JP3208863U - 浮体構造物 - Google Patents

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Abstract

【課題】組み立てを容易に行うことができ、安定性、剛性に優れた浮体構造物を提供する。【解決手段】浮体構造物である浮き桟橋はF、両端に配置される端部枠体1と、端部枠体1間に嵌合手段によって位置決めされた状態で連結される中間枠体2とからなる外枠3を有し、中間枠体2の前後両端に端部枠体1を連結して形成される収容室内に収容される浮力体を備えている。中間枠体2は上下に対向して配置される二つの床壁と、両床壁の左右両端に対向して配置され上下が床壁に連結される二つの側壁と、床壁の横方向中央位置にて対向する床壁の内面同士を繋いで側壁と平行に延びる仕切り壁とを備えており、一体成型されている。【選択図】図1

Description

本考案は、海や湖沼、ダム等の水面に浮かべられ、浮き桟橋や水上歩道等に使用される浮体構造物に関する。
従来より海や湖沼等において、その水面に浮かべられて浮き桟橋や歩道として利用される浮体構造物が知られている。
このような浮体構造物は、内部が中空で上面に人等が乗る外殻となる本体と、この本体の中空部に配置される樹脂発泡体とから構成されている。例えば、特許第4143701号公報に記載の浮体構造物では、上下一対の板部材とこの板部材との間を連結する左右一対の連結板とを交互に組み木構造で組み付けていくことにより浮体構造物を形成する。
ところで、このような浮体構造物は製造工場にて部品を組み合わせて浮体構造物を完成させて出荷されるが、特許第4143701号公報に記載の浮体構造物では、上下の各板部材と左右の各連結板とを交互に組み木構造で連続して連結していくという組み立て作業が必要になる。このため、浮体構造物を構成する部品点数が多い上にその組み立て作業の工数が多くなり、浮体構造物の組み立てが煩雑となるという問題を有していた。
また、上下の各板部材と左右の各連結板とが別々の部材から構成され、組み木構造で連結されているため、各部材間にガタ付きが生じるなど、構造的に不安定で剛性が低く、特に水面に浮かべて浮き桟橋や歩道として使用する場合には、構造の不安定さ及び剛性の低さから使用者の足元が不安定になって歩きにくいという問題を有していた。
そこで、上記事情に鑑み、本考案は、組み立てを容易に行うことができ、安定性、剛性に優れた浮体構造物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1に係る考案は、両端に配置される端部枠体と、端部枠体間に連結される中間枠体と、中間枠体の前後両端に端部枠体を連結して形成される収容室内に収容される浮力体とを備えた浮体構造物であって、前記中間枠体は、上下に対向して配置される二つの床壁と、両床壁の左右両端に対向して配置されその上下が床壁に連結される二つの側壁とを備え、前記中間枠体を一体成型したことを特徴とする。
請求項2に係る考案は、前記中間枠体及び端部枠体の連結面には、隣接して連結される他の中間枠体または端部枠体と嵌合する嵌合手段を有することを特徴とする。
請求項3に係る考案は、前記嵌合手段は、中間枠体及び端部枠体の連結面から突出する嵌合凸部と連結面に凹設された嵌合凹部からなり、同嵌合凹部は前記嵌合凸部を遊嵌する大きさに形成されていることを特徴とする。
請求項4に係る考案は、前記中間枠体は、上下の床壁の横方向中央位置にて対向する床壁の内面同士を繋いで側壁と平行に延びる仕切り壁とを備え、前記仕切り壁により区画された複数の収容室内にそれぞれ浮力体が収容されていることを特徴とする。
請求項5に係る考案は、浮体構造物は六面体であり、周面の四隅には浮体構造物同士を連結する連結板を装着可能な連結板装着溝が形成されていることを特徴とする。
請求項6に係る考案は、前記端部枠体には、浮体構造物の両端に位置する端部枠体同士を連結する連結ボルトを挿通可能な連結孔が形成されており、同連結孔は挿通される連結ボルトが中間枠体の床壁及び側壁に干渉しない位置に形成されていることを特徴とする。
本考案の浮体構造物によれば、浮体構造物の組み立てを容易に行うことができ、安定性、剛性に優れた浮体構造物を得ることができる。
