JP3207962B2 - 混合冷媒漏れ検出方法 - Google Patents

混合冷媒漏れ検出方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、冷凍サイクルにおける
非共沸に適する混合冷媒漏れ検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】冷凍サイクル内に封入されている冷媒の
漏れ検出は、冷凍装置や周囲の環境の保護のため必要で
あり、冷媒として非共沸混合冷媒を用いた場合には、そ
の混合成分に可燃性の冷媒が含まれることが考えられ
る。このため冷媒漏れが起こったときは、これをいち早
く確実に検出して適切な処置を行う必要がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし従来の漏れ検出
装置は、空間内の酸素量検出方式が多く、漏れてから相
当の時間を経ないと検出できなかったり、装置自体が大
がかりであるなどの問題があった。また、比較的小型の
冷凍サイクルには漏れ検出装置が装備されていないもの
もある。
【0004】そこで、本発明は、小型の装置で、混合冷
媒の冷媒漏れをいち早く確実に検出することに寄与し得
混合冷媒漏れ検出方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、非共沸混合冷媒を用いた冷凍サイクルに
おける混合冷媒の成分比検出方法であって、熱交換器の
温度勾配と圧力を検出し、これらの検出値から混合冷媒
の成分比を検出することにより、当該混合冷媒の漏れを
判定することを要旨とする。
【0006】
【作用】上記構成において、非共沸混合冷媒は低沸点の
混合成分が気体になり易く漏れ易い。そこで、混合冷媒
の成分比を監視することで、冷媒漏れが生じた場合には
これをいち早く確実に検出することが可能となる。この
場合、熱交換器では混合冷媒の成分比に応じた温度勾配
が生じることと、圧力低下が顕著に現れるため、熱交換
器の温度勾配と圧力の2つの条件に基づいて検出するこ
とにより、これらの検出値から混合冷媒の成分比の変化
が確実に求められる。この結果、正確な冷媒漏れの程度
を知ることが可能となる。
【0007】
【実施例】以下、本発明の実施例を図を参照して説明す
る。
【0008】図1乃至図5は、本発明の第1実施例を示
す図である。図4は、非共沸混合冷媒を用いた冷凍サイ
クルの全体構成を示しており、同図において、11は圧
縮機、12は凝縮器、13は絞り機構、14は蒸発器で
あり、この冷凍サイクルにおける液相配管の部分に混合
冷媒漏れ検出装置10が配設されている。図1は、この
混合冷媒漏れ検出装置10の構成の詳細を示している。
図1において、1,2は対の誘電率検出用電極、3は冷
媒配管、4は絶縁体、5は液混合冷媒、6は温度検出装
置、7は成分比演算装置である。このような装置構成に
おいて、誘電率検出用電極1,2間の静電容量Cr は、
次式(1)で示される。
【0009】 Cr =εo ・εr ・(S/d) …(1) ここで、εo は真空中の誘電率、εr は混合冷媒の比誘
電率、Sは電極の面積、dは電極間距離を示す。(1)
式よりεr は、 εr =(Cr ・d)/(εo ・S) …(2) として算出され、電極1,2間の静電容量を検出するこ
とで混合冷媒5の誘電率を求めることができる。一般に
冷媒の比誘電率は温度特性を持っているため、図2に示
すように、予め混合される冷媒単体の誘電率の温度特性
を計測しておく。ここでは例として冷媒Aと冷媒Bを用
いるものとする。そして、次式(3),(4)のように
各冷媒の温度特性式を算出する。
【0010】 冷媒A単体の特性式→εA =αT+β …(3) 冷媒B単体の特性式→εB =γT+δ …(4) ここで、εA は冷媒A単体の誘電率、εB は冷媒B単体
の誘電率、Tは冷媒温度、α,β,γ、及びδは定数で
ある。
【0011】一方、これらの冷媒がA:B=x:(10
0−x)[%]で混合された場合、その混合冷媒の誘電
率εr は、
【数1】 εr =εA ・(x/100)+εB ・((100−x)/100) …(5) で示される。(5)式をxについて整理すると、
【数2】 x=(100・(εr −εB ))/(εA −εB ) …(6) となり、(6)式のεr には(2)式、εA には(3)
式、εB には(4)式を代入することで、成分比xを演
算することができ、混合冷媒の成分比xはその誘電率と
温度の関数で表すことができる。そして誘電率と温度と
が誘電率検出用電極1,2と温度検出装置6でそれぞれ
検出され、(6)式の演算が成分比演算装置7でなされ
て混合冷媒5の成分比が求められる。
【0012】非共沸混合冷媒では、低沸点側の冷媒成分
が気体になり易いことからスローリークの場合は、この
