JP3204950B2 - 土留め擁壁 - Google Patents
土留め擁壁Info
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- JP3204950B2 JP3204950B2 JP12105599A JP12105599A JP3204950B2 JP 3204950 B2 JP3204950 B2 JP 3204950B2 JP 12105599 A JP12105599 A JP 12105599A JP 12105599 A JP12105599 A JP 12105599A JP 3204950 B2 JP3204950 B2 JP 3204950B2
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- tensile
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Description
【0001】
【発明が属する技術分野】この発明は切り土や盛り土な
どの地山の崩壊を防ぐための土留め擁壁に関するもので
あり、特に安価に製造できるとともに極めて大きな土砂
荷重にも耐え得る擁壁用ブロックを使用した土留め擁壁
に関するものである。
どの地山の崩壊を防ぐための土留め擁壁に関するもので
あり、特に安価に製造できるとともに極めて大きな土砂
荷重にも耐え得る擁壁用ブロックを使用した土留め擁壁
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、擁壁用ブロックとして図9に示す
ようなプレキャスト製ブロックを提案している。同ブロ
ックは、一面を横断面円弧状面aに形成し、その円弧状
面の左右両端に弦状掛け渡すようにタイ部bを一体に形
成し、タイ部bの中には横方向に引張り力を受ける高強
度鉄筋などの引張鋼材を埋設しておくものである。この
ようなブロックは、円弧状面を前面として、背面側を地
山に向けて設置するもので、背面側の土砂荷重が作用し
たとき、タイ部b内の引張鋼材がブロックに作用する土
砂荷重を受けるものである。タイ部bが土砂荷重を引張
り力として受け、極めて大きな土砂荷重にも耐え得るブ
ロックとなっている。
ようなプレキャスト製ブロックを提案している。同ブロ
ックは、一面を横断面円弧状面aに形成し、その円弧状
面の左右両端に弦状掛け渡すようにタイ部bを一体に形
成し、タイ部bの中には横方向に引張り力を受ける高強
度鉄筋などの引張鋼材を埋設しておくものである。この
ようなブロックは、円弧状面を前面として、背面側を地
山に向けて設置するもので、背面側の土砂荷重が作用し
たとき、タイ部b内の引張鋼材がブロックに作用する土
砂荷重を受けるものである。タイ部bが土砂荷重を引張
り力として受け、極めて大きな土砂荷重にも耐え得るブ
ロックとなっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらこのよう
にタイ部bを一体に形成するブロックは、型枠の形状も
複雑であって製造が難しく、製造コストも高くなってい
た。またタイ部bを設ける分嵩張るとともに重量も重く
なり、運搬、設置作業に多大な労力が必要であった。タ
イ部のみを別体として現場で組み立てる作業も考えられ
るが、やはりタイ部がプレキャストコンクリート製であ
ると、重量の問題が同じように生じてしまう。
にタイ部bを一体に形成するブロックは、型枠の形状も
複雑であって製造が難しく、製造コストも高くなってい
た。またタイ部bを設ける分嵩張るとともに重量も重く
なり、運搬、設置作業に多大な労力が必要であった。タ
イ部のみを別体として現場で組み立てる作業も考えられ
るが、やはりタイ部がプレキャストコンクリート製であ
ると、重量の問題が同じように生じてしまう。
【0004】従来のようにタイ部もプレキャストコンク
リート製として、全体を剛構造とすると、荷重を間違い
なくタイ部に引張り力として受けさせることが必ずしも
確実とは言えなかった。又、タイ部の補強鉄筋に高強度
鋼材を使用した場合、その強度を発揮させようとする
と、鋼材の伸びによって覆っているコンクリートにクラ
