JP3208348B2 - 回路電極部の製造方法及び回路電極部 - Google Patents
回路電極部の製造方法及び回路電極部Info
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- JP3208348B2 JP3208348B2 JP07441197A JP7441197A JP3208348B2 JP 3208348 B2 JP3208348 B2 JP 3208348B2 JP 07441197 A JP07441197 A JP 07441197A JP 7441197 A JP7441197 A JP 7441197A JP 3208348 B2 JP3208348 B2 JP 3208348B2
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回路電極部の製造
方法及び回路電極部に係り、特に、プリント回路基板上
のボンディングパッドを形成する場合に好適な技術に関
する。
方法及び回路電極部に係り、特に、プリント回路基板上
のボンディングパッドを形成する場合に好適な技術に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来から、プリント基板等の基板上に設
けられたボンディングパッドと、ICチップ等の端子と
を互いに導電接続させる際には、ボンディングパッドと
端子との間を半田等の導電性ペーストで固着させたり、
金ワイヤを介して接続する方法がとられている。ここ
で、ボンディングパッドと導電材料との間の密着性を高
めたり、接触抵抗を低減させる目的で、パッド基部上に
金被膜を形成する場合が多い。
けられたボンディングパッドと、ICチップ等の端子と
を互いに導電接続させる際には、ボンディングパッドと
端子との間を半田等の導電性ペーストで固着させたり、
金ワイヤを介して接続する方法がとられている。ここ
で、ボンディングパッドと導電材料との間の密着性を高
めたり、接触抵抗を低減させる目的で、パッド基部上に
金被膜を形成する場合が多い。
【0003】パッド基部が銅パターンで構成されている
場合には、直接に金被膜を形成することが困難であるこ
とから、パッド基部上にニッケル被膜を形成し、このニ
ッケル被膜上に金被膜を形成するようにしている。この
ような被膜を形成する方法としては、従来、基板上の配
線パターンに電極を取り付けて被膜を形成する電気めっ
きによるものが一般的であった。しかし、電子機器部品
類の小型化あるいは高密度化に伴い、配線パターン上に
電極を取り付けることが困難になってきたため、電極を
必要としない無電解めっきによるパッド基部へのめっき
被覆方法が多用されるようになってきた。
場合には、直接に金被膜を形成することが困難であるこ
とから、パッド基部上にニッケル被膜を形成し、このニ
ッケル被膜上に金被膜を形成するようにしている。この
ような被膜を形成する方法としては、従来、基板上の配
線パターンに電極を取り付けて被膜を形成する電気めっ
きによるものが一般的であった。しかし、電子機器部品
類の小型化あるいは高密度化に伴い、配線パターン上に
電極を取り付けることが困難になってきたため、電極を
必要としない無電解めっきによるパッド基部へのめっき
被覆方法が多用されるようになってきた。
【0004】従来の製造工程においては、初めに、図5
(a)に示すように、パッド基部21を含む銅パターン
の形成された配線基板20を濃度約10ppm程度の塩
化パラジウム溶液中に浸漬させることにより、パッド基
部21の表面にパラジウムを吸着させる。次に、パラジ
ウムが吸着したパッド基部21上に、無電解めっきによ
りリンを含むニッケル被膜22を形成する。この後、ニ
ッケル被膜22上に、置換型による無電解金めっきによ
り、厚さ約0.05μm程度に金被膜を薄付けした後、
還元型による無電解金めっきにより、厚さ約0.5μm
程度の金被膜23を形成する。
(a)に示すように、パッド基部21を含む銅パターン
の形成された配線基板20を濃度約10ppm程度の塩
化パラジウム溶液中に浸漬させることにより、パッド基
部21の表面にパラジウムを吸着させる。次に、パラジ
ウムが吸着したパッド基部21上に、無電解めっきによ
りリンを含むニッケル被膜22を形成する。この後、ニ
ッケル被膜22上に、置換型による無電解金めっきによ
り、厚さ約0.05μm程度に金被膜を薄付けした後、
還元型による無電解金めっきにより、厚さ約0.5μm
程度の金被膜23を形成する。
【0005】ここで、金被膜を約0.5μm程度に厚く
形成するには、通常は、還元型の無電解金めっきが用い
られている。しかし、ニッケル被膜22のリンの含有率
が少ない場合には、めっき浴の管理に手間のかからない
置換型の金めっきを用いても金被膜を厚く形成すること
ができる。
形成するには、通常は、還元型の無電解金めっきが用い
られている。しかし、ニッケル被膜22のリンの含有率
が少ない場合には、めっき浴の管理に手間のかからない
置換型の金めっきを用いても金被膜を厚く形成すること
ができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
製造工程においては、図5(b)に示すように、パッド
基部21の表面に多少の凹凸が形成されていたり、メッ
キ層の密着性を高めるために意図的に凹凸を形成してい
る場合、その上に形成されるニッケル被膜22に膜質の
劣化した部分が形成される。このようなニッケル被膜2
2上に置換型の無電解金メッキを施すと、ニッケル被膜
22に部分的に置換反応による浸触部が形成される。こ
の侵食部は、金被膜を厚く付けるためにメッキ処理時間
が長くなる程、ニッケル被膜22の表面から内部へと深
く進行し、場合によってはニッケル被膜を貫通して銅表
面に達することもある。この浸触作用により、金被膜2
3の表面23aにシミができたり、あるいは変色した
り、また、後の製造工程において基板が加熱される際に
熱によるひび割れ(クラック)が発生するなどの問題点
がある。
製造工程においては、図5(b)に示すように、パッド
基部21の表面に多少の凹凸が形成されていたり、メッ
キ層の密着性を高めるために意図的に凹凸を形成してい
る場合、その上に形成されるニッケル被膜22に膜質の
劣化した部分が形成される。このようなニッケル被膜2
2上に置換型の無電解金メッキを施すと、ニッケル被膜
22に部分的に置換反応による浸触部が形成される。こ
の侵食部は、金被膜を厚く付けるためにメッキ処理時間
