JP3206664B2 - エンジンの燃料制御装置 - Google Patents
エンジンの燃料制御装置Info
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- JP3206664B2 JP3206664B2 JP08163391A JP8163391A JP3206664B2 JP 3206664 B2 JP3206664 B2 JP 3206664B2 JP 08163391 A JP08163391 A JP 08163391A JP 8163391 A JP8163391 A JP 8163391A JP 3206664 B2 JP3206664 B2 JP 3206664B2
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- Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は燃料噴射式エンジン、特
に吸気通路の内壁面等への燃料の付着を考慮して噴射量
を補正するようにしたエンジンの燃料噴射装置に関す
る。
に吸気通路の内壁面等への燃料の付着を考慮して噴射量
を補正するようにしたエンジンの燃料噴射装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、燃料噴射式のエンジンにおいて
は、回転数と吸入空気量とに基づいて各気筒の1吸気サ
イクル当りの吸入空気量を算出し、これに対応するよう
に基本噴射量を設定する一方、排気ガス中の残存酸素濃
度に基づいて上記基本噴射量を補正するフィードバック
制御を行い、これにより、燃料噴射ノズルから噴射され
る燃料の量が、運転状態に対応し且つ空燃比が所定の目
標値に収束されるように制御するようになっている。
は、回転数と吸入空気量とに基づいて各気筒の1吸気サ
イクル当りの吸入空気量を算出し、これに対応するよう
に基本噴射量を設定する一方、排気ガス中の残存酸素濃
度に基づいて上記基本噴射量を補正するフィードバック
制御を行い、これにより、燃料噴射ノズルから噴射され
る燃料の量が、運転状態に対応し且つ空燃比が所定の目
標値に収束されるように制御するようになっている。
【0003】ところで、このような燃料噴射量の設定
は、ノズルから噴射される燃料の全量が燃焼室に供給さ
れることを前提とするものであるが、実際には、燃料噴
射ノズルから噴射された燃料は、その一部が燃焼室に供
給されるだけであって、他の一部の燃料は吸気通路の内
壁面等に付着して、次回以降の吸気サイクル時に気化し
た上で燃焼室に吸入されることになる。そのため、上記
のようにして設定した噴射量(要求噴射量)と実際に燃
焼室に供給される量との間に誤差が生じ、ひいては空燃
比制御の精度が低下することになるのである。
は、ノズルから噴射される燃料の全量が燃焼室に供給さ
れることを前提とするものであるが、実際には、燃料噴
射ノズルから噴射された燃料は、その一部が燃焼室に供
給されるだけであって、他の一部の燃料は吸気通路の内
壁面等に付着して、次回以降の吸気サイクル時に気化し
た上で燃焼室に吸入されることになる。そのため、上記
のようにして設定した噴射量(要求噴射量)と実際に燃
焼室に供給される量との間に誤差が生じ、ひいては空燃
比制御の精度が低下することになるのである。
【0004】この問題に対しては、例えば特開昭58−
8238号公報によれば、燃焼室への燃料供給量を、燃
料噴射ノズルから直接供給される直入分と、吸気通路の
内壁面や吸気バルブ等に付着した後、次回以降の吸気サ
イクルで燃焼室に吸入される付着燃料持ち去り分とに分
けてそれぞれの値を予測し、その予測値に基づいて燃料
噴射ノズルからの噴射量を補正する所謂ウエット補正を
行うことが提案されている。
8238号公報によれば、燃焼室への燃料供給量を、燃
料噴射ノズルから直接供給される直入分と、吸気通路の
内壁面や吸気バルブ等に付着した後、次回以降の吸気サ
イクルで燃焼室に吸入される付着燃料持ち去り分とに分
けてそれぞれの値を予測し、その予測値に基づいて燃料
噴射ノズルからの噴射量を補正する所謂ウエット補正を
行うことが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のように
燃料供給量を直入分と持ち去り分とに分けて設定して
も、これらの値は各エンジン毎に、或いはエンジンの使
用年数等により一定しないのが実情である。つまり、燃
料噴射ノズルは、印加電圧に対する噴射量の特性や燃料
の噴射角等が個々に相違すると共に、エンジンの加工精
度のばらつき等によりその取り付け位置も微妙に相違
し、また、吸気通路内壁面等における堆積物の状態等に
よって燃料の付着量が異なるのである。
燃料供給量を直入分と持ち去り分とに分けて設定して
も、これらの値は各エンジン毎に、或いはエンジンの使
用年数等により一定しないのが実情である。つまり、燃
料噴射ノズルは、印加電圧に対する噴射量の特性や燃料
の噴射角等が個々に相違すると共に、エンジンの加工精
度のばらつき等によりその取り付け位置も微妙に相違
し、また、吸気通路内壁面等における堆積物の状態等に
よって燃料の付着量が異なるのである。
【0006】そして、このような理由により、直入分と
持ち去り分の予測値が実際の値に一致しない場合、空燃
比のフィードバック制御が良好に行われないことになる
のである。具体的には、例えば直入分の予測値が実際の
値よりも大きい場合には、算出されたフィードバック補
正量に対して燃料噴射量の実補正量が少なくなるために
過渡時の応答性が悪化し、また、直入分の予測値が実際
の値よりも小さい場合には、フィードバック補正量に対
して実補正量が多くなるために、空燃比がハンチングし
て安定性が著しく悪化するのである。
持ち去り分の予測値が実際の値に一致しない場合、空燃
比のフィードバック制御が良好に行われないことになる
のである。具体的には、例えば直入分の予測値が実際の
値よりも大きい場合には、算出されたフィードバック補
正量に対して燃料噴射量の実補正量が少なくなるために
過渡時の応答性が悪化し、また、直入分の予測値が実際
の値よりも小さい場合には、フィードバック補正量に対
して実補正量が多くなるために、空燃比がハンチングし
て安定性が著しく悪化するのである。
【0007】本発明は、従来における上記のような実情
