JP3206753B2 - ラックアンドピニオン式舵取装置のラックブシュ - Google Patents

ラックアンドピニオン式舵取装置のラックブシュ

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JP3206753B2
JP3206753B2 JP33951890A JP33951890A JP3206753B2 JP 3206753 B2 JP3206753 B2 JP 3206753B2 JP 33951890 A JP33951890 A JP 33951890A JP 33951890 A JP33951890 A JP 33951890A JP 3206753 B2 JP3206753 B2 JP 3206753B2
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博 金光
宏明 早川
弘 上田
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Taiho Kogyo Co Ltd
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Taiho Kogyo Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】
本発明はラックブシュに関し、より詳しくは、ラック
アンドピニオン式舵取装置のラックブシュに関する。
【従来の技術】
従来、ラックアンドピニオン式舵取装置のラックブシ
ュとして、ラックチューブ内に嵌合され、かつラックバ
ーが摺動自在に貫通される円筒部材の円周方向等間隔位
置に、一方の端部が該円筒部材の端面に開口する複数の
スリットを軸方向に沿って形成し、上記各スリットから
相互に隣接する各スリットの円周方向中央部に向けて、
上記ラックチューブの内面に嵌着される大径部と、上記
円筒部材の肉厚を薄くした薄肉部と、上記ラックチュー
ブの内面から所定距離だけ離隔する小径部とを順次形成
したものが知られている(実公平1−18890号公報)。
【発明が解決しようとする課題】
しかるに従来は上記ラックブシュをポリアセタールか
ら製造していたが、ポリアセタールでは長期間の使用に
より比較的大きな摩耗が生じることがあり、大きな摩耗
が生じるとラックバーとラックブシュとの間のクリアラ
ンスが大きくなって打音が発生するようになる。 したがって本発明は、耐摩耗性および衝撃強度に優れ
たラックアンドピニオン式舵取装置のラックブシュを提
供するものである。
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、上述のラックブシュすなわちラッ
クチューブ内に嵌合され、かつラックバーが摺動自在に
貫通される円筒部材の円周方向等間隔位置に、一方の端
部が該円筒部材の端面に開口する複数のスリットを軸方
向に沿って形成し、上記各スリットから相互に隣接する
各スリットの円周方向中央部に向けて、上記ラックチュ
ーブの内面に嵌着される大径部と、上記円筒部材の肉厚
を薄くした薄肉部と、上記ラックチューブの内面から所
定距離だけ離隔する小径部とを順次形成したラックアン
ドピニオン式舵取装置のラックブシュにおいて、 該ラックブシュを、ポリアセタール、ポリアミド、ポ
リフェニレンスルフィド、ポリブチルテレフタレートお
よび超高分子ポリエチレンの少なくとも1種と、酸化亜
鉛ウイスカーとからなる樹脂軸受材料から製造し、かつ
上記酸化亜鉛ウイスカーの添加量を8〜12wt%の範囲に
設定したものである。
【作用】
本発明のラックブシュにおける樹脂軸受材料の基材
は、ポリアセタール、ポリアミド、ポリフェニレンスル
フィド、ポリブチルテレフタレートおよび超高分子ポリ
エチレンの少なくとも1種である。そしてこの基材に含
まれる酸化亜鉛ウイスカーは、その形状がテトラポッド
状なので、樹脂を射出成形する際にその方向性を考慮す
る必要がなく、しかもそのテトラポッド状の形状により
効果的に剥離を防止して安定した耐摩耗性を得ることが
できる。 また、酸化亜鉛ウイスカーの添加量を8〜12wt%の範
囲とすることにより、優れた衝撃強度を得ることができ
る。
【実施例】
以下図示実施例について本発明を説明すると、第1図
ないし第3図において、本発明に係るラックブシュ1は
ラックチューブ2内に嵌合され、かつラックバー3が摺