本実施形態の浮き桟橋の斜視図。 図1のA−A線断面図。 図1のB−B線断面図。 浮き桟橋の外枠の分解斜視図。 (a)は端部枠体片を上方から見た図、(b)は同縦方向から見た図。 (a)は浮力体を上方から見た図、(b)は横方向から見た図、(c)は縦方向から見た図。 浮き桟橋の組み立ての説明図。 枠体内における上下連結ボルト及び前後連結ボルトの配置図。 連結板の装着説明図。 (a)は浮き桟橋に連結板を装着した部分拡大図、(b)は浮き桟橋同士を連結板により連結した部分拡大図。 浮き桟橋を複数連結した概要図。
以下、本考案を具体化した浮き桟橋の一実施形態を図1〜図11にしたがって説明する。
図1に斜視図として示すように、本実施形態の浮き桟橋Fは両端に配置される端部枠体1及び端部枠体1間に配置される中間枠体2が直列に連結され、全体として六面体をなす直方体に形成された外枠3を有している。
なお、本実施形態の浮き桟橋F及びこれを構成する端部枠体1ならびに中間枠体2の方向を表す際、図1に矢印で示すx方向を縦方向(前後方向とも)という。また図1に示すy方向を横方向(左右方向とも)という。そして、図1に示すz方向を高さ方向(上下方向とも)という。本実施形態の浮き桟橋Fは、縦方向の前後、横方向の左右、高さ方向の上下の区別はなく、各方向において対称形状をなしており、例えば、前後、左右、上下をそれぞれ反転、逆向きにしても同じ形状を有しており、浮き桟橋Fを使用する際の方向に限定はない。
浮き桟橋Fを構成する六面のうち、図1の状態において上方を向いている面(上に人が乗る面)及び下方を向いている面(浮き桟橋Fを水面に設置した場合に水中に没する面であり、図1では隠れている面)をともに床面4といい、両床面4の間の四つの周面のうち横方向の二面をともに側面5という。また周面のうち前後方向の二面をともに前面6という。これら六面の各面を表す名称は、浮き桟橋Fを構成する端部枠体1及び中間枠体2にも共通して使用するものとするが、後述するように端部枠体1及び中間枠体2は六面体ではないため端部枠体1及び中間枠体2が有しない面も存在する。
本実施形態の浮き桟橋Fは、縦方向及び横方向の長さが同じであり、高さ方向が縦方向及び横方向よりも短い扁平形状である。一例として、縦方向及び横方向の長さがともに2000mmであり床面4は正方形に形成されている。また、浮き桟橋Fの高さは600mmに形成されている。浮き桟橋Fの縦、横、高さはいずれもこの長さには限られないが、以下に端部枠体1や中間枠体2について説明する長さは、先の大きさ(2000mm×2000mm×600mm)であることを前提とした長さである。
浮き桟橋Fの具体的構成について
浮き桟橋Fは、互いに連結されて浮き桟橋Fの外枠3を構成する端部枠体1及び中間枠体2と、外枠3の内部に収容されて浮き桟橋Fに浮力を付与する浮力体7とを基本構成とする。浮き桟橋Fの側面5及び前面6によって構成される周面の四隅にはそれぞれ連結板装着溝8が二箇所ずつ形成されている。
図2に図1のA−A線断面図を、また、図3に図1のB−B線断面図を示すように、浮き桟橋Fの外枠3の内部には中央を縦方向に延びる仕切り9によって区切られた左右二つの収容室10が形成され、各収容室10の内部に浮力体7が遊嵌状態で収容されている。
浮き桟橋Fの外枠3は、縦方向の両端に配置される端部枠体1と、端部枠体1の間に挟まれる形で配置される複数(本実施形態では七体)の中間枠体2とからなり、これら端部枠体1と中間枠体2とが直列に連結されることにより浮き桟橋Fの外枠3を構成する。
端部枠体1及び中間枠体2はいずれも水面に浮かせた状態で床面4に人が乗ることができる強度を確保するため、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリエチレンテレフタレートの2種以上を混合した樹脂を用いて成型した樹脂成型体であり、コスト等の面から再生樹脂を少なくとも一部に使用することが好ましい。これら端部枠体1及び中間枠体2はいずれも射出成形によって製造することができる。
端部枠体1は、浮き桟橋Fの縦方向の両端にそれぞれ配置されるが、先に説明したように浮き桟橋Fは前後の区別がないため、両端に配置される端部枠体1はともに同一形状をなしている。このため、端部枠体1の説明にあっては、浮き桟橋Fの縦方向の一端側(図1中左手前側)に配置される端部枠体1の構成を主として説明し、他端側(図1中右奥側)に配置される端部枠体1の説明については省略する。