に対処するもので、燃焼室に供給される燃料を燃料噴射
ノズルから噴射された燃料のうちの直入分と付着燃料か
らの持ち去り分とに分け、直入分の燃料噴射ノズルから
噴射された燃料に対する比率(直入率)と、持ち去り分
の付着燃料に対する比率(直入率)とに基づいて燃料噴
射ノズルからの噴射量を補正するようにした燃料噴射式
エンジンにおいて、上記直入率と持ち去り率の大小関係
が空燃比の変動の大きさに影響することに着目して、こ
れらの値を各エンジン毎に常に最適値に維持するように
構成し、もって、空燃比制御の良好な応答性と安定性と
を実現することを課題とする。
に対処するもので、燃焼室に供給される燃料を燃料噴射
ノズルから噴射された燃料のうちの直入分と付着燃料か
らの持ち去り分とに分け、直入分の燃料噴射ノズルから
噴射された燃料に対する比率(直入率)と、持ち去り分
の付着燃料に対する比率(直入率)とに基づいて燃料噴
射ノズルからの噴射量を補正するようにした燃料噴射式
エンジンにおいて、上記直入率と持ち去り率の大小関係
が空燃比の変動の大きさに影響することに着目して、こ
れらの値を各エンジン毎に常に最適値に維持するように
構成し、もって、空燃比制御の良好な応答性と安定性と
を実現することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明に係るエンジンの燃料制御装置は次のように
構成したことを特徴とする。
め、本発明に係るエンジンの燃料制御装置は次のように
構成したことを特徴とする。
【0009】まず、本願の請求項1に係る発明(以下、
第1発明という)は、燃料噴射ノズルから噴射された燃
料のうちの燃焼室に直接供給される直入分の比率を示す
直入率と、吸気通路内壁面に付着している付着燃料のう
ちの燃焼室に吸入される持ち去り分の比率を示す持ち去
り率とに基づき、上記ノズルからの噴射量を補正するよ
うにしたエンジンにおいて、燃焼室に供給される混合気
の空燃比を検出する空燃比検出手段と、該空燃比検出手
段によって検出された実空燃比に基づいて燃料噴射量を
補正することにより空燃比を目標空燃比にフィードバッ
ク制御するフィードバック制御手段と、上記空燃比検出
手段によって検出される空燃比の変動の大きさが、過渡
時の応答性の悪化を生じない範囲の下限値より小さくま
たは空燃比の振動および発散を生じない範囲の上限値よ
り大きいときに、この空燃比の変動の大きさが上記下限
値と上限値の間の範囲内に収まるように、上記直入率も
しくは持ち去り率の少なくとも一方を修正する修正手段
とを設けたことを特徴とする。
第1発明という)は、燃料噴射ノズルから噴射された燃
料のうちの燃焼室に直接供給される直入分の比率を示す
直入率と、吸気通路内壁面に付着している付着燃料のう
ちの燃焼室に吸入される持ち去り分の比率を示す持ち去
り率とに基づき、上記ノズルからの噴射量を補正するよ
うにしたエンジンにおいて、燃焼室に供給される混合気
の空燃比を検出する空燃比検出手段と、該空燃比検出手
段によって検出された実空燃比に基づいて燃料噴射量を
補正することにより空燃比を目標空燃比にフィードバッ
ク制御するフィードバック制御手段と、上記空燃比検出
手段によって検出される空燃比の変動の大きさが、過渡
時の応答性の悪化を生じない範囲の下限値より小さくま
たは空燃比の振動および発散を生じない範囲の上限値よ
り大きいときに、この空燃比の変動の大きさが上記下限
値と上限値の間の範囲内に収まるように、上記直入率も
しくは持ち去り率の少なくとも一方を修正する修正手段
とを設けたことを特徴とする。
【0010】また、請求項2に係る発明(以下、第2発
明という)は、上記第1発明と同様に、燃料噴射ノズル
から噴射された燃料のうちの燃焼室に直接供給される直
入分の比率を示す直入率と、吸気通路内壁面に付着して
いる付着燃料のうちの燃焼室に吸入される持ち去り分の
比率を示す持ち去り率とに基づき、上記ノズルからの噴
射量を補正するようにしたエンジンにおいて、エンジン
の運転状態を検出する運転状態検出手段と、エンジンの
温度を検出するエンジン温度検出手段と、燃焼室に供給
される混合気の空燃比を検出する空燃比検出手段と、該
空燃比検出手段によって検出された実空燃比に基づいて
燃料噴射量を補正することにより空燃比を目標空燃比に
フィードバック制御するフィードバック制御手段と、上
記運転状態検出手段及びエンジン温度検出手段により検
出されるエンジンの運転状態及び温度の変動が小さい場
合において、上記空燃比検出手段によって検出される空
燃比の変動の大きさが、過渡時の応答性の悪化を生じな
い範囲の下限値より小さくまたは空燃比の振動および発
散を生じない範囲の上限値より大きいときに、この空燃
比の変動の大きさが上記下限値と上限値の間の範囲内に
収まるように、上記直入率もしくは持ち去り率の少なく
とも一方を修正する修正手段とを設けたことを特徴とす
る。
明という)は、上記第1発明と同様に、燃料噴射ノズル
から噴射された燃料のうちの燃焼室に直接供給される直
入分の比率を示す直入率と、吸気通路内壁面に付着して
いる付着燃料のうちの燃焼室に吸入される持ち去り分の
比率を示す持ち去り率とに基づき、上記ノズルからの噴
射量を補正するようにしたエンジンにおいて、エンジン
の運転状態を検出する運転状態検出手段と、エンジンの
温度を検出するエンジン温度検出手段と、燃焼室に供給
される混合気の空燃比を検出する空燃比検出手段と、該
空燃比検出手段によって検出された実空燃比に基づいて
燃料噴射量を補正することにより空燃比を目標空燃比に
フィードバック制御するフィードバック制御手段と、上
記運転状態検出手段及びエンジン温度検出手段により検
出されるエンジンの運転状態及び温度の変動が小さい場
合において、上記空燃比検出手段によって検出される空
燃比の変動の大きさが、過渡時の応答性の悪化を生じな
い範囲の下限値より小さくまたは空燃比の振動および発
散を生じない範囲の上限値より大きいときに、この空燃
比の変動の大きさが上記下限値と上限値の間の範囲内に
収まるように、上記直入率もしくは持ち去り率の少なく
とも一方を修正する修正手段とを設けたことを特徴とす
る。
【0011】さらに、請求項3に係る発明(以下、第3
発明という)は、同じく第1発明と同様に、燃料噴射ノ
ズルから噴射された燃料のうちの燃焼室に直接供給され
る直入分の比率を示す直入率と、吸気通路内壁面に付着