動自在に貫通されるようになっている。上記ラックブシ
ュ1は、大径筒状部4Aと小径筒状部4Bとを有する段付の
円筒部材4を備えており、それら大径筒状部4Aと小径筒
状部4Bとを上記ラックチューブ2の大径孔2aおよび小径
孔2b内にそれぞれ嵌合している。また上記ラックチュー
ブ2にはクランパ5によってラックブーツ6を取付けて
いる。 上記円筒部材4の大径筒状部4Aと小径筒状部4Bとは同
一の内径を有しており、小径筒状部4Bの開口側に開口側
が拡径したテーパ部4aを形成して、上記ラックバー3を
そのテーパ部4aにより容易に円筒部材4に密嵌貫通させ
ることができるようにしている。 また上記円筒部材4には、その円周方向等間隔位置に
3本の軸方向に延びるスリット7を形成してあり、各ス
リット7はそれぞれ一方の端部が円筒部材4の大径筒状
部4A側の端面に開口し、他方の端部は小径筒状部4Bの軸
方向中間部に位置している。そして上記大径筒状部4Aと
小径筒状部4Bとの間の段部に、各スリット7の両側で小
径筒状部4B側に延びるリブ8を形成してその部分を補強
している。 さらに第2図、第3図に示すように、上記大径筒状部
4Aの外周面に、上記各スリット7から相互に隣接する各
スリット7の円周方向中央部に向けて、大径部4b、薄肉
部4c(第3図)および小径部4dを順次形成している。各
スリット7の両側に位置する上記大径部4bはそのスリッ
ト7に沿って軸方向に形成され、かつ上記ラックチュー
ブ2の大径孔2a内に嵌着される。また隣接する各スリッ
ト7の円周方向中央部に位置する小径部4dは、上記スリ
ット7に沿って軸方向に形成され、かつ上記ラックチュ
ーブ2の大径孔2aの内面から所定の間隔δだけ離隔する
ようになる。 また、上記薄肉部4cは大径部4bと小径部4dとの間で軸
方向に延びており、図示実施例では円筒部材4の内面に
軸方向に沿って溝9を形成することにより、この薄肉部
4cの肉厚を他の部分の肉厚よりも薄くしている。この薄
肉部4cは、円筒部材4の内面に溝9を形成する代わり
に、円筒部材4の外面に溝9をことによって形成しても
よい。 さらに、上記各小径部4dの自由端側に半径方向外方に
突出する突起10をそれぞれ形成し、各突起10を上記ラッ
クチューブ2に形成した係合孔11にそれぞれ係合させる
ことにより、ラックブシュ1をラックチューブ2に取付
けている。 そして上記ラックブシュ1をラックチューブ2に取付
ける際には、各スリット7間の部材を弾性変形させて各
突起10をそれぞれ半径方向内方に押込みながら筒状部材
4をラックチューブ2内に嵌合し、各突起10を筒状部材
4の弾性で元の位置に復帰させて各係合孔11にそれぞれ
係合させればよい。 この状態では、上記各大径部4bの外面はラックチュー
ブ2の大径孔2aの内面に当接し、他方、各小径部4dはラ
ックチューブ2の大径孔2aの内面から所定間隔δだけ離
隔している。そしてラックブシュ1内に摺動自在に貫通
されたラックバー3が往復動されながら半径方向に振動
されると、小径部4dはその両側の薄肉部4cにより比較的
容易に弾性変形しながらその振動を吸収するようにな
る。そしてラックバー3の半径方向外方への変位量が大
きい場合には、小径部4dの外面がラックチューブ2の内
面に当接するようになるので、ラックバー3の大きな変
位を抑制することができる。 然して、上記ラックブシュ1は、ポリアセタール、ポ
リアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリブチルテレ
フタレートおよび超高分子ポリエチレンの少なくとも1
種と、8〜12wt%の酸化亜鉛ウイスカーとを含有する樹
脂軸受材料から製造している。 上述したように、酸化亜鉛ウイスカーはその形状がテ
トラポッド状なので、樹脂を射出成形する際に例えば芳
香族ポリアミド繊維のようにその方向性を考慮する必要
がなく、各製品間で性能がばら付くことを防止して安定
した性能を有するラックブシュを製造することができ
る。そして上記酸化亜鉛ウイスカーのテトラボッド状の
形状により、効果的に剥離を防止して安定した耐摩耗性
を得ることができる。 なお、スラスト摺動、ラジアル摺動等の軸受特性を一
層改善するため、0.5〜20wt%のポリテトラフルオロエ
チエン、1〜10wt%の二硫化モリブデン、0.5〜10wt%
の金属せっけん、および1〜10wt%のグラファイトの1
種以上を、総量で30wt%以下添加してもよい。 第4図は、樹脂軸受材料を異ならせて製造した上述と