ックが発生することになる。したがって、全体を剛構造
とするのではなく、引張り力を受ける部分により効率よ
く荷重を作用させ易くさせるために、タイ部をコンクリ
ートとよりも弾性的な高強度鋼材の柔構造とした方が、
そこに荷重が集中して確実に引張り力として受けさせる
ことが可能となり、構造モデルとしてはより単純化さ
れ、明快である。また剛構造とした場合、製造費が高く
なる。
リート製として、全体を剛構造とすると、荷重を間違い
なくタイ部に引張り力として受けさせることが必ずしも
確実とは言えなかった。又、タイ部の補強鉄筋に高強度
鋼材を使用した場合、その強度を発揮させようとする
と、鋼材の伸びによって覆っているコンクリートにクラ
ックが発生することになる。したがって、全体を剛構造
とするのではなく、引張り力を受ける部分により効率よ
く荷重を作用させ易くさせるために、タイ部をコンクリ
ートとよりも弾性的な高強度鋼材の柔構造とした方が、
そこに荷重が集中して確実に引張り力として受けさせる
ことが可能となり、構造モデルとしてはより単純化さ
れ、明快である。また剛構造とした場合、製造費が高く
なる。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明にかかる土留め
擁壁は、従来の断面円弧状面を持つ擁壁用ブロックにお
いて、円弧状面に亀裂の入り易い溝状スリットを形成し
ておき、補強コンクリートと比較して柔構造となる伸縮
可能な引張材を、タイ部の代わりに円弧状面に弦状に掛
け渡すよう取付けることによって、上記の課題を解決す
るものである。
擁壁は、従来の断面円弧状面を持つ擁壁用ブロックにお
いて、円弧状面に亀裂の入り易い溝状スリットを形成し
ておき、補強コンクリートと比較して柔構造となる伸縮
可能な引張材を、タイ部の代わりに円弧状面に弦状に掛
け渡すよう取付けることによって、上記の課題を解決す
るものである。
【0006】
【発明の実施の形態】この発明かかる土留め擁壁に使用
する擁壁用ブロックは、本体部分がプレキャストコンク
リート製であって、横断面円弧状に一面が形成されてい
る。つまりは一面がえぐられるように円弧状に湾曲する
よう形成してあり、設置するときその反対側面を地山に
向けるものである。その円弧状面の左右中間部には縦方
向に連続する溝状のスリットが凹設されている。溝状ス
リットは必要に応じて複数本設けてもよい。円弧状面の
左右には、横方向に一直線上に位置するよう貫通する引
張材定着孔が形成されている。引張材定着孔は、それぞ
れ端に近づくにつれて孔が大きくなるよう内周面がテー
パ状に形成されている。つまりは、定着孔はそれぞれ端
部に近づくにつれて開口断面が大きくなるようになって
いる。引張材定着孔は、上下に複数個設けることが可能
で、つまりは上下に適宜間隔離れて、左右に対になる定
着孔が複数組み設けることもある。
する擁壁用ブロックは、本体部分がプレキャストコンク
リート製であって、横断面円弧状に一面が形成されてい
る。つまりは一面がえぐられるように円弧状に湾曲する
よう形成してあり、設置するときその反対側面を地山に
向けるものである。その円弧状面の左右中間部には縦方
向に連続する溝状のスリットが凹設されている。溝状ス
リットは必要に応じて複数本設けてもよい。円弧状面の
左右には、横方向に一直線上に位置するよう貫通する引
張材定着孔が形成されている。引張材定着孔は、それぞ
れ端に近づくにつれて孔が大きくなるよう内周面がテー
パ状に形成されている。つまりは、定着孔はそれぞれ端
部に近づくにつれて開口断面が大きくなるようになって
いる。引張材定着孔は、上下に複数個設けることが可能
で、つまりは上下に適宜間隔離れて、左右に対になる定
着孔が複数組み設けることもある。
【0007】左右の引張材定着孔間に掛け渡すように引
張材を通して固定する。この作業はは工場でなくとも、
現場においても行うことができる。引張材としては、高
強度の鉄筋鋼材やPCストランド、高分子合成樹脂繊維
による綱状材などが使用できる。引張材が鋼製の場合
は、周面に亜鉛アルミニウムを被覆して防錆処理する。
左右両端は折り曲げるよう屈曲して、左右の引張材定着
孔の中に配置する。鉄筋の場合は、折り返し加工した場