が長くなる程、ニッケル被膜22の表面から内部へと深
く進行し、場合によってはニッケル被膜を貫通して銅表
面に達することもある。この浸触作用により、金被膜2
3の表面23aにシミができたり、あるいは変色した
り、また、後の製造工程において基板が加熱される際に
熱によるひび割れ(クラック)が発生するなどの問題点
がある。
【0007】ここで、ニッケル被膜22にリンを或る程
度含有させると、置換型金メッキを行う際のニッケル被
膜22の侵食を防止することができるが、同時に、置換
型メッキの形成速度が低下し、リンの含有率によっては
メッキ層の形成そのものができなくなるという問題点が
ある。
度含有させると、置換型金メッキを行う際のニッケル被
膜22の侵食を防止することができるが、同時に、置換
型メッキの形成速度が低下し、リンの含有率によっては
メッキ層の形成そのものができなくなるという問題点が
ある。
【0008】そこで、本発明は、上記問題点を解決する
ものであり、その課題は、置換型の無電解金めっきを行
う際のニッケル被膜の浸触を抑制することにより、金被
膜表面に現れるシミや変色、或いはパッド部のクラック
の発生を低減し、ボンディング性の良好な回路電極部を
形成することにある。
ものであり、その課題は、置換型の無電解金めっきを行
う際のニッケル被膜の浸触を抑制することにより、金被
膜表面に現れるシミや変色、或いはパッド部のクラック
の発生を低減し、ボンディング性の良好な回路電極部を
形成することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明が講じた手段は、基板上に設けられた回路パタ
ーンにおける少なくとも表面が銅を主体とする材料で構
成された回路電極部上に、無電解めっきによりパラジウ
ム被膜を全面的に形成する工程と、該パラジウム被膜上
に無電解めっきによりリンを含有するニッケル被膜を形
成する工程と、該ニッケル被膜上に置換反応による無電
解金めっきを行うことにより金被膜を形成する工程とを
有することを特徴とする回路電極部の製造方法である。
に本発明が講じた手段は、基板上に設けられた回路パタ
ーンにおける少なくとも表面が銅を主体とする材料で構
成された回路電極部上に、無電解めっきによりパラジウ
ム被膜を全面的に形成する工程と、該パラジウム被膜上
に無電解めっきによりリンを含有するニッケル被膜を形
成する工程と、該ニッケル被膜上に置換反応による無電
解金めっきを行うことにより金被膜を形成する工程とを
有することを特徴とする回路電極部の製造方法である。
【0010】この手段によれば、銅を主体とする材料で
構成された回路電極部上に無電解メッキによりパラジウ
ム被膜を全面的に形成し、その上にニッケル被膜を形成
すると、パラジウム被膜に近い下層部では、ニッケル被
膜中のリンの含有率が高くなり、上層部にいく程リンの
含有率は低下していく。このため、ニッケル被膜上に置
換型の無電解金めっきを行うと、ニッケル被膜の上層部
はリンの含有率が低いことから支障なく金被膜を形成す
ることができるとともに、仮にニッケル被膜の膜質の劣
った部分にて侵食が発生しても、リンの含有率の高い下
層部において侵食が停止し、侵食は縦方向よりもむしろ
リンの含有率の低い上層部において均一に発生するよう
になるので、従来よりもニッケル被膜の浸触が抑制さ
れ、金被膜表面のシミや変色が少なくなるとともに、ク
ラックの発生も防止される。
構成された回路電極部上に無電解メッキによりパラジウ
ム被膜を全面的に形成し、その上にニッケル被膜を形成
すると、パラジウム被膜に近い下層部では、ニッケル被
膜中のリンの含有率が高くなり、上層部にいく程リンの
含有率は低下していく。このため、ニッケル被膜上に置
換型の無電解金めっきを行うと、ニッケル被膜の上層部
はリンの含有率が低いことから支障なく金被膜を形成す
ることができるとともに、仮にニッケル被膜の膜質の劣
った部分にて侵食が発生しても、リンの含有率の高い下
層部において侵食が停止し、侵食は縦方向よりもむしろ
リンの含有率の低い上層部において均一に発生するよう
になるので、従来よりもニッケル被膜の浸触が抑制さ
れ、金被膜表面のシミや変色が少なくなるとともに、ク
ラックの発生も防止される。
【0011】また、このようなニッケル被膜上に形成さ
れた置換型の無電解メッキによる金被膜には、きめが細
かく、凹凸が少ない滑らかな表面が形成されるので、回
路電極部のボンディング性が向上する。
れた置換型の無電解メッキによる金被膜には、きめが細
かく、凹凸が少ない滑らかな表面が形成されるので、回
路電極部のボンディング性が向上する。
【0012】さらに、無電解メッキによりパラジウム被
膜を全面的に形成したことにより、従来よりもニッケル
被膜が形成されやすくなり、ニッケル被膜の形成速度が
向上するとともに、ニッケル被膜の上層部のリンの含有
率が低くなることにより、金被膜の形成速度も向上す
る。したがって、メッキ被覆工程の処理時間を短縮する
ことができる。
膜を全面的に形成したことにより、従来よりもニッケル
被膜が形成されやすくなり、ニッケル被膜の形成速度が
向上するとともに、ニッケル被膜の上層部のリンの含有
率が低くなることにより、金被膜の形成速度も向上す
る。したがって、メッキ被覆工程の処理時間を短縮する
ことができる。
【0013】ここで、前記ニッケル被膜を形成する工程
において用いられるめっき液は、形成されるニッケル被
膜のリンの平均含有率が3〜10wt%となるように調
製されているものであることが好ましい。
において用いられるめっき液は、形成されるニッケル被
膜のリンの平均含有率が3〜10wt%となるように調
製されているものであることが好ましい。
【0014】この手段によれば、ニッケル被膜のリンの
平均含有率を3〜10wt%の範囲内にすることによっ
て、耐蝕性の高い下層部と置換型の無電解金メッキを行
うことのできる上層部とを有するニッケル層を形成する
ことができる。ニッケル被膜のリンの平均含有率が10
wt%を越えると、ニッケル被膜の上層部のリン濃度が
高くなり過ぎて金被膜の形成が困難になり、一方、ニッ
ケル被膜のリンの平均含有率が3wt%未満になると、
置換型の無電解金メッキに対する耐蝕性を得るに充分な
リンの含有率をニッケル被膜の下層部においても得るこ
とができない。
平均含有率を3〜10wt%の範囲内にすることによっ
て、耐蝕性の高い下層部と置換型の無電解金メッキを行
うことのできる上層部とを有するニッケル層を形成する