同一の構成を有するラックブシュ1について、同一条件
下での耐摩耗性の試験結果を示したものである。 本発明品は、90wt%のポリアセタールと、10wt%の酸
化亜鉛ウイスカーとからなる樹脂軸受材料で製造し、ま
た比較品Aはポリアセタールから、比較品Bは80wt%の
ポリアセタールと、20wt%のティスモとからなる樹脂軸
受材料で製造した。 第4図の試験結果に示されるように、本発明品は従来
使用されていた比較品Aに対して摩耗量を1/3程度に低
減でき、またポリアセタールにティスモを添加した比較
品Bに対しても摩耗量を1/2程度とすることができる。 また第5図は、ポリアセタールへの酸化亜鉛ウイスカ
ーの添加量と比摩耗量との関係を示したもので、同図か
ら酸化亜鉛ウイスカーを8wt%以上添加すれば比摩耗量
はかなり小さくなる。他方、酸化亜鉛ウイスカーを12wt
%を越えて添加した場合には、比摩耗量は小さいが衝撃
強度面に問題を生じるようになる。したがって酸化亜鉛
ウイスカーの添加量は8〜12wt%である。 なお、上記試験はポリアセタールに関するものである
が、その他、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド、
ポリブチルテレフタレートおよび超高分子ポリエチレン
でも同様に良好な結果が得られている。
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、ポリアセタール、ポ
リアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリブチルテレ
フタレートおよび超高分子ポリエチレンの少なくとも1
種と、酸化亜鉛ウイスカーとからなる樹脂軸受材料でラ
ックブシュを製造し、かつ上記酸化亜鉛ウイスカーの添
加量を8〜12wt%の範囲に設定しているので、優れた耐
摩耗性と衝撃強度により長期間の使用でもラックバーと
ラックブシュとの間のクリアランスを零若しくは所定の
許容範囲内に維持することができ、したがって打音の発
生を長期間良好に防止することができるという効果が得
られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を示す断面図、第2図は第1
図に示すラックブシュの斜視図、第3図は第2図のIII
−III線に沿う断面図、第4図は摩耗量についての試験
結果を示した図、第5図は酸化亜鉛ウイスカーの添加量
と比摩耗量との関係を示した図である。 1……ラックブシュ、2……ラックチューブ 3……ラックバー、4……円筒部材 4b……大径部、4c……薄肉部 4d……小径部、7……スリット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上田 弘 愛知県豊田市緑ヶ丘3丁目65番地 大豊 工業株式会社内 (72)発明者 福岡 辰彦 愛知県豊田市緑ヶ丘3丁目65番地 大豊 工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−217072(JP,A) 実公 平1−18890(JP,Y2)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ラックチューブ内に嵌合され、かつラック
    バーが摺動自在に貫通される円筒部材の円周方向等間隔
    位置に、一方の端部が該円筒部材の端面に開口する複数
    のスリットを軸方向に沿って形成し、上記各スリットか
    ら相互に隣接する各スリットの内周方向中央部に向け
    て、上記ラックチューブの内面に嵌着される大径部と、
    上記円筒部材の肉厚を薄くした薄肉部と、上記ラックチ
    ューブの内面から所定距離だけ離隔する小径部とを順次
    形成したラックアンドピニオン式舵取装置のラックブシ
    ュにおいて、 該ラックブシュを、ポリアセタール、ポリアミド、ポリ
    フェニレンスルフィド、ポリブチルテレフタレートおよ
    び超高分子ポリエチレンの少なくとも1種と、酸化亜鉛
    ウイスカーとからなる樹脂軸受材料から製造し、かつ上
    記酸化亜鉛ウイスカーの添加量を8〜12wt%の範囲に設
    定したことを特徴とするラックアンドピニオン式舵取装
    置のラックブシュ。
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