JP3206800U - ハイヒールの圧力軽減靴底構造 - Google Patents

Abstract

【課題】ハイヒールを履いたときに身体、足部などに感じる不快感を低減し、足部の動きに適したハイヒールの圧力軽減靴底構造を提供する。【解決手段】ハイヒールの圧力軽減靴底構造は、前方の前足部から後方の踵にかけて高くなる基材１を含む。基材１には、靴の踵２と、インソール３とが結合される。インソール３上には、足裏が触れる表層４が形成される。基材１の外部には、靴面５が結合される。インソール３上には、足部の母指球領域に対応した箇所に、搭載領域３１が凹設され、搭載領域３１と周辺の平滑部とが連結され、表層４がインソール３の形状に応じて結合される。インソール３の搭載領域３１は、周辺の平滑部と連結し、インソール３の外側に形成された傾斜踏面へ至る。インソール３上の足部の母指球に対応する箇所に、搭載領域３１が接続された足指収容部３３が設けられる。足指収容部３３は、親指の形状に応じて凹む。【選択図】図１

Description

本考案は、ハイヒールの圧力軽減靴底構造に関し、特に、ハイヒールを履いたときに身体、足部などに感じる不快感を軽減し、足部の動きに適したハイヒールの圧力軽減靴底構造に関する。

女性（特に現代女性）にとって、ハイヒールは昔から女性のシンボル的なものであり、特別な意味を持っていた。ハイヒールとは、身体の見栄え（色っぽさを含む）に対する強烈な追求を具現化したものであり、美しくて精美な物の文化を体現したものでもある。

女性がハイヒールを穿くと、重心が後方へ移動し、足部が真っ直ぐ伸び、臀部が引っ込んで胸を張った姿勢となり、体が自然と直立する。このように、女性の特質が視覚的に強調され、女性の身体の完全で美しいラインがはっきりし、女性の立ち姿及び歩き姿が趣を有し、女性は自信を持つことができる。
しかし、以下（１）〜（５）の問題点があった。

（１）ハイヒールを履いた際、負担が最も大きい部位は足である。ハイヒールを履いたとき、体重の６０％は前足部で支えられるが、前傾姿勢により生じる負荷を足底で完全に支えることができないため、定形の靴面によっても前傾姿勢により生じる負荷を支える。また、前足部が靴面内に制限されているため、圧力が足指に集中し易い。
図６の拇指関節の母指球領域の横断面図を見ると分かるように、靴底６には僅かに円弧状を呈する支持面６１が形成される。拇指関節の母指球領域に下向きの圧力が加わらないときでも、僅かに円弧状を呈する支持面６１が母指球領域の形状により圧力を低減することができず、足底に力が集中して押圧され、母指球領域と靴底６とが過度に擦れたり（例えば、母指球領域及び足底の中央部分が擦れてマメが生じ）、押圧されて変形して外反母趾となったり、拇指関節部分が腫れて炎症を起こしたりする虞があった。
（２）多くの女性は、趾骨が長期間押圧されると、足指の中間部分の関節が変形して常に曲がった状態、即ち、槌状趾に罹る虞があった。
（３）踝の長趾伸筋腱を伸ばし過ぎると足や背中などが麻痺し、アキレス腱、踝関節が怪我し易くなる。アキレス腱には小腿及び足部の骨が接続されているため、ハイヒールを履くと、踵が地面から離れ、アキレス腱が長時間曲がって圧力がかかった状態となり、アキレス腱が変形して炎症して腫れ、足を伸ばすと痛みを感じることがあった。
（４）ハイヒールを履くと、体にかかる重心位置が変化し、骨盤が前方へ移動し、腰部が後方に傾くため、腰部が過度に伸びて背筋が強く収縮し、腰椎の小関節及び関節包が硬くなり易い。さらにその期間が長期間に及ぶと、関節包及び腰筋・背筋を痛め、腰筋・背筋膜が炎症を起こして腰部又は背中を痛める虞があった。さらに脊椎の曲がり具合が変化して脊髄神経が圧迫され、腰部から足部にかけて痛んだり麻痺したり、下肢が冷え性になったりすることがあった。
（５）販売スタッフ、サービスカウンタースタッフなど、ハイヒールを履いて長時間立って仕事をする者は、一日中直立していると、腰部、臀部及び大腿部の筋肉が緊張して腰仙部の神経が圧迫されて腰部及び臀部が痛み、腰椎の神経、臀部の神経が圧迫されることにより坐骨神経痛が起きることがあった。