図4に浮き桟橋Fの外枠3の分解斜視図を示す(ただし、中間枠体2については一体のみ示す)ように、端部枠体1は同一形状の二つの端部枠体片11からなり、これら二つの端部枠体片11を上下に対向させて連結することにより端部枠体1が形成される。なお、端部枠体片11の横方向長さは浮き桟橋Fと同じ2000mmであり、高さ(嵌合凸部は含まず。以下同様)は浮き桟橋Fの高さの半分の300mmである。また、縦方向の長さは195mmとなっている。
図5(a)には、図4において下側に配置された端部枠体片11を上方から見た状態を、また図5(b)に同じく下側に配置された端部枠体片11を中間枠体2との連結方向から見た図を示す。図4、図5(a)、(b)に示すように、端部枠体片11は浮き桟橋Fにおける床面4の一部を構成する床壁12と、床壁12の左右両端に対向して配置され浮き桟橋Fの側面5の一部を構成する側壁13と、浮き桟橋Fの前面6の一部を構成する前壁14とを有し、高さ方向の上下一方及び縦方向の前後一方の二面が開放された形状をなす。また端部枠体片11の内部は中空となっている。そして、床壁12及び前壁14の厚みはともに40mmであり、端部枠体片11の両側壁13の厚みは床壁12及び前壁14よりも肉厚の180mmに形成されている。
端部枠体片11の床壁12のうち中間枠体2との連結面となる床壁端面15および前壁14のうち対向する端部枠体片11との連結面となる前壁端面16には横方向に沿って前壁端面16から垂直方向に突出する矩形状の嵌合凸部17と、前壁端面16に凹設された矩形状の長穴である嵌合凹部18とが等間隔で交互に形成されている。これら嵌合凸部17と嵌合凹部18とが嵌合手段を構成する。
本実施形態の端部枠体片11では、床壁端面15および前壁端面16のそれぞれに嵌合凸部17と嵌合凹部18とが二箇所ずつ交互に形成されている。しかし、床壁端面15と前壁端面16とでは嵌合凸部17と嵌合凹部18の関係が逆になっており、たとえば図5(a)の右端では床壁端面15には嵌合凹部18が形成され、前壁端面16には嵌合凸部17が形成されている。嵌合凸部17と嵌合凹部18とはそれぞれ横方向及び高さ方向について一定の大きさに形成されているが、嵌合凸部17を嵌合凹部18に遊嵌状態で嵌合可能とするため、嵌合凸部17の大きさ(長辺長さ、短辺長さ、突出長さ)はこれに嵌合する嵌合凹部18の大きさよりも少し小さく形成されている。
また、図4、図5(a)に示すように、端部枠体片11の床壁12の左右両側面寄りの二箇所には、左右の側壁13をそれぞれ高さ方向に貫通する連結ピン挿通孔19が形成されている。なお、図5(b)では説明の便宜上、図中右側の側壁13にのみ連結ピン挿通孔19を破線で示し、左側の側壁13では図示を略している。より具体的には、図5(a)に示すように、各連結ピン挿通孔19は床壁12のうち側面5からの離間距離と前面6からの離間距離とが略同一となる位置に形成されており、この連結ピン挿通孔19には図9に示す連結ピン20を挿通可能となっている。図9に示す連結ピン20は端部枠体1の高さとほぼ同じ長さを有する棒状体であり、下端は尖鋭部20aとなって上端には連結ピン挿通孔19の直径よりも大きな扁平円盤状の頭部20bが形成されている。
図4、図5(a)に示すように、端部枠体片11の床壁12のうち両連結ピン挿通孔19よりも床壁端面15寄りとなる二箇所には、左右の側壁13をそれぞれ高さ方向に貫通する上下連結孔21が形成されている。なお、図5(b)では説明の便宜上、図中左側の側壁13にのみ上下連結孔21を破線で示し、右側の側壁13では図示を略している。
また、端部枠体片11の床壁12のうち両連結ピン挿通孔19よりも左右方向における中央寄りであって前壁14と干渉しない程度に前面6から離間した位置となる二箇所にも上下連結孔21が形成されている。したがって、端部枠体片11の床壁12には、合計四箇所に上下連結孔21が形成されている。この上下連結孔21はいずれも、図8に高さ方向を向いて配置されている上下連結ボルト22を挿通するものである。なお、上下連結ボルト22の全長は端部枠体1の高さ(600mm)よりも僅かに短く形成されており、両端にはネジ山が形成され(図示せず)、この両端のネジ山に対して、内周面にネジ溝が形成されたナット23を螺合可能となっている。