合屈曲変形したままで変形しないが、PCストランドの
場合は、弾性力によって変形したものの復元力が大き
い。つまりは、PCストランドを引張材として使用した
場合、折り返した状態で引張材定着孔に入れると、弾性
によって定着孔の中で折り曲げた部分が拡がって、定着
孔の中で引っ掛かる。この定着孔の中にセメントミルク
やモルタル、或いは樹脂モルタルなどを詰め、硬化させ
て引張材の端部を付着・定着させる。折り曲げた分、引
張材は付着面積が大きくなり、付着が良好に行われる。
また定着孔内にて硬化した硬化材は、くさび状の形状と
なって円弧状面の内側には抜けない。このように形成し
た擁壁用ブロックを、円弧状面の反対側を地山側にし
て、上下左右に並べて設置する。擁壁用ブロックのう
ち、上下端に位置するブロックは地中に打設したアンカ
ーに固定し、上下の擁壁用ブロックは、予めブロック本
体に上下に貫通する連結孔を貫通させておき、この連結
孔に上から下まで鉄筋などの連結材を通して連結するな
どする。
張材を通して固定する。この作業はは工場でなくとも、
現場においても行うことができる。引張材としては、高
強度の鉄筋鋼材やPCストランド、高分子合成樹脂繊維
による綱状材などが使用できる。引張材が鋼製の場合
は、周面に亜鉛アルミニウムを被覆して防錆処理する。
左右両端は折り曲げるよう屈曲して、左右の引張材定着
孔の中に配置する。鉄筋の場合は、折り返し加工した場
合屈曲変形したままで変形しないが、PCストランドの
場合は、弾性力によって変形したものの復元力が大き
い。つまりは、PCストランドを引張材として使用した
場合、折り返した状態で引張材定着孔に入れると、弾性
によって定着孔の中で折り曲げた部分が拡がって、定着
孔の中で引っ掛かる。この定着孔の中にセメントミルク
やモルタル、或いは樹脂モルタルなどを詰め、硬化させ
て引張材の端部を付着・定着させる。折り曲げた分、引
張材は付着面積が大きくなり、付着が良好に行われる。
また定着孔内にて硬化した硬化材は、くさび状の形状と
なって円弧状面の内側には抜けない。このように形成し
た擁壁用ブロックを、円弧状面の反対側を地山側にし
て、上下左右に並べて設置する。擁壁用ブロックのう
ち、上下端に位置するブロックは地中に打設したアンカ
ーに固定し、上下の擁壁用ブロックは、予めブロック本
体に上下に貫通する連結孔を貫通させておき、この連結
孔に上から下まで鉄筋などの連結材を通して連結するな
どする。
【0008】以上のような擁壁用ブロック複数個を、円
弧状面の反対側を地山側に向け、上下左右に並べて設置
して擁壁とする。地山側から土砂荷重が作用すると、ブ
ロック本体には左右に拡がるような力が作用する。引張
材は伸縮が可能な部材であるため、拡がろうとする力に
よって伸びる。このとき、円弧状面には左右中間に溝状
スリットが形成されているため、荷重によって亀裂が入
り、左右端部が更に横に離れる方向に移動する。しかし
ながら引張材には引張力として作用し、引張材がある程
度伸びると、引張り力を受け持って土砂荷重に対して抗
することになる。つまりは溝状スリットによってブロッ
ク本体には確実に縦に亀裂が入ることになるもので、こ
れによってブロック本体左右が若干開く方向に動くこと
となり、土砂荷重が引張材に引張り力として作用するの
である。溝状スリットを複数本設けた場合も、同じくブ
ロック本体が複数箇所に出来た亀裂を境に折れて拡が
り、引張材に引張力が作用する。
弧状面の反対側を地山側に向け、上下左右に並べて設置
して擁壁とする。地山側から土砂荷重が作用すると、ブ
ロック本体には左右に拡がるような力が作用する。引張
材は伸縮が可能な部材であるため、拡がろうとする力に
よって伸びる。このとき、円弧状面には左右中間に溝状
スリットが形成されているため、荷重によって亀裂が入
り、左右端部が更に横に離れる方向に移動する。しかし
ながら引張材には引張力として作用し、引張材がある程
度伸びると、引張り力を受け持って土砂荷重に対して抗
することになる。つまりは溝状スリットによってブロッ
ク本体には確実に縦に亀裂が入ることになるもので、こ
れによってブロック本体左右が若干開く方向に動くこと
となり、土砂荷重が引張材に引張り力として作用するの