そのため、本考案者は、従来技術の問題点を改善するハイヒールの圧力軽減靴底構造を開発した。

本考案の目的は、前足部により体重を支え、靴面が前傾して押圧されて足指に圧力が集中し、足底の応力伝達が妨げられる従来技術の問題点を改善し、母指球領域に１つの踏面が位置し、足底にかかる圧力を均等にし、簡単かつスムーズに圧力を分散させ、足部の動きに適し、ハイヒールを穿いたときに身体、足部などに感じる不快感を低減する、ハイヒールの圧力軽減靴底構造を提供することにある。

本考案のハイヒールの圧力軽減靴底構造は、以下の技術手段により達成される。ハイヒールは、基材、インソール、表層、靴面及び靴の踵により構成される。インソール上には、足部の母指球領域に対応する搭載領域が凹設される。この構成により、ハイヒールを履いた者は、前足部により体重を支えると、母指球領域が水平線よりも低くなり、外側から内側へかけて、外側が高くて内側が低い高度差を有する足部にかかる応力の案内経路が形成され、スムーズかつ快適に歩行することができる上、足部に圧力が加わり、脊椎が怪我をする虞がない。

上述したハイヒールの圧力軽減靴底構造の好適な実施形態において、インソールの母指球に対応する箇所に、搭載領域が接続された足指収容部が設けられる。足指収容部は、親指の形状に応じて凹む。

上述したハイヒールの圧力軽減靴底構造の好適な実施形態において、インソールの搭載領域は、周辺の平滑部と連結し、インソールの外側に形成された傾斜踏面へ至る。

上述したハイヒールの圧力軽減靴底構造の好適な実施形態において、表層は、インソール上に貼着されて足底が触れる層面である上、インソールの形状に応じて貼着される。

上述したハイヒールの圧力軽減靴底構造の好適な実施形態において、基材と靴の踵とは一体成形されてもよいし、分離式で粘着したり釘などで係合して成形したりしてもよい。

本考案の一実施形態に係るハイヒールの圧力軽減靴底構造を示す断面図である。 本考案の一実施形態に係るハイヒールの圧力軽減靴底構造の母指球領域の断面図である。 本考案の一実施形態に係るハイヒールの圧力軽減靴底構造の使用状態の説明図である。 本考案の一実施形態に係るハイヒールの圧力軽減靴底構造の足部にかかる応力の案内経路を示す説明図である。 本考案の一実施形態に係るハイヒールの圧力軽減靴底構造のインソールを示す上面図である。 従来技術のハイヒール構造を示す横断面図である。

以下、本考案の実施形態について図に基づいて説明する。なお、これによって本考案が限定されるものではない。

図１〜図３を参照する。
図１〜図３に示すように、本考案の一実施形態に係るハイヒールの圧力軽減靴底構造は、前方の前足部から後方の踵にかけて高くなる基材１を含む。基材１には、靴の踵２と、インソール３とが結合される。インソール３上には、足裏が触れる表層４が形成される。基材１の外部には、靴面５が結合される。

インソール３上には、足部の母指球領域Ｔに対応した箇所に、搭載領域３１が凹設されている。搭載領域３１と周辺の平滑部とが連結され、インソール３の形状に応じて表層４が結合される。

使用方式を説明する前に、人が歩くときに足部にかかる応力の案内経路について説明する。図４の矢印が示すように、人が歩くとき、まず、踵Ａが地面に接地し、その後、足底Ｂが地面に接地する。足部を前方へ移動するために足部を持ち上げると、踵Ａが上昇するに従い、応力が足部の外側から前方へ移動し、応力が矢印ａ１の方向で足底Ｂの小指Ｃ側の足横弓（即ち、第１の中足骨部及び第３の中足骨部）へ伝わる。即ち、足横弓の一辺に体重がかかると応力が伝わり、応力が矢印ａ２の方向で親指Ｄに至るまで応力が低い方へ移動し、中足骨部の位置がさらに前へ移動し、さらに低い位置の足横弓（第１の中足骨部）であり、歩行を続けて前進し、踵が上がると、応力が矢印ａ３の方向で親指Ｄへ伝わって地面から離れ、歩行動作が完了する。