上下連結孔21のうち床面4への開口近傍はナット23及び上下連結ボルト22にナット23を締結するレンチ等の締結具を挿入可能な大径部21aとなっている(図5(b)の左側の側壁13の破線図参照)。この大径部21aの深さ(床面4から大径部21aの底面までの長さ)は、この大径部21a内に配置されるナット23の高さよりも深く形成されており、ナット23を装着した状態ではその先端が大径部21aから突出することはない。
図4に示すように、端部枠体片11には、その前面6の左右両側から左右両側面5に掛けての両角となる二箇所に連結板装着溝8が形成されている。各連結板装着溝8は端部枠体片11の高さ方向のほぼ中間となる位置に床面4と平行に形成されており、図5(a)の右側に破線で示すように各側壁13の内部を上方から見て正方形状に切り欠いたような形状をなしている。なお、図5(a)では説明の便宜上、図中右側の側壁13にのみ連結板装着溝8を破線で示し、左側の側壁13ではその図示を略している。また、各連結板装着溝8と連結ピン挿通孔19とは互いに連通する位置関係にあり、図5(a)の右側の側壁13及び図5(b)の右側の側壁13にそれぞれ示すように連結ピン挿通孔19は連結板装着溝8の中心を通っている。
図4に示すように、端部枠体片11の前面6のうち各連結板装着溝8の床面4寄りとなる位置の二箇所には正方形状の穴部となる座金装着部24がそれぞれ形成されている。また図5(a)の左側に破線で示すように各座金装着部24の中心には各側壁13を縦方向に貫通する連結孔としての前後連結孔25が形成されている。なお、図5(a)では説明の便宜上、図中左側の側壁13にのみ座金装着部24及び前後連結孔25を破線で示し、右側の側壁13ではその図示を略している。
この前後連結孔25は後述する中間枠体2に干渉(接触)せず中間枠体2の内側を通る程度に床面4及び側面5から離間した位置に形成されており、内部に図8に示す連結ボルトとしての前後連結ボルト26を挿通することができる。前後連結ボルト26の全長は浮き桟橋Fの縦方向の長さ(2000mm)よりも僅かに短く形成されており、その両端にはネジ山が形成され(図示せず)、その両端のネジ山に対して、内周面にネジ溝が形成されたナット27を螺合可能となっている。座金28は図8に示すように矩形状で中央に前後連結ボルト26の通し孔が形成されている。
座金装着部24の深さ(前面6から座金装着部24の底面までの長さ)は、この座金装着部24内に配置されるナット27と座金28の合計高さよりも深く形成されており、ナット27と座金28とを装着した状態ではナット27の先端が座金装着部24から突出することはない。
図4に示すように、中間枠体2は、上下に対向して配置され浮き桟橋Fの床面4の一部を構成する二つの床壁29と、二つの床壁29の左右両端に対向して配置され、その上下が床壁29に連結されて浮き桟橋Fの側面5の一部を構成する二つの側壁30とからなる矩形枠状に形成されている。また、中間枠体2の内側には、横方向の中央位置において、対向する床壁29の内面同士を繋いで側壁30と平行に延びる仕切り壁31が形成されている。この仕切り壁31は側壁30と同じ縦方向の長さを有しており、外枠3の仕切り9の一部を構成する。
なお、中間枠体2の横方向長さは浮き桟橋F及び端部枠体1と同じ2000mmであり、高さは浮き桟橋Fの高さと同じ600mmである。また、縦方向の長さは230mmとなっており、上下の床壁29の厚みは端部枠体片11の床壁12の厚みと同じ40mm、側壁30及び仕切り壁31の厚みは50mmとなっている。このため、中間枠体2を縦方向から見た場合、「日」の字を横にした形状をなしている。
中間枠体2の両床壁29のうち端部枠体1或いは他の中間枠体2との連結面となる前後の床壁端面32には嵌合凸部33と嵌合凹部34とが等間隔で交互に形成されている。この嵌合凸部33と嵌合凹部34は端部枠体片11に形成されている嵌合凸部17と嵌合凹部18と同じ大きさであり形成間隔も同じである。
また、中間枠体2の床壁端面32のうち前後と上下とでは形成される嵌合凸部33と嵌合凹部34の関係が逆になっている。たとえば図4にて手前側を向いている床壁端面32では、上側に位置する床壁29の右端には嵌合凹部34が形成されており、また下側に位置する床壁29の右端には嵌合凸部33が形成されている。また、図4にて手前側を向いている床壁端面32の上側右端に形成されている嵌合凹部34の背面側には嵌合凸部33が形成されている。このため、中間枠体2は前後、左右、上下に向きを変えても嵌合凸部33と嵌合凹部の位置関係は変更されず、使用する際にその向きを問わない。