である。溝状スリットを複数本設けた場合も、同じくブ
ロック本体が複数箇所に出来た亀裂を境に折れて拡が
り、引張材に引張力が作用する。
【0009】引張材の両端にはナットを螺合して取付
け、それを引張材定着孔内に位置させて硬化材を詰め
て、付着・定着させることもある。必要に応じてナット
の前に小型支圧板を取り付けて定着してもよい。
け、それを引張材定着孔内に位置させて硬化材を詰め
て、付着・定着させることもある。必要に応じてナット
の前に小型支圧板を取り付けて定着してもよい。
【0010】円弧状面を有するブロック本体を横に複数
個並べ、それらブロック本体に連続して一本の引張材を
通し、左右端に位置するブロック本体の最終端にて、そ
れぞれ引張材定着孔の中に硬化材を詰めて付着・定着さ
せてもよい。つまりは複数個の横に並べたブロック本体
を連続して通した引張材にて連結するものである。上下
のブロック本体は、上下に貫通させた連結孔に連結材を
通して連結する。
個並べ、それらブロック本体に連続して一本の引張材を
通し、左右端に位置するブロック本体の最終端にて、そ
れぞれ引張材定着孔の中に硬化材を詰めて付着・定着さ
せてもよい。つまりは複数個の横に並べたブロック本体
を連続して通した引張材にて連結するものである。上下
のブロック本体は、上下に貫通させた連結孔に連結材を
通して連結する。
【0011】
【実施例】以下、図に示す実施例に基づきこの発明を詳
細に説明する。図において1はプレキャストコンクリー
ト製のブロック本体であって、一面が横断面円弧状にえ
ぐれる円弧状面2となっている。円弧状面2の左右中間
には、縦方向に連続する溝状スリット9が凹設されてい
る。円弧状面の左右端には横方向に貫通する引張材定着
孔3・3が貫通しており、左右の引張材定着孔3・3は
一直線上に位置している。引張材定着孔3・3はそれぞ
れ、ブロック本体1の端に行くにつれて、徐々に内径が
大きくなるよう形成されている。一対となった引張材定
着孔3・3は上下に間隔を空けて左右に2個づつ形成さ
れている。ブロック本体1の左右両端部、及び左右中間
部には、合計4個の上下に貫通する連結孔4が形成され
ている。
細に説明する。図において1はプレキャストコンクリー
ト製のブロック本体であって、一面が横断面円弧状にえ
ぐれる円弧状面2となっている。円弧状面2の左右中間
には、縦方向に連続する溝状スリット9が凹設されてい
る。円弧状面の左右端には横方向に貫通する引張材定着
孔3・3が貫通しており、左右の引張材定着孔3・3は
一直線上に位置している。引張材定着孔3・3はそれぞ
れ、ブロック本体1の端に行くにつれて、徐々に内径が
大きくなるよう形成されている。一対となった引張材定
着孔3・3は上下に間隔を空けて左右に2個づつ形成さ
れている。ブロック本体1の左右両端部、及び左右中間
部には、合計4個の上下に貫通する連結孔4が形成され
ている。
【0012】上記のようなブロック本体1の引張材定着
孔3・3に引張材5を通す。実施例では、周面に亜鉛ア
ルミニウム被覆を施したPCストランドを使用してい
る。この引張材5の左右両端を折り返して折り曲げ、定
着孔3・3に通す。このときの折り返し部分の幅はD1
である。(図4)通した後離せば、折り曲げた部分が弾
性によって拡がり、定着孔3・3内部で引っ掛かる。こ
のとき折り返し部分はD2に拡がっている。この状態で
樹脂モルタルなどの硬化材6を定着孔3・3に詰めて定
着させる。折り曲げた分定着孔3内に位置する引張材5
の長さが長くなり、硬化材6との付着面積が大きくな
り、より強度の大きな定着部分となる。(図5)また、
テーパ状の定着孔3内で硬化した硬化材6は、くさび効
果によって互いの方向には引き抜けない。以上のように
して擁壁用ブロックAを完成させるもので、この擁壁用
ブロックAを図7のように地山を後ろにして設置するも
ので、複数個を上下に並べて設置する。上下端に位置す
るブロックAは、地山に予め埋設したアンカー7に固定
する。上下のブロックA・Aには、各連結孔4に高強度
鉄筋である連結材8を連続して貫通させて一体化させ
る。
孔3・3に引張材5を通す。実施例では、周面に亜鉛ア
ルミニウム被覆を施したPCストランドを使用してい