している付着燃料のうちの燃焼室に吸入される持ち去り
分の比率を示す持ち去り率とに基づき、上記ノズルから
の噴射量を補正するようにしたエンジンにおいて、燃焼
室に供給される混合気の空燃比を検出する空燃比検出手
段と、該空燃比検出手段によって検出された実空燃比に
基づいて燃料噴射量を補正することにより空燃比を目標
空燃比にフィードバック制御するフィードバック制御手
段と、上記空燃比検出手段によって検出される空燃比の
変動の大きさが空燃比の振動および発散を生じない範囲
の上限値より大きいときは、上記直入分に対する持ち去
り分の比率が小さくなるように上記直入率もしくは持ち
去り率の少なくとも一方を修正し、空燃比の変動の大き
さが過渡時の応答性の悪化を生じない範囲の下限値より
小さいときは、上記比率が大きくなるように上記直入率
もしくは持ち去り率の少なくとも一方を修正することに
より、該空燃比の変動の大きさを上記下限値と上限値の
間の範囲に収める修正手段とを設けたことを特徴とす
る。
発明という)は、同じく第1発明と同様に、燃料噴射ノ
ズルから噴射された燃料のうちの燃焼室に直接供給され
る直入分の比率を示す直入率と、吸気通路内壁面に付着
している付着燃料のうちの燃焼室に吸入される持ち去り
分の比率を示す持ち去り率とに基づき、上記ノズルから
の噴射量を補正するようにしたエンジンにおいて、燃焼
室に供給される混合気の空燃比を検出する空燃比検出手
段と、該空燃比検出手段によって検出された実空燃比に
基づいて燃料噴射量を補正することにより空燃比を目標
空燃比にフィードバック制御するフィードバック制御手
段と、上記空燃比検出手段によって検出される空燃比の
変動の大きさが空燃比の振動および発散を生じない範囲
の上限値より大きいときは、上記直入分に対する持ち去
り分の比率が小さくなるように上記直入率もしくは持ち
去り率の少なくとも一方を修正し、空燃比の変動の大き
さが過渡時の応答性の悪化を生じない範囲の下限値より
小さいときは、上記比率が大きくなるように上記直入率
もしくは持ち去り率の少なくとも一方を修正することに
より、該空燃比の変動の大きさを上記下限値と上限値の
間の範囲に収める修正手段とを設けたことを特徴とす
る。
【0012】
【作用】上記の構成によれば、第1〜第3発明のいずれ
によっても、燃料噴射ノズルから噴射された燃料のうち
燃焼室に直接供給される直入分の比率を示す直入率と、
吸気通路内壁面に付着している付着燃料のうちの燃焼室
に吸入される持ち去り分の比率を示す持ち去り率の少な
くとも一方が、空燃比の変動の大きさが、過渡時の応答
性の悪化を生じない範囲の下限値と空燃比の振動および
発散を生じない範囲の上限値との間の範囲に収まるよう
に修正されるので、この空燃比の変動の大きさが、空燃
比制御の安定性が確保される範囲内で最も良好な過渡応
答性が得られる範囲に制御されることになり、各エンジ
ン毎のばらつきや使用年数等に拘わらず、空燃比のフィ
ードバック制御が常に良好に行われることになる。
によっても、燃料噴射ノズルから噴射された燃料のうち
燃焼室に直接供給される直入分の比率を示す直入率と、
吸気通路内壁面に付着している付着燃料のうちの燃焼室
に吸入される持ち去り分の比率を示す持ち去り率の少な
くとも一方が、空燃比の変動の大きさが、過渡時の応答
性の悪化を生じない範囲の下限値と空燃比の振動および
発散を生じない範囲の上限値との間の範囲に収まるよう
に修正されるので、この空燃比の変動の大きさが、空燃
比制御の安定性が確保される範囲内で最も良好な過渡応
答性が得られる範囲に制御されることになり、各エンジ
ン毎のばらつきや使用年数等に拘わらず、空燃比のフィ
ードバック制御が常に良好に行われることになる。
【0013】そして、第2発明によれば、上記直入率も
しくは持ち去り率の少なくとも一方に対する修正がエン
ジンの運転状態及び温度の変動が小さいとき、つまりエ
ンジンが安定した状態にあるときに行われるので、これ
らの率の修正が正しく行われることになる。
しくは持ち去り率の少なくとも一方に対する修正がエン
ジンの運転状態及び温度の変動が小さいとき、つまりエ
ンジンが安定した状態にあるときに行われるので、これ
らの率の修正が正しく行われることになる。
【0014】また、第3発明によれば、空燃比の変動の
大きさが上記上限値を超えているとき、換言すれば、予
め設定されている直入率が実際の直入率よりも小さいた
めに制御が不安定となるときには、該直入率が大きくさ
れ、もしくは持ち去り率が小さくされ、また、空燃比の
変動の大きさが上記下限値に達しないとき、換言すれ
ば、予め設定されている直入率が実際の直入率よりも大
きいために応答性が悪くなるときには、該直入率分が小
さくなるように修正され、もしくは持ち去り率が大きく
されることになり、その結果、空燃比の変動の大きさが
上記の良好な応答性と安定性とが得られる所定範囲に収
まることになる。
大きさが上記上限値を超えているとき、換言すれば、予
め設定されている直入率が実際の直入率よりも小さいた
めに制御が不安定となるときには、該直入率が大きくさ
れ、もしくは持ち去り率が小さくされ、また、空燃比の
変動の大きさが上記下限値に達しないとき、換言すれ
ば、予め設定されている直入率が実際の直入率よりも大
きいために応答性が悪くなるときには、該直入率分が小
さくなるように修正され、もしくは持ち去り率が大きく
されることになり、その結果、空燃比の変動の大きさが
上記の良好な応答性と安定性とが得られる所定範囲に収
まることになる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0016】図1に示すように、本実施例に係るエンジ
ン1においては、吸気バルブ2及び排気バルブ3を介し
てそれぞれ燃焼室4に通じる吸気通路5及び排気通路6
を有し、吸気通路5には、上流側からエアフローメータ
7、スロットルバルブ8、サージタンク9及び燃料噴射
ノズル10が配設されている。また、排気通路6には、
上流側からO2センサ11及び排気浄化装置12が配設
されている。
ン1においては、吸気バルブ2及び排気バルブ3を介し
てそれぞれ燃焼室4に通じる吸気通路5及び排気通路6
を有し、吸気通路5には、上流側からエアフローメータ
7、スロットルバルブ8、サージタンク9及び燃料噴射
ノズル10が配設されている。また、排気通路6には、
上流側からO2センサ11及び排気浄化装置12が配設