ことができる。ニッケル被膜のリンの平均含有率が10
wt%を越えると、ニッケル被膜の上層部のリン濃度が
高くなり過ぎて金被膜の形成が困難になり、一方、ニッ
ケル被膜のリンの平均含有率が3wt%未満になると、
置換型の無電解金メッキに対する耐蝕性を得るに充分な
リンの含有率をニッケル被膜の下層部においても得るこ
とができない。
【0015】ニッケル被膜のリンの含有率としては、上
層部において3〜7wt%程度、下層部において8〜1
2wt%程度であることが望ましい。上層部のリンの含
有率を単一のめっき工程にて上記範囲より低くすること
は困難であり、上記範囲よりも高くすると置換型の無電
解金メッキを施すことが困難になる。一方、下層部のリ
ンの含有率を上記範囲より低くすると置換型の無電解金
メッキを行う際の耐蝕性に問題が生じ、上記範囲より高
くすると、上層部におけるリンの含有率を上記範囲内に
収めることが困難になる。
層部において3〜7wt%程度、下層部において8〜1
2wt%程度であることが望ましい。上層部のリンの含
有率を単一のめっき工程にて上記範囲より低くすること
は困難であり、上記範囲よりも高くすると置換型の無電
解金メッキを施すことが困難になる。一方、下層部のリ
ンの含有率を上記範囲より低くすると置換型の無電解金
メッキを行う際の耐蝕性に問題が生じ、上記範囲より高
くすると、上層部におけるリンの含有率を上記範囲内に
収めることが困難になる。
【0016】
【発明の実施の形態】次に、添付図面を参照して、本発
明に係る回路電極部の製造方法及び回路電極部の構造の
実施形態について説明する。
明に係る回路電極部の製造方法及び回路電極部の構造の
実施形態について説明する。
【0017】図1は、本実施形態における製造工程を示
す断面工程図である。本実施形態においては、図1
(a)に示すように、プリント基板あるいは絶縁基板等
の配線基板1上に予め銅めっき等により配線パターンが
形成され、この配線パターンの一部として端子接続用の
パッド基部2が形成されている。パッド基部2の平面形
状は図3に記載されている。配線基板1上に形成された
配線パターン11の先端部にやや拡幅したパッド基部2
が複数並列するように形成されている。配線基板1上の
配線パターン11には、パッド基部2の表面を除いてレ
ジスト12が被覆されている。
す断面工程図である。本実施形態においては、図1
(a)に示すように、プリント基板あるいは絶縁基板等
の配線基板1上に予め銅めっき等により配線パターンが
形成され、この配線パターンの一部として端子接続用の
パッド基部2が形成されている。パッド基部2の平面形
状は図3に記載されている。配線基板1上に形成された
配線パターン11の先端部にやや拡幅したパッド基部2
が複数並列するように形成されている。配線基板1上の
配線パターン11には、パッド基部2の表面を除いてレ
ジスト12が被覆されている。
【0018】上記の配線基板1の表面に対して、脱脂及
び酸によるソフトエッチングを順次行った後に、PDC
−10W(石原薬品株式会社製、製品番号)に浸漬し、
銅表面を活性化させる。このPDC−10Wは、塩化パ
ラジウム0.42%、酢酸ナトリウム20%を主成分と
する水溶液である。
び酸によるソフトエッチングを順次行った後に、PDC
−10W(石原薬品株式会社製、製品番号)に浸漬し、
銅表面を活性化させる。このPDC−10Wは、塩化パ
ラジウム0.42%、酢酸ナトリウム20%を主成分と
する水溶液である。
【0019】次に、配線基板1を無電解パラジウムめっ
き浴に浸漬させ、図1(b)に示すようにパラジウム被
膜3の形成を行う。この無電解パラジウムめっきに用い
るめっき液は、イオン交換水1リットルに対してAPP
−10(石原薬品株式会社製、製品番号)を160〜2
40ミリリットル、好ましくは200ミリリットル、A
PP−20W(石原薬品株式会社製、製品番号)を40
〜60ミリリットル、好ましくは50ミリリットル、そ
れぞれ加えて混合し、浴温を45〜55℃、好ましくは
50℃としたものである。めっき浴のpHは7.5〜
8.5、好ましくは8.2である。
き浴に浸漬させ、図1(b)に示すようにパラジウム被
膜3の形成を行う。この無電解パラジウムめっきに用い
るめっき液は、イオン交換水1リットルに対してAPP
−10(石原薬品株式会社製、製品番号)を160〜2
40ミリリットル、好ましくは200ミリリットル、A
PP−20W(石原薬品株式会社製、製品番号)を40
〜60ミリリットル、好ましくは50ミリリットル、そ
れぞれ加えて混合し、浴温を45〜55℃、好ましくは
50℃としたものである。めっき浴のpHは7.5〜
8.5、好ましくは8.2である。
【0020】上記のAPP−10には、主成分として塩
化パラジウムが0.9%、エチレンジアミン4酢酸4ナ
トリウムが6.0%含まれている。また、APP−20
Wには、ホスフィン酸ナトリウムが20%含まれてい
る。なお、上記めっき液には、リンの化合物が少量含有
されており、パラジウム被膜の合金組成としてはパラジ
ウムが約96wt%、リンが約4wt%となる。
化パラジウムが0.9%、エチレンジアミン4酢酸4ナ
トリウムが6.0%含まれている。また、APP−20
Wには、ホスフィン酸ナトリウムが20%含まれてい
る。なお、上記めっき液には、リンの化合物が少量含有
されており、パラジウム被膜の合金組成としてはパラジ
ウムが約96wt%、リンが約4wt%となる。
【0021】本実施形態では、上記条件により5分のめ
っき処理を行い、前記パッド基部2上にパラジウム被膜
3を約0.1〜0.2μmの厚さとなるように形成し
た。
っき処理を行い、前記パッド基部2上にパラジウム被膜
3を約0.1〜0.2μmの厚さとなるように形成し
た。
【0022】次に、図1(c)に示すように、無電解め
っきにより、パラジウム被膜3上にニッケル被膜4を形
成する。この無電解ニッケルめっきには、イオン交換水
1リットルに対して、ニムデンNPR−4−M(上村工
業株式会社製、製品番号)を150ミリリットルと、ニ
ムデンNPR−4−A(上村工業株式会社製、製品番
号)を45ミリリットルと、ニムデンNPR−4−D
(上村工業株式会社製、製品番号)を5ミリリットルと
をそれぞれ加えて撹拌し、液温79〜81℃、好ましく
は80℃としたものである。めっき液のpHは4.5〜
4.7、好ましくは4.6である。
っきにより、パラジウム被膜3上にニッケル被膜4を形
成する。この無電解ニッケルめっきには、イオン交換水