図6(a)(b)(c)に示すように、浮力体7は発泡スチロールからなり、浮き桟橋Fに形成される収容室10に対応した形状、大きさに形成されている。すなわち、端部枠体1及び中間枠体2を連結して外枠3を形成した場合、外枠3の内部には中間枠体2に形成された仕切り9により区画された左右二つの収容室10が形成される。一方、端部枠体1には仕切壁はないものの両側壁13が肉厚に形成されているため各収容室10も縦方向の両端部は左右に短くなっており、図2に示すように上方からみて収容室10は凸形状となっている。このため、浮力体7も図6(a)に示すように縦方向の両端部には段差が形成されて小径に形成されている。
また、図2、図3に示すように、収容室10内には上下連結ボルト22や前後連結ボルト26が挿通されるため、浮力体7はこれら上下連結ボルト22や前後連結ボルト26の挿通位置と干渉しないよう、縦方向及び横方向の長さが収容室10の空間よりも少し小さめに形成されており、浮力体7は収容室10内に遊嵌状態で収容されている。
浮き桟橋Fの組み立てについて
図1に示すように浮き桟橋Fを構成する外枠3は、両端に配置される端部枠体1と端部枠体1間に配置される七体の中間枠体2とを直列に連結した構成である。そして、図4に示すように端部枠体1は二つの端部枠体片11を連結して構成される。また、図2及び3に示すように外枠3の内部の収容室10には二つの浮力体7が収容される。
このため、浮き桟橋Fを組み立てるには、まずは端部枠体1を組み立てて、一方の端部枠体1に所定数の中間枠体2を仮組みした状態で内部に浮力体7を収容し、その状態で他方の端部枠体1を装着して両端の端部枠体1間を前後連結ボルト26及びナット27で固定するという作業を行う。
端部枠体1の組み立て
上下二つの端部枠体片11の前壁端面16同士を対向させて接合すると、上側の端部枠体片11の前壁端面16に形成されている嵌合凸部17及び嵌合凹部18が、下側の端部枠体片11の前壁端面16に形成されている嵌合凹部18及び嵌合凸部17と嵌合し、上下の端部枠体片11同士が位置決めされて仮組みされた状態となる。この状態では、上下二つの端部枠体片11にそれぞれ四箇所ずつ形成されている上下連結孔21同士も連通或いは近接する位置関係となっている。
この上下連結孔21にそれぞれ上下連結ボルト22を挿入し、各上下連結ボルト22の両端にナット23を螺合させ締結具によって締結すると端部枠体片11同士が両端のナット23で互いに近接する方向に締め付けられて(図8参照)固定され、端部枠体1が完成する。上下連結ボルト22及びその両端に螺合されたナット23は上下連結孔21の大径部21aに収容されるため、ナット23が床面4から突出することはない。なお、端部枠体1は浮き桟橋Fの縦方向両端にそれぞれ配置されるため、端部枠体1を事前に二体組み立てておけばその後の作業が容易となる。
中間枠体2の仮組み、端部枠体1の固定
上記要領で組み立てた端部枠体1に対して中間枠体2の仮組みを行う。端部枠体1の床壁端面15と中間枠体2の床壁端面32とを対向させると、それぞれに形成されている嵌合凸部17、33と嵌合凹部18、34とが対向する関係になり、このまま両者を接合すると嵌合凸部17、33と嵌合凹部18、34とが嵌合し、端部枠体1に中間枠体2が位置決めされて仮組みされた状態となる。そして、この仮組みされた中間枠体2に更に別の中間枠体2を同じ要領で仮組みしていき、中間枠体2を所定数(七体)仮組みすると、図7に示すように一つの端部枠体1に直列的に所定数の中間枠体2が仮組みされ、縦方向の一側(図中手前側)が開口された状態となる。
中間枠体2には中央に仕切り壁31が形成されているため図7示す状態では左右二つに分かれた収容室10の一部が開口した状態となっており、この開口からそれぞれの収容室10内に浮力体7を挿入する。
浮力体7を収容室10内に挿入した後は浮力体7の一端が開口から露出した状態となっているが、露出している浮力体7を覆うように中間枠体2に端部枠体1を対向させて接合する。
そして、端部枠体1の前壁14の左右に二箇所ずつ合計四箇所に形成されている前後連結孔25にそれぞれ前後連結ボルト26を挿通して、各前後連結ボルト26の両端を端部枠体1の座金装着部24内に露出させる。この座金装着部24に露出している前後連結ボルト26の両端に座金28を挿入してさらにナット27を螺合させて締結すると、両端の端部枠体1同士が互いに近接する方向に締め付けられ(図8参照)、それまで仮組み状態であった端部枠体1及び中間枠体2が固定されて浮き桟橋Fが完成する。