されている。
【0017】また、このエンジン1にはコントローラ2
0が備えられ、該コントローラ20に、上記エアフロー
メータ7からの吸入空気量を示す信号aと、上記O2セ
ンサ11からの排気ガス中の残存酸素濃度が所定の閾値
より大きいか否かを示す信号bと、エンジン回転数を検
出するエンジン回転センサ21からの信号cと、ウォー
タージャケット内の冷却水温度を検出する水温センサ2
2からの信号dと、バッテリ23の発生電圧を示す信号
eとが入力されるようになっている。
0が備えられ、該コントローラ20に、上記エアフロー
メータ7からの吸入空気量を示す信号aと、上記O2セ
ンサ11からの排気ガス中の残存酸素濃度が所定の閾値
より大きいか否かを示す信号bと、エンジン回転数を検
出するエンジン回転センサ21からの信号cと、ウォー
タージャケット内の冷却水温度を検出する水温センサ2
2からの信号dと、バッテリ23の発生電圧を示す信号
eとが入力されるようになっている。
【0018】そして、このコントローラ20は、上記各
入力信号に基づき、運転状態に対応し且つ空燃比が目標
値に収束されるように燃料噴射量を設定し、この噴射量
となるように燃料噴射ノズル10に駆動信号fを出力す
るのであるが、その際に、燃焼室4に供給される燃料
を、燃料噴射ノズル10から直接燃焼室4に供給される
直入分と、吸気通路5の内壁面等に付着した後、気化し
て燃焼室4に吸入される付着燃料持ち去り分とに分けて
それぞれの値を予測し、その予測値に基づいて上記ノズ
ル10からの噴射量を補正すると共に、その予測値自体
の修正を行うようになっている。
入力信号に基づき、運転状態に対応し且つ空燃比が目標
値に収束されるように燃料噴射量を設定し、この噴射量
となるように燃料噴射ノズル10に駆動信号fを出力す
るのであるが、その際に、燃焼室4に供給される燃料
を、燃料噴射ノズル10から直接燃焼室4に供給される
直入分と、吸気通路5の内壁面等に付着した後、気化し
て燃焼室4に吸入される付着燃料持ち去り分とに分けて
それぞれの値を予測し、その予測値に基づいて上記ノズ
ル10からの噴射量を補正すると共に、その予測値自体
の修正を行うようになっている。
【0019】次に、このコントローラ20の燃料噴射制
御の具体的動作を説明するが、それに先立って、この制
御の前提となる燃料供給量の直入分と持ち去り分の概念
について説明する。
御の具体的動作を説明するが、それに先立って、この制
御の前提となる燃料供給量の直入分と持ち去り分の概念
について説明する。
【0020】図2に示すように、燃料噴射ノズル10か
ら噴射される燃料は、燃焼室4に直接供給される直入燃
料F1と、吸気通路5の内壁面に付着する付着燃料F2と
に分かれる。また、吸気通路内壁面に付着している燃料
F3は、一部が吸気サイクル時に気化して燃焼室4に吸
入される持ち去り燃料F4となり、残りはそのまま残留
して次回以降の吸気サイクル時に燃焼室4に吸入され
る。したがって、1回の吸気サイクルで燃焼室4に供給
される燃料の量は、上記直入燃料F1と持ち去り燃料F4
の和となり、それらの比率、即ち直入率α及び持ち去り
率βは、基本的には実験によって定められる。そして、
この比率α、βを用いてノズル10からの燃料噴射量が
補正されるのである。
ら噴射される燃料は、燃焼室4に直接供給される直入燃
料F1と、吸気通路5の内壁面に付着する付着燃料F2と
に分かれる。また、吸気通路内壁面に付着している燃料
F3は、一部が吸気サイクル時に気化して燃焼室4に吸
入される持ち去り燃料F4となり、残りはそのまま残留
して次回以降の吸気サイクル時に燃焼室4に吸入され
る。したがって、1回の吸気サイクルで燃焼室4に供給
される燃料の量は、上記直入燃料F1と持ち去り燃料F4
の和となり、それらの比率、即ち直入率α及び持ち去り
率βは、基本的には実験によって定められる。そして、
この比率α、βを用いてノズル10からの燃料噴射量が
補正されるのである。
【0021】この補正を含む燃料噴射制御は、図3に示
すフローチャートにしたがって行われる。
すフローチャートにしたがって行われる。
【0022】つまり、コントローラ20は、まずステッ
プS1,S2で、エアフローメータ7及びエンジン回転
センサ21からの信号a,cに基づいて吸入空気量Q0
及びエンジン回転数Nを読み込み、次いでステップS
3,S4で、これらの値に基づいてエアフローメータ7
を通過する空気の充填効率CE0と、今回の吸気サイクル
における各燃焼室4毎の吸気充填効率(以下、シリンダ
充填効率という)CEとを次式にしたがって算出する。
プS1,S2で、エアフローメータ7及びエンジン回転
センサ21からの信号a,cに基づいて吸入空気量Q0
及びエンジン回転数Nを読み込み、次いでステップS
3,S4で、これらの値に基づいてエアフローメータ7
を通過する空気の充填効率CE0と、今回の吸気サイクル
における各燃焼室4毎の吸気充填効率(以下、シリンダ
充填効率という)CEとを次式にしたがって算出する。
【0023】 CE0=K1・(Q0/N) CE=K2・CE+(1−K2)・CE0 ここで、K1,K2は定数であり、0≦K2<1である。
【0024】次に、ステップS5で、上記シリンダ充填
効率CEに基づいて、燃料噴射ノズル10の取り付け部
位における吸気流量(以下、シリンダ流量という)Qを
次式にしたがって算出する。
効率CEに基づいて、燃料噴射ノズル10の取り付け部
位における吸気流量(以下、シリンダ流量という)Qを
次式にしたがって算出する。
【0025】Q=(1/K1)・CE・N そして、ステップS6で、水温センサ22からの信号d
に基づいて冷却水温度TWを読み込む。
に基づいて冷却水温度TWを読み込む。
【0026】さらに、コントローラ20は、ステップS
7で、予め設定されたマップ(図示せず)に基づいて、
現時点の運転状態に応じた燃料噴射時期を設定すると共
に、ステップS8で、図4に示すマップから、上記シリ
ンダ流量Qと冷却水温度TWとに応じた直入率αを求め
る。そして、ステップS9で、この直入率αに対する上
記の燃料噴射時期に応じた補正値K3Aを図6のマップか
ら読み取り、この補正値K3Aを掛けることにより直入率
αを補正する。
7で、予め設定されたマップ(図示せず)に基づいて、
現時点の運転状態に応じた燃料噴射時期を設定すると共
に、ステップS8で、図4に示すマップから、上記シリ