る。この引張材5の左右両端を折り返して折り曲げ、定
着孔3・3に通す。このときの折り返し部分の幅はD1
である。(図4)通した後離せば、折り曲げた部分が弾
性によって拡がり、定着孔3・3内部で引っ掛かる。こ
のとき折り返し部分はD2に拡がっている。この状態で
樹脂モルタルなどの硬化材6を定着孔3・3に詰めて定
着させる。折り曲げた分定着孔3内に位置する引張材5
の長さが長くなり、硬化材6との付着面積が大きくな
り、より強度の大きな定着部分となる。(図5)また、
テーパ状の定着孔3内で硬化した硬化材6は、くさび効
果によって互いの方向には引き抜けない。以上のように
して擁壁用ブロックAを完成させるもので、この擁壁用
ブロックAを図7のように地山を後ろにして設置するも
ので、複数個を上下に並べて設置する。上下端に位置す
るブロックAは、地山に予め埋設したアンカー7に固定
する。上下のブロックA・Aには、各連結孔4に高強度
鉄筋である連結材8を連続して貫通させて一体化させ
る。
【0013】図2に示すのは、擁壁用ブロックAの平面
図であり、まだ背面から土砂荷重が作用していない状態
である。これに土砂荷重が作用すると、荷重はブロック
本体1を左右に拡がらせるよう作用する。このとき引張
材5は伸縮する柔構造であり、ブロック本体1は左右中
間の溝状スリット9によって、その部分に亀裂10が入
り、屈曲し易くなっている。亀裂10を境に若干屈曲し
たとき、引張材5の伸びが止まり、荷重を引張り力とし
て受け持つことになる。引張材5は引張り力に対して極
めて大きな強度を発揮するものであって、確実に荷重を
引張り力として受け、擁壁の損壊を防ぐものである。溝
状スリット9によって出来た亀裂には、伸縮性のある樹
脂モルタルなどの硬化材12を詰めておく。
図であり、まだ背面から土砂荷重が作用していない状態
である。これに土砂荷重が作用すると、荷重はブロック
本体1を左右に拡がらせるよう作用する。このとき引張
材5は伸縮する柔構造であり、ブロック本体1は左右中
間の溝状スリット9によって、その部分に亀裂10が入
り、屈曲し易くなっている。亀裂10を境に若干屈曲し
たとき、引張材5の伸びが止まり、荷重を引張り力とし
て受け持つことになる。引張材5は引張り力に対して極
めて大きな強度を発揮するものであって、確実に荷重を
引張り力として受け、擁壁の損壊を防ぐものである。溝
状スリット9によって出来た亀裂には、伸縮性のある樹
脂モルタルなどの硬化材12を詰めておく。
【0014】図6に示すのは、引張材5の両端にナット
11を螺合して取りつけ、定着を確実にしたものであ
る。図8に示すのは、複数個のブロック本体1を横に連
続して並べ、それらの引張材定着孔3に一本の引張材5
を通して、左右両端に位置する定着孔3・3内にて定着
したものである。
11を螺合して取りつけ、定着を確実にしたものであ
る。図8に示すのは、複数個のブロック本体1を横に連
続して並べ、それらの引張材定着孔3に一本の引張材5
を通して、左右両端に位置する定着孔3・3内にて定着
したものである。
【0015】
【発明の効果】この発明は以上のような構成を有し、以
下の効果を得ることができる。 ブロック本体の円弧状面の左右中間部には溝状スリッ
トを設け、左右両端には伸縮性を有する引張材を掛け渡
して左右端にて定着したため、背面から土砂荷重が作用
したとき引張材が伸びてスリット部分に亀裂が生じて、
ブロック本体が亀裂を境に折れ曲がり左右方向に拡がろ
うとする。この左右に拡がろうとする力を確実に引張材
が受け持ってそれ以上の拡がりを止め、極めて大きな強
度を発揮して土砂荷重に耐え得る土留め擁壁となる。 溝状スリットを設けたため、亀裂が確実にスリット部
分に生じ、そこを境にブロック本体が左右方向に拡がる
ことが可能となって、土砂荷重を確実に引張材に作用さ
せることが可能となる。また複雑に亀裂が入り込むより
も外観的にも良好となる。 引張材定着孔は、ブロック本体の端に行くにつれて開
口断面が大きくなるようテーパ状に形成してあるため、
中で硬化した硬化材はくさび効果を発揮して抜け難くな
る。 引張材の端部を折り曲げて定着孔に通し、その中で拡
がらせることによって内側に引っ掛かるとともに、折り
曲げて定着孔内の長さが長くなった分硬化材との付着面