浮き桟橋F同士の連結
完成した浮き桟橋Fはそれ単体で水面に浮かべて使用することはもちろん、複数の浮き桟橋F同士を連結して浮き桟橋Fの集合体としてより広い面積にて使用することもできる。浮き桟橋Fの連結に使用する連結板35は、図9に示すように金属製の矩形状の板材であり四隅に対応する四箇所に連結板貫通孔36が形成されている。また、この連結板35の一辺の長さは連結板装着溝8の一辺の2倍よりも長く、連結板35の厚みは端部枠体1の連結板装着溝8の高さよりも薄く形成されている。
図10(a)に示すように、端部枠体1に形成されている二つの連結板装着溝8にそれぞれ連結板35を挿入し、各連結板35の連結板貫通孔36を連結ピン挿通孔19に位置合わせした状態として連結ピン20を連結ピン挿通孔19に挿通すると、各連結板35が端部枠体1に遊嵌された状態で装着される。
そして連結板35を装着した浮き桟橋Fに別の浮き桟橋Fを横付けし、連結板35を別の浮き桟橋Fの端部枠体1の各連結板装着溝8に挿入して連結板35の連結板貫通孔36を連結ピン挿通孔19に位置合わせした状態で連結ピン20を連結ピン挿通孔19に挿通する。これにより、図10(b)に示すように二つの浮き桟橋Fの一角が二枚の連結板35を介して少しの間隔を空けて連結された状態となる。同じ作業をもう一方の角について行うと、二つの浮き桟橋Fの一辺の両端が連結されたこととなる。
同様の方法により必要な数の浮き桟橋Fを順次連結して使用することができるが、浮き桟橋Fは縦横が同じ長さであり、またその四隅に連結板装着溝8が形成されているため、図11に示すように浮き桟橋Fの縦横の方向を区別することなく連結することができる。
上記実施形態の浮き桟橋Fによれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、端部枠体1と中間枠体2とを連結して浮き桟橋Fの外枠3を形成することができる。このため、浮き桟橋Fの組み立てが容易となる。
(2)中間枠体2は上下の床壁29と左右の側壁30とが一体成型されているため、浮き桟橋Fの組み立て作業を行う際にも多数の部品を組み合わせる必要がなくなり、浮き桟橋Fの組み立て作業が容易となる。
(3)また、中間枠体2は上下の床壁29と左右の側壁30とが一体成型されているため、床壁や側壁を別個に作成し、組み立てる構成に比べてガタ付きが生じることなく、構造的にも安定性が高まり、また剛性が高まったものとなっている。さらに、浮き桟橋Fを水面に浮かべて使用する場合でも、浮き桟橋F自体の安定性や剛性が優れたものとなり、足元が安定した状態で使用者が歩行等することができる。
(4)中間枠体2は上下の床壁29を左右の側壁30と中間の仕切り壁31とで繋いでいる。このため、床面4を二つの側壁30と仕切り壁31とを介して上下の床壁29で支えることができ、床面4に人が乗ったときの強度が向上する。
(5)中間枠体2は、縦、横、高さ方向にそれぞれ向きを変更しても同一形状となるため、使用時に向きを問わず組み立て時の作業性に優れる。
(6)端部枠体1を構成する端部枠体片11の前壁端面16には嵌合凸部17と嵌合凹部18が形成されているため、端部枠体片11同士を接合する際には嵌合凸部17と嵌合凹部18により位置決めすることができ、上下連結孔21への上下連結ボルト22の挿入が容易となる。
(7)嵌合凸部17、33は嵌合凹部18、34よりも小さく形成されているため、両者は遊嵌状態で嵌合される。このため端部枠体1のサイズと中間枠体2のサイズに少しの誤差があっても両者を嵌合させることができ、製造精度を必要以上に上げる必要がない。
(8)隣接する中間枠体2の床壁29同士、或いは中間枠体2の床壁29と端部枠体1の床壁12同士は嵌合凸部17と嵌合凹部18により嵌合されている。このため、一つの中間枠体2の床壁29に荷重が掛かった場合でも、その床壁29が他の床壁12、29とは別個に撓むことがない。
(9)また、中間枠体2の床壁29と端部枠体1の床壁12同士は嵌合凸部17と嵌合凹部18により嵌合されているため、特定の床壁29に荷重が作用した場合、嵌合部分を介して隣接する中間枠体2或いは端部枠体1に荷重が分散されることにもなり、特定の床壁29に荷重が集中することがない。