1リットルに対して、ニムデンNPR−4−M(上村工
業株式会社製、製品番号)を150ミリリットルと、ニ
ムデンNPR−4−A(上村工業株式会社製、製品番
号)を45ミリリットルと、ニムデンNPR−4−D
(上村工業株式会社製、製品番号)を5ミリリットルと
をそれぞれ加えて撹拌し、液温79〜81℃、好ましく
は80℃としたものである。めっき液のpHは4.5〜
4.7、好ましくは4.6である。
【0023】上記のめっき液に約30分間浸漬し、約5
μmのニッケル被膜4を形成した。上記のめっき液に
は、ニッケルとともにリンの化合物(次亜リン酸塩等)
が含まれており、ニッケル被膜4の平均組成としてニッ
ケルが約93wt%、リンが約7wt%となるように調
製されている。
μmのニッケル被膜4を形成した。上記のめっき液に
は、ニッケルとともにリンの化合物(次亜リン酸塩等)
が含まれており、ニッケル被膜4の平均組成としてニッ
ケルが約93wt%、リンが約7wt%となるように調
製されている。
【0024】最後に、ニッケル被膜4上には、図1
(d)に示すように、置換型の無電解金めっきを行うこ
とにより、金被膜5を形成する。本実施形態における無
電解金めっきは、2段階で行う。初めにニッケル被膜の
表面4aにストライク浴の使用により約10分で厚さ
0.05μm程度に金被膜(図示なし)を薄く置換めっ
きを行う。次に、この薄付けした金被膜上に、中性浴を
用いて置換型の無電解金めっきを約10〜15分程度行
い、最終的に厚さ約0.5μm程度の金被膜5を形成す
る。
(d)に示すように、置換型の無電解金めっきを行うこ
とにより、金被膜5を形成する。本実施形態における無
電解金めっきは、2段階で行う。初めにニッケル被膜の
表面4aにストライク浴の使用により約10分で厚さ
0.05μm程度に金被膜(図示なし)を薄く置換めっ
きを行う。次に、この薄付けした金被膜上に、中性浴を
用いて置換型の無電解金めっきを約10〜15分程度行
い、最終的に厚さ約0.5μm程度の金被膜5を形成す
る。
【0025】上記ストライク浴には、オーリカルTSS
−22(上村工業株式会社製、製品名)を用いた。これ
は、イオン交換水1リットルに対してオーリカルTSS
−22−M20(上村工業株式会社製、製品名)を10
0ミリリットル、シアン化第1金カリウムを6.0g、
シアン化カリウムを100ミリリットルの割合で混合し
て、アンモニア水やクエン酸等によってpHを4.5〜
6.0、好ましくは4.8に調整し、液温を75〜85
℃、好ましくは75℃としたものである。
−22(上村工業株式会社製、製品名)を用いた。これ
は、イオン交換水1リットルに対してオーリカルTSS
−22−M20(上村工業株式会社製、製品名)を10
0ミリリットル、シアン化第1金カリウムを6.0g、
シアン化カリウムを100ミリリットルの割合で混合し
て、アンモニア水やクエン酸等によってpHを4.5〜
6.0、好ましくは4.8に調整し、液温を75〜85
℃、好ましくは75℃としたものである。
【0026】また、上記中性浴には、オーリカルTTT
−11(上村工業株式会社製、製品名)を用いた。これ
は、イオン交換水1リットルに対してオーリカルTTT
−11−M2(上村工業株式会社製、製品名)を500
ミリリットル、シアン化第1金カリウムを5.9g、シ
アン化カリウムを0.05ミリリットルの割合で混合し
てpH調整し、適宜各成分を補給して、液温を75℃、
金濃度を3.6〜4.1g/リットル、好ましくは4g
/リットル、pHを4.6〜5.0、好ましくは4.8
としたものである。
−11(上村工業株式会社製、製品名)を用いた。これ
は、イオン交換水1リットルに対してオーリカルTTT
−11−M2(上村工業株式会社製、製品名)を500
ミリリットル、シアン化第1金カリウムを5.9g、シ
アン化カリウムを0.05ミリリットルの割合で混合し
てpH調整し、適宜各成分を補給して、液温を75℃、
金濃度を3.6〜4.1g/リットル、好ましくは4g
/リットル、pHを4.6〜5.0、好ましくは4.8
としたものである。
【0027】上記のようにして形成されたパッド基部2
上の積層構造は図2に示されている。この図2は、配線
基板1を切断した断面を走査電子顕微鏡(SEM)で観
察した状態を示すものである。銅で形成されたパッド基
部2の表面には薄いパラジウム被膜3が全面的に被覆
し、この上にニッケル被膜4が積層されている。ニッケ
ル被膜4の断面においては、ニッケル被膜4の厚さのほ
ぼ中間位置4bより下方部分(以下、下層部という。)
では図示しない水平方向の縞状線が見られ、複数の層が
積層しているように観察される。中間位置4bよりも上
方部分(以下、上層部という。)においては、上記の縞
は見られず、ほぼ全体が均一に成膜されているように観
察される。
上の積層構造は図2に示されている。この図2は、配線
基板1を切断した断面を走査電子顕微鏡(SEM)で観
察した状態を示すものである。銅で形成されたパッド基
部2の表面には薄いパラジウム被膜3が全面的に被覆
し、この上にニッケル被膜4が積層されている。ニッケ
ル被膜4の断面においては、ニッケル被膜4の厚さのほ
ぼ中間位置4bより下方部分(以下、下層部という。)
では図示しない水平方向の縞状線が見られ、複数の層が
積層しているように観察される。中間位置4bよりも上
方部分(以下、上層部という。)においては、上記の縞
は見られず、ほぼ全体が均一に成膜されているように観
察される。
【0028】ニッケル被膜4の上層部には、ニッケル被
膜4を被覆する金被膜5との界面5aから下方に伸びる
侵食部4cが形成されている。これらの侵食部4cは、
置換型の無電解めっき処理により発生するニッケル被膜
4の侵食によって形成された空洞部、或いは侵食によっ
て膜質が粗化された変性部である。これらの侵食部4c
のうち最も深いものでも、その先端位置は上層部の下部
若しくは下層部の上部に止まっている。
膜4を被覆する金被膜5との界面5aから下方に伸びる
侵食部4cが形成されている。これらの侵食部4cは、
置換型の無電解めっき処理により発生するニッケル被膜
4の侵食によって形成された空洞部、或いは侵食によっ
て膜質が粗化された変性部である。これらの侵食部4c
のうち最も深いものでも、その先端位置は上層部の下部
若しくは下層部の上部に止まっている。
【0029】図5(b)に示す従来の積層構造の断面と
比較すると、従来構造では、侵食部がニッケル層の下層
部まで侵入し、極端な場合には銅パターンの部分まで伸