積も大きくなって引張材の両端がより強固に固定され
る。 引張材は軽く、その分ブロックの重量も軽くなり、運
搬・設置の労力も軽減される。引張材を現場で取り付け
るようにすれば、積み重ねが容易で運搬時にも嵩張らな
い。 引張材として高強度のPCストランドや高分子合成樹
脂の綱材を使用することにより、一般の鋼材よりも引張
材の許容応力度が高くなり、ブロック自体の強度も大き
くなるとともに、引張材の伸びも大きくなって亀裂も生
じ易くなる。 擁壁用ブロックは、円弧状面のアーチのタイとしての
引張材と、アーチ部(円弧状面)のコンクリートの構造
特性を生じており、土留め部材として単純化されている
ので、経済性が著しく向上している。
下の効果を得ることができる。 ブロック本体の円弧状面の左右中間部には溝状スリッ
トを設け、左右両端には伸縮性を有する引張材を掛け渡
して左右端にて定着したため、背面から土砂荷重が作用
したとき引張材が伸びてスリット部分に亀裂が生じて、
ブロック本体が亀裂を境に折れ曲がり左右方向に拡がろ
うとする。この左右に拡がろうとする力を確実に引張材
が受け持ってそれ以上の拡がりを止め、極めて大きな強
度を発揮して土砂荷重に耐え得る土留め擁壁となる。 溝状スリットを設けたため、亀裂が確実にスリット部
分に生じ、そこを境にブロック本体が左右方向に拡がる
ことが可能となって、土砂荷重を確実に引張材に作用さ
せることが可能となる。また複雑に亀裂が入り込むより
も外観的にも良好となる。 引張材定着孔は、ブロック本体の端に行くにつれて開
口断面が大きくなるようテーパ状に形成してあるため、
中で硬化した硬化材はくさび効果を発揮して抜け難くな
る。 引張材の端部を折り曲げて定着孔に通し、その中で拡
がらせることによって内側に引っ掛かるとともに、折り
曲げて定着孔内の長さが長くなった分硬化材との付着面
積も大きくなって引張材の両端がより強固に固定され
る。 引張材は軽く、その分ブロックの重量も軽くなり、運
搬・設置の労力も軽減される。引張材を現場で取り付け
るようにすれば、積み重ねが容易で運搬時にも嵩張らな
い。 引張材として高強度のPCストランドや高分子合成樹
脂の綱材を使用することにより、一般の鋼材よりも引張
材の許容応力度が高くなり、ブロック自体の強度も大き
くなるとともに、引張材の伸びも大きくなって亀裂も生
じ易くなる。 擁壁用ブロックは、円弧状面のアーチのタイとしての
引張材と、アーチ部(円弧状面)のコンクリートの構造
特性を生じており、土留め部材として単純化されている
ので、経済性が著しく向上している。
【図1】この発明にかかる土留め擁壁に使用する擁壁用
ブロックの斜視図である。
ブロックの斜視図である。
【図2】擁壁用ブロックの平面図である。
【図3】土砂荷重が作用したときのブロックの平面図で
ある。
ある。
【図4】ブロックの定着孔に引張材を折り曲げて入れる
状態の断面図である。
状態の断面図である。
【図5】定着孔内で引張材の端部が拡がった状態の断面
図である。
図である。
【図6】ナットを取り付けた引張材の端部を定着孔内に
固定した状態の断面図である。
固定した状態の断面図である。
【図7】擁壁の施工状態の斜視図である。
【図8】複数のブロック本体に連続して引張材を通した
実施例の平面図である。
実施例の平面図である。
【図9】従来の擁壁用ブロックの斜視図である。
A 擁壁用ブロック 1 ブロック本体 2 円弧状面 3 引張材定着孔 4 連結孔 5 引張材 6 硬化材 7 アンカー 8 連結材 9 溝状スリット 10 亀裂 11 硬化材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E02D 29/02 302 E02D 17/20 103
Claims (3)
- 【請求項1】 横断面円弧状に一面を形成し、その円弧
状面の中間部には縦方向に連続する溝状スリットを形成
し、円弧状面から左右両端に向って横方向に一直線上に
位置して貫通するとともに、両端に近づくにつれて各々
開口断面が大きくなる引張材定着孔を有するようプレキ
ャスト製のブロック本体を形成し、このブロック本体の
左右引張材定着孔間に引張材を通して円弧状断面に対し