ンダ流量Qと冷却水温度TWとに応じた直入率αを求め
る。そして、ステップS9で、この直入率αに対する上
記の燃料噴射時期に応じた補正値K3Aを図6のマップか
ら読み取り、この補正値K3Aを掛けることにより直入率
αを補正する。
【0027】同様に、コントローラ20は、ステップS
10で、図5に示すマップから、上記シリンダ流量Qと
冷却水温度TWに応じた持ち去り率βを求めると共に、
ステップS11で、この持ち去り率βに対する上記の燃
料噴射時期に応じた補正値K3Bを図7のマップから読み
取り、この補正値K3Bを掛けることにより持ち去り率β
を補正する。
10で、図5に示すマップから、上記シリンダ流量Qと
冷却水温度TWに応じた持ち去り率βを求めると共に、
ステップS11で、この持ち去り率βに対する上記の燃
料噴射時期に応じた補正値K3Bを図7のマップから読み
取り、この補正値K3Bを掛けることにより持ち去り率β
を補正する。
【0028】ここで、上記直入率αに対する補正値K3A
は、図6に示すように、噴射時期が遅くなるほど大きく
なり、持ち去り率βに対する補正値K3Bは、図7に示す
ように、噴射時期が遅くなるほど小さくなるように設定
されている。これは、燃料噴射時期が吸気サイクルの初
期に設定されていて、該時期が遅くなるほど吸気バルブ
2の開度が大きくなるため、燃料噴射ノズル10から直
接燃焼室4に供給される燃料の量が多くなり、また、こ
れに伴って吸気通路内壁面への燃料の付着量が減少する
ことに対応させるためである。
は、図6に示すように、噴射時期が遅くなるほど大きく
なり、持ち去り率βに対する補正値K3Bは、図7に示す
ように、噴射時期が遅くなるほど小さくなるように設定
されている。これは、燃料噴射時期が吸気サイクルの初
期に設定されていて、該時期が遅くなるほど吸気バルブ
2の開度が大きくなるため、燃料噴射ノズル10から直
接燃焼室4に供給される燃料の量が多くなり、また、こ
れに伴って吸気通路内壁面への燃料の付着量が減少する
ことに対応させるためである。
【0029】次に、コントローラ20は、ステップS1
2で、冷却水温度TWに応じた暖気増量率CWを図8のマ
ップから求め、ステップS13で、この暖気増量率CW
と、上記ステップS4で求めたシリンダ充填効率CEと
に基づいて、燃料噴射ノズル10に出力する駆動信号f
の基本噴射パルス幅t0を次式にしたがって算出する。
2で、冷却水温度TWに応じた暖気増量率CWを図8のマ
ップから求め、ステップS13で、この暖気増量率CW
と、上記ステップS4で求めたシリンダ充填効率CEと
に基づいて、燃料噴射ノズル10に出力する駆動信号f
の基本噴射パルス幅t0を次式にしたがって算出する。
【0030】t0=K4・CW・CE ここで、K4は定数である。
【0031】さらに、コントローラ20は、ステップS
14で、バッテリ電圧VBを読み込むと共に、ステップ
S15で、このバッテリ電圧VBに応じた燃料噴射ノズ
ル10の無効噴射時間に相当するパルス幅tBを図9の
マップから読み取る。そして、ステップS16で、この
パルス幅tBと上記基本噴射パルス幅t0とを加算して、
最終パルス幅tを算出すると共に、ステップS17で、
このパルス幅tで燃料噴射ノズル10を駆動するための
噴射制御を実行する。
14で、バッテリ電圧VBを読み込むと共に、ステップ
S15で、このバッテリ電圧VBに応じた燃料噴射ノズ
ル10の無効噴射時間に相当するパルス幅tBを図9の
マップから読み取る。そして、ステップS16で、この
パルス幅tBと上記基本噴射パルス幅t0とを加算して、
最終パルス幅tを算出すると共に、ステップS17で、
このパルス幅tで燃料噴射ノズル10を駆動するための
噴射制御を実行する。
【0032】このようにして、上記最終パルス幅tに対
応する量の燃料が燃料噴射ノズル10から噴射されるこ
とになるが、その噴射量は、該ノズル10から燃焼室4
への直入率αと付着燃料の持ち去り率βとによる補正を
行った量とされることになる。
応する量の燃料が燃料噴射ノズル10から噴射されるこ
とになるが、その噴射量は、該ノズル10から燃焼室4
への直入率αと付着燃料の持ち去り率βとによる補正を
行った量とされることになる。
【0033】なお、以上の説明では、直入率α及び持ち
去り率βを燃料噴射時期によって補正したが、その他
に、例えば図10及び図11に示す燃料温度に応じた補
正値K5A,K5B、図12及び図13に示す燃料圧力に応
じた補正値K6A,K6B、図14及び図15に示す吸気温
度に応じた補正値K7A,K7B、図16及び図17に示す
大気圧に応じた補正値K8A,K8B等を用いて補正しても
よい。
去り率βを燃料噴射時期によって補正したが、その他
に、例えば図10及び図11に示す燃料温度に応じた補
正値K5A,K5B、図12及び図13に示す燃料圧力に応
じた補正値K6A,K6B、図14及び図15に示す吸気温
度に応じた補正値K7A,K7B、図16及び図17に示す
大気圧に応じた補正値K8A,K8B等を用いて補正しても
よい。
【0034】その場合に、燃料温度による補正は、図1
0、図11より明らかなように、直入率α及び持ち去り
率βが温度上昇にしたがって共に増大するように行われ
ると共に、その増大率は直入率αのほうが持ち去り率β
よりも大きくされる。これは、燃料が温度の上昇に従っ
て気化しやすくなり、付着燃料の比率が相対的に低下す
ることによる。
0、図11より明らかなように、直入率α及び持ち去り
率βが温度上昇にしたがって共に増大するように行われ
ると共に、その増大率は直入率αのほうが持ち去り率β
よりも大きくされる。これは、燃料が温度の上昇に従っ
て気化しやすくなり、付着燃料の比率が相対的に低下す
ることによる。
【0035】また、燃料圧力による補正は、図12、図
13より明らかなように、直入率αのみを燃料圧力の上
昇に従って減少させるように行われる。これは、燃料圧
力が高くなるとノズル10から噴射された燃料が付着し
やすくなると共に、付着燃料のうちの燃焼室4に持ち去
られる比率はこの圧力には無関係であることによる。
13より明らかなように、直入率αのみを燃料圧力の上
昇に従って減少させるように行われる。これは、燃料圧
力が高くなるとノズル10から噴射された燃料が付着し
やすくなると共に、付着燃料のうちの燃焼室4に持ち去
られる比率はこの圧力には無関係であることによる。
