハンドル操作
を検出することができる。
【0057】 論理積演算手段34は3入力の論理積ゲー
トまたは論理積演算機能を有し、極性反転信号HO、回
転速度判定信号NOおよび積分値判定信号IOの論理積を
演算し、例えば極性反転信号HO、回転速度判定信号NO
および積分値判定信号IOの全てがHレベルの場合に、
Hレベルの論理積データDOをレベル保持手段35に提
供する。
【0058】 したがって、論理積演算手段34から出力
される論理積データDOがHレベルの場合には、ハンド
ルの据え切り状態から速い転舵からの切り返し状態を検
出することができる。
【0059】 レベル保持手段35はラッチ機能を備え、
論理積演算手段34から供給される論理積データDOを
保持し、例えばHレベルの保持信号LOを制限係数発生
手段36に提供する。
【0060】 また、レベル保持手段35はラッチ解除機
能を備え、制限停止制御手段37から供給される停止制
御信号SCに基づいてラッチを解除し、制限係数発生手
段36へ供給する保持信号LOを停止する。
【0061】 制限係数発生手段36はROM等のメモリ
および選択手段等で構成し、予めメモリに設定した複数
の制限係数KL(例えば、1と0)をレベル保持手段3
5から供給される保持信号LOに基づいて選択し、選択
した制限係数KLを図2に示す乗算手段28に提供す
る。
【0062】 例えば、保持信号LOがHレベルの場合に
は制限係数KL(=0)が選択されて出力され、一方、
保持信号LOが禁止(例えば、保持信号LOはLレベル)
の場合には制限係数KL(=1)が選択されて出力され
る。
【0063】 図5にこの発明に係る制限係数発生手段の
制限係数KLの特性図を示す。図5において、時間t1
以前および時間t2以降の領域では通常の操舵状態に対
応して制限係数KLが1(KL=1)に設定されており、
積分要素25から出力される積分信号(積分値)IIは
同じ値の積分制限信号IL(=II)として加算手段26
に出力される。
【0064】 一方、時間t1から時間t2の領域では、
ハンドル据え切り状態から速い転舵のハンドル切り返し
の操舵状態に対応して制限係数KLが0(KL=0)に設
定され、積分要素25から出力される積分信号(積分
値)IIは制限係数KLに制限された積分制限信号IL
(=0)として加算手段26に出力され、ステアリング
系に作用する操舵補助力の積分要素25に起因する信号
の応答遅れを補償することができる。
【0065】 制限停止制御手段37はコンパレータまた
は比較機能を備え、積分信号(積分値)IIと予め設定
した基準値IXとを比較し、積分信号(積分値)IIが基
準値IXを下回る(II<IX)場合には、例えばHレベ
ルの停止制御信号SCをレベル保持手段35に提供し、
レベル保持手段35に保持されている論理積データDO
のラッチを解除するよう制御する。
【0066】 なお、本願の実施の形態として、ハンドル
据え切り状態から速い転舵のハンドル切り返しの操舵状
態の制限係数KLを0に設定した例について説明した
が、制限係数KLを0に限定することなく、制限係数KL
を1を下回る(0<KL<1)所定の値に設定し、積分
制限信号ILを0以外の一定値(0<IL<1)に設定す
ることもできる。
【0067】 また、より簡便な本願の実施の形態とし
て、図2の操舵回転速度センサ13、制限手段30、お
よび乗算手段28に代えて積分要素25と加算手段26
との間に制限手段41を設け、積分信号IIが予め設定
した所定値IYを超える場合(II>IY)には、積分信
号IIを所定値IYに制限して加算手段26に供給するよ
う構成してもよい。
【0068】 図6はこの発明に係る比例・積分制御手段
の別実施形態要部ブロック構成図である。図6におい
て、比例・積分制御手段40は積分要素25と加算手段
26との間に乗算手段28に代えて制限手段41を備え
た点が図2に示す比例・積分制御手段23と異なる。
【0069】 制限手段41は予め設定した積分値の所定
値IYを記憶するメモリと、比較機能を備え、積分要素
25から供給される積分信号(積分値)IIと所定値IY
とを比較し、積分信号(積分値)IIが所定値IY以下の
場合(II≦IY)には積分信号(積分値)IIをそのま
ま積分制限信号ILとして加算手段26に出力し、一方
積分信号(積分値)IIが所定値IYを超える場合(II
>IY)には積分信号(積分値)IIを所定値IYに制限
して積分制限信号ILとして加算手段26に出力するよ
う構成する。
【0070】 このように、この発明に係るこの発明に係
る電動パワーステアリング装置1は、制限手段30に、
符号反転検出手段31、回転速度比較手段32、積分値
比較手段33および制限係数発生手段36を備えたの
で、ハンドル据え切り状態から速い転舵のハンドル切り
返しを確実に検出して制限係数を発生し、積分要素から
出力される信号を制限係数で補正するので、積分要素に
よる信号の応答遅れを補償することができる。
【0071】 また、この発明に係る電動パワーステアリ
ング装置1の制限係数発生手段36は、所定の制限係数
を発生し、積分要素25から出力される信号を一定値に
減少させることができるので、ハンドル据え切り状態か
ら速い転舵のハンドル切り返しをしても、積分要素25
による信号の応答遅れを補償することができる。
【0072】
【発明の効果】以上説明したように、この発明に係る電
動パワーステアリング装置は、制御手段に制限手段を備
え、積分要素から出力される信号が所定値以下の場合に
はそのまま出力し、積分要素から出力される信号が所定