びているが、本実施形態の断面においては、侵食部4c
はいずれもニッケル被膜4の内部にて停止し、ニッケル
被膜4の下層部にまでは侵入していない。
比較すると、従来構造では、侵食部がニッケル層の下層
部まで侵入し、極端な場合には銅パターンの部分まで伸
びているが、本実施形態の断面においては、侵食部4c
はいずれもニッケル被膜4の内部にて停止し、ニッケル
被膜4の下層部にまでは侵入していない。
【0030】また、上記の断面構造の変化に関連してい
ると思われるが、上記金被膜5の表面5bの表面態様も
かなり変化している。従来の金被膜の表面には、顕微鏡
等で観察すると、粗い凹凸が形成されていることが判る
が、本実施形態では、従来よりも1/10倍程度の細か
い凹凸形状に変化しており、凹凸の上下高さも小さく、
平滑化されている。また、従来の金被膜の表面に見られ
たしみや変色がほとんど発生していない。
ると思われるが、上記金被膜5の表面5bの表面態様も
かなり変化している。従来の金被膜の表面には、顕微鏡
等で観察すると、粗い凹凸が形成されていることが判る
が、本実施形態では、従来よりも1/10倍程度の細か
い凹凸形状に変化しており、凹凸の上下高さも小さく、
平滑化されている。また、従来の金被膜の表面に見られ
たしみや変色がほとんど発生していない。
【0031】本実施形態による形成された積層構造にお
いて、上記SEMで観察した断面に対して電子線マイク
ロプローブX線分析法により分析を行った。この分析に
おいては、ニッケル被膜を構成する原子種を特定し、さ
らにZAF法により原子種毎に定量分析を行った。その
結果、下層部においてはリン含有率が5.18wt%で
あったのに対し、上層部においては、リン含有率は3.
92wt%であった。さらに、断面の研磨面に形成され
た表面損傷層を酸によるソフトエッチングにより除いて
から、同様の測定、定量を行った結果、下層部において
はリン含有率が7.32wt%、上層部においてはリン
含有率が6.59wt%となった。
いて、上記SEMで観察した断面に対して電子線マイク
ロプローブX線分析法により分析を行った。この分析に
おいては、ニッケル被膜を構成する原子種を特定し、さ
らにZAF法により原子種毎に定量分析を行った。その
結果、下層部においてはリン含有率が5.18wt%で
あったのに対し、上層部においては、リン含有率は3.
92wt%であった。さらに、断面の研磨面に形成され
た表面損傷層を酸によるソフトエッチングにより除いて
から、同様の測定、定量を行った結果、下層部において
はリン含有率が7.32wt%、上層部においてはリン
含有率が6.59wt%となった。
【0032】上記のように、本実施形態では、ニッケル
被膜の上層部と下層部とで、膜質及びリン含有率が異な
り、その結果、上層部ではリン含有率が少ないために置
換型の無電解金めっきが容易に行えるとともに、下層部
ではリン含有率が高くなっているため、ニッケル被膜の
深さ方向には侵食がされにくく、上記の侵食部4cも下
層部の内部にまでは侵入しない。したがって、ニッケル
被膜4の表面状態も従来よりも平滑化され、金被膜も均
一に形成することができ、金被膜の表面も従来よりも均
一かつ平坦に形成することができる。
被膜の上層部と下層部とで、膜質及びリン含有率が異な
り、その結果、上層部ではリン含有率が少ないために置
換型の無電解金めっきが容易に行えるとともに、下層部
ではリン含有率が高くなっているため、ニッケル被膜の
深さ方向には侵食がされにくく、上記の侵食部4cも下
層部の内部にまでは侵入しない。したがって、ニッケル
被膜4の表面状態も従来よりも平滑化され、金被膜も均
一に形成することができ、金被膜の表面も従来よりも均
一かつ平坦に形成することができる。
【0033】上記の製造工程においては、パラジウム被
膜3を形成したことによって、ニッケル被膜4の形成速
度が向上し、さらに、ニッケル被膜4の表面状態も向上
し、かつ、ニッケル被膜の上層部のリン含有率が減少し
たことによって、金被膜の形成速度も向上した。従来方
法で本実施形態と同一のめっき液を用いて形成したニッ
ケル被膜上に0.5μm厚さの金被膜を本実施形態と同
一のめっき液を用いて形成する場合、約25分間かかっ
ていたのが、本実施形態では約10分間で形成できるよ
うになった。
膜3を形成したことによって、ニッケル被膜4の形成速
度が向上し、さらに、ニッケル被膜4の表面状態も向上
し、かつ、ニッケル被膜の上層部のリン含有率が減少し
たことによって、金被膜の形成速度も向上した。従来方
法で本実施形態と同一のめっき液を用いて形成したニッ
ケル被膜上に0.5μm厚さの金被膜を本実施形態と同
一のめっき液を用いて形成する場合、約25分間かかっ
ていたのが、本実施形態では約10分間で形成できるよ
うになった。
【0034】上記実施形態においては、パラジウムめっ
き液及びパラジウム被膜にはリンが含有されているが、
リンを含有しないパラジウム被膜でも支障なく同様の効
果を得ることができる。
き液及びパラジウム被膜にはリンが含有されているが、
リンを含有しないパラジウム被膜でも支障なく同様の効
果を得ることができる。
【0035】また、本実施形態によれば、パラジウム被
膜は0.1μm〜0.2μmの厚さに形成されている
が、パラジウム被膜はパッド基部2上に全面的に形成さ
れていればよい。実際には、パラジウム被膜の厚さは
0.01μm以上であるとほぼ全面的な被覆ができてい
ると思われる。パラジウム被膜の厚さの上限は、0.2
μm程度が好ましい。これ以上厚く形成しても効果に差
は見られず、またメッキ処理の時間や材料コストがかか
るため、経済的でないからである。
膜は0.1μm〜0.2μmの厚さに形成されている
が、パラジウム被膜はパッド基部2上に全面的に形成さ
れていればよい。実際には、パラジウム被膜の厚さは
0.01μm以上であるとほぼ全面的な被覆ができてい
ると思われる。パラジウム被膜の厚さの上限は、0.2
μm程度が好ましい。これ以上厚く形成しても効果に差
は見られず、またメッキ処理の時間や材料コストがかか
るため、経済的でないからである。
【0036】本実施形態では、無電解ニッケルめっき浴
にリン酸化合物を混入させ、ニッケル被膜中に全体とし
てリンが6〜7wt%程度含有されるようにしている
が、その結果、上記のように、ニッケル被膜の下層部に
はリンが5〜9wt%程度、上層部には3〜7wt%程
度含まれることが判明した。この原因は明らかではない
が、パラジウム被膜上に対しては、上記ニッケルめっき