【0036】また、吸気温度による補正は、図14、図
15より明らかなように、直入率α及び持ち去り率βを
吸気温度の上昇に従って増大させるように行われる。こ
れは、上記燃料温度による補正と同様に、燃料の気化性
に起因するものである。
15より明らかなように、直入率α及び持ち去り率βを
吸気温度の上昇に従って増大させるように行われる。こ
れは、上記燃料温度による補正と同様に、燃料の気化性
に起因するものである。
【0037】さらに、大気圧による補正は、図16、図
17より明らかなように、直入率α及び持ち去り率βが
大気圧の上昇に従って共に減少するように行われる。こ
れは、大気圧が低いほど燃料が気化しやすくなることに
よるものである。
17より明らかなように、直入率α及び持ち去り率βが
大気圧の上昇に従って共に減少するように行われる。こ
れは、大気圧が低いほど燃料が気化しやすくなることに
よるものである。
【0038】以上のようにして、燃料噴射ノズル10か
ら噴射される燃料のうち直接燃焼室4に供給される直入
率αと、吸気通路内壁面等に付着した後、気化して燃焼
室4に吸入される持ち去り率βとによる補正を行った燃
料噴射量の制御が行われるのであるが、これらの率α,
βはエンジン毎に相違し、また各エンジンの使用年数等
によっても変化する。そのため、予め設定したこれらの
値と実際の値との間に誤差が生じ、そのため、空燃比の
フィードバック制御の過渡応答性や安定性が悪化するこ
とになるのである。
ら噴射される燃料のうち直接燃焼室4に供給される直入
率αと、吸気通路内壁面等に付着した後、気化して燃焼
室4に吸入される持ち去り率βとによる補正を行った燃
料噴射量の制御が行われるのであるが、これらの率α,
βはエンジン毎に相違し、また各エンジンの使用年数等
によっても変化する。そのため、予め設定したこれらの
値と実際の値との間に誤差が生じ、そのため、空燃比の
フィードバック制御の過渡応答性や安定性が悪化するこ
とになるのである。
【0039】ここで、上記直入率αと持ち去り率βの値
が空燃比制御の応答性と安定性とに与える影響について
説明する。
が空燃比制御の応答性と安定性とに与える影響について
説明する。
【0040】図18は、直入率αに対する持ち去り率β
の比率(β/α)が小さすぎる場合、即ち直入率αが実
際の値より大きく設定され、或いは持ち去り率βが実際
の値より小さく設定された場合であって、この場合、フ
ィードバック補正量として燃焼室4に実際に供給される
燃料の量がコントローラ20で算出した量(必要量)よ
り少ないため、定常状態では良好な安定性が得られる
が、運転状態が変化する過渡時には、所定の目標空燃比
に収束するのに長時間を要して応答性が悪化する。
の比率(β/α)が小さすぎる場合、即ち直入率αが実
際の値より大きく設定され、或いは持ち去り率βが実際
の値より小さく設定された場合であって、この場合、フ
ィードバック補正量として燃焼室4に実際に供給される
燃料の量がコントローラ20で算出した量(必要量)よ
り少ないため、定常状態では良好な安定性が得られる
が、運転状態が変化する過渡時には、所定の目標空燃比
に収束するのに長時間を要して応答性が悪化する。
【0041】また、図20は、上記の場合とは逆に、上
記比率(β/α)が大きすぎる場合、即ち直入率αが実
際の値より小さく設定され、或いは持ち去り率βが実際
の値より大きく設定された場合であって、この場合は、
燃焼室4に実際に供給されるる量が必要量より多くなる
ため、過渡時に良好な応答性が得られるが、定常状態で
は空燃比が目標値に収束せず、発散することになる。
記比率(β/α)が大きすぎる場合、即ち直入率αが実
際の値より小さく設定され、或いは持ち去り率βが実際
の値より大きく設定された場合であって、この場合は、
燃焼室4に実際に供給されるる量が必要量より多くなる
ため、過渡時に良好な応答性が得られるが、定常状態で
は空燃比が目標値に収束せず、発散することになる。
【0042】さらに、上記図18、図20の中間の状態
として、図19に示すように空燃比が振動し、図20の
場合と同様に目標値に収束しない場合がある。
として、図19に示すように空燃比が振動し、図20の
場合と同様に目標値に収束しない場合がある。
【0043】この比率α,βの大小と空燃比の変動状態
との関係は図21のように示すことができるが、定常状
態で空燃比が安定する範囲で、できるだけ過渡時の応答
性をよくするためには、該空燃比の値が振動し或いは発
散しない範囲で、できるだけ直入率αを小さくし或いは
持ち去り率βを大きくすればよいことになり、具体的に
は、図21に示す領域Xに収まるように直入率α及び持
ち去り率βを設定すればよいことになる。
との関係は図21のように示すことができるが、定常状
態で空燃比が安定する範囲で、できるだけ過渡時の応答
性をよくするためには、該空燃比の値が振動し或いは発
散しない範囲で、できるだけ直入率αを小さくし或いは
持ち去り率βを大きくすればよいことになり、具体的に
は、図21に示す領域Xに収まるように直入率α及び持
ち去り率βを設定すればよいことになる。
【0044】一方、図18に示す空燃比が安定した状態
では、図22に示すように、その変動の周期が短くな
り、これにともなって、排気ガス中の残存酸素濃度が所
定の閾値より大きいか否かによって出力が1または0と
なるO2センサ11の出力の反転周期Tも短くなり、ま
た、図19及び図20に示す空燃比が振動しもしくは発
散する状態では、図23に示すように、空燃比の変動周
期ないしO2センサ11の出力の反転周期Tが長くな
る。つまり、この周期Tと上記直入率αと持ち去り率β
の大小関係とが対応することになり、したがって、この
周期Tを所定範囲に収束させることにより、直入率αと
持ち去り率βとの大小関係を上記図21の最適領域Xに
収めることが可能となる。
では、図22に示すように、その変動の周期が短くな
り、これにともなって、排気ガス中の残存酸素濃度が所
定の閾値より大きいか否かによって出力が1または0と
なるO2センサ11の出力の反転周期Tも短くなり、ま
た、図19及び図20に示す空燃比が振動しもしくは発
散する状態では、図23に示すように、空燃比の変動周
期ないしO2センサ11の出力の反転周期Tが長くな
る。つまり、この周期Tと上記直入率αと持ち去り率β
の大小関係とが対応することになり、したがって、この
周期Tを所定範囲に収束させることにより、直入率αと