値を超える場合には所定値以下に制限するので、ハンド
ル据え切り状態から速い転舵のハンドル切り返しをして
も、積分要素による信号の応答遅れを改善して操舵特性
の急激な変化を補償することができる。
【0073】 さらに、この発明に係る制限手段は、操舵
方向の反転を検出する符号反転検出手段と、積分要素の
積分値を予め設定した基準値と比較する積分値比較手段
とを備えるとともに、符号反転検出手段、および積分値
比較手段から出力される信号に基づいて積分要素から出
力される信号を制限するので、ハンドル据え切り状態か
ら速い転舵のハンドル切り返しを確実に検出して積分要
素による信号の応答遅れを補償して最適な操舵フィーリ
ングを確保することができる。
【0074】 よって、ハンドル据え切り状態から速い転
舵のハンドル切り返しをしても、安定した操舵フィーリ
ングが得られる電動パワーステアリング装置を提供すこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る電動パワーステアリング装置の
全体構成図
【図2】この発明に係る電動パワーステアリング装置の
要部ブロック構成図
【図3】この発明に係る制限手段の要部ブロック構成図
【図4】この発明に係る符号反転検出手段の一実施形態
要部ブロック構成図
【図5】この発明に係る制限係数発生手段の制限係数K
Lの特性図
【図6】この発明に係る比例・積分制御手段の別実施形
態要部ブロック構成図
【図7】従来の電動パワーステアリング装置の要部ブロ
ック構成図
【図8】車速をパラメータとした操舵トルク信号(T
D)―目標電流信号(IMS)特性図(テーブル1)
【符号の説明】
1…電動パワーステアリング装置、2…ステアリング
軸、3…連結軸、3a,3b…自在継ぎ手、4…ステア
リング・ギアボックス、5…ラック&ピニオン機構、5
a…ピニオン、6…手動操舵力発生手段、7…ラック
軸、7a…ラック歯、8…タイロッド、9…左右の前
輪、10…電動機、11…ボールねじ機構、12…操舵
トルクセンサ、13…操舵回転速度センサ、15…制御
手段、16…電動機駆動手段、17…ステアリングホイ
ール、18…電動機電流検出手段、21…目標電流設定
手段、22…偏差演算手段、23,40…比例・積分制
御手段、24…比例要素、25…積分要素、26…加算
手段、27…制御信号発生手段、28…乗算手段、3
0,41…制限手段、31…符号反転検出手段、31A
…正極性反転検出手段、31B…負極性反転検出手段、
31C…論理和演算手段、32…回転速度比較手段、3
3…積分値比較手段、34…論理積演算手段、35…レ
ベル保持手段、36…制限係数発生手段、37…制限停
止制御手段、DO…論理積データ、HO…極性反転信号、
II…積分信号(積分値)、IK…基準積分値、IL…積
分制限信号、IM…電動機電流、IMO…電動機電流信
号、IMS…目標電流信号、IO…積分値判定信号、IP…
比例信号、IPI…比例・積分信号、ΔI(=IMS−IM
O)…偏差信号、KI…積分ゲイン、KL…制限係数、KP
…比例感度、LO…保持信号、NK…基準回転速度、NO
…回転速度判定信号、NS…操舵回転速度信号、Pτ+…
正極性検出信号、Pτ-…負極性検出信号、SC…停止制
御信号、TS…操舵トルク信号、VPWM…PWM信号、V
M…電動機電圧、VO…電動機制御信号。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 広中 慎司 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式 会社本田技術研究所内 (56)参考文献 特開 平7−196048(JP,A) 特開 平5−301575(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B62D 5/04 B62D 6/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ステアリング系に操舵補助力を作用させ
    る電動機と、操舵トルクセンサからの操舵トルク信号に
    基づいて前記電動機を駆動する目標電流信号を決定する
    目標電流設定手段、およびこの目標電流設定手段からの
    目標電流信号と電動機電流検出手段からの電動機電流信
    号の偏差に比例制御と積分制御を施す少なくとも比例要
    素と積分要素を備えた比例・積分制御手段からなる制御
    手段と、この比例・積分制御手段からの出力に基づいて
    前記電動機を駆動する電動機駆動手段と、を備えた電動
    式パワーステアリング装置において、 前記制御手段は、操舵回転速度センサが検出した信号に
    基づいて積分要素から出力される信号が所定値以下の場
    合にはそのまま出力し、積分要素から出力される信号が
    所定値を超える場合には所定値以下に制限する制限手段
    を備えた ことを特徴とする電動パワーステアリング装
    置。
  2. 【請求項2】 前記制限手段は、操舵方向の反転を検出
    する符号反転検出手段と、前記積分要素の積分値を予め
    設定した基準値と比較する積分値比較手段とを備えると
    ともに、前記符号反転検出手段、および前記積分値比較
    手段から出力される信号に基づいて前記積分要素から出
    力される信号を制限することを特徴とする請求項1記載
    電動パワーステアリング装置。
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