液中のリンがニッケルよりもより析出し易くなっている
ことが考えられる。また、上層部と下層部との被膜の膜
質が異なることから、膜質によって析出組成が異なる可
能性もある。
にリン酸化合物を混入させ、ニッケル被膜中に全体とし
てリンが6〜7wt%程度含有されるようにしている
が、その結果、上記のように、ニッケル被膜の下層部に
はリンが5〜9wt%程度、上層部には3〜7wt%程
度含まれることが判明した。この原因は明らかではない
が、パラジウム被膜上に対しては、上記ニッケルめっき
液中のリンがニッケルよりもより析出し易くなっている
ことが考えられる。また、上層部と下層部との被膜の膜
質が異なることから、膜質によって析出組成が異なる可
能性もある。
【0037】このニッケル被膜には、全体として被膜中
のリンの平均含有率が3〜10wt%になるようにめっ
き液を調製すれば、パッド基部上へ金被覆を施す場合の
下地としては有効である。ニッケル被膜中のリンの平均
含有率が3wt%未満では、パラジウム被膜に近い下層
部においても、置換型の無電解金めっき液に対する耐蝕
性を充分に得ることができず、また、ニッケル被膜中の
リンの平均含有率が10wt%を越えると、表面に近い
上層部においても、置換型の無電解金めっきを有効に行
うことのできる程度のニッケル被膜の低いリン含有率を
得ることができない。
のリンの平均含有率が3〜10wt%になるようにめっ
き液を調製すれば、パッド基部上へ金被覆を施す場合の
下地としては有効である。ニッケル被膜中のリンの平均
含有率が3wt%未満では、パラジウム被膜に近い下層
部においても、置換型の無電解金めっき液に対する耐蝕
性を充分に得ることができず、また、ニッケル被膜中の
リンの平均含有率が10wt%を越えると、表面に近い
上層部においても、置換型の無電解金めっきを有効に行
うことのできる程度のニッケル被膜の低いリン含有率を
得ることができない。
【0038】一般に、置換型の無電解金めっきにおいて
は、前記ニッケル被膜4のリン含有率が低い方が置換反
応が起こりやすくなり、逆に、ニッケル被膜4中のリン
含有率が高くなると置換反応は起きにくくなる。置換型
の無電解金めっきを行うことのできるニッケル被膜のリ
ン含有率の臨界領域は、6〜8wt%程度であると考え
られる。本実施形態においては、ニッケル被膜4の上層
部は、ニッケル被膜中の平均含有率よりもリン含有率が
低くなるため、ニッケル被膜4は形成されやすくなって
いる。したがって、ニッケル被膜中の平均含有率が10
wt%未満であれば、置換型の無電解金めっきによりニ
ッケル被膜上に金被膜を形成することは充分に可能であ
る。
は、前記ニッケル被膜4のリン含有率が低い方が置換反
応が起こりやすくなり、逆に、ニッケル被膜4中のリン
含有率が高くなると置換反応は起きにくくなる。置換型
の無電解金めっきを行うことのできるニッケル被膜のリ
ン含有率の臨界領域は、6〜8wt%程度であると考え
られる。本実施形態においては、ニッケル被膜4の上層
部は、ニッケル被膜中の平均含有率よりもリン含有率が
低くなるため、ニッケル被膜4は形成されやすくなって
いる。したがって、ニッケル被膜中の平均含有率が10
wt%未満であれば、置換型の無電解金めっきによりニ
ッケル被膜上に金被膜を形成することは充分に可能であ
る。
【0039】特に、ニッケル被膜のリンの含有率として
は、上層部において3〜7wt%程度、下層部において
8〜12wt%程度であることが望ましい。上層部のリ
ンの含有率を単一のめっき工程にて上記範囲より低くす
ることは困難であり、上記範囲よりも高くすると置換型
の無電解金メッキを施すことが困難になる。一方、下層
部のリンの含有率を上記範囲より低くすると置換型の無
電解金メッキを行う際の耐蝕性に問題が生じ、上記範囲
より高くすると、上層部におけるリンの含有率を上記範
囲内に収めることが困難になる。
は、上層部において3〜7wt%程度、下層部において
8〜12wt%程度であることが望ましい。上層部のリ
ンの含有率を単一のめっき工程にて上記範囲より低くす
ることは困難であり、上記範囲よりも高くすると置換型
の無電解金メッキを施すことが困難になる。一方、下層
部のリンの含有率を上記範囲より低くすると置換型の無
電解金メッキを行う際の耐蝕性に問題が生じ、上記範囲
より高くすると、上層部におけるリンの含有率を上記範
囲内に収めることが困難になる。
【0040】金被膜5とニッケル被膜4との界面5aか
らは侵食部4cが下方に向かって伸びている。この侵食
部4cはニッケル被膜4の膜質の弱い部分がめっき液中
に溶け出して形成されるものと思われる。侵食部4cの
深さは場所によって様々であるが、最も深く形成された
ものにおいても、ニッケル被膜4の下層部の上部にて停
止している。これは、ニッケル被膜4においては、下層
に進む程にリン含有率が高くなっているため、めっき液
とニッケル被膜との置換反応が発生しにくいため、侵食
部4cが下方に伸びにくくなっているためであると思わ
れる。
らは侵食部4cが下方に向かって伸びている。この侵食
部4cはニッケル被膜4の膜質の弱い部分がめっき液中
に溶け出して形成されるものと思われる。侵食部4cの
深さは場所によって様々であるが、最も深く形成された
ものにおいても、ニッケル被膜4の下層部の上部にて停
止している。これは、ニッケル被膜4においては、下層
に進む程にリン含有率が高くなっているため、めっき液
とニッケル被膜との置換反応が発生しにくいため、侵食
部4cが下方に伸びにくくなっているためであると思わ
れる。
【0041】なお、ニッケル被膜4の下層部にて金めっ
きによる浸触が止まることにより、従来のように、侵食
部4cがパッド基部2まで到達することによって発生す
る銅による金めっき浴の汚染を防ぐことができ、金めっ
き浴の寿命を高めることができる。
きによる浸触が止まることにより、従来のように、侵食
部4cがパッド基部2まで到達することによって発生す
る銅による金めっき浴の汚染を防ぐことができ、金めっ
き浴の寿命を高めることができる。
【0042】図4は、本実施形態におけるレジスト層1
2の外縁付近のパッド基部2上の積層構造を示す縦断面
図である。各めっき被膜の構造は図1(d)と同様であ
るので、同一構造部には同一符号を付し、その説明は省
略する。図4に示すように、配線パターン11上を被覆
するレジスト層12の側面部12aに接触する部分にお
いて、各被膜ともにやや膜厚が大きくなって程度であ
り、特に成膜の乱れもなく、比較的滑らかな外縁部とな