持ち去り率βとの大小関係を上記図21の最適領域Xに
収めることが可能となる。
【0045】そして、これを実行するため、上記コント
ローラ20は図24にフローチャートを示す制御を行
う。
ローラ20は図24にフローチャートを示す制御を行
う。
【0046】この制御は、エンジンの運転状態及び温度
が安定しているときに割り込み制御として実行されるも
ので、まずステップS21で、上記O2センサ11の出
力の反転周期Tを計測し、次いで、ステップS22で、
この周期Tが所定の範囲内にあるか否かを判定する。
が安定しているときに割り込み制御として実行されるも
ので、まずステップS21で、上記O2センサ11の出
力の反転周期Tを計測し、次いで、ステップS22で、
この周期Tが所定の範囲内にあるか否かを判定する。
【0047】そして、該周期Tがこの所定範囲内にある
とき、つまり下限値C1以上で且つ上限値C2以下のとき
は、直入率α及び持ち去り率βを修正せず、また、下限
値C1より小さいとき、即ち空燃比が必要以上に安定し
ていて過渡時の応答性が悪いときは、ステップS23
で、直入率αを所定量Δαだけ小さくし且つ持ち去り率
βを所定量Δβだけ大きくする。また、該周期Tが上限
値C2より大きいとき、即ち空燃比が振動しもしくは発
散しているときは、ステップS24で、直入率αを所定
量Δαだけ大きくし且つ持ち去り率βを所定量Δβだけ
小さくする。そして、ステップS25で、エンジンの運
転状態及び温度が安定しているか否かを判定し、これら
が安定しているときには、上記ステップS21〜S24
による直入率α及び持ち去り率βの修正制御を繰り返す
と共に、エンジンの運転状態もしくはエンジン温度が不
安定となれば、この制御を終了する。
とき、つまり下限値C1以上で且つ上限値C2以下のとき
は、直入率α及び持ち去り率βを修正せず、また、下限
値C1より小さいとき、即ち空燃比が必要以上に安定し
ていて過渡時の応答性が悪いときは、ステップS23
で、直入率αを所定量Δαだけ小さくし且つ持ち去り率
βを所定量Δβだけ大きくする。また、該周期Tが上限
値C2より大きいとき、即ち空燃比が振動しもしくは発
散しているときは、ステップS24で、直入率αを所定
量Δαだけ大きくし且つ持ち去り率βを所定量Δβだけ
小さくする。そして、ステップS25で、エンジンの運
転状態及び温度が安定しているか否かを判定し、これら
が安定しているときには、上記ステップS21〜S24
による直入率α及び持ち去り率βの修正制御を繰り返す
と共に、エンジンの運転状態もしくはエンジン温度が不
安定となれば、この制御を終了する。
【0048】これにより、直入率αと持ち去り率βの大
小関係が図21に示す最適領域に収められることにな
り、その結果、定常時には空燃比制御の所要の安定性を
確保しながら、過渡時における良好な応答性が得られる
ことになる。そして、上記の修正制御は、各エンジンに
おいて継続的に行われるから、空燃比制御の良好な安定
性と応答性とが常に得られることになる。
小関係が図21に示す最適領域に収められることにな
り、その結果、定常時には空燃比制御の所要の安定性を
確保しながら、過渡時における良好な応答性が得られる
ことになる。そして、上記の修正制御は、各エンジンに
おいて継続的に行われるから、空燃比制御の良好な安定
性と応答性とが常に得られることになる。
【0049】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、燃焼室に
供給される燃料を、燃料噴射ノズルから噴射された燃料
のうちの直接燃焼室に供給される直入分と、吸気通路の
内壁面等に付着した付着燃料からの持ち去り分とに分
け、直入分の燃料噴射ノズルから噴射された燃料に対す
る比率を示す直入率と、持ち去り分の付着燃料に対する
比率を示す持ち去り分とに基づいて燃料噴射ノズルから
の噴射量を補正するようにしたエンジンにおいて、上記
直入率及び持ち去り率の少なくとも一方を、空燃比の変
動の大きさが過渡時の応答性の悪化を生じない範囲の下
限値と空燃比の振動および発散を生じない範囲の上限値
との間の範囲に収まるように修正するようにしたから、
エンジン毎のばらつきや、各エンジンの使用年数等に拘
わらず、空燃比制御が常に良好な安定性と応答性とのも
とで行われることになる。
供給される燃料を、燃料噴射ノズルから噴射された燃料
のうちの直接燃焼室に供給される直入分と、吸気通路の
内壁面等に付着した付着燃料からの持ち去り分とに分
け、直入分の燃料噴射ノズルから噴射された燃料に対す
る比率を示す直入率と、持ち去り分の付着燃料に対する
比率を示す持ち去り分とに基づいて燃料噴射ノズルから
の噴射量を補正するようにしたエンジンにおいて、上記
直入率及び持ち去り率の少なくとも一方を、空燃比の変
動の大きさが過渡時の応答性の悪化を生じない範囲の下
限値と空燃比の振動および発散を生じない範囲の上限値
との間の範囲に収まるように修正するようにしたから、
エンジン毎のばらつきや、各エンジンの使用年数等に拘
わらず、空燃比制御が常に良好な安定性と応答性とのも
とで行われることになる。
【図1】 本発明の実施例に係るエンジンの燃料制御シ
ステム図である。
ステム図である。
【図2】 燃料の直入分と持ち去り分の概念を示す説明
図である。
図である。
【図3】 燃料噴射制御の基本的動作を示すフローチャ
ートである。
ートである。
【図4】 図3の制御で用いられる直入率のマップであ
る。
る。
【図5】 同じく図3の制御で用いられる持ち去り率の
マップである。
マップである。
【図6】 直入率に対する噴射時期による補正値のマッ
プである。
プである。
【図7】 持ち去り率に対する噴射時期による補正値の
マップである。
マップである。
【図8】 燃料噴射量の暖気増量率のマップである。
【図9】 燃料噴射ノズルの無効噴射時間のマップであ
る。
る。
【図10】 直入率に対する燃料温度による補正値のマ
ップである。
ップである。
【図11】 持ち去り率に対する燃料温度による補正値
のマップである。
のマップである。
【図12】 直入率に対する燃料圧力による補正値のマ
ップである。
ップである。
【図13】 持ち去り率に対する燃料圧力による補正値
のマップである。
のマップである。
【図14】 直入率に対する吸気温度による補正値のマ
ップである。
ップである。