(10)連結板35は遊嵌状態で浮き桟橋Fに装着されるため、連結板35を介して連結された浮き桟橋F同士の高さや角度が変わった場合でも連結板35や連結板装着溝8に無理な力が作用しにくい。
(11)端部枠体1と中間枠体2とを仮組みした後、両端部枠体1間を前後連結ボルト26とナット27で締結すればよいため、外枠3の組み立てが容易となる。
(12)外枠3に形成された二つの収容室10にそれぞれ浮力体7を収容すればよいため、端部枠体1や中間枠体2の個々に浮力体7を配置する等の作業が不要となり組み立てが容易となる。
(13)前後連結ボルト26は、両端の端部枠体1のみ挿通し、中間枠体2では床壁29及び側壁30の内側を通り、これらに干渉しない。したがって、中間枠体2に前後連結ボルト26用の挿通孔を設ける必要がなく、また中間枠体2と前後連結ボルト26との位置合わせが不要であり、前後連結ボルト26の挿通作業が容易となる。
(14)上下連結ボルト22に螺合されるナット23は上下連結孔21の大径部21a内に収容されるため、床面4からナット23が突出しない。
(15)また、前後連結ボルト26が挿通される端部枠体1(端部枠体片11)には座金装着部24が前面6から凹んだ状態で形成されており、その深さはナット27と座金28の高さよりも長い。このため、端部枠体1に座金28を装着してさらに前後連結ボルト26にナット27を螺合しても、ナット27が前面6から突出しない。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 端部枠体1を二つの端部枠体片11を対向して連結した構造としたが一体成型してもよい。これにより更に部品数を減少でき組み立てが容易となる。
○ 浮き桟橋F以外に、歩道など水面に浮かべて使用することのできる他の用途に変更してもよい。また、水面に浮かべる場合以外に湿地帯、冠水部など足元が不安定、不案内な場所にも使用することができる。
○ 中間枠体2に形成した仕切り壁31を省略してもよい。仕切り壁31により上下の床壁29の強度を増すことができるが、床壁29の厚みを増して床壁29自体の強度を上げたり、或いは浮力体7を収容室10の高さとほぼ同じ高さとして床壁29が受ける荷重を浮力体7で受けるようにしてもよい。
○ 中間枠体2の仕切り壁31を二箇所とし、外枠3に三つの収容室10を形成してもよい。この場合、浮力体7も収容室10に合わせた三体が必要となる。
○ 浮力体7の大きさや比重、材質を変更して浮き桟橋Fの浮力を変更してもよい。また、浮力体7は中間枠体2によって形成される中空部分に収納されれば端部枠体1により形成される中空部分に収納される部分を有しなくてもよい。これにより、浮力体7の縦方向両端の小径の部分が不要となり、浮力体7の全体形状を六面体とすることができるため製造が容易になる。
○ 中間枠体2の数を変更して使用してもよい。上記実施形態で使用する七体の中間枠体2はいずれも同一形状であり、中間枠体2を増減しても外枠3を構成することができる。例えば、上記実施形態で使用した数より中間枠体2を多く使用すると縦方向に長い長方形状の床面4を有する浮き桟橋Fを形成することができ、少し床面4を広く使用したいときに便利である。なお、この場合には浮き桟橋Fの縦方向の長さに応じた前後連結ボルト26を使用する必要がある。
○ 端部枠体1(端部枠体片11)や中間枠体2の縦方向の長さを変更してもよい。上記実施例では両端にそれぞれ配置される端部枠体1(縦方向の長さ195mm×2)とその間に配置される7体の中間枠体(230mm×7)との連結により縦方向の長さ2000mm(195mm×2+230mm×7)としている。端部枠体1(端部枠体片11)や中間枠体2の縦方向の長さを変更したり、それらの長さを変更して使用する中間枠体2の数を変更してもよい。
○ 嵌合凸部17、33と嵌合凹部18、34の数や形状を変更してもよい。例えば、嵌合凸部17、33を円柱状の凸部とし、嵌合凹部18、34を前記の凸部を遊嵌する円形状の凹部としてもよい。これによっても嵌合手段として同様の作用を発揮することができる。
○ 端部枠体1の側壁13の連結面や中間枠体2の側壁30の連結面にも床壁12、29同様の嵌合手段を設けてもよい。これにより側壁13、30についても嵌合手段を設けた利益を得ることができる。