っている。
2の外縁付近のパッド基部2上の積層構造を示す縦断面
図である。各めっき被膜の構造は図1(d)と同様であ
るので、同一構造部には同一符号を付し、その説明は省
略する。図4に示すように、配線パターン11上を被覆
するレジスト層12の側面部12aに接触する部分にお
いて、各被膜ともにやや膜厚が大きくなって程度であ
り、特に成膜の乱れもなく、比較的滑らかな外縁部とな
っている。
【0043】一方、図6には、上記従来の製造方法にて
成膜を行った場合であって、ニッケルめっき工程の前に
配線基板1を浸漬する溶液中の塩化パラジウム濃度を1
0ppmから20ppmへと上昇させた場合のレジスト
層12との接触部を示す。ここで、パッド基部21の上
に、ニッケル被膜22、金被膜23の順で積層してい
る。パッド基部21とニッケル被膜22との間には、触
媒としてのパラジウムが付着している程度であり、パッ
ド基部21の表面上に全面的にパラジウム被膜が形成さ
れているわけではない。この場合には、レジスト24の
側面部24aに接触する部分のニッケル被膜22が異常
に厚く形成されてしまい、ニッケル被膜22がレジスト
層24の側面部24aに沿って上方に盛り上がった断面
形状となっている。
成膜を行った場合であって、ニッケルめっき工程の前に
配線基板1を浸漬する溶液中の塩化パラジウム濃度を1
0ppmから20ppmへと上昇させた場合のレジスト
層12との接触部を示す。ここで、パッド基部21の上
に、ニッケル被膜22、金被膜23の順で積層してい
る。パッド基部21とニッケル被膜22との間には、触
媒としてのパラジウムが付着している程度であり、パッ
ド基部21の表面上に全面的にパラジウム被膜が形成さ
れているわけではない。この場合には、レジスト24の
側面部24aに接触する部分のニッケル被膜22が異常
に厚く形成されてしまい、ニッケル被膜22がレジスト
層24の側面部24aに沿って上方に盛り上がった断面
形状となっている。
【0044】図6に示すニッケル被膜22の外縁部の異
常形状の原因は明らかではないが、従来の触媒液として
用いる塩化パラジウム溶液への浸漬では、レジスト24
とパッド基部21との界面部にパラジウム溶液が溜り、
ここからニッケル被膜22が異常成長するのではないか
と思われる。
常形状の原因は明らかではないが、従来の触媒液として
用いる塩化パラジウム溶液への浸漬では、レジスト24
とパッド基部21との界面部にパラジウム溶液が溜り、
ここからニッケル被膜22が異常成長するのではないか
と思われる。
【0045】本実施形態では、パッド基部上にパラジウ
ム被膜を形成するため、パッド基部周辺に触媒液を接触
させ、付着させたパラジウムの付着状態を保持する必要
がないことから、レジストとの界面部分におけるニッケ
ルの異常析出も防止できるているものと考えられる。
ム被膜を形成するため、パッド基部周辺に触媒液を接触
させ、付着させたパラジウムの付着状態を保持する必要
がないことから、レジストとの界面部分におけるニッケ
ルの異常析出も防止できるているものと考えられる。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、銅
を主体とする材料で構成された回路電極部上に無電解メ
ッキによりパラジウム被膜を全面的に形成し、その上に
ニッケル被膜を形成すると、パラジウム被膜に近い下層
部では、ニッケル被膜中のリンの含有率が高くなり、上
層部にいく程リンの含有率は低下していく。このため、
ニッケル被膜上に置換型の無電解金めっきを行うと、ニ
ッケル被膜の上層部はリンの含有率が低いことから支障
なく金被膜を形成することができるとともに、仮にニッ
ケル被膜の膜質の劣った部分にて侵食が発生しても、リ
ンの含有率の高い下層部において侵食が停止し、侵食は
縦方向よりもむしろリンの含有率の低い上層部において
均一に発生するようになるので、従来よりもニッケル被
膜の浸触が抑制され、金被膜表面のシミや変色が少なく
なるとともに、クラックの発生も防止される。
を主体とする材料で構成された回路電極部上に無電解メ
ッキによりパラジウム被膜を全面的に形成し、その上に
ニッケル被膜を形成すると、パラジウム被膜に近い下層
部では、ニッケル被膜中のリンの含有率が高くなり、上
層部にいく程リンの含有率は低下していく。このため、
ニッケル被膜上に置換型の無電解金めっきを行うと、ニ
ッケル被膜の上層部はリンの含有率が低いことから支障
なく金被膜を形成することができるとともに、仮にニッ
ケル被膜の膜質の劣った部分にて侵食が発生しても、リ
ンの含有率の高い下層部において侵食が停止し、侵食は
縦方向よりもむしろリンの含有率の低い上層部において
均一に発生するようになるので、従来よりもニッケル被
膜の浸触が抑制され、金被膜表面のシミや変色が少なく
なるとともに、クラックの発生も防止される。
【0047】また、このようなニッケル被膜上に形成さ
れた置換型の無電解メッキによる金被膜には、きめが細
かく、凹凸が少ない滑らかな表面が形成されるので、回
路電極部のボンディング性が向上する。
れた置換型の無電解メッキによる金被膜には、きめが細
かく、凹凸が少ない滑らかな表面が形成されるので、回
路電極部のボンディング性が向上する。
【0048】さらに、無電解メッキによりパラジウム被
膜を全面的に形成したことにより、従来よりもニッケル
被膜が形成されやすくなり、ニッケル被膜の形成速度が
向上するとともに、ニッケル被膜の上層部のリンの含有
率が低くなることにより、金被膜の形成速度も向上す
る。したがって、メッキ被覆工程の処理時間を短縮する
ことができる。
膜を全面的に形成したことにより、従来よりもニッケル
被膜が形成されやすくなり、ニッケル被膜の形成速度が
向上するとともに、ニッケル被膜の上層部のリンの含有
率が低くなることにより、金被膜の形成速度も向上す
る。したがって、メッキ被覆工程の処理時間を短縮する
ことができる。
【図1】本発明に係る回路電極部の製造方法の実施形態
を示す工程断面図(a)〜(d)である。
を示す工程断面図(a)〜(d)である。
【図2】本発明に係る回路電極部の積層構造の実施形態
を示す拡大縦断面図である。
を示す拡大縦断面図である。
【図3】上記実施形態における配線基板の平面形状の一
部を示す拡大平面図である。
部を示す拡大平面図である。
【図4】上記実施形態におけるレジスト層と各めっき被
膜との接触部の形状を示す拡大縦断面図である。
膜との接触部の形状を示す拡大縦断面図である。