【図15】 持ち去り率に対する吸気温度による補正値
のマップである。
のマップである。
【図16】 直入率に対する大気圧による補正値のマッ
プである。
プである。
【図17】 持ち去り率に対する大気圧による補正値の
マップである。
マップである。
【図18】 直入率に対する持ち去り率の比率が小さい
場合の過渡時と定常時の空燃比の変動を示すタイムチャ
ートである。
場合の過渡時と定常時の空燃比の変動を示すタイムチャ
ートである。
【図19】 直入率に対する持ち去り率の比率が中間の
場合の過渡時と定常時の空燃比の変動を示すタイムチャ
ートである。
場合の過渡時と定常時の空燃比の変動を示すタイムチャ
ートである。
【図20】 直入率に対する持ち去り率の比率が大きい
場合の過渡時と定常時の空燃比の変動を示すタイムチャ
ートである。
場合の過渡時と定常時の空燃比の変動を示すタイムチャ
ートである。
【図21】 直入率と持ち去り率の大小と空燃比の変動
との関係を示す説明図である。
との関係を示す説明図である。
【図22】 空燃比が安定している場合のO2センサの
出力状態を示す波形図である。
出力状態を示す波形図である。
【図23】 空燃比が振動している場合のO2センサの
出力状態を示す波形図である。
出力状態を示す波形図である。
【図24】 直入率及び持ち去り率を修正する制御のフ
ローチャートである。
ローチャートである。
1 エンジン 10 燃料噴射ノズル 11 O2センサ(空燃比検出手段) 20 コントローラ(予測値修正手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02D 41/04 330 F02D 41/14 310
Claims (3)
- 【請求項1】 燃料噴射ノズルから噴射された燃料のう
ちの燃焼室に直接供給される直入分の比率を示す直入率
と、吸気通路内壁面に付着している付着燃料のうちの燃
焼室に吸入される持ち去り分の比率を示す持ち去り率と
に基づき、上記ノズルからの噴射量を補正するようにし
たエンジンの燃料制御装置であって、燃焼室に供給され
る混合気の空燃比を検出する空燃比検出手段と、該空燃
比検出手段によって検出された実空燃比に基づいて燃料
噴射量を補正することにより空燃比を目標空燃比にフィ
ードバック制御するフィードバック制御手段と、上記空
燃比検出手段によって検出される空燃比の変動の大きさ
が、過渡時の応答性の悪化を生じない範囲の下限値より
小さくまたは空燃比の振動および発散を生じない範囲の
上限値より大きいときに、この空燃比の変動の大きさが
上記下限値と上限値の間の範囲内に収まるように、上記
直入率もしくは持ち去り率の少なくとも一方を修正する
修正手段とを設けたことを特徴とするエンジンの燃料制
御装置。 - 【請求項2】 燃料噴射ノズルから噴射された燃料のう
ちの燃焼室に直接供給される直入分の比率を示す直入率
と、吸気通路内壁面に付着している付着燃料のうちの燃
焼室に吸入される持ち去り分の比率を示す持ち去り率と
に基づき、上記ノズルからの噴射量を補正するようにし
たエンジンの燃料制御装置であって、エンジンの運転状
態を検出する運転状態検出手段と、エンジンの温度を検
出するエンジン温度検出手段と、燃焼室に供給される混
合気の空燃比を検出する空燃比検出手段と、該空燃比検
出手段によって検出された実空燃比に基づいて燃料噴射
量を補正することにより空燃比を目標空燃比にフィード
バック制御するフィードバック制御手段と、上記運転状
態検出手段及びエンジン温度検出手段により検出される
エンジンの運転状態及び温度の変動が小さい場合におい
て、上記空燃比検出手段によって検出される空燃比の変
動の大きさが、過渡時の応答性の悪化を生じない範囲の
下限値より小さくまたは空燃比の振動および発散を生じ
ない範囲の上限値より大きいときに、この空燃比の変動
の大きさが上記下限値と上限値の間の範囲内に収まるよ
うに、上記直入率もしくは持ち去り率の少なくとも一方
を修正する修正手段とを設けたことを特徴とするエンジ
ンの燃料制御装置。 - 【請求項3】 燃料噴射ノズルから噴射された燃料のう
ちの燃焼室に直接供給される直入分の比率を示す直入率
と、吸気通路内壁面に付着している付着燃料のうちの燃
焼室に吸入される持ち去り分の比率を示す持ち去り率と
に基づき、上記ノズルからの噴射量を補正するようにし
たエンジンの燃料制御装置であって、燃焼室に供給され
る混合気の空燃比を検出する空燃比検出手段と、該空燃
比検出手段によって検出された実空燃比に基づいて燃料
噴射量を補正することにより空燃比を目標空燃比にフィ
ードバック制御するフィードバック制御手段と、上記空
燃比検出手段によって検出される空燃比の変動の大きさ
が空燃比の振動および発散を生じない範囲の上限値より
大きいときは、上記直入分に対する持ち去り分の比率が
小さくなるように上記直入率もしくは持ち去り率の少な
くとも一方を修正し、空燃比の変動の大きさが過渡時の
応答性の悪化を生じない範囲の下限値より小さいとき
は、上記比率が大きくなるように上記直入率もしくは持
ち去り率の少なくとも一方を修正することにより、該空
燃比の変動の大きさを上記下限値と上限値の間の範囲に
収める修正手段とを設けたことを特徴とするエンジンの
燃料制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP08163391A JP3206664B2 (ja) | 1991-03-20 | 1991-03-20 | エンジンの燃料制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP08163391A JP3206664B2 (ja) | 1991-03-20 | 1991-03-20 | エンジンの燃料制御装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04292544A JPH04292544A (ja) | 1992-10-16 |
JP3206664B2 true JP3206664B2 (ja) | 2001-09-10 |
Family
ID=13751743
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
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