冷媒成分が漏れ易い。そこで、例えば表1に示すよう
な、A,Bという2種の冷媒を混合した場合は、上述の
ようにして求められた成分比を監視することで図3に示
すように冷媒漏れを検出できる。
【0013】 なお、冷凍サイクル中への混合冷媒漏れ検出装置10の
設置は、図5に示すように、冷凍サイクル中に強制的に
混合冷媒を貯留させる冷媒貯留容器15を設け、この冷
媒貯留容器15の部分に混合冷媒漏れ検出装置10を設
置してもよい。16は冷媒貯留容器15の温度を制御す
る貯留容器温度制御装置である。
【0014】次いで、図6及び図7には、本発明の第2
実施例を示す。本実施例は混合冷媒の冷媒漏れを、熱交
換器の温度勾配と圧力を検出し、これらの検出値から判
定するようにしたものである。図6は、ある冷媒を混合
した場合のP−h線図を示している。混合冷媒は、その
成分比によっては2相域で同図に示すような温度勾配が
生じる。そこで、図7に示すように、この温度差(ΔT
=T2 −T1 )を検出することで、冷媒漏れによってあ
る一部の冷媒成分が抜けて混合冷媒の冷媒の成分比が変
わった場合には、温度差ΔTも変化することからその冷
媒漏れを検知することが可能となる。この検出時におい
て、冷凍サイクルによっては通常の使用状態でもサイク
ルの箇所によっては成分比が変わってしまうことがある
ため、検出が不正確になるが、冷媒漏れによる顕著な圧
力変化を同時に検出することで2つの条件下での検出と
なり、漏れ検出を確実に判定することが可能となる。
【0015】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
混合冷媒の成分比は、熱交換器の温度勾配と圧力の2つ
の条件下での検出値から求めるようにしたため、運転時
に混合冷媒の成分比に応じた温度勾配の検出が不正確で
あっても冷媒漏れによる圧力変化を一緒に検出すること
で冷媒漏れの程度を正確、かつ確実に知ることができ
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る混合冷媒漏れ検出方法の第1実施
例に適用される混合成分比検出装置の構成図である。
【図2】上記第1実施例における混合冷媒の誘電率の温
度特性例を示す図である。
【図3】上記第1実施例において漏れ前後の混合冷媒の
成分比の変化を示す図である。
【図4】上記第1実施例に適用される冷凍サイクルの構
成例を示す図である。
【図5】上記第1実施例に適用される冷凍サイクルの他
の構成例を示す図である。
【図6】本発明の第2実施例を説明するためのP−h線
図である。
【図7】上記第2実施例において冷媒漏れ前後の熱交換
器の圧力と温度勾配の変化を示す図である。
【符号の説明】
1,2 対の誘電率検出用電極 5 液混合冷媒 6 温度検出装置 7 成分比演算装置 10 混合冷媒漏れ検出装置 14 蒸発器(熱交換器)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新井 康弘 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株式会社東芝 住空間システム技術研究 所内 (72)発明者 岩永 隆喜 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株式会社東芝 住空間システム技術研究 所内 (72)発明者 後藤 功一 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株式会社東芝 住空間システム技術研究 所内 (56)参考文献 特開 昭59−129366(JP,A) 特開 昭60−251348(JP,A) 社団法人日本冷凍協会編、冷媒熱物性 値表(R22蒸気表),社団法人日本冷凍 協会発行,1975年11月19日,p.85−86 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F25B 49/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非共沸混合冷媒を用いた冷凍サイクルに
    おける冷媒成分比検出方法であって、熱交換器の温度勾
    配と圧力を検出し、これらの検出値から混合冷媒の成分
    比を検出することにより、当該混合冷媒の漏れを判定す
    ることを特徴とする混合冷媒漏れ検出方法
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社団法人日本冷凍協会編、冷媒熱物性値表(R22蒸気表),社団法人日本冷凍協会発行,1975年11月19日,p.85−86

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