図３を参照する。
図３に示すように、使用者がハイヒールを履いているとき、使用者の足底はハイヒールの弧面に応じて変化し、前足部により体重の６０％を支え、前足部が母指球領域Ｔを踏むと、母指球領域Ｔが水平線より低くなり、母指球領域Ｔが搭載領域３１へ陥入する。搭載領域３１と周辺の平滑部とが連結され、インソール３の外側に形成された傾斜踏面３２へ至り、前足部が僅かに内側へ傾くため、外側から内側にかけ、外側が高くて内側が低い高度差を有する足部にかかる応力の案内経路を得て、快適かつスムーズに歩行することができ、足部及び脊椎が怪我することを防ぐことができる。

さらに、本考案のハイヒールの圧力軽減靴底構造は、ハイヒールを履いて歩く際、重心が安定して身体の安定性が高い。本考案は、従来技術の３点支持設計と異なり（一般に人が立つときは、第１の中足骨の根元、第５の中足骨の根元及び踵骨の３点で支える）、母指球領域Ｔが搭載領域３１に陥入し、搭載領域３１と周辺の平滑部とが連結されて傾斜踏面３２が形成されると、図２に示すように、内側へ傾いた面が接触される方式により、前足部の重心の均衡がとれるため、歩いたり静止したりしているときの安定度が高まり、足底が地面に加える力の角度に有利で、足部の筋肉が疲労することを防ぐ。

図５を参照する。
図５に示すように、ハイヒールを履いたときに、足指がさらに快適となるように、インソール３の親指Ｄに対応した箇所に搭載領域３１が接続され、親指Ｄの形状に応じて凹む足指収容部３３が設けられる。

上述した説明に基づき、女性１０名の被験者に街を歩いてもらったり、階段を上り下りしてもらったり、長時間履いてもらったりして得た被験者の感想は以下（１）〜（５）である。

（１）地面の上を快適に歩くことができた。
（２）全体的に身体の疲労感が大幅に減った。
（３）長時間立っても足が痛くならなかった。
（４）以前よりも腰椎が圧迫されなくなった。
（５）足の疲労が大幅に減った。

上述したことから分かるように、本考案のハイヒールの圧力軽減靴底構造は、従来技術と比べて以下（１）〜（４）の長所を有する。
（１）母指球が搭載領域に陥入して沈むため、第１の中足骨部位が内側へ正しく位置し、足部全体で見ると、第１の中足骨から下腿骨へ至るラインが略直線となり、足部のラインが略直線に見え、下半身のラインが美しくなる。
（２）母指球が搭載領域に陥入して沈むため、足底が内側へ正しく位置し、足底が内側へ捻るときに足横弓にかかる圧力を減らし、引っ張られて曲がってしまうことを防ぐ。
（３）母指球が搭載領域に陥入して沈むため、足底が内側へ正しく位置し、足底が外方へ捻ることを防ぎ、足部のラインを略直線にし、踵が捻られることを防ぐ。
（４）従来、親指側辺の靴底と靴面とが交差する箇所には、足指を収容する空間が無かったが、本考案は、足指収容部を有するため、足部のラインを美しくし、靴内で使用する容積を増大させ、足指収容部の容積が拡大されると、親指の支持面積が増え、靴面が親指に加える圧力が減り、靴側部の内圧角度を変え、外反母趾が起きることを防ぐ。

１ 基材
２ 靴の踵
３ インソール
４ 表層
５ 靴面
６ 靴底
３１ 搭載領域
３２ 傾斜踏面
３３ 足指収容部
６１ 支持面
Ａ 踵
Ｂ 足底
Ｃ 小指
Ｄ 親指
Ｔ 母指球

Claims (3)

1. 前方の前足部から後方の踵にかけて高くなる基材を含み、
   前記基材には、靴の踵と、インソールとが結合され、
   前記インソール上には、足裏が触れる表層が形成され、
   前記基材の外部には、靴面が結合され、
   前記インソール上には、足部の母指球領域に対応した箇所に、搭載領域が凹設され、前記搭載領域と周辺の平滑部とが連結され、前記表層が前記インソールの形状に応じて結合されることを特徴とする、
   ハイヒールの圧力軽減靴底構造。
2. 前記インソールの前記搭載領域は、前記周辺の平滑部と連結し、前記インソールの外側に形成された傾斜踏面へ至ることを特徴とする請求項１に記載のハイヒールの圧力軽減靴底構造。
3. 前記インソール上の足部の母指球に対応する箇所に、前記搭載領域が接続された足指収容部が設けられ、前記足指収容部は、親指の形状に応じて凹むことを特徴とする請求項１に記載のハイヒールの圧力軽減靴底構造。

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