【図5】従来のパッド基部上のめっき被膜の積層構造を
示す拡大縦断面図(a)と積層されためっき被膜の状態
を示す拡大縦断面図である。
示す拡大縦断面図(a)と積層されためっき被膜の状態
を示す拡大縦断面図である。
【図6】従来のパッド基部のめっき被膜の積層構造にお
ける、レジスト層と各めっき被膜との接触部の形状を示
す拡大縦断面図である。
ける、レジスト層と各めっき被膜との接触部の形状を示
す拡大縦断面図である。
1、20 配線基板 2、21 パッド基部 3 パラジウム被膜 4、22 ニッケル被膜 5、23 金被膜 11、24 レジスト層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 湊 真由美 長野県茅野市豊平1528番地 有限会社オ ーシャン内 (56)参考文献 特開 平7−268640(JP,A) 特公 平8−1980(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05K 3/10 - 3/38
Claims (5)
- 【請求項1】 基板上に設けられた回路パターンにおけ
る少なくとも表面が銅を主体とする材料で構成された回
路電極部上に、無電解めっきによりパラジウム被膜を全
面的に形成する工程と、該パラジウム被膜上に無電解め
っきによりリンを含有するニッケル被膜を形成する工程
と、該ニッケル被膜上に置換反応による無電解金めっき
を行うことにより金被膜を形成する工程とを有すること
を特徴とする回路電極部の製造方法。 - 【請求項2】 請求項1において、前記ニッケル被膜を
形成する工程において用いられるニッケルめっき液は、
形成されるニッケル被膜のリンの平均含有率が3〜10
wt%となるように調製されているものであることを特
徴とする回路電極部の製造方法。 - 【請求項3】 請求項1において、前記ニッケル被膜の
上層部におけるリンの含有率が7wt%未満、前記ニッ
ケル被膜の下層部におけるリンの含有率が8wt%以上
となるように、前記ニッケル被膜を形成する工程におけ
るニッケルめっき液のリン濃度を調整して成膜すること
を特徴とする回路電極部の製造方法。 - 【請求項4】 基板上に設けられた回路パターンにおけ
る少なくとも表面が銅を主体とする材料で構成された回
路電極部上に、全面的に形成されたパラジウム被膜と、
該パラジウム被膜の表面上に形成されたリンを含有する
ニッケル被膜と、該ニッケル被膜の表面を置換すること
によって形成された金被膜とを備え、前記ニッケル被膜
の下層部のリンの含有率が相対的に高く、前記ニッケル
被膜の上層部のリンの含有率が相対的に低くなるように
形成されていることを特徴とする回路電極部。 - 【請求項5】 請求項4において、前記ニッケル被膜の
上層部のリンの含有率は3〜7wt%、前記ニッケル被
膜の下層部のリンの含有率は8〜12wt%であること
を特徴とする回路電極部。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP07441197A JP3208348B2 (ja) | 1997-03-10 | 1997-03-10 | 回路電極部の製造方法及び回路電極部 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP07441197A JP3208348B2 (ja) | 1997-03-10 | 1997-03-10 | 回路電極部の製造方法及び回路電極部 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10256708A JPH10256708A (ja) | 1998-09-25 |
JP3208348B2 true JP3208348B2 (ja) | 2001-09-10 |
Family
ID=13546434
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP07441197A Expired - Fee Related JP3208348B2 (ja) | 1997-03-10 | 1997-03-10 | 回路電極部の製造方法及び回路電極部 |
Country Status (1)
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---|---|
JP (1) | JP3208348B2 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6259161B1 (en) | 1999-06-18 | 2001-07-10 | Mitsubishi Denki Kabushiki Kaisha | Circuit electrode connected to a pattern formed on an organic substrate and method of forming the same |
JP2003110209A (ja) | 2001-10-02 | 2003-04-11 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 電子部品 |
EP2740818B1 (en) * | 2012-12-05 | 2016-03-30 | ATOTECH Deutschland GmbH | Method for manufacture of wire bondable and solderable surfaces on noble metal electrodes |
JP6163023B2 (ja) * | 2013-06-10 | 2017-07-12 | 日本電波工業株式会社 | 水晶デバイス及び水晶デバイスの製造方法 |
JP7567797B2 (ja) * | 2019-09-13 | 2024-10-16 | 株式会社レゾナック | 積層体およびその製造方法 |
-
1997
- 1997-03-10 JP JP07441197A patent/JP3208348B2/ja not_active Expired - Fee Related
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---|---|
JPH10256708A (ja) | 1998-09-25 |
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