弦状に引張材を配し、端部を折り曲げた引張材の端部を
引張材定着孔内に位置させ、引張材定着孔内に硬化材を
詰めて硬化させ、引張材の左右両端部を引張材定着孔内
にて付着・定着してなる擁壁用ブロックを、円弧状面の
反対側面を地山側にして上下左右に並置してなる土留め
擁壁。 - 【請求項2】 横断面円弧状に一面を形成し、その円弧
状面の中間部には縦方向に連続する溝状スリットを形成
し、円弧状面から左右両端に向って横方向に一直線上に
位置して貫通するとともに、両端に近づくにつれて各々
開口断面が大きくなる引張材定着孔を有するようプレキ
ャスト製のブロック本体を形成し、このブロック本体の
左右引張材定着孔間に引張材を通して円弧状断面に対し
弦状に引張材を配し、端部にナットを取付けた引張材の
端部を引張材定着孔内に位置させ、引張材定着孔内に硬
化材を詰めて硬化させ、引張材の左右両端部を引張材定
着孔内にて付着・定着してなる擁壁用ブロックを、円弧
状面の反対側面を地山側にして上下左右に並置してなる
土留め擁壁。 - 【請求項3】 横断面円弧状に一面を形成し、その円弧
状面の中間部には縦方向に連続する溝状スリットを形成
し、円弧状面から左右両端に向って横方向に一直線上に
位置して貫通するとともに、両端に近づくにつれて各々
開口断面が大きくなる引張材定着孔を形成し、上下に貫
通する連結孔を複数有するよう形成したブロック本体を
横に複数個連続して並べ、これら横に並んだブロック本
体の引張材定着孔に連続して引張材を貫通させ、左右両
端に位置するブロック本体の引張材貫通孔に硬化材を詰
めて硬化させ、引張材の左右両端部をそれら引張材定着
孔内にて付着・定着し、その上下に配置したブロック本
体は、連結孔に連結材を連続して貫通させて連結してな
る土留め擁壁。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12105599A JP3204950B2 (ja) | 1999-04-28 | 1999-04-28 | 土留め擁壁 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12105599A JP3204950B2 (ja) | 1999-04-28 | 1999-04-28 | 土留め擁壁 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000309929A JP2000309929A (ja) | 2000-11-07 |
JP3204950B2 true JP3204950B2 (ja) | 2001-09-04 |
Family
ID=14801731
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP12105599A Expired - Fee Related JP3204950B2 (ja) | 1999-04-28 | 1999-04-28 | 土留め擁壁 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP3204950B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
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---|---|---|---|---|
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KR102561586B1 (ko) * | 2022-06-09 | 2023-07-31 | 주식회사 정성이엔씨 | 개량형 사면 보강 패널 유닛 및 이를 이용한 사면 보강 구조 |
-
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- 1999-04-28 JP JP12105599A patent/JP3204950B2/ja not_active Expired - Fee Related
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