○ 端部枠体1(端部枠体片11)や中間枠体2の床面4や側面5に手すりや係留用具等の艤装品を取り付けるための取り付け部を形成してもよい。例えば、中間枠体2の床壁29の左右両端部に取り付け部として雌ネジを埋設配置すれば、ここに手すりの支柱を固定することができる。その際には、浮き桟橋Fに使用する全ての中間枠体2が取り付け部を有する必要はなく、手すりの支柱に対応する位置に配置される中間枠体2のみを雌ネジを有する中間枠体2とすればよい。また、雌ネジは中間枠体2の成型後に床壁29に穴開け加工を行って雌ネジを埋設や圧入する方法でも、中間枠体2の成型時に金型内に雌ネジを配置しインサート成形する方法でもよい。
○ 端部枠体1(端部枠体片11)や中間枠体2の床面4や側面5に形成する取り付け部は雌ネジに限らず単なる穴でもよい。例えば、手すりの支柱の基端部が円柱状に形成されているものであれば支柱をこの穴に挿入して立設することにより浮き桟橋Fに手すりを取り付けることができる。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(a)端部枠体1は対称形状の端部枠体片11を対向して連結したものである浮体構造物。従って、これによれば、端部枠体1が複雑な形状で一体成型が困難でも二つ端部枠体片11から構成することができ成型が容易となる。
(b)浮体構造物は、両端の端部枠体1とその間に配置される中間枠体2とを直列に連結したものであり、両端の端部枠体1間を前後連結ボルト26及び該前後連結ボルトの両端に螺合したナット27で固定した浮体構造物。これによれば浮体構造物の組み立てが容易となる。
(c)端部枠体1を構成する端部枠体片11又は中間枠体2の床面4や側面5に手すりや係留用具等の艤装品を取り付けるための取り付け部を形成したことを特徴とする浮体構造物。これによれば、浮体構造物に手すりや係留用具等の艤装品を取り付けることが容易となる。
F・・浮き桟橋(浮体構造物)1・・端部枠体、2・・中間枠体、3・・外枠、4・・浮き桟橋の床面、5・・浮き桟橋の側面、6・・浮き桟橋の前面、7・・浮力体、8・・連結板装着溝、9・・仕切り、10・・収容室、11・・端部枠体片、12・・床壁、13・・側壁、14・・前壁、17・・嵌合凸部、18・・嵌合凹部、25・・前後連結孔(連結孔)、26・・前後連結ボルト(連結ボルト)、29・・床壁、30・・側壁、31・・仕切り壁、32・・床壁端面(連結面)、33・・嵌合凸部、34・・嵌合凹部、35・・連結板。

Claims (6)

  1. 両端に配置される端部枠体と、端部枠体間に連結される中間枠体と、中間枠体の前後両端に端部枠体を連結して形成される収容室内に収容される浮力体とを備えた浮体構造物であって、
    前記中間枠体は、上下に対向して配置される二つの床壁と、両床壁の左右両端に対向して配置されその上下が床壁に連結される二つの側壁とを備え、前記中間枠体を一体成型したことを特徴とする浮体構造物。
  2. 前記中間枠体及び端部枠体の連結面には、隣接して連結される他の中間枠体または端部枠体と嵌合する嵌合手段を有することを特徴とする請求項1に記載の浮体構造物。
  3. 前記嵌合手段は、中間枠体及び端部枠体の連結面から突出する嵌合凸部と連結面に凹設された嵌合凹部からなり、同嵌合凹部は前記嵌合凸部を遊嵌する大きさに形成されていることを特徴とする請求項2に記載の浮体構造物。
  4. 前記中間枠体は、上下の床壁の横方向中央位置にて対向する床壁の内面同士を繋いで側壁と平行に延びる仕切り壁とを備え、前記仕切り壁により区画された複数の収容室内にそれぞれ浮力体が収容されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の浮体構造物。
  5. 浮体構造物は六面体であり、周面の四隅には浮体構造物同士を連結する連結板を装着可能な連結板装着溝が形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の浮体構造物。
  6. 前記端部枠体には、浮体構造物の両端に位置する端部枠体同士を連結する連結ボルトを挿通可能な連結孔が形成されており、同連結孔は挿通される連結ボルトが中間枠体の床壁及び側壁に干渉しない位置に形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の浮体